鬼三のSM小説
女衒の國

この物語はフィックションであり実在の人物機関とはなんらかかわりがありません。

女衒の國の侵略者

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 2017年寒露下元。
 突然の解散で衆議院選挙に突入した。
 抵抗勢力は東京都知事率いる新たなる党により再編成されたが民事党の勝利はより確実になる。
 
 村上波琉は座敷の真ん中に全裸で縛られていた。
 客が三人それを三方から囲んでいる。
 上半身は高手小手に縛られているが脚は拘束されてない。畳に正座して三人の客に躰を向けている。
 此処は北海道帯広市。村上家の別宅である山荘の中。そして村上波琉は村上家の正妻である。
 「お待たせ致しました」
 黒Yシャツ黒ズボン姿で緊縛師を気取ったのか夫の村上春久が入ってくる。
 先端が長方形のチップに成った一本鞭で波琉の乳房を叩く。
 「うう」
 僅かに呻く。かなり慣れたのである。
 乳房にやや鞭の痕を付けた。
 次は太腿を叩く。
 「はあ」
 こっちも数本痕を付ける。
 春久は波琉の躰を後ろに倒す。自分の足に波琉の脚を引っ掛けて伸ばした。畳に仰向けに寝かす。脚を押して股間を少し開く。
 客に女の部分が丸見えに成る。
 蝋燭に点火した。
 この山荘は市の中心部からかなり離れている。
 波琉が此処に連れてこられて半年。それまでは帯広市に近年造られたニューシティの最上階に居た。
 波琉は母親の入院を助けてもらう条件で結婚する。
 母親が生きている間は平穏な日々であった。
 保険の利かない先進医療である。多額の費用が掛る。
 母親の葬儀が終わるとこの山荘に連れてこられた。
 その日から春久はサディストに変貌する。
 此処を出ることはまったく出来ず外と連絡を取ることも出来ない。
 携帯すら持たして貰えなかった。
 現金もまったく渡されない。
 テレビは大型画面で見られる。
 パソコンで検索もできた。だが発進は出来ない。メールも開くだけである。
 OSそのものがクローンであり特別なブラウザしかない。
 食事は好きなものを頼める。
 だが差配を預かる執事が総て管理していた。
 他にメイドが十四人。下男のような男性が六人である。
 山荘の中は波琉の居る区画とメイドらの居る区画は一部を除いて完全に分けられていた。
 メイドらの区画に波琉が入ることは出来ない。
 SMは月に二回くらい行われた。それ以外は平凡な日々である。
 歯向かえば拷問される。
 妻でありながら何の権利もなく時々客の前に出され辱められる。
 晴久は更に波琉の躰を開く。女の部分を指で広げて客に公開してしまう。
 華奢な波琉の躰には期待通りにビラビラは細く大陰唇の中に真っ直ぐ細い縦筋を描いていた。
 開かれても中は綺麗な薄橙でびらびらの縁もドドメ色感はない。薄いグレーである。
 客らは三方からそこを凝視する。
 晴久は客に蝋燭を一本ずつ渡す。
 前の妻が自殺したことは波琉が此処に連れて来られてから聞かされた。
 この山荘ではない。此処に来る途中に廃墟になっている。
 北海道警は事件性無しで片付けた。そこには大きな力が働いている。
 客の二人は波琉の乳房に左右から蝋涙を掛けてゆく。
 「ううーー。うーーーーー」
 もうかなり成れた。だが声を出さないと更にハードに成るから態と声を出す。
 あと一人は太腿に掛ける。
 「うう。ううーー。うーー」
 三方から波琉の肌理細かい白い肌に蝋涙が掛けられてゆく。
 みな落とし慣れていた。五十センチくらい離しているが蝋燭を斜め下向けに持っている。
 蝋燭は斜め上向か水平に持つと熱くない。だが斜め下向に落とすと高さを上げても熱い。
 太腿を真っ赤にした客が春久を見ながら波琉の股間を指差す。
 性器に落として良いかとお伺いを立てているのである。
 なんと晴久は波琉の女の部分を指で開いてしまう。
 「いやあ」
 客は容赦なく狙いを定めて落とす。
 「あはあーーーーーーん。ああーーーーーーーーーん」
 広げられた薄橙の部分にぽたぽた確実に真っ赤な蝋涙が落ちてゆく。
 尿道の小さな亀裂も蝋涙で塞がれた。
 波琉は脚を折って暴れさせ藻掻き続ける。
 それを二人の客と晴久が押えて客は狙いを定めて落とす。
 「あーーーー。あーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーー」
 波琉は躰を捩って喚き続けた。
 春久の兄敏久は帯広市長である。その親父村上祐樹は民事党幹事長、副総理、防衛大臣などを経験していた。
 村上祐樹の弟はR国首相でありその兄は娼国副主席である。
 帯広市のニュータウンには娼国の資本が大きく流れている。
 帯広のニュータウン進出で北海道に風俗業が息を吹き返す。これにはR国北の実力者湯野中の資本が大きく流れていた。
 また。村上祐樹ほか多くの歴戦の政治家に湯野中マネーが浸透している。
 その配下にある日本企業の多くが娼国、R国に本社を移していた。
 波琉はこの事実を知って益々絶望に堕ちることとなる。
 此処を逃れて高島波琉に戻りたい。だが生きてそれは出来そうもない。
 総理の大学獣医学部の友人と学園の土地売買で騒がれている時代。だがその裏では巨大資本が政治家をきっちり抱き込んで存在する。
 何処からも追求の手すら出ない。
 波琉は涙を溢している。
 この部分は本当に堪えられない。
 「はあ。はあ。はあ。はあ」
 荒い息遣いが続く。
 立ててあった蝋燭の芯の周りが抉れ溶けて中に溜まった蝋涙。春久がこれを乳房の谷間から臍、股間まで真っ直ぐに掛ける。
