【SadoのSM小説】
最期のSM小説家
第三十四幕


SMスーパーコンパニオン


この物語はフィックションであり実在の人物機関とはなんらかかわりがありません。
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 多嶋芽琉の躰は空中で二つ折り。それが振り子の様に前後に揺れる。
 それを正面から女の部分を狙ってもう一発叩く。
 「ぐうーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。やめてーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 多嶋芽琉の躰は激しく震撼する。
 駅の無人改札を出て直ぐに囲まれた。男らはマスク、サングラスだった。多嶋芽琉は瞬時に眠らされて相手をよく見てない。
 そしていま忍者の様な黒装束にサングラスで顔は全く判らない。
 「な、何で。私を」
 多嶋芽琉は悲鳴のあとようやく言葉が出た。
 「あんたが大下洋子の妹だからだ」
 男の声は抑揚がない。
 「だから何ですか。こんな格好にして!!」
 多嶋芽琉は猛然と抗議する。
 「あんたを人質にして選挙を降りる要求をした。それに応じないで警察に通報したからあんたの拷問動画を公開する」
 男は全く淡々としゃべる。
 「やめてーーーーーーーーーーーーーー。わたしにかんけいないよーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 多嶋芽琉は自分が犠牲にされた理不尽さに叫び抗議する。
 「関係なくても親族だ。災いは蒙る。あんたの姉さんが発言しすぎるからいけない。そしてあんたの姉さんはあんたのプライドより選挙を選んだ」
 男の抑揚のない声は動画では音声を消して字幕になっている。多嶋芽琉の声だけが肉声である。
 別の男が鞭を受け取る。多嶋芽琉の股間目掛けて構える。
 「あーーーーーーーー。やめてーーーーーーーーーーーーー」
 多嶋芽琉はそれを見て叫ぶ。
 男は振り下ろす。多嶋芽琉の小陰唇は閉じ合わせて突起している。それを強く叩く。
 「うぐううーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 多嶋芽琉の躰は小刻みに震撼する。敏感な部分を強く叩かれて強烈に痛い。
 「やめろーーーーーーーーーー。私は選挙に関係ないよーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。やめてーーーーーーーーーーーーー」
 多嶋芽琉は姉のことで自分が犠牲にされる理不尽さに喚く。
 「俺たちが一番悪い。極悪人だ。それは重々解っている。だがあんたの姉さんは政治生命を取ってあんたを見捨ててあんたに犠牲を強いた。解るか」
 男はやんわり諭す。
 「やめろーーーーーーーーーーーーー。私は民事党支持だーーーーーーーーーーーーーーーー。かんけいないーーーーーーーーーーーーーーー」
 多嶋芽琉は喚き散らした。
 「だがな。仕方ないよ。あんたの姉さんはあんたの全裸でお○○こ丸見えのサンプル画像を見てあんたを見捨てて選挙を続行したのだ」
 男はさらに諭す。
 「わたしにかんけいない」
 「親族は関係ないとは言えない。兄が犯罪者なら弟は世間から責められる。我々はあんたをこうするのが最善なのだ」
 男はやや口調が強調されたが直ぐに淡々と抑揚がなくなる。
 次の瞬間。隣に立つ男から鞭の先端が股間の粘膜に飛んで来る。
 「うーーーーーーーぐうーーーーーーーーーーーーーーーー」
 多嶋芽琉は大口を破裂させて歯を剥き出し悲鳴を搾り出す。
 「や、やめ、ろーーーーーーーーーーーーーーー」
 多嶋芽琉吊るされた躰を揺すって藻掻く。
 同じ男がさらに構える。
 「やめろーーーーーーーーーーーーーーー」
 縛られて吊るされている多嶋芽琉は局部を閉じることも庇うこともできない。
 躰を揺すって叫ぶ。
 男は三人だが普通のズボンやシャツと違って細かい体型が判らない。三人の区別も付かない。
 多嶋芽琉は痛みに暫く藻掻き続けた。
 男はそれでも狙いを定めて叩く。
 「ぐうおおーーーーーーーーーーーーーーーーーー。ぐごおおーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 また強烈な悲鳴を搾り出す。そして空中で狂ったように暴れた。
 別の男がドリルバイブを持って来る。
 一人の男が後ろに回って多嶋芽琉のお尻を両手で押えた。鞭を持っていた男が浣腸器に入れたローションを膣に注入する。
 「あーーーーーーーーーーーーーー。いやあーーーーーーーーーーーーーーー。いやだあーーーーーーーーーーーーーーー」
 多嶋芽琉は何をされるか解らない。恐怖に叫び捲くる。
 その男も浣腸器を置いて多嶋芽琉の躰の押えに加勢した。
 ドリルバイブを持った男が膣に挿入する。
 「あーーーーーーーーーーーー。やめろーーーーーーーーーーーーーーー」
 多嶋芽琉は異物を挿入されてさらに藻掻く。
 男は二人の押えに乗じてドリルバイブの擬似男根を手で持ってスイッチを入れた。多嶋芽琉が押し返そうとするのを強く押える。
 「あーーーーーーーーああーーあがあーーーー。ああがあーーーーーーーーーーーーあがあーーーーーーーーーああがああーーーーーーーああーーーー」
 多嶋芽琉は顔の表情を究極に軋ませ大口を縦に破裂させて強烈な声を上げ続けた。
 「ぐうあああーーーーーーー。ぐがああーーーーーーーーああがああーーーーーーーーーーーーーあがああーーーーーーーーーああがああーーーーーー」
 ドリルバイブの急激な責めに押し捲られ顔を右に左に振って震撼させる。そして藻掻き暴れ続けた。
 膣口からはローションに混じった膣液が飛び散る。
 男は一度ドリルバイブを抜く。
 「あーーーーーーーーーーーーああーーーーーーーーーあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 多嶋芽琉は軽く失禁尿を洩らす。
 「あーーーーーーーーーーーーーやめろーーーーーーーーーーーーあーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 男はもう一度ドリルバイブを突っ込む。
 「もうやめてーーーーーーーーーーーーーーーー」
 多嶋芽琉は堪えられずに叫ぶ。
 それでもスイッチが入る。
 「あごおおーーーーーーーーーーーーー。ぐあごおおーーーーーーーーーーーーーーーぐごおおーーーーーーーーーーーーーーーー」
 また狂ったように藻掻く。やがて究極に軋んだ顔は片方に倒れる。
 「ごお、お、おーーーーーーーーーーーーー。ごおおーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。ごおおーーーーーーーーーー」
 倒れたまま顔が軋み続けた。
 「あがあーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーあーーーーーーーーーーーーーあーーーーーーーーーーーー」
 やがて多嶋芽琉の首が倒れたまま揺れて白目を剥いてしまう。
 「一回目達成だ。診察台に移そう」
 其処にはSMの設備が充実していた。
 闇にスポットライトだけで部屋の構造は見えない。動画にも何も映っていなかった。
 男らは診察台に多嶋芽琉の躰を移して剃毛に掛かる。
 診察台で広げた股間部分だけスポットライトで照らして撮影した。
 多嶋芽琉は失神したままである。陰毛を整えていたので短い時間で剃毛が完了してしまう。
 無毛になった多嶋芽琉の女の部分は散々叩かれたのにまだピンと突っ張っている。
 男らは剃毛を終えて浣腸の準備をしていた。
 浣腸器に氷で冷やした冷水を吸い上げる。
 それを失神したままの多嶋芽琉のアナルに注入してゆく。
 「う、・・・う、・・・うーーーーーーーーーーーーーーー」
 冷たい液が直腸に入って多嶋芽琉は直ぐに意識を回復した。
 「やめろーーーーーーーーーーーーーーーー」
 多嶋芽琉は浣腸液を注入し続ける男に叫ぶ。
 「あんたのパイパン姿も確り録画したぞ」
 一人の男が浣腸液を流し込む横から別の男が詰る。
 「あーーーーーーーーーー」
 多嶋芽琉はドテに目を落として陰毛がないことに気付く。
 「う、ううーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。ぐううーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 多嶋芽琉は直腸の痛みが襲ってそれどころではない。
 男は浣腸器を抜いてアナル栓を捩じ込む。
 「あーーーーーーーーー。ううーーーーーーーーーーーーーーーー。うぐううーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 多嶋芽琉の腹は究極に痛む。その痛みに藻掻く。
 「暫く苦しんで下さい。排泄姿も確り公開します」
 男は恐ろしい宣告をする。
 この上排泄まで公開されてしまう。だが腹の痛みにもうどうにもならない。
 
