SadoのSM小説 調教師集団

その十
痴漢冤罪者をSNSに指名手配した女刑事が堕とされる   
 この物語はフィックションであり、実在の人物機関とはなんらかかわりありません。

 二〇一九年夏至中元
 (これは平気法による二十四節気です。空間分割法の節入りとは違います)
 埼玉県警本部の段下衛警視正は浦和駅から湘南新宿ラインに乗って大宮駅十一番線に降りた。
 エスカレーターを上がり連絡通路に出て新幹線改札横の階段を三フロア分下がる。降りたところは武州線ホームである。
 痴漢免罪で釈放された被害者と待ち合わせていた。
 山路透はサングラスに野球帽を被ってベンチに座っている。まだ人目が気に成っていた。
 埼京線は此処で武州線と名称を変えて一つ先の日進から単線と成る。たいした距離ではないが二十五分も掛かってしまう。
 三十数年前は大宮駅十一番線から出ていた。単線区間をジーゼル機関車が引っ張っての運行であった。
 その頃はATCや信号ではなく列車交換には竹の輪で出来たダブレットを駅員が持って走る。
 昔の単線区間の名残でダイヤは他の私鉄等と違って寝かされていた。
 終点武州から先はさらにローカル専用の車両が四両で運転している。段下警視正は武州で降りて都市モノレールに乗り換えた。
 一駅で終点本宿に着く。
 其処は壮大な近代都市。五十階建ての高層建物が二列に並んで十四棟。合計二十八棟が中心である。
 その中央を新都市交通が基点本宿からニューシティを縦断して繋いでいた。
 段下警視正が山路透を案内して来たのは一番手前の左側。ミッドタウン一号棟の四十三階。其処は野村未来也弁護士の事務所である。
 「このかたですね」
 野村未来也弁護士は段下警視正から説明は受けていた。
 「釈放になったが既に会社は退職して無職です。あんなに顔写真がSNSに撒かれたら出勤出来ないでしょう」
 「テレビ各局で冤罪と放映されましたが」
 「それでも焼け石に水です」
 山路透ではない。段下警視正の言葉である。
 「私はSNSに自分の写真が投稿されているとは知りませんでした。痴漢の覚えもありません。普段混雑した電車に乗ることはないのですが出張の帰りで」
 山路透は事態の判らないまま次の駅で待っていた警察官に引き渡された。其処でさらに埼玉県警から来た刑事二人に引き渡される。
 取調べに当ったのが中西悠里巡査長であった。この女がSNSに指名手配代わりに写真を投稿したのである。
 中西悠里巡査長らは被害者が痴漢行為に遭った埼京線に網を張った。山路透が普段乗らない路線なので検挙出来なかったのである。
 中西悠里巡査長は山路透の写真を見てある人物を思い出しす。昔警察官に成る前嫌な別れ方をした男に似ていた。
 一緒に風呂に入らせたり、明るい部屋で性器を弄ったり、無修正のアダルトビデオを見せる。
 それなりによく有る事である。だが中西悠里巡査長には許し難い事であった。それだけで別れてしまう。
 中西悠里巡査長は山地透をこういう男が痴漢と決めつけた。そして指名手配出来ないので被害者に代わって証拠品として受理した画像をSNSに公開する。
 山地透は犯行を否認したので拘留は長引く。
 その間にSNSの投稿がワイドショーでも問題になった。
 山地透の姉が弟は無罪と削除を求めたのである。
 その投稿を見た痴漢被害者の女性が自分は投稿してない。警察に画像を提供しただけとコメントした。
 ワイドショーでは痴漢のSNS投稿についてアンケートを取る。結果反対者は多かった。それも女性の反対者が多かったのが以外であった。
 SNSへのアップは被害女性から訴えを聞いた中西悠里巡査長の仕業と直ぐに判明する。
 署内で事は大事に成った。それでも警察内部のこととしてその時点では厳重注意で済ます。
 その翌日である。埼玉県警武州署に連行された痴漢の取調べで余罪を追及した。
 そのときその痴漢は山地透の捕まった件は自分の行為と白状する。
 取調べに当った大畑巡査部長は警察の不祥事にしようと嘘の証言の可能性も有ると疑う。その日の埼京線の防犯カメラを確認した。
