鬼三のSM小説 続女躰崩壊
女衒の國

この物語はフィックションであり実在の人物機関とはなんらかかわりがありません。

続女躰崩壊

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 警察員もスタッフも盛高知里の行動の通りを証言する。
 行きも帰りも荷台はおろか車体の下を見るカメラ、赤外線センサーまで他に同乗者が居ない事を証明している。
 「盛高さんには数日前にきちんと見ないと駄目と注意されたばかりで。荷台から助手席まで確認しています」
 警察員は胸を張って答える。
 裏の崖下の死角を見張るカメラも屋上のカメラも何の変化も無い。
 「まだ中に居るだろう。徹底的に探せ」
 湯野中は日本人居住区の中に潜んで居ると見ていた。
 「一応沿岸と国境の見張りを強化しよう」
 「判ったこっちの空母を出すよ」
 真紀子は娼国の海軍を沿岸に出動させる手配をする。
 「中国国境を完全に固めよう。T国は心配ない。中国はどう出るか解らない」
 「そうね」
 真紀子も指宿の見解に同調する。
 更に指宿はラドルフマイカル少将に連絡する。北側の潜水艦を湾内に展開させた。
 「知里は何処に」
 「TSに向かっていると思われます。本日はチェックアウトしています」
 「G市で通過車輌のリストに運転者が金専務で、盛高社長が同乗と記録があります。三時間前です」
 「妥当な距離だな。男と一緒か」
 指宿も納得する。
 「第一、知里が飯星徳次郎らと繋がりがある筈がないぞ。十年以上こっちに居るのだ」
 「確かに他の線を考えた方がいいわ。無駄でも沿岸と港を固めましょう」
 真紀子も盛高知里の懸念は無いと考えた。
 
 盛高知里らはTSの漁港に着いていた。仕入れの在る水産会社の桟橋を借りている。
 船に荷物を積み終えて飯星徳次郎らは既に乗船していた。盛高知里は金達寿に会社を引き継ぐ書類を渡して最後の別れを交して船に乗り込む。
 「進路は」
 「BL国しかないです」
 「そうだな」
 その頃。娼国の空母は出港点検を行っていた。軍には不法入国のマスコミが逃走の恐れありと通達されている。
 漁船は最大船速である。三十二ノットは出る。軍艦には敵わないが客船などよりは遥かに早い。
 「奴らがあの日本人居住区に潜んでいると考えてくれればよいが」
 飯星徳次郎は不安を拭い去れない。
 盛高知里は既に死は覚悟していた。あの国で老いるのを待つくらいなら懐かしい日本に向かって最期の賭けである。
 このチャンスしかない。日本が帰化した者の亡命を受け入れてくれるか疑問であるが飯星徳次郎らの支援があれば可能性はある。
 
 「抜け穴を使ったという事は無いか」
 指宿は日本人居住区内の捜査に限界を感じていた。
 「どうしてあの抜抗の存在を知るのだ」
 「知里さんは」
 「教える訳が無いだろう」
 湯野中は憤然と否定する。
 だが指宿は納得しない。
 「知里さんはホテルの事務室には出入りしていたね。抜抗のデータは」
 「サーバーに有るが」
 「調べてみよう」
 指宿はExcelファイルを探してプロパティを見る。
 「最近誰かが開けたな。五日前だ」
 「なに」
 全員に緊張が走る。
 指宿は盛高知里の携帯を鳴らす。そろそろ通じても良い頃である。
 電源は切られていた。
 続いて金達寿の携帯に掛ける。
 金達寿は直ぐに出た。
 「盛高さんは其処にいるか」
 「いいえ。盛高さんは先ほど日本に帰りました」
 「うーん。どういう事だ」
 「回りには内緒で私に会社を引き継いで日本に帰ると言っておられました」
 「どうやって帰ったのだ」
 「漁船です」
 「どこの」
 「日本の漁船でした」
 「他に何人いた」
 「日本人が七人です」
 「そいつらは不法入国だぞ」
 「飯星さんと若村さんの査証は見せてもらいました。不法入国ではありません」
 「何故日本の船と解る」
 「第三花咲丸と書かれていました。船籍は根室花咲漁港です」
 その間にも指宿の部下と真紀子が指宿の会話を聞きながら手配に掛かる。
 「盛高知里が日本に帰れると思っているのか」
 「そんな本人の意志ではないですか。私は会社を譲ってもらいましたし」
 「何も解ってないな」
 「もういい。その男を責めるより協力させろ」
 湯野中が横から指令を出す。
 「いいか。お前の立場は微妙だぞ。これからこっちに協力しろいいな」
 「は、はい」
 「金はあっさりしゃべったんだろ。そいつは何も知らずに女に利用されただけだろ」
 「そのようですが」
 湯野中らはジェットヘリで潜水艦に向かう。洋上で合流する。真紀子は娼国の空母に向かうよう薦める。
 洋上に着いてからの判断となった。
 逃す訳には行かない。全員に緊張が奔っている。
 「おやじ。いったい何処で知里さんと奴等の接点があったのかな」
 「解らん。ジャーナリストなんかと接点があるとは思えなかった」
 「誰か紹介者が居たのよ」
 「例えば」
 「この国に住む日本人で飯星徳次郎か古館明と近しい人物ね」
 「知里に接点があるとすれば商品を納めるコンビニ、飲食チェーン、スーパーだ」
 「日本人経営のコンビニはまずない。日本人が関わればエリアマネージャーくらいだが。あまり居ないな」
 「飲食チェーンだが飯星徳次郎や古館明と接点があるかな。経営陣以外は現地人だけだ。客も現地人だ」
 「スーパーも同じだな」
 「日本人がこの国に来て飲食するのはホテルか個人経営の店だけだ」
 「ちょっと待って。最初に飯星らが現れた日本人料理店のマスター」
 「見張っていたんだろ。それに知里がそこまで食事に行く行動はあまり考えられないな。空港から向こうに行動半径はない筈だ」
 「言い切れるの」
 「そっちに行動半径はない」
 真紀子は津島に連絡を取る。既にS市の上空まで来ている。携帯は通じる。
 「盛高さんのTSのターミナルなら可能性はある」
 「どういうこと」
 「ちょっと当たってみる」
 津島は一方的に電話を切る。
 「どうしたんや」
 湯野中の質問に真紀子は津島の見解を説明する。
 直ぐに津島から折り返しの連絡が入る。
 「TS市の養殖場だ。其処で知り合ったらしい。どっちも養殖場に買い付けに来ている。」
 「判った」
 「だが。マスターを逮捕したりしないほうがいい。見張るだけで本人に影響がなければそれ以上動かない」
 「逮捕したりすると海外メディアが騒ぐかもしれないわね」
 真紀子も津島の言う事は理解出来ている。
 「何もしなければ奴はそれ以上騒がない」
 
