鬼三のSM小説
女衒の國

この物語はフィックションであり実在の人物機関とはなんらかかわりがありません。

その十五 生の女躰拷問秘宝館

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 二〇二一年秋分上元
 (この小説は2019年9月現在未来形です。またこの二十四節気は平気法によるものです)
 亜細亜に日系人の子孫が経済と政権を握る国家が二つある。娼国とR国である。娼国はR国から十数年前に独立した。
 この娼国が実質R国を支配している。その中枢は日系人の子孫と日本人。日系人は戦前、戦中に進出した女衒の末裔である。
 仁川前主席の父は終戦後も娼館島に残り現地と日系人の掛け合わせの女性を創り売春を続けた。
 さらに日本の戦後高度成長と平行してR国の経済を掌握した。
 そして娼国が独立した。
 R国は間接税10%のみ。娼国は非課税である。亜細亜全体から税金対策の本社を誘致する。
 逆にその娼国とR国の日系資本が娼国に本社を置いて日本亜細亜に経済侵略を展開する。
 これらは日本の政治家、官僚を多く抱きこみ資金を提供する。既に日本の中枢を押えている。特に警察官僚の懐柔が顕著である。
 仁川の死後R国は二つの資本に分裂して争いを始めた。
 だが日本からこの国を批判して干渉して来るマスコミ、フェミニスト、リベラルに対峙するべく力を合わせて闘わざるを得なくなった。
 これらの国は売春の自由国でありそれで経済が大きく循環している。そこに国際社会の末端から非難がくすぶり始めた。
 だが経済、会計に精通したシステムコンサルタント葛城義和の加入でサプライチェーンマネジメントを応用した経済吸い上げシステムを展開する。
 亜細亜経済侵略は万全に強化された。
 葛城義和は娼国と民事党幹事長平佐和の後押しで日本の総理と成った。日本の経済を完全改革して再び日本を経済大国に伸し上げた。
 しかし日本経済改革の目的は日本を活性化して娼国、R国に吸い上げる為であった。
 娼国、R国は海外マスコミシャットアウトである。侵入者は逮捕される。それでもマスコミ、フェミニスト、リベラルが進入して来る。
 娼国はこれらを捕らえて射殺または拷問する。今でも女性警察官、自衛隊員、ジャーナリストなどが数名捕らえられている。
 此処は娼国の南の島。娼国は北と南の二つの島から成る僅かな国土の国。南側の島は一般人の一切入らない島である。
 この島には港も空港もない。北側の島からは何も繋がっていない。周囲は断崖でその中の擂鉢状の平地に五棟の建物が点在する。
 その四つはゼロ歳から女性を育てる施設である。
 美形の男性と女性の掛け合わせで体外受精させる。この子種で代理母に毎年四つ子くらいを産ませる。
 美形でスタイルの良い売春婦を製造する島である。女性らは此処で完全なる娼婦教育を受けて十八で島を出て行く。
 残る一つの建物が特別な刑務所である。
 此処に娼国、R国に調査目的で潜入した女性が投獄される。
 この島に入るには上空からヘリを使うか海中の洞窟から地底の桟橋に潜水艦で入るしかない。
 天然の要害を利用した牢獄である。
 此処には現在二組の加重死刑囚が投獄されている。
 6号と言う房に以前から小林由美子と岡村一美が収監されている。
 7号と言う房にも今現在二人が投獄されている。数日前二人が此処を出て行った。
 釈放ではない。加重死刑の加重部分が執行されたのである。
 R国の奥地T市である。
 日本企業が多く進出している。日本人居住区があり治安の良い一帯が中心である。
 だが少し日本人居住区から外れたその付近一帯は現地人兵士と駐留米軍が多い安い風俗街となる。
 一番安い売春は十分千円から存在する。昭和四十年頃の沖縄と変わらない。
 その中に日本の温泉街に時々見かける秘宝館の様な施設が存在する。それは堂々とT市の市営である。
 その中には現物の女性を展示する区画まである。
 何らかの終身刑又は加重死刑囚がこれに当てられている。
