SadoのSM小説 調教師集団

その六

大学講師のフェミニストが堕ちる   
 この物語はフィックションであり、実在の人物機関とはなんらかかわりありません。
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 二〇一八年夏至上元
 (これは平気法による二十四節気です)
 池袋を毎時ゼロ分に発車した武州ライナーは24分無停車でJR武州線と並ぶ武州駅に着く。武州ライナーはそのまま武州寄居まで行く。
 武州駅から都市モノレールが二つのニューシティを結んでいる。
 九年前に開通した時は単線で次の田面沢駅で交換していた。僅かな投資で街の流れを変えたモノレールである。
 本宿の街の発展に伴い五年前に複線になった。
 武州鉄道の田面沢駅を過ぎて別の私鉄に沿って右に折れて元本宿駅に止まる。眼下の私鉄はここが終点である。
 モノレールはそのまま無停車で歴史の街の上空を流れて伊佐沼まで行く。
 其処は五十階建ての高層建物が六棟。病院、学校、ショッピングセンターを内包して上は家族が住む高層マンションである。
 武州駅から反対方向は一駅で終点本宿となる。
 此処は独身者の街である。工場、オフィス、歓楽街型大型ショッピングモールが入る。五十階建て高層建築が二列二十八棟から成っていた。
 モノレールの本宿終点に隣接したミッドタウン一号棟。これを先頭に元本宿を発車した私鉄の次の駅南武州を跨いでその先まで伸びている。
 モノレールの終点駅本宿。ミッドタウンと僅かな道一本を挟んだ反対側に五階建ての建物がある。
 この五階は秘密のお座敷に成っている。
 その言問の間である。
 其処には日本の政治家、警察関係幹部、武州市長、企業オーナーが集まっていた。
 温泉の宴会場でも有り得ない宴会である。
 配膳しているコンパニオンは全裸にエプロン一枚。席に付いているコンパニオンは全裸でお客に躰を弄られている。
 ここまでならスーパーコンパニオンと同じと言われるかもしれない。
 座敷の床柱にハードコンパニオンが一人。ブルーシートを敷いた畳にお尻を着き両脚は斜め上に引っ張られている。
 脚首を縛った縄が天井から吊るしたフックに接続されていて股間を大開にしていた。
 腕と胸部は高手小手に縛られ後ろの柱に固定されている。
 女の躰は船の碇のように床柱に磔にされて女の部分は丸出しである。
 高手小手の縛りで乳房は上下の縄に挟まれ乳首は強く突き出している。
 女は上野愛菜と言う。
 客が一人立って鞭を持っている。一本鞭である。先端に長方形の革を二つ折りにしたチップが付いている。
 チェップの長さは五センチ位である。
 狙っているのは?き出しになった股間に閉じ合わせた粘膜。左右の丘の間に細く縦一文字に小豆色の顔を覗かせている。
 上野愛菜の表情は怯えきっていた。
 鞭を持っているのは武州市長安曇幸雄である。
 上野愛菜は顔を横に逸らし目を瞑って身構える。
 鞭はきっちり上野愛菜の女の部分を叩く。
 「ぐうううーーーーーーーーーーーーーーー」
 上野愛菜は顔を絞るように軋ませ大口で甲高い悲鳴を絞り上げる。
 武州市長は武州警察の署長長妻警視正に鞭を渡す。
 長妻警視正は既に蝋燭に点火して芯の周りに溶けた蝋涙を溜めていた。四本用意している。
 両手に一本ずつ持つ。乳房に近付ける。
 「いやあーーーーーーーーーーー」
 瞬時に蝋涙を被ると悟った上野愛菜は驚愕の悲鳴を上げた。
 長妻警視正は容赦なく乳房にべっとり掛けてしまう。
 「あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 甲高い悲鳴が宴会場に轟き渡る。
 次の二本を持つ。
 「ああーーーーーーーーー。やめてーーーーーーーーーーーーーーー」
 上野愛菜は恐怖の形相で叫ぶ。
 また容赦なく女の部分に流す。
 「あーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 最後の一本は左の太腿に流す。
 「あーーーーーーーーーーー」
 上野愛菜の白い艶めいた肌は下着代わりのようにべっちゃり蝋涙を被っていた。
 長妻警視正はドライヤーを冷風にして蝋涙を乾かす。
