【SadoのSM小説】
最期のSM小説家
第二十幕
風俗に流れる女たち
この物語はフィックションであり実在の人物機関とはなんらかかわりがありません。
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二〇二十一年大寒下元。太陰太陽暦十二月二十六日。
(この二十四節気は平気法によるものです)
二〇二十一年二月七日。
緊急事態宣言は一ヶ月延長された。倒産件数はどんどん増えている。失業者はさらに増加する。
最早こっちが緊急事態と言うべきかもしれない。
静岡県宇佐美。如月鬼堂のマンションその居間である。
如月鬼堂は珠洲の送迎で熱海駅から戻ったばかり。テレビ中継が始まっていた。拉致された田中七海のマンションからである。
連続拉致強姦傷害事件。防護服姿六人の犯行と推定されている。
田中七海は生放送に来なかった。まったく連絡は付かない。失跡の可能性は無いとされていた。
館山弁護士他SM愛好会の主なメンバーとテレビ会議も繋がっている。
居間には珠洲と瀬里菜の他に熱海のファッション喫茶の店長荒井枝里が来ている。
田中七海は自宅マンション内から拉致されたと推定されていた。六日の夜二十二時の前後まで知人との通話でマンションに居たと確認されている。
如月鬼堂には田中七海は江田百合愛より酷い拷問が行われると推測が付く。
それは如月鬼堂の様な世界観の持ち主ならあたりまえに感じる事である。
江田百合愛はおとなしい表情の美人顔で可愛いと言える。そして知識人的発言はしない。
その反対に田中七海は女性優位な観点から強く意見を押し出す。
派手な表情の目立つ典型的な美人である。如月鬼堂はこういう女を好まない。
何故かこの犯人グループも同じ意識に思える。
「この人。相当酷い事されちゃうね」
荒井枝里は如月鬼堂の意識を見透かすように言う。
「そうだよ。そんな気がするよね」
珠洲も同じ様に感じとっている。
「緊急事態宣言の最中だ。視聴者が増える事を計算している」
「そうよ。これ相当凄い内容に成りそう」
瀬里菜も周りに同調する。
「先生。それより江田百合愛のノ-カット版が流れ出しています」
杉下一行がテレビ会議で通知してメールで添付して来る。
「驚いたな。この女の人気をアップしようという策だ」
如月鬼堂は思った以上と言いたい。
「でも何の為にこんなことするの。部落の人達と銀行襲ったのと比べると意味が解らないですね」
荒井枝里も犯人の目的に疑問を強くいだく。
「パパもっと大きな事件になると言っていたよね」
瀬里菜は如月鬼堂の先週の発言を思い出す。
「そんな予感がする」
「違うよ。パパもっとはっきり言っていたよ」
「何が起こるかは解らないよ」
「パパの小説ネタに成りそう」
「それ以上だよ」
憶測だけで何処までも謎は深まる。
東京都世田谷区に在る賃貸マンションである。
このマンションは既に家主は建て替え方向で居住者の契約期限切れを待っている。
大方が空き部屋である。
引越し会社の四トン車が止まっていた。夜間の通行量が少ない地域である。
村井美紀子らが運びこんだ一つ下の階。連続拉致強姦傷害事件。その防護服姿の六人は地下室同様の偽装を行った。
田中七海は全裸にされ床に埋め込んだ金属の拘束具で脚首、手首、腹、膝を固定されて大の字に磔られていた。
「この女は潰す。この女の自殺が社会に報じられて目的達成だ」
川口の会長が決意を述べる。
眠ったままの田中七海の躰に溶けた蝋涙を掛ける。
あーーーーーーーーーーーはーーーーーーーーーーーーーーーー」
田中七海から強烈な悲鳴が上がり一気に意識を回復する。
「なにーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーーーー」
田中七海は防護服姿を見て更に悲鳴を強く上げる。
最早絶望である。
気が付いて既に全裸で固定されている。
「あーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーーー。ああはあーーーーーーーーーーーーーー」
