鬼三のSM小説
女衒の國

この物語はフィックションであり実在の人物機関とはなんらかかわりがありません。

続女躰崩壊

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 ここは日本を遠く離れたR国の奥地。日本人向け保養地で高級温泉旅館を日本的佇まいに造られている。
 専用露天風呂付客室である。二十代後半の細面、色白で上品な女性と七十に届く男性の二人が太陽の下で濃厚に戯れていた。
 「先生。私をこんな処にお誘いに成って、逃げたらどうするのです」
 「心配は要らない。真紀子さんの了解を得ている」
 女は男性の一物を細いしなやかな手で摘み舌の先で解してじわじわと刺激を加える。
 女の印象深い黒い瞳は男性の表情を見上げている。女は積極的である。嫌々やっている印象はない。
 「日本では大雪が降って、空港も電車もストップだ」
 「それは珍しいことで」
 女は露天風呂の石底に膝を揃えて着き男性は石の淵に腰掛けていた。女は執拗に男性のさおを責める。
 男性はその舌戯に驚いている様子である。
 女は舌先で男性自身の鈴口にのの字を書く様に舐め続ける。速度を上げたり落としたり巧みな技である。
 「どうします。このまま私の口で抜いてしまいますよ」
 「あんたの口に出せるとは夢のようじゃ」
 「それじゃあ。いいですね」
 女は亀頭のカリ首までを口に含む。中で亀頭の鈴口部分を丁寧にゆっくり舐める。
 一気に興奮は上がらない。徐々に高まるようにゆっくり舐める。
 女は片方の手で男性の手を自分の乳房に誘導する。
 「そろそろ果てるぞ」
 女は舐める速度を変えない。男性が果ててもまだ同じ速度で舐め続ける。
 男性は暫くそれに任せてやがて軽く女の肩をたたく。官能が終わりきった合図である。
 女はようやく口を離す。男性の情液は既に口には無い。
 「飲んでくれたのか」
 「そんな吐き出すなんて」
 「今のようにしてくれると官能が長く続いて気持ち良い」
 「悦んで頂けて」
 男性は満足そうに湯に浸かる。女は男性の背中に乳房を当てて一緒に浸かる。
 「どうします。ベッドの方に行きますか」
 「いや今ので暫くは」
 如何に精力的な政治家と雖も今の歳で二回連続は厳しい。
 「それでは。お酒のご用意にいたしましょうか」
 「今はビールのほうが良いな」
 女は湯から上がった男性の体を丁寧に拭く。拭きながらも時々乳首を当てる配慮を忘れない。
 下半身を拭くときは膝で男性の足を挟む。乳房は男性の膝にべったり当たっている。仕上げに軽く唇を重ねて部屋の方に促す。
 「先生。今日は私から少しお願いがございますのよ」
 女は冷蔵庫からスタインラガーの小瓶を二本取り出す。それを冷やしたグラスに注ぐ。
 軽くグラスを合わせる。
 「何だ。願いとは」
 「今この国では現地の女性を売春に使っています。私は日本人の街の中だけで日本人だけにするべきだと思います」
 「何故」
 「如何にこの国が今の政府の言い成りでも、この国の女性が売春を続ければ何れ批判が起きると思います」
 「外国人だけが限られたゾーンでやっている分には非難は起き難いか」
 「ええ」
 「だがこの国では女を養殖しているではないか」
 「あれは総て娼国の国籍です」
 「そうか娼国も外国だな。それに立場も上だ」
 「それに。その大方が日本人の血になっています」
 「あんた。ここで商売始めたのか」
 「はい」
 「しかしあんたの口からそんな言葉が出るとはな」
 「この温泉も私が経営しておりますのよ」
 「なんと!いつの間に」
 平佐和は驚きの目で市江廣子見詰める。
 「それで日本から女性をからゆきさんさせるには今の警察官僚の入れ替えが必要なのです」
 「うーん。俺に唾を吐いたあんたとは思えんな」
 「もう。その事は幾重にも私のこの躰でお詫び申し上げました」
 「いや。怒っては居らんよ。感心しとるんや」
 仲居が襖の外で声をかけて軽い酒のつまみになる料理を運んで来る。
 「かなり大掛かりな事になるがな」
 「東京都知事を入れ替えるよりは簡単と思われますが」
 平佐和は唖然として市江廣子を見ている。
 「ところで此処は北側の勢力圏ではないのか。あんたがどうして此処に」
 「この度のお話は湯野中も北嶋もお金を出す所存でございます」
 「あの仲の悪い二人が賛同したと言うのか」
 「はい」
 「いったい誰が調整したんや」
 「私ではいけませんか」
 市江廣子は印象の強い目を輝かせている。
 この時。平佐和は初めてこれまでの市江廣子とオーバーラップして悪女の本性を見た気がした。
 「うーん。あんたが一番悪党とは」
 平佐和は女の狡さを噛み締めたという表情である。
 「そんな。それには私は先生の足元にも及びません」
 「うーん。なんと。まあ。嫌とは言わんがな」
 「ありがとうございます」
 市江廣子はしんみり頭を下げて礼を述べる。
 「あんた湯野中を抱き込んだんか」
 「そんな」
 「このD市にも日本の工場が進出するらしいな」
 「はい。私が接待でたくさん戴いたお金で安く土地を買い集めまして、それなりに日本企業にお貸し致しまして此処でお遊びいただきます」
 何と。総て利益にし尽くすと言わんばかりである。
 「まあ。よかろう」
 平佐和はにんまり笑っている。
 
