【SadoのSM小説】
最期のSM小説家
第三十三幕


対抗してきたSM愛好会


この物語はフィックションであり実在の人物機関とはなんらかかわりがありません。
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 抽選に当たった会員は一人が擬似男根の先端を持つ。一人がドリルバイブ本体を持って橋場須美の膣に強引に挿入してしまう。
 「あ、ああーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 橋場須美は堪らない表情で声を上げる。
 その表情に強い戦慄が奔っていた。
 会員はドリルバイブのスイッチを入れる。擬似男根が回転して振動するタイプである。
 「あーーーーーーーーはーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーあはーーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーー」
 橋場須美は最初から堪えられない。顔の表情は一気に軋む。顔を傾けて大口を破裂させて声を上げる。
 「あーーーーーーーーあはーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーあはああーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーー」
 橋場須美の躰は藻掻く。太腿に力が入って筋肉が怒張する。肌理の細かい綺麗な肌が紅く染まって隠微である。
 「あーーーーーーーーーーーー。だめーーーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーあーーーーーーーーーー」
 会員は橋場須美の膣液が飛び散りだしたので強い濡れを確認して回転速度を上げる。
 「あーーーーーーーーーーーーーあーーーーーーーーーあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 橋場須美は全く耐えられない。僅かな時間で強烈な悲鳴が上がって首が倒れる。ほぼ白目状態で動かなくなった。
 会員は直ぐにスイッチを切る。
 もう一人がクスコを挿入して岡田弥一郎を促す。
 岡田弥一郎はスネークフック二本で蛇を掴み取る。それを会員の方に差し出す。会員はあとずさりしながらその場から離れる。
 「あんたがやれよ」
 その会員は離れてからそう叫ぶ。
 座敷は緊張の坩堝である。
 その中で岡田弥一郎がクスコに蛇の頭を挿し込む。ゆっくり頭を奥に進ませてゆく。
 座敷は無言のどよめきに包まれる。
 岡田弥一郎は執拗にゆっくりピストンを繰り返す。蛇の頭は奥の子宮口に何度か当たっていた。
 岡田弥一郎は充分な撮影を青木学と確認する。それから蛇を抜いて水槽に戻した。
 岡田弥一郎は橋場須美の失神状態を確認して乳房にスタンガンを当てる。
 「あがあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 橋場須美は一気に意識を回復した。
 「あはあーーー。ああ。ああ。ああ。はあ。はあ。はあ」
 橋場須美は荒い息遣いで周りを見回す。
 「女将さん。完璧に逝ってしまいましたね。女の躰は完全に逝ってしまうと失神してしまうのですよ」
 青木学がじっくり詰る。
 「ああ」
 橋場須美は堪らない羞恥に追い詰められた。恥ずかしさに真っ赤に染まった顔を強く逸らせる。
 「どうです。気持ち良かったでしょう」
 青木学はさらに詰る。
 「そんな。怖くて」
 橋場須美は悲痛な表情を崩して訴えた。
 「そうですか。気持ち良くなかったのでしたら。気持ち良くなるまで責めましょう。その前にこっちを見ていただきます」
 青木学はスクリーンに録画を再生する。
 録画は橋場須美が強烈な逝き声を上げて失神する場面から再生した。
 「あーーーーーーーああーーーーーーーーーー」
 橋場須美は自分のどうにも恥ずかしすぎる姿に悲鳴を上げる。
 「ここからですよ」
 青木学はクライマックスと注目を促す。
 画面は会員の手で橋場須美の女の部分にクスコが挿入されて女の奥を広げられる。カメラの光が内部を照らす。
 橋場須美の女の奥がスクリーンに拡大される。
 「あーーーーーーーーーー。いやあーーーーーー。あはあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん」
 橋場須美はあまりの姿に顔を振って藻掻き泣き悲鳴を上げた。自分で一度も見た事のない女の奥の部分である。
 次に岡田弥一郎がスネークフックで蛇を掴んだ姿が画面に反映された。蛇は舌を伸ばしている。
 「あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。いやあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 橋場須美は驚愕の叫びを上げてしまう。その躰は腰を引いて異常にぶるぶる震えていた。
 その蛇がクスコの中に入ってしまう。
 「あーーーーーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。やめてーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 橋場須美は強烈に喚く。
