鬼三のSM小説
女衒の國

この物語はフィックションであり実在の人物機関とはなんらかかわりがありません。

志願した女性自衛官らの悲劇

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 二〇二一年立夏中元
 (この小説は2019年5月現在未来形です。またこの二十四節気は平気法によるものです)
 此処は亜細亜の途上国R国。その奥地T市である。
 日本企業が多く進出して上部構造は日本人、日系人が握っている。
 だがこの付近一帯は現地人兵士と駐留米軍が多い。安い風俗街である。一番安い売春は十分千円から行われている。
 昭和四十年代の沖縄と同じである。
 その中に日本の温泉街に時々見かける秘宝館の様な施設が存在する。堂々とT市の市営である。
 その中に現物の女性を展示する区画まで存在する。
 昔のストリップ劇場で定番であったオープンステージの様に間近に性器広げてを見せてくれる。そんなコーナーが何箇所か儲けられている。
 さらにカーテンの個室で触らせれくれる。さらに手で抜いてくれるコーナー等もある。
 そして特別なその一角はマジックハンドでガラス張りの中に展示させている女を弄らせる。ドリルバイブで失禁、失神するまで責めても良い。
 本日は竹田玲奈と吉岡理穂が展示に出されている。
 二人はそれぞれ拷問椅子に全裸で縛り付けられている。ドテに黒い塊はない。拷問椅子の脚乗せは広げられ女の部分は丸出しである。
 さらにその躰には恐ろしい刺青が施されている。
 竹田玲奈のボディは烏が三羽。上の二羽は嘴で乳首を噛もうとしている。もう一羽はクリトリスを嘴で突こうとしている。
 吉岡理穂のはお岩さんが乳首を舐めて、御岩さんの脚が腰に絡み、その太腿に蛇が巻きついてその口を開いて舌が女の部分を舐めようとしている。
 一組の客が二人で竹田玲奈に二本のドリルバイブを挿入しようと操作している。一本はアナル用である。
 拷問椅子に縛り付けられた太腿をさらにマジックハンドで押さえる。もう一本のマジックハンドの指先で女の部分のびらびらを広げる。
 緋色の内側が露になる。尿道の小さな亀裂の下に膣口が確認出来る。
 竹田玲奈は怯えかつ羞恥に追い詰められ土色の表情で身構える。
 狙いを定めて一本目のドリルバイブが膣にめり込む。
 「うぐうーーーーーーーーーー」
 竹田玲奈は衝撃に悲鳴を搾り出す。抵抗する術はない。
 客がアナルにマジックハンドでキシロカインゼリーを塗る。キシロカインゼリーは皮膚表面麻酔である。
 もう一本のドリルバイブにスポイトでローションを掛ける。
 ドリルバイブを微速で回転させアナルにゆっくり押付ける。
 「いやあーーーーーーーーーー」
 アナルを責められる恐怖の悲鳴である。竹田玲奈の表情は破裂している。
 両側からマジックハンドが押えてドリルバイブは徐々に進入してゆく。
 「うぐうーーーーーーーーーーーー」
 竹田玲奈は眉間の皺を三重に刻み口を開いて歯を食い縛る。その奥から悲鳴を搾り出す。アナルは痛いのである。
 客はアナルに侵入したドリルバイブの回転運動を止めてピストン運動に切り替える。
 膣に入った方は回転運動とピストンを開始する。
 「あがああーーーーーーーーーーーーーー。あがあーーーーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーーーー」
 竹田玲奈の顔は一気に強烈に軋み大口を開けて悲鳴を搾り出す。
 横で放置されている吉岡理穂は怯えた目でそれを見つめている。一日置きに此処に出される。
 客は娼国の軍人である。
 吉岡理穂と竹田玲奈は娼国の特別な刑務所に侵入して捕まった。フェミニスト集団の仲間を救出に向かったのである。
 そのスパイ容疑などの刑罰で加重死刑囚として今の事態と成っている。
 「あがあーーーーーーーーーーーーーー。ああがあーーーーーーーーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーーーーーー」
 二穴にドリルバイブの強烈な責めである。女の意地を通すなど不可能。竹田玲奈は押されるままアクメを晒すしかない。