 山地透は被害者の正面に居た。その痴漢は山地透の斜め後ろから手を伸ばしている。揺れる数分間の録画の中に数回その手が確認された。
 大畑巡査部長は事の重大さを段下警視正に報告する。
 ここまで行けば隠蔽はできない。痴漢は僅かな刑で娑婆に出る。そうなれば喋りまくる。公表することが最善である。
 県警本部長が会見で謝罪と成った。
 中西悠里巡査長は辞任を申し出る。だが段下警視正が執拗に強く意見して懲戒免職にした。
 段下警視正は幹部が山地透に謝罪したあと個人的に近付いて経過を説明する。
 「国選弁護人はたいしたことはできないと言っています」
 段下警視正が中西悠里巡査長を辞任ではなく強行に懲戒免職にしてくれた。山地透はこの事でやや溜飲を下げる。
 だがこの先は絶望的である。
 「私を信じて別の弁護士に会ってくれないか。金は一切掛からない」
 「はい」
 他に充てはない。段下警視正の行動にやや感謝するので従った。
 野村未来也弁護士は山地透の話が終わるとメモした内容を暫く見詰める。
 「確かに国選弁護の言う通り普通ではたいしたことはできない。名誉毀損で訴えても企業でのセクハラの様な大金は取れない」
 「そうですよね」
 山地透は肩を落としている。それでも賠償金は取らねばならない。
 「さて、普通のやり方では駄目だが、君はここから先の事を生涯墓場まで秘密にできるかね」
 「はい」
 頼りない調子だが山路透は答える。
 「万一しゃべった場合は我々にはどうすることも出来ない」
 「はい」
 段下警視正の宣告に山地透はむしろ期待が沸く。
 「この街は調教師集団というグループが経営している。そのグループがそういった報復もやる」
 野村未来也弁護士が説明する。
 「・・・」
 「君は一銭の金も出さなくて良い。調教師集団が中西悠里元巡査長を無修正SM系AVに堕としてそこから賠償金を払わせる」
 「ある程度は非合法だからと言う事ですね」
 「殆ど合法の体裁は取るよ」
 「合法でも公には出来ないがね」
 段下警視正も念を押す。
 「この調教師集団やこの街を見張る影の組織がある。我々も調教師集団もその存在は知らない。R国に居るこの街のオーナーから指令を受けている」
 ここで調教師集団について解説する。
 現代は女性知識層の言い分のままに女性を圧倒的に保護し過ぎる法律下である。
 迷惑防止条例、ストーカー禁止法は江戸時代の切り捨て御免、生類哀れみの令と変わらない。
 疑わしきは罰せずの精神から著しく外れている。冤罪を大量生産する史上の悪法と言うべきである。
 それを悪用する現代の身勝手な女性を制裁してお仕置き、かつ風俗、AVの仕事に就かせる。そして経済効果に貢献する。そういう集団である。
 法律が女性の言い成りに従ってしまっていた。現代において女性は会社の中で些細な事で痴漢、セクハラ、パワハラと文句をつける。
 杓子定規に女性の言い分通りでは男性は恐ろしくて会社に居られない。調教師集団はそういう男性の依頼を実行する。
 標的として依頼を受けるのは女性だけである。
 風俗関係者や本当に弱い女性は対象にしない。法律的女性有利を利用して男性、企業を抑圧するインテリ女性だけである。
 調教師集団の団員は保木間の他十一名。弁護士、外科医、精神科医、印刷屋、警察官、組関係者もいる。
 「警視正と先生はどういう関係で」
 「我々もその一員だよ」
 「そうですか」
 山地透は安堵の笑みを浮かべる。
 
 中西悠里元巡査長は懲戒免職後自宅で謹慎状態同然である。辛うじて埼玉県の外れにアパートを借りた。懲戒免職で寮を出たからである。
 警察を辞めてしまうと条件が悪く埼玉県と雖も都心部のアパートは借りられなかった。
 警備会社を幾つかハローワークで紹介された。だが何処も思う以上に給料が安い。
 預金の有る間に持久戦で仕事を探すか。郷里に帰ってゆっくり考える事も検討する。だが父親は懲戒免職になった事で中西悠里元巡査長を非難していた。
 そんな矢先SNSに痴漢冤罪者のポートを載せた婦人警官とアップされてしまう。リツイートが瞬く間に走り拡散された。
