【SadoのSM小説】
最期のSM小説家
第二十一幕


篭城事件


この物語はフィックションであり実在の人物機関とはなんらかかわりがありません。
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 「あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 秋元茉那はそれに気付いて更に悲鳴を上げる。
 犯人らは苦しむ姿を暫く愉しむ。
 まず右が引っ張る。
「ううお、おーーーーーーーーー。ううお、おーーーーーーーーー」
 秋元茉那は狂ったように躰を暴れさせた。
 「あおーーーーーーーーーーーー。ぐあおーーーーーーーーーー。ぐうおーーーーーーーーーーーーーー。ぐうおおおおーーーーーーーーー」
 秋元茉那は涙と汗を飛ばして暴れまくる。
 続いて左が引っ張った。
 「ぐぁああーーーーーーーーー。ぐがああーーーーーーーーーー。ぐあああーーーーーーーーーー。ぐがああーーーーーーーーーーーーー」
 秋元茉那の表情は破裂している。
 「うおーーーーーーーーーーー。ぐうおーーーーーーーーーーーー。ぐおおーーーーーーーーーーーー」
 堪えられず失禁してしまう。
 「あーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーん。ああーーーーーーーーーーーーーーーーん。ああーーーーーーーーーーーん」
 秋元茉那は泣きながら漏らし続ける。それだけでは済まなかった。続いて便も漏らしてしまう。
 「あ、ああ、ああ、ああーーーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーーーーー」
 秋元茉那は痛みと究極の醜態に堪えられず狂ったように泣き喚く。
 これだけでは許されなかった。犯人らは同じ責めを繰り返す。
 全身の痛みに意識朦朧としているのを電流で責める。
 秋元茉那はそれからも僅かな失禁と垂れ流しを繰り返した。
 悲痛極まりない姿である。
 秋元茉那はそのまま放置され拷問は広末鈴夏に移る。
 その直後に警察の攻撃が始まった。
 秋元茉那はここまで悲惨な姿にされたままボウガンの矢三本で殺されたのである。
 
 如月鬼堂の居間では大庭信一朗と市川沙耶香には三人の弁護士で対応すると決められた。
 警察に情報などは流さない。
 愛好会の安泰を護るとの意見で一致した。
 
 三月五日。
 首都圏の緊急事態宣言は二週間の延長が決められてしまう。
 篭城事件はまだ解決の目処すら立たないのである。
 そして愛好会の店舗での開催はまだまだ難しい。
 関西で店舗の時短要請が解除されてから生駒、熱海の順に開催する方針が確認された。
 館山嘉朗、野崎卓郎、野村未来也の三名の弁護士は市川沙耶香の事務所を訪問する。
 「大庭信一朗氏にはやんわり交渉して脱会して頂く方向でいます」
 そう館山弁護士が切り出した。
 「そうですか」
 「貴女はこの件を週刊誌に話したりしますか」
 野崎卓郎弁護士でやんわり切り出す。
 「とんでもありません。私はお金を得られたらこの一連の件には永久に触れたくありません」
 市川沙耶香はきっぱり答える。
 「貴女との契約は双方秘密を漏らさないことになっています」
 「はい」
 「会員に配給する動画にはガードが掛かっていて複写はできません。貴女も会員のプレイに来たなど個人の情報を漏らさない契約です」
 「判っています」
 「貴女の希望されるもう一回の愛好会のショーには緊急事態宣言が解除しないとできません。それ以外は会員個人のプレイのみです」
 「一回目で会社を維持することはできました。次の仕入れ資金が早くほしいのです。その後は此処でのことはなかったことにしたいのです」
 「緊急事態宣言で関西地区の時短要請が解除され次第に生駒の開催を予定しています」
 「熱海は静岡で制限はないのでは」
 「関東に近く。何かあれば一気に槍玉に上がります。そうなりますと貴女も大変困ることになりませんか」
 「そうですね。判りました」
 市川沙耶香も現実を仕方なく飲み込むようにそう答えた。
 「三月中にできなければ必ずやると言う約束で私が建て替えてお貸しします。五百万ですね。開催日まで無利息で」
 「はい。お願いします」
 市川沙耶香はどうにも縋ってお願いしなければならないという態度である。
 「大丈夫ですよ」
 館山弁護士はきっぱり答える。
 「会員十人はどうしても」
 「はい。でもあそこまでハードな人は殆ど居ません。大河内先生が最大です。運が悪かったのです」
 「はい」
 市川沙耶香は辛そうである。
 「コロナがいつ終息するか見込みは立っていません。いまは稼いでおいた方が良いですよ。五百万近い予約が入っているのでは」
 「でも。とても辛くて」
 「大丈夫です。大河内先生ほどのこともありません。あの二人は例外です。そうでなければ誰も続けられませんよ」
 「はい」
 「会員は社会的基盤のある人ばかりです。絶対に事故は起こせません。万が一の賠償に保険も入っています」
 「判りました」
 館山弁護士らの説得は概ね成功した。
 