 さらに電マを追加する。電マはクリトリスを包まれた上から責める。
 「ああーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーーーー」
 数分間は堪えたが遂にで失禁した。飛沫が飛び散るが客は責め続ける。
 「あがあーーーーーーーーーーー。ああがああーーーーーーーーーーーーーー。あがあーーーーーーーーーーーーーー」
 轟音の様に声を上げ続ける。そして失神した。
 マジックハンドで蝋燭を掴む。中に小さいバーナーの種火があるのでそれで点火する。
 別のマジックハンドがもう一本掴む。それを失神している竹田玲奈の乳房の上で翳す。
 「駄目だ。蝋燭の火では。垂れてくる蝋涙で消えるよ」
 蝋燭の炎で翳した蝋燭を溶かそうとしていた兵士にもう一人が注意する。
 兵士は仕方なく二本とも点火して上を向けて暫く軽く揺する。
 芯の周りに解けた蝋涙が溜まるのを待つ。
 もう一人の兵士は吉岡理穂を責めに回る。ドリルバイブを三本近付ける。
 同じ様にマジックハンドで太腿の付け根を押さえ女の部分を広げる。この兵士は吉岡理穂の膣に二本入れようと目論んでいる。
 スポイトでローションを掛ける。膣にもローションを流し込む。
 二本のマジックハンドで膣口を大きく広げる。
 「ああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 吉岡理穂は堪らず悲鳴を上げる。
 一本目を挿入してマジックハンドでさらに下に広げてもう一本を押し込む。
 「ああーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーー」
 吉岡理穂は頭を左右に振って甲高い悲鳴を上げる。
 二本ともスイッチが入る。
 太腿は二本のマジックハンドが拷問椅子の脚乗せ台に押付けている。
 ドリルバイブの挿入は人の手ではない。機械が押しているのである。吉岡理穂は押し返すことが出来ない。
 「ああーーーーーーーーーーーーー。ああはああーーーーーーーーーーーー。あはあーーーーーーーーーーー」
 吉岡理穂は顔の表情を破裂させ眉間に皺を強く刻み声を上げる。
 もう一人の兵士が蝋燭を倒して溶けた蝋涙を竹田玲奈の乳房に一気に掛ける。
 「ああーーーーーーーーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 竹田玲奈は失神から覚め強烈な悲鳴を上げる。
 この区画は誰でも入れるわけではない。秘密が漏洩しないように特別な会員だけである。
 予約制なので僅かな入場料でやり放題。それをじっくり愉しめる。
 
 此処は奈良県生駒。大阪府警を定年退職した元警視大高貞夫の別荘である。
 晩餐会に見せかけた会議が行われていた。
 大高貞夫元警視は警察OBである。別荘には警察、自衛隊の現職高官が集まっていた。
 高官と雖も主流のメンバーではない。参加している全員が特別な覚悟をもって集まっている。
 その末席付近に女性自衛官と女性警察官も混じっている。海外対策の特別部隊である。
 「この部隊の結成は極秘かつ各自の志願によるものです」
 警察官房稲村雄二警視長である。
 極秘裏に結成され表向きには別の名目である。総理官邸も与党も警察庁長官も関与してない。
 「究極の問題は娼国、R国です。最早日本は政治的、経済的に間接支配されています」
 「娼国はR国から独立したと聞いているが、実質娼国がR国を支配居ているとも言われている。またR国に娼国とは別の力があると言われているらしいが」
 防衛庁二等海将細野英二である。
 「吉岡理穂と言う女性の報告書が残っています。お配りした資料ファイルの二冊目です」
 大高貞夫が説明する。
 「R国には地図に無い国際的に知られてない境界線があります。娼国の実質支配は南側のみです。北側は別の勢力が支配しております」
 「どっちも日本人ですか」
 「日本人または日系人です」
 大高貞夫が答える。
 「誰が権力を持っていますか」
