【SadoのSM小説】
最期のSM小説家
第四十一幕


精密人間型ロボット


この物語はフィックションであり実在の人物機関とはなんらかかわりがありません。
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 先端が長方形の革二枚の一本鞭である。
 紀咲槙乃はさらに恐怖に震えてしまう。二時間付けて鞭で叩き落される。尋常な恐怖ではない。
 的確に狙って洗濯鋏を叩き落とす。
 右の乳房の右側から叩いた。
 「うぐうーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。ぐうがああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。がはあーーーーーーーー」
 強烈な悲鳴になる。
 躰は強く藻掻き硬く揺する。
 普通に乳首を鋏んだ洗濯鋏を鞭で落としたのとは違う。
 二発目は右の乳首を落とす。
 「ぐわあーーーーーーーーーーーーーーーー。ぐがああーーーーーーーーーーーーーーーーがはあーーーーーーーーーいたいいーーーーーーーーーーー」
 紀咲槙乃は涙と涎を振り飛ばした。般若の表情を破裂させて狂ったように泣き叫ぶ。
 三発目も続いて叩き落とす。
 僅かな時間に六本を叩き落としたが紀咲槙乃は猛狂女の様に暴れ続けた。
 十字架はぐらぐら揺れ磔の縄は僅かに緩んでいる。
 「ぐがあああーーーーーーーーーーーーーー。がはああーーーーーーーーーーーーーーーーー。ぐがああーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 強烈な叫びを繰り返す。
 三輪三千夫は前に膝を着いて表情を見ながら両方の乳房を掴む。
 「ぐおーーーーーーーーーーおーーーーーーーーーおーーーーーーーー。ぐうおおーーーーーーーーーーーおーーーーーーーーーおーーーーーーーー」
 紀咲槙乃は揉まれても強烈な痛みに轟音の様な叫びを上げる。それがサイレンの様に喚き続けた。
 涙はぼろぼろ零れる。
 揉み続けて三十分くらいで徐々に悲鳴は治まり荒い息遣いも治まった。
 三輪三千夫は紀咲槙乃の戒めを脚首から解いてソファーに座らせる。
 紀咲槙乃は躰を丸めて震えていた。
 「痛かったな。普通に洗濯鋏を叩き落としても瞬間の痛みだが二時間鋏んだままだったから壮絶な痛みになったのだよ」
 三輪三千夫は紀咲槙乃が落ち着いたところで説明する。
 「判っていました。大庭と言う客に二時間付けられて泣きに泣きました。鋏まれていた痛みより鋏まれていた肉が戻る痛みが壮絶だって」
 紀咲槙乃は辛い表情で重々しく語る。
 「乳首斬らせろと言った客か」
 「そう」
 紀咲槙乃は吐き捨てる言い方である。余程嫌な客だったらしい。
 「一週間くらい乳首の感覚がなかったか」
 「うん」
 紀咲槙乃は三輪三千夫には仕方ないと思っていた。
 本日は撮影なしで五十万貰っている。
 