 越後湯沢の如月鬼堂の居間ではテレビ会議を続けながら各々動画を確認していた。
 「さっきの動画とは全く別の事件だな」
 如月鬼堂は事件が二つ重なったと言いたい。
 「そうですね。全く背景も撮影の仕方も違います」
 杉下一行も同意見である。
 「そうだな。最初のは背景を後から消している。責めている人物も後から加工している。二番目のは計算して撮影されている」
 「そうですね。一つ目は行方不明の女子大学生が被害者です。二つ目は参院選立候補者の妹です」
 館山弁護士である。
 「野党の人気政治家を一人潰そうということか」
 「ねえ。パパ。それ与党の差し金」
 突然珠洲が会議に割り込む。
 「馬鹿な。与党はあの議員一人にそんなことはしないよ。個人的な恨みかテロの類だろ」
 「でも。大下洋子に何人も国会で叩かれていたじゃない」
 「それでもそんなことはしない。それにいま与党は選挙でかなり有理だ」
 「そうか」
 珠洲もそんなものかと理解する。
 「二つ目の。男は三人だな。まったく見分けは付かないが」
 「これ連続拉致強姦事件の連中ですか」
 大河内税理士である。
 「違うような気がするがな」
 如月鬼堂は否定する。
 「そうですね。やり方が違いますね」
 館山弁護士も同調する。
 「しかしどっちもあの連中が関わっていませんか」
 杉下一行である。動画の配信ルートは同じに思えた。
 「その可能性はあるな。後始末とか。動画の処理もやったかもしれないな」
 如月鬼堂は行き着くところと言いたい。
 「すると一本目の犯人は素人ですな」
 「うん」
 「二本目は右翼ですか」
 福富麻次郎はそっちに想定が行く。
 「依頼人が右翼で実行犯の奴等がプロなら判るが」
 如月鬼堂もあくまで想定の範囲である。
 