 洋上を全速で航行する漁船の中である。
 若村真弓が肉を切り野菜を焼く。鉄板でバーベキューを楽しみながらビールとワインで乾杯して気を紛らわしながら会話を続ける。
 「ねえ。知里さんと同じ立場だった他の女の人達はどうしているの」
 「大方は持ち株の配当だけで生活しています」
 「株の配当だけで」
 「はい。湯野中系資本の保証する株ですから日本、韓国の大手企業と湯野中の資本が絡む企業です。損失が出た事は有りません」
 「何故。貴方は同じ道を取らなかったのですか」
 「閉鎖された社会に生きるよりは少しでも人と接する機会が有ればと思いました」
 「そう」
 「日本では相当にお金がないと買えない豪華なマンションと持ち株の配当だけで充分贅沢な暮らしが出来ます。この国を出なければですが」
 「何重にも湯野中の資本が亜細亜中から吸い上げる構造が出来ているのね」
 「資本の半分以上を系列で押さえて経営陣はその国の人を立てます。ですが末端の派遣従業員を安い賃金で働かせ利益の大方を吸い上げます」
 「本社と幹部をこの国に引っ張ってSM三昧にして亜細亜中から利益が流れる構造ね」
 若村真弓は日本国内の現実を思い浮かべて怒りを露にする。
 「日系人だけで上部構造を押さえて本来の国民は安い労働力にされ貧民生活というわけだ」
 「そうでもないのです」
 農民は湯野中資本や娼国系資本が機械化農場を作って土地に見合う分の資本参加している。
 漁民は船を提供され漁獲高は日系人が買い取ってくれるのである。
 工業に従事しても最下層の労働力ではない。ある程度はロボット化されそれ以外はもっと途上国から出稼ぎの労働力を入れている。
 「風俗に流れる女性が多いのでは」
 「それが現地の女性は減っています。最近は日系人には付きません。現地の女性は現地のお客のみです」
 「この国では風俗嬢を創っているのではないか」
 「そうですが現地の女性は生むだけです。種は日系人の掛け合わせです」
 盛高知里はそこまでしか知らない。現実は現地人用と一般日本人、日系人用であった。
 「それはこの国の民族ではないと区分されている訳だ」
 「それが日本人向けの売春婦ってこと」
 「そうです。でも日本人及び日系人幹部には日本からの出稼ぎの女性です」
 「まあ」
 若村真弓の表情は更に怒りを濃くする。
 「篠田茉莉の追っていった問題はかなり深刻な現実だな」
 「はい。私もその一人でした」
 「日本から連れてこられた人は皆どうしているのですか」
 「殆どがお金を得て日本に帰ります。私は湯野中の女にされ事情を知りすぎたため帰れませんでした」
 「最初にお会いした時にそう言われたわね」
 若村真弓は盛高知里から最初に聞いた説明を想い出す。
 「現地の女性で売春に入った人達はその先どうなるのですか」
 「大概はお金を得てお店を持つか湯野中グループの進める海外投資で老後は安泰です」
 「国から出なければ娼国や湯野中の経済力の恩恵で大方の国民生活は安泰という訳ね」
 「そうです」
 「政治に参加出来なくても文句を言わない範囲に安泰化させて外に出られないだけと言う訳ですね」
 「いいえ。政府の企画するツアーに限って海外旅行は可能です。むしろ海外の経済難民を見せる方針です」
 「なるほど監視付きかつ他と比較して自分等がむしろ恵まれていると教える訳だ」
 「そうです」
 
