【SadoのSM小説】
最期のSM小説家
第二十五幕


究極の闇風俗


この物語はフィックションであり実在の人物機関とはなんらかかわりがありません。
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 二〇二十一年立夏下元。太陰太陽暦四月十二日。
 (この二十四節気は平気法によるものです)
 二〇二十一年五月二十三日。
 緊急事態宣言は沖縄県に追加され東京他の延長も検討されている。
 如月鬼堂は上越新幹線のグリーン車で越後湯沢に帰り着いた。
 駅には珠洲が迎えに来ていた。
 「皆さんお待ちです」
 「そうか」
 「闇風俗の話が持ち上がっています」
 「ふーん」
 如月鬼堂には触りたくない問題である。
 居間にはクラブ真性M女性の館の樽常マネージャー、大河内税理士、福富麻次郎が待っていた。
 杉下一行とはテレビ会議が繋がっている。
 樽常マネージャーと福富麻次郎の心配は風俗営業への規制強化である。
 「当局がまだ目をつけてないから良いのですが」
 「中にはこっちのプレイと変わらない内容で五百万に成ったと言う話も有ります。こうなると」
 樽常は何とも困ると言う発言である。
 「五十万で乳首斬られたと言うのも有りますが」
 大河内税理士がその逆も有ると付け加える。
 「生駒では大田正勝に似た男がかなりハードな事をやったとも聞いています」
 福富麻次郎にも相当に情報は流れている。
 「契約には服からはみ出す部分に治らない傷を付けない。また再生できない躰の一部を切り取るのは禁止されているようですが」
 杉下一行はルールを聞いている。
 「乳首を斬るのはそれに当たりませんか」
 「解釈は何とも言えませんが。表面は再生できます」
 大河内税理士はそれもルールの範囲と見ている。
 「しかし五十万では。再生費用はどうなのでしょう」
 福富麻次郎が首を傾げる。
 「それも出す客と出さない客があるようです。大田に似た客は生駒の女将が強く要求して払わせたようです」
 杉下一行は状況を掴んでいる。
 「こっちの会員が其処に行っているのか」
 如月鬼堂はそっちが心配である。
 「今のところ葬儀会社の社長以外は」
 「そいつは会を抜けたんだよな」
 「そうです」
 大河内税理士が答える。
 「連続拉致強姦傷害事件のグループがその五百万の口じゃないのか」
 「極めて可能性はあります」
 杉下一行が答える。
 「話が大きくならないことを願いたいな」
 「そうなのですが。登録女性らからもっとこっちのプレイ代を上げろと要求されているのです」
 樽常はかなり困っている。
 「逆に五十万で乳首斬られたりタバコ押し付けられて傷が残ったりだろ。そっちを例に挙げたらどっちつかずじゃないのか」
 「それに今だけ急場凌ぎの連中でしょう」
 大河内税理士も如月鬼堂に同調する。
 「まあそうですが。他に波及しますと」
 「長いメンバーは良い客だけで回しているのではないか」
 「そうですが」
 「その要求を聞く必要は無いよ」
 「はあ」
 樽常はまだ困った表情である。
 「それよりも事が大きくならないように警戒しませんと」
 話はどこまでも解決の糸口すらなさそうである。此処の面々にどうにかできる事ではない。
 
 連続拉致強姦傷害事件グループの川口の会長と葬儀社の社長は近鉄特急で生駒に向かっていた。
 以前に太田正克が最後の風俗遊びをした旅館である。
 「今日は潰すか」
 「要求額が大きいからな」
 ぎりぎりまでタクシーで来て観光生駒のアーチ型の看板を潜る。この先はなだらかな石段である。
 日観連の看板を掲げている旅館も在る。二人の入った所は観光客を取る旅館ではない。
 この一帯を生駒新地とも言う。大阪奥座敷とも呼ばれている。
 女将が丁寧に挨拶する。仕出し屋から料理が届いていた。
 川口の会長は黙って二十万を渡す。
 これが紹介料と旅館の使用料及び料理代である。
