SadoのSM小説
女衒の國 その三

この物語はフィックションであり実在の人物機関とはなんらかかわりがありません。
SMハードコンパニオン

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 「一時的に回復したかに見えるだろうと言ったのだ」
 仁川は苦々しい顔である。
 「しかし日本の解散総選挙が決まる前までは江崎先生の鑑定でも半年スパンでは回復に向かうと仰っていませんでした」
 安形は真紀子にビールを注いで貰っている。
 鑑定は易という昔からある東洋の占い方法である。
 江崎先生とは仁川が以前から頼りにしている運命鑑定士だが四ヶ月前の鑑定内容は以下の通りであった。
 日本経済の成り行き。
巽坎巽巽坤坎・・・・・・水雷屯・・・之・・・水沢節。
 これが期限を付けずに切った鑑定である。期限を付けずに切れば半年くらいと診る
 水雷屯は行き悩む。これが本卦である。
 続いて水沢節は苦節を保つ。これが之卦になる。行き悩む状態から何とか苦節ながら保つ状態になるという鑑定である。
 日本経済三年の成り行き。
 坤乾坤離坤艮・・・・・・水雷屯・・・之・・・火沢?
 また本卦は水雷屯である。こんど之卦は火沢?になる。火沢?は背き離れる。これが日本経済の成り行きである。
 日本から経済が逃げて行くと言う意味を指していた。
 「一時的に回復するか回復したかに見えるがその後はずっと落ち行く。当分回復は見込めない。そういう意味ではないですか」
 安形は真紀子のミニスカートから出ている太腿と女躰盛の太腿をさりげなく見比べている。
 どちらも悪くないが真紀子の方が艶かしい。
 「こちらに日本企業の本社誘致を進めて日本が空洞になって行くからではないですか」
 真紀子は安形の視線など気にしない。見られることは寧ろ快感である。自分の躰を見ない男の方が腹立たしい。
 「そうではないと思う。簡単に多くの企業が日本から外に出られる訳ではない。大方は日本の経済と運命を共にするのではないか」
 仁川は難しい表情を崩さない。
 「日本から吸い上げる分は減って行くな」
 村上が冷で飲んでいる日本酒のコップを飲み干してぼやく。
 「主席は日本を一度瓦礫の山にしてからこちらの都合の良いように立て直すと仰いました」
 真紀子は仁川の表情を窺がいながら言う。
 「そうだ。だがそれには相当の期間が掛かる。その間は稼ぎが激減する」
 仁川も村上と同じ栄川を冷で飲んでいる。栄川と書いてさかえがわと読む。猪苗代の造り酒屋の酒である。
 冷やさなくても常温でおいしく飲める。
 「日本国民は国民党を見限らないのですか」
 安形が仁川の方を向いて言う。
 「見限る者は最初から見限っている。今以上の投票率は期待できない。だがマスコミは国民党を擁護している。三割の支持を得れば小選挙区で勝てる。子供手当てなど国民党の政策は一番棄権しない主婦、中間層の理想、利害にマッチしている。景気が回復しなくても昔の美濃部都政のように続く」
 「経済的瓦礫の山にする速度を上げられないのですか」
 湯野中の意見である。
 板前は活きた蝦蛄を女躰カウンターに載せる。
 蝦蛄は女躰の上を歩く。板前は一匹ずつ剥いて笹の葉に載せる。コンパニオンは辛そうに顎を引いて下目遣いに動きを見ていた。
 「国民党政権で瓦礫の山になる速度が急速に加速している。こっちの企業誘致の方が逆に追いつかないのだ」
 仁川は板前、津梨誠吉の仕種を横目で追っている。
 「理想論ばかり言ってその負担が最下層に行く。最下層がどんどん難民化して経済は悪化の一方だ。最下層が一番安い売春を買える世の中が必用だ。最下層が買えた西川口流の撲滅は大きな経済のマイナスだ」
 村上がさらに不満をぶちまけた。
 「人間の一番の要求を規制して子供向けの教科書に書いたような清い世の中にしても世の中は貧乏になる一方だ。江戸時代に田沼意次が老中で江戸は栄に栄えた。松平定信になって締め付けることで世の中は貧乏になった」
 仁川は右端の席で一同を見ている。
 「倹約からは何も生れない。江戸時代がそれを物語っている。最後に役人の手に渡る分の無駄遣いだけを排除すべきなのだ」
 真紀子が後ろから話している仁川に栄川の五号瓶から日本酒を注ぐ。
 「単純な事だ。企業や商業が儲からなければ末端までお金は流れない。末端にお金が至らなければ企業も商業も市場が冷えて儲ける事ができない」
