【SadoのSM小説】
最期のSM小説家
第四十四幕


新たなる劇場型犯罪


この物語はフィックションであり実在の人物機関とはなんらかかわりがありません。
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 「・・・・・ぐお。ぐうーーーーーーーーーーー。ぐおおーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーおーーーーーーーーーーーーーーーー」
 失神から意識を戻した北条優樹菜の藻掻く悲鳴が轟いた。
 続いて蝋涙を流し込んだクスコに半田鏝の先端部分を突っ込む。
 そのまま温く冷めた蝋涙がまた熱く成るのを待つ。
 北条鉄之助理事長にそっくりなロボットがもう一本半田鏝を差し出してクスコに突っ込んだ半田鏝を持つのを代わる。
 間宮祥太はそれを受け取って乳房に近づけた。
 「あーーーーーーーーーーーーーーふぁあーーーーーーーーーーーーーーー」
 北条優樹菜からさらなる恐怖の悲鳴が上がる。
 間宮祥太は落書きではなく白く肌理の細かい乳房に半田鏝の熱く成った部分を横にして当ててしまう。
 「ぐうおーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。うおーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 転がすように動かして乳房の皮膚を焼く。
 「ぐがああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。あふぁあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 北条優樹菜はそのまままた白目を剥いてしまった。
 間宮祥太は何処まで残酷にできるかまだ責めたい。
 この女を絶望の極致に堕として自分らを恨む事は一向に構わない。その恨みが少しでも北条鉄之助理事長にも向かえば成功と思う。
 そして北条鉄之助理事長が苦しみ同じような思想の知識層が言葉で非難し続けても心の底で恐怖感を味わえば良い。
 これが依頼人と自分の共通した意志だと思う。
 「電子メスは有りませんか」
 間宮祥太がロボットに要求する。
 別の忍者姿黒装束が高枝斬り鋏を持って来て渡した。
 「こっちの方が残酷に見えます」
 既に三人の忍者姿黒装束が待機していたのである。
 「同じ右側を斬って。片方綺麗に残した方が良い。その方がよりダメージが深い」
 医者の男が指示した。
 間宮祥太は依頼人の一人と思って従う。
 高枝斬り鋏の刃を開いて右の乳輪の外周に当てる。
 鋏んで伸ばす。そして一気に鋏み斬った。
 血が飛び散る。
 ここで三人が交代した。
 動画はここで終了している。
 
 「しかし奴らは何処までも次の手を考えますね。先生の希望されるどっかで静かに死んでもらえばは当分有り得ませんな」
 館山弁護士はしみじみそう嘆く。
 「この拷問場所は何処でしょうね」
 杉下一行は連続拉致強姦事件の犯人らが二つの拷問場所を使っていると認識していた。
 「こっちは潜水艦から運び込める立地だよ。そして一気に拉致して開放には何日も空いている。潜水艦の運航の都合じゃないか」
 「そうですね。その可能性はあります」
 館山弁護士ももう如月鬼堂の潜水艦説を否定しない。
 
