【SadoのSM小説】
最期のSM小説家
第十幕


SM愛好会潮噴き対決


この物語はフィックションであり実在の人物機関とはなんらかかわりがありません。
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 二〇二十年夏至上元。太陰太陽暦五月十六日。
 (この二十四節気は平気法太陰太陽暦によるものです)
 七月七日。大雨警戒レベルが五に成った。今年だけではない。九州の至る所で河川が氾濫した。このところ毎年同じ状況になる。
 温暖化が原因だと言われるが雨を止めることはできない。
 ハザードマップが作成されている。そして警報が出る。命を護る行動を取って下さい。何度聞いた事か。あとは避難所の開設それだけである。
 戦争でも地震でもない雨で人が何人も死ぬ。驚愕の事態である。
 住居、車が冠水する。毎年住宅や車が流される。土砂崩れで生き埋めになる。
 なんら対策はされてない。
 温暖化の対策など騒いでもできる事ではない。
 温暖化対策を行なうにはもう文明を捨てるしかない。そんな不便な社会には戻せない。
 危機が迫っているからCO2を減らす。無理なことである。
 火力発電、ガソリン車は近々廃止される。だが飛行機は無くならない。工場も廃止できない。温暖化を戻すなど不可能である。
 如月鬼堂は越後湯沢のマンションで居間の囲炉裏端でぼやく。テレビ会議は繋がっている。珠洲と瀬里奈も参加している。
 いつまで平地の一軒家に住み続けるのか。街の構造を変えるべきである。
 「自然を守るのではない。自然の猛威に耐える街を造るべきだ」
 如月鬼堂は原稿を編集に送って昼からビールに浸っている。
 囲炉裏端には刺身の盛り合わせ。海栗、いくら、鮪、平目の薄作りが並べぶ。カウンターにはサラダバーが用意されている。
 珠洲と瀬里奈はスパークリングワインである。
 「鬼堂先生。どんな街にすればよろしいので」
 テレビ会議の中から福富麻次郎である。
 如月鬼堂は規則的な高層ビル群の街にしたい。五階くらいまで水に浸かっても影響のない街。一階から出入りをしない。高層ビル群が空中で繋がる。
 そんなビジョンを理想の如く述べる。如月鬼堂の小説にはそんな未来の街が表現されている。
 「先生。何処の行政にもできませんよ。予算が在る自治体には場所が無い。場所が在る自治体には金が無いです」
 大河内税理士が否定する。役人出身の言い分である。
 「自治体も廃止して国一個の経済にすれば良い」
 このところ如月鬼堂は暴言が目立つ。コロナの自粛要請にインターネットアダルト放送で過激な発言をして以来である。
 「パパ。駄目だよ。無謀な発言し過ぎちゃ」
 珠洲が警戒して忠告する。
 「このテレビ会議だけなら問題ないでしょう」
 館山弁護士もそう言いながらインターネットアダルト放送では言わないよう暗に嗜める。
 自治体、NHK、直接税は廃止してほしいが如月鬼堂の悲願である。小説の中では売春防止法、風俗営業法も廃止を訴えている。
 「ところで先生。緊急事態宣言も自粛要請も解除されましたが。また東京だけ感染者が増えて雲行きが怪しいです」
 大河内税理士は懸念している。
 「自粛要請より感染拡大の放送が問題です。どうしても客が激減します」
 福富麻次郎は困っている。
 「集団免疫に切り替えるか。でなければ新規増紙幣で病院スーパー以外完全休業にして売上全面保障にしてもらいたい」
 如月鬼堂は不満を爆発させている。
 「パパ。集団免疫は駄目だよ」
 珠洲がまた心配になって嗜める。
 「でも日本は感染しても重篤に成る人は少ないです。無症状で終わる率が高いので行けるのでは無いですか」
 大河内税理士も賛成して過激発言になる。
 「間違ってないが日本のモラルでその発言は拙い。重症になってエクモ投入の例もたくさん有る。亡くなった芸能人も居る。問題発言に成る」
 館山弁護士が強く戒める。
 「雲行きが怪しいのでそそくさと今月の愛好会開いてしまいましょうよ」
 大河内税理士はもう待てない。
 「そうだ。長野はちょっと雲行きが怪しい。熱海で二人呼んでやろう。お一人様二万のご負担になるが」
 如月鬼堂はほぼ次の候補を決めている。
 一人は前回出演させた来島結奈である。開催まで揉めたが熱海に呼ばれた会員からは後日好評価が幾つも届いた。