 「要求は五百だね」
 「あの三百と言い渡してございます」
 「うん。最初三百渡して。状況で追加してやる」
 「はい」
 女将は一度下がって女を連れて来る。女は横山深雪と言う。
 既に下着姿である。
 見かけの年齢は三十の前後。膝を揃えて座った脚はスリムで綺麗である。
 「歌乃でございます」
 横山深雪は両手を着いて一回限りの源氏名で挨拶する。
 「ブラを取ってくれ」
 川口の会長が三百万をテーブルに置いて要求する。
 スリムな体形には丁度良い大きさである。
 乳輪は小さいが乳首は真っ赤に突起している。
 川口の会長は三百万の帯封を押しやる。
 「内容は判っているよな」
 「はい。どうしても護らなければならない事業がありますので」
 覚悟はできていますと言う挨拶である。
 「いいだろう」
 二人は立ち上がる。
 葬儀会社の社長が横山深雪のショーツを指差す。
 横山深雪は取れと言う意味を理解して脱ぐ。
 そのまま浴室に引っ張って行く。横山深雪を先に湯に浸ける。
 二人も裸に成って入る。
 「あんた旅館の女将か」
 「判りますか」
 「何とない振る舞いからな」
 二人は交互に味見の挿入をする。
 葬儀会社の社長が横山深雪の唇を貪っている時。上から川口の会長は横山深雪の辛さに堪える表情を確り確認した。
 可愛いと言う女ではない。シャンでもない。柔らかい表情だが美形ではある。そして対応は柔らかい女将の表情と言える。
 だが川口の会長は芯の強さと表さない高いプライドを感じ取った。
 こんな女が已む無く身を捨てる。それなら究極に虐めたい。川口の会長に加虐心が滾った。
 二人は横山深雪を浴室のタイルに寝かせてまずは剃毛する。
 脚を広げて明るい照明の下で股間を晒させる。横山深雪はこれだけで顔を土色に染める。
 女の部分を広げると恥ずかしさに躰を微動させた。
 「ああ」
 綺麗な女の部分である。びらびらの縁の色はごく薄い。内部の粘膜は薄橙だがこれまで男が侵入したのかとさえ思う。
 つい今し方二人で進入した。それほど痛がる様子はなかった。膣口を見るとさすがに処女幕の欠片さえない。
 陰毛はそんなに固くない。毛穴も太くはない。剃ってしまうと肌理の細かい皮膚が露になる。
 横山深雪の皮膚の肌理は細かいが色はやや茶が掛かる。剃った部分は周りの皮膚とそれほど色は変わらない。
 「あれを斬るか。この躰に焼き印するか」
 川口の会長が葬儀会社の社長に小声で確認する。
 「そうだな。此処の医者はどっちの整形が得意かな」
 「それは焼印消す方が簡単だろう。刺青は消えないが」
 「この女に刺青したいな」
 「それはもっと追い詰められないと駄目だな」
 横山深雪は剃刀で剃られている股間に注意を払いながら恐ろしい会話に顔を歪める。
 「その前に坊主にしてから考えよう」
 「いやその前に電気責めでお漏らししてもらおう」
 「そうだな」
 横山深雪はこの旅館の女将からSMのレートを聞かされた。そしてどの程度まで堪えなければならないか因果を含まされている。
 それでも二人の会話に縮み上がる思いである。
 二人は剃毛の終わった横山深雪をもう一度湯に浸けて洗う。
 「どうや姉さん。股間が生まれた姿に成った気分は」
 「・・・・・・・・・」
 横山深雪は無言で瞬間赤く染まった顔を振る。
 これだけでも気が遠くなるくらい恥ずかしい。
 「姉さん。母親だと思ったがまだ子供生んでないな」
 「はい」
 「だんなは居ないのだな」
 「はい。どうしてそこまで判るのですか」
 「女の躰はそういう事で微妙に変化する」
 「ああ」
 横山深雪は恥ずかしさに眩む表情である。
 川口の会長はこの女を心の底から傷つけたい衝動に駆られた。
 アナル開口器で便を確かめる。
 「抜いて来たな」
 「はい」
 横山深雪はお叱りを受ける表情で答える。
 「まあ良い」
 浣腸の必要はない。
 二人は横山深雪を畳の部屋に戻す。申し分け程度に布団を敷く。