 仁川は日本の政治家は民事党の大泉も国民党の小鳩も何も解ってないと言わんばかりである。
 「国民党政権は何を目指しているのですか」
 そこに真紀子が口を挿む。
 「ただの理想だ。理想からは何も解決できない」
 村上は憤懣やるかたなきと言った表情である。
 「主婦は理想に弱い。その指示に支えられて政権は崩れない。だが経済効果はどんどん離れて最下層は徐々に圧迫され職を失う。さらに最下層は拡大する。最後は経済的瓦礫の山に成る」
 仁川は蝦蛄に甘い垂れをつけないで山葵醤油でつまむ。
 「日本の国内企業が動ける状況ではなくなりますね」
 安形は板前に炙った雲丹の軍艦巻きに鶉を落としてもらう。真紀子も同じ物を味見した。
 「もっと悪くなる。とくに建設業などは倒産の話しばかりです」
 湯野中は日本酒を切り上げてビールに換える。
 「民事党政権で日本経済は徐々にでは有るが確実に落ちていく。国民党政権で経済大国から離脱する」
 仁川は筋子の醤油漬けと子持ち昆布を津梨誠吉の横にあるネタケースを指差して注文する。
 津梨誠吉はこの座敷に毎回呼ばれている。仁川の注文は心得ていた。
 「経済大国から離脱すると仰いますが下層、最下層が資産を持っていない国です。経済力が落ちたら一挙に難民の群れではないですか」
 真紀子が女躰カウンターの頭の方に首を倒し下から仁川を斜めに見て質問を投げかける。
 「その通り。それが早過ぎると対策ができない」
 仁川はそこまで行ったらどうにもならないと言う。
 
 立壁は有紀を一旦露天風呂に浸けた。
 この部屋には専用の露天風呂が付いている。南国だが外気はエアーカーテンで遮断していた。
 立壁には小休止のつもりだが有紀は身躰を弄くりまくられそれなりに辛い。
 だが蚯蚓腫れに蝋涙の痕は湯に浸けるが楽である。
 大木有紀は四大を出て普通にOLに成れた。
 普通のOLの如く電車の中で痴漢を捕まえる。
 痴漢は二審で無罪になった。それに何も問題はない。
 会社内で上司のセクハラを訴えた。だが痴漢冤罪を楯にセクハラでっち上げ女の汚名を着せられてしまう。
 そこから人生がくるった。会社を辞めざるを得なかったのである。その後は就職先がなく派遣を転々とする。
 最後の行く先は自由が丘のクラブだった。
 時給五千円。その代わりうちは御付き合いをして頂きますである。
 それは嫌だった。
 それならば売上の仕事をすれば御付き合いの方は自分の意志で選べると言われる。
 最初は面白いように儲かった。不況など自分の視野にない。
 だがある日マネージャーから店を閉めるからお客のツケを回収してくれと言われた。
 だがシステム通りにやって来て前借でツケは全額回収しても借金が残ってしまう。さらにツケは一銭も回収できなかった。
 二千万以上の借金を背負って娼館島に売られてしまう。
 娼館島に来て男性客への対応について厳しく指導された。
 此処でのサービスはセクハラ痴漢など到底比べようがない。言語を絶する内容であった。
 有紀は露天風呂で自分から立壁のさおを咥える。日本のSMクラブでは奉仕と呼んでいた。
 抜くことで男性のプレイへのパワーを消化するのが目的である。
 だが立壁は有紀の頭を押えて喉の奥まで突っ込んでしまう。有紀は何度もむせて咳き込む。
 最後は露天風呂の中で有紀が岩に両手をついてバックの中出しで終了した。
 それでも有紀への可逆心を滾らせている立壁のさおは萎えることはない。予定通り三角木馬は実行された。
 後ろ手に縛り乳房の上下に縄を廻す。胸部を高手小手に固めて天井のフックに張る。
 片脚ずつ脚首と膝を縛り天井のフックに通し引っ張り上げた。
 両脚を引っ張り上げると胸の縄を軸に水平に吊られてしまう。
 真下にキャスターの付いた三角木馬を持って来る。キャスターを動かないようにロックした。
 この三角木馬はキャスターの付いた一メートル四方の鉄板に縦にアームが伸びている。
 アームの上に高さ二十センチ底辺の幅十センチ奥行き一メートルの台座が載っていた。上部は一センチくらい鉄でできており尖っている。
 さすがに刃を出している訳ではない。先端一ミリくらいは鑢で丸めてある。
 これは此処ではBタイプと呼ばれている。
 Aタイプも刃は出してないが先端は丸めてない。天部一ミリくらいが平らである。