 あと一人は先月如月鬼堂がプレイに呼んでSM愛好会の出演承諾を取った芳原亜美である。
 既にジギルの館から真性奴隷女の館に移籍している。
 「パパ。会員数四百を超えそうだよ」
 瀬里奈が横から現状をパソコンの集計から報告する。
 「先生。波に乗っていますよ。状況が変わる前に進めましょう」
 大河内税理士は直ぐ乗ってくる。
 「そうですよ。もう自粛はしません」
 杉下一行も賛成する。
 熱海と決まって荒井枝里は喜んだ。
 樽常もクラブの営業に繋がる。ほっと一安心である。真性奴隷女の館はまったく自粛もPCR検査も行なってない。
 だが関連から感染者もいまのところ出ていない様子である。
 
 来島結奈は素直に国税庁を退職してしまった。辞めなくても良かったのではないか。何とか留まる事はできなかったのか。
 SM愛好会に参加していた官僚、職員は問題なし。なのに出演した自分ではそんなに違うのか。自分だけ辞めなければならないのか。納得は行かない。
 もう闘う事もできない。退職は国税庁として処理されてしまっている。
 闘えば仕事も貰えない。館山弁護士には当り屋を処理して貰った。こっちとは闘えない。
 二か月分の給料を得ただけで今収入の充ては無い。クラブで顔出しはできない。愛好会の会員からリクエストが有ればと言われていた。
 他に勤めることも控える様に言われた。派遣なら問題なかったかもしれない。だがそれも仕事が無かった。コロナのせいである。
 大河内税理士から言われるまま従ってしまった。
 『樽常のクラブで暫らく稼いで店でも始めた方が良い』
 確かに派遣で仕事に就いても将来性は無い。マスコミ報道でそんな現状を何度も耳にした。
 民間企業に勤めるのが難しいのは良く判る。ハローワークで中小、零細企業の就職は有るかもしれない。
 それも将来は派遣と変わらない。それなら稼いで店でも始めた方が良いかもしれない。
 そんな矢先。如月鬼堂からSM愛好会の再リクエストが来た。今度は三百人くらい来る。一度やれば愛好会の客で稼げると言われて承諾した。
 
 瀬里奈が愛好会の会員に七月十八日で打診した。四連休に入らない方が集まりると考えた。さらにコロナ自粛の雲行きが怪しい。
 反応は良かった。その日に二百人以上の確認が取れた。
 人数に成り次第打ち切りと記載している。熱海でも四百人は増設しないと入れない。
 「パパ。オーバーに成ったら断るの」
 「仕方ないよ。熱海以上に入れるところは無い。観世音ホールにするのはいま宜しくない。都知事の発言もある」
 「国の発言と違って都道府県を跨いで移動するな」
 瀬里奈も国の大臣、官房長官の発言と東京都知事の矛盾する発言がどっちに転ぶかは怪しく思う。
 「いつまであの都知事が続くのか。他の候補も嬉しくないが。反NHK党が入ってくれればと思ったがあの得票では」
 如月鬼堂は女性都知事が嫌である。接待を伴う飲食店という言葉に強い警戒を抱く。これを機に風俗共々衰退させるのではないかと心配している。
 如月鬼堂が一番心配するのはソープランドである。
 SMクラブは廃業しても経済が戻ればまた涌く。ソープランドが廃業すると新規店舗が造れない。
 テレビのワイドショーは埼玉路線バス女性運転士集団強姦事件の一審判決を報じていた。
 (最期のSM小説家 第五幕 堕とされた女の人生 参照)
 「埼玉地裁は六人の被告に無罪を言い渡しました」
 女性キャスターは納得が行かないような表情でそう読み上げた。
 バスに残った髪の毛は証拠として疑う余地が残る。被告らは常時この路線を利用していて前日も同車両が運行していた。それが判決内容である。
 野崎卓郎弁護士の会見になる。女性キャスターは不本意でもこの会見を報道しなければならない。
 「検察は直ちに控訴の方針です」
 女性キャスターはそう強く唱える。
 「パパこれは」
 珠洲が如月鬼堂の意見を確認する。
 「判決は当然だろ」
 「だってパパ。六人が犯人に違いないって言ってなかった」
 珠洲は不満である。
 「それは俺の見解だよ。判決は疑わしきは罰せずが妥当だ」
 「でも。あの女の運転手さん可愛そう」
 珠洲は被害者が気の毒で納得が行かない。
 「確かにあれは酷い事件で極めて計画的だ。だが警察の捜査がずさんだ。もっとキッチリ証拠固めをするか。秩父鉄道の聞き込みを詰めるべきだった」