 動画では多嶋芽琉が腹の痛みに藻掻き続けていた。
 「その栓外して欲しいか」
 男の一人が囁く。
 「ううーーーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーはずして」
 多嶋芽琉は苦しさに堪えられない。
 「それじゃ。私のうんこ見て下さいと言え」
 「そ、そんなーーーーーーーーーーー。ううーーーーーーーーーーーー」
 多嶋芽琉は恐ろしい要求にさらに藻掻く。
 「嫌なら苦しみ続けろ」
 「うーーーーーーーーーー。だめーーーーーーーーーー。どうしてそこまでさせるの」
 「あんたの姉さんに妹がこんな目に遭っていますと思い知らせるのや」
 男の言葉は相変わらず抑揚がない。
 「何でそこまで」
 「あんたの姉さんの発言にむかつくからだ」
 「ううーーーーーーーー。姉を直に殺せば良いでしょう。ううーーーーーーーーーーーーー」
 「それでは唯のテロにしかならない。逆に社会全体から同情される。妹を見捨てて政治生命を護った女とラベルを貼るのだ」
 「判った。私のうんこーー見てください。ううーーーーーーーーー。これでいーーいーー。ううーーーーーーーーーーーーーー」
 直ぐにアナル栓が抜かれた。
 「ううーーーーーーーーーーーーーーー。ぐうーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 ズブーーーーーーーーーーーーーーーー。
 多嶋芽琉は苦しみ藻掻きながら診察台に設置された透明な容器に茶色い水を噴出す。
 水の後に崩れた便が断続的に飛び出した。
 「う、ううーーーーーーーーーーーーーー。ううぐうーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 それでも多嶋芽琉は腹の痛みに苦しみ続ける。冷水を注入された痛みはなかなか治まらない。
 男らが横から多嶋芽琉の腹を押えてマッサージする。
 「う、ううぐうーーーーーーーーーーーーーーー」
 まだ苦しみながらカレー状の便が断続的に流れ出てしまう。
 画面にはスポットライトの当たった多嶋芽琉の苦しむ表情が延々と焼き付いていた。
 無残極まりない姿である。
 その後も潮吹きと責め捲って漏らすシーンを撮影された。
 そして犯人らは多嶋芽琉に姉を殺す方法を教える。さらに自殺用の青酸カプセルを提供した。
 
 越後湯沢。如月鬼堂の居間である。
 二本の動画で如月鬼堂は疲れていた。
 「増えたな倒産が。三月から四ヶ月連続らしい」
 如月鬼堂が呟く。
 「行政が休業要請など出して協力金を送らしたり出ない業種があったり対応が悪すぎるからですよ」
 大河内税理士は自分の客が倒産で減って怒っている。
 夕食の出前が仕出し屋から届いてテレビ会議は修了となった。
 