 三月六日。
 名古屋市千種区東条ビル篭城事件の現場である。
 犯人らは更に過激な拷問を公開しようと倉科果莉菜の拷問を始める。
 だが二ユース番組は意外な情報を発表した。
 犯人らが要求している角田六郎容疑者は解放と国外逃亡を希望してないと伝えた。
 「五人の仲間の行きすぎで予期してなかった事態です。自分は解放と逃亡を希望しません」
 角田六郎はマイクに向かってきっぱり断言する。
 異例のことであるが録画が公開された。
 だが犯人らの拷問も止まらない。さらに交渉人の呼び掛けにも対応しなかった。
 要求が逃亡のヘリと大型機材での出発と変更されただけである。
 倉科果莉菜は逆さ吊るしにされた。
 壁に杭を四箇所打ち込んで大股開きにされ逆さ吊るしの磔である。
 辛うじて手は床に着いている。
 だが股間は百六十度くらいに広げられ内腿と女の部分は正面斜め上を向いてその艶かしい姿をカメラに晒していた。
 華奢な躰なので綺麗な磔姿である。
 その態勢でまず剃毛が行われた。
 剃毛を行っている犯人の男とは別の男二人が片方ずつ乳房をクリップで鋏んで行く。円形に乳房を囲むように付ける。
 最後に乳首を鋏む。
 倉科果莉菜の逆さにされた悲痛な表情が動画に焼き付く。
 剃毛が終わるとやや赤みの掛かった皮膚が丸出しになった女の部分を詳細に公開する。
 クスコを使わず四人の指で強烈に広げる。
 「あ、ああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 倉科果莉菜の泣き悲鳴が轟く。
 犯人らはこれで最後と可逆心が滾っていた。残忍さが更に露骨になる。
 倉科果莉菜もそれを強く感じとっていた。拷問の挙げ句に殺害されると恐怖に怯え続けている。
 前回の拷問のときのような歯向かう姿勢はない。
 犯人らはグラスの中に立てた蝋燭を溶かして蝋涙を溜めていた。
 四人で指先を膣口に突っ込んでもう一度広げる。うちの一人がそこに蝋涙を流しこむ。
 「うう、うう。ううー。ううぐうう。ううーーーーーーーーーーー」
 倉科果莉菜は躰を振って猛然と藻掻き暴れる。
 「うおー。ううおおーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 更に躰に入った熱さに堪えられず暴れた。躰を強く突っ張り腰を揺すって
藻掻き苦しむ。
 それでも犯人らは容赦しない。
 やや苦しみが治まったのを確認して鞭を取り出す。
 狙うのは逆さにして広げた女の部分である。
 先端が二枚の長方形のゴムでできた一本鞭を構える。
 倉科果莉菜の小作りな美人顔が究極に苦しみに歪む。犯人らはこれに陶酔していた。
 どこまでも虐めぬく可逆心が滾り続けているのである。
 上を向けて丸出しの女の部分のビラビラを左右三本ずつのクリップで鋏む。
 「ああーーぐうぅ。うぅうーーーーーーーーーーーーーーー」
 倉科果莉菜は敏感な部分の痛みに甲高い声で悲鳴を上げる。
 ビラビラの粘膜は左右に広がりピンクの内部が膣口まで丸見えである。
 鞭を持った男はその艶かしく露出させられたピンクの内部を狙い撃ちする。
 「あっ、あ、あーーーーーーーーーーーーー。ううーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 倉科果莉菜の腰は小刻みに震撼していた。壮絶な痛みである。
 静かに溢れるように失禁尿が流れ出す。
 「あはあーーーーーーーーーーーーーーん。ああーーーーーーーーーーーん。あはああーーーーーーーーーーーーーーん」
 倉科果莉菜の表情は痛みに引き攣る。その顔を強く振って藻掻く。SMクラブでは到底できないプレイである。
 犯人らは次の男に鞭を引き継ぐ。二発目を構える。