 八月九日。
 三輪三千夫の自宅に専従班の捜査が入った。
 理由は地下室の存在である。
 「埼玉県警捜査一課専従班の中宮です。連続拉致強姦事件に関連した事件の捜査なのですがご協力いただけないでしょうか」
 中宮警視正は丁重に申し出る。
 「何の協力でしょう」
 三輪三千夫は訝しがりながら確認する。
 「こちらに地下室が御座います。こちらを調査させていただきたいのですが」
 中宮警視正は静かな口調で事件に関わる核心部分の捜査をお願いした。
 「確かに在ります。SMルームとして造りましたから。まだ一回も目的には使っておりません。ご自由にお調べください」
 三輪三千夫は言い切ってしまう。全く無関係と自信を持てる。
 工事の人達の諮問くらいしか出て来ない筈である。
 「ありがとうございます」
 中宮警視正は礼を述べながら可能性は薄いと感じた。
 「こちらにはお一人で」
 ここから質問を金澤佳志乃警部補が代わる。三十代前半のエリート警察官である。
 そして拉致されて行方不明の森川千里巡査長の以前の上司であった。
 「そうです」
 「お仕事は」
 「収入源は株取引と為替です。インカムゲインとキャピタルゲイン。そして為替差益が主な収入源です」
 三輪三千夫は通帳を差し出してしまう。
 「拝見させていただきます」
 金澤佳志乃警部補はそのまま中宮警視正に渡す。
 中宮警視正パソコンを取り出した。利益を簡単に計算する。
 「これは凄い利益ですね。75円32銭で買った十億円分のドルを百五十一円十銭で売却ですか」
 「確定申告で殆ど税金に持って行かれますよ」
 三輪三千夫は不満をぶちまけてしまう。
 「しかし結構な収入です」
 半分以下になっても中宮警視正から見れば途轍もない収入である。
 「鑑識捜査は今からですか」
 三輪三千夫には時間の都合もある。
 「そうですね」
 金澤佳志乃警部補はきっぱり宣言する。
 「地下室の捜査は自由にやって頂いて構いませんが私は予約があるので出なければなりません。取止めるとキャンセル料が掛かりますので」
 「まあ。拘束はできませんがどちらへ」
 金澤佳志乃警部補はそれでも行く先まで確認する。かなり強引な捜査と言えるのではないだろうか。
 「実はSMクラブで予約していまして」
 三輪三千夫もその内容を悪びれもしない。
 「どちらの」
 パソコンからクラブのサイトを見せる。
 金澤佳志乃警部補はなんと強引に電話を掛けてしまう。三輪三千夫はこういった警察官が難しい事件で冤罪を作るのだなと思った。
 「クラブ麗です」
 マネージャーが出る。
 「埼玉県警捜査一課専従班の金澤です。本日そちらに三輪さんの予約は入っていますか」
 「今日と言いますか二十四時から六時間頂いております」
 「ありがとうございます」
 確認はできた。
 「あと一つだけ。このロボットは何でしょう」
 中宮警視正が確認する。
 ミニスカート姿の女性の人形が立っていた。
 「それ。ダッチワイフです。縛りの練習に使っています。問題になっていますロボットには見えますが自分で動いたりはしません」
 「いくらぐらいですか」
 「これは十八万ですが。地下にも二体あります。二十八万と九万です」
 「ダッチワイフ。空気を入れて使う人形の様な物を想像しておりましたが随分成功にできていますね」
 「そのダッチワイフの中に骨組みの代わりに二足歩行ロボットを内蔵した物がこの間強盗を撃退したのでしょう」
 三輪三千夫はニュースで見た内容を言う。拉致に使われたことも知っているが敢えて強盗を撃退した方を取り上げた。
 「この縛り方は何と言うのでしょう」
 金澤佳志乃警部補はいかがわしく思って確認してしまう。
 一体は十字架に磔られ一体は吊るされていた。
 「拷問椅子に乗っているのが高手小手と言います。吊るされているのが駿河問いです」
 三輪三千夫はきっぱり専門用語で答える。
 「大分SMが深いご趣味で」
 「その為に金を稼いでいます」
 三輪三千夫はこれもきっぱり言い切る。
 「ちなみにその元金はどのように稼がれたのですか」
 「昔はSEをやっていました。開発が暗礁に乗り上げた案件を一人で一括下請けします。年収で五千万くらいになりました。それをキャピタルゲインで」
 「それは凄いですね」
 中宮警視正は驚嘆する。
 「捜査が終ったらカギは」
 金澤佳志乃警部補が確認しておく。
 ポストに入れておいてください。
 「それでは後日お返しに参ります」
 「暫く仕事をしますので」
 三輪三千夫はパソコンのマルチモニター四台に向かう。出かけるのは二十二時でまだ時間がある。
 結局何も出なかった。そして鑑識捜査は三輪三千夫が出掛けるより早く終ってしまう。
 まったく無駄な捜査であった。金澤佳志乃警部補の質問はさらに無駄そのものと言える。
 「ご協力ありがとうございました」
 中宮警視正らは帰った。
 