 上野愛菜に客と言う認識は既に外れている。嫌悪の篭った恐怖の表情で目の前の長妻警視正を見ていた。
 長妻警視正は指先で乳房の蝋涙の固まり具合を確認する。そしてスパンキングを手にした。
 一本鞭と違って平たい革の面で叩く。柔肌を叩かれると相当に痛い。
 「ぐうーーーーーーーーーーーー」
 上野愛菜は痛みに顔を絞るように眉間に皺を寄せる。顔を仰け反らせて悲鳴を搾り出す。
 長妻警視正は嬉々として乳房を卓球の弾を打つように叩く。
 「ぐううーーーーーーーーーーーーーー」
 乳房の蝋涙は一気に割れた。乳首の形ごと落ちる。残骸は細かくなって部分的に残っていた。これをはたくように落とす。
 「ぐわあーーーーーー」
 内腿にもべったり被っている。この部分も乳房ほどではないが叩かれると相当に痛い。
 「ぐうーー」
 長妻警視正はある程度叩いて蝋涙を落としたら上野愛菜の躰に残った蝋涙の残骸を手で払う。
 乳房の感触を手で味わいながら擦るように落としてゆく。
 最後に股間に被せた蝋涙が女の部分を包んでいる。さらに陰毛の下にもびっしり流れていた。
 長妻警視正は安曇市長が使っていた一本鞭に持ち替える。
 「ああーー」
 上野愛菜は怯えの表情で悲鳴を漏らす。
 長妻警視正は容赦なく女の部分に被った蝋涙を叩く。
 「ぐうわわーーーーーーーーーーー」
 上野愛菜の顔の表情を破裂させた悲鳴と共に一発で割れて堕ちる。
 長妻警視正は僅かに残った残骸を狙って?き出しになった局部を叩く。
 「ぐごおーーーーーーーーーーーーー」
 上野愛菜の躰は震撼し縄を揺さぶって痛みに暴れる。
 「あはん。あっはん。あはん。はあ。はあ。はあ」
 恐怖に慄く表情で荒い息遣いを続けた。
 長妻警視正は女の部分に残った蝋涙の粕を指先で落とす。陰毛の下の蝋涙は簡単には落ちない。
 「そっちは湯に浸けないと無理だ」
 衆議院議員の平佐和周一郎である。
 長妻警視正は緊縛師を振り向く。
 縛る作業は客ではできない。緊縛師の小湊勇一が座敷に同行している。
 「一回解きますか」
 小湊雄一がスポンサーのTCC社長前原に確認を取る。
 「いいよ。最後まで回ってから風呂に浸けて剃毛もしよう」
 平佐和が決めてしまう。
 「剃毛は次回分のご予約もお願いできますか」
 また小港雄一が前原社長に確認する。
 「いいですよ。来週も」
 前原社長は二つ返事で納得する。
 女将が蛞蝓をボールに入れて運んで来た。このお座敷では定番に成りつつある遊びである。
 クスコ、ロングスプーン、粗塩が添えられている。
 「養殖した蛞蝓でございます」
 下水などから上がって来る天然物ではないと能書きを述べてゆく。
 女将は青木典子と言う。今年で五十七に成る。
 板長は女将の主人である。一流ホテルの総料理長を定年退職して今は此処を手伝っている。
 女将は不倫の愛人との共同事業に失敗した。やくざに数千万の借金を負ってしまう。
 この街の実質オーナー保木間貴明から此処を任された。その稼ぎで毎月数十万の返済を完済したばかりである。
 不倫相手は典子に借金を残して逃走した。行方はまったく解らない。
 次は国民党から分裂して新国民党になった菱沼代議士の順番である。
 菱沼は上野愛菜の膣にクスコを挿入する。
 「えーー」
 上野愛菜は神経質そうにそれを見ている。
 蛞蝓の入ったボウルを見せた。
 「いやああーーーーーーーーーーーーーー」
 恐怖の悲鳴を上げてしまう。蛞蝓がクスコで抉じ開けられた自分の娘に入れられると瞬時に想定が付く。
 菱沼はロングスプーンで蛞蝓を掬う。
 「いやあーー。いやよーー。やめてーーーーーーー。やめてーーーーーーー」
 上野愛菜はヒステリックに叫び続ける。
 クスコは態と横向きに挿入されていた。クスコの金属が割れて三角に下部の緋色の膣壁が覗いている。
 菱沼はロングスプーンに載った蛞蝓を緋色の粘膜に近付けた。
 「あーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 甲高い悲鳴になる。
 容赦なく膣壁に載せた。
 「あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 いっそう甲高い悲鳴は高くなる。細面の顔に大きな目が吊り上がって恐怖の表情が破裂する。