 日本人が四人特別な区画で全身奉仕を強いられている。それは田中道子、竹内優子、吉岡理穂、竹田玲奈の四人である。
 四人とも凄惨な刺青をされている。
 二人ずつ交代で展示ブースに出される。全裸で開帳台に磔にされる。外から客がマジックハンドで女を責める。
 磔にされた女躰をさらに押えるマジックハンド。電マを付けたマジックハンド。ドリルバイブをつけたマジックハンドも数種類ある。
 R国の警察員が吉岡理穂の女の部分のびらびらを人の手型のマジックハンドで抓んで広げる。既にピンクの部分が責め続けられて真っ赤である。
 モニターがその部分を拡大している。警察員は手元で確認しながらドリルバイブ型マジックハンドの先端に付けられた擬似男根を挿入する。
 吉岡理穂の躰は僅かに後退りするだけで微動すら出来ない。
 スポイトでローションを流され擬似男根は強行に膣に進入する。
 吉岡理穂も毎回の事なので痛みのリスクを判って強く抵抗はしない。
 ドリルバイブが膣の中で始動すると吉岡理穂の本来は柔らかい美形の顔が一気に軋む。後は責められるままである。
 失禁、失神を愉しむことも出来る。
 吉岡理穂と竹田玲奈は他の四人の仲間と娼国の南の島に侵入した。
 捕らえられていると思われるフェミニスト仲間を救出して、娼国、R国の国際社会のモラルと相反する行ないを国際社会に公開する目的であった。
 失敗して仲間は殺され二人は捕らえられた。加重死刑囚として現在此処に展示されている。
 田中道子と竹内優子はそのもっと前からである。
 竹内優子は葛城義和が内閣の頃に娼国の工作員に日本で捕らえられた。葛城内閣に反旗を翻す過激派フェミニスト集団と位置付けられた。
 田中道子は五人の仲間と竹内優子を奪還しようと娼国の南の島に侵入して捕まった。だがこれは工作員の罠であった。
 他の仲間は全員殺された。女として価値が無かったからである。
 此処にさらに二人が追加された。
 真野枝里名元警部補と加東彩子元巡査部長である。
 此処に来る前にアメリカ海軍第六艦隊の幹部慰問に出された。其処で究極のSM拷問を受けて全身に刺青を施された。
 何故か今回真野枝里名元警部補の刺青は吉岡理穂と同じ絵柄である。加東彩子元巡査部長も竹田玲奈と同じ刺青を施された。
 絵柄が尽きたのか前回の刺青がベイソン中将に事の他気に入ったのか定かではない。
 真野枝里名元警部補と加東彩子元巡査部長は吉岡理穂ら四人とは別のブースに一日置きに交替で出される。
 産婦人科診察台に完全固定されている。首から上はガラス張りで仕切られた間仕切りの向こう側である。
 こっちは直に弄ったり責めたりが出来る。本番も可能である。一人ずつ膣を洗浄して生中出しが出来る。
 既に子宮を摘出されているので妊娠はない。
 予約して費用を払えば処女膜の再生も行ってもらえる。擬似処女破り体験も可能である。
 今日もR国の将校が真野枝里名元警部補を予約して遊びに来ていた。
 一人が終わったら完全に膣も躰も洗浄する。病気の検査も行う。
 将校は真野枝里名元警部補に生挿入しながら躰にクリップ鋏み付けている。
 太い凧糸で繋いだクリップを左右二系統で乳首から太腿まで五センチ置きに付けて行く。
 クリップは乳首、直ぐ下の乳房の白い皮膚、腹の横を通り開帳台に広げられた太腿の内側まで続く。
 真野枝里名元警部補の柔らかい皮膚を鋏んで連ねている。
 クリップの横幅は二センチもある。鋏む力は強い。
 興奮度に合わせて一気に片側の凧糸を引っ張る。クリップは一気に真野枝里名元警部補の躰から弾け飛ぶ。
 「ぐわああーーーーーーーーーーーーーーーーー。ぐうおーーーーーーーーーーーーーーーー。ぐおーーーーーーーーー」
 ガラスの向こう側から強烈な悲鳴が轟く。
 将校の挿入した膣は強烈に暴れ震撼する。するとさおへの刺激が強力に来る。これを繰り返す。
 真野枝里名元警部補の目からは涙が零れている。
 この泣き顔は将校の加虐心をさらに煽る。短い時間に真野枝里名元警部補の膣の中に三回も果てた。