 「ああーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーー」
 一頻り強烈な悲鳴が轟く。
 今回始めてやられたのではない。それでも毎回強烈な悲鳴を上げる。芝居ではない。一気に流し掛けられる恐怖心でそうなるのである。
 春久は拷問椅子を引き摺り出す。
 波琉はその上に載せられた。
 高手小手の縛りの上から胸部を拷問椅子に固定される。脚も開かれて拷問椅子の脚載せにぐるぐる巻きに縛られてしまう。
 春久の職業は湯野中資本下にある日本企業の持ち株会社オーナー社長である。
 配下に風俗業もあるが直接の繋がりは見えない。
 客は他の湯野中資本系列のオーナーまたは政治家である。
 他人の妻をその前で陵辱する。禁断の愉しみを満喫していた。
 春久は妻を所有物としか考えてない。玩具に飽きたら次と取り替える。
 離婚前に自殺されたのは一人だけである。
 通常は強制離婚してから処分していた。拷問に堪えられず離婚届にサインしてしまうのである。
 処分は系列の産業廃棄物処分工場に持ってゆく。
 乾式メタン醗酵という手段を使う。
 躰はガスと醗酵残渣にされた。ガスは発電に使われ残渣は家畜の餌と成る。
 DNAすら残らない。
 妥協案を呑んでR国に移住した者はその町の中で静かに生かされている。
 春久は拷問椅子のハンドルを回して後ろに倒す。女の部分が上を向いて露になる。
 黒い塊は弱々しく土手に咲いていた。
 春久はここにローションを掛ける。シェービングクリームは使わない。剃るところがよく見える配慮である。
 春久は客に剃刀を渡す。
 二人がそれを受け取り一人が剃る正面に座った。
 剃刀を受け取った二人が両側から剃毛する。月一回の剃毛である。
 これまでもほぼ生え揃ったところで剃毛してきた。
 波琉は諦めながらも剃られる土手を警戒の目で見詰めている。
 綺麗な大きな目が不安に眩む。実に男を起立させる表情である。
 正面で見ているのは衆議院議員平佐和周一郎。
 剃毛している右側は湯野中系列のTCC日本支社長前原。左は北海道知事田村昭二である。
 春久にこの接待による直接の恩恵はない。直接恩恵を蒙る者から恩恵を受けている。
 剃毛の終わった波琉の土手を平佐和が丁寧に拭く。
 黒い塊の無くなった部分はほんのりピンクが強い。黒い塊が無くなってもまたその部分は美しい。
 剃って汚い皮膚が露出する女もあるが波琉のそこは実に綺麗である。
 春久は客にバイブ、電マの順に波琉の女の部分で遊ばせてゆく。
 平佐和は他の二人に譲ってあまり手を出さない。
 春久にある要求を出している。春久はそれを了解した。元より看護師も待機している。
 秘密はきっかり護られるていた。看護師は湯野中系列の病院から来ている。他の病院より給料は高いうえ此処への出張は一ヶ月の半額が貰えた。
 月二回来て通常の看護師の三倍の収入。しかもその半分以上である此処の収入は非課税となる。
 TCC社長前原が電マで波琉のクリトリスを責め始めた。
 波琉は右に左に力の限り仰け反る。
 痙攣している膣が電マから逃れんと腰が暴れる。
 「ああーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーー」
 声はサイレン状態に緊迫してしまう。
 やがて電マの下から潮が溢れ出た。
 「ああーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーー」
 更に悲鳴は緊迫して張り上げる。
 それでも容赦なく前原社長は責め続けた。
 いつも波琉は客の性的玩具にされている。
 黙って堪えているしかない。
 波琉は月二回の地獄を堪えれば普段は籠の鳥とはいえ贅沢な暮らしである。働くことはない。家事も一切しない。
 食事も好きなものを用意してくれる。
 酒も自由である。
 だが太る事は許されない。インストラクターが来てダイエット運動を指導して行く。家の中にそれだけの設備がある。
 温水プールもあり殆ど波琉の専用と成っていた。
 何としても此処から逃れたいが大人しくしている。
 此処を逃れても波琉に行く当てはなく金もまったくない。車を奪って逃げるにも運転免許すらないのである。
 誰かの助けを借りなければ逃げてもどうにも成らない。
 法的には充分な慰謝料を貰って離婚出来る立場である。だがそれを行使する術もない。
 失禁した波琉に北海道知事田村昭二が春久の説明を受けながらドリルバイブを挿入する。
 細い擬似男根が回転するタイプである。
 スイッチが入ると波琉の縛られた躰は電流が流れるように震撼する。
 「ああーーーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーー」
 顔を仰向けに大口を開け美しい顔が一気に破裂する。この表情も中々良い。
 みんな笑っている。波琉に一部の同情もない。こんな絶品の女をトコトン性の満足に蹂躙できる。最高の悦びなのである。
 顔もスタイルも申し分ない。華奢な細い躰で色も白い。乳房も体型の割には充分な大きさである。
 弾力がありながらも微かな垂れ具合がまた良い。
 女の部分はどんなモデルと比較しても綺麗である。
 平佐和はR国でも娼国でもこんな接待の遊びを食べ尽くしている。その中でも波琉は久々の大当たりである。
 「ああーーーあはあーーーーーーー。あはあーーーーーーーーーー」
 波琉は完全にドリルバイブに翻弄されていた。
 膣の周りは膣液とローションが混じって飛び散り半透明の葛湯状になった液がべっとり流れている。
 官能に軋みぐちゃぐちゃに成った陰部でもこの女はどこまでも美しい。
 
