鬼三のSM小説
女衒の國

この物語はフィックションであり実在の人物機関とはなんらかかわりがありません。

北嶋真紀子の野望

1| 2| 3| 4| 5| 6| 7| 8| 9| 10| 11| 12| 戻る|
 2017年小満中元。日本列島は本年も猛暑が来るらしい。やや過ごしやすい僅かな時期である。
 R国、娼国は既に熱い。だが、日本人、日系人が熱いところに出ることはまずない。娼国は奥の島と旧仁川邸の跡以外高層ビルが立ち並ぶ。
 R国は一部だけが未来都市で大方が途上国さながらである。それでも日系人が自然に曝されることはない。
 娼国の奥の島には出口が無い。昔は二つの島に橋が掛かっていた。今は小型の潜水艦で海中の洞窟から入るのみである。
 昭和40年前後の鉄筋の建物が数棟。其処では女性を製造していた。生む専門の女性が居て毎年四つ子くらいを産み続ける。
 一人の女性に生涯八十人近い子供が居る事になる。本人の種ではない。人工授精した美人、かつスタイルの良い女性を産み続ける。
 女性たちは十八くらいで全部島を出て行く。一部の失敗作を除いて売春、慰安婦である。日系人の美人と美男子の遺伝子を引き継いでいる。
 失敗作はそのまま生む専門の女性となる。
 一棟だけ違う用途に使われる建物がある。其処は特別な刑務所として使われている。
 日本から海外取材禁止のR国、娼国に潜入したスパイ女性の収容場所である。
 其処では驚愕の拷問が行われた。
 いま二人の女性が収容されている。
 一人はテレビ太陽スタッフ岡村一美。小柄で細身のスマートな女性である。
 もう一人はSS日報編集員新井絵里。二十七歳スタイルの良い長身の女性である。
 どちらもテレビ、マスコミの表面に出るジャーナリストではない。
 娼国、R国に入国した訳でもない。
 だが、いまこの場に収容され拷問を受けている。
 二人はそれぞれ別の鉄格子の中で、平均台の木の台を三角にした様な器具を跨いで躰を縄で固定されている。
 二人の鉄格子の間には一本の通路が隔てている。どちらからも相手の姿が見える。
 平均台の様な物は三角木馬の改造型である。
 三角の台は前より小さくなった。跨いだ脚は台の真下で脚首をクロスして縛り合わされている。
 股間に掛かる負担はさらに大きい。
 三角木馬の先端部分は一センチ位の金属で僅かに鑢を掛けて丸められている。
 胸部を高手小手に縛った縄が天井から軽く吊るように引っ張っていた。この縄だけが三角木馬の上の女体が倒れる事を支えている。
 躰が横にぐらつくと敏感な粘膜が抉れてしまう。
 三角木馬の上で微妙に安定感がない。だが倒れて落ちる事もない。股間部分の負担だけが増してゆく。
 二人とも大粒の汗を噴いて呻き声を上げている。
 「はあ。はあ。はあ。はあ。はあ」
 縛られ台に載せられるまで理不尽な仕打ちに抗議して狂ったように暴れ泣き喚いた。強引に縛られ木馬に載せられて苦しめられている。
 そこに一人ずつ緊縛師が鞭を持って近付く。
 「あ、ああーーーーーー。やめてーーーーーー」
 新井絵里は叩かれると悟って悲鳴を漏らす。
 鞭は先端にチップが付いている。一発目は乳首を直撃した。
 「あはあーーーーーーーーーーーー」
 三角木馬の上で縛られた躰は揺れる。股間に次の衝撃が襲う。
 「ううぐううーーーーーー」
 痛みに躰は前屈みに震え眉間に三重の皺を刻む。
 丸く形の良い弾力ある膨らみが乳首をやや上に向けている。艶かしい乳房である。
 二発目は陰毛に包まれ三角木馬の先端を咥えた部分を直撃する。
 「あーーーーーーーーーーーー。あはああーーーーーーーーーーーーん」
 股間の金属に密着した部分の衝撃は大きい。
 「あ、あ、ああーーーーーーーーーーん。うぐうーーーーーーー」
 高手小手に胸部を縛られ天井から吊られているが総ての体重が股間に掛かっている。先端に鑢が掛かっているとはいえ粘膜を擦れば痛い。
 「ぐうううーーーーーーーーー。うーーーーーーーーーー」
 隣の鉄格子では緊縛師が鞭を構えたままその状況を見ていた。
