【SadoのSM小説】
最期のSM小説家
第九幕


世界恐慌前夜のSM愛好会


この物語はフィックションであり実在の人物機関とはなんらかかわりがありません。
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 二〇二十年小満上元。太陰太陽暦閏4月である。
 (この二十四節気は平気法によるものです)
 六月まだ関東は梅雨入りしてない。
 新型コロナの自粛。その挙句大型台風大雨さらに猛暑の予測である。
 如月鬼堂のマンションでは太陽光発電。電気料金の掛からないクーラーがドライで稼動している。
 マンションから双眼鏡で越後湯沢の駅を見ても人影は殆ど無い。
 日本料理店がミニ会席の出前を運んで来た。三人前で七千五百円を払って瀬里奈が受け取る。
 火の無い囲炉裏端で足湯を入れてビールを飲みながら食事をする。
 テレビ会議に連絡が入る。如月鬼堂の編集担当である。
 「原稿はメールで転送したよ」
 「はい。ありがとうございます。一人取材と撮影をお願いします」
 「取材で撮影もやってしまうの」
 「いいえ。古民家を借り切っています。今回からスタッフの緊縛ではなく。鬼堂先生の取材とセットにします」
 「誰が決めた」
 「社長と雨蔵です」
 「経費節減ですかな」
 「いいえ。鬼堂先生監修にして人気を加速しようと言うことで。今回からプレイ代差額もありません。撮影で総てお持ちします」
 「判った。何時やる。場所は」
 「飯山市内で千曲川の見える古民家です。日にちは調整中です」
 編集の小川綾香は如月鬼堂の了解をほぼ強引に取り付ける。そのままテレビ電話を終了した。
 「大宮の方は落ち着いたか」
 如月鬼堂は珠洲と瀬里奈に確認する。
 「臨時増員で落ち着いたよ」
 「そうか」
 「パパこっちの売上は伸びているよ」
 「そりゃあ。増員したのだ伸びないでどうする」
 「ううん。もっと儲かっているよ」
 「その分。熱海と長野、生駒に消えているよ」
 「でも、もう営業再開したでしょう」
 「そりゃ再開しても」
 「荒井さん。前と違って愛好会の会員が増えたからそれだけでも違うって言っていたよ」
 「熱海はな」
 「そうおうー。大丈夫よパパ」
 瀬里奈は楽観している。それも一理ある。新型コロナ自粛で書籍の販売が増えた。瀬里奈はその数字をいち早く見ている。
 電子書籍も伸びている。だがそれだけでは駄目である。紙の需要はシニアにまだまだ根強い。
 
 如月鬼堂は原稿が渡し終わったので長野に向かった。珠洲と瀬里奈も一緒である。
 如月鬼堂が思ったより長野でさえ客が入っていた。見た事がある会員が何人か仲間を連れて来ている。
 目が合えばどの席も向こうから挨拶する。
 店長が席に来る。
 ホステスは珠洲と瀬里奈が居るので如月鬼堂の席は配膳だけで長居はしない。
 「どうだね」
 「結構回復ぎみです。会員の方が増えました」
 「熱海もそうらしい」
 「ところで大河内先生からですが。私らの給与が足りない分と家賃の貸付分は先生の方で放棄と言うことらしいですが」
 「そうらしい。店が赤字なので借金が減っても税額は出ない。こっちは損金処分が出来る。税金面ではそれで問題ないらしい」
 「左様で」
 「まあ。いろいろ我侭な人だが大切に扱って下さい。税金面では大変お世話に成っています」
 「かしこまりました」
 「まったく住民税が一番馬鹿らしい。自治体から我々の恩恵はゴミの処理しかない。それがゴミ袋有料では合わんよ」
 如月鬼堂の愚痴である。そしてアメリカの州一個分の国に態々自治体は要らないと思っている。
 もちろん区役所、市役所は要る。国の直轄で良いと言う究極の合理的な考えである。
 そのまま三名で熱海に向かう。新幹線東京乗換え一時間半で着く。
 瀬里奈の聞いていた通りこっちもそれなりに盛況である。
 その日は久々に宇佐美のマンションに泊まった。翌日は生駒まで行く。
 「どおパパ。それなりに儲かっているでしょう」
 「そうだな。愛好会は利益無しだが。えらい宣伝効果だ」
 「パパ成功しているじゃない。良かったね」
 珠洲が安堵を確認する。
 「そうだな。みんな応援してくれているよ」
