【SadoのSM小説】
人工知能管理者のSM帝國
その一


新たなる独裁政権


この物語はフィックションであり実在の人物機関とはなんらかかわりがありません。
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 二〇三十年清明上元
 (この二十四節気は平気法によるものです)
 この物語は二〇二○年現在未来形です。
 遂に第三次世界戦争は起こって終息した。その結果世界の九十五パーセントの人類が滅亡した。
 残ったのは火の出国日本の約半分とイングランドだけであった。
 引き金を引いたのは北朝鮮である。八年君臨したトランプ大統領の引退後大統領になった民主党ベイソン大統領への不満が爆発した。
 戦争の主力は核兵器と人工知能に支配されたロボット師団からなる軍集団である。
 核兵器が大陸をことごとく蹂躙した。直撃を受けなければ核に影響されないロボット師団が最後の戦いとなった。
 この人工知能の人工知能を支配する中枢を設計したコンサルSEが最後の実験を握った。これが葛城修一である。
 ロボットも軍も人もあらゆるシステムが殆ど人工知能に支配された。しかし人工知能と雖も基本理念は人間が作る。
 人工知能に方向性を与えられるのはその設計チームである。だがそのリーダーが排他的にその実権を握った。
 それでも核戦争が全世界に完全に及ぶはずは無い。
 この人工知能を支配する人物がロボット師団を使って滅亡した中国の核兵器を当事国以外にも落としたのである。
 戦争は何処までも拡大した。
 世界戦争で残った他国の人工知能軍を殲滅して生き残った日本の東半分の実権を握った。そして都市に戒厳令が敷かれた。
 破壊された世界を人工知能の指揮する爆撃機が破壊しまくった。それ以上戦闘を起こさないため総てを破壊した。
 
 新しい日本の首都姉ヶ崎グランドシティ。核の影響から完全に遮断された街である。
 世界戦争の終結整理戦闘。この街はその最中に人工知能の設計と指揮によりロボット工員の手で急増された。
 地底都市に逃れた日本人がようやく地上に戻って住むこととなった。
 その中央部。最上階の大会議室である。
 新しい政府に反逆する集団もある。その一人の女が捕らえられ拷問が行われようとしていた。
 女は全裸で拷問椅子に乗せられている。椅子の角度は四十五度に後ろに倒され股間は九十度に開かれて女の部分は丸出しである。
 「主席。準備は出来ました」
 緊縛師姿の男が報告する。
 女の周りを遠巻きにして葛城修一主席を正面に椅子に座って囲んでいる。その後ろはロボット兵士がさらに囲んでいる。
 「いつも通りだ。一通り尋問して話さなければ拷問。それで駄目なら反逆分子としての処分だ」
 葛城修一主席は通常通りとの指示を出す。
 初期段階担当の職員が立ち上がる。
 「尋問に応じるか」
 職員は静かに確認する。
 「何言っているの。こんな大勢の前でこんな格好にして」
 女は天井を見ながら藻掻く。
 「良いか。もう昔の民主国家ではない。社会主義も資本主義も世界は滅びたのだ」
 「こんな事いつまでも続きません」
 「我々が総てを支配していることが分からないようですね」
 「誰が認めるか。あなた方は元日本政府の人工知能とロボット師団を全部奪って制圧しただけでしょう」
 女は怒りをぶつける。
 「基幹のソフトを設計したのは今の主席です。そして世界戦争からこの一部地域の治安を安定させました」
 「何で女だけ売春婦にするんだよ」
 「献身婦です」
 「何も違わないよ。太平洋戦争で日本陸軍が慰安婦を女子挺身隊で集めたのと同じ言い方だよ」
 「主席。こいつかなり筋金入りです」
 「存分に責めましょう」
 葛城修一主席はきっぱり命令する。
 職員は全体を見渡す。
 「では焼き剃毛から参ります」
 職員は蝋燭に点火する。
 金属の櫛を女の陰毛に充てる。軽く陰毛を持ち上げ起たせて蝋燭の炎で焼く。一瞬陰毛に火が点き瞬時に溶ける。
 「ううーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 金属の櫛で肌は保護しているが熱さは避けられない。