 三角木馬の上で同じように縛られた岡村一美も震えながら見ている。
 「どう。スパイはそのように処刑され続けるのよ」
 娼国副主席北嶋真紀子である。
 「スパイでは有りません。私達は日本で拉致されたのです」
 岡村一美が抗議する。
 「でも、この国に潜入した木村史乃たちの仲間でしょう。行動を起こす前に捕まえたのよ」
 「拉致ではないですか」
 「そうね。我々の国に歯向う物は根底から叩く。R国にも娼国にも取材の自由はありません」
 「それ以前に入国していません」
 「会議開いたでしょう。この国に関わる事で。だから逮捕したのよ。日本で騒がれないようにちゃんと根回ししたから安心して」
 娼国は日本に影響を与える充分な人脈がある。
 「酷過ぎます」
 岡村一美は恐怖と怒りの混じった表情である。
 「ああーーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーー。たすけてーーーーーーーーーーー」
 新井絵里は三角木馬に載せられ叩かれた苦しみから狂ったように悲鳴を上げて助けを叫び続ける。無駄な足掻きと解っていても叫び続けた。
 
 その数日前。日本である。
 北島真紀子が副主席を勤める娼国は日本の都心にやや近い空地にビル群を建て経済の中心を操作しつつある。
 その中心となる娼国日本企業のTOPを勤めるのは盛高知里。もちろん代表取締役という名の使用人。現実はそれ以前である。
 娼国で裏切り者として散々拷問され操り人形として日本に送り込まれた。その行動は委託を受けた日本のやくざが常に見張っている。
 滝澤沙緒里はジャーナリストから転進した無修正AV女優として有名になってしまった。
 巨額に稼いでR国に豪邸を建て日本の高級マンションに住む。日本とR国を行き来して豪華な生活を手に入れたセレブとの認識が確定された。
 実際はR国に捕虜として残された二人の同士及び元娼国警察員久保田奈緒子が人質である。
 久保田奈緒子は滝澤沙緒里らがR国に取材に入るため協力を得た。それがばれてAV嬢に堕されてしまったのである。
 滝澤沙緒里は一切余分な発言を許されない。
 超人気のAV嬢として新作は撮らなくても世界中のサイトで売られ毎月多額の報酬が振り込まれる。
 さらに娼国企業の株を保有させられその配当も年間数百万入るのである。
 社会派層から非難の反面、一般層から人気は急上昇している。
 所詮ワイドショーの常識派が非難してもアダルトAVは圧倒的人気がある。それを支持する無言の層が購入すれば大きく自然の摂理に流れる。
 滝澤沙緒里は元来可愛い。それが大人の顔に成りつつある。その美しさが官能に崩れ拷問の苦しみに歪む。
 アダルトサイトの画像を滝澤沙緒里が大きく独占してしまった。人気AV女優TOPランクである。
 EVとアーケード続きのニュータウン内で買い物、食事をする以外はマンションに篭ったままである。
 盛高知里が時々気晴らしに訪れる。
 内山莉緒警部補らを気遣う言葉が出るがその意識がR国を出発した頃と徐々に変わりつつある事が感じ取れた。
 今の滝澤沙緒里は日本に居ても落ち着かない。内山莉緒警部補と木村史乃警部補を心配してR国に戻れる日を待つばかりである。
 滝澤沙緒里の部屋は二重のオートロックで護られていた。招かれざる訪問者は総て遮断される。
 そんな滝澤沙緒里の近辺を徘徊する数人のグループが居た。彼らは滝澤沙緒里にR国で何かあったと想定している。
 そして娼国の工作員も滝澤沙緒里や盛高知里の近辺を警戒していた。滝澤沙緒里の知人関係は総て洗い出されている。
 娼国は万全な警戒を行っていた。
 滝澤沙緒里の元知人のグループは姉ヶ崎ニューシティに隣接したホテルに集結する。
 「沙緒里に今接触しないほうが良いと思います。R国で抜き差しならぬ事態に直面して今のような映像に成ったと思います」
 SS日報編集員新井絵里である。滝澤沙緒里が篠田茉莉を追ってR国に入った時から注目している。