 其処はR国でも南側。中央駅を見下ろして建つ新日本空輸ホテルである。
 一つのツインルームに集まって日本人一団の会議が行われていた。
 「とにかく私は米倉礼子さんの会社があんな不渡りを出すとは思えません。保証協会の融資も満額ではありませんでした」
 米倉礼子のライバル誌を経営する四十代の女性社長若村真弓である。
 「闇金から借りる必要は無かったのですね」
 警視庁組織対策課の木村史乃警部補である。
 「そうです。インターネット通販サイトが当たりクセレントも儲かっていました。R国進出に資金が要るにもあれだけの不渡りは考えられません」
 「それに滝澤沙緒里さんと内山莉緒警部補の行方も解らないままです」
 国民党都議会議員河口晴奈である。
 「フリージャーナリストの新井弘樹もDNAが米倉さんの遺体から確認されただけで行方不明と同じだ」
 フリージャーナリストでカメラマンの飯星徳次郎である。
 「とにかく遺体が確認されたのは米倉礼子社長と警視庁元警部の古館明さんだけ」
 「警視庁は内山莉緒警部補の行方を追求しないの」
 「官房長から却下されたわ。きっちり圧力が掛かっている」
 「捜査依頼も出来ないのね」
 「偽名を使っていたので入国の事実は無いと。米倉さんの件は証拠物件まで提示されています」
 今回も河口晴奈と木村史乃警部補は偽名のパスポートで入っている。
 「元より捜査は出来ないし捜査依頼をしても同じ答えに成るのは解っています。総て篠田茉莉さんの射殺から始まっています」
 「そうね。篠田茉莉さんの射殺は完全に向こうは正当化している」
 「いま解っているのは全部T市で行方不明又は殺されたかよ」
 「米倉さんも古館さんも殺害と判断するか」
 「そうとしか考えられません」
 若村真弓は飯星の疑問にきっぱり答える。
 「そう考えて捜査してこの国の闇を国際社会に浮き彫りにするのよ」
 「拉致ではなく自分から行っているので日本政府が交渉することは無くても、そういう国の実態を浮き彫りにしてじわじわと国際社会に従わせるか」
 飯星の言葉は周囲に強い意思を感じさせる。
 「そう。それしかない」
 木村史乃警部補も賛同する。
 「この国も娼国も上部構造は大方が日系人だ」
 「そして日本企業、いや日系企業が経済の大部分を握っています」
 「娼国は99%日系人です」
 「そしてこの国から娼国が独立した形だが実質は娼国が支配している」
 「その娼国は最近軍備を着々と整えています」
 「それは中国が南シナ海で暴挙に出るから仕方ないとは言えるが」
 元警視庁警部補栗山秀樹である。亡くなった古舘明とは旧知の仲であった。
 「空母や日本のロボット技術を使ってロボットの師団まで配備されていると言う噂も」
 「日本からの税金逃れだけでなくやくざも売春も蔓延り放題。問題は日本女性がたくさん動員させられている事よ」
 「篠田茉莉さんはそれを追ってカメラ取材で射殺されたのね」
 「問題は凡てT市で起こっている。T市に行くべきね」
 「問題はT市に入る方法だ。鉄道は中央駅から海岸線にしか走って無い。高速道路はL字に走っているが途中迄でそこからは悪路の一本道だ」
 飯星は慎重である。
 「そこをレンタカーで行けば」
 木村史乃警部補は現状を分析出来ていない。
 「それでは完全に潜入は察知される。T市に工場の在る日本企業のトラックと物資を輸送するトラック以外殆ど通らない」
 「現地の人は」
 「この国の人は殆ど移動をしない。自家用車が普及してない。大方が農民か漁民又は日本企業の工場で働いている」
 「では日本企業のビジネスマンは」
 「移動はチャーターヘリだ」
 「空港も無いのね」
 「昨日降りた国際空港一つだけだ。あとは空軍基地が二つ。一番奥のD市に新しい二千メートルクラスの空港を建設中らしいが」
 「それで米倉さんはT市に家を買って工場を誘致しようとしたのね」
 「日本企業の進出に見せかけて全員が移動した」
 「それが直ぐにばれたという事ね。米倉さんの心中に見せかけた殺害まで僅か五日よ」
 「慎重に潜入しないと危険と言う事ね」
 「それ以前にこのホテルに居る事自体が危険なのではないか。古舘氏一行はこの反対側のセントラルホテルを使った」
 「ではどうします」
 「街の中の小さなホテルに移るべきだ」
 