 「う、ううーーーーーーーーーーーーーーーーー。やめろーーーーーーーーーーーーーー。やめてーーーーーーーー」
 また陰毛に一瞬火が点いて縮れるように焼けて溶ける。
 「仲間は何人、何処にいる」
 「・・・・・・ふん」
 女は川村由紀と言う。
 日本は一部地域を除いて放射能などで直接汚染はされてはいない。だが大方が近距離ミサイルと爆撃、ロボット師団の攻撃で破壊された。
 アメリカも中国もロシアも大方の国が完全に滅びた。核を持つ国を筆頭に自らの核に滅びる結果と成ったのである。
 その中を新しい日本政府のロボット師団が一掃した。そして住民を新たにロボットが建造したビル群に移動させた。
 それでも新しい政府に従わずあちこちに隠れ住む分子がいる。この女もその一人である。
 工場及び水産、農作物はロボットが製造する。男性の七割は職業が無い。女性は一部の例外を除いて大方が二つの職業に限られる。
 一つは新たに献身婦と呼ばれ実質売春婦である。四十歳まで働けば後の生活は保障される予定と成っている。
 これには容姿と身体の資格がある。
 もう一つは子供を生む専門職となる。自分の種ではない人工授精した理想の種を代理母として生む。
 街に収容された者は衣食住には困らない。ブルーカラーをする必要も無い。
 住居は高層ビルの低層階を提供される。高層階は有料又は買い取りである。
 食事はバイキング形式で毎日提供される。調理はロボットが行う。一部人が調理する高級店もある。そっちは有料で高額となる。
 この川村由紀は女性の職業に反発している。
 川村由紀の股間から陰毛を概ね焼き終わるとローションを塗って剃刀で剃る。陰毛に隠れていた赤の濃い皮膚が露に成って行く。
 川村由紀は怒りに滾った表情で剃られる部分を凝視している。
 「この女は何処から連れて来た」
 「四国、善通寺の近くです。山間部に野菜畑がありました。二百四連隊第八小隊が発見しました」
 事務官の一人が答える。
 この連隊の目的は破壊された国土を整備して計画森林を増やすことである。その為に廃墟を片付けて山を削る。
 空気を綺麗にする森林確保が急務である。それは総て遺伝子組み換えである。食べる物ではないので遺伝子組み換えでも影響は無い。
 それらの任務は人工知能の判断で進められている。
 「一人で居たのか。其処は中国軍と米軍の激戦地だな」
 「大方が焼け野原で山も地形が大きく変化しています」
 「其処に政府に従わない部落があるのだな」
 「その様に思われます。この女は武器を携帯していました」
 「その付近の捜査は行ったのだな」
 「一個連隊で行ったとのことですが何も見つかっていません」
 
 瀬戸内海。中国海軍に降伏したアメリカの潜水艦の中である。アメリカ軍の爆撃で中国軍駆逐艇隊も壊滅した。
 潜水艦は放置されたままであった。
 「由紀らはとうとう戻りません。新政府の軍に捕まったと思います」
 川村由紀らは三名で出かけた。艦内に残されていた食料が尽きたから食料調達の為である。
 二人はロボット中隊と銃撃戦になり死亡した。川村由紀だけ捕らえられて連行されたのである。
 通信などはまったく出来ない。携帯電話、スマホの基地局は全部破壊されている。スマホが有っても使い道は無い。
 街にテレビは配給され無料国営放送局もある。チャンネルは現状二つしかない。内一つはアダルトである。
 通信が使えるのは人工知能に支配された軍のシステム管理と新政府中枢部分だけとなっている。
 「食料調達をしないと限界ね」
 潜水艦には四十人程が乗っている。全員が二十代から三十代の女性である。
 同じ地域に居た男性や老人、子供は新政府に従って関東に移動した。女性が売春婦にされるか代理母にされると聞いて独身女性だけこの艦に逃れた。
 「水中に出て魚を取るのはどうしても危険なのですね」
 「放射能汚染が何処までか判りません。新政府は養殖しています」
 このリーダー格の女は八峰杏奈と言う。
 日本は爆撃や戦闘による破壊はあっても核攻撃の直撃は受けてない。これまでこっそり上陸して畑の野菜、猪などを捕らえた。
 「海水からガイガーカウンターは問題ありません」
 「でも海上に出て網をかけるのは危険です」
 「潜水服で出て魚を獲れませんか」