 「警察が横着だったの」
 「そうだよ。野崎先生は秩父鉄道の中に居た防護服姿の似顔絵を作成した。それが防犯カメラと一致した」
 「秩父鉄道には防犯カメラは無いの」
 「無いだろう。あんなローカル線」
 「アリバイ作りの防護服なら一致するよね」
 「それでも被告人に有利に成ったのだよ。野崎先生が執拗に協力者を探したからだよ。防護服は六人がトイレで着替えたという熊谷から乗っていた」
 「警察がダミーで乗った協力者を突き止めるしかないのね」
 「そうだった。いまさら遅い。この六人が何処からバスに乗ったか熊谷からの足取りを追うべきだった」
 「そうか。被害者側は判決に怒っているから。この六人が犯人と信じているんだよね」
 「それ以上だ。何回も乗車した客だ。それが強姦してきた。証拠にできなくてもそれなりにこの客らに違いないと分かっているだろう」
 「それが証明できなかったの」
 「そうだろう」
 「二審で変わらないの」
 「それも何とも言えない。日本の裁判は極めて裁判官次第だ」
 如月鬼堂は建前の正論より裏の真実を追究する。表面に現れる報道内容と現実はかけ離れている場合が多い。
 そして世論の正論に乗ってしまった側が勝ちと言う現代である。
 九州だけではなく岐阜県、長野県でも河川の氾濫状況が次々と報道される。梅雨前線が長く停滞している。如何ともし難い災害である。
 去年は北陸新幹線が水没した。未だに運行状況は回復してない。だがコロナの自粛でそれも影響ない。
 コロナの収束は見えない。災害も毎年である。世界恐慌は何とか抑えられそうだが経済の疲弊は当分回復しない。
 先の見えない日本列島と日本経済に如月鬼堂も不安を隠せない。
 そんな矢先。熱海の店長荒井枝里が翌朝の訪問を打診してきた。三百名収容は問題が有ると言うのである。
 
 如月鬼堂の朝は遅い。珠洲と瀬里奈は殆んど朝食を取らない。自分で蕎麦を茹でて冷やす。
 ひきわり納豆に叩いた薬味を載せる。それに冷やしたタレを掛ける。
 風呂には浸からない。軽くシャワーを浴びただけである。
 珠洲が身支度を整えて越後湯沢の駅まで荒井枝里を迎えに行く。
 「枝里さん新幹線が遅れて東京駅の乗換えでホームに待たされて汗掻いたのだって。露天風呂会議にする」
 珠洲は明るく提案する。三人だと如月鬼堂のさおがどう変化するか。そこに興味が涌いている。
 「私もいいですよ」
 荒井枝里も了解して露天風呂に湯を張る。
 他には絶対に無い人間関係である。
 本来荒井枝里の躰はスマートスリムである。だが珠洲と瀬里奈が一緒に立つと一回りボリュームが感じられる。
 珠洲と瀬里奈が骨ばって痩せている訳ではない。僅かな差である。珠洲と瀬里奈は華奢である。荒井枝里に華奢と言うイメージは涌かない。
 如月鬼堂はどっちの裸も愉しみたい。
 ここのところ剃毛はしてない。三名とも黒い塊が湯に透けて綺麗である。
 如月鬼堂は目を逸らすことは一切しない。じっくり見比べる。三名ともそれを笑顔で受け止める。
 「まだ熱海で升席の合席は拙いと思います。升の左右と後ろはビニールを吊るしています」
 「あれは上まで遮断しているのがいいね」
 「女の子はフェイスシールドを被って透明なワンピースです」
 「触れないのか」
 如月鬼堂は暗黙のサービスが下がった事を嘆く。
 「いまは仕方ないです」
 「だよな。それより人数を減らすのは成り立たない」
 「二人ですよね。生駒と二元開催にできませんか」
 「今夜テレビ会議で話し合おう」
 「それといま升席は三面ですが。仮設で四面にして大相撲と同じにします」
 「そうだな」
 珠洲と瀬里奈は荒井枝里に経営能力があるのに驚いている。堅実に事態を考え対処する。
 少し前は暴力夫に怯えていた。
 それから逃げて子供を抱え借金を返すSM人生。それが一皮剥けてこんな確りした女だったのである。
 荒井枝里はSMプレイ、取材、愛好会のショーでは虐められた。それでも如月鬼堂と出合って地獄から脱出できた。
 如月鬼堂も荒井枝里に躰で小説に協力してもらった。さらに熱海の店長にして売上も増えた。
 
 割烹料理店からミニ解析の出前が届いて昼食を摂る。そこへ館山弁護士から明後日のインターネットアダルト放送のスタジオ入りについて電話が入る。