 大阪。SMクラブのプレイルーム。
 宮崎能収は根津珠奈を後ろ手に縛って脚首を縛り合わせて逆さ吊るしにした。
 根津珠奈の躰は頭が床から二十センチくらいに天井から縦一文字に吊るされている。
 宮崎能収は卓球のラケットの様な形のスパンキングで持ち手の部分がやや長い物を手にしていた。
 床に膝を着いて自分の肩の高さにある乳房を叩く。
 「うぐうーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 ややくぐもった声の悲鳴が良い。
 平たい革で長めのアームを持って柔らかい乳房を叩く。かなり痛い筈である。
 続けて叩く。
 「う、ううぐうーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 根津珠奈は顔を真下に向けて悲鳴を絞り出す。
 かなり力の入った叩き方である。
 根津珠奈の乳房は片手にやや余る大きさ。叩かれれば強くへしゃげる。色は白く肌の肌理は細かい。
 乳輪は小さく鶏の鶏冠の様に赤い。
 宮崎能収は叩き続けた。
 興奮度はどんどん増す。
 「うう、うぐうーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。ぐうわああーーーーーーーーーーーーーーーーーー。あはああーーーーーーーーーーん」
 根津珠奈の悲鳴は徐々に涙声に成る。
 「あはふぁあーーーーーーーーーーああーーーーーーん。あはああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん」
 顔は涙に塗れて涎と僅かに涙が床に垂れ落ちた。
 宮崎能収は立ち上がって艶めいた太腿を叩く。
 「うぐうーーーーーーーーーうーーーーーーーーーーーーーー」
 根津珠奈の躰が空中で震撼する。
 宮崎能収はスパンキングを置いて教鞭の様な竹の鞭を持つ。
 それで二本揃えて吊るされた太腿の頂点を叩く。
 「ぐうふぁああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 根津珠奈は頭を前に擡げ振り子のように後ろに振って悲鳴を絞り出す。
 瞬時に蚯蚓腫れが浮く。
 少しずらしてまた叩く。
 「ぐうふぁああーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 根津珠奈の頭は反動で前に強く跳ね上がる。
 最初の蚯蚓腫れは既に紅く成っていた。
 宮崎能収は根津珠奈の綺麗な太腿をずたずたにしたい。紅い筋が浮くだけで全身が熱くなる。
 二十発くらい叩いた。
 根津珠奈の色白の太腿は真っ赤な筋が何本も浮き出して無残極まりない。一部鬱血も見られる。
 次は股間の隙間に覗く女の部分を叩く。
 「うぐうーーーーーーーーーーうーーーーーーーーーーうーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 強烈な悲鳴に成った。
 「がふぁああーーーーーーーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーー」
 吊るされた躰を不規則に捩って藻掻く。
 そしてそのまま暫く微妙に震え続ける。
 宮崎能収は満足そうにその姿を堪能した。
 ここで一回吊るしから降ろす。
 根津珠奈は泣き濡れていた。
 宮崎能収はその唇を貪ろうとする。
 根津珠奈は躱す。
 「待って。洗ってから」
 仕方なく一度シャワー休憩を与える。
 部屋の冷蔵庫のビールを飲み、乾き物をつまみながら待つ。
 宮崎能収は根津珠奈に加虐心が滾ってしまった。何か傷を残すような事がしたい。
 最後は眠らせて縄を解いて自分が先に出る。
 ラブホテルではなくマンションタイプのプレイルームなのでやり易い。
 プレイ時間終了まで行わないのでクラブが疑って連絡はしてこない筈である。
 途中確認が来ても本人を出せばよい。
 来るとしたら終わり近辺か中程である。
 根津珠奈はかなり長めの休憩でバスルームから出て来た。
 バスタオルを躰に巻いて来たので唇を濃厚に貪ってからバスタオルを?き取って拷問椅子に磔にしてしまう。
 
 和歌山。岬ビューホテル。小宴会場である。
 何人か会員が集まってばら撒かれた動画を鑑賞していた。
 「警察は全く手が出ないな」
 宇治原歳加年は他人事のように言う。
 「まあ愉しませて貰おう。どうせ非難している奴らもこっそり見ているのだ」
 赤座元太は連続拉致強姦事件の犯人にある程度近い位置にいた。だがそれが誰だかは知らない。
 青木学と岡田弥一郎も同様である。
 「三月は誰をショーに出す」
 瀬尾勝は次のショーを心配する。
 「先月二回やってしまったからな。四月まで待とうよ。連休もないし」
 青木学は動員が心配である。
 「もう一本入れたいな」
 岡田弥一郎はホテルの売上が欲しい。
 「三月は三月で終わりのころにやりましょう」
 瀬尾勝も愉しみが欲しい。
 「駒木帆乃佳でどうや」
 赤座元太が要求する。
 「いやーーーーーーー。あの時引いていましたから。SMは嫌や言うてましたな」
 青木学は難しそうな表情である。
 「いっそ今回は安くしてハードなしの羞恥責めだけでどうかな。あいつならそれでも行けるよ」
 赤座元太は強く押す。
 「それだと助かるな。料理と宿泊は同じだしな」
 岡田弥一郎は是非やって欲しい。
 そして駒木帆乃佳が寮から呼ばれた。
 「ええーー。ハード無しだといくらくれるの」
 駒木帆乃佳は金次第らしい。
 「此処の女の子のハードで全員集まって三百万だ。人数による」
 「じゃその半分くれない」
 「決まったな」
 赤座元太はOKを示してしまう。
 「そんなところだよ」
 宇治原歳加年も了解を表明した。
 「三十、三十一でやって帰りが一日に掛かると出られない奴が増える。二十三、二十四で行こう」
 青木学が決めてしまった。
 そして駒木帆乃佳は座敷に呼ばれたので今夜もコンパニオンの仕事に就いたのである。
 
