【SadoのSM小説】
最期のSM小説家
第八幕


SM嬢で一時凌ぎの女


この物語はフィックションであり実在の人物機関とはなんらかかわりがありません。
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 二〇二十年穀雨上元
 (この二十四節気は平気法によるものです)
 自粛延長で如月鬼堂の越後湯沢のマンションではテレビ会議が行われていた。四十八インチの画面に駒割して参加者全員が表示される。
 飲みながらのつれづれな会議である。
 リビングに居るのは如月鬼堂の他に珠洲と瀬里菜。そしてミニチュアダックスのぺーが動き回っていた。
 「いつまで延長しても解決にならないぞ。この際アビガン市販して集団免疫に切り替えたらどうかな」
 大河内税理士は愛好会のショーができないのが不満である。
 「でもオンライン店舗。結構好評です。女の子の収入が通常営業の八割前後まで確保出来ます」
 荒井枝里も参加していた。今は熱海の店長である。
 女の子は出勤する。テレビカメラ付き個室が升席の裏側に設営された。インターネットを通しても客と二人だけである。
 完全に合法なサービスができる。触れないだけが今は我慢。一対一なので濃厚な会話と局部まで公開できた。
 「ほう。あんたの給料も出るのか」
 「えー。私とボーイさんは先生から生活保護されています」
 荒井枝里は控えめに柔らかく言ったつもりである。
 「単身者の生活保護は十三万だよ。あんた足りないだろ」
 大河内税理士は知らないが荒井枝里は単身者ではない。
 「えーー。もう少し戴いています」
 荒井枝里はつい発言が緩んでしまった。
 「そうか。わしらはこのまま自粛が続いて客が倒産したら税金はそれまでだが、わしらは売り上げ激減だよ」
 大河内税理士は荒井枝里に八つ当たりである。
 会社が倒産したら税務署はあっさり諦める。だが大河内税理士の報酬もなくなる。
 「大河内先生収入が減るのはお互い様ですよ」
 館山弁護士が宥めた。
 「先生それは違います。倒産が増えても破産手続きとか逆に儲かりませんか」
 館山弁護士もとばっちりと黙ってしまう。
 「人気お笑いタレントが言うてましたな。コロナの自粛が治まったら可愛い子が一時的にお嬢になる。期待できますか」
 「そんな余地はありません。自粛が解除になっても売上は直ぐ回復しません。在籍の女の子だけでも収入確保が難しいです。新人の余地はありません」
 今度は荒井枝里が怒り反論する。
 「でも自粛解除したらお客は怒涛の如くでしょう」
 大河内税理士は他人の職業には見解が甘い。
 「そんなことありません。先生のお客が倒産と仰るように今は収入の高い人まで破綻しています。お客はコロナ自粛以前より減ると見なければなりません」
 荒井枝里はさらに怒り反論した。
 「その通りですね。一般女性の非難とは違いますが、風俗業界として一時的に一般の女性がお嬢になる余地はないです。現実にそぐわない発言です」
 福富浅次郎も荒井枝里と同じ見解を示す。
 「コロナの感染で有名人の死者も出た。だが月ごとの例年の死者数は増えてない。やや少ない位だ。だがこの先に恐慌が来る。その自殺者は膨大だよ」
 如月鬼堂が見解を示した。
 「そうですね」
 館山弁護士も認める。
 「それでは鬼堂先生。愛好会の参加者もSMクラブの営業も減りますか」
 「愛好会はショー以外の会費がないので会員数は即座に減らないです。でも愛好会の当日参加者は減ります」
 如月鬼堂もきっぱり予測していた。
 「このまま行くと世界恐慌ですか」
 大河内税理士が追求する。
 「それは確実に来ます」
 如月鬼堂は断言してしまった。
 「どうしたら回避できたのでしょう」
 館山弁護士の問いかけである。
 「国が売り上げベースで保障をするしかなかったのです。風俗業に至るまで全部前年度実績での保障です。それに個人の給付十万を数回です」
 如月鬼堂はこのグループの範囲ならと構わず語る。
 「でもそれは国が未来に大きな借金を作る。後の世代に借款を残すのが良くないと言われています」
 これも館山弁護士である。
 「税金は使わないのです。フランクリンはニューディールの時、新規増紙幣を制限しないと宣言しました。これは増紙幣で賄うべきです」