 「あーーーーーーーーーー。いやあーーーーーーーーーー。やめてーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 倉科果莉菜は躰を揺すって泣き叫ぶ。
 男は加虐心を籠めて叩き降ろす。
 「うぐうおおーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 強烈な悲鳴のあと倉科果莉菜の躰は狂ったように暴れる。それでも生コンの壁はびくともしない。
 その表情を愉しみながら三人目に鞭を引き渡す。
 この時。交代で睡眠を取っていた男が起きて来る。最初に倉科果莉菜の股間を叩いた男が代わりに休息に向かう。
 「あわーーーーーーーー。うわあーーーーーーーーー。ああーーーーー」
 倉科果莉菜は痛みに藻掻き苦しみ続けている。
 三人目は斜めに鞭を振り下ろす。
 「うおーーーーーーーーーーーーーーー」
 女の部分の粘膜のびらびらを鋏んだクリップが一つ飛ぶ。一つがずれて鋏が浅くなる。
 「うぅ、うぅうおーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。うぅうーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 粘膜に繊細に沁みる痛みに甲高い悲鳴を搾り出す。倉科果莉菜の美人顔が究極に悲痛に歪みきる。
 それは犯人の男らの加虐心を究極に癒す。
 四人目が構えた。
 「あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。だめーーーーーーーーーーーーーーー。もうだめーーーーーーーーーーーーーーーー」
 倉科果莉菜は涙を飛ばしながら泣き悲鳴で訴える。
 犯人らはもう最後を覚悟していた。いっさい容赦はない。
 四人目はもう一度クリップで広げられ剥き出しになった膣口と尿道口を的確に強く叩く。
 「ぐごーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。ううう、おお、おおーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 倉科果莉菜の躰の震撼と共にまた僅かに失禁尿が流れ出す。さらにアナルからガスが噴き上げる。
 「こんな美人のおなら。みんな悦ぶぞ。永久保存版だ」
 犯人の一人が喚起して悦ぶ。
 「・・・・・・・・・・・・・・」
 倉科果莉菜は何かを叫ぶが声にならない。
 「あはん。あはあん。あはん。あはん。あはん」
 倉科果莉菜は狂ったように泣き喚き続ける。
 「あはん。ああ。たすけてーーーーーーーーーーーーーー」
 無駄と知っていても警察に向けて叫ぶ。
 五人目が斜めに叩いてクリップを二つ飛ばす。
 「ぐごおーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。うぐうおおーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 強烈な悲鳴である。
 おまけに引っ掛かっていた右の一個を狙って飛ばす。
 「くうぅおーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。くうぅうぅおおーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 頭の芯から搾り出すような悲鳴である。
 顔は汗を噴き涙は飛び散って更にその本流が頭に流れている。
 小顔で色白の美人。それが崩れきって悲痛極まりない姿にされている。それでもとことん男を起たせる女である。
 犯人の男らは続いて乳房のクリップを飛ばしに掛かる。
 