 ガラスで真野枝里名元警部補の首から上を仕切っている。ガラスに漏斗が半円分客の側についている。
 そこからガラスの反対側に斜めに管が延びている。その先端は真野枝里名元警部補の顔に狙いが定まっている。
 客は開帳台の左右の踏み台に立つ。真野枝里名元警部補の躰を跨いで漏斗に少水を流す。
 真野枝里名元警部補の顔は左右をアクリル板に軽く押えられている。大きく顔を背けることが出来ない。
 漏斗の口から出たやや色の濃い小水は真野枝里名元警部補の眉間を直撃する。
 真野枝里名元警部補は目をきつく瞑って堪えるしかない。
 終わって客が部屋を出ると躰を洗浄する。スタッフが車を洗車するように真野枝里名元警部補の躰をゴムホースから出るぬるま湯で洗う。
 次の客が待っている。メンテナンスは十分で終了する。病気の検査も完了する。その検査も次の客は見ている。膣の内部まで丸見えである。
 躰のメンテナンスをしてもクリップに抓まれた痕は残っている。
 それでもそのまま続行する。次の客はR国T市の警察員である。
 既にドリルバイブを三本調達している。
 指に多量のローションを流して真野枝里名元警部補の膣に突っ込む。そのまま中を解す様に掻き回す。
 同じ様にアナルにもたっぷりのローションを付けて指を挿入する。
 「いやあーーーーーーーーーー」
 真野枝里名元警部補も諦めて無駄に騒がず堪えている。それでもアナルへの責めは強烈である。悲鳴を漏らしてしまう。
 警察員の客はスタッフに協力を要請する。三本の内一本はアナル用のバイブである。
 まずはアナルに細いドリルバイブを挿入する。
 「ぐううーーーーーーーーーーーー」
 それをスタッフに持たせる。
 さらにもう一本を膣に挿入する。
 「うぐううーーーーーーーーーーーーーーーー」
 スイッチが入ると真野枝里名元警部補の表情はガラス板の向こうで一気に軋み歪む。
 「ぐううーーーーーーーーーーー。ぐううーーーーーーーーーーー」
 きっちり固定されている真野枝里名元警部補の躰は動く限りに暴れる。
 真野枝里名元警部補はドリルバイブを膣から押し返してくる。警察員の客は腰を落として押え続ける。
 「ぐうあああーーーーーーーーーーー。ぐうあああーーーーーーーーーー」
 二本のドリルバイブの責めは強烈である。
 美人の責めに歪む顔はこの上なく隠微で客の股間に官能をそそらせる。
 「ぐおおおーーーーーー。ぐおおーーーーーーーーーーーーーー」
 真野枝里名元警部補は大口を開けて悲鳴を轟かせる。躰を突っ張り暴れる。診察台はやや軋み震撼する。
 スタッフは黙々とただ押さえ続ける。
 警察員の客は真野枝里名元警部補の表情とドリルバイブが二本刺さった股間を交互に確認しながら失神を愉しみに責め続ける。
 「ああーー。ああっはあーーー。ああーーー。ああはあーーー」
 真野枝里名元警部補は大口を開いて眉間に皺を刻みながら首を右に左に動かして逝き声を上げ続ける。だがなかなかそれ以上は変化しない。
 膣からはローションと膣液が混じった半透明の白く濁ったどろどろの液が流れている。
 真野枝里名元警部補も頑張っても無駄な事は知っている。それでも抵抗するのか官能に乗り切れないのかなかなか事態は変化しない。
 警察員は膣の方だけドリルバイブを一旦抜く。
 もう一段階太いドリルバイブを真野枝里名元警部補の目の前に翳す。
 真野枝里名元警部補は恐怖の表情を凍らせる。
 警察員は容赦なく挿入する。
 「うごーーーーーーーーーー。いやああーーーーーーーーーーーー」
 真野枝里名元警部補の悲鳴と叫びが轟く。
 もうローションは要らない。充分に膣はどろどろに膣液に塗れている。
 ドリルバイブの先端に装着した擬似男根は牛乳瓶の内径位の太さである。その半分近くを膣にめり込ませる。
 警察員はスイッチを入れる。