 日本人コンパニオンにはBタイプまでしか使えない。
 右脚の縄を緩め吊るしから解放する。股間が三角木馬の頂点に近付く。左脚を緩め女の部分が三角木馬に乗るよう微調整する。
 女の部分のビラビラを広げて左脚の縄を徐々に緩め三角木馬の高さを調整してビラビラで三角木馬の頂点を咥えさせた。
 「ああーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーーーん」
 脚は三角木馬を跨いで爪先は畳から十センチくらい離れている。
 総ての体重が女陰、会陰、アナルに掛かっていた。
 何もしなくても痛く堪らなく苦しい。
 既に有紀の顔は眉間の皺を三重に刻んでいる。
 上体は天井から胸部の縄で張られているので真直ぐである。
 腰は痛みと苦しみに定まらず微動を続けていた。それに連れて脚もくねる。
 底部の鉄板から鎖に繋がれている足枷を有紀の両脚首に固定する。
 アームのハンドルを回して張りを強くした。緩んだ天井からの縄も引いて張りを強める。
 「ああううーーーーーーーー。ううーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 有紀の顔はさらに軋む。きつく閉じた目からは僅かに涙が滲み出ている。
 この有紀の姿は二回も欲情を搾り出した立壁をそれでも興奮させ加虐心を滾らせた。
 踏み台を用意する。立壁が踏み台に乗って有紀の顔の高さになった。
 有紀の顔に脅えの表情が浮かぶ。
 乳房を掴む。
 「うう・・」
 上体が少しでも動けば腰が震撼する。
 髪を掴む。ほっぺたに手を充てた。
 有紀の目が睨み返す。反動をつけて叩く。
 びしゃーん。
 「ううーーーーーー。あがあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 紅潮した顔に涙を流して顔面を軋ませる。叩かれた振動は女の部分を震撼させた。痛みに堪える顔が立壁の躰を熱くする。
 さらに叩く。
 ぴしゃーん。
 「うぐーーーーーーーーーーーーー。あがあーーーーーーーーーーーーん。ああはあーーーーーーーーーん。いいたあーーーーーーーーいいーーーーー」
 縛られた躰を縮こませ全身をぶるぶる痙攣させて眉間に四方から幾重にも稲妻を刻む。
 まだ叩く。
 びしゃーん。
 「あうぐーーーーーーー。あーーーーーがあーーーーーーん。あはあーーーーーーーーん。ああはーーーーーーー。あはあああーーーーーーーーーーーー」
 悶え苦しみ涙はポロポロ零れた。股間はぶるぶる痛みに震える。
 有紀はかなり限界に来かけていた。
 立壁はまだスパンキングも鞭も使いたい。
 まだ叩きたくて有紀の髪を掴んでいる。有紀は全身を固まらせ痛みに歯を剥き出し鼻水も涎も止められない。
 それでも立壁は体の熱いものを込めてもう一度叩く。
 顔がゴムマリのように歪み躰が横に揺れた。
 「ぐうーーーーーーーーーううーーーーーーーーーーーーーーーー」
 腰を固まらせ踏ん張るが痛みに躰は震撼する。
 「ああぐああーーーーーーーーーーーーーー。あがあーーーーーーーーーーーーーーーーー。あがーーーーーーーーーーーーーーー。ううぐ。ううぐぐ」
 悲痛な顔がさらに醜く軋む。
 立壁の脳裏は洗濯バサミ、スタンガン、針が駆け巡っている。まだまだ有紀の躰で虐め心を堪能したい。
 有紀は涙を流し恐怖に震えていた。
 縄で固められ上下から圧迫されて突き出した乳首に洗濯バサミを一本目は深く鋏み付ける。
 さらにその左右に一本ずつ乳輪の周りの皮膚を鋏む。
 付ける度に有紀の顔は眉間の皺を中心に斜めに歪む。左右同じように鋏む。
 立壁はスパンキングを持つ。
 有紀の表情は恐怖に固まる。
 立壁は乳首を鋏んだ洗濯バサミを三本一挙にスパンキングの腹で叩きつけた。
 ばすーーん。
 幸いに三本とも一回ですっ飛ぶ。
 「ぐあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。ぐううううーーーーーーー」
 有紀の顔の稲妻が一挙に破裂し鈍い悲鳴が痛みの重さを痛感させる。
 「うぐぐぐぐーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 立壁はもう片方を狙って振りかぶる。
 「あ、ああーーーーーーーーーーーーーーーーー。」