 道警刑事部捜査一課五係である。
 「自殺したのは村上春久の前の妻ですがそれ以前に離婚した奥さん二人もその後行方不明です」
 笛木祐子巡査部長が上司小倉紘子警部に進言する。
 「一課が事件性無しで片付けた件ですね」
 「そうです」
 「一課長が出した結論ね」
 「納得行きません」
 笛木祐子巡査部長は上司に食い下がる。
 「多分捜査は認められません。所轄も協力しません」
 「そうですね」
 笛木祐子巡査部長は悔しさを滲ませる。
 この五係の二人。上司と部下だが歳はあまり変わらない。小倉紘子警部が三十五歳。笛木祐子巡査部長は三十四歳である。
 「でも私も納得行かない」
 「抗議しますか」
 「無駄よ。勝手に二人だけでやりましょう」
 「はい」
 「これには兄かお父さんの力が働いていますね」
 「そんなことでは捜査は止まりません。指揮権の発令に成れば別ですが。もっと大きな力が働いています」
 「それ以上大きな力ですか」
 「道警全体に圧力が掛かっています。多くの幹部が否定するのです」
 「だから所轄も一課も他の部署も動かないのですか」
 「そう。部分的にあちこちに圧力が働いています。もちろんお兄さんやお父さんの村上祐樹の力も働いています。ですがそれだけでは」
 「私たちだけでやらなければ」
 「自殺という断定は間違っていません。こうなるとその理由が問題です」
 「そうですね」
 「以前の二人の奥さんの行方を捜査しましょう」
 「はい」
 