 大阪。SMクラブのプレイルーム。
 宮崎能収は根津珠奈の女の部分を究極に弄んだ。
 クラブからの中間確認の電話は済んでいる。拷問椅子の上の根津珠奈に受話器を当てて対応させた。
 次の確認は終了の十分前である。終了はプレイルームに入った時間の電話確認から十二時十五分となる。
 潮吹き、カテーテルで導尿、尿道責め、バイブの二穴挿入の失禁と失神まで行った。
 「ピアスの穴ぐらいはOKだったね」
 宮崎能収は十センチくらいの針を数本取り出す。
 「・・・・・」
 根津珠奈は仕方ないと無言で頷いた。
 小陰唇を二枚合わせて抓む。
 「あ、ああ」
 突き刺されると分かって諦めながらの辛い声を漏らす。
 一気に突き刺してしまう。
 「うふうーーーーーーーーーーーーーー。うーーーーーーーーーーーーーー」
 根津珠奈は顔を歪めてやや甲高い悲鳴を漏らす。
 宮崎能収は二本目を取り出した。
 「・・・・・」
 辛そうに表情を歪めて身構える。
 一本目と斜めにクロスするように突き刺す。
 「ぐふうーーーーーーーーーーーうーーーーーーーーーーーーーー」
 根津珠奈は眉間に強い皺を刻んで大口を縦に破裂させて悲鳴を上げる。
 一本目と二本目は先端がクロスして接触させた。
 次は刺し込む側を二本目の下を潜らせて接触させて抓んだ指の下に刺し込んで貫く。
 「ぐうーーふふぁあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 根津珠奈の痛みに強烈に軋む表情が宮崎能収を熱くさせる。
 四本目はまた先端でクロス接触するように突き刺す。
 「ふーーふぁああーーーーーーーーーふぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 顔を震撼させて強烈な悲鳴が上がった。
 宮崎能収はスタンガンを取り出す。
 根津珠奈に緊張が奔る。
 突き刺した針に当ててスイッチを押してしまう。
 「ぐふぁああーーーーーーーーーーーーーーーーーー。ぐがふぁああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。いたいーーーーーーーーーー」
 根津珠奈の顔は強烈に軋む。
 「いたい。いたい。いたいーーーーーーーーーー。うぐううーーーーーー」
 大口を破裂させたまま何処までも悲鳴が轟く。
 宮崎能収は失神が狙いである。
 さらに電圧を上げた。
 「ぐがふぁああーーーーーーーーーーーーーー。いたいーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。いたいーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 根津珠奈は数分で白目を剥いてしまう。
 序でに失禁もしていた。
 少し前に尿道カテーテルで導尿していたので量は少ない。小陰唇の間から僅かに流れ出ていた。
 まずは失神させたまま麻酔を注射する。
 続いて針を抜いてゆく。
 僅かに血が滲む。
 そして解放した小陰唇の間から中に留まっていた尿が流れる。実に淫靡な光景である。
 宮崎能収は社会の窓を開いて一物を取り出す。
 ここで眠らせたまま挿入してしまう。
 溜まっていた興奮から二分くらいで果てた。
 中で確り絞り出す。
 クスコを差し込んで一応洗っておく。
 妊娠してしまったらゆっくり気付けば良い。付き合っている男でも居たらそいつの子供と思ってくれたら尚良い。
 避妊はしていると思うが何かのミスと思えば面白いと考えた。
 膣の奥に局部麻酔を打つ。
 さらにクリトリス付近にも打った。
 少し考えて鞭の蚯蚓腫れが何本も紅く成った乳房にも打つ。
 半田鏝を温める。
 加虐心は滾り切ってもう後戻りはない。
 まずは膣の奥。
 カテーテルカメラをクスコの枠にセットしてモニターに投影させた。ペンライトで照らして中を確認する。
 膣天井部の女の一番敏感な部分を焼く。
 根津珠奈の失神したままの表情を伺いながら高まる興奮度を押さえて執拗に焼いた。
 次にクリトリスを剥いてピンクの玉を剥き出す。それに半田鏝の先端を突き当てて焼いてしまう。
 感度が戻らないように執拗に焼いた。
 最後に乳房の鞭の蚯蚓腫れに紛らせて一筋焼いてしまう。
 急いで身支度をして拷問椅子の戒めを解く。
 そのままマンションを出て通りでタクシーを拾って大阪駅に向かう。
 スマホの位置情報を切って電源も切った。
 寝台特急が来るまで時間が有ったのでコンビニでビールとつまみ、弁当を買い込む。
 板氷も買った。
 A個室が取れていたので流しでビールを冷やせる。
 