 警察庁の木下優樹子警視から湯野中に連絡が入る。
 内山莉緒警部補と同じ課の木村史乃警部補が休暇を取って姿を消したというのである。
 湯野中は娼国の村上副主席に連絡する。村上副主席が安形、真紀子、津島に通知する。
 真紀子は平佐和と通話中であった。
 「私が湯野中に何か提案しても反発します。彼女を間に挟むのが調度良いのですよ」
 「しかし。変われば変わるというか青天の霹靂やな」
 「私も最初は驚嘆しました。でもその考え方が正しいと思います。元々経営感覚があったのですよ」
 「空港も計画されているらしいが。誰の案かな」
 「それも彼女が湯野中を説得したのですよ」
 「ふーん。何も無かったD市の土地を安く買い叩いて政府に開発させて価値を上げて高く儲けるか」
 「あの先生。ちょっと問題が起きたようです。この間先生からご忠告頂いて片付けた日本からの刺客。その仲間がこちらに向かったようです」
 「うむ。奴らも執拗だな。益々廣子さんの考え通りかな」
 「先生。暫くそちらでお遊びに成っていて下さい。私はこれからT市に向かいます」
 「判った」
 電話を切ると市江廣子が座っている。
 「先生。上の特別なお座敷に鍋とお酒の御用意が出来ました」
 「おお。そうか」
 「さあどうぞ」
 エレベーターで最上階に案内されると其処は風呂場であった。風呂の中央に囲炉裏が設えてある。
 風呂の中に設えた石に座って囲炉裏の鍋を頂く嗜好。正面はガラス張りで外の景色が見渡せる。
 その先では既に空港の工事が着工していた。
 天井はガラスのドームで密閉から換気、露天まで調節ができる。
 「これは素晴らしいな」
 「私も裸でお相手いたします」
 
 湯野中は指宿らを連れて内山莉緒警部補を鉄格子から引き出す。既に拷問の準備は出来ている。
 内山莉緒警部補と滝澤沙緒里は下着一枚で隣り合わせで鉄格子の独房に監禁されていた。
 「木村史乃警部補。知っているな」
 湯野中が詰問を始める。
 「それが」
 内山莉緒警部補は憮然としている。これまで散々玩具にされ尽くしていた。
 「おまえと同じ課の同僚だ。こっちに向かったらしい」
 「だから」
 「こいつに協力する奴は他に誰が居るかな」
 「知らないよ。知っていても言う訳無いだろ」
 「そうは行かん。関係者全員を挙げてもらう。この国に入ったもの全部を捜査する」
 「知らない」
 「しゃべらないなら」
 湯野中の視線は内山莉緒警部補の全身を舐めまわす。
 「躰に聞く」
 内山莉緒警部補はどうせやることは決まっていると憮然としている。
 「そうだ」
 「自白剤でも何でも使ったら。どうせ何も出て来ないよ」
 「随分自信満々だな。もう拷問慣れしたか」
 「違うよ。木村が何故こっちに来たかその意図さえ見当付かないよ。まして他の仲間が誰かなど」
 「まあいい。躰に聞くだけ聞いてみるだけだ」
 湯野中は指宿を促す。
 「親父。俺よりお嬢さんか北嶋副主席が適任だよ」
 「もうじき来るさ。それまで開帳台に固定して山芋漬けにしておけ」
 指宿は手を下さず部下を促す。
 内山莉緒警部補はこの拷問にもかなり慣れた。それでも表情は恐怖に引き攣っている。
 指宿の部下が四人がかりで内山莉緒警部補を開帳台に磔にしてしまう。ただ一枚身に着けていたショーツは切り落とされた。
 内山莉緒警部補の女の部分に開口器が捻じ込まれる。
 「ううーーーん」
 湯野中はじっくり大和芋を擂っている。
 「無駄だよそんな事をしても。何にも知らないよ」
 「それでもよい。おまえの苦しむ顔は蜜の味だ」
 「畜生。人非人」
 大和芋を擂った汁を粘膜に流されると堪えられない痒みを起こす。痛み以上の拷問である。
 