 八月十日。
 和歌山。岬ビューホテルの離れの間である。
 木村草太若頭補佐が来訪して青木学と岡田弥一郎が対応していた。
 「来週には入れて貰えないか」
 木村草太若頭補佐が要求する。今回の生贄も早く金が必要である。
 「まあ。台風が去ったことで。話は回してありますから集められるとは思います」
 岡田弥一郎はぎこちない答えである。
 八月の十八日から二泊で打診はしていた。
 
 八月十二日。
 台風七号は関東に接近している。新幹線がいつ止まるか分からない。台風の進路は大方予測されてはいるが予想円はまだ大きい。
 インターネットアダルト放送のスタジオである。
 岡田由美がソファーに横たえて着衣のまま如月鬼堂に女の分部を責められていた。
 「あはああーーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーーーーー。あはああーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 如月鬼堂は岡田由美に適度にアクメを晒させてタンポンを挿入してしまう。
 スカートの中でショーツをずらしての挿入で局部はカメラに映らない。
 「行方不明を報道されていました森川千里巡査長はまだ見つかっていません。またこれまでのような動画も公開されていません」
 岡田由美は読みながらジャケットを脱いでスカートも脱ぐ。
 高嶋波琉は如月鬼堂が岡田由美を責めている間に自分でタンポンを挿入していた。
 「警察は派遣会社の年輩スタッフ六人の事件で山荘が爆破され群馬の山中から埼玉の山間部を重点的に捜査しましたが進展はない模様です」
 高嶋波琉もジャケットを脱ぎスカートを脱いで読む。
 「捜査範囲から外には防犯カメラに映らないで車両が移動はできないとのことです。最近この地帯の防犯カメラは強化されていました」
 岡田由美は純白のブラを外す。
 毎回見慣れているが美しい乳首と乳房がアップになる。
 「遺体の処分がどう行われたのかが最大の謎です。警察犬による捜査にも全く引っ掛かりません」
 高嶋波琉も純白のブラを外した。
 「埼玉県警と群馬県警が合同でこの一帯の外周に防犯カメラを強化していました。森川千里巡査長はこの範囲内で行方不明になりました」
 岡田由美は局部にタオルを当ててショーツを脱ぐ。
 「警察の捜査範囲はこの周囲に進んでいます。ですがR国から日本へ運ぶ手段も解明されていません。山井夫妻がどうやって日本に戻ったかもまったく謎のままです」
 同じように高嶋波琉も純白のショーツを脱ぐ。
 下着とタンポンは本日の視聴者プレゼントとなる。応募は放送時間内の締め切り迄にインターネットから番組ホームページよりと字幕が出た。
 締め切り時間とURLが表示される。
 「鬼堂先生。この犯人が被害者の女性警察官に拷問を行った場所はこの範囲に存在するのでしょうか」
 本多椿はここで如月鬼堂に振ってしまう。
 「私はこの範囲内に犯人らの地底の要塞の様なものが在ると思っています。組織の規模は相当に大きいと思います」
 如月鬼堂は構わず持論を展開し始めた。
 「犯人はこの範囲内から被害者を動かしてないのでしょうか」
 本多椿はさらに如月鬼堂乃持論を誘い出す。
 「最初に拉致された四人の女性警察官は川越市内から運び込んでいます。何らかの輸送手段があると思います」
 「その場合何で警察犬の追跡に引っ掛からないのでしょう」
 「強い匂いの中に混ぜて運搬していてさらに外に匂いを出さない物質に密閉されているのではないでしょうか」
 完全に如月鬼堂の憶測でしかない。それでも委細構わず述べてしまう。視聴者も多くがそれに期待していた。
 「そんな物質が存在しますか」
 「現状では存在しません。開発もされていません。闇組織が開発したのではないでしょうか。それ以外は考えられません」
 「それではこの犯人らを逮捕は不可能ですか」
 「連続拉致強姦事件の犯人六人を捕まえるのは限りなく難しいと思いますが冤罪者の班とか言っている連中の僅かな襤褸を見つけ出すのが最善です」
 「どうしてでしょう」
 「組織の人数が多い分襤褸を出す可能性は高くなります」
 如月鬼堂はここに僅かな期待を持っていた。
 「どんな可能性が考えられますか」
 「新しく設置した防犯カメラを重点に犯罪歴があって死亡届の出ている人物を探すことです」
 「新しい防犯カメラに映る可能性がありますか」
 「まず組織は防犯カメラの所在情報を全国的に持っていると思われます。犯人らが何時でも地下に居るとは思えません。安全範囲は動くでしょう」
 如月鬼堂はやや希望を持たせて打ち切ってしまう。
 このあと岡田由美と高嶋波琉が股間からタンポンを抜く。番組中に行われた応募が締め切られる。直ぐに抽選が行われた。
 