 「娼国は安形主席、R国は村上首相ですが、実質娼国は副首席北嶋真紀子、R国北は湯野中と言う女衒の末裔です。それに日本の葛城元総理」
 「何故。元総理が」
 「葛城総理は日本の経済を立て直しましたが、それは娼国に吸い上げる目的です」
 「しかし日本は葛城内閣で格段に経済成長。まあ売春防止法廃止など幾つか問題はあります。ですが下層の所得を改善して内需を拡大しました」
 「それを風俗売春で吸い上げるのです」
 「葛城総理は娼国の傀儡だったのですか」
 「それ以上です。娼国そのものです。総理に成る以前に日本、亜細亜から経済を吸い上げるサプライチェーンマネジメントの仕組みを確立しました」
 「娼国に加担していた」
 「紹介したのは平佐和派の領袖平佐和副総裁です」
 「R国に渡った日本のフェミニストグループがスパイ容疑で捕らえられていると極秘裏に聞いていますが」
 「吉岡理穂さん。渡辺則継元警視らがその救出に娼国に向かって逮捕されました」
 「どうして判ったのですか」
 「以前に捕らえられていた北海道警元警部小倉紘子さんから迂回メールで届いています」
 「その吉岡さん、渡辺元警視、小倉元警部は現在どちらに」
 「娼国またはR国で行方は判っていません。渡辺元警視は殺された可能性が高いと小倉元警部から報告されています」
 「この資料がこれまでの被害者と言うべき人ですか」
 「吉岡理穂さんの資料です。情況やその理由が書かれています」
 一ヶ月前。吉岡理穂らは八年かけた調査の末、娼国の奥の島にフェミニスト仲間救出に潜航艇を使って強行潜入した。
 その失敗で今はT市の秘宝館の様な施設で理不尽に女躰展示されている。
 娼国はR国から十数年前に独立した。戦前戦中の女衒の末裔が売春の巨額利益で立国した国である。
 僅か島二つから成る小さな国土だが一京からの金が動く。日本、亜細亜に巨大ニューシティを展開させ利潤を吸い上げる。
 売春の自由国であり日本からも日系企業、日本人、日系人向けに現代のからゆきさんも多く渡航する。
 それは資産が有って赴任又は永住する日本人の楽園である。
 日本では出来ないハードな風俗が多様に存在する。中でもハードSMは絶大な人気で女性も多額の収入を持って帰れる。
 さらに日本国内にも多く風俗を進出させている。
 主に地域ごとに進出した巨大ニューシティ内がメインである。だが、北側はソープランドの様な路面店まで多く経営進出している。
 日本とR国を結ぶ船は豪華客船で娼国、R国の船なので日本の法律は適用されない。中では売春も合法と成る。
 日本国内に進出した大型ニューシティの大方は五十階建てが二列四十棟くらい並ぶ。一大都市である。
 非正規層を下層階に集め他より高額かつ寮付きで就業させる。オフィス、工場もその中にある。外からの通勤は認めない。
 高層階には自治体を押え住民税の半額を餌に資産家を集める。
 宅配風俗は安全に過激なサービスが出来る。
 ニューシティ内で払った給与はその中で消費させる。
 吉岡理穂らは奥の南の島から五名の仲間を救出して脱走に成功した。
 二手に別れM国とS国に向かった。吉岡理穂らはM国の日本大使館に向かったが大使館職員は娼国の息が掛かっていた。
 竹田玲奈らは吉岡理穂の捕まる瞬間の連絡で一時逃れた。そして大高貞夫の協力で現地日本人の山荘に隠れることが出来た。
 その後捕まった吉岡理穂の拷問シーンがメールで送られてくる。竹田玲奈は堪えられず拷問を止めさせるべく投降する。
 大高貞夫の親友渡辺則継元警視は吉岡理穂と一緒に捕まった他の仲間を救出に動く。もう一度南側の島に潜航艇で乗り込み奪還した。
 だがその帰りに娼国の潜水艦に撃沈されてしまった。
 「吉岡理穂さんの行動は違法と言えば違法ですね」
 「そうです。このリストに有る大方が娼国、R国の主権を侵害しています。しかしこの国の問題に対応するには他に手段がありません」
 「その通りです。この国には正当な裁判も有りません。確かに入国の前に警告がありますが取材目的、スパイ容疑は無条件です」
 細野英二二等海将である。
 「このチームは違法承知で闘うしかありません」