 飯星徳次郎一行はホテルを出て飯星が旧知の日本人マスターが経営する日本食レストランに入った。
 「そう言う事ならTS側に潜伏した方が安全だな。S市のホテルは全部完全に捜査される。此処も危険だ」
 マスターは長く商売している。国の内情にも詳しい。
 「何故。TSの方が安全なのですか」
 「この国で面倒なのは娼国派遣の警察員だ。それがTSには派遣されない。この国の市警だけならのんびりしていてたいした事は無い」
 「どうしてTSには娼国から派遣されないのだ」
 「北側の勢力圏だからだ」
 「どういうことですか」
 「この国には地図に描かれない。国際的にも知られていない支配者だけの境界線が有る」
 「その南側が娼国の支配下ということですか」
 「そう。娼国の安形、北嶋、村上の三つの資本下に有る。北は仁川前主席の資本を半分受け継いだ湯野中元副主席の資本下だ」
 「この二つは対立しているのだな」
 「微妙」
 「詳しく話して下さい」
 木村史乃警部補はつい警察官的な質問に成る。若い女の詰問するような言い方にマスターは少し嫌な表情を示す。
 「すまん。この人は警視庁の捜査官なのだ。職業柄からこんな言い方に成ってしまうのだ。許してくれ」
 飯星は木村史乃警部補を制してマスターに先を促す。
 「まず軍と警察は南と北でまったく別の指揮系統だ」
 「では村上首相はどっち側なのだ」
 飯星にはこれまでの認識が崩れる最大の疑問である。
 「双方で祭り上げた傀儡政府だ。湯野中氏の資本下に有るが村上娼国副主席の弟だ」
 「それでは議会の勢力は」
 「五十対五十。議会もただのパフォーマンスだ。双方の話し合いで決まる。元は湯野中氏側が四十五市だったがTSに繋がる五市が引き渡された」
 「どういう経緯でしょう」
 「娼国の北嶋副主席がR国内の麻薬栽培を廃絶する事を条件に海に面したTSまでを譲って国内の勢力を均等にしたのだ」
 「問題はT市なのですが」
 「あれは北側だな。それも湯野中氏のお膝元だ」
 「それでもTSの方が安全なのか」
 「特に南のS市は外国人が多い。娼国の精鋭がやって来る。北側は軍と警察を統括する組織が有るが普段は市長配下の市警任せだ」
 「そんなに現地の警察はのんびりしているのですか」
 「S市を除いて犯罪など無い。大方が平和ボケしている」
 「途上国なのに犯罪が少ないのですか」
 河口晴奈国民党都議会議員が疑問を挟む。
 「日本の様なホームレスや生活困窮者は居ない。安い売春が行き渡っているので性犯罪も殆ど無い。あまり追求もないが」
 「そんな。売春で治安が守られているなんて」
 河口晴奈はつい言葉を荒げてしまう。
 「止めろ」
 フェミニスト的不満をぶつける河口晴奈を飯星が制する。
 「何故この国の人達は移動することが少ないのですか」
 暫く黙っていた木村史乃警部補がやや低姿勢に尋ねる。
 「その市だけで総てが足りる。その上に移動手段が無い」
 農作物や漁業収穫は総て日系人が買い取ってくれる。コンビニもファミレスもどの市にも同じ様に存在するのである。
 流通の大方が日系人の手に委ねられていた。
 農民、漁民以外も日系人の工場で働いて安定した収入が得られ足りない分は海外から労働力を輸入する。
 そこに治安の乱れが起こりがちだが労働力の輸入は一括して行われて出入国から衣食住まで管理され寮に押し込めて給与は出身国の家族に前金で払う。
 これを管理するのがR国の原住民となる。
 ここに制度化されない階級が自然に成立してしまう。
 



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