 真紀子は湯野中や指宿を伴って娼国の空母加賀の艦橋に居た。
 「索敵機は全部で四十機。二隻の空母から二十機ずつ出ています。一直が折り返す十八時に二直を出します」
 参謀らしき少将の徽章を付けた軍人が説明する。
 「暗くなる前に発見したいわ」
 真紀子も苛立っている。
 既に警備の艦船は漁船を片っ端からチェックしていた。船名等を航行中に変えるのは難しい。出港時に船名が書かれていた事は確認している。
 亜細亜で親日以外の国は少ない。T国以外娼国の力は及ばない。T国の排他的経済水域を脱出する前に押さえねばならないのである。
 
 指宿は別の作戦を考えていた。潜水艦二隻にF国に向かう航路とBL国に向かう航路に絞って追わせている。
 ベイソン少将に御願いしてアメリカ海軍のカールビンソンもその付近の海域に向かってもらった。
 
 「もうじき日が暮れる。T国の排他的経済水域から出ればあからさまな攻撃は出来ない」
 「もう一息ですね」
 河口晴奈が飯星徳次郎の気持ちに同調する。
 盛高知里は祈るような気持ちで無言である。
 木村史乃警部補は気分を紛らわすのにビールを飲みながら後方の空を見張っていた。
 漁船のレーダーに戦闘機、索敵機らしき機影は写ってない。
 時々ソナーを使って後方を確認する。ソナーに反応も無い。気付いて追って来るまでにはそれなりの時間が掛かる。
 
 R国北の潜水艦である。
 「艦長。この分だと追い着けるのが公海に出てしまいます」
 「全速で追いかければ公海に出たあたりで追い着く。必ず進行方向に居るはずだ。一気に艦首で蹴飛ばせば良い」
 「潜望鏡で船名を確認しないのですか」
 「已むを得ない。何としても止めねばならない。違ったら事故で済ませる」
 
 「ソナーに何か映っている。潜水艦かもしれない」
 ソナーを時々操作していた内山莉緒警部補が騒ぎ出す。
 「潜水艦だな。速度が速い」
 飯星徳次郎が確認する。
 「とにかく全員救命胴衣を」
 栗山秀樹が即座に救命胴衣を配る。
 「ゴムボートが有ったな」
 「有りますけど」
 盛高知里は不安な表情で唇を青くしていた。
 「近くに島が在る。追い着かれたらゴムボートで脱出して島に逃れて救援を呼ぶ」
 日は落ちている。飛行機からの発見は難しい。
 「真っ直ぐ向かってくる」
 「携帯は使えるか」
 「駄目圏外」
 木村史乃警部補が答える。
 「だめーー。突っ掛って来る」
 「エンジン止めろ。ボート下ろせ」
 木村史乃警部補と栗山秀樹が先にボートに飛び移る。
 栗山秀樹がエンジンを掛けた。
 飯星徳次郎と内山莉緒警部補が飛び移り他の三人を受け取る。
 栗山秀樹が舵機を操作して漁船から離れた。
 潜水艦が漁船を前甲板に蹴散らして浮上する。セイルだけを出して船体は潜った状態である。
 セイルに乗員が出て探照灯を照らす。
 漁船は転覆している。
 「左舷。ゴムボートだ!」
 「取り舵45!」
 潜水艦の船体は逃げるゴムボートの真下に来る。
 「浮上」
 ゴムボートを前甲板に載せた状態で潜水艦は静かに浮上した。
 直ぐにハッチが開いて自動小銃を持った水兵が出て来る。
 八人は潜水艦に収容された。
 潜水艦からの連絡で真紀子らがジェットヘリで追っかけて来る。
 「四人の女はもう一度捕虜ね。叔母さんと男は遺体でアメリカの空母で日本に帰すとして手引した女はどうする」
 真紀子は盛高知里をどうするか湯野中に確認する。
 「鮫の餌さだな」
 湯野中は怒りに任せている。
 「駄目よ。海に放り出して泳いで助かったらどうするの。殺すならコンクリートに詰めて発射菅から捨てるのよ」
 「鮫の餌では確実でないか。残りは海水を飲まして遺体で日本送りか」
 「違うわ。水槽に海の水を入れて水温を一気に下げて心配停止よ」
 真紀子はとことん用心深い。
 「なるほど自然だな」
 指宿の機転で危険を回避した。戦略は読めるが戦術では湯野中は真紀子に敵わない。
 そして盛高知里の裏切りは連れてきた日本人をどう処遇しても内心は刃を向けていたと悟らずには居られなかった。
 「沈めた漁船を調べたほうが良い。日本の船ではない。日本の船なら救命胴衣などに船名が入っている筈だ」
 指宿が疑問を呈する。
 「R国の漁船を偽装しただけじゃないの。こっちで造った日本製でしょう」
 「問題は盛高知里が一人で出来るはずは無い」

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