【SadoのSM小説】
最期のSM小説家
第二十一幕


篭城事件


この物語はフィックションであり実在の人物機関とはなんらかかわりがありません。
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 二月二十五日。
 緊急事態宣言は東京都と首都圏三県を除いて六府県で前倒し解除となった。
 倒産件数と廃業件数は膨大である。見切りを付けた廃業でも緊急事態宣言が原因と言える。国の補償が一日六万とないに等しい。
 名古屋市千種区東条ビル篭城事件の現場である。
 超法規的処置は決断されない。
 犯人グループは五人目の拷問を始めた。
 秋元茉那三十歳。株投資家である。
 家族が一番騒いでいる広末鈴夏が殺害されると見られていたがこっちに変えられたのかもしれない。
 秋元茉那は東野静香のように壁に杭を打たれ脚首を縛ってV字開脚にされていた。犯人らはこれまで通り女の部分を広げて公開する。
 
 背後で警察と自衛隊が新たな行動を準備していた。
 ヘリにロボットを積んだ。これをパラシュートで降下させる。
 更に自衛隊は防弾板の強い装甲車を準備した。
 一階と上空から突入する作戦である。
 ヘリが高い高度から火炎弾を落とす。屋上の火器を破壊してそこにロボットが降下して進入口を作る。
 続いてパラシュート部隊が降下する作戦である。
 一階からは装甲車で突っ込みエレベーターの坑道から登って突入する。
 警察と自衛隊は一気に行動を開始した。
 だが犯人らは高空から来るヘリにロケット弾を飛ばす。ヘリは火炎弾を落とす前に墜落した。
 装甲車にもロケット弾を飛ばす。
 装甲車には命中させず道路を陥没させる。近付ける道は二方向。両方破壊した。
 二機目のロボットを乗せたヘリもパイロットが危険を感じて引き返そうとするが手遅れでロケット弾が命中する。
 パイロットとロボット数体がパラシュートで脱出した。
 犯人らの籠城する建物から通り一つ離れている。
 「おい。あれはロボットだ。五十ミリを撃て」
 屋上の五十ミリ機関銃がオートで降下してくるロボットを攻撃する。
 それなりに破壊力はある。ロボットは空中で部分的に飛ばされ破壊される。
 機関銃で対応できることを確認した。
 建物の中では五人目に拷問されていた秋元莉那を処刑に掛かる。
 両手を広げて壁にがっちり磔にして固定し直す。
 犯人らはボウガンを持ち出す。
 「あーーーーーーーーーー。たすけてーーーーーーーーーー」
 二人が狙いを定める。
 「うわあーーーーーーーーーーーー」
 秋元莉那は恐怖に失禁してしまう。
 「ああはああんーーーーーーーーーーーーーーーー」
 一本目が左の乳首を貫く。狙いは正確である。
 「うぉーーーーーーーーーーー」
 見ている他の三名も悲鳴を上げる。
 二本目が右の乳輪を貫く。
 「ぐうーーー」
 間髪を入れず三発目が心臓を貫いていた。
 秋元莉那は壁に磔にされたままぶら下がってしまう。即死である。
 犯人らは直ぐに動画を配信する。
 以下のコメントが字幕表示されていた。
 『これが警察の攻撃に対する答えだ。次の犠牲者が出るまで二十四時間』
 残った三名の女性は泣き続けている。
 犯人らは秋元莉那の遺体をボウガンの矢が刺さったまま広末明日香と並べて屋上から吊るした。
 