 如月鬼堂も海の見える露天風呂でビールを飲みながら安堵する。
 雨蔵編集長から取材と撮影の日を6月7日と言って来た。
 「全く中国の細菌兵器で大損を食った」
 「パパ。駄目だよ。それ言っちゃ。トランプって言われちゃうよ」
 「トランプ大統領をそう言ってしまうのも問題だぞ」
 「うーーん」
 珠洲は首を傾げる。
 「それにパパは損害と利益がどっちもだよ。パパはそんなに損してない」
 瀬里奈ははっきり言い切ってしまう。
 翌日は熱海から新幹線で新大阪に降りてタクシーで難波に出る。近鉄快速急行で生駒に向かう。
 生駒を大阪奥座敷と言う者もある。だが生駒新地とも言う。ケーブルの途中駅を降りて観光生駒のゲートを入った旅館街の事である。
 如月鬼堂の店は生駒駅からやや離れた街の中にある。大型スーパーの店舗を買い取った。建物はそのまま中を改造しただけである。
 熱海の前の店長が此処に移った。もとより関西人である。こっちの土地柄が合っている。
 SM愛好会に大阪の会員が増えてこっちもそれなりに盛況である。
 如月鬼堂は新型コロナの損害が最小限に済んだ事で安堵した。
 「ねえ。パパ。感染がぶり返してもう一回緊急事態宣言が出て自粛に成ったらどうなるの」
 珠洲が厳しい疑問を突く。
 「今度は補償無しで従わない店舗は増える。こっちも自粛では従わない。売上全額補償を主張する」
 如月鬼堂の腹は決まっている。
 
 7日朝。珠洲と瀬里奈を連れて飯山に向かった。大道具は前日出版社が搬入している。
 高崎乗換え北陸新幹線あさまで向かう。
 女は芳原亜美と言う。今回は真性奴隷女の館の所属の女ではない。六本木ジギルの館所属である。
 古い日本家屋である。柱や鴨居に吊るしの出来る場所はない。天井に鉄パイプを組む。
 グラビア、レポート兼用。グラビアには縛りの妙技が求められる。性器を出さないでどこまで痴態を表現出来るかである。
 既に全裸で撮影スタートする。躰を見て縄映えはしそうである。
 いくつか撮影用の縛りを行った。そこまでは責めは無い。縛りだけである。
 続いてレポート用のプレイを兼ねた撮影に移る。
 今度は土間全体に渡した鉄パイプと壁に吊るす様に磔る。太腿が細く股間に隙間があるので縛り易い。
 パイプ椅子に座らせて手首と肩で鉄パイプから吊るす。脚首、膝、太腿に縄を掛けて鉄パイプからV字開脚に吊るす。
 その段階でパイプ椅子を退かす。
 女の部分もアナルも丸出しに成る。
 ドテの黒い塊は僅かに股間に咲いている。
 如月鬼堂は腰にミニ褌の紐を巻く。ミニ褌は幅五センチ長さ十五センチくらい。僅かに局部だけを隠す。後ろに巻かず吹流しである。
 この体勢で浣腸する。
 「ええーー」
 芳原亜美は浣腸器を見て拒絶気味である。浣腸されるのはSMでは仕方ない。だがこの体勢では辛い。
 如月鬼堂はスタッフに浣腸器とアナル栓を渡す。
 氷を入れて冷やした石鹸液が運ばれる。
 芳原亜美の表情は恐怖に凍り付く。
 スタッフは褌を避けてアナルに差し込む。目的は浣腸ではない。ローターの二穴責めである。
 「ううぐううーーーーーーーーーーーー。うぐうーーーーーーー」
 芳原亜美は究極の腹の痛みに悶え苦しむ。
 それでもスタッフは浣腸液を入れ終わるとアナル栓を捻じ込む。
 「ああーーーーーーー。だめーーーーーーーーーー」
 芳原亜美は既に痛みの限界である。
 吊るされている腕で掴んだ縄を強く引っ張る。そして躰を捩って藻掻く。
 スタッフは透明な大きなボウルを芳原亜美のアナルの真下に置く。
 「もういいでしょう」
 如月鬼堂の指示でスタッフはアナル栓を抜く。
 「ううーーーーーーーーーーー」
 一気に茶色い水が流れ出す。便は殆ど出ていない。腸カテーテルを使って中をもう一度洗う。
 「うぐうーーーーーーーーーー。ううーーーーーーーーーーーー」
 苦しむ芳原亜美の表情を散々納めて次のプレイに移る。
 アナルにローターを一つ入れる。如月鬼堂が膣から指を入れる。リモコンの線を調整して膣側から位置を決める。
 膣には二つ入れる。
 如月鬼堂は褌の上から四つ目のローターでクリトリスを責める。
 「ああーー。ああーーーーー」
 芳原亜美は直ぐに反応する。