 叩く。
 ばあすーーん。
 「ぐがあーーーーーーーーーーーーーーーーーー。ぐがあがあがあがあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 有紀から鼻水が一挙に流れ出て長く引いて畳に落ちる。
 「ああはあーーーーーーーーーーーーーーーーーん。だめえーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 目は必死に許しを求めていた。
 「もう駄目です。小股が斬れています」
 涙をぽろぽろ流し瀕死に訴える。
 已む無く立壁は有紀の胸部を固めた縄を緩めながら三角木馬のハンドルを回して下げた。
 「あぐーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 この下げる衝撃も痛い。
 木馬が女陰を離れると金属の先端は血が付着していた。
 有紀は畳に脚が着いてもだらりとぶら下がってしまう。
 立壁は有紀を畳に寝かせた。
 恥じらいも忘れて無防備に緩んだ股を広げたままである。
 女陰を確認する。
 既に血で染まっていた。
 「お願いします。看護婦さんを呼んで下さい」
 既に自分で歩けないくらい痛いのである。畳に寝かされても顔は痛みに引き攣っていた。
 看護師だがこの国では看護婦と看護士は区別されている。看護婦は入院中の性欲のケアもしてくれるのである。
 有紀はストレチャーで運び出された。
 後日立壁が休業補償を請求されたことは言うまでもない。
 
 真紀子は女躰盛コンパニオンに冷の日本酒を水差しで飲ませ続ける。既に五合以上は入っていた。
 コンパニオンの表情は極めて辛そうである。
 さらに真紀子はマスタードを用意していた。
 これを膣の奥に塗られると痒みで女躰カウンターの辛さに加えて地獄の苦しみである。
 「逆に日本の企業を潰して侵略したらどうですか」
 真紀子が何気なくポロリと言う。
 「侵略する。この状況で何ができるんじゃ」
 湯野中が真紀子の言葉に感情を剥き出して反論する。
 真紀子はつい半年前まで湯野中の配下のコンパニオンであった。仁川に引き上げられ女性向風俗の開発を始めたのである。
 借金も返し終わってなかった。
 事業の利益で返済したが湯野中は納得していない。さらに女性向風俗の開発も本来自分らの仕事と主張していた。
 「こちらで起業して日本の現地企業と競争して勝ち取ってしまえばどうでしょう」
 仁川は笑っている。
 「戦略の余地は有るのじゃないですか。資金繰りに瀕死の企業に日本政府の規制とこちらの資本の挟み撃ちで」
 今度は静かに真紀子とコンパニオンの躰を肴に飲んでいた安形が口を挿む。
 「うん。そういう考えもあるな。こちらに本社を置いた企業は応援してその業種には手を出さない。それ以外は日本の資本を潰してこっちの資本に入れ替える」
 仁川は真紀子と安形をにこにこ見ていた。
 村上の表情も納得気味である。
 もちろんこの戦略は安形が中心になる。そして真紀子もその儲けに便乗できることになるのである。
 「作戦は良い。だが先の見えない今動くことはない。もう少し時期を待て」
 
 次の日。太田黒が仁川邸を訪れる。仁川は会談に応じた。
 「君ら国民党は政権と引き換えに日本経済を潰す気か」
 開口一番仁川がぶった切る。
 「そのようなことはございません。私共は民意に従ってやっております」
 太田黒は襟を正しているつもりである。
 「何が民意だ。今の選挙では有権者の三割の票を得たら政権を取れる。子育て応援手当を廃止して子供手当てかあれこそ最大の無駄遣いだ」
 仁川は握手もしない。尊大に座って批判を投げ掛ける。
 「何故です。あれで経済効果になります」
 太田黒は反対側のソファーに浅く腰掛けた。
 「馬鹿をぬかせ!大半は預金に回ってしまう。子育てどころか結婚もできない最下層が失業に喘いでいる。買いたい物が買えないのではない。買わなければならない物を抑えているのだ。これが消費の冷えている最大の原因だ」
 仁川の目は強い眼光を放っている。
 「ですから失業対策も手を打っております」
 太田黒は言い訳するに近い反論でしかない。
 「何が失業対策だ。もっと倒産が増え失業者が増える対策になってしまう。企業を規制すれば失業が解決するというものではない」
 仁川の口調が強くなる。