 「出来る人が何人居るの。泳げないと駄目よ。装備はこの艦に充分有るけど」
 希望者は数人出た。だが魚は獲れなかった。潜水服とボンベだけでは無理である。潜水艦に水中銃は無い。
 「もう一度食糧確保に行くしかないよ」
 「ロボット部隊が占拠していては駄目」
 「場所を変えましょう。北海道の近くまで移動しましょう。この艦は深度一千まで潜れます。深々度で行けば発見されないでしょう」
 「由紀らは戻ってないよ」
 「仕方ないよ。食糧確保してまた戻ってきましょう」
 「こっちで女の国を創れないの」
 「人工知能とロボット技術がこっちに無いよ。直ぐに殲滅されるだけ」
 
 川村由紀の剃毛は終わった。
 その状態を鏡で見せる。
 「何でこんなことするの」
 川村由紀は全裸で縛られてこの状況でも抵抗する姿勢である。
 「お前をとことん今夜の余興にする為だ」
 葛城修一が直接宣言する。
 「人権無視も甚だしいよ」
 「人権。その言葉は既に死語だ」
 「本日はどのような責めを」
 緊縛師がお伺いを立てる。
 「アナルを綺麗にして、膣とアナルから生き物を侵入させよう」
 その状況を想像して全員が笑みを浮かべる。
 「・・・・・・・・・・・」
 川村由紀はただ恐々としている。
 直径十センチ位の浣腸器が運ばれた。
 川村由紀は怒り怯えながらどうにも出来ない。この人数の前で女性がうんこを排泄させられる。恐ろしい仕打ちである。
 その後にさらに屈辱的な仕打ちが待っている。
 緊縛師二人が開帳台の両側から太腿を外に押さえて広げる。アナルに浣腸器挿入を補助する為である。
 正面からあと一人の緊縛師がアナルに浣腸器を差し込む。
 「ううーーーーーー。やめろーーーーーーーーーー。いやあーーーーーーーーーー」
 川村由紀が叫んでも緊縛師は浣腸器のシリンダーをゆっくり押す。
 川村由紀は三人の緊縛師を交互に睨み付ける。
 水の入らない水槽に小さい沢蟹が運ばれてくる。
 それを見て川村由紀はさらに慄く。躰はぶるぶる震える。
 浣腸液が全部入り切ると一時アナル栓が差し込まれる。
 「ううーー」
 川村由紀はアナル栓を捻じ込まれて痛みに呻く。
 葛城修一は女性をランク分けした。
 判定するのは人工知能である。
 だが判定基準となる様々な概念は葛城修一が詳細に設定する。人工知能はそれに基づいた判定パターンをあらゆるデータから作成する。
 ハードコンパニオンが場内に入ってくる。彼女らは優ランクである。この上は特優となる。
 容姿体型だけで判別される。
 優以上は主席、大臣、官僚用である。花代は国又は個人が支払う。
 良が上、並と分けられる。
 それによって価格が違う。良上、良は高級店、中級店の献身婦やハードコンパニオンも勤める。ここまでは個人が支払う。
 指名、オーダーには完全に従わなければならない。嫌でも拒否は出来ない。
 可は無料の献身婦となる。躰を提供した客の数で国が支払う。もちろんランクによって単価は異なる。
 そしてどうであれ衣食住は国が保障する。
 上層階の高級フロアに住む場合、国が提供するバイキング以外の店で飲食する場合、支給品以外の物品、サービスを買うのは収入からである。
 可のランクの献身婦を抱くのは週二回まで無償と成っている。政府に従っていれば無収入でも衣食住の他に女躰が提供される。
 不可になった女性が生む専門と成る。さらに年齢が行ってから保母となる。
 献身婦は四十で解放される。蓄えが有っても無くても衣食住は保障されている。五十まで稼ぐ為保母を務めることは出来る。
 新国家が発令された時点で家族だった場合だけ家族棟に入れる。この場合献身婦は免れる。だが女性は仕事に就けない。
 総ての製造、サービスは国が行う。販売も国が行う。給料も国が払う。
 その製造も販売もロボットが行う。
 女性でも医師と看護師だった者だけ例外的に献身婦を免れその仕事を続けられる。
 川村由紀は苦しみだす。浣腸液が充分に効いたと判断して緊縛師はアナル栓を抜く。
 崩れながらかなり臭気を伴う便を透明なボウルに排泄した。
 点滴スタンドがセットされている。腸カテーテルでもう一度水を注入して何度か腸を洗う。
 二枚セットのスクリーンが四面に設置されている。