 埼玉路線バス女性運転士集団強姦事件の件である。犯人の味方をし過ぎると一般の反感が拙い。と言って野崎卓郎弁護士と対立も今後に宜しくない。
 そこを館山弁護士は詳細に執拗に注意する。如月鬼堂も気に成っていたことである。珠洲と瀬里奈も強く聞き耳を立てていた。
 
 また性犯罪を伴う事件が起こった。インターネットアダルト放送で如月鬼堂がメインキャスターから執拗に意見を求められる内容に成っている。
 そして今週は如月鬼堂の発言を執拗に煽るキャスターの担当である。
 犯人は来島結奈に当り屋を仕掛けて脅迫。来島結奈を示談金稼ぎに愛好会のショー出演に至らしめたホストであった。
 館山弁護士の内容証明で来島結奈へ以後の脅迫は断念した。その後日勤める店舗のホスト及び女性客が集団感染。店は当分営業自粛に追いやられた。
 しかも武州市の市会議員広中彩華がワイドショーで店の批判を展開した。それはSNSの書き込みから始まりマスコミネタと成った。
 広中彩加立憲国民党市会議員は昨夜池袋二十時五十分発の武州鉄道快速急行下久保行きに乗った。
 それが本日の朝である。長瀞で変死体と成って発見された。
 (これは架空の鉄道です。実在しません)
 それは猟奇に満ちた内容であった。
 麻縄で縛られたまま荒川の大きな中州に漂着していた。
 概ね近くから流して中州に乗り上げたものと思われた。
 武州市役所の職員が広中彩加と武州町まで一緒に来た。
 広中彩加は実家が神川町。昨夜はそっちに帰る予定であった。下久保ダムの在る神流湖の近くである。
 武州鉄道は武州寄居が終点。近年武州小川町から支線が延びて下久保まで行く。将来高崎まで延長の予定である。
 途中駅新長瀞付近で下車したと思われる。
 快速急行は武州小川町を出ると新長瀞まで止まらない。
 殆んどトンネルの中を直線で百五十キロ走行する。新長瀞には二十二時丁度に着く。終点下久保着が二十二時十八分である。
 犯人に途中で降ろされたか。ついて行ってしまったか。本来途中で降りることは無い。
 武州鉄道は下久保と新長瀞に宅地造成してマンションも建設していた。犯行現場は直ぐに確認された。
 建設中の建物の中であった。殆んど完成している状態である。
 「腰から下が火傷をしています。シャワーの湯を温度の高いまま使ったと思われます」
 埼玉県警第三機動捜査隊の隊員である。犯行現場も直ぐ規制線が張られた。既に静かな町にマスコミが押し寄せている。
 「広中彩加は長瀞で電車を降ろされたか。何らかの方法で運び出されたと考えるべきでしょう」
 新長瀞は無人駅である。島型のホームだが上り下り単線区間で交換ができる。駅での目撃証言はまったく無い。
 快速急行は武州小川町で後ろ四両を切り離す。そこから六両編成でこの区間はワンマン運転となる。車掌は乗ってない。
 新型コロナの移動自粛も手伝って乗客も殆んど居ない。
 「遺体は橋から投げ捨てたのでしょうか」
 「その可能性が高いね」
 「犯人は快速急行に乗っていたか。駅で待っていた」
 「騒ぎが有ったとは思えない。乗っていた可能性が高いな」
 埼玉県警第三機動捜査隊の捜査官同士の会話である。ワイドショーでもその様な現状が報じられた。
 
 福山哲夫はホストクラブ艶城のホスト。その店は池袋美久仁小路の入口近くに在る。最近人気が上がり始めていた。
 広中彩加は市会議員ながら福山哲夫の客であった。
 広中彩加はホストクラブ艶城の新型コロナ対応の問題点についてSNSに書き込みを行なった。
 さらにワイドショーのリポーターインタヴューも受けた。
 ホストクラブ艶城は已む無く自主休業した。
 さらに広中彩加は福山哲夫の当り屋をした強引な営業についても脅しを掛けてきた。
 福山哲夫は同じ日。池袋二十一時丁度発特急寄居行きに乗っていた。
 この特急は十分前に発車した快速急行下久保行きには追いつかない。武州小川町には二十二時二分に着く。
 先に発車した快速急行は武州小川町に二十一時五十分に着く。切り離しと乗務員交代で二十一五十七分に出る。
 特急から快速急行に乗り換えは本来できない。
 福山哲夫は当り屋で脅迫していた女に手伝わせた。その女は福山哲夫の指示で一つ手前の停車駅で開いている扉にパチンコ玉を詰まらせた。
 車掌から遠い前から二両目である。