 調教師集団が行ったのである。まったく発信元が判らない方法で行っていた。
 中西悠里元巡査長の田舎の両親からは周囲から非難されている旨を手紙で知らせてくる。田舎に帰ることも侭ならない。
 その追い討ちに『名誉毀損の示談に関して』という内容で野村未来也弁護士から内容証明が届いた。そして週刊誌が度々取材に来る。
 買い物一つ外に出られない。
 何故住所が判ったのか謎である。まだ住民票も動かしていない。
 そんなある日。県警の上司からスタントマンの仕事があるが如何かと紹介されてきた。
 こっそり夜間にビジネスホテルに移ってスタントマンの面接に行く事にする。
 名誉毀損の賠償は免れない。弁護士の請求額は法外であった。もし裁判になればマスコミの餌食と成る。示談にはしたいがそれも難しそうである。
 とにかくいまは金を稼がなくてはならない。
 県警の上司は段下警視正の指示で動いたのである。
 宇佐美という人物と連絡を取って撮影現場に行けと元上司から指示された。中西悠里元巡査長はその通りにする。
 宇佐美伝吉は墨田会系大船一家の組員である。やくざに見えない姿で現れた。それでもその体躯の厳つさに中西悠里元巡査長はたじろぐ。
 行き先を訪ねると赤木山中の時代劇の撮影現場と告げられた。
 中西悠里元巡査長は宇佐美の服装からスタントマン会社の社長と理解する。
 着いたのは赤木山中に在る廃墟となった集落であった。古い民家なので多少のカモフラージュで時代劇に使える見立てである。
 カメラが建物内外に設置され明らかに撮影現場と思われた。
 中西悠里元巡査長は忍者の衣装に着替えさせられる。時代劇なので下着は着けないでさらしを巻く様に指示された。
 宇佐美はいつか居なく成っている。
 着替えを済ませて出て行くとディレクターの様な男とスタイリストのような女性に服装をチェックされた。
 「いま立ち回りをやっている。あのくノ一役が捕まったあと木に吊るされるシーンから交代してもらいます」
 ディレクターの様な男にそう告げられた。
 緊縛師が三人来て高手小手に縛り上げ猿轡を噛まされる。
 両膝揃えて縛られフックの役割をする金具を付けられた。木に吊るした滑車から下がった縄の先端に吊るされた金具に膝の金具を接続される。
 そして滑車から伸びた別の縄で引っ張り上げられた。
 完全に木に逆さ吊るしである。ここから事態は一変した。
 山賊か忍者か判らない様な男らが三人近寄って来る。手に持っているのは竹刀である。
 中西悠里元巡査長には竹刀でいまの態勢で叩かれれば相当に痛い。それは警察道場の剣道試合で充分に判っていた。
 そこから撮影スタートである。
 「瑞女。遂にわし等の手に落ちたな」
 真ん中の大柄な男の台詞である。
 「たっぷり甚振ってやるぞ」
 左の男の台詞である。この男は木刀を持っていた。
 あと一人右の男は忍者というより浪人姿の着流しである。
 真ん中に立つ頭の様な男が竹刀で乳房の膨らみを薙いで来る。
 「うごーーーーーーーーーー」
 猿轡の奥から鈍い悲鳴が漏れる。さらしと忍者の衣装の上からでも痛い。
 続けざまに揺れる躰に狙いを定めて乳房を薙いでくる。
 「うごおーーーーーーーーーーー」
 かなり力が入っていた。
 これを続けられては堪らない。さすがに恐々と成る。
 中西悠里元巡査長は山地透をSNSに投稿して誤認逮捕したことに反省はしてない。
 元々そういう奴だから逮捕して問題ないと思っている。自分を懲戒免職にした段下警視正が間違っていると思う。
 そして山地透も段下警視正も痴漢と同罪と位置付けてしまう。
 中西悠里元巡査長にとって女が判断したことが絶対なのである。山地透以外に犯人がいたとしても山地透も行為を行ったと決めてしまう。
 中西悠里元巡査長にはこの様な件では疑わしきは罰せずではない。女性の訴えのまま疑わしきは逮捕である。
 容赦なく真ん中の男は叩いて来る。
 「ぐうおーーーーーーーーーーー」
 迫力を出すためか猛烈な叩きで方ある。
 「直にやらないと」
 右の浪人姿の男が腰に差した刀を抜く。何と真剣である。