 その夜。静岡県宇佐美。如月鬼堂の居間である。愛好会の主なメンバーが集まった。
 秋元莉那の動画を閲覧する。
 「犯人は焦っているのでしょうね」
 福富麻次郎が口火を切る。
 「怒っているのだ。焦っては居ない。そんな甘い連中ではない」
 如月鬼堂は強く断言した。
 「やはり警察も政府も超法規的処置は行いたくないようです。警察の犠牲者が多すぎます」
 「威信か」
 「そうです。そして超法規的処置を行って容疑者角田六郎を引き渡しても目的地に着いて人質を帰す可能性は低いです」
 昨夜と違って館山弁護士が強く意見を述べる。
 「確かに戻ってくる可能性は皆無だ。だがどっちにしても非難は免れない」
 「もう方法はないのね」
 珠洲は人質にされた被害者を哀れんでいた。
 「催涙弾を大量に撃ち込んだら何とかならないかな」
 大河内税理士である。
 「ガスマスクくらい用意している。それに異常に換気が良いのでは。地下室とピットと雖も相当に危険なガソリンに点火するくらいだ」
 如月鬼堂はあくまでヘリと飛行機を乗り換えるタイミングだと考えている。
 しかしそれは賭けである。リスクが高すぎる。
 「二十七日の朝まで様子を見ましょう」
 如月鬼堂の心配は土曜日のインターネットアダルト放送のニュース番組コメンテーター出演である。
 SM小説の売れ行きには大きなメリットだが批判も沸く。デメリットが常に心配である。
 タイミングを待って樽常マネージャーが新しい女性の候補を提示する。
 編集の小川綾香はテレビ会議から参加した。
 照会されたのは一人だけである。
 またも会社経営者でグラビアNG。小川綾香は直ぐテレビ会議を離脱した。
 南七香。三十四歳。年は三十路余りだがスタイル良く顔の表情が虐め心をそそらせる。
 「短期間だけの女ですがこれは良いです」
 大河内税理士は直ぐに納得した。フリーに成った人気アナウンサーに似ていて気丈そうな表情が虐めても罪悪感を沸かせない。
 小柄だが脚の線のバランスが綺麗である。
 「まだ店舗での開催はできませんか」
 また大河内税理士が要求した。
 「全裸美人コンテストはどうでしょう」
 福富麻次郎が要求する。
 みな不満が募っていた。
 「もう。現内閣を本気で支持しません。と言って指示できる政党はありませんが」
 杉下一行である。
 「リベラルよりましだが。緊急事態宣言と特措法改正が良くない。そして公共放送受信料の未払い割増閣議決定だ。不支持を表明したいな」
 如月鬼堂も強く同調する。
 「首都圏の緊急事態は終了しますかね」
 館山弁護士はこっちが心配である。
 「オリンピックなどこの際どうでも良い。緊急事態宣言と特措法の影響で倒産、廃業する業者、個人のことを考えるべきだ」
 如月鬼堂の語気は荒い。
 市川沙耶香は次の指名をキャンセルした。体調が優れないとのことである。
 そして資金繰りが苦しいので愛好会のショーにもう一度出して欲しいと要求してきた。
 樽常マネージャーはその報告をする。
 一回で済ませたい目算は分かる。だが認めて良いかである。
 「先生。どうします」
 大河内税理士が如月鬼堂の意向を確認する。
 「皆さんで決めて下さい」
 如月鬼堂は一時稼ぎの女には関心がない。
 「せめて会場でやりたいです」
 杉下一行はオンライン開催二回では意味がないと言う。
 「そうだよな。佐藤栞李は一回会場でやっている」
 大河内税理士も同じ意見である。
 「大河内先生は一度プレイされています。どうでしたか」
 福富麻次郎が良し悪しを確認した。
 「ショーの時と変わらない。樽常氏の教育よろしく態度に問題はなかった。相当厳しくやったよ」
 「一人目の内容が問題では」
 館山弁護士である。
 「それ以前に俺と同じプレイを二人続けたら相当辛いな」
 大河内税理士は自信を持っている。
 「やはり会員十人以上はやって貰わないと。それと一回生駒の店舗でできませんか」
 杉下一行である。
 「関西は緊急事態が解除されている。こっちなら会員四百人だけなら」
 大河内税理士もそこを押す。
 「いいえ。営業時間の制限が残っています」
 館山弁護士は慎重である。
 「そうだ。会場はまずい」
 如月鬼堂も慎重になる。
 「そうですね。今やったら完全に矢面に立ちます」
 福富浅次郎も慎重意見に賛成した。このところオンライン営業で何とか売上の横這いを維持している。
 如月鬼堂の三店舗も同じである。
 「首都圏の緊急事態解除の三月七日を待って考えましょう」
 館山弁護士はそれを強く押す。
 「その前に会員の予約十人はこなして貰いましょう。そうでなければ金だけ払って終わりです。会員の予約が優先です」
 杉下一行が更に厳しい見解である。
 ほぼ見解は一致した。
 会場開催は緊急事態宣言が首都圏で解除されてから日曜日の昼に生駒で開催。
 抽選で五十人に絞ってオンライン併用。
 市川沙耶香の二回目は会員十人の指名をこなしてから検討。
 新人の南七香は三月七日にプレイルームでオンライン開催。
 それまでに大河内税理士がサンプルプレイを行うと決められた。
 