 「いやあーーーーーーーーーー。いやあーーーーーーーーーー。いやあーーーーーーーーーー」
 甲高い悲鳴は止まらない。
 菱沼はロングスプーンに粗塩をしゃくる。それを蛞蝓に掛ける。
 「ああーー。ああーー。ああーー。ああーー」
 上野愛菜の躰はぶるぶる震える。
 蛞蝓は瞬時に萎む。それをピンセットで取り出す。
 眼前に翳す。
 「いやあーーーーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーー」
 上野愛菜は狂ったように叫ぶ。
 平佐和の合図で小湊雄一が一旦脚の縄から解き始める。
 小湊雄一が座敷に続いた浴室に連れて行く。上野愛菜は湯の中で狂ったように膣に指を突っ込んで洗う。涙をぽろぽろ流して泣き続けた。
 やがて小港雄一が抱き抱えてお座敷のブルーシートに寝かす。剃毛の儀式になる。
 上野愛菜は今日の仕事が初日である。
 つい一月前は極東経済大学の講師であった。調教師集団の手でいまの境遇に堕とされた。もっとも辛うじて講師は続けている。
 ここで調教師集団について解説する。
 現代は女性知識層の言い分のままに女性を圧倒的に保護し過ぎる法律下である。
 迷惑防止条例、ストーカー禁止法は江戸時代の切り捨て御免、生類哀れみの令と変わらない。冤罪を大量生産する史上の悪法と言える。
 それを悪用する現代の身勝手な女性を制裁してお仕置き、かつ風俗、AVの仕事に就かせて経済効果に貢献する。そういう集団である。
 法律が女性の言い成りに従ってしまっている現代において女性は会社の中で些細な事で痴漢、セクハラ、パワハラと文句をつける。
 杓子定規に女性の言い分通りでは男性は恐ろしくて会社に居られない。調教師集団はそういう男性の依頼を実行する。
 標的として依頼を受けるのは女性だけである。
 風俗関係者や本当に弱い女性は対象にしない。法律的女性有利を利用して男性、企業を抑圧するインテリ女性だけである。
 調教師集団の団員は保木間の他十一名。弁護士、外科医、精神科医、印刷屋、警察官、組関係者もいる。
 そして調教師集団がこの街の実質管理者である。
 この街の実質オーナーの保木間貴明は今年で六十二歳になる。建前はフリーのコンサルタントとなっている。
 R国の本社に滞在する名目上のオーナーから依頼を受けて、日本に存在する系列企業の全権を任されている建前である。
 ここの土地を買い取った本社はR国に在るがこれも僅かな事務所しかない。
 代表は名目上のオーナー経営者で日本から赴任していた。言い方を変えれば代表取締役という名の使用人である。
 
 上野愛菜の依頼人は極東経済大学の理事長である。
 極東経済大学では内村理事によるセクハラ問題がマスコミにより加熱ヒートしていた。
 上野愛菜は教職員組合の委員であった。
 内村理事の問題で大学側がなかなか事態を認めて動かない。それで教職員組合が理事長、学長の辞任を求めたのである。
 この運動に組合委員長を突き上げて行動を促進した上野愛菜が怒りの対象となった。
 上野愛菜らはトップダウン型の敏速だが一方的な大学経営に反旗を翻す。
 内村理事のセクハラは歴然であった。
 大学生は既に成人している。合意の関係と言えば言えない事も無い。
 内村理事は文化人類学の教授でもある。
 それは補講のゼミで行われた。
 民族学エスノロジーの調査である。山形県の奥地の村に入る。村の年配者の家を一軒ずつ訪ねて古くからの習慣、生活を調査する。
 民俗学にはフォークロアもある。こちらは民間伝承学で民族学エスノロジーとはやや内容が違う。
 合宿所に民宿を借り切っていた。
 毎夜飲み会も行われる。男女かなり乱れていた。
 参加者は理事である内村教授及びOBそして学生である。
 卒業に関わる単位取得の補講となる。
 そのゼミの数日後一人の女子学生が自殺した。
 いったいゼミで何が行われていたか。マスコミが執拗に徐々に内容を剥がしてゆく。その内容は大学のゼミとは到底言えるものではなかった。
 だが大学側は伝統的なゼミであり代々のOBも参加して戦前から続いている。セクハラなどではない由緒正しき伝統であると説明した。
 OBはマスコミの取材にこぞって問題は無いと主張する。その中に女性もいた。私達もやって来た事と主張する。