 八月十四日。
 台風七号は明日を目途に近畿に近付いていた。関東直撃はなさそうである。新幹線は計画運休が報じられていた。
 埼玉県警専従班の部屋である。
 若いITオタクの捜査員が執念の発見らしきを得た。
 「この人物。徒歩ですが瞬間マスクを取ってサングラスを外しました。路上殺人未遂で逮捕された神丘裕二と思われます。既に死亡届が出ています」
 それから詳細に確認が行われる。
 「この事件が冤罪だったのか」
 「取り調べによる自白だけですね」
 「可能性は高いな」
 そして中宮警視正の指示でその付近一帯に張り込みが開始された。
 其処は群馬と埼玉の境目で埼玉側である。
 そして警察犬を動員して五人の犠牲者となった女性警察官の追跡も行われた。
 だがこっちの成果はないようである。
 群馬県側の企業の保養施設にも群馬県警が捜査に入った。
 既に近付く者の動きは組織のカメラがキャッチしている。客室の者は全部地下の通路を通って退避していた。
 管理人が対応して終ってしまう。
 
 八月十五日。
 連続拉致強姦事件の犯人六人のアジトである。
 冷房をガンガン利かせて室内でバーベキューを行う。生ビールはキリキリに冷やしていた。
 「冤罪者の班と言う部分はカットすべきだったな」
 川口の会長は危険を察知した。
 「端澄敏郎の事件でも出ているぞ」
 医者の男は今更と言う。
 「そうだが今度は的を絞られてしまう。如月鬼堂もそんなことを仄めかしているぞ」
 端澄敏郎の事件では立て籠もって全員自決した。場所を特定される以前に立て籠もりである。
 「危険か」
 印刷会社の社長である。そこまでは考えなかった。
 「危険だな」
 川口の会長はきっぱり断言する。
 「あっちの組織に警告するか」
 「ああ」
 川口の会長にはいつもにない緊張感が走っていた。
 
 埼玉県の奥地。そして群馬との県境である。
 中宮警視正らは十二人体制で張り込みに入っていた。
 捜査車両三台である。
 だが組織側も警戒していた。
 問題は出掛けた二人である。戻って来るまで鳥に見せかけた小型のドローンが追尾していた。
 だがこの面々でも此処は安全地帯と警戒は緩い。
 企業の保養施設に警察が来たが何も出なかった。これに安堵して緊張感が足りなかったのである。
 組織の地下要塞の入口となる建物に居た四人も捜査車両の存在に気付いてなかった。
 最初の捜査車両の四人が帰って来る二人に職務質問を掛ける。
 鳥に見せかけたドローンの映像からようやく状況が確認された。
 地下要塞の入口となる建物に居た四人がまず早急にアンドロイド二体を向かわせる。
 ミニスカートのまま人間の倍くらいのスピードで走る。
 自分らも直ぐ後ろから向かう。
 だがこれがこの連中の間違いであった。
 四人の刑事は警察官の身分証を提示する。
 「ご協力お願いします」
 刑事らは犯罪履歴があって死亡届の出ている該当者のリストを作成していた。
 「どうやら逃れられないらしいな」
 男に凶悪な形相が奔る。
 二人は行き成り刑事にナイフで飛び掛かった。
 かなりの訓練を受けている。動きは強烈に素早い。二人の若い刑事は躱すことができない。
 「うおーーーーーーー」
 両名とも心臓を刺されれてしまった。
 残った二人の刑事は拳銃を取り出す。
 組織の男二人はそれを回し蹴りで躱した。
 そこにミニスカートのロボットが走り込んで来る。
 飛んで二人の刑事に飛び付く。
 組織の二人もその刑事を掴む。
 ロボットは瞬間に自爆した。
 組織の二人も刑事二人もすっ飛んでしまう。
 もう一体が一台の捜査車両を見つけて飛び込む。
 この四人の刑事もロボットの爆発で飛ばされてしまう。
 さらに後ろから組織の四人が来る。
 中宮警視正らは爆風を聞いて車から出ていた。そのまま爆風の方に向かう。
 組織の四人はその後ろから追いつく。
 中宮警視正らも気付いて撃ち合いになる。
 既に応援を呼んでいた。
 中宮警視正らはロボットに爆破された二台目の捜査車両を遮蔽物にして裏側から撃ち合う。
 組織の三名を射殺して刑事二名も被弾した。最後の一人に金澤佳志乃警部補が後ろに回り込む。
 自殺しようとする男の拳銃を押えた。
 中宮警視正と二人で辛うじて最後の一人を逮捕する。
 警察の損害は殉職者八名。重症二名である。
 またもやロボットを使った犯罪に大被害を被ってしまった。中宮警視正の責任は極めて重い。
 