 逝きかけて眉間にやや皺をひくひく刻む。口を開けて官能の声を漏らし続ける。女の顔の一コマごとの表情を取る。グラビアはその中から選ぶ。
 股間はひくひく揺れている。やがて褌の内側から潮が流れ出す。褌に当って褌の先端から流れ落ちる。なかなか隠微な光景である。
 これもグラビアページと成る。
 蝋燭が準備されている。太めの真っ赤な蝋燭だがSM用でそれ程熱くは無い。それを口径の丁度良いグラスに入れて中で溶かす。
 ローターを抜き取ると膣液が一緒に流れ出す。芳原亜美には効果が強かったようである。
 如月鬼堂は褌を解く。
 股間の黒い塊は大方が処理されている。電気剃刀で一気に僅かな塊を剃ってしまう。
 芳原亜美の股間部分の皮膚に大きな色の変化は無い。
 如月鬼堂は閉じ合わせたびらびらの上から溶けた蝋涙を流す。女の部分のびらびらは真っ赤な蝋涙に包まれる。
 「ああーーーーーーーーーー。はあーーーーーーーーーー」
 芳原亜美は一気に甲高い悲鳴を上げる。眉間に強い皺を刻む。大口は縦に破裂する。
 二本目は右の乳首を狙って乳房全体に流す。乳房も真っ赤な蝋涙を被る。
 「ああーー。はあーーーーーあーーーーーーーーーー」
 目を瞑って顔を叛ける。
 「はあ。はあ。はあ」
 腹をひくひくさせて荒い息遣いを続ける。
 如月鬼堂は三本目を手にする。
 芳原亜美は悲鳴を上げる寸前の様な表情でそれを見る。
 左の乳房に流す。
 「あーーーー。ああーーーーーーーー。はあーーあーーーーーーーーーーー」
 悲鳴を漏らして辛そうに顔を叛ける。
 「はあ。はあ。はあ」
 腹をひくひく躰を震撼させる。
 四本目をドテに被った蝋涙の上から流す。
 「ううーーー。あはあーーーーーーーーーーーん。はあ。はあ。はあ」
 芳原亜美は泣きそうな表情を叛けて堪える。
 蝋涙が性器の周りを覆ってもう修正は要らない。蝋涙はドテから会陰まで被っている。
 五本目をV字に広げられた艶かしい太腿に流す。
 「あーーああーーーーーーーーーーーーーーーーーー。あはあーー。はあ。はあ。はあ」
 芳原亜美は泣きそうな顔を振って悲鳴を漏らす。
 もう片方の太腿にも流す。
 「はあーーーーーーーーー。あはあーーーーーーーーーーー。はあーー。はあ。はあ。はあ」
 躰を震撼させて辛そうな表情を曇らせて悲鳴を漏らす。悲しそうで実に美しい悲鳴である。
 如月鬼堂は鞭を持つ。先端が四角いチップの付いた一本鞭である。
 右の乳房の蝋涙を一気に小刻みに連打して割る。
 「ううーーん。ううーー。ううーー。あーーーーーーーーー。あはん。あはん。あはん」
 泣きそうな表情で強く口を閉じて震えながら身を硬くする。その口を割って悲鳴を轟かせる。
 股間を叩く。
 「ああーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 芳原亜美は首を擡げて目を見開いて眉間に皺を刻む。豊麗線を強く刻み口を縦に割って甲高い悲鳴を上げる。
 さらに強く叩いて蝋涙を割る。粘膜も強く叩かれる。
 「ぐうおおーーーーーーーーーーーーーーーー。ううおおーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 躰は震撼して強く藻掻いて悲鳴を絞りだす。
 まだ蝋涙は残っている。それを叩く。
 「ぐう。う。うーーーーーーーーーーーーー。ううーーーーーーーーーーーーーーー」
 細く瞑った芳原亜美の目尻に涙が滲み出る。
 「あは。はあ。はあ」
 女の部分のびらびらを鞭の先端の部分で覆う様に叩く。
 「あはあーーーーーーーーーーーー。うおおーーーーーーーーーーーーーー。おーーーーーーーーー。はあ。はあ。はあ」
 悲鳴と共に涙が一条流れ落ちる。
 芳原亜美の涙と悲鳴の坩堝を繰り返して蝋涙を総て叩き落とした。
 一度吊るしから降ろす。シャワーを使って躰を調整してもらう。古い民家なのでシャワーは外付けを持ち込んだ。
 肌理の細かい肌を濡らして拭くとその美しさが際立つ。
 今度は高手小手に縛って板の間に寝かせる。
 縄を二本に折り二重にして太腿の付け根を縛る。その縄に同じ様の二重にした縄を通す。その縄を五十センチ位の辺りで一回縛り合わせる。