 「そうですね。明らかに日本を侵略しています。議員も警察も自治体も傀儡化されています。表は一見合法ですが現実は非合法です」
 「日本中に娼国の工作員が蔓延っている」
 「吉岡理穂さんの残した資料では、こうして会合を開いても危険なようです」
 「工作員だけではない。日本の警察の主流が娼国に買収されている」
 「民事党平佐和派は総て娼国の傀儡ですか」
 「それだけでは済まないでしょう。野党にまで混じっています」
 「とにかくあの二つの国の内情を明らかにして国際社会で裁くところまで持って行くしかありません」
 「その通りです。我々全員抹殺されるか、正しい情況に出来るかです」
 「皆さんはご自身の意思で志願されました。非常に辛く危険な任務です」
 稲村雄二警視長は四人の女性隊員に問い掛ける。
 「あの国は絶対に許せません。身を捨てても潜入して必ず正体を明らかにします」
 警視庁加東彩子巡査部長である。
 「小倉警部から最期の様な迂回メールを受け取りました。吉岡さんの資料の内容は確認しています」
 北海道警真野枝里名警部補である。
 「既に日本はあの国に汚染されています。いま闘うべきです」
 田村眞子二等海尉である。
 「私も吉岡から最期の迂回メールを受け取っています。いま捉えられている同士を救出したいです」
 生駒莉奈二等海尉である。
 この四名は現代のからゆきさんに混じってR国に潜入する。これまでの経緯からこの手段が選択された。
 上からの指示ではない。四人で吉岡理穂や小倉紘子元警部の情報から情況を検討して出した結論である。
 四人の女性は捕まって拷問は重々理解している。一番怪しまれない最善の方法と決断した。
 
 此処は娼国。昭和中期の高層ホテルである。
 その最上階に日本料理がある。その奥に一般客を通さない特別の間。天昇の間という。
 娼国は二つの小さな島から成る。R国のS市とTS市に跨る国際空港の桟橋から高速船が三十分で着く。
 その北側の島はフロント面から五十階建て高層ビルが十棟存在する。
 一部娼国の中枢で政府機関が入る。そして病院、それ以外は娼国に本社を置く日系企業のオフィスが詰まっている。
 経理部のみや社長室、中にはサーバ室など一坪ばかり集めた建物もある。
 これらの建物は総て南側に窓が無い。太陽光発電が設置されている。エコ目的ではない。南の島を見せない為である。
 高層ビルの建つ部分を過ぎると昭和初期と思える噴水が在る。その先が昭和中期の高層ホテルでその隣が仁川邸である。
 仁川は娼国を独立させた女衒の末裔であり前主席で既に死去している。
 天昇の間だけは南面に大きな窓がある。此処だけは南の島の全容が見える。
 島は外周総て断崖に囲まれていてさらに雑木林に囲まれている。外から船などでは入れない。
 中は擂鉢状の部分を平らにして平地部分にされ五棟建物が確認出来る。その内四棟はこの島で生まれた女性を十八まで育てる施設と成っている。
 仁川時代から特別な売春婦を創る島である。
 生む専門の代理母が何人か居る。それが良質な精子と卵子を体外受精させた完璧な美人の四つ子ぐらいを毎年産む。
 生涯一人の代理母に八十人位の子供が居る事に成る。
 女達は十八で完璧な売春婦教育を施されて島を出て行く。
 最期の一棟が特別な刑務所である。此処にはスパイ容疑等の女性らが監禁されている。
 この島に入るにはヘリ又は海中の桟橋から小型潜水艦で入るしかない。
 仁川時代には北の島から橋が掛かっていた。今は撤去され北側はフェンスで閉ざされ南側は断崖をくり貫いた入口を鉄の扉が閉ざしている。
 北側のフェンスの少し手前が四階建ての古い建造物で娼国で働く風俗嬢の寮に成っている。
 娼国副首席北嶋真紀子も当初此処に暮らしていた。仁川に取り立てられる前はハードコンパニオンであった。
 さて南の島を唯一見下ろせる天昇の間には真紀子、元日本の総理葛城義和、北側のトップ湯野中、日本の副総裁平佐和周一郎他が宴席を連ねていた。
 大きな窓の横にL字のカウンターを置き板前が寿司を握る。本来の嗜好では女躰が白木のカウンターの高さを下げて寝る。