 振り被って腰から肩まで一太刀。
 「・・・・・・・・・・・・」
 中西悠里元巡査長は悲鳴を上げるが猿轡に遮られて声にはならない。
 高手小手の縄が落ちて手首の縛りだけになる。続いて一気に忍者の衣装が肌蹴てさらしが丸出しに成ってしまう。
 さらしに包まれているので乳房は出てない。
 浪人姿の男はもう一太刀。白刃の先端がさらしの上を舐める。
 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
 中西悠里元巡査長は恐怖の表情を破裂させた。
 さらしが腹から胸まで表面が斬れてはらはらと落ちる。
 手首の縛りが外れないので中西悠里元巡査長は藻掻く。さらにさらしは?けて乳首まで丸出しに成る。
 「やめろーーーーーーーーー」
 中西悠里元巡査長は叫ぶが殆ど言葉にはならない。
 その乳房を真ん中の男が竹刀で薙ぐ。
 「ぐうおおーーーーーーーーーーーーーーーー」
 直に叩かれればもっと痛い。
 中西悠里元巡査長の躰は空中で腰から上が迫り上がった。
 その反動で後ろに反る。
 何と言うスタントマンだろう。女優の嫌な部分を全部スタントマンに押付けている。ヌードなんか聞いてない。
 中西悠里元巡査長は怒りを噛み締める。
 それ以前である。連れて来られて契約書すら交わしてない。
 撮影時間がタイトだからこう成ったのだろう。だが中西悠里元巡査長は納得行かない。
 男の竹刀は乳首目掛けて乳房の中心を二つ並べて横に薙ぐ。
 「うぐごおおーーーーーーーーーーーーーーーー」
 相当な力で来た。野球の投手の投げたボールをバットで叩く勢いである。
 中西悠里元巡査長の躰は後ろに弾かれた。
 反動で腰を折って上体が前に迫り上がる。
 またそのまま後ろに弓なりに反った。
 それが真下に戻るタイミングでまた薙ぐ。
 「ぐごおおーーーーーーーーーーーーーーーー」
 二つの乳房はひしゃげられ反動で躰は後ろに戻される。中西悠里元巡査長は痛みに躰を藻掻き暴れさせる。
 猿轡が有っても搾り出す悲鳴は轟く。
 次は木刀を持った山賊のような忍者である。中西悠里元巡査長の股間を狙って上から振り下ろす。
 木刀は女の部分を装束の上から叩いて寸止めされた。
 「ごおーーーーーーーーーーーーーー」
 寸止めされても強烈な痛みである。中西悠里元巡査長は恥骨が割れるのではないかと恐れた。
 山賊のような忍者はもう一度振り被る。
 「・・・・・・・・・・・・・・」
 中西悠里元巡査長は恐怖に悲鳴をあげるが声にならない。
 またぴったり局部を叩いて寸止めである。
 「ぐごーーーーーーーーーーーーーーー」
 中西悠里元巡査長は遂に失禁してしまう。
 「おおーー。漏らしたぞ。瑞女の失禁だ。見ものだ」
 「あはっはっはっは」
 木刀の山賊姿の忍者男が言うと首領らしきが高笑いする。
 「乳首斬り落としましょう」
 浪人姿が刀の鍔に手を掛けて言う。
 中西悠里元巡査長は恐怖に凍り付く。いくらスタントでもそこまではしないと否定する。それでも恐怖である。
 「まあ。それは待て。たっぷり辱めてからよ」
 首領らしきの台詞である。
 良く見ると台本の通りかもしれない。カメラの後ろに水のホースとバケツが用意されている。
 中西悠里元巡査長が失禁したのは予定通りだったのである。
 山賊姿の忍者男が中西悠里元巡査長の口に手拭いを当てた。クロロフォルムである。
 中西悠里元巡査長の意識は簡単に遠のく。
 そのまま吊るしから降ろされ民家の中に運ばれる。装束は剥ぎ取られ板の間に寝かせた獄門磔柱に全裸で磔にされた。
 股間は四十五度に広げられ膝の辺りに横に渡した角材に膝下を縛る。女の部分は丸出しである。殆ど閉じることはできない。
 がっちり躰を固定して撮影開始である。
 山賊姿の忍者が桶の水を中西悠里元巡査長の頭から顔に掛ける。
 一杯では足りない。続いて首領らしきが掛ける。
 「ううーーーーーーー」
 中西悠里元巡査長は緩慢に目を開く。直ぐに自分の置かれた状態に気が付く。
 「なによこれーーーーーーー。やめてーーーーーーーーーーーー。やめろーーーーーーーーーーー」