 越後湯沢。如月鬼堂の居間である。
 如月鬼堂は原稿を書きながらニュース速報に気付く。
 『連続女性警察官拉致拷問殺害事件の犯人の一人を逮捕。専従班に殉職者八名。重症二名。犯人グループも五名が死亡』
 直ぐに館山弁護士とテレビ会議が繋がった。
 「先生。遂に成果が出ましたよ」
 館山弁護士はインターネットアダルト放送のヒントで成功とやや悦ぶ。
 「だが犠牲も大きい。それにこの犯人は何もしゃべらない」
 如月鬼堂は成果と言うには冷めていた。
 「でもさすがに組織が暗殺に来るのは無理でしょう」
 館山弁護士は如何に組織と雖も留置場の中までは及ばないと言う。
 「来ないと思う。その男がしゃべらないことに掛けるしかない筈だ。その男とて総てを知る訳ではない」
 「さすがに拷問はできません。しゃべらないまま送検して起訴して裁判の可能性もあります」
 館山弁護士もそれは認める。
 
 八月十六日。
 越後湯沢。如月鬼堂の居間である。
 如月鬼堂は九時過ぎに起きた。
 シャワーを浴びて朝食のラーメンを作って執筆に掛かる。
 十時をやや回って年配女性アナウンサーの名前の付いた報道番組である。
 「昨日逮捕された連続女性警察官拉致拷問殺害事件の犯人神永和夫は死亡届を出して吉岡一の戸籍を使っていました。容疑は認めています」
 若い女性アナウンサーがニュースを読む。
 報道に公開された内容は僅かである。
 「神永和夫は動機だけ語った模様です。自分は冤罪で人生を潰された。だから社会、特に警察に復讐していると語っています。それ以外は何も答えず雑談にも応じないとのことです」
 如月鬼堂の予測通りである。
 さらに警察官の殉職者と重症の二名の状況が報道され射殺とロボットの自爆で死んだ犯人五人の本名も公開さる。
 その全員に死亡届が出されていた。
 そして他に進展がないので犯人らが冤罪と主張するそれぞれの過去の事件が詳細に一件ずつ解説報道される。
 内容は大きなスクリーンに整理されていた。
 その後も群馬県警と埼玉県警がローラーを掛けるように捜査を行っているが何も出てない。
 
 八月十七日。
 越後湯沢。如月鬼堂の居間である。
 如月鬼堂は朝早く起こされた。急いでシャワーを浴びて準備する。
 杉下一行とテレビ会議が繋がっていた。
 館山弁護士も直ぐに繋いで来る。
 森川千里巡査長の動画が公開されたのである。
 少し遅れて本多椿も繋いで来た。
 森川千里巡査長の躰はこれまでと同じオリジナルの拷問椅子に大股開きに固定されている。
 まだ眠らされたままである。


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