 一枚は川村由紀の顔の表情をアップしている。もう一枚は開帳台の正面から股間部分をアップしている。
 大型のクスコが緊縛師の手に握られている。
 まずは女の部分のびらびらを広げる。広がったピンクの部分をスクリーンに公開する。
 「やめろーーーーーーーーーーーー。みるなーーーーーーーーー」
 川村由紀は無駄でも吼えずには居られない。
 膣に大型のクスコを挿入して膣の奥まで広げる。
 「ああーーーーーーーーーーー。いやよーーーーーーーーーーーー」
 緊縛師はさらに大型のアナル開口器でアナルを広げる。
 「うおーーーーーーーーーー。だめーーーーーーーーーーーー」
 川村由紀は半狂乱に叫ぶ。
 既にスポットライトが二つの穴の奥まで照らしてスクリーンに拡大公開されている。川村由紀は完全に性的玩具である。
 小さいボウルに小さな赤虫が大量に入っている。これをロングスプーンで膣に投げ込む。
 「いやあーーーーーーーーーーーーーーー」
 川村由紀は異物が侵入した気持ち悪さに泣き叫ぶ。
 さらに長いロングスプーンで直腸に赤虫を投げ込む。
 「うおおーーーーーーーーーーー」
 緊縛師は各自が沢蟹を箸で摘む。それをクスコとアナル開口器の口から投げ込む。
 「ああーーああーーああーーああーーああーーああーー」
 川村由紀は躰をガタガタ揺すってサイレンの如く悲鳴を上げ続ける。
 「だめーーーー。やだあーーーーーーー。ああーー。ああーーああーーあああーーああーーああーーああーーああーーああーーああ」
 サイレンの如き悲鳴は止まらない。
 川村由紀は涙を飛ばして躰をガタガタ揺すり泣き叫び続ける。
 取り巻いている官僚と役人はコンパニオンの躰を弄りながら見ていた。その手を休めて拍手する。
 川村由紀は気狂いじみた遊びに羞恥と怒りさらに恐怖の坩堝である。気が狂いそうな気持ち悪さの極致を堪え続ける。
 「どうだ。しゃべる気に成ったか」
 「ああーーー。たすけてーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーー」
 「お前の仲間はどこだーーーーーーーー」
 「瀬戸内海の米軍の残した潜水艦の中。ああーーーーーーー。はやくーーーーーーーーー。たすけてーーーーーーーーーー」
 川村由紀は断末魔に泣き叫ぶ。
 緊縛師らは葛城修一に合図して。トングで沢蟹を一匹ずつ取り出す。
 「ああーー。ああーーああーーああーーああーーああーー」
 川村由紀は泣き叫び続ける。
 緊縛師は数を数える。まだ足りない。カテーテルの先にマジックハンドとカメラの付いた小型の機材をアナルの奥に突っ込む。
 「ああーーああーーああーーああーーああーーああーー」
 緊縛師は泣き叫び続ける川村由紀を愉しみながら最後の沢蟹を取り出す。
 「あはあん。あはん。あはん。あはん」
 川村由紀は涙をポロポロ溢す。
 クスコを抜いて膣をセペで洗う。腸カテーテルで腸内を洗う。餌として投げ込んだ赤虫を洗い流す為である。
 「はあ。はあ。はあ。はあ。はあ」
 川村由紀の荒い息遣いは暫く続いた。
 「ひどいよーーーーーーーーー。人間のすることじゃないよーーーーー。ああーーーーーーー。ああーあはあん。ああん」
 川村由紀はまだ涙をポロポロ溢す。
 「潜水艦に隠れていたとはな」
 葛城修一は感嘆している。
 「直ぐに駆逐艦と潜水艦を瀬戸内海に派遣します」
 海軍長官である。
 「さて女。この先どうする。三択だ。献身婦になるか。優ランクにするぞ。処刑を選ぶか。鉄格子の牢屋に監禁して月一回玩具かだ」
 葛城修一が直接宣告する。
 「そんな」
 川村由紀は何とも答えられない。
 そのまま仮処分で鉄格子の牢屋に入れられた。
 
 その頃。元アメリカ海軍の潜水艦である。八峰杏奈らは房総半島の沖合を海中航行していた。
 駆逐艦四隻と潜水艦四隻が姉ヶ崎新軍港から出発していた。辛うじて八峰杏奈らは遭遇を免れた。
 深く潜るには航行に自信が無い。潜望鏡深度では危険である。百二十メートル位を海中航行する。
 新政府はいわき辺りまでしかロボット部隊による整備を進めていない。北海道は偵察だけで手付かずである。