 それでも問題が明るみに出たと見て現役の学生らは徐々に内容を語り始める。
 それは数日に渡ってワイドショーのメインのネタに成った。
 肝試しが行われた事がまず表面に出る。
 これは部落の奥にある古寺の広い境内で行われた。寺の正面からスタートする。予めチェックポイントに札が掛けられていた。全部で十二箇所になる。
 指定されたコースを地図に沿って回ってこの札を全て持ってくればOKである。
 鬱蒼とした森の中、墓地の中の細い道を進む。
 OBらが幽霊の役もする。
 完了出来ないとお仕置きの儀式になる。
 この儀式が縛られてSM紛いの拷問と報じられた。
 真相は闇の中。内村理事は辞任会見で全てを否定する。
 だが学生の中には内村理事が玩具にしたい女子学生の時は幽霊が強化されたと証言していた。
 だがSM紛いの拷問については現役の学生も真相は語らない。語れない事情もあった。
 
 調教師集団は保木間の部屋に集まってこの依頼について会議を行った。
 ミッドタウン最上階の3LDKだが屋上スペースが付いている。一段下の屋上で専用の大型バルコニーである。
 一面太陽光発電の屋根を張り竹垣で囲っていた。檜の浴槽が二つL字に置かれて大型モニターもある。
 生ビールのサーバーもあり海鮮類のつまみが氷を張った桶に並べられている。
 二重底の桶に載せた二重ガラスのジョッキで生ビールを飲む。
 男性は十一人。紅一点は北嶋真紀子。北嶋コンツェルン社長である。
 全員が全裸で真紀子もバスタオルを巻いたりしてはいない。
 全員真紀子と躰の関係がある。遊ばれているのではない。真紀子の方が遊んでいる。
 調教師集団に入るに真紀子が躰で審査した。
 今回の依頼には多少迷う部分もある。
 上野愛菜らがトップダウンに反対と言う。だが理事長の言い分は組合で実質意見を通すのは上野愛菜であると言いたい。
 この女の方針に合うように改革して一介の講師が伸し上がろうとしている。委員長はこの女の傀儡であると主張する。
 真紀子の意見が一同を制した。標的が経済発展と風俗売春を抑制するフェミニストである以上この依頼は実行すべきと真紀子は主張する。
 これには調教師集団の誰も反論しない。
 
 上野愛菜はお座敷が終わってミッドタウン五号棟に寮として貰った部屋に戻った。部屋に着いて玄関を入って手前の三条間に倒れ込んでしまう。
 そのまま精神的疲れ、肉体的疲れ、そしてあまりにも衝撃なお座敷の内容に動けなくなっていた。
 恐ろしい境遇に堕ちてしまった。這い上がるに何年掛るか解らない。
 本来なら些細な自転車事故の筈である。
 間違いなく自分の正面からドローンが来た。それを避けてハンドルを切った。
 それが前から早歩きで来る通行人に当ってしまったのである。
 自転車はガードレールに当って止まった。だが通行人は衝撃でガードレールを乗り越えて川に落ちてしまう。
 川底の少し高くなった水の無いコンクリート部分。そこに頭から落ちてしまったのである。
 目撃者は通行人が二人居た。
 救急車を呼んだが死亡が確認される。過失致死でそのまま逮捕となった。
 通行人は二人ともドローンは見てないと証言した。
 国選弁護人が付く。野村未来也弁護士である。
 ドローンの事は主張しない。素直によそ見を認めて悪くても執行猶予に持ち込むよう勧められた。禁固刑になれば大学はやめなければならない。
 まず釈放される事が重要となる。
 被害者が告訴をして検察官が起訴をしてしまうことを避けるのが懸命である。
 だが被害者側も勤め先が弁護士を立ててきた。
 相手の弁護士は館山と言う。
 死亡したのはその会社にとって重要な技術者だった。この人物の死によって依頼先の仕事が果たせなくなってしまったと主張する。
 取引先もこの依頼が果たされなければ莫大な損害を受ける。
 これを自社で賠償したらこの技術者の居た会社は倒産する。上野愛菜に保証を要求した。
 上野愛菜が賠償に応じなければ示談は無い。
 ドローンが飛んできたと主張した。それが目撃者二人の証言と食い違い悪質な言い訳とみなされる。
 さらに埼玉県の条例自転車保険加入義務に違反していた。
 送検される48時間以内に示談に持ち込むよう野村未来也弁護士は説得する。
 家を売る覚悟を決めてとにかく示談交渉した。館山弁護士は全額弁済を条件にしている。