 録画は岡田弥一郎が蛇をクスコの中でピストンしている。
 「いやーーーーーーーーーーーーーー。いやあーーーーーーーーーーーーー。いやーーーーーーーーーー。いやーーーーーーーーーーーーー」
 橋場須美は泣き喚き続けた。
 やがて岡田弥一郎は蛇を抜いて画面から下がる。
 「あーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーー。あはあーーーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーー。ああーー。ああ。ああ」
 橋場須美の狂ったような息遣いはなかなか収まらない。
 暫くそれを見ながら待つ。
 そろそろ乳首を鋏んだクリップが二時間を経過していた。
 「女将さん。その乳首のクリップ。そろそろや」
 「ああ」
 橋場須美はその痛みも耐えがたいが蛇の恐ろしさにそれどころではなかったのである。
 「取る時が物凄い痛みや。如月鬼堂というSM小説家が出口のない痛みと書いておった」
 青木学が恐ろしい目的をここで宣告する。
 「えーーーーーーーー」
 橋場須美にさらに恐怖の緊張が奔った。
 今でも乳首は相当に痛い。
 ルーレットで抽選が行われた。
 抽選に当たった会員一人目が右の乳首のクリップを取る。
 クリップを二本の指で掴んで広げた。
 「あ、あーーーーーーーーーーーーーーーーーー。ううーーーぐううーーーーーーーーーーーーうううーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 橋場須美は片手で傷む乳房を強く包む。躰を暴れさせ翻筋斗打つ。拳骨で叩いて藻掻き苦しむ。
 「さあもう一つ」
 青木学が残酷な指摘をする。
 近くの二人が橋場須美の肩を押える。
 「あーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーー」
 橋場須美の躰は痛みに藻掻く。
 二人目が躰ごと震える左の乳首のクリップを掴む。
 「うおーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。ぐうううーーーーーーーーーーーーーー。ぐうおおーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 橋場須美は会員二人の押さえを振り解いて両手で乳房を強く包む様に押えて畳を転げる。
 「うおーーーーーーーーーーーーーーーー。うおーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 そして僅かに失禁してしまう。
 「ぐあーーあはあーーーーーーーーーーーーーーーん。ぐうあはあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん。あはあーーーーーーーーーーー」
 橋場須美は痛む乳首を掴み藻掻き続ける。
 「さあ。みんなで揉みますよ」
 「あーーーーーーーーーーーだめーーーーーーーーーーーー」
 橋場須美は乳房を両手で押えて躰を振って藻掻く。
 数人で押えて回転テーブルに乗せる。
 「あーーーーーーーーーー。いたいーーーーーーーーーーーーー。いたいよーーーーーーーーーーーー」
 それでも手、脚、腹を六人で押えて二人が左右から乳房を揉む。
 「うおーーーーーーーーーーーーーー。ううおおーーーーーーーーーーーーーーーーー。うおーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 何処までも橋場須美の強烈な泣き叫びが続く。
 会員は揉む手を交代して三十分くらいで全員一巡する。
 そのころには痛みもそれなりに治まりかけていた。
 きりりとした美人若女将の狂乱の悲鳴と涙、失禁は一同を心底満足させたのである。
 「それではこれから若女将を永久にパイパンにします」
 橋場須美は回転テーブルに磔にされた。
 一気に抜いては詰まらない。粘着テープを細く切る。
 粘着テープは幅七ミリくらいである。
 一人目がそれを縦に貼り付けて入念に擦って少し待つ。
 「行きますよ」
 会員が宣告する。
 「ああ。はい」
 橋場須美は何とかこれだけで済ませてもらった。次に金が必要になったら今度は膣を焼かせる約束である。
 会員はテープの両端を引っ張って一気に剥がす。
 「う、ううーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 テープを貼った下の陰毛が線上に一気に抜ける。
 痛みは一瞬。だが悲しみが大きい。
 次の会員が同じ太さで真横に貼る。
 橋場須美の涙を愉しみながら後は毛抜きで少しずつ順番に抜いた。
 全員が悦びを堪能することができて満足感が行き渡ったのである。
 少し時間が余ったのでもう一度パイパンになって剥きだしの女の部分をクスコで広げた。
 順番に覗いて躰に触りながら鑑賞する。
 橋場須美は恥ずかしさに高ぶった息遣いを漏らし続けた。
 橋場須美の上品な美人顔が恥ずかしさに紅く染まった姿は全員を真から満足させたのである。
 橋場須美は泣きながら礼を述べて脱いだ着物で躰のフロント面を隠して座を引き上げた。
 その後もスーパーコンパニオンが呼ばれ隠微極まりない宴会が座敷と露天風呂で続けられる。ホテルの売上げは二重に上がった。
 この先岡田弥一郎のホテルの営業も徐々に回復しつつある。
 