 プレイルームの電話が鳴り響いていたが誰も出ない。
 マネージャーが確認に来た。
 拷問椅子に寝ていた根津珠奈を起こす。
 根津珠奈のバックは残っていて中から金も盗まれてない。
 一応無事だったのでマネージャーは帰って根津珠奈は一人でシャワーを浴びて衣装を着けた。
 局部麻酔が効いていたのでこの時点では悲痛な事態にまだ気付かなかったのである。
 
 零時三十三分大阪発東京行きがホームに入って来た。
 宮崎能収は寝台特急の個室に入る。
 直ぐ車掌が来て車内改札を済ませると飲み始めた。
 まだ興奮から覚めない。
 随分残酷な事をしてしまった。若くして女社長。その事業の運転資金作りというのが癪に障ったのである。
 明日はもっと残酷にしたい。
 宮崎能収は原発関連の下請け会社の役員だった。
 贅沢三昧に過ごしてきたが原発事故のあと数年経って会社そのものが廃業と成る。発注元の企業は運営支援会社などとして存続していた。
 無能な仙谷直人総理の原発停止策で潰されたのである。
 原発の再稼働に反対する知識層の意見に怒りを貯め続けて来た。明日はその一人の一番若い娘に報復ができる。
 興奮度は何処までも上がって行く。
 これまでの動画は全部見た。
 あのどの拷問以上に残酷にしたい。
 自分にこの報復相手を選んでくれたと感謝する。
 明日を最後に社会に報復をして自分の命を閉じる。
 未練はない。希望の無い僅かな年金生活に疲れた。
 子供は居ない。妻は自分に見切りをつけて他の男と再婚した。
 宮崎能収は寝台特急では朝まで飲み続ける。
 東京駅から快速で君津に向かう。
 約束は一時である。
 機密のビジネスホテルを予約した。二泊分払って四時間くらい休む。
 
 根津珠奈はその日は部屋に帰って休んだ。翌朝痛みで目が覚める。
 マネージャーに直接電話した。
 問題の無い医者を紹介される。其処で膣の中とクリトリス、乳房を焼かれたと知ることと成ったのである。
 傷害罪で訴えられるが治療費と慰謝料を請求した方が良い。
 マネージャーは公にしたくない。根津珠奈もそれは困る。
 だが宮崎能収には一切連絡が付かなかった。
 クラブが治療費を持って慰謝料は泣き寝入りするしかない。
 