 葬儀会社の社長が横に成る。その上に横山深雪の女を被せる。アナルに浣腸器でローションを注入する。
 「えーーーーーー」
 横山深雪は何をされるか怯える。
 川口の会長がアナルに挿入する。
 「あーーーーーーーーーーーーー。そんなーーーーーーーーーー」
 構わず二人で責める。
 「あーーーーーーーー。だめですーーーーーーーーー。あーーーーーーー。だめですーーーーーーーーー。あはあーーーーーーーーーーん」
 横山深雪の躰は一気に小刻みな震撼を始める。
 「あーーーーーはあーーーーーーーーーーーーーーーーーん。あはあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん」
 横山深雪は葬儀会社の社長の顔の両側に伸ばした両腕で布団を掴んで藻掻き続ける。
 「ああーーーーーーーん。あ、ああーーーーーーーーーーーー。だめーーーーーーーーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーー」
 横山深雪は物凄い力で布団を掴んで躰を固くしてどこまでも藻掻き続ける。
 「ああーーーーーーーーーー。ああーーーーーーー。ああーーーーー。ああーーーーーーー。ああーーーーーーーー。ああーーーーーーー」
 横山深雪は三十手前にも成って受けた事のない官能に強烈に上り詰めてしまった。不本意極まりない。
 旅館を継続する資金の為に断腸の思いで躰を預けた。その客に女の性をその極地まで蹂躙されてしまった。
 横山深雪は布団の上に解放されて恥ずかしさに顔を覆う。
 川口の会長は逝き顔を晒してしまった横山深雪の恥ずかしさ悔しさをじっくり観察して悦びを噛み締める。
 表情は穏やかに繕うが芯の底まで気丈なプライドの高い女である。それを踏み潰す悦びに浸る。
 横山深雪は布団に躰を横たえて恥ずかしさに堪えて痙攣が治まるのを待つ。川口の会長はその顔を踏んづける。
 「ああ」
 横山深雪はそれを崩れた表情で藻掻きながら堪える。
 葬儀会社の社長は電源トランスの準備をしている。
 川口の会長は横山深雪を駿河問いに吊るし上げる。
 「あーーーーーーーーーーーー。ぐうああーーーーーーーーーー」
 横山深雪は苦しい吊るしに藻掻き苦しむ。
 その時点で川口の会長は服を着ける。葬儀社の社長にも服を着るよう薦める。
 葬儀会社の社長はトランスから長い電磁棒二本を繋ぐ。
 川口の会長は駿河問いの吊るしに苦しむ横山深雪の躰に書類を挟むクリップを鋏み付ける。
 「う、ううーーーーーーーーーーーーーー」
 成れたSM嬢ではない。ちょっとした痛みでも悲鳴を漏らす。それでも二つ目は顔を顰めるだけで声は出さない。
 川口の会長は横山深雪の両方の乳首、太腿、最後は女の部分の閉じ合わせた粘膜に鋏み付ける。
 「う、うーーーーーーー。うーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 今度は強烈な悲鳴に成る。
 それでも川口の会長は容赦なくもう片方の粘膜も鋏み付ける。
 「うーーーーーー。ぐうーーーーーーーーー。うぐううーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 横山深雪は苦しい躰を揺すり藻掻きながら悲鳴を漏らす。
 葬儀会社の社長は電磁棒を乳首のクリップに充てる。
 「あ、ああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。あがうああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 横山深雪は堪えられない。強烈な悲鳴を上げる。
 数秒間で離す。
 横山深雪の躰の震えを愉しみながら続けて太腿のクリップに充てる。
 「あ、あーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 横山深雪の躰は藻掻き震撼する。