 もとより税金で賄える範囲は超えている。
 「それでは日本円の価値が一気に下がりますよ」
 今度は大河内税理士である。
 「どうせ世界恐慌になります。今なら問題ないです」
 なんと如月鬼堂は断言してしまう。
 「そうかもしれないですね。日本のことしか考えない結果になりますが」
 大河内税理士も納得する。
 「どっちにしても大方の倒産、廃業が目前です。廃業と言っても多額の借金は残ります。そう言う政府の決断が欲しかったですね」
 福富麻次郎も同調してしまう。
 「ところで月明けには愛好会を開けませんか。もう自粛も終わるでしょう」
 大河内税理士はなんとしても開きたい。
 「長野でも店舗での開催はまだ無理でしょう。前回同様になりますよ」
 如月鬼堂は乗り気ではない。
 「鬼堂先生のプレイルームで十人位は参加できませんか。残りは前回通りスタジオから動画配信です」
 大河内税理士の提案である。
 「椋木美弥さんの様に皆がオンラインで納得してくれたらですね。女性をノミネートしてから参加の確認を取りましょう」
 「お願いします」
 他のメンバーも納得した。
 主力メンバーで行って撮影も兼ねることになる。医師もメンバーに入っている。
 あとは樽常マネージャーが生贄となる女を探すだけである。
 
 恐ろしい立て篭もり事件が起こった。
 コロナ自粛で収入を失う。その上ステイホームの不満が溜まった花火師の犯行であった。
 自粛警察と報道されやりすぎをマスコミが咎めている。だがそれは自粛を守ろうと言うのではない。鬱憤の溜まった輩の暴走なのである。
 この事件は自粛警察などではない。補償がない自粛への怒りの暴発である。
 勤めていた煙火店がイベントの自粛要請で花火の膨大な在庫を抱えて廃業してしまう。この花火師はその在庫の一部を持ち出した。
 どこかで大量に取得したメールアドレスに配信される。それはSM拷問動画の配信であった。
 女はローカルなグループアイドルの一人である。鵜内理紗という。鵜内理紗は自粛中コンビニの帰りにミニバイクを倒されて拉致された。
 車の通行の少ない法面の切れたところで幅寄せされて畑に倒されてしまう。
 花火師は鵜内理紗にクロロフォルムを嗅がせた。そのままキャンピングカーに乗せて運ぶ。
 殆どの者がメールを開かない。メールを開いても動画はクリックしない。それでもSM拷問動画と判って開いてしまう者も居る。
 それでも大概は内容を犯罪の中継動画と知っても通報まではしない。
 僅か数人の通報者が居た。それは常識的な人間ではなく何処かずれた人間の場合が多い。だがこの場合は正しく役割を果たした。
 結果は如何ともしがたいが通報者らに責任はない。
 既に仕掛けは作られ警察の突入に備えて充分に準備をしていた。
 送られて来たメールにはURLが三本掲載されている。
 一本目は『動画をダウンロードして下さい』と記載がある。これは動画ファイルの録画であった。
 二本目は『これは中継です。二〇二〇年五月十五日十九時に始まります。』と書かれている。メールの配信から三時間後である。
 三本目は『総て終わったら見て下さい』と書かれていた。
 動画は拷問から始まる。
 花火師はマスクとサングラス。黒いズボン黒いシャツ。概観から人物を特定するのはやや難しい。
 花火師は最初に以下のような文言を流していた。
 『これは立て篭もりだ。俺が誰か分かるか。此処が何処か判るか。早く救助しないとこの女は死ぬ。
 女は鵜内理紗と言う。ローカルなアイドルグループの一人だ。
 警察はこの拷問場所を見つけて突入しないと次の動画中継の三十分後にこの女は死ぬ。
 俺の逮捕も不可能になる。』
 テロップの後ろは鵜内理紗が全裸で眠らされたまま縛られている。
 花火師は鵜内理紗をビンタした。
 「ううーー」
 さらに叩く。
 「なに。何処。此処は」
 意識を戻した鵜内理紗は辺りを見回し疑問を投げ掛ける。
 「どこだろう。お前を拷問する」
 花火師の声は抑揚がない。
 「何でよ。これを解きなよ」
 鵜内理紗は強く抗議する。
 花火師はそれを無視して鞭を手にした。乗馬用の一本鞭である。竹刀も壁に立掛けてある。
 丸出しの乳房を薙ぐ。
 「うおーーーーーーーーーーーー。やめろーーーーーーーーーーーー。こらーーーーーーーーーーーーーー」
 鵜内理紗は痛みに悲鳴を上げ怒り叫ぶ。