 「ぐうおおーーーーーーーーーーーーーーーーー。ぐおおーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 真野枝里名元警部補の表情は目をきつく瞑って究極に軋む。
 「ううおおおーーーーーーーーーー。いやだあーーーーーーーーー。こわいーーーーーーーーーーーーーー」
 真野枝里名元警部補は驚愕の叫びを上げる。
 「おおおーーーーーーーーーーーーーーーー。ううおおーーーーーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーーーーー」
 一気に官能に堕とされる。
 数十秒で首が倒れる。白目を?いて躰は診察台に沈む。
 ドリルバイブはただ回っている。真野枝里名元警部補の躰が揺れるだけで反応はまったく無い。
 警察員は真野枝里名元警部補の膣を軽く洗って。
 挿入する。乳房を掴み力の限り揉む。警察員は高い興奮度で一気に真野枝里名元警部補の女の中に情液を流し棄てる。
 ご他聞に漏れず診察台の左右の踏み台に立つ。小水でさおを洗うように半円形の漏斗から流す。
 もろに真野枝里名元警部補の顔面に掛かる。
 それが意識を回復した真野枝里名元警部補の目に入る。
 「ううーーーーーーーーーーーー」
 真野枝里名元警部補は目をきつく瞑って顔を振ってこの屈辱の情況に堪える。
 一人五十分。一日八人の相手をさせられる。
 一日置きである。
 六人は娼国の南の島と同じ様な鉄格子に入れられている。
 日本の刑務所とは違いバス、トイレが付いている。テレビも設置されている。食事は希望を聞いて貰える。
 アルコールも許される。
 それでもこれ以上酷い仕打ちはない。恐ろしい加重死刑囚の実態である。普通の人間なら自殺する。また自殺の制御もされてない。
 それでも彼女らは自殺しない。
 いつか同朋の救援が来て国際社会にこの国の実態が暴露出来る。そう信じて生き抜き闘い続ける意志である。
 
 此処はR国北側の奥地D市である。最近一気に開発が進んで空港が開港してその一角が巨大都市に成りつつある。
 その一角に大きな敷地を持つ日本旅館。そのVIP専用離れルームの露天風呂に娼国、R国の中枢が集まっていた。
 娼国の副首席北嶋真紀子を中心にR国北の影の実力者湯野中、日本の副総裁平佐和、日本の元総理葛城義和である。
 そして女将の市江廣子、日本の小倉紘子元警部及び出水茉里元巡査部長が同席している。女将の市江廣子を含めて終身女躰奉仕刑又は加重死刑囚である。
 だが市川廣子はこの日本旅館を経営して莫大な利益を得ている。出水茉里元巡査部長は葛城義和の女の一人である。
 小倉紘子元警部はつい最近まで娼国の南の島に捕らえられていた。平佐和の女に成ることでR国にて平佐和の経営する現地風俗企業のCOOに納まった。
 平佐和とはこれまで散々虐待を受けて来た関係である。平佐和が好きな訳もない。それでも今の決断をした。
 自分らを救出に来た渡辺則継元警視及びその仲間で共に苦楽を共有した部下の笛木祐子巡査部長の死。そして吉岡理穂らのT市での恐ろしい仕打ちである。
 だがそれだけではない。市江廣子の説得が大きかった。
 小倉紘子元警部には百八十度転換して平佐和に躰を任せてR国で資産を掴むのが最善であった。
 露天風呂では全員が全裸である。
 「日本から来る刺客でこっちの経済が日本で凍結される危険は無いの」
 出水茉里元巡査部長が真紀子の前で葛城義和に確認する。
 この度大高貞夫を特定するのに出水茉里元巡査部長の情報は大きかった。既に誰もが味方に成ったと認めている。
 「無いよ。日本の上部構造がこっち側に成っている。それでも何らかの事態の変化で押えれば逆に日本が経済的瓦礫の山だ」
 葛城義和は自信満々である。
 「そうよ。そうなったら日本の低所得層、非正規雇用は収入が無くなり高額所得層も半分近く収入を失うわ」
 真紀子も横から説明する。
 「国際社会が動いたらどうなるのですか」
 「せいぜいマスコミが批判するだけだ。軍事介入等あり得ない」
 「そうよ。まずアメリカは動かないよ」