 調教師集団側は騒がせても問題ないと考えている。音声は後で入れ替えればよい。
 浪人姿が乳房から腹に蜜のような液体を掛ける。
 形の良い乳房である。寝かせてもそんなには崩れない。薄紅の乳首は蜜を被って艶かしく光っている。
 「おーーい。話が違うーー。やめろーーーーーーー」
 中西悠里元巡査長は喚き抗議する。
 ひょうたんに見せかけた広口瓶に入った蟻の大群をばら撒く。
 「ああーーーーーーーーーーーーーーー。いやああーーーーーーーーーーーーーー。いやああーーーーーーーーーーーー」
 中西悠里元巡査長は喚き散らす。
 「さあ。次はま○○この中に流し込むぞ。何処に隠した」
 首領らしき男の台詞である。
 「やめてーーーーーーーーー。たすけてーーーーーーーーーーー。こんあのーーーーーーーーーーーーーー。きいてないーーーーーーーーーー」
 中西悠里元巡査長はあくまで抗議である。
 天井付近にカンペが掲げられる。
 『私のお○○この中』と書かれている。
 膣に入れられては堪らない。台詞を言うしかない。
 「わたしの・・お・○・○・こ・のなか」
 なんと言う台詞を言わせるのだ。でも早くこれを洗ってもらわねば成らない。そして先ほどから膣に違和感がある。中に何か入っているのだ。
 「はやくーーーーーーーーー」
 中西悠里元巡査長は泣き叫ぶ。
 桶でぬるま湯を掛けて洗い落とす。これも三杯掛ける。
 「やめてーーーーーーーーー。こんなこときいてないよーーーーーーーーーー」
 中西悠里元巡査長はさらに抗議する。
 カメラは中西悠里元巡査長の女の部分をアップで撮影している。
 浪人姿と山賊姿の忍者が左右から中西悠里元巡査長の女の部分のびらびらを開く。
 「ああーーーーーーーーーーー。やめてーーーーーーーーーーーーー」
 二人は両方から膣に指を入れる。そして強く左右に広げる。
 「ああーーーーーーーーーーーーーーー。なにするのーーーーーーーーーーーーーーー。やめなさーーあーい」
 中西悠里元巡査長はさらに喚き抗議し続ける。
 首領の様な男が他の二人が指で開いた膣口に竹の筒を突っ込む。
 「ああーーーーーーーーーーーー。やめろーーーーーーーーーー」
 奥に何か物がある。
 首領の様な男は指で中から小さな竹の筒を取り出す。真っ赤な子宮口が丸見えになる。
 「なんでこんなことまでするのーーーーーーーー。これじゃAVじゃないかーーーー」
 中西悠里元巡査長には驚愕の事態である。自分の顔は出ないと思うが由々しきことである。
 ズルズルとここまできてしまった。由々しきことでは済まない。いったい何がどうなっているのか。中西悠里元巡査長にはもう余り思考能力がない。
 「さあ。気持ちよくしてやるぞ」
 首領らしきは淡々とそう言う。
 「やめろーーーーーーーーーー。こんなのきいてないよーーーーーーー。やめろーーーーーーーーーーーーー」
 中西悠里元巡査長はただ喚くばかりである。
 からくりの心臓部のような大道具が搬入された。四角い立方体の木の枠から竹竿が突き出ている。
 そして中西悠里元巡査長の広げられた股間の手前にセットされた。
 「なによーーー。それーーーーーーーーー。いいかげんにしろーーーーーー」
 首領らしき男は鼈甲の擬似男根を持っている。
 「これは大奥で奥女中の上臈などが使っている。慰める玩具だ。こうして中に湯を入れる。温もりも必要なのだ」
 首領らしきはまた淡々と語る。そして鉄瓶で湯を注いでコルクの蓋をする。熱湯ではない適度な温もりである。
 それを四角いからくりから出た竹竿の先端に装着する。
 四角いからくりの後ろには足踏み板がある。それを踏むと竹竿が前に突き出て脚を離すとミシン板のように戻る。
 先端の鼈甲の擬似男根がピストンする仕組みである。
 首領らしき男が鼈甲の擬似男根にふのりを塗る。
 浪人姿が四角い枠を足で押し出す。首領らしきはそれを引っ張る。そして擬似男根を中西悠里元巡査長の女に挿入する。
 「いやだあーーーーーーーー。やめろーーーーーーーーーー」