 波琉はドリルバイブの責めに失禁、失神を繰り返し美人の女の部分から潮を噴き上げるところを客の前に晒した。
 客はこの上ない満足感である。
 SEXこそないが全員が指を入れて感触を愉しみ中から膀胱を押し上げ潮を強引に押し出した。
 波琉は小刻みな悲鳴を上げ続ける。
 女の部分のピンクの粘膜が広がり尿道の小さな亀裂が膨らむ。そこから直に潮が噴き上げるところまで鑑賞した。
 平佐和のリクエストは急性アルコール中毒の責めである。
 ウオッカ三オンスをライムとガムで味を変えジンジャエールで割る。これを水差しで飲ませる。
 飲み易く強制的なので簡単に流し込んでしまう。
 波琉は酒豪などではない。酒は飲むが何日かに一回僅かである。
 中毒症状に一時間と掛からない。
 直ぐに看護師が利尿剤を投与する。尿道にカテーテルが挿入され尿瓶に尿が流れる。見る男性諸氏には実に隠微で生唾シーンの連続である。
 この上ない小柄で華奢な知的美人がアルコール中毒に苦しむ。広げられた女の部分の小さな亀裂に管を刺し込まれ排尿を続ける。
 もう恥ずかしさより苦しさが波琉を支配していた。今は苦しさから逃れる以外何も考えられない。
 逆に客らは限りなくエロ心を堪能させた。
 波琉は翌朝まで地獄である。
 平佐和らはゲストルームで休み朝食を済ませ波琉の醜態を愉しみに来る。
 「さあ。アルコール中毒を軽くするには官能が一番だ」
 また女を責める宣言である。だがこれは迎え酒なみに効く。
 波琉はただ躰を任せる。もう抵抗する気力すらない。早く客が帰って静かな時間になって欲しいと願うばかりである。
 既に尿道カテーテルは抜かれている。看護師は別室に引き上げた。
 それでも波琉の苦しみは続いている。
 ただ眠りたいだけである。
 そんな波琉の乾いた女の部分にスポイトでローションが流し込まれる。
 「ああ」
 波琉は切ない声を漏らす。
 平佐和が指を突っ込んで掻き回す。
 「ああーーー。ああーーー。ああーーーーーーーーー」
 あっという間に潮を噴き上げてしまった。
 「ああーーーーーー。はあ。はあ。っは。っは。はあ」
 荒い息遣いだが躰は抵抗してない。
 急性アルコール中毒の苦しさから逃れんとする。既に何回もの調教で躰が慣らされてしまっていた。
 そこにドリルバイブが挿入される。
 波琉は躰を任せたまま直ぐに失神してしまった。
 客らは暫く波琉の躰を弄くって愉しんだがやがて時間を見て引き上げる。
 