 名古屋市千種区東条ビル篭城事件の現場である。
 犯人らは膠着状態のまま三名の人質女性を壁にV字開脚にしたまま二穴強姦を繰り返す。
 その内容を一時間置きにメール配信した。
 何故かメールの数は増えてゆく。
 
 連続拉致強姦傷害事件。防護服姿六人の山荘である。
 「なかなかやってくれるじゃないか」
 「五十ミリ機関銃があんなに威力があるとは」
 「自衛隊や軍のよりは性能は低いだろ」
 「そりゃそうだ。我々が作ったのだ」
 「警察はもう打つ手なしか」
 「そうでもあるまい。まだ手を尽くして来る。人質を取っての要求には対応しない姿勢だ」
 「これで人質にされたら助からないと社会に宣言された」
 「要求を呑んでも海外に連れ出されて帰ってくる可能性は低い。超法規的処置には踏み込めない」
 「あの五人はどうなる」
 「玉砕だな」
 「どういう風に」
 「警察が突入したら建物ごとガソリンに包まれる仕掛けだ」
 「そう指導したのか」
 「女は最低一人以上解放しろと指導した」
 「五人は死を覚悟しているのか」
 「もとよりその覚悟を確認の上だ」
 川口の会長の悪党ぶりは周到であった。
 「五人が逮捕される可能性はないのか」
 「ない。例えあっても我々には結びつかない」
 
 膠着状態のまま土曜日を迎えた。
 インターネットアダルト放送のスタジオ。
 籠城事件の犠牲者に配慮したのか今夜はAV女優のアナウンサーはトップレスではなくミニワンピース姿である。
 本多椿が現状を概説する。
 解っている範囲で建物の構造模型が造られていた。
 如月鬼堂は宇佐見の会議の内容の通り解説する。
 そして緊急事態宣言や公共放送さらに籠城事件に対する対応のまずさなど詳細に語り現内閣の不支持を強く表明した。
 「名古屋市千種区東条ビル篭城事件でどういう結末が考えられますか」
 メインキャスターはまた過激な意見を期待している。
 「連続拉致強姦傷害事件の六人の指導なら籠城玉砕が考えられます」
 「人質の女性は全員助からないのでしょうか」
 「これも連続拉致強姦傷害事件の指導から一人は残すと思われます」
 「誰が残されると思われますか」
 「広末鈴夏です。」
 「何故でしょう」
 「一番自殺の可能性が低いからです」
 