 花火師は乳首に狙いを定めて乳房を薙ぐ。乳首もろとも陥没するように鞭がめり込む。
 「ぐおおーーーーーーーーーーーーーーーーー。ううーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。やめ、ろおーーーーーーーーーー」
 鵜内理紗は痛みの強烈さに顔を強く振る。口を斜めに破裂させて声を絞り出す。悲鳴から叫び抗議になる。
 鵜内理紗の躰は壁からやや離れた柱に縛られていた。内部は古い民家の様である。床は板張りではなく絨毯が敷かれている。
 花火師は容赦なく乳房を薙ぐ様に叩き続けた。
 「ぐうおおーーーーーーーーーーーー。ぐおーーーーーーーーーーーー。ぐうおーーーーーーーーーーーーーーーー」
 鵜内理紗は髪を振り乱し顔は脂汗に塗れる。
 乳房は既に鬱血が数箇所に滲んでいた。動画からもそれが鮮やかに確認出来る。動画の解像度は高い。
 腰から下は膝と脚首の二箇所で柱に磔状態である。腕は柱の後ろで手首と肘で縛られている。
 ウエストにも縄が掛けられていた。股間は膝を揃えても隙間ができる。土手の黒い塊の下に閉じ合わせた女の部分の粘膜の先端が僅かに覗く。
 花火師は竹刀に持ち替える。
 今度は太腿を薙ぐ。肌理細かい白い肌が艶かしい。綺麗な太腿である。竹刀は強烈に叩き付けられた。
 「うごおーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 鵜内理紗は縛られた膝を揺すって大口で悲鳴を轟かせる。
 花火師は竹刀も十数回叩いて鵜内理紗の太腿を鬱血だらけにした。
 警視庁が捜査に入っているが日本の何処かは判らない。女性の生命に危険が迫っていることだけは確実である。
 あちこちの局で臨時ニュースとなった。
 花火師は鵜内理紗の躰に点火した爆竹を投げる。爆竹は弧を描いて飛ぶ。
 「あ、あーーーーーーーーーーーー」
 バアーーーーーン。
 鵜内理紗の乳房の手前で破裂する。
 「あはあーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 鵜内理紗は爆風を躰に受けて悲鳴を上げた。
 恐ろしい拷問である。
 さすがに目はメガネを被せていた。
 二発目は股間と太腿の手前で破裂する。
 「あーーあはーーーーーーーーーーーーー。いやあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。やめろーーーーーーーーーーーーーーー」
 鵜内理紗は恐怖に躰を震えさせた。そして甲高い悲鳴を上げる。さらに抗議した。
 三発目を投げる。
 バアーーーン。
 顔の直ぐ手前で破裂した。
 「・・・・・・・・・」
 鵜内理紗は恐怖に声も出ない。
 さすがに三発で終了した。
 縄を解くと鵜内理紗が暴れそうなので花火師はクロロフォルムを嗅がせる。
 ここで画面は切り替わった。明らかに時間の誤差があると見える。
 鵜内理紗はまだ柱に磔にされていた。
 前と違うのは両方の脚がV字に開脚された状態である。膝、脹脛、脚首に縄を掛けられている。
 その縄で鵜内理紗の脚は天井のフックから引っ張られ吊るされていた。
 胸部の縛りも強化されている。乳房の上と下をぎっちり縛られて後ろで柱に磔状態と思えた。
 薄紅色で小さめの乳輪と乳首が縄の間に突き出されている。
 腕は上から手首を縛り合わされ天井のフックから吊るされた状態である。
 両脚が広げられているので股間が大きく広がる。女の部分もアナルの蕾も丸出しになっていた。
 鵜内理紗は眠らされたままである。
 花火師は女の部分のびらびらを広げる。動画に残す目的である。小豆色のびらびらが大きく捲れる。
 内部はローズ色に広がった。尿道の亀裂がくっきり窪んでいる。膣口は下の方に粘膜の重ねからその窪みが感じ取れた。
 花火師は指を突っ込む。奥まで指を伸ばして探る。膀胱に充分溜まっていることを確認した。
 両手の指先を入れて左右に膣を大きく広げる。変形した膣の天井部。その粘膜の奥まで露になった。
 花火師は掌で鞭の痕が残っている乳房をビンタする。
 何回も叩く。
 「うぐう」
 鵜内理紗はやっと意識を取り戻して目を開ける。物凄い姿に縛られ吊るされていることに気が付く。