蝋涙は容赦なく躰に流される。
「やめてーーーーーーーーーーーーーーーー」
既にカメラが回っていると判る。
「お前は許さない。江田百合愛の様には済まさないぞ」
男らの一人が宣告する。
「なんでよーーーーーーーーーーー。私が何をしたの」
田中七海は有り触れた台詞を言い返す。
「お前のメディアでの存在が気に入らない」
「なんでよーーー。みんなおうえんしてくれているよーーーーーーーー」
「みんなではない。お前は自分のファンだけ見ている。お前を嫌いな奴もたくさん居る」
「そおんあーーーーーーーーーーーー。それでも出演依頼もグラビアも来るのよ」
田中七海はこれだけ反論するがやっとだった。
「それでもこれからお前の無修正AVを作る」
「やめてーーーーーーーーーーーー」
田中七海の声は恐怖に震えている。
「お前は何も残してやらない。クリトリスも膣も焼く。乳首は斬り堕とす。子宮は撤去だ」
「・・・・・・・」
田中七海は恐怖で声も出ない。
「諦めろ」
「ああーーーーーーーーーーん。あきらめられないよーーーーーーーーーー。いやあーーーーーーーーーーーーーーー」
田中七海は半狂乱である。
「どうせ御歳三十路余りだ。お前はもうじき一気に崩れる。辱めるのは今が最後の時期だ」
「勝手に決めないで」
田中七海はまだまだ自分の美貌は続くと自信を持っている。
「最後の美貌崩壊シーンの永久保存版作成だ」
別の男が宣告する。
既に大股開きで固定されている。女の部分も丸出しである。
男は性器を広げる。
「随分使ったな。ドドメ色だよ。遊びまくったな」
「やめろーーーーーーーーーーーー」
「これを公開したらみんなスケベ女と思うぞ」
「はっはっはっはは」
「ふざけるなーーーーーーーーーーーーー。そんなじゃないよーーーーーーーーーーーー」
田中七海は堪らず叫ぶ。
確り撮影してカメラに収められた。
「やめろーーーーーーーーーーーーーーー。撮るなーーーーーーーーーーーーー」
田中七海は無駄と判っても叫ばずに居られない。
「尿意も便意ももう直ぐだな」
「何よ」
醜い排泄を録画されるのは田中七海にも充分に想定できる。
男らは田中七海の股間の下に白いバスタオルを敷く。
「排泄物が良く見える様にな」
このまま排泄すれば白いタオルの上でくっきり映像に浮かぶ。
「利尿剤だ」
男は注射器を持っている。それをお尻に注射する。
田中七海は利尿剤を打たなくても尿意はそこまで来ている。長くは持たないと思っている。
田中七海にここで何を言っても逃れられないことは判る。どうにも成らない恥ずかし過ぎる排泄が社会に公開されてしまう。
田中七海はこれまでばら撒かれた闇動画を見てない。流れて来る噂やSNSの投稿からその恐ろしさは充分に理解できる。
次に別の男が浣腸器を持ち出す。僅か二百CCである。
「分かるか。沢山投入はしない。便が壊れないようにな」
男は目的を態々説明する。
アナル栓は挿入しない。
このまま自然に排泄するのを待つのである。
暫く放置して男らは酒盛りに入った。
静岡県宇佐美。如月鬼堂の居間である。
リビングを嵩上げして造られた囲炉裏端には如月鬼堂と荒井枝里、珠洲と瀬里菜がテレビ会議と報道番組を視聴していた。
囲炉裏の周囲はミニカウンターになっている。その周りが掘られてそこには湯を張っていた。
足湯をして酒を飲む。
ビール、ワインはコーナーに冷たい水を張って冷やす桶が設えてある。
如月鬼堂は麒麟クラシックラガーの瓶をケース単位で取り寄せている。三十年少し前には日本の半分以上のシュアを占めていたビールである。
現在は殆どのスーパーの店頭に無い。酒屋もケース単位の注文となる。
珠洲と瀬里菜はスパークリングワイン。荒井枝里もそれに合わせている。
如月鬼堂は囲炉裏端のミニカウンターにノートパソコンを置いて執筆を続けていた。
寿司屋から出前の大きな桶が届けられキッチンのカウンターに置かれ珠洲と瀬里菜が時々交代で皿に取って如月鬼堂の横に運ぶ。
二人ともミニワンピースで素足のままである。テレビ会議が繋がらなければ全裸か際どい下着姿になる。