 如月鬼堂は正午に東京のホテルをチェックアウトして宇佐美に帰り着く。駅には瀬里菜が迎えに来ていた。
 「少し問題が起きたの。館山先生達がお待なの」
 瀬里菜は改札で如月鬼堂を迎えるなりそう切り出す。
 「どうしたのだ」
 「市川沙耶香の指名で入った会員にやや問題が」
 「誰の紹介だ」
 「館山先生。直接ではないの。何人か紹介をエスカレーションして」
 「君の言っていた入会を止めても上の会員にエスカレーションか」
 「そうなの。でも。市川沙耶香のプレイの中で出た話が」
 問題は館山弁護士の間接紹介した会員がプレイ中に市川沙耶香に話した内容である。
 その日のプレイは一回目の会員とほぼ変わらない。市川沙耶香にはきつい一夜であった。
 調査では一回目の会員と知り合いらしい。
 報告して来たのは樽常マネージャーである。
 樽常マネージャーは大河内税理士から連絡を受けた。
 市川沙耶香は大河内税理士に相談したのである。
 二回目の会員は一回目の会員のプレイ内容を執拗に繰り返した。
 躰全体を蝋涙まみれにされ鞭で叩き落とす。ヒリヒリする躰に凧糸で繋いだピンチを銅線と一緒に沢山鋏まれた。
 やり方や道具はまったく同じである。
 左脚を脚首と膝で縛り吊し上げ股間を広げられた。膝下から内腿を通して女の部分の片側を三本のピンチで鋏む。
 そこから腹の左を通って左の乳房、乳首を鋏んでくる。
 乳房の裾野から谷間を鋏み右の乳房、乳首を鋏む。さらに右の腹の横を通して女の部分の右側も三本鋏んだ。
 そのまま右脚の内腿を膝上まで鋏む。
 銅線を電源トランスに繋ぐのは同じである。
 電流で三回執拗に責められ一気に糸を引く。究極に痛い部分で止めながら引っ張り陰湿に責めるやり方も変わらない。
 このプレイを三回繰り返されてしまう。
 倒れたまま話しを聞かされた。その内容がもっと過激な旅館で呼ぶ置屋の話である。
 市川沙耶香は躰の一部を破壊する内容に驚愕した。
 そしてその会員の男が行ったプレイ内容に恐怖に震る。
 その男は女を丸坊主にしてタバコの火を押し付けた程度である。だが乳首を斬られた女。子宮を焼かれた女も居たらしい。
 市川沙耶香は自分よりも悲惨な目に遭う女性らに驚きながらもこんなことに関わる会員が何人かいて良いものなのか密告したのである。
 大河内税理士もプレイ内容は問題視しない。だがその旅館で遊ぶ者が会員にいて良いかは如月鬼堂に確認するべきと考えた。
 館山弁護士と話したところ金を必要とする女たちに関わりがある。
 直接そこに館山弁護士が斡旋した訳ではない。
 館山弁護士は杉本金融を紹介した。杉本金融はその融資を断る。
 店を出た女性を別の金融会社が呼び止めて借りられなかった人に営業する。
 杉本金融の無籍社員である。
 本来高利で貸すのだが一時建て替えで高額の仕事を斡旋する。
 館山弁護士の担当する事故等の被害者に弁済をさせる為である。
 愛好会に紹介すればもっと効率がよいが関わりを繋げたくなかった。
 「申し訳ございません」
 如月鬼堂が戻り次第館山弁護士が詫びを入れる。
 「館山先生。実際どのような問題があるのですか」
 如月鬼堂の態度はやや改まっていた。
 「いま野崎先生と野村先生をお呼びしています。その後に検証いたします」
 「館山先生の懸念は」
 「何かその旅館が摘発された場合。会員が其処でも遊んでいたことですね」
 「摘発の可能性はそれほどないのでは。それに会員の関連まで繋がりますか」
 「確かに。落ち目の活字文化を維持するため芸能人の不倫を暴いて稼ぐ汚い週刊誌が騒がなければ」
 「まったく。あの週刊誌には反吐が出る」
 大河内税理士が怒りを示す。
 「まったくだ」
 杉下一行も同調する。
 そこに野崎卓郎弁護士と野村未来也弁護士が到着した。
 「その市川沙耶香とかが週刊誌に持ち込むと面倒だな」
 「それはないです。本人が隠れてやった資金稼ぎを公にしてしまいます」
 「それは何とも。週刊誌はそっちの立場は護ります」
 「そうだな」
 「でもそういったことが公になったら出所は市川沙耶香と判ります。こっちには担保があります」
 「そうです。動画は一般公開しない。その代わり愛好会の内容は外で話さない契約が交わされています」
 「一度市川沙耶香と先生方三人でお話いただけませんか」
 「判りました」
 野崎卓郎弁護士が了解する。
 そのあと杉下一行が取得した秋元茉那の動画を視聴した。
 何本も配信されている。見ていなかった分を杉下一行が見つけ出して視聴した。この一本が問題なのである。
 浣腸されたり女の部分の公開はこれまで通りで躰中に溶かした蝋涙を掛けて鞭で剥がす。ここから問題が始まった。
 男らはトランスを持ち出す。
 クリップには蛸糸と銅線が巻き付けられている。市川沙耶香の話の通りである。ピンチがクリップに替わっているだけが違う。
 愛好会がクリップの使用を禁止しているからである。
 秋元茉那はこれまでの拷問の通り壁にV字開脚に磔にされている。
 左の膝下から内腿の肌理の細かく柔らかい皮膚を鋏んで行く。股間で向きを変えて女の部分にくる。びらびらの片側を三本で鋏む。
 そのまま腹の左側を通って乳房を鋏み乳首を鋏んでしまう。
 もう一度乳房を鋏み反対側の乳房、乳首を鋏んで股間まで降りてくる。
 びらびらの右側も三本鋏む。女の部分は広がってピンクの粘膜が丸出しになる。そのまま右脚の内腿を膝下まで鋏む。
 犯人の一人がトランスの端子が四本あるので両方の先端を繋ぐ。そして乳房の谷間で糸と銅線を切ってしまう。
 態と二系統にしたのである。
 既に秋元茉那はクリップに鋏まれた痛みに涙を零している。
 左の銅線に電流を流した。
 「う、うぐうう、うーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 しなやかな躰全体の筋肉が怒張する。躰全体に力が入って藻掻き苦しむ。
 「ぐううーーーーーーーーーーーーーー。ぐううーーーーーーーーーーーーーーー。やめてーーーーーーーーーーーーーーーー」
 犯人らは小気味良く見ている。
 一度電源を切った。
 「あはあ。はあ。はあ。はあ。はあ」
 秋元茉那の躰はブルブル震えて荒い気遣いを続ける。
 「これを引っ張って飛ばす時が愉しみだ」
 「その前にこの女の苦しむ顔。なかなかそそる」
 