 「事情があれば接触は充分注意しなければならない。だが接触して話を聞かない限り何も進まない」
 「私達がR国に入るのはどうでしょう」
 「それが良いかもしれません。まだ内山莉緒警部補と木村史乃警部補の行方が解っていません」
 テレビ太陽スタッフ岡村一美である。
 この二人の捜索がされないのは正式には出国していないからである。
 それ以外の人物は合法的に片が付いている。篠田茉莉はR国の主権侵害なので手が出せない。
 そしてR国、娼国の問題に触れると何処からかストップが掛かる。
 会議は膠着状態で全員が部屋に引き上げた。
 だがこの会議は監視されていた。
 翌日はみな職場、従来の予定に戻った。そして岡村一美と新井絵里が行方不明となる。さらに連続殺人事件が幕開けした。
 娼国は先手を打ったのである。
 テレビ太陽ディレクター高梨純也が霞ヶ浦に死体で浮かぶ。
 その翌日。フリージャーナリストの高村容子四十五歳が霞ヶ関の雑居ビル地下にて死体で発見された。
 捜査は二人の行動を洗い出し姉ヶ崎ロイヤルホテルの会合に繋がる。そして岡村一美と新井絵里の行方不明が確認された。
 その翌日滝澤沙緒里はR国に渡航する。もちろん北嶋真紀子の指示である。
 岡村一美は局を出たタクシーごと浚われる。新井絵里は自宅マンションから引越し業者を装った工作員に運び出された。
 完全に引越しを完了したというより夜逃げと同様の結末である。新井絵里だけで姉ヶ崎ロイヤルホテルの会合に繋らなければ事件性は無い。
 警視庁、茨城県警の合同捜査となった。
 R国T市に囚われる内山莉緒警部補と木村史乃警部補。その二人を知る出水真衣巡査部長もその捜査に加わっている。
 出水真衣巡査部長はR国に行方不明の両名と滝澤沙緒里、その関連捜査を主張した。姉ヶ崎ロイヤルホテルの会合はその為のものだったと説明する。
 だが捜査本部は出水真衣巡査部長の意見をまったく取り合わなかった。
 そして行方不明の岡村一美及び新井絵里を重用参考人として手配と成る。
 既に両名は千葉から麻薬を日本に運んだR国北側の潜水艦で運び出されてしまう。
 捜査方針は警察庁に潜入する木下優樹子警視正と国会議員平佐和の存在が影響していたのである。
 さらに被害者が出た。戦場カメラマンの大川達樹である。芦ノ湖に死体が浮かぶ。
 その翌日国民党千葉市議会議員大村昆一の遺体が観音崎に流れ着いた。
 娼国工作員は鮮やかに仕事をこなして行く。その主力は産業廃棄物収集運搬及び処分業に隠れた行動である。
 観音崎に流れ着いた大村昆一の遺体は北側の潜水艦に渡され沖合いから海中で放出された。
 産業廃棄物で完全処分する能力もあるが敢えて死体を社会に晒す。
 本来ならワイドショーなどで強く追及される話題だが岡村一美及び新井絵里を重用参考人として手配に置き換えられてしまった。
 マスコミ系にも湯野中、娼国の影響力が及ぼしている。
 テレビ太陽のワイドショーで盛高知里は娼国系日本企業の代表として語る。
 これに反論するコメンテーターも数名出演していた。だが娼国の息の掛かったコメンテーターも居る。
 司会は大田黒総一郎。七十年配で元は左掛かったジャーナリストである。
 タイトルは娼国系日系人企業の亜細亜戦略。
 「娼国、R国系企業は日本に治外法権都市を造ろうとしています。実際に現在治外法権に近い状況です」
 関東大学客員教授大崎麻美である。
 一部では偏ったコメンテーターといわれている。だが美人の面影を残し人気もある。
 「それは違います。私共は中国に押され斜陽と成りつつある日本経済の煥発に貢献しています」
 盛高知里も反論する。
 「既に自治体を私物化しています。住民税半額。県民税も抑えています。市民水道料金無料化を唱えて市議会を乗っ取りました」
 「私共は公職選挙法に従って行っています」
 「既に姉ヶ崎ニューシティの住民は洗脳されています」
 「国民を洗脳しているのは日本のマスコミです。間違った政権交代がそのいい例です。あれで日本経済はガタガタに成り原発の後処理も沖縄問題も」