 警察は機関銃弾が届かない範囲で周囲を囲んで何もできない。周囲に大きなビルはない。犯人の側は屋上の一つ下の階から全部見渡せる。
 警察は遠く離れてドローンを飛ばして監視だけ行っていた。マスコミも同じである。少しでもドローンが射程内に入ると機関銃が火を噴く。
 警察官の被害は殉職者五十人を超えて五十六名と発表されていた。
 それでも自分らで対策すら思い付かない市民が何処までも警察を避難する。どうにもできないと分っていても非難を続けた。
 徐々に理性的良識的に表面はモラルに固くなった社会。それがこの事件ではそのモラルの根本から崩れ始めている。
 これが犯人らを教育して協力した六人の意向かもしれない。
 
 館山弁護士らは大庭祭典を訪問して大庭信一朗と対面した。
 話の大筋は野崎卓郎弁護士が切り出す。
 「仰います通り身近にその関連が居るのかもしれません」
 大庭信一朗の言葉は落ち着いている。
 「田中仁さんも同じようなプレイを行いました。今プレイのやり方がどのように伝わったかです」
 「田中仁は私と一緒に川口で遊んだからですよ」
 「名古屋市千種区東条ビル篭城事件の犯人らは何処でこのプレイのやり方を見たのでしょう」
 「私はこの連中をまったく知らない」
 大庭信一朗はきっぱりとした言い方で否定した。
 「しかしやり方がここまで酷似していますと」
 「警察は何と」
 「我々はそれを避けたい」
 野崎卓郎弁護士が断言する。
 「私が会を抜けたらどうでしょう」
 「そうなれば市川沙耶香もお金を手にしたらこの件も会のこともいっさいなかったことにしたいと言っています」
 「会は警察の捜査に協力は避けたいと」
 「そうです」
 「真性奴隷女の館で私がプレイするのはどうでしょう」
 「それは樽常氏次第です」
 「判りました。ともかく私が会から手を引きましょう。二度と同じやり方でプレイはしません。何か判ったら報告はいたします」
 「ありがとうございます」
 館山弁護士は引き上げる。
 そして大庭信一郎が連続拉致強姦傷害事件。防護服姿六人の一人とほぼ核心を持った。
 その足で外務省会計課長田中仁を訪ねる。
 田中仁課長は驚愕の表情になった。
 大庭信一郎が連続拉致強姦傷害事件の一人とは一切口にしない。
 「貴方はこの件を公にされますか」
 「い、いいえ」
 田中仁も怯えたように否定する。
 「市川沙耶香もお金を手にしたらこの件も会のこともいっさいなかったことにしたいと言っています」
 「そう願いたいです」
 田中仁は胸を撫で下ろすように納得した。
 これで館山弁護士は事態の封じ込みに概ね成功したのである。
 「川口の旅館はどうしましょう」
 館山弁護士の足元の懸念であった。
 「そっちは触らない方が良い」
 野崎卓郎弁護士が断言する。
 「そうです」
 野村未来也弁護士も同じ意見である。
 三時少し前に館山弁護士は如月鬼堂に問題が解決した報告を行う。
 