 三月十八日。
 如月鬼堂の居間である。
 五人目の動画はまだばら撒かれていない。
 国会中継が行われていた。
 共〇党の年配女性代議士が総理を強く非難するような上から目線の口調で年金支給額の大幅見直しを提言する。
 年金はかなりの運用益が出ていた。大手の賃上げは満額回答の連続である。
 如月鬼堂もこれで年金支給額の大きな見直しをしてくれればその金額は消費性向に回って裾野から購買力が増して経済は良く成ると思う。
 だがこの党が提言したのでは岸元総理は聞く事はない。与党内から提言を出て欲しいものである。
 如月鬼堂は朝から執筆に集中していた。
 今週の分が完成したころ国会中継が他のニュースを挟んで政理審に切り替わった。
 何か出て来るかとマスコミは期待していたが衆議院の四人参議院の三人と何も変わらない。
 如月鬼堂はまず結果は判っていると殆ど聞いてない。
 「ねえ。パパ。全員嘘ついているよね」
 珠洲と瀬里奈は確り中継を見ていた。
 「誰が提案したかに拘っているが。本当に曖昧じゃないか。俺たちの昔の仕事では議事録を取っていても本来後日関係者に配って異論が出たら修正する」
 「それじゃ本当に曖昧なの」
 「議事録でさえ書いた人と発言者で食い違う。自分の身内が書いた内容でも自分の発言と違う。逆に客とは一致したりする」
 「じゃパパが書いて訂正させられた事も有るの」
 「何回も有る。それも自分の記述と客とこっちの発言者と三通り違ったりするよ」
 「それじゃキックバックの継続は誰が決めたの」
 珠洲は如月鬼堂の見解に興味を持って追及する。
 「こういうケースは考えられる。その日は何も決まらなかった。後日この五人より影響力の有る人物が事務局長に指示した場合だ」
 「それは誰」
 「可能性は杜永元総理、亡くなった細河元会長、そしてまず関係ないが大泉元総理だ」
 「それじゃこの五人は決めてないの」
 「幹部と言ってもどれも小物だよ。五人ともあれだけの派閥に一人で影響力は持たないよ」
 如月鬼堂はやや呆れていた。
 「何でみんなこの五人を責めるの」
 「それはな。野党は民事党の議席を少しでも減らしたい。知識層は民事党よりもっとリベラルな党に交代させたい」
 「そうだね」
 「マスコミは大衆の興味の湧く方に報道する。公平にと言いつつリベラルのモラルが正義と根付いてそっちのコメンテーターを出演させる」
 如月鬼堂も不満である。綺麗すぎる社会より風俗、売春が認められる自由で愉しみの多い社会に戻って欲しい。
 「ねえ。それじゃどうしてこの五人に限らず派閥の誰も影の権力の名前を言わないの」
 「この裏金自体が派閥の結束を縛る担保の様な物じゃないのか。僅かな金額を記載させないのはその為だろ」
 「ふーーん。それだから」
 「そしてもっと重い担保が有るのじゃないか。だから若い議員たちは自分からは何も言わない。幹部にトリガーを引いて貰って影の権力を排除させて自分らは将来の安全を確保したいのじゃないか」
 如月鬼堂もインターネットアダルト放送では言わない話である。
 そんな時。速報が流れた。
 『拉致されたと見られていた井原佐那さんが以布利港沖第三防波堤北灯台にゴムボートで漂着。命に別条なし』
 「ああ。五人目」
 珠洲がモニターを見ていて呟く。
 如月鬼堂もテレビモニターに注目して二回目に流れる速報を確認する。
 それから暫く経って杉下一行からメールが届いた。
 昼間に潜水艦からゴムボートを流すとは考えられない。
 発見が遅かったと思われる。
 そして発見の速報を待って動画を拡散したと推測されたのである。
 十分くらいで館山弁護士、本多椿とテレビ会議が繋がった。
 如月鬼堂は大型モニターに接続したパソコンから動画を再生する。
 「ねえパパ。夕食どうする」
 瀬里菜が時間を見て確認した。
 「寿司頼んで」
 「今日は誰も来ないよね」
 客人が来なければ三人前で良い。
 「うん。テレビ会議だからね」
 瀬里菜が電話で握りの一人半を三人前注文する。
 珠洲も瀬里菜も若く一人前の寿司では足りない。
 画面では井原佐那が根津珠奈と同じように後ろ手に腕を縛られて脚首を縛り合わせただけの縦一文字の逆さ吊るしにされていた。



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