 二度の間違った政権交代はマスコミの圧倒的な後押しで実現した。しかし国民党とて政権の座が目的である。
 国民の受け入れやすい理想を掲げる。だがその弊害は限りなく経済を後退して主婦層に良くても若い男性の下層を日払い派遣に落した。
 しかし掲げた理想は実行不可能。実行出来なくて幸いである。理想の影で逆の弊害は多きい。
 原発事故の後処理の悪さはいつまでも後遺症を残す。国が総て解決すべきであった。沖縄問題は諦めていたものに火をつけ泥沼と成った。
 ベトナム戦争を起こしてその処理が出来なかったケネディとその副大統領。後始末をしたのは共和党のニクソンである。それとなんら変わらない。
 「姉ヶ崎、新青森、川越など大型シティの進出は日本への経済侵略です」
 政治学者の小保方説子は断言する。
 「日本も支援金を撒いて海外に進出しています」
 R国T市の不本意な豪邸でニュースを聞く滝澤沙緒里は娼国の傀儡人形となった盛高知里の雄弁ぶりに驚愕した。
 完全に先進国の社会派層に真っ向から闘っている。
 「娼国、R国企業と巧みに仕掛品を往復させて日本での利益を薄くしてニューシティから大方吸い上げています。日本に税金が殆ど落ちません」
 「税金は高い方から低い方の国に流れます。日本の直接税の高さがその原因です。娼国は非課税。R国は消費税のみです」
 「娼国、R国に本社を置く日本企業とその中枢が税金のない娼国とR国に資産を溜め込み日本から出稼ぎの女性に落としています」
 「日本企業である以上。いや日本国籍であれば役員以上は現地の課税があっても日本の税金との差額は日本に没収されます」
 「没収。納税するのが当然です」
 「その高い累進課税と法人税が日本の経済の足を引っ張っています。R国は国の経済部分を極めて薄くして10%の消費税だけで賄っています」
 盛高知里は大崎麻美の指摘に怯むことなく続ける。
 「何故10%の消費税だけで国が賄えるのですか」
 サブキャスターはテレビ太陽アナウンサー松本萌子である。
 盛高知里は居住まいを立て直す。松本萌子には既に娼国の息が掛かっている。独立してその後の起用も娼国系企業から約束されていた。
 「R国には自治体がありません。無駄な政治家、公務員が居ません。都知事や職員の無駄遣いに騒ぐ事もありません」
 「でも市長は居ますね」
 松本萌子は誘導して確信を引き出す。
 「市長は国会議員です。」
 「国、県、市の三段階にもなる日本の行政に比べて行政は一段階なのですね。役人も少ないのでしょうか」
 「余分な行政もありません。税率を小さくして企業及び個人の資産を呼び込むことでできる豊富な経済です。だから低い税率で賄えるのです」
 「確かに日本の体質では税率を低くすることは出来ない。多国籍企業が都合の良いほうに利益を上げて節税するは合法だがR国に問題も多いと思う」
 司会者大田黒総一郎が重い口を割る。その昔、亡き仁川と娼国で対談した大田黒代議士の父親である。状況の半分は推察していた。
 「そのR国に於ける低い税をニューシティの人口を背景に日本で市の単位で実現しているのですね」
 松本萌子は大田黒総一郎の発言を抑えて進行する。
 「高層階の販売物件には住民税の安さを目当てに資産家が住民票を移しています。これが税収を拡大しています。そして内需を格段に増やします」
 松本萌子は住民税が下がっても税収は得られることを説明する。
 「特に姉ヶ崎は最上階から東京湾を一望出来ます。本来の一戸建てが有ってもこっちで過ごす価値は高いです。その需要がニューシティを潤します」
 盛高知里が松本萌子の解説に付け加えた。
 「人口を集めたその中で収益の大方が娼国、R国に行っています」
 「それは先程も申し上げたように多国籍企業では税金の安い国で多くの利益を上げるのは合法です」
 先進国は国家の構造から高い税金の呪縛が企業、国民に圧し掛かっている。金持ちは税金の安い国に逃げる。