 「ああーーーーーーーーーーー。なにーーーーーーーーーー。いやあーーーーーーーーーーーーーーーー」
 鵜内理紗はさらに酷い状態にされて取り乱し喚いた。
 そして尿意に堪えられないことに気が付く。
 「ほどけよーーーーーーー。トイレいかせろーーーーーーーーーー」
 花火師は民家に残されていたような古い金盥を股間の下に置いた。そして無言でそれを指差す。
 「ふざけんなーーーーーーーーーーーーー」
 鵜内理紗は叫びながら躰を捩る。既に限界である。
 「トイレーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 叫ぶが既に断末魔であった。
 小水はびらびらを突き抜けて流れ出す。花火師はそのびらびらを広げる。尿道の亀裂が開いて尿が流れ出るのがくっきり画面に焼き付く。
 「ああーーーーーーーーーー。やめろーーーーーーーーーー」
 それでも小水は止まらない。
 それだけではなかった。長い放尿が終わりかけるとアナルが広がって便が飛び出す。この体制では制御が出来ないようである。
 動画は此処で終了している。
 
 このメールは杉下一行にも届いていた。杉下一行は愛好会の主なメンバーに転送する。
 これをネタにテレビ放送を見ながら飲み会を兼ねたテレビ会議となった。
 さらに如月鬼堂のインターネットアダルト放送のコメンテーターもオンライン出演となる。スタッフがカメラを設置しに来ていた。
 離れた別の部屋に設置してもらう。設置するだけでスタッフは帰る。後は出演者任せのようである。
 「二つ目のURLも三つ目のURLも何も表示されないよ」
 如月鬼堂は杉下一行に確認する。
 「時間になるまで接続されないようですね。そのURLは海外です。幾つものカメラをリンクしたサイトです」
 杉下一行も確認したようである。
 「カメラの電源が入らないと何処にあるかも判らないのだな」
 セキュリティの掛かってない監視カメラ等の映像を盗み取って公開しているサイトである。
 「そうでしょう。三つ目も無料のレンタルサイトです。その時になったらアップロードされるのでしょう」
 「なるほど」
 如月鬼堂も犯人の巧妙な手順を理解した。
 
 時間になったので二番目のURLにアクセスする。同じ場所のようである。画面では鵜内理紗は逆さに磔られていた。
 右脚は上から脚首、膝まで縄でぐるぐる巻きに柱に縛り付けられいる。
 左脚は太腿と脹脛を密着させてぐるぐる巻きに縛り合わされていた。そのまま左に投げ出された状態になる。女の部分は丸出しである。
 花火師はびらびらを指で広げた。
 「やめろーーーーーーーーーーーーーー」
 さらに花火師は女の部分にクスコを挿入する。
 「ああーーーーーーーーーーーー。やめろおーーーーーーーーーーーーーーー。やめろーーーーーーーーーーーーーーーー」
 鵜内理紗は怒りどこまでも喚き抗議した。
 特別なクスコである。四枚の金属の嘴が鵜内理紗の膣を強く広げてしまう。
 薄橙の粘膜が広がり奥には紅色の子宮口がくっきり見えた。これが動画に拡大される。
 花火師は膣の内側の粘膜に注射針を刺す。
 「ううおおーーーーーーーーーーーーーー。やめてーーーーーーーーーーーーーーーーーー。いいたいいーーーーーーーーーーーー」
 逆さまになった鵜内理紗は泣き喚く。
 それでも二本目を指す。
 「うぐうおおーーーーーーーーーーーーーーーー」
 強烈な痛みである。鵜内理紗は磔にされた躰を揺すって悲鳴を絞りだす。
 その針に注射器を接続する。
 「いやーーーーーー。なにーーーーーーーーーーーーー」
 鵜内理紗からは見えない。
 「麻酔だ」
 花火師は一言だけ言う。
 膣の中に麻酔を打ってさらに大陰唇にも両側打つ。クリトリスにも刺す。
 「ううーーーーーーーーーーーーーーー。ぐうーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。うーーーーーーーーーーーーーーー」
 注射器は剥き出したクリトリスのど真ん中に突き刺さっている。
 直ぐに麻酔は効く。
 「なんでーー。何で麻酔なの」
 鵜内理紗は何をされるのか警戒している。
 花火師は鵜内理紗のクリトリスをメスで斬り堕とす。一瞬血が飛ぶ。そして一条土手から腹に流れた。