 次は股間のクリップに充てる。
 「あーーーーーーーーーーーー。があーーーーーーーーーーーーーーーー。ぐがああーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 遂に横山深雪は僅かに漏らしてしまう。
 葬儀会社の社長は直ぐに電磁棒を離す。
 「あ、あーーーーーーーーーーーーーーーー」
 泣き悲鳴に成る。
 また乳首の左右のクリップに充てる。
 「ぐああーーーーーーーーーーーーーー。ぐがああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーーーー」
 また僅かに漏らす。
 そのまま電磁棒を離す。
 横山深雪は僅かに細く断続的に垂れ流し続ける。
 「ああ。ああん。あーーー」
 横山深雪はお漏らしが止まらないのに焦る。堪らない羞恥である。女将の言葉を思い出す。
 『貴女のこれまでのプライドを全部捨てないと駄目よ』
 今だけ堪えるしかないと何度も自分に言い聞かせた。とても創造につかなかった内容である。
 『でも逆らわないで堪えていればこのお客は三百万に上乗せしてくれるかも知れないよ』
 女将はこうも付け加えた。
 二人は横山深雪に漏らすものが無くなったので吊るしから降ろす。
 川口の会長は横山深雪を高手小手に縛る。
 さらに脚首を縛り合わせる。次の縄で膝を縛って座らせる。脚首の縄の先端を高手小手に縛った縄の手首の下に通して縛る。
 これで殆ど動けない。
 鋏みで髪を切り落とす。
 「え、えーーーーーーーーーーー」
 横山深雪は驚愕の表情で振り返る。
 「契約の範囲だろ。乳首斬り堕とすか。ま○○こ焼いてもいいのだぞ」
 「ああ。はい」
 「ちゃんと帰りの鬘は用意してある」
 「はい。判りました」
 横山深雪は観念して躰の力を抜く。
 葬儀会社の社長は川口の会長が切った髪を集めて袋に突っ込む。そしてバリカンを川口の会長に渡す。
 切った後の五分刈りをさらに坊主に刈り取る。
 さらに葬儀会社の社長は剃刀とローションを用意する。
 完全につるつるに剃ってしまう。尼に成った頭である。その姿を鏡に見せる。
 「・・・・・・・・・・」
 横山深雪は無言で悲しそうにその姿を見る。
 もう無様に喚く事はしない。
 「さてお姉さん。ここまでで三百万だ。だがそれだけじゃ足りない筈だ」
 「ああ。はい」
 ここまで性行為の提供と非情ながら回復可能な範囲できた。いよいよ躰を犠牲にしなければならない。横山深雪の躰全体に戦慄が奔る。
 だがここまでの三百万で躰の一部を潰す了解をしている。
 「多分。今回だけでは足りないかもしれない。良く考えて答えてくれ」
 川口の会長が諭すように静かな口調で言う。
 「三通りから選んでくれ」
 葬儀会社の社長が付け足す。
 「一つはこの焼印だ。太腿、剃毛したドテ、乳房の三箇所に押す。これで三百万追加だ」
 川口の会長は金属の棒の先にT字型に四角い金属の付いたアイテムを指差す。
 「一つは顔に押す。こっちは五百万追加だ。どっちも別途に整形代は払う」
 川口の会長が二つ目の選択肢を告げる。
 「・・・・・・・・・」
 横山深雪は二人の恐ろしい言葉に何も言えない。
 「一つは子宮にその電子棒を突っ込む。焼いてしまう。こっちは一千万。治療費を別途に出す。だが子宮摘出になる」
 川口の会長は一番恐ろしい三つ目の選択肢を淡々と告げる。
 「えーーーーーー」
 横山深雪は最後の刑にさすがに慄いてしまう。
 「今の都合に合わせて考えろ。次に呼ばれたら今回のような内容で三百万とオプションの金額だ」
 川口の会長はきっぱり宣告する。
 「そうです。この状況では次も。ああ」
 横山深雪は恐ろしい状態を実感する。
 緊急事態宣言は終わりそうもない。旅館には支援金すらない。親から引き継いだ老舗旅館。何としても護らなければ成らない。