 本日は真紀子だけではなく葛城義和が滝澤沙緒里を同伴している。そこに配慮して白木のカウンターから一段上げたネタケースの前に笹の葉を敷いている。
 「今度の件で侵入者と逃げた者は全員捕まえたか殺して解決した。だが、マスコミを手配した奴が居る。それが解明出来てない」
 湯野中が日本酒を口にしながら渋い顔で言う。
 「匿ったのが宇垣美佐都である事は津島長官が竹田玲奈をとろろの痒み拷問で吐かせました。ですがそっちを追求するのはリスクが有り過ぎます」
 板前は諸氏の会話に関係なく寿司を握って行く。滝澤沙緒里以外は注文を聞かず出して行く。
 この板前は津梨清吉という。平佐和のご贔屓である。
 「葛城先生の仰る通りです」
 湯野中はそれも承知している。
 「判ったのは潜航艇でもう一度乗り込んで来て、鄭少将が撃沈して海に葬った渡辺則継元警視です。その古い知り合いと言うことらしいですね」
 「沙緒里さんの思い付く人物をリストにしてもらって総て当りました。工作員が見張っていますが該当する人物らしきは」
 真紀子も工作員に全力捜査を指示している。
 「津島長官が竹田玲奈に吐かせたのが、渡辺則継元警視の古い知り合いということまででした。小倉紘子元警部も同じ証言をしています」
 葛城義和も二人が本当に知らないと確信している。
 「動いたマスコミには柿崎一行のチームが見張りに付いている」
 柿崎一行は湯野中のナンバーツー指宿の配下である。
 「マスコミをS国に向けるまでした人物です。必ず行動を起こすと思います」
 葛城義和は見張りを厳重にすれば動きが出てくると目論んでいる。
 「多分、沙緒里さんが解かるのは警視庁元警部古館明の関連でしょう。渡辺則継元警視は大阪府警です。そっちの関連を調べましょう」
 平佐和は日本の警察関連から情報を得ている。
 「大阪府警関連とそのOBを監視させましょう。次に何をして来るか油断なりません」
 真紀子も平佐和の意見に従う。
 
 海外対策特別部隊の一人田村眞子二等海尉は杉本金融に向かった。
 他の三名もそれぞれの方法でR国の風俗に現代のからゆきさんとして潜入するべく行動を開始した。
 彼女らの行動は男性隊員が確認している。
 そして海外対策特別部隊で架空の現地法人を設立して娼国に一室の本社を置きR国にもオフィスを置く。
 彼女らの行き先が決まれば赴任する男性隊員が客として接近して連絡を取る。
 田村眞子二等海尉は杉本金融に融資を受けて娼国で働いて返済さらに稼ぎたい希望を伝えた。
 「そう仰られても私共では現在働いている方に融資するのみです」
 「ええーー。レディース金融と書いてありますよ」
 田村眞子二等海尉は態と馬鹿女の様な振る舞いをする。
 「うちでは斡旋までは行いません。お店はこういった本で探されてはどうですか」
 担当者は風俗専門求人誌を差し出す。
 「日本の風俗では。娼国でもっと稼ぎたいのです」
 「あのね。私共と関わりはないですよ。このクラブでご相談下さい。多分そこで紹介して下さると聞いています」
 担当者はページを捲って一つの広告を示す。
 クラブ気まぐれ天女とタイトルが入り、埼玉県川越市新宿(あらじゅく)町6−8−1新宿スカイタウン一号1706OL拷問企画となっている。
 田村眞子二等海尉は杉本金融新宿店から出て新宿三丁目駅から副都心線に乗る。Fライナー急行である。
 川越で降りて都市モノレールに乗る。
 乗って五分で新宿終点である。
 二十数年前大字と名の付く田舎町であった。現在は娼国の進出で五十階建て十四棟が二列に並ぶニューシティと成っている。
 田村眞子二等海尉はこれが娼国の経済侵略と理解した。
 スカイタウン1号はモノレール終点駅の正面である。
 エレベーターで十七階に上がる。
 出て来た男は大柄で厳つい。宇佐美伝吉という。墨田会系大船一家の組員で舎弟頭補佐である。
 田村眞子二等海尉はやや緊張しながら希望を伝える。
 「いいよ」
 宇佐美は厳ついながら話を良く聞いた。
 「娼国に行きたいのです」
 「ふーん。何故かな。R国の奥の方が楽だけどな」
 「でも娼国が稼げると聞いたのです」