 「なにーーーーーーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 鵜内理紗は血を見て大声で叫ぶ。
 花火師は上から止血パットを貼る。
 さらに小陰唇を斬り堕とす。一気に左右両側斬り堕とした。血が一気に流れ出る。直ぐに止血パットを当てた。
 警察はカメラに繋がった時点で場所を特定する。埼玉県秩父郡小鹿野町付近と判った。
 埼玉県警が特殊犯捜査係の部隊を急行させる。だが発信元の民家は無人家屋であった。
 警察は暫らくからくりを調べる。パソコンが遠隔操作されていることが判明した。
 其処から有線で山を越えて繋がっていたのである。
 それでも警察は三十分くらいで対象の民家を囲む。
 中を覗ける所は防弾ガラスが遮断していた。その奥に鵜内理紗が柱に逆さまに大股開きで縛られている。
 腰には発破が何本も繋いで帯状に一まわり巻いてぶら下がっていた。花火師は自分も躰に巻いて発破のスイッチを持っている。
 花火師の座った椅子の横に机が置かれでいた。その上にノートパソコンがある。それでコントロールしているように見られた。
 交渉人が入る余地はない。
 良く見ると後ろの板壁に時間を刻んでいる。URLの画像からも確認できた。
 時間で爆破すると見て警察は突入の判断を行う。
 防弾ガラスらしきを退けて防護服の部隊が突入する。
 その瞬間鵜内理紗の脚が閉じられた。上から打ち上げ花火の太い筒が下りて来てその躰を包んでしまう。
 次の瞬間。家の床下に仕掛けられた打ち上げ花火に一斉に着火された。完全に家を壊して爆発する。花火が地上で何十個も炸裂したのである。
 盾を持って家を取り巻いていた隊員らの後ろからも花火が暴発した。
 隊員らの殆どが炎に包まれてしまう。
 家は完全に吹っ飛んでいる。鵜内理紗は花火の大筒の様な中に発見された。一命は取り留めたが悲惨な状態である。
 躰に巻かれていた発破はダミーであった。逆に花火師は完全に肉片となっている。
 警察隊員も大方が殉職または負傷した。
 三番目のURLに犯行声明が自動でアップロードされていたのである。
 警察官の殉職者は八名。重篤七名。負傷十九名であった。
 犯行声明には政府は僅かな補償しかしない。都合の良い自粛要請に怒りが述べられていた。
 花火師は勤めていた煙火店が倒産。職を失う。花火のコンクールにも出られなくなった恨み言が綴られている。
 この先の絶望からの犯行であった。
 鵜内理紗を選んだのは彼女が発信したSMS。業者の損害を考えない一方的自粛のコメントに怒ったからである。
 花火師は政府への怒りの表明に突入する警察官らを狙う。鵜内理紗は苦しんで生き続けさせる目論見であった。
 鵜内理紗は動画がたくさんばら撒かれて社会的にも身体的にも絶望である。ただ顔に損傷がないのでアイドルは続けられた。
 逆にばら撒かれた動画はいつまでも蔓延り続けるようである。闇販売すれば買うものは多々居ると思われる。
 
 「これは警察隊員の大量殉職を狙ったのですか」
 館山弁護士がテレビ会議で見解を述べた。
 「紛れもなくそうでしょう。政府への抗議です」
 如月鬼堂もはっきり見解を述べる。
 「それでは彼女は警察を誘き寄せる囮ですか」
 荒井枝里は悲痛に訴えた。
 「さすがにそれだけではないでしょう。SNSで自粛だけ呼びかけ補償されない業者の破滅を押し付ける発言への反動ですよ」
 福富浅次郎が犯人の僅かな妥当性を拾って弁明する。
 どうしてもマスコミ報道では自粛をしない業者が一方的に悪いとされた。
 営業してもこの状況で成り立たない者は泣く泣く自粛または廃業する。
 だが営業すれば客が入る者は何としても生き延びたい。補償のない自粛要請では倒産して破産しかないのである。
 そこへ『いけないんだもん』的なアイドルの一方的自粛当然発言に犯人の怒りが沸騰した。確かに発言だけでここまでの被害は恐ろしい犯罪である。
 「自粛要請と言う都合の良いやり方が問題なのだ。きっちり休業命令及び完全補償が妥当だった。そのやり場のなさがこんな犯行を生んだのだ」
 如月鬼堂は断言する。
 「このまま日本は経済的瓦礫の山ですか」
 大河内税理士の発言である。


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