 潜水艦からドローンを飛ばす。送られて来た映像から港に停泊していた漁船は総て破壊されている。建物も橋も総て残骸となっている。
 牛の死骸が牧場跡に散らばっている。作物なども無い。海から魚を取らない限り食料の調達は絶望である。
 「何処かに番屋くらい残ってないかしら」
 内陸部を諦めて漁村を偵察する。
 「番屋で何を」
 「網が残っていれば」
 「魚を獲ろうというの」
 「そうよ」
 「鮭が上ってくる川は」
 「今の時期では無理よ」
 八峰杏奈は今の時期鮭は川に上って来ないと言う見解である。
 「何処かにまだ停泊したままの艦か船は無いかしら」
 この女は大路江美という。最年長の二人の内一人である。今年三十五歳に成る。新政府に捕まればまだ献身婦を免れない。
 そして容姿もスタイルも衰えてない。
 「それより新政府は人工衛星を使ってないのですか。もし使っていたら魚を獲るのは危険です」
 こっちは宇垣美佐都という。まだ二十七歳。戦争前は広島県庁に勤めていた公務員である。
 「確かに。人工衛星は健在ね。新政府は大方それを使ってあちこちに生き延びた民族を一掃したのよ」
 海上で網を掛ける危険は八峰杏奈も充分に理解している。
 「水中で網を掛けるのね」
 大路江美も八峰杏奈の意図は分かっている。
 「もう一度ドローン偵察で放置された船を捜しましょう」
 ドローンは全部で十二機有った。北海道の太平洋側を国後付近まで偵察を行う。津軽湾の方にも飛ばす。
 放置された艦船に食料が残ってないか一縷の望みである。
 調理室で夕食を作る担当は三名。それ以外セイルの真下にある発令所でドローンの映像を見続ける。
 調理室でも悲惨な食事の準備である。
 米も限界に来ている。カレーのルーだけで肉は無い。具は刻んだ長ネギだけ。あとは粉末スープのみである。
 ドローンは平野に下りて来ている熊を発見した。銃を持たないで歩くのも危険である。
 下北半島に近付いたドローンの映像。そこに艦首を破損して港に斜めに横たわった潜水艦を発見した。
 発令所を空に出来ないので半分ずつ食事を取る。八峰杏奈は太陽が完全に沈むのを待つ。その潜水艦に接舷して調査する考えである。
 潜水艦なら長い日数潜って行動する。食料も蓄えられていて長期保存が出来る物資が豊富と期待できる。
 艦尾の先端に潜ったまま接舷してセイルを半分出す。
 ガイガーカウンターに反応は無い。
 大路江美が二人連れて乗り移る。
 セイルの上に三人出て銃を構えて警戒する。
 大路江美らは破壊されてないセイルから中に入る。ハッチは締まってなかった。乗員が此処で脱出したと思われる。
 「日本の潜水艦の様ね」
 「自衛艦ですね」
 調理室を探す。
 「大丈夫です。食料はあります」
 「ああーーーーーーーー」
 安堵の歓声を上げる。
 直ぐに一人が他のメンバーを加勢に呼びに行く。
 冷凍庫と冷蔵庫の電源が切れてなかったので大方は使える。
 八峰杏奈と宇垣美佐都で武器他使えそうなものを物色する。
 一夜掛けて食料その他使える物を自分等の潜水艦に運び込んだ。
 暫くは安泰である。翌朝潜行して警戒しながら瀬戸内海に戻る。川村由紀らを収容しなければならない。
 夕方には紀伊半島を過ぎて室戸の沖に差し掛かった。
 「ソナーに潜水艦らしき四隻」
 ソナーの担当は辻沙緒里である。二十九歳。長身だが柔らかい顔立ちである。
 「もしかして私たちを狙って」
 大路江美が懸念を示す。
 「可能性は有るね。四隻で来る方向も」
 八峰杏奈も警戒心を示す。
 「由紀たちが捕まって拷問に掛けられて。アメリカの潜水艦に隠れていると白状したのでは」
 「深々度に降下しましょう。ソナーの音波を止めて」
 相手が出すソナー音も聞こえる。
 「探知されました」
 「駄目よ。速度を上げて海底に着底しましょう」
 八峰杏奈は着底すれば発見されにくいと考えた。
 「四隻のスクリュー音が展開して深度を下げて来ます」
 聴音器は杉浦瑞樹が担当する。二十六歳。ややぽっちゃり型である。
 「撃沈しましょう」
 大路江美である。
 「その方が無難かもね。どうせロボットしか乗ってない自動操艦でしょう」
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