 「雇用対策と言うのは経済を伸ばすことと仰るかもしれませんが敢えて申し上げたいです。やはり福祉経済というのが大事だと思います」
 辛うじて反論する太田黒の声は薄く掠れていた。
 「確かに福祉は大事だ。国がやらなければいけない最低限のことだ。だがそれだけでは最下層が最下層のまま最低賃金か生活保障で留まってしまう。福祉経済という足枷が企業を拘束しすぎる。経済が成長して初めて最下層がそこを脱却できる道が作られるのだ。最下層が経済的余裕を持てる経済水準にならなければ企業は利益を拡大できない」
 「しかし高負担、高福祉か低負担、低福祉のいずれかを選ばなければなりません」
 「どっちも間違いだ。確かに民事党の大泉は役人の言うがまま下層への福祉とそれに類する予算をカットして消費を冷えさせた。だが規制の緩和は間違っていない。しかしながらその緩和が極めて不充分であったと言える」
 少し仁川の口調は緩やかになる。
 「私共は今回の政権交代で官僚支配から脱却するという革命を行ったと思っております。官僚の無駄遣いを省いて福祉経済に回すという改革を実行しております」
 太田黒の言うことは党の方針として意識合わせした内容を繰り返しただけである。
 「官僚支配からの脱却。それは若干評価する。平佐和先生も仰っていた。民事党ではできない。ここは国民党に一歩譲って官僚主導から脱却するしかない。そこまでは良い。公共事業を削って無駄を省くのは今やることではない。無駄と雖も経済効果にはなる。景気の回復が先だ。子供手当ではまた預金に止まる金が増える。そして中小企業の倒産は増大し失業者は溢れる。本当の無駄は回り回って官僚の食い物になる部分だけだ」
 「ですから天下りの根絶を目指しております」
 「御前らの天下りの根絶は天下りの斡旋の根絶だ。一旦公務員になったら民間の再就職を一切禁止しなければ天下りはなくならない。そんなことはできる訳もない。天下りの斡旋の根絶は選挙民を納得させる姑息な手段にすぎない。民間の談合を許容して役人に発注先を決めさせなければ官制談合はできない。役人は価格を決めるのみ。何処が受注するかは民間の審査会社が決めればよい」
 「私共は失業対策に全力をあげております」
 「ふん。社会党右派がな。女性知識階級の支持さえ得られれば闇黒の美濃部都政のように長く政権は維持できる。国民党政権が四年続けば日本は経済大国から離脱して経済的瓦礫の山だ」
 「断じてそのようなことは致しません。公共事業から人への投資に切り替えて行きます」
 「御前らの政策といくら話しても無駄だ。用件は何だ」
 「市江廣子に面会させてください」
 「断る。本来娼国公認弁護士又はR国の娼国公認弁護士以外接見はできない決まりだ。特別に同じ政党でない平佐和先生だけ認めた。それで終わりだ」
 「・・・・」
 「それと先に言っておくが御前もテレビクルーと一緒に入国したな。R国で何か調査を開始すれば即刻スパイ容疑だ。娼国には撮影機材を持ち込んだだけで逮捕だ」
 「判りました。ところで沼緒元警部はどうしていますか」
 太田黒にそれ以上突っ込むことはできない。完全に見張られていると事態が理解できたのである。
 「沼緒。・・ああ輪加子か。いいよ会って行くか」
 「はい。お願い致します」
 「ところで一人で乗り込んで来たが君は秘書とかは居ないのか」
 「はい。当選したばかりでそこまでまだ」
 「そういえば平佐和先生が市江廣子に秘書は何処だと聞いたら首を振っていたな。そういうことか」
 仁川は太田黒をホテル最上階の和食に案内する。
 輪加子は真紀子に連れられて入ってきた。
 既に清楚な元警部の姿ではない。全身シャネル。完全に虚飾に包まれたAV女優である。
 「あとはよろしく」
 二人が来るとそこで仁川は席を外した。
 「どういう御用でしょうか」
 輪加子にとって太田黒の来訪は迷惑以外の何者でもない。
 「市江廣子元衆議院議員にこちらでお会いになってないと言うのは本当でしょうか」
 「そうです。一度警視庁のスパイと断定されて収監されました。こちらの真紀子さんに面会に来て頂いて真紀子さんの提案でAVに出ればスパイでないと証明できる。それで話しが付きました」
 「真紀子さんとはどういう関係で」




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