報道番組では田中七海がマンションから拉致された事件が検証されていた。
マンションの防犯カメラには犯人と思われる人物は無かった。
カメラに映っていたのは居住者か訪問先の分かる訪問者だけであった。
非常階段から防犯カメラを避けて入ったものと思われた。
付近に怪しい車両も無かった。
この犯人が長距離を移動する方法が判らないと伝えていた。
「江田百合愛の時も移動方法が謎でした」
キャスターはその様に締めくくった。
その後はコロナ関連の報道になった。同じ内容の繰り返しなので如月鬼堂らはテレビ会議の方に対応する。
樽常マネージャーが新しい女性のリスト四名を公開した。
その内三名は大河内税理士と杉下一行が却下した。
残ったのは市川沙耶香。二十九歳。長身で細身。美形の顔である。
「実はこの女もアパレル系の女社長なのです。在庫を処分して休店中です。会社と倉庫の維持費の必要から入店しました」
樽常マネージャーは佐藤栞李の様に一時凌ぎに来ていると断っている。総てコロナの緊急事態宣言の影響である。
来週の予定は武井里美と決まっている。
「どうしましょう。佐東詩織は予約が沢山入っています。間に入れてやってどうでしょう」
樽常マネージャーは資金を急いでいる市川沙耶香を薦める。
「先生。新しい女性の方が会員は期待します。来週を変更しませんか」
大河内税理士はこっちが虐めたいらしい。
「樽常さん。どうでしょう」
「調整します」
「先生。みんな外出制限です。十二日の夜に入れませんか」
確かに飛び石連休だが休んでしまう人は多い。
急遽予定は追加されることになった。
田中七海はアナルに力を入れて踏ん張る。尿意も限界だがまだ出ない。
男らは飲みながら苦しむ田中七海を愉しむ。
アナルから徐々に浣腸液が滲み出る。
すぶーーーーーーーー。
「あーーーーーーーーーーーーーーーー」
突然一気に便が飛び出す。更に浣腸液がずるずる流れ出る。
猛然と臭気が立ち込める。換気扇などは回せない。それでも六人は強力なマスクを着けている。
臭いは田中七海を辱めただけである。
更に小水も噴き上げる。かなり溜まっていてなかなか止まらない。
「あーーーーーーーーーーー。だめーーーーーーーーーー」
田中七海は自分の取り返しの付かない姿が公開されてしまう。それをどうする事もできない。絶望を目前に懊悩する。
女刑事を装って来た。あの女はどうしたのか。後ろに男が居た様に思えた。顔は見なかった。
女刑事を装った女の顔も半分しか見えてない。コロナで皆大きなマスクをしている。似顔絵も難しいのではないか。
あの時立っていたのが女性だったのでドアを開けてしまった。
開けなくても警察と言われて強引に入って来た。それを拒絶はできなかったと思う。
どうしても自分は逃れられなかった。
犯人らは遊びや性的満足だけとは思えない。
何の為に自分は犠牲にされたのか。この先今の排泄が公開されたら。それ以前に性器が公開されただけでもどうにもならない。
男らは排泄物を撮影してその場から退かせる。
田中七海の視界にドリルバイブ、電マ、バイブレーター、ローターが入ってくる。
あれで責められたら。これ以上更に恥を晒す。
男らはクスコを手にしている。
股間一帯をタオルで拭いて更に周りを綺麗にする。
田中七海には気が遠くなる恥ずかしさである。
男らはクスコを膣に挿入する。
「さあ。お前の女の奥も世界に公開だ」
男は螺子を回してクスコで膣を広げる。
「あ、ああーーーーーーーーーーー。やめてーーーーーーーーーーー。いやあーーーーーーーーーーーー」
更にアナルにも開口器を入れられてしまった。
定番通り二つの穴がペンライトで奥まで照らされて録画される。
「入口は遊びまくって使い古しだが。中は薄橙で綺麗だ」
男は態と詰る。
「やめろーーーーーーーーーーー。勝手に決めるなーーーーーーーーー」
田中七海はそんなに沢山に許した覚えはない。自分で慰めた方が多い。色が強くなっているのは自分自身でも分かっている。