 如月鬼堂の居間ではこの動画を深刻な表情で見ていた。
 「まさか会員が連続拉致強姦傷害事件六人の一人では」
 杉下一行が内容に戦慄する。
 「その近い関係に居る可能性もある」
 如月鬼堂は核心ではない可能性にも含み持たせた。
 「どっちにしても早く対応しないと」
 大河内税理士も警戒心を強める。
 「その人は大庭信一郎。大庭祭典社長です。全国十四箇所に支店があります。紹介したのは最初に市川沙耶香さんとプレイした田中仁さんです」
 瀬里菜がパソコンから情報を引き出す。
 「その人の職業は」
 「外務省会計課長です」
 「うーーん」
 「とにかく大庭祭典社長には会を抜けて貰いましょう」
 「そうですね」
 
 犯人らは秋元茉那の躰を鋏んでいるクリップに左右交互に電流を流す。
 「うう。ああーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。う、うう、うぐううーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 秋元茉那は眉間に強い皺を刻み顔は円を描くように空中で強く振って藻掻き苦しむ。
 「やめてーーーーーーーーーー」
 「ふふ。両方行くぜ」
 「ああーーーーーーー。やめてーーーーーーーーーーーー」
 秋元茉那の躰はブルブル震えている。
 「行くぞ」
 「あ、あーーーーーーーーーーーーーー。ううーーがああーーーーーーーーーーーーー。うう、うぐううーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 秋元茉那の表情は一気に軋む。目をきつく瞑り眉間に皺を破裂させて頭を捩って藻掻く。
 「ううーーー。ぐううーーーーーーーー。ううーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 秋元茉那は涙を溢れさせどこまでも痛みに藻掻き苦しむ。
 犯人らは一度電流を切る。
 「あはあ。ああ。ああ。ああ。はあ。はあ。はあ。はあ」
 
 「市川沙耶香はこんなのを三回やられたのか。良く堪えたな」
 大河内税理士でさえ慄く。
 「洗濯ばさみとクリップの差はある」
 「それでも電流は」
 「それも圧を調整すれば違う」
 杉下一行は違いを想定できる。
 
 もう一度電流が流れる。
 「ああーーーーーーーーーー。やめてーーーーーーーーーーー。もうむりーーーーーーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーー」
 秋元茉那は強烈に泣き悲鳴を上げた。
 今度は犯人ら二人が糸の先端を持って飛ばす構えである。


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