 「緊急事態が終わっても暫くは苦しいかもしれん。GOTOは直ぐに効果を発揮しない」
 「元から私共には有りません」
 横山深雪は堪らず怒りの言葉を吐いてしまう。
 これまで昔からの蓄え資産と融資で繋いで来た。ここで諦めたら莫大な借金で破産宣告になる。
 破産宣告でも消えない借金もある。
 借用証には既に破産宣告しても払うと書かれている。
 それでもこの人たちは金に飽かして女をこんな目に遭わせて愉しむ。信じられない残酷な人。でもそのお金がなければ自分はと思う狭間である。
 「はい。・・・・・今回は追加三百万で」
 横山深雪は死ぬ思いを噛み締めて答える。
 「いいよ」
 川口の会長はその場に三百万を置く。
 「・・・・・」
 葬儀会社の社長が拷問椅子を押して来る。
 「それに乗ってくれ」
 「はい」
 横山深雪は躰を微妙に震えさせながら観念して拷問椅子に座る。
 川口の会長がベルトで横山深雪の躰を一応固定する。
 葬儀会社の社長が焼印を持つ。
 一気に横山深雪の内腿に押し付ける。
 「う、うう、うおーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 数秒で離す。
 「あーーーーーーーーーーーーーーーー」
 涙が零れる。
 川口の会長はその涙を愉しみながら焼印の先を焼く。
 もちろんこれまで使った文言などは書いてない。ポルノショップで売っている玩具である。
 だが充分に痕を焼き付ける。
 川口の会長が剃毛したドテを焼いて、最後は二人で片方の乳房を焼いた。
 二人は横山深雪の究極の涙と悲鳴をとことん堪能した。
 直ぐに待機していた医者が入って来る。
 応急処置だけ行う。
 「整形代と治療費は女将を通してこっちに請求してくれ」
 川口の会長が医者に要求する。
 「そうして頂ければ助かります。治療費しか貰えない場合も。必ず綺麗に整形してもう一度お愉しみいただけるように致します」
 医師の言葉に横山深雪は驚愕した。しかしこういう医者も居なければ自分は救われなかったと実感する。
 しかしそれ以上に自分には不安が圧し掛かっている。
 「あのう。すみません。本当に私が苦しかったら残る二つを両方お願いもできますか」
 横山深雪は更なる不安から恐る恐る尋ねた。
 「いいよ。だがあんた跡継ぎはできないよ」
 「分かっています。その場合はいま教育している仲居を跡継ぎにします」
 横山深雪には苦しみの底から出た言葉である。そして恨むのは総理と大阪府知事だと自分に言い聞かせる。
 「いいよ。いつでも言ってくれ。両方ならあと二人連れて来て二千万にしてやる」
 「ありがとうございます。そのときは何卒」
 「いいよ」
 二人は帰った。
 
 五月二十五日。
 越後湯沢。如月鬼堂の居間である。
 客人は館山弁護士だけで話し合いが行われていた。
 「先生。この闇風俗との関わりは何処から始まったのですか」
 「申し訳ございません」
 それはある事件の解決に川口の旅館の女将が関わった。
 ある些細な自転車事故が大事に成った。
 女は失業中だった。金も無く自転車事故の保険も入ってなかった。払って貰えなければ被害者も実費負担になる。
 この場合健康保険、国民保険は利かない。女が刑務所に入っても被害者は自分で治療費を工面しなければならない。
 被害者は川口の女将のやや近い親族であった。
 女将の提案で始まった。
 「鬼堂先生。私は連続拉致強姦傷害事件の犯人が此処に関わっていた場合を考えて奴等の正体を突き止めます」
 「それも必要ですが。以前のように警察にリークはしないで下さい」
 如月鬼堂は新長瀞で起きた福山哲夫の事件の事を言っている。武州小川町での電車の接続時間のトリックを館山弁護士が警察にリークした。
 「分かっております。こっちに影響が無いことだけを考えます」

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