 笛木祐子巡査部長は村上春久の現在の妻が旧姓高島波琉であると突き止めた。
 「既に母親は亡くなっています。父は最初から居ません。認知届でだけです」
 「母親は何処で亡くなったの」
 「晴久の系列にある苗穂極東病院です」
 「他に高島波琉の身内は」
 「それが」
 「当たりが付かないの」
 「いいえ。近い身内は居ないような」
 「自殺した前の奥さんも身内らしきが居なかったわね」
 「そうです」
 「そういう女性ばかり狙っているのね」
 「それと波琉さんは帯広ニューシティには居ません」
 「でも他にも村上晴久の住居はあるでしょう」
 「前の奥さんが自殺した別宅は廃墟です」
 「あの一帯が私有地。その中に何があるかね」
 「波琉さんを探すのも難しいですね」
 「先に旧姓荒木優子と白鳥香苗の行方を捜しましょう」
 小倉紘子警部はこっちの方が崩し易いと考えた。
 「そうですね。住民票の住所には居ませんがこっちの方がまだ手掛かりが有りそうですね」
 「順番の近い荒木優子からやりましょう」
 「何処から当たります」
 「荒木優子の昔の職場が判らないかしら」
 「それ。苗穂極東病院です」
 「えーー。あの一族の」
 「そうです。村上がそこで引っ張ったのです」
 「緘口令が引かれているわけ」
 「そうです」
 「その前の職場は」
 「判りません」
 「それくらいは苗穂極東病院で聞けるでしょう」
 「やってみますか」
 苗穂極東病院の事務局は荒木優子の前任の病院を教えてくれた。
 そこで判明した保証人は既に他界していて勤め先に困って苗穂極東病院に行き着いたのである。
 当時の同僚など聞き込みをしたがその後の消息は誰からも聞けなかった。村上晴久の妻になったことさえ知らなかったのである。
 翌日。小倉紘子警部と笛木祐子巡査部長は一課長に呼び出された。
 「苗穂極東病院に何の聞き込みに行った」
 「村上晴久の前妻の消息です」
 「自殺した奥さんではないのか」
 「あれは自殺で間違いないと思います。それよりその理由とそれ以前の奥さんが離婚後二人とも行方不明です」
 「事件性が有ると言いたいのか」
 「はい」
 「俺は無いと思うが」
 「捜査をするなと」
 「そうは言わんよ」
 一課長は笑っている。
 「はっ」
 小倉紘子警部は驚きの表情で笛木祐子巡査部長と顔を見合わせる。
 「ただあちこちに圧力が掛かっている。俺にも。君らには掛かってないようだな」
 「おかげさまで今のところは」
 「ならば君らだけでやるのだな」
 「それしかありません」
 「他の者は巻き込まない。誰も命令してない。そういうことだ」
 「判りました」
 「前にも言ったが本部長、所轄それぞれ違うところから圧力が掛かっている。それを忘れるな」
 「判りました」
 二人は一度五係の部屋に戻った。
 「驚きましたね」
 開口一番緊張が解れた笛木祐子巡査部長の一言である。
 「何が」
 「一課長が捜査を止めろと言わなかったことです」
 「反って圧力を掛ける方が危険と考えたのじゃないの」
 小倉紘子警部は一課長が捜査を許したとは思ってない。
 「そうですか」
 笛木祐子巡査部長は多少不安を感じたが納得した。
 「苦情が来ないようにしろと言う事ね」
 小倉紘子警部は得意に高を括っているが現実はもっと厳しかったのである。
 二人とも自分らの力を過信していた。
 
 波琉は失神してから急性アルコール中毒を癒す。
 夕方には体調は回復していた。
 あまりの拷問に暫く絶望に泣き続ける。
 月に二回だけである。だが昨夜は本当に辛かった。
 月に二回奉仕させられて月一回位晴久が抱きに来る。
 晴久は月に一回しか求めない。それ以外は他の女を抱いていると思う。波琉にはその方が助かる。女は一人ではない。何人も居ると思う。
 晴久は避妊をしない。だが子供を作る意思はない。だから月に一回安全日に波琉を抱く。
 此処から逃れる方法を何度も考えた。
 波琉が触れるのは晴久、執事、メイド、そして客、看護師である。
 客以外は晴久の忠臣な使用人であり波琉の監視役となる。客は事情を良く知っていて波琉を玩具にして行く。
 波琉は正妻でありながら性上納に使われるタレントと代わらない。まだ彼女らの方が自由である。
 執事もメイドも普段は丁寧に接してくれる。此処に居る範囲の我侭は訊いてくれた。
 だが外に連絡を取ったり脱出したりしようとすれば管理者に変貌する。
 専用の庭には出られる。テレビも動画も有料が見放題である。要求すれば直ぐに購入してもらえた。
 母の墓は村上家の墓地の一区画にある。
 
 小倉紘子警部らはもう一人の前妻白鳥香苗の行方も掴めなかった。
 「どちらも離婚して移転先には住んでいないと思います」
 「離婚届を出して直ぐ殺されたということ」
 「そうとしか思えません」
 「自殺との違いは」



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