 「ならば彼らが何をしても思っているような事態は実現しないのでは」
 「貴方はそれが判っていたからでしょう」
 真紀子は哂っている。滝澤沙緒里も出水茉里元巡査部長も同じだと言いたい。
 小倉紘子元警部は平佐和に躰を任せたまま話を聞いている。出水茉里元巡査部長はこの話を小倉紘子元警部に聞かせたかった様である。
 「ところで大高とやらは何を目的にしている」
 湯野中が話の方向を転換する。
 「日本の自立性よ」
 真紀子がきっぱり答える。
 「要するに奴の本来の目的はこっちの手が日本政府の中枢に伸びきっているのを排除したいのだな」
 「それには女性の目を売春、とくに現代のからゆきさんとこの国の風俗実態に注目させる」
 湯野中の確認に葛城義和が答える。
 「リベラル政党を連立化して政権交代を狙うか」
 「何処まで考えているかは判りません。今回の四人を現代のからゆきさんに混ぜて女を棄てさせてまで潜入を試みたのです」
 「要するに四人の女は大高に狡猾に利用されたか」
 「奴の目的は日本の自立性だけでしょう」
 今度は平佐和が断言する。いま出した結論の様でもある。
 「四人の女は自分らの判断でそうしたと告白しているのではないか」
 湯野中は四人の供述を取り上げる。
 「そう判断するように持って行ったのです。とても巧みに」
 出水茉里元巡査部長が葛城義和の背中に乳房を押し付けながら突然後ろから口を挟む。
 「そうよ。あの四人は売春撲滅に乗せられたのよ」
 真紀子も出水茉里元巡査部長と同じ見解である。
 「しかし大型資金源の総てを暴露出来るのかな」
 湯野中は資金提供の完璧さに自信を持っている。
 「出来ませんよ。出ても氷山の一角です。政治家も官僚も大方が正当な個人の収入になります」
 葛城義和は完璧に自信を持っている。そして自らは退任してR国からの院政状態である。手が伸びる恐れはない。
 直接金を提供するのは官僚だけである。
 政治家が起業していけない法律はない。公務員が株を買ってはいけない法律もない。娼国、R国と言う特殊な国体が総てを包括する。
 「彼らが成功する可能性は絶対無いの」
 「そんな事はない。だからこうして警戒を続ける」
 「彼らが成功したらこっちはどうなるの」
 「どうにも成らんよ。ただ日本の経済が瓦解するだけだ。それによって吸い上げる収益は若干減る」
 「日本が経済的に堕ちても彼らはそれを承知して闘うの」
 「承知してかは知らない。経済より主婦層の求める清い世の中が総てだ。先般の無能な政権交代が総てを物語っている」
 「ふーん」
 「清い世の中ほど貧乏を促進して弱者を地に堕とすものはない。腐敗混濁した世の中ほど下層は潤っている」
 平佐和はしみじみと発言する。
 「あの四人をこっちに送り込むのに稲村雄二元警視長と細野英二元二等海将だけが関与したのかな。もっと人脈がある様に思う」
 葛城義和の発言である。
 「二人を逃がした自衛隊の人脈ね」
 真紀子も同じ疑問を持っている。
 
 奈良県の奥。天川村をさらに奥に進んだ山間部。大高貞夫は隠れ住む古い民家を酒井美紀子の運転で出発した。
 同乗者は稲村雄二元警視長と細野英二元二等海将である。
 着いたところは天川村から峠を一つ越えた孤立集落。古い農家の周囲に他に八台の車が終結していた。
 農家の広い囲炉裏の間である。囲炉裏をやや遠巻きに囲んで十二名が座る。
 コピー機で印刷されたリストが数点配られる。既に内容はメールで配布されているので全員が目を通している。
 吉岡理穂の残した資料とその後の経過である。
 大高貞夫からこれまでの経緯が説明されてゆく。
 「この度は調査より捕らえられている仲間の女性を救い出すことです。彼女らは相当の情報を持っています」
 酒井美紀子が宣言する。
 「男性は誰も生き残っていないのですか」
 上野愛菜三等空尉の確認である。



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