 七月六日。
 和歌山。大森登喜江巡査部長は岬ビューホテルに任意捜査に入った。
 廃墟の温泉街に犯行現場の形跡がなかったからである。
 「客の滞在しない部屋だけですね」
 岡田弥一郎は念を押す。
 大森登喜江巡査部長もそこまでしか要求できない。容疑が固まっている訳ではない。
 この日も離れにはダミーの逗留客が居た。
 逗留客は会員の一人である。四日から逗留していると証言させた。
 これも川口の会長の指導である。
 ホテルの廊下も宴会場も森田緋香莉が入ったことはない。
 捜査は全く無駄であった。
 コンパニオンの寮は女性ばかりと捜査の対象とされてなかったのである。さらに女性個人の部屋までは難しい。
 動画の公開という犯罪規模から女性コンパニオンは容疑の対象にもならなかった。
 連続拉致強姦事件の犯人のような犯人像が想定されている。
 岬ビューホテルが疑われたが皆無となった。
 大森登喜江巡査部長は納得しなかったが和歌山県警は捜査対象から外してしまったのである。
 
 七月九日。
 インターネットアダルト放送のスタジオ。
 本日はメインキャスターの本多椿と高島波瑠、岡田有美もスーツ姿である。
 「五日の夜でした。渋谷駅で財布を線路に落とした客が財布を拾ってもらえず非情停止ボタンを押してしまいました」
 高島波瑠が読む。
 「駅員がその若い男性を怒鳴りつけていました。JR東日本も駅員の言動を詫びる結果となりました」
 「財布を落とした男性はこれを動画に撮影して動画投稿サイトに公開しました。賛否両論でしたが駅員の言動を応援する人の方が多いようです」
 本多椿の解説である。
 如月鬼堂は以下のように述べた。
 この人物の行動は鉄道運行法違反。たいして停止時間が経ってないので賠償は判りませんがその可能性もあります。
 何よりも行動が幼い。社会や組織の構造、バランスを判っていない。社会的知識が幼稚である。そして忍耐力が全くない。
 大衆の怒りは駅員の言動よりも電車を止められることに強く怒っていると思う。それがストレートな感情かもしれない。
 この男は財布を落として既にパニックになっている。パニックになった人間はこの駅では非常に危険である。
 何故なら山手線の渋谷駅は車掌から見渡しが効かない。カーブの部分に造られている。
 昭和三十年代には外回りの電車がホームに入る時ゴンゴンゴンと警告のドラが鳴った。
 駅員の言動以前。JRの社員は大手鉄道のエリートである。まずパニックの人間をサポートして宥め諭してそれ以上のパニックを招かないことである。
 翌日になる等との答えはさらにパニックを招く。
 この場合は自分で取らせない。静かに諭して取れるタイミングを待ってもらうことである。
 この駅員はこの言動でこのパニックになっている社会的幼稚な人間をさらにパニックに追い込んで暴れさせてしまった。
 こんな社会的幼稚な存在は至る所に居る。
 昔、中央線の新宿駅で朝のラッシュ時間である。その頃は登りの快速東京行きは三番と四番に交互に入ってきた。二分車間だった。
 年配の女性が乗り込むとき靴をホームと電車の隙間から落としてしまう。女性はパニックとなってしまった。
 それでも慣れた駅員は女性をホームの安全場所まで下がらせて次の電車との合間にマジックハンドのような長い道具で拾ってあげる。
 女性のパニックも直ぐ治まった。
 お客には判らないが駅員は軌道信号と出発信号を確認できる。
 どんなに車間が短くても一定の秒数はホームに電車は入れない。必ず制御が掛かっている。
 エリート職員である駅員には上手にタイミングを見て拾って客を安心させパニックを防ぐ練度の高さが求められると思う。
 「日本に留まらず世界を震撼させる凶悪事件が起こってしまいました。選挙演説の最中元総理が大和西大寺駅前で射殺されました」
 高島波瑠が読む。
 「容疑者は母親が宗教団体に多額寄付をして破綻。それで家庭が崩壊した。元総理がその宗教団体を応援していたので復讐に選んだと供述しています」
 続いて岡田有美が読む。
 「銃は模造の粗末なものでした。何故警備は防げなかったのでしょうか」
 本多椿はそっちの疑問に誘導する。
 如月鬼堂は以下のように述べた。
 またプチテロが起こった。
 どういう方法を使っても今の社会の方向に抵抗できない。これはそういう連中の行き場のない不満である。
 マスコミと知識階級のモラルに押えられて正攻法では戦えない不満分子が沢山居る。
 それぞれの不満は違う。だがその一つと言える。
 非暴力では達成できない不満。それが年末の診療所内の放火殺人や今回の元総理射殺事件である。過去の秋葉原事件なども同様と言える。
 日本人の体質も変わってしまった。それに納得しない世代に多い。
 大方が知識階級の主流的意見中心のモラルに国民の大半が傾倒している。逆にそれが個人の利害、信条に大きく影響する層がばらばらに存在する。
 そして非力な人間でもできる暴力、武力の限りない恐ろしさである。
 それがガソリン放火であり模造銃となる。
 集団でなくてできる社会の歪、隙を虎視眈々と狙った犯行である。
 この危険は平和な社会のあらゆるところに内在している。
 大方の人間には実行力がない。僅か一握りの人間が死を覚悟して僅かな管理社会の歪を突いて実行する。
 こんなもの防げなかったのかという疑問も浮き上がる。そんな僅かな歪、隙である。
 テロリストに至らない個人の不満分子。そのごく一部が思い詰めて実行する。
 だが本人が自身の身を捨てて決行するにもこの犯人の場合は狙う相手すら間違えている。
 銃を製造したり虎視眈々と警備の歪、隙を狙ったりする能力はやや長けていたかもしれない。
 突然の予定変更。それがあれは本当にSPだったのというような警備の歪に遭遇して不可能な筈の犯行が達成という結果を招いてしまった。
 だが渋谷駅で非情ボタンを押した犯人同様、社会や組織の構造、バランスを判っていない。社会的知識が幼稚である。
 だから本人の本来の恨みを晴らすという目的にも当たらない。元総理と宗教団体の関係をよく把握しないで行動に移った。
 見当違い以外の何ものでもない犯行が極めて重大な社会的ダメージを招いてしまったと言わざるを得ない。
 