こんなのを公開されたら。マスコミに出られないだけでは済まない。もうどうにも生きていられない。
何としても阻止しなければならないがこの状況ではこれまでの被害者と同じことになってしまう。
次は男らの手で膣にローターが挿入された。
中でスイッチが入る。この程度は田中七海にも何とか抑えられる。
男はローターをリモコンに繋がった線を引っ張って入口まで引き出す。それを膣口付近で出し入れする。
「う、ううーーーーーーーーーー。ううぐうーーーーーーーーーー」
この責めの方が厳しい。田中七海は抑えようと踏ん張ったが声が漏れてしまった。
男らは更にローターを追加する。
一人がクリトリスの包皮を剥いて責める。
膣を責めていた男は膣口のローターを指で押し込む。もう一つローターを膣に押し込む。
「あ、あ、ああーーーーーーーーーー。あはあーーーーーーーーーー」
田中七海はクリトリスの責めと合わせてとても抑えられない。
更に膣口にもう一個追加する。
「あーーーーーーーーーー。あはーーーーーーーーーーーー。あーーーはあーーーーーーーーーー」
田中七海は顔を右に左に藻掻く様に躱して逝き声を搾り出す。
「いやあーーーーーーーーーーーー。ああはあーーーーーーーーーー。やめてーーーーーーーーーー。あーーーーーーーー。ああーーーーーーーー」
女の部分のビラビラは男の指で広げられ三個目のローターが膣口で振動している。尿道の亀裂もやや開いてくる。
一気に潮が噴き上げる。
「あーーーーーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーーーーー」
強烈な悲鳴と共に潮が断続的に何回か噴き上げる。
「あはあーーーーーーーーーーん。ああ。ああ。ああ。ああ。はあ。はあ。はあ。はあ。はあ」
田中七海はローターのスイッチが切れて潮が止まっても暫く荒い息遣いを続ける。
「余り時間が無い。手術に掛かろう」
一人の男が半田鏝を持って来る。
もう一度クリトリスを包んだ包皮を指で剥く。
「い、いいやああーーーーーーーーーーー。やめてーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
田中七海はクリトリスを焼かれると分かってまた強烈に叫ぶ。
男らはクリトリスに半田鏝の先端を押し付ける。
「あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。ああ。あはああーーーーーーーーーーーーーーーーーーん」
田中七海の顔からは涙が溢れ出る。
一人が局部麻酔を注射する。
一人がメスを持っている。乳首を抓み上げる。
「いやあーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーーーーーーー」
一人が止血パットを滅菌袋から出して構えている。
注射器を持った男が局部麻酔を打つ。
「あ、ああーーーーーーーーーーーーーー。だめーーーーーーーーーー。やめてーーーーーーーーーーーーー」
田中七海は涙声で泣き叫ぶ。
メスを持った男が乳輪の境目からメスを入れる。血が噴出すのを一気に斬り落とす。
「あーーーーーーーーーーーーー。あはん。あはああーーーーーーん。あはああーーーーーーーーーーーーーーーん」
田中七海は号泣する。
直ぐに止血パットを被せる。
最後に子宮を摘出してホルマリンの入ったガラス瓶に入れて横に置く。
局部麻酔だけで全身麻酔は掛けない。床にベルトで固定したまま放置する。
男らは便の載ったバスタオルと田中七海を固定したベルトと床に打ち込んだ螺子以外全部回収する。
運送トラックのカメラが周囲を見張っている。
安全を確認してマンションを出る。裏道から運送会社を偽造したトラックで引き上げる。東京を出たところで偽造ナンバーを交換する。
Nシステムを避けて帰還した。
直ぐに田中七海の動画を闇サイトからアップする。
それが短い間に瞬く間にダウンロードされる。
今回はマンションから拉致されたらしいとの報道で待ち構えている者も多かった。