 館山弁護士、野村未来也弁護士共々できれば減刑、不起訴を確保するよう努力すると言ってくれる。
 在宅起訴で勾留は免れた。
 上野愛菜にはまったく判らないが館山弁護士も野村未来也弁護士も調教師集団の一員である。
 上野愛菜は家を売っても金額は足りなかった。銀行融資は受けられない。町金を渡り歩いた。何処も貸さない。
 レリースローンを詠う杉本金融に行き着いた。
 「融資を行えなくはありませんが、今の収入では」
 担当者から含みのある言葉が返ってきた。
 「どのくらいの収入があれば良いのですか」
 大学の給料は手取りで四十数万になる。他に原稿料の収入などもある。
 「女性ですから高額なアルバイトでもしていれば別ですが。今の収入ではまったく評価はできません」
 絶望的な言葉が返ってくる。それでももう後戻りはできない。
 「高額なアルバイトどこかありますでしょうか」
 遂にここまで堕ちてしまった。
 「いえ。いえ。ご紹介などはできませんよ。働いていらっしゃればそちらの信用は評価いたします。収入によっては金利も15%前後でご融資できます」
 「どのくらいの収入が必要なのですか」
 「現在の収入の他に月額二百万くらいですね」
 「合計二百五十万ですか」
 「そうです」
 担当者は冷ややかに融資対象外という回答である。
 上野愛菜は必死に風俗系求人誌を見て探しまくった。大学を辞めたくはない。断腸の思いでソープ、ピンクサロン、ヘルスなど掛けまくった。
 大学の時間を考えるとソープでも難しい。
 それでも面接に行った。
 全裸の確認を要求された。行き成りである。倒れそうな衝撃だった。
 収入の話も一日置き八時間位は働かなくては成らない。それでは大学に支障をきたす。脱ぐ前に帰る判断をした。
 帰り道に見知らぬ男に呼び止められた。
 「話しついた」
 崩れたタイプの男である。足早に逃げようと動いた。
 「誰から聞いたとは言えないけど。困っているんだよね。良かったら働いて貸して貰えるところ紹介するけど」
 ちょっと怖いが脚を止めて話を聞く。
 男が紹介したところは本宿スカイシティの23階に有った。周りの環境が綺麗なのでやや安心した。
 だが出て来た男は大柄で厳つい。宇佐美伝吉と言った。
 調教師集団の一員ではない。墨田会系大船一家の舎弟頭補佐である。兄貴分の稲垣七郎若頭が調教師集団の一員でそのおこぼれの仕事を貰っていた。
 「総額いくら必要だ」
 単刀直入に聞かれる。杉本金融の担当者のように優しくない。
 「三千二百万です」
 必要な理由を聞かれた。
 「成程。やるしかないね。それで全部か」
 「一部は自宅が売れました」
 「そう。いま住むところは」
 「明け渡すのでアパートを探しています」
 「うん。そっちは寮がある。また入ってもらわねば成らない」
 「どうしてですか」
 「金貸して逃げられては」
 「ああ。はい」
 「躰を見せてもらうよ」
 「ええ」
 ソープでも同じ事を言われた。
 「躰を見なければ一円も出せない。刺青でもあったら評価は一気に下がる。おっぱいの形、大事な部分の形も評価の範囲だ」
 態度は嫌なら帰れと言っている。
 暫く沈黙が支配した。
 どうせこの先脱ぐしかない。意を決した。
 上着を脱ぎカット層も脱ぐ。スラックスも脱いだ。震える手でブラを外す。
 「うん」
 宇佐美は納得の表情である。
 「下も見せてくれ」
 ショーツを脱いで手に丸めて握る。
 「机に座って広げて」
 この男一人である。覚悟を決めて股を開く。
 「その女の部分を広げて」
 宇佐美は坦々と驚愕の指示を出す。
 「えー」
 上野愛菜はうろたえる。意味が解らない。
 「指で閉じた粘膜を開いて。その部分が大事なのだ」
 宇佐美は真顔である。
 仕方無しに震える指先を大陰唇に持ってゆく。
 「それを両側に引っ張って」
 真っ白な頭で言われた通りピンクの部分を広げた。自分でも見たことの無い部分である。
 「うん。いいだろ。AV五本で行けるよ」
 「それはあ」
 それでは大学の講師を続けられない。
 「AVで顔が出てしまったら大学の講師が続けられません」


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