 このあと名古屋市千種区東条ビル篭城事件は急転直下した。
 その現場。
 東野静香と広末鈴夏は床に座って片脚だけ壁に繋がれた状態である。
 倉科果莉菜は全身鞭の赤い筋とクリップが飛んだ傷痕だらけで無残な姿を晒している。
 長椅子に寝かされ尿道にはカテーテルを挿入されて痛み止めを飲まされて眠っていた。
 股間は半開きで長椅子の脚に脚首を縛られている。
 女の部分は丸出しで小水は下に置いた水槽にバルーン型カテーテルから垂れ流しである。
 犯人五人は全員起きていた。
 広末鈴夏を立たせて脚首の戒めを外す。
 怯えきった表情で犯人らを見ている。
 「これからお前にビルの中を案内する。良く見て記憶に刻んでおいて貰いたい」
 一人の男がそう説明した。
 「もう拷問はない。安心しろ」
 別の男がそう補足する。
 まずは屋上の銃器から案内してゆく。
 犯人らはこれまでの態度と打って変わって柔らかい姿勢になっていた。
 「事件を終結させる。我々はやるべきことはできるところまでやった」
 静かに心の底に染渡らせる言い方である。
 「・・・・・」
 広末鈴夏は心臓の鼓動を強く打ちながら犯人らを見る。
 「お前には生き証人として生き続けて貰いたい」
 「えーーーー。助かるの」
 広末鈴夏は怯えながらも表情を和らげた。
 決して喜びに弾んだ声ではない。
 「角田六郎の奪還が本来の目的ではない。我々の戦闘能力を在る国の人達に見せることが一番の目的だ」
 「ええーー」
 「警察が応じないことは半分予期していた。この戦闘能力を示せば次に繋がる」
 「いったい何処に行く予定だったのですか」
 「それは言えない。成功すればその国で戦闘の主力になる心算だった」
 「そうなった時の私たちはどうなったのですか」
 「どうであれ一人以上は帰す予定だった」
 「目的地に行ってからは」
 「全員帰す予定だった」
 犯人らはここを強調したかった。
 それから犯人らは広末鈴夏に新しい純白の下着とセーラ服の上下を渡す。
 其処で服を着けさせる。
 犯人らは広末鈴夏に屋上の設備をみせた。
 「機銃弾は此処で製造した。ロケット弾もだ」
 「それではいつまでも篭城」
 広末鈴夏はそう言いかけて震える。
 「食料に限界がある」
 「篭城してからは弾丸の製造は行ってない。機銃弾はまだあるがロケット弾はあと数発だ」
 犯人らは階段で二階まで行く。
 「エレベーターは動くが蓄電池と発電機では限界がある。警察が送電を止めたからな」
 二階はフロア全面が水のタンクになっていた。
 「警察が地下のピットから進入するのを考慮して此処に水をストックした」
 「水はまだ充分に」
 「飲料やシャワー以外にも使うからな」
 犯人らは広末鈴夏を三階に誘導する。
 今度は武器工場である。
 「ああ。此処で武器を」
 広末鈴夏は製造設備の凄さに慄く。
 戦争ができる設備である。
 「三次元CADで書いた図面から自動で製造する機械だ」
 犯人の一人が誇らしげに言う。
 「此処をどうするのですか」
 広末鈴夏は犯人らの対応が和らいだのにやや緊張が緩んで質問を掘り下げてしまう。
 「警察を引き込んで火に包み込む。それから爆破する。その前にお前をクレーンで外に出す」
 広末鈴夏は安堵の表情になる。
 犯人らは広末鈴夏を連れて五階に戻った。パソコンの画面から辺りの地図を見せる。
 「屋上からクレーンでこの位置に降ろす。この民家の間の道から警察の囲いの後ろに逃げろ」
 犯人らは正面ではなくその左の民家と民家の間の狭い道を指示した。
 「はい」
 広末鈴夏はとにかく今は助かりたい一心である。
 猥褻動画がばらまかれても今は助かりたい。
 「警察に保護されたら二つのことを頼め」
 「は・・い」
 広末鈴夏にまた緊張が奔る。
 「一つは二人の女の遺体だ。武器を持たずに二名だけで引き取れと伝えろ」
 一人は広末鈴夏の姉である。
 一気に感情が広末鈴夏を襲うが今は犯人を刺激してはならない。感情を押えて話を聞く。
 「はい」
 「お前の次に二人を降ろす。救急車を待たせて警察は動くなと伝えろ。さもないと犠牲者がまだ増える」
 広末鈴夏は何としてもこれは警察に言わなければならない。姉の遺体の回収。残った二人の安全である。
 犯人らは死を覚悟していながらまだ何か含みを持っていた。
 
 最期のSM小説家 第二十一幕 篭城事件 完
 
 最期のSM小説家 第二十二幕 篭城事件その傷痕に続く


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