蛇の道は蛇で杉下一行も直ぐに取得して主なメンバーに転送した。
今回は動画に田中七海の居場所がはっきり最後に表示されている。
そしてさらに今回は動画の最後に『社会に報復お手伝いします』とロゴが流れた。
早朝なので警察が内容を確認するに時間が開いた。
先に少年らがその場所を知って進入した。
全裸で床に固定さ田中七海の前に少年三人が立つ。少年らは窓を開けて外の光を取り込む。
田中七海の恥ずかし過ぎる姿が白昼に晒された。
少年といっても十八くらいにも見える。
少年らは構わずスマホで写真を撮る。
「だめーーーーーーーーーーー。やめてーーーーーーーーーーー。これを解いて」
さすがにそれ以上はできなかったのか少年らは写真を撮っただけで出て行く。
警察はそのあと暫くして到着した。
少年らは既に写真をSNSにアップしていた。
場所が世田谷のマンションというだけでまた衝撃が奔った。
翌朝十時を過ぎて如月鬼堂は杉下一行からのメールを確認した。
既に館山弁護士からテレビ会議のコールが入っていた。
「犯人は遂に目的を示しましたね」
「そうか」
如月鬼堂は直ぐに動画を開く。
ワイドショーでもこの部分が取り沙汰されていた。
「この犯人らは自分らの趣味や満足ではないな。この女を潰すだけの作業だ。そして社会に衝撃を与える狙いだな」
如月鬼堂は動画の内容からそう思う。
「犯人らは大田正勝の様な報復目的を探しているのですね。今は標的が無いから社会を騒がせているのでしょう」
「しかし。この女に恨みが有る様なやり方だ」
「犯人らの音声は消されています。被害者から犯人らの会話の証言も無いのでしょうかね」
館山弁護士は証言が有って警察が出さないと見ている。
「警察は何も掴んでないと思うがな」
如月鬼堂はまったく捜査の進展が無いと見ている。
「今回、埼玉、群馬、奈良、本庁まで捜査に加わります」
「東京都内でやったからな」
「本庁を合同捜査に巻き込まないようにしていると思っていましたが。堂々と東京でやりました」
「警察への挑戦とも思えないが」
如月鬼堂も犯人の真意はまだ読みきれていないらしい。
だが『社会に報復お手伝いします』の文言から何か大きな事件を狙っていることは如月鬼堂の想定通りである。
田中七海は救出され病院に搬送され入院した。何とか女性の似顔絵だけ作成されそっちの捜査が開始された。
似顔絵はマスコミに公開されたが付近の防犯カメラなどからは該当者が見つからなかった。
田中七海はマスコミからのインタビュー要請は拒絶した。
コメンテーターらは組織が大きいという見方は否定しないが、刑事に扮した女を詐欺の受け子のような存在と推定する。
これまでも何回か使われているのではないかとも憶測された。
如月鬼堂も同じ考えである。
市川沙耶香のオンラインによる開催は十二日と決まったが、市川沙耶香はさらに一回分の急場資金を希望した。
ショーの前に会員には付けられない。大河内税理士が引き受けることと成った。
如月鬼堂は業界で長く働く意志のないこの女にまったく興味が沸かない。
市川沙耶香は豊洲のプレイルームに二十二時に来た。
樽常は佐藤栞李の失敗を考慮して市川沙耶香を厳重に教育した。
市川沙耶香は他のクラブに行っても稼げないことを知っている。他に自分の会社を救う手段は無い。
緊急事態宣言は何時まで続くか分からない。解除になっても直ぐに経済は回復しない。
会社を存続するだけで一千万くらい投入しないと追いつかない。
在庫はバッタ売りと通販で運転資金に換えている。通販も赤字販売するしかない。旬な時期にコロナの影響で売れなかった商品である。
銀行融資の返済は利息のみ。元本は据え置きになっている。
従業員は殆ど解雇した。残したのは通販に必要な二名だけである。
今夜は風俗に始めて出る初日。覚悟を充分に決めて来たつもりだが躰も心も震えている。
樽常マネージャーから注意を受けて更に不安になった。佐藤栞李の話は他人事で済まない。
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