 これで発車が八分遅れた。それでも後ろの特急の運行に影響は無い。
 快速急行は武州小川町で二番ホームに着く。特急は隣の三番ホームである。連絡橋を渡って乗り換えることになる。
 福山哲夫は快速急行に乗って来た女と乗車券を交換する。
 さらに女に持って来させた大型のキャリーバックを快速急行の座席で引き継ぐ。
 女はそのまま八高線に乗り換えて高崎まで行く。
 福山哲夫は特急券と別に高崎までの乗車券を繋ぎで買っていた。さらに特急の車内で巡回してきた車掌に高崎の最終接続を確認した。
 本来指定席に座れば車内改札は行なわない。車掌に態と印象付けたのである。
 女は新長瀞までの乗車券を買っていた。
 武州小川町では特急の車掌から快速急行が発車したか遅れているかは一目では判らない。切り離した後ろ四両が残るからである。
 この四両は上りの池袋行き快速急行の前方に接続する。下久保を発車して単線区間を新長瀞で待つ。此処で切り離した下りと交換して来る。
 快速急行は七分遅れで武州小川町を発車した。新長瀞で上りが先に着いて待っている。信号が既に開いているので下りは直ぐ発車する。
 終点下久保にはほぼ定刻で着いたのである。
 福山哲夫は下り快速急行が武州小川町を発車すると直ぐに広中彩加を確保した。後ろから近付いてタオルでクロロフォルムを充てる。
 先頭車だが運転席は幕で塞がれている。
 夜である。さらにトンネル区間になる。客室の照明がフロントガラスに反射する。だから後ろのガラスを遮断するのである。
 車内で広中彩加をキャリーバックに詰めて新長瀞で下車する。
 駅に止めてあった軽トラックで運び出す。予め確認してあったほぼ完成している建設中の住宅に運び込む。
 軽トラックが其処に止まっていても不自然さは無い。
 福山哲夫は広中彩加を全裸にして高手小手に縛る。更に脚首と太腿を重ねて左右両方縛り合わせる。
 鞭で叩き起こす前に強姦してしまう。スキンは着けている。終わった後中は良く洗う。
 スマホ、キャッシュカード、クレジットカード、現金を確保する。
 一本鞭で乳房を叩く。
 乳房にバツの字の蚯蚓腫れの痕を付ける。
 何発も叩く。太股もバツの字に赤紫の痕だらけである。
 「うう」
 ようやく意識が戻った。
 「おのれ。何する」
 容赦なく顔を叩く。鞭は口元に炸裂する。
 「やめろーーーーーーー」
 広中彩加は福山哲夫をみる。さらに置かれた状況に驚愕の叫びを上げる。
 武州小川町を電車が発車して少し。行き成り後ろから捕まえられた。いつの間にか此処に運ばれた。広中彩加は事態の恐ろしさを直感する。
 乳房も太股も強烈に痛みを発している。
 福山哲夫はまだ鞭を振り上げる。
 「ああーーーーーー。やめろーーーーーーーーー」
 容赦なく乳首を直撃する。先端が細く成った一本鞭である。
 「ぐうーーーーー」
 広中彩加は唾液と涙を飛ばして悲鳴を上げる。大口を縦に破裂させ般若の形相である。
 頬を叩く。
 「ぐう、うーーーーーーーーーー」
 目を見開いて天井を見上げて大口の悲鳴を絞りだす。
 「やめろーーーーーーーー。けいさつよぶぞーーーーーーーー」
 広中彩加は状況を考えず叫ぶ。
 「どうやって呼ぶのだ。えーーーーーー」
 福山哲夫は構わず鞭で内腿の柔らかい皮膚を叩く。
 「ぐう。うー。うーーーーーーーーーーーーーー」
 尋常な痛みではない。そして直ぐに蚯蚓腫れが盛り上がる。やがて赤紫に筋が浮く。
 それが全身痛みを発している。
 「やめてーーーーーーー」
 広中彩加は涙を流して訴える。
 「このSNSを削除する。パスワードを言え」
 福山哲夫は広中彩加のSNSに投稿した店に係わる書き込みを削除したい。
 「嫌よ」
 「そうか。言わないなら」
 福山哲夫は軽トラに用意していた荷物から蝋燭を探した。だが直ぐ出てこない。シャワー設備が完成しているのを確認する。
 広中彩加を縛ったまま浴室に引き摺って行く。
 シャワーの温度を最大にして鞭の蚯蚓腫れだらけの躰に掛ける。
 「ああーー。ああーーーーーーーー。あーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーー」
 強烈な悲鳴になる。
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