 四月二十五日。
 越後湯沢。如月鬼堂の居間である。
 昨日の岬ビューホテルでの内容は出席した如月鬼堂の会員の知人から報告された。
 月曜日だが館山弁護士と杉下一行が来ている。大河内税理士はまだ忙しい時期である。
 「確かに穏やかな内容になりましたね」
 館山弁護士はやや安堵を示す。
 「このまま静かにやってくれれば良いがな」
 昼食に仕出し屋から弁当が届いていた。
 「来週は二日連続開催ですね」
 今回はSM愛好会を三会場で五月一日、二日と二日連続で開催する。既に全席が埋まっていた。
 さらに如月鬼堂が所有する総てのプレイルームがGW明けまで予約で埋まっている。
 南七香もまだ先の経営が不安なのでクラブの予約は入れていた。大河内税理士も一日入っている。
 大河内税理士は南七香を虐めるのが好きらしい。
 南七香は嬉しくないがこれまでショーの出演で多大に応援してもらった。断ることはできない。
 「しかし津田泰蔵は何処に消えたのでしょうね」
 杉下一行は不思議である。
 「奴等は何らかの遺体処分方法を持っているのではないか」
 「やはり人を溶かせるジェルですかね」
 「もっと確実な手段があってそんな処理を高額で請け負っているのではないかな」
 如月鬼堂はもっと組織的なものを警戒した。
 