 天井から下がった滑車のフックを下げる。その縄をフックに掛けて少し下で縛り合わせる。
 反対側も同じ様にする。
 左脚は脚首に縄を掛ける。右脚は太腿と脹脛を重ねて縛り合わせる。
 太腿を吊るした二系統の縄は一個のフックに引っ掛かっている。
 スタッフが二人で芳原亜美の躰を抱える。如月鬼堂が滑車を引き揚げる方の縄を引く。芳原亜美の躰は股間を大きく開いて逆さ吊るしになる。
 左の脚首の縄を壁のフックに引っ掛け縛る。左脚は逆さ吊るしのままくの字にやや折れて横に伸びる。
 右脚は縛り合わされたまま横にぶら下がる。
 股間は大きく広がっている。女の部分のびらびらはやや唇を開く様に広がる。ピンクの部分が露出する。
 女の伸ばした脚と折った脚の脚線美がそれぞれ美しい。
 高手小手に縛られて突き出された標準サイズの乳房。これも下からその艶かしさを見せている。
 この状態で女の部分にクスコを上から差し込む。
 「あ、ああーーーーーーー」
 アナルも開口器で広げる。
 「ええーーーーーー」
 生花が水槽で運ばれる。
 スタッフが長さを整えてクスコとアナル開口器に挿してゆく。
 逆さ吊るしの芳原亜美の股間に生花が飾られる。実に美しく隠微極まりない逆さ吊るしである。
 撮影はこれでOKだが如月鬼堂はこれだけでは赦さない。
 逆さに成った内腿に毛虫を載せる。
 「いやあーーーーーーーー。なにーーーーーーーーーー」
 芳原亜美は皮膚に載った感触だけで悲鳴を上げる。
 如月鬼堂はしゃがんでピンセットで抓んだ毛虫を見せる。
 「いやあーーーーーーーー。だめーーーーーーーーー。だめですーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 芳原亜美は狂った様に叫ぶ。
 でも如月鬼堂は赦さない。
 次は蛭を抓む。
 「あーーー。なにーーーーーーーーーーーーーーー」
 芳原亜美は恐怖の表情を破裂させて叫ぶ。
 如月鬼堂は蛭に会陰の血を吸わせる。
 「あーーーーーーーー。あーーーーーーーーーー。いーーやあーーーーーーーーーーーーーーーー。いやよーーーーーーーーーーーーーーー」
 芳原亜美はサイレンの如く叫ぶ。
 「ああーーああーーああーー。いやあーーーーーーーー。もうだめーーーーーーーーーー」
 躰はぶるぶる振るえ涙をポロポロ溢す。
 これで終了である。プレイよりは短い。
 
 越後湯沢の如月鬼堂のマンションである。
 愛好会の主なメンバーの集会に成っていた。二フロア分の高さぶち抜きのリビングである。囲炉裏端の足湯に浸かって酒を酌み交わす。
 市内の割烹店からミニ会席が人数分届けられた。囲炉裏端は完全に三蜜状態である。だが全員怒りに滾っていた。
 如月鬼堂はカウンターに離れている。珠洲と瀬里奈はカウンターの内側に入っている。
 本日は会員の医師もいる。
 「先生。もういい加減にしてもらいたいですな。まだ夜の街に休業要請を掛けようとしていますよ。これじゃ風俗と夜の街が壊滅だよ」
 大河内税理士は怒っている。
 日本酒の瓶を抱いて冷酒で少し酔っている。
 大河内税理士の怒っているのは愛好会の自粛だけではない。風俗業や夜の店の倒産、廃業による客の減少である。
 「大河内先生。うちはもう休業要請に応じませんよ」
 如月鬼堂はきっぱり断言する。だが都内や大阪、神奈川、千葉、埼玉ではない。休業要請は解除されている。
 「私もそのつもりで行きます。一ヶ月でも苦しいのに僅かな補償でそれもなかなか振り込まれない。これ以上は休業要請ではない。実質廃業要請です」
 福富麻次郎も断言する。
 「館山先生。集団訴訟出来ませんか。2月に遡って売上の前面補償です」
 大河内税理士は怒りの限りぶちまける。
 「いつでも対応しますよ。たくさん集れば弁護団を組織します」
 館山弁護士はやぶさかではない。
 「樽常さん。あんたのところもやるだろ」
 「いいえ。うちは無理です。実質営業していましたから」
 「そう言えばそうか」
 大河内税理士もさすがに無理と諦める。
 「廃業、倒産した店にも損害賠償の訴訟を呼びかけませんか」
 福富麻次郎の提案である。
 
 これはもう。此処は日本なのかという事件が起きた。