 「まあ。そうだが怖いおばさんが居るよ。そう言っても絶品の美人で見た目は到底おばさんとは言わないが、北嶋副主席のやることはおばさん以上だ」
 宇佐美はここだけと本音を言ってしまっている。
 「・・・・・・・」
 「おばさんより親父の方が扱い易いぞ」
 「はい。でも娼国に行きたいです」
 「脱いでもらうよ」
 「え」
 「躰を確認しなければ金は出せない。紹介も出来ないよ」
 「はい」
 田村眞子二等海尉は覚悟を決める。元より全裸では済まないと覚悟している。
 背中のファスナーを下ろしてワンピースを脱ぎ捨てる。しゃがんでストッキングも脱ぐ。ブラも外す。
 真っ赤な乳首と片手にやや余る乳房が露になる。
 やや震える手でショーツを下ろす。
 「そこに座って股を開いて」
 「・・・・・・・」
 田村眞子二等海尉は一瞬たじろぐが言う通りにする。
 陰毛の下に閉じ合わせた女の部分が露に成る。
 「それを開いてくれ。中の色も重用だ」
 「・・・」
 田村眞子二等海尉は既に声も出ない。
 震える両手でそれを広げる。
 「いいよ。いくら要るんだ」
 「五千万ですが、あと五千万持って帰りたいです」
 「そこまで。判った。ハードコンパニオンだぞ」
 「ハードコンパニオン」
 田村眞子二等海尉は鸚鵡返しに確認する。
 「あの国ではコンパニオンがSMも受ける。ハードコンパニオンはそれ以上にハードSMを受ける」
 「・・・」
 「いいのか」
 「はい」
 田村眞子二等海尉は頼りなく返事する。
 「いいか。査証と航空券手配するぞ。もう戻れないぞ」
 「はい」
 今度はきっぱり返事する。田村眞子二等海尉はこういう連中を総て無くさなければ成らないと心に確信している。
 田村眞子二等海尉は無利息の約定と書かれた消費金銭貸借証書にサインして印鑑証明を添えて五千万を口座に受け取った。
 R国国際空港には若い組員が付いて来た。
 其処から高速船に乗せられる。そして娼国の業者に引き渡された。
 とりあえず寮の部屋に案内され其処に落ち着く。
 
 真紀子は事態の不安から仁川が以前に懇意にした占い師を呼び寄せた。
 葛城義和を伴って鑑定を受ける。
 江崎占い師は易をたてる。
 五十本の筮竹の一本を抜く。それを筒に立てる。残った四十九本で念を込めて二つに分ける。半分を台に置く。手に残ったのが天策である。
 台に置いた地策から一本を抜いて小指に絡める。これが人策である。
 これを二本ずつ数える二、四、六、八を繰り返し最期に五本残る。
 巽(風)の象が出来る。
 同じ様にもう一度切る。
 今度は七本残る。艮(山)の象が出来る。
 これで山風蠱の卦が完成する。
 次は同じ様に切るが二、四、六と六本ずつ数える。四本が残る。
 これが爻を指す。
 山風蠱四爻である。
 「危険ですね。こちらのやり方が中途半端です。傷はもっと大きいです。大胆な策が必要です」
 それ以外にも対策などを聞いた。
 「ありがとう御座います」
 真紀子は葛城義和共々深々と礼を述べる。
 そして会議を招集した。
 「敵が内部に潜入したと言われましたね」
 「ええ。大問題よ」
 「火沢?二爻で思わぬところにあると」
 「仁川主席の時代にあの先生の鑑定は確かでした」
 真紀子は十数年前仁川に取り立てられた。その頃に何度も江崎鑑定士の鑑定に立ち会っていた。
 「日本から来る以上は何処かに動きがあると考えられますが今のところ兆しは見えないようですね」
 葛城義和もそれなりに日本に捜査の手を伸ばしている。
 
 生駒莉奈二等海尉も一日送れて娼国に着いた。真野枝里名警部補と加東彩子巡査部長はT市に向かう巡り会わせと成った。
 T市の湖畔の奥に大きなリゾートホテルが有る。湖水の辺は日本人居住区で周囲とは高い塀で隔離され一段と治安を確保している。
 真野枝里名警部補と加東彩子巡査部長はリゾートホテルの従業員寮を与えられた。
 逃げる事などは到底出来ない。T市には一般の鉄道さえ繋がってない。
 市江廣子の提案で日本人、日系人専用の高速鉄道がD市まで工事中である。一般国民には開放しない。


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