 七月十二日。
 多嶋芽琉は夜遅く帰宅した大下洋子の家に来た。
 「芽琉。無事だったの」
 「わたし。姉さんのせいで拉致されたのよ。それなのに私を見捨てて選挙をを優先したのね」
 「待って。私の意志では選挙を降りられないのよ。党の議席を減らすことはできないの。警察に相談して対処してもらうしかなかったの」
 「それで私はあんな動画を撒かれたのよ」
 多嶋芽琉は姉に躰をぶつける。肝臓を狙って一突き。大下洋子は瞬時躰が震える。そしてそのまま倒れた。
 「あ、あーーーーーーーーーーーーーーーー」
 家族の悲鳴が轟く。
 多嶋芽琉も口に含んだカプセルを噛む。
 血を吐いて倒れこむ。
 「あ、あーーーーーーーーーーーーーーーー」
 直ぐに警察と救急車が呼ばれたが二人とも死亡が確認された。
 
 七月十三日。
 東京都世田谷区の大きな屋敷。
 三人の男が来訪した。
 主は着流しで和室の客間で出迎える。既に世俗を引退したかに見られていた政財界の古狸である。
 三人の前に五百万の束が置かれた。
 「よくやってくれた。評価として一人五百万だ」
 古狸は静かにそう語る。
 「ありがとうございます」
 「半分評価だ。もしあの女が世論に叩かれて引退してくれたら一千万評価したかった」
 古狸はさらなる成功を期待していた。
 「申し訳ございません」
 「まあ。良い。もう少し動画が浸透して殺人テロの報道がやや収まってから開放すれば良かったかもしれん」
 「申し訳ございません」
 「まあ。何とも言えん。警察の捜査が及ぶ危険もあった」
 三名は五百万を手にして屋敷を辞した。
 
 連続拉致強姦事件の犯人六人のアジトである。
 「あの二人目の生贄を拷問したのは何者や」
 「なかなか用意周到にできていたな」
 「元総理を本当の敵が見えないで射殺した馬鹿男と違って狙いも準備も完璧だ。良くやった」
 川口の会長は認める。
 「奴等の存在がこっちの邪魔にならないか」
 医者の男である。
 「ならない。あの連中は二度と動かない」
 川口の会長は断言する。
 「危険なのは岬ビューホテルでしょう」
 葬儀会社の社長はそっちを心配していた。
 
 最期のSM小説家 三十四幕 SMスーパーコンパニオン 完 
 
 最期のSM小説家 第三十五幕に続く

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