 連続拉致強姦事件の犯人六人のアジトである。
 本日も空気が澄み切って麓の町が綺麗に見える。本日は江刺牛が届いていた。鉄板で焼きながらサーバーから生ビールを注ぐ。
 「二つ良い話があった」
 川口の会長が語りだす。
 「川口の女将が何か言ってきたか。それともまた事件を起こしたい奴か」
 医者の男は遊びに飢えている。
 「こっちは横山深雪が最後の要求をして来た。それと川口の女将がこれと手を組んだ」
 川口の会長は小指カットをジェスチャーする。
 「不幸な女が紹介されたか」
 医者の男は期待を膨らませる。
 「そうだ。どっちも明日だ。一千万要求している。これが半分持って行きかねない。少し上乗せだ」
 川口の会長はやくざの取り分を考慮して余分に用意するように要求する。
 「分かった」
 医者の男らは承知した。
 「警察はまだ津田泰蔵の捜査に躍起だな」
 運送会社の社長は無駄なことと言いたい。
 「そりゃそうだろ。姉の婦警の死体の状況から簡単には終わらせられない」
 川口の会長は嘲け哂っている。
 「まあどんなに捜査費を使っても出ては来ない」
 廃棄物収拾運搬処理業の社長は自信満々であった。
 
 四月二十六日。川口の営業してない旅館である。
 仕出し屋が四人分の料理を運んで来た。
 紀崎真耶は客室のテレビを観ながら四人を待っている。
 ウトロの観光船事故のニュースがロシアとウクライナの戦争よりクローズアップされていた。
 紀崎真耶には別の意味で心に突き刺さる。
 自分ら親子の人生が一変したのは父の事故からであった。
 紀崎真耶の父は釣り船の一杯船主。天候が悪化しそうな日に予約の客がやって来た。
 父は天候の悪化を説明して出航を断り続けたが客は強引に要求する。
 客は何回も使ってくれた常連である。
 『今日出さないならこれから予約はしない』と言って来る。押し切られて出航してしまった。
 その船が事故になって乗っていた客八名と父が行方不明となる。客の二人だけが急いで帰港する漁船に救助された。
 残る全員が遺体で回収される。非難されたのは悪天候が予期できるのに釣り船を出した父であった。
 助かった二人は強引に出す要求をしたことは認めなかったのである。
 紀崎真耶の母は生活保護を嫌がって五反田のピンクサロンで働いて家族四人の生計を支えた。
 躰の総てを触らせて口の中で客に果てさせるサービスである。
 四十歳くらいまではなんとか稼げた。年齢と共に徐々に収入は減ってゆく。
 稼げる間にある程度は蓄えていた。それでも長い目で足りないと実感して手ごろな客を騙して金を得る。
 その客が逆上して母に灯油を掛けて火を点けた。近くに居た警察官が気付いて駆けつけ火を消す。男は逮捕された。
 母は病院に運ばれたが保険は適用されない。既に犯人に賠償能力もない。病院は生活保護を薦めたが母は拒んだ。
 正しい判断ができなかったのである。
 紀崎真耶が説得して生活保護を適用した時には手遅れであった。治療費入院費を高額で請求された。
 申請前の分は生活保護が適用されないのである。
 紀崎真耶の行き着いたのは杉本金融であった。だが融資はNGである。
 其処で墨田会系大船一家の大谷彰浩若頭補佐に出会う。その説得により此処の闇風俗にて一括で稼ぐこととなった。
 大谷彰浩若頭補佐は四人が来るまで立ち会う。
 四人は別々のルートで川口に着く。居酒屋で待ち合わせて旅館に入る。
 女将に六十万を渡す。本来四十万だがこれまでの暗黙の慣わしである。
 女将は深々と礼を述べて部屋に案内する。
 「あれ大谷さん」
 廃棄物収拾運搬処理業の社長が大谷彰浩若頭補佐と闇の仕事で知り合いであった。
 「お世話になっております」
 大谷彰浩若頭補佐は立って挨拶する。
 「こちらこそ」
 大谷彰浩若頭補佐は遺体処理でお得意さんである。
 大谷彰浩若頭補佐は残る三人に表の名刺を渡す。キャバクラを経営する会社の社長と記載されていた。
 「一千万と言うことで」
 医者の男が鞄から百万の束を十個出す。
 「先にお断りしておきます。私はここから二百万だけ頂きます」
 大谷彰浩若頭補佐は丁寧に了解を取る。この四人の素性は概ね解っていたからである。
 「まあ。二割なら極めて妥当でしょう。この先こっちで追加の交渉をしてもそっちは関係なしですね」
 医者の男は妥当性を評価して先のねごも取る。
 「もちろん。私はこれで帰ります。必要額は六百万で。予備に二百万と言うことで本人は了解しています」
 大谷彰浩若頭補佐は二百万を抜いて残りを紀崎真耶に渡して退席した。
 紀崎真耶はそれをバックに仕舞う。そのまま畳に手を着いて挨拶する。
 「こっちを向いて全部脱いでもらおうか」
 医者の男が命令する。
 本来なら躰を隅々まで見てから金を出す。だがその関係者の大谷彰浩若頭補佐が連れて来たのでそっちを信頼した。
 紀崎真耶はワンピース姿なので後ろのファスナーを降ろして肩から外す。一気に下着姿になる。
 ブラジャーからは標準サイズの乳房が三分の一はみ出していた。
 ストッキングの下に透けているショーツに包まれた股間の形は良い。
 四人はほぼ満足である。
 ブラを外すとほぼ円形の膨らみが露になり乳輪は小さく乳首は真っ赤で強く突起している。
 ショーツを脱ぐと陰毛は殆んど処理されてない。自然のままである。
 浣腸から開始した。味見の二穴挿入の準備である。
 バケツに水を入れて板氷で冷やしていた。それを浣腸器に吸い上げる。尋常な冷たさではない。
 紀崎真耶を恥ずかしい四つん這いにしてアナルに浣腸器の先端を挿し込む。
 注入を始める。
 「あーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 紀崎真耶は冷たさに悲鳴を上げる。
 冷たい水は紀崎真耶の直腸を襲う。
 「ううーーーーーーーーーーーーーーうーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。うーーーーーーーーーーーーーーー」
 紀崎真耶は一気に苦しみ始める。
 二百CCくらい注入してアナル栓を刺し込む。
 「ううーーーーーーーーーーーーーーー。うーーーーーーーーーーー」
 紀崎真耶は苦しみ藻掻く。
 四人は紀崎真耶を暫く放置した。畳の上で這い蹲って苦しむ姿を見ながらビールで乾杯する。
 仕出し料理はこの四人には満足の行くものではない。料理とビールは建前とサービスで実質的には裏の斡旋料と理解している。
 
 川口の会長と葬儀会社の社長は四月五日同様大和八木で金を下ろして生駒に向っていた。
 「近鉄は上手く特急が繋がらないな」
 葬儀会社の社長は普通電車が好きではない。
 「そうだなロングシートの急行は長距離には嬉しくない」
 川口の会長も同感である。
 「大和八木に寄らなければ早いが」
 「そうだな」
 「今回が最後か」
 「いや。もう一回伸ばそう。あの女将の涙は堪えられん」
 「はっはっは。そうだな」
 車両には近くに乗客は居ない。
 横山深雪は和服姿で待っていた。
 「約束通り五千万持って来た」
 小型のアルミケースに入れて渡す。
 「それで足りるのか」
 川口の会長は見透かしたように確認する。
 「はい」
 横山深雪は不安の過ぎった硬い表情で答える。
 「若宮寿々さんの方は改築を進めているのだろう」
 葬儀会社の社長は充分に状況を把握していて探りを入れる。
 「そうです。銀行融資も通りました」
 横山深雪はまた切り口上で答える。
 「それは良かった」
 川口の会長は率直にそう言う。若宮寿々には最終要求額を払った。躰も潰せるだけ潰した。
 「宿はまだ増える。健康センターもできる。女将さんは奥座敷の風格を売り込むことだ」
 葬儀会社社長の頭の中には温泉街復興の青写真ができている。
 横山深雪は二人が復興に本気で協力してくれていることを理解できていた。それには感謝している。金額から躰は仕方ないと言い聞かせてきた。
 「はい。ありがとうございます」
 言葉は普通だが横山深雪の口から出ると切り口上になる。
 横山深雪は要求される前に立って帯を解く。

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