 香港、アメリカのデモ暴動のようなことは日本では起こらない。
 小さなデモは形だけ起きてもマスコミ報道が過剰なだけである。略奪、暴動など無縁と言える。
 これは陰湿そのもの。闇社会が突然発生した事件である。
 それは本来から風俗嬢ではない女性を騙して行われた。異なる風俗業の従業員、スカウト、オーナーが集って計画された。
 今から四十年少し前ソープランドをトルコと言った。それにちなんでマンショントルコと言うのも有った。
 その名称を応用した。七十を超えたオーナーである。
 全員が風俗業で職を失った者ばかり。新型コロナ自粛要請で客が激減または休業要請で倒産した犠牲者である。
 新型コロナの影響で金が必要になった女を誘った。
 マンショントルコと説明した。少しハードにさせる。高い金になる風俗と持ちかけている。名前の通りマンションで行う。
 客は極秘作成のリストから営業した。
 本来風俗業に客のリストは無い。だが携帯、スマホから予約連絡が入る。極秘にリストは作れる。
 経済力が高く遊び好きなマニアの客だけをコレクションして来た。それが今回効果的に使われた。
 営業そのものが違法、極秘である。そして売春以上の内容となる。客の営業勧誘も女性の確保もその道の猛者であった。
 最終的に女に金は払わない。最初から証拠隠滅処分が予定されていた。三名は一挙に稼いでコロナの渡航禁止が明けたら海外逃亡を予定していた。
 まずスカウトが行き詰まった女を見つけ出してスカウトする。一回限りの風俗である。
 客はそれぞれが連れて来る。選りすぐった異常快楽主義者である。
 メニューからハードプレイを選ばせる。
 SEX、SMは当然。身体の一部を破壊するプレイを含んでいる。
 医者が居て整形して直す前提と成ってはいる。一回五百万である。それでも異常思考が滾っている輩には安い。
 そんな輩を探すのはこの連中には正に蛇の道は蛇である。
 お客に女は選ばせない。この女でどうですかと持って行く。この方が確実なのである。もとより嗜好は理解している。当らずとも遠からずである。
 八人までスカウト出来た。
 一人準備して客に営業する。始めたのはGW空けである。
 スカウトは風俗業の自粛で収入を失った。それまでにも借金している。自宅を夜逃げして来た。
 そのままオーナーが買い取ったマンションに逃げ込んだ。
 オーナーは店舗の維持が困難に成った。ソープを何店舗か持っていた。地べたを持っている会社に返すしかなかった。
 店舗ごとに別会社にしていた。店長は代表取締役という名の使用人である。バンスを多額に働く女性に貸し出していた。
 二月以来その元が取れない。
 地べたを持つ会社に待って貰えていた。だが従業員の維持はおろか女性も維持できない。その他諸々に大きな出費もある。
 一月には門松一店舗三百万支払っている。その手の出費が賄えない。
 オーナーは無期休業として店舗を返還した。建物、設備、看板も借りていた物である。
 残る一人は樽常の様なSMクラブのマネージャーである。SMクラブを解雇された。その先はママが一人でやるとの事である。
 温泉地の捨て値で売り出していたリゾートマンションを二つ買い取った。登記はまだ行ってない。稼ぎが済んだらこれも放棄する。
 登記しなければ数十万である。持主は早く手放して固定資産税から逃れたい。
 一つの部屋がプレイルーム。一つは控室件手術室で三人とも期間中此処に寝泊りする。
 客はオーナーとマネージャーが持ち寄った。女はスカウト任せである。
 医療設備は自宅であった医院から運び込んだ。外科医であった事が幸いした。
 切羽詰った女性である。レディース金融が貸さなかった者ばかり捕まえてスカウトした。
 医療設備を見せて女を安心させる。直ぐにリストから客に営業する。客とはオーナー又はマネージャーのどちらかに面識がある。
 客の情報は終わり次第処分する。
 全部終わって逃げる段階ではパソコンも営業携帯の磁気デスクも処分する。
 まずゴーストと言うソフトでデータを消去する。
 さらにそれを溶解処分する。
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