 だから生活保護以下の収入にも高い課税。もう貰えない層も年金を搾り取られる。住民税は特に下層の下まで課税する。自治体など要らない。
 高い二重三重の年金を含む税制。それは若い派遣層に重く圧し掛かる。
 先進国は体質を軽くしない限り国家の体質の軽い途上国に経済を奪われてしまう。
 「日本企業とその経営陣が税金を逃れてR国で女性を蹂躙して贅沢を満喫しています」
 「それも合法です」
 「しかし進出した都市を中心に日本から税金の掛からない方法で究極に吸い上げています」
 政治学者金尚中が突っ込む。
 「私共は日本で下層に追いやられた日払い派遣の人達を救っています。日本の派遣会社より高いレートで安定して仕事を供給します」
 「でも、それが日本に税金の落ちない温床です」
 再び大崎麻美が突っ込む。
 「さらに日本の悪質な日払い派遣会社が出すような将来性の無い単純労働はありません。そんな部分は総てシステム化ロボット化しています」
 盛高知里はまったく動じないで続けた。
 ニューシティのスーパーではレジは自動化されている。
 空港の手荷物センサーの様な物にかごに入った商品をコンベアーから流すと総てタグが読み込まれる。
 センサーの先にかごが出てくると駅の券売機のようなレジがありそこで清算するのである。
 精算が済むと商品が購入済みとなり持ち出しができる。
 総ての商品が店舗コードと商品コード、IDでユニークに成る。
 その商品データのフラグを購入済みに変更。スイカ、パスモが自動改札を通るのと同じ原理である。
 万引きも自動的にセンサーが摘発する。
 薄給の主婦が立ち仕事でいらいら並ぶ客を追われながら処理する詰まらない仕事は消えたのである。
 正規職員だけがサービスカウンターに居ることになる。
 「問題は日本人女性がR国に出稼ぎに行って売春する事だ。確かに派遣層の賃金を安定させているがその街が出稼ぎの募集所に成っている」
 「国外に出る自由はあります。R国で売春は個人で行わなければ合法です」
 「管理売春が合法という事ですな」
 大田黒総一郎が念を押す。
 「その通りです。管理されない売春はやらずぼったくりが横行してトラブル、事件の温床です」
 「まだ他の地域にも進出しますか」
 松本萌子が都合の良い方向に森高千里の発言を誘導する。
 「もちろんです。まとまった高層ビル群を造れる地域に進出して震災にも安全な街を造ります」
 それは一軒家を減らして中間層の抑制を意味している。
 「そうですね。姉ヶ崎や新青森、川越、静岡の街も震災、特に津波には安全ですね」
 聞いている滝澤沙緒里は盛高知里が自分らを救って船で逃げた時と比べて完全に意識が変わっていると感じずにはいられなかったのである。
 
 滝澤沙緒里は数日後内山莉緒警部補と木村史乃警部補に面会を許された。
 鉄格子を挟んでの面会である。滝澤沙緒里の居る鉄格子と内山莉緒警部補らの居る鉄格子の間は二メートルの通路が引き離していた。
 看守や警備員は居ない。どこかで監視しているだけである。
 「森高さんがテレビで何を言っても自分の今を護るためよ。人が変わったとは思えない。雄弁なのは元流通系の社長で国の事情を良く知っているから」
 内山莉緒警部補は森高千里が完全に向こう側に成ったとは思っていない。
 「そう。マスコミ側の女もあの議論を誘導していた」
 木村史乃警部補はテレビ太陽の局アナ松本萌子の事を言っている。
 「そうですか」
 二人の言葉を聴いて滝澤沙緒里も一時の絶望から覚めた。
 二人の生活を聞いて自分のお金を回したいがそれは許されない。二人の生活は完全に監視されている。許されるのは差し入れ程度である。
 滝澤沙緒里が娼館島の鉄格子を出てからこれまでの二人の状況を聞き終わった頃に真紀子が入って来る。
 三名に一気に緊張が奔った。




ご感想、アンケート
ご感想、ご質問、ご用件、ご依頼などございましたら以下のメールにお送りいただければ幸いです。
sado9364○yahoo.co.jp
(お手数ですが○を@に変えてご使用ください)


戻る
次頁

#カリ首