 中西悠里元巡査長は喚き躰を躱そうとする。だが後ろには動かないように縛ってある。
 浪人姿が足踏み板を踏んで擬似男根をピストンさせる。
 「いやあーーーーーーーーーーー。やめろーーーーーーーーーーー。こんなものできもちよくなるかあーーーーーーーーー」
 中西悠里元巡査長は怒りの限り叫ぶ。
 「あわあーーーーーー。ああーーーーーーー。あわあーーーーーーーー」
 中西悠里元巡査長の表情は引き攣っている。
 だが単純なピストン運動だけである。ドリルバイブのような振動はない。本物のAV女優なら平然と受けられる程度である。
 「いやあーーーーーーーーー。やめてーーーーーーーーーーー。あぐううーーーーーーーーーーーー。あぐうーーーーーーーーーー」
 
 この間にも本宿では幾つかの契約書等が作成されていた。
 作成者は印刷会社を経営している神永栄一社長である。筆跡をそのまま作るソフトを開発した。もちろん市販などしない。自社だけで使っている。
 そして調教師集団の一員である。
 消費金銭貸借証書、AV制作出演契約書、和解書、示談書、弁護選任届などである。総て中西悠里元巡査長の署名実印が入る。
 中西悠里元巡査長の実印も変更した。住民票を移動すると元の印鑑登録は破棄される。移動先で新たな印鑑で印鑑登録をして実印を作成する。
 口座も作成した。
 これらは偽造パスポートと偽造のマイナンバー通知カード、偽造の健康保険証で行う。偽造パスポートの写真は別人だが問題はない。
 マイナンバーは段下警視正が調べた。
 宇佐美が中西悠里元巡査長の新しい口座に六千万を振り込む。
 そこから館山嘉朗弁護士に振り込まれる。弁護費用と示談金である。
 示談金は館山弁護士から野村未来也弁護士に振り込まれ山地透の口座に振り込まれる。
 もう一件本宿スカイタウン七号棟4248の契約金、敷金、仲介手数料、前家賃等が不動産業者に振り込まれた。
 中西悠里元巡査長の住民票を移した物件である。
 警察寮から引っ越した中西悠里元巡査長の武州寄居のアパートは館山弁護士の手で解約される。
 僅かな荷物も宇佐美の配下が運び出し本宿ミッドタウンに移動した。
 
 浪人姿が足踏みで動かす速度を速める。中西悠里元巡査長は擬似男根の総攻撃の責めに僅かな時間に二回逝き顔を晒した。
 中西悠里元巡査長の膣口の周りはどろどろに成った膣液でぐちゃぐちゃに成っている。
 「はあ。はあ。はあ。はあ」
 膣痙攣と荒い息遣いはなかなか治まらない。
 首領らしき男は鼈甲の擬似男根を抜き取る。太い指を二本突っ込み娼婦の泣き所の反対側を強烈に責め刺激する。
 両側から浪人姿と山賊姿がびらびらを広げた。尿道の小さな亀裂が膣に入れられた指で押されて歪んだ姿を露出させる。
 中西悠里元巡査長の尿道口から一気に潮が噴き上がった。
 さらに噴水の如く高く上がる。
 「あはあーーー。ああーーーー。あっはあーーー。ああーーーー」
 中西悠里元巡査長の顔は軋み歪む。首を小刻みに振って悲鳴を上げる。
 「はあ。はあ。はあ。はあ」
 収まっても荒い息遣いが続く。
 「いやあーー。もういやあーーーーーーーー。やめてーーーーーーーー」
 中西悠里元巡査長には何がなんだか判らない。
 このあと三人に輪姦されて撮影は終了しる。
 失神はしなかったのでクロロフォルムを嗅がされて眠ったまま運ばれた。
 
 調教師集団の主催者は保木間貴明である。そして本宿ニューシティ、ミッドタウン十四棟とスカイタウン十四棟、伊佐沼六棟の実質オーナーである。
 表向きはR国に赴任する名目上のオーナーから委託されたマネージャーの立場を名乗っている。
 保木間の部屋に調教師集団が集まった。
 露天風呂で酒を酌み交わしての会議である。
 女は北嶋真紀子一人。全員全裸で湯に浸かって会議を行う。
 真紀子の裸は絶品である。だが乳房が大きいわけではない。でも形は良い。掌にようやく納まる程度である。
 腰のくびれはもとより躰全体の配分も良い。脚の線が素晴らしく艶かしい。
 残る男性は十一人。全員肉体関係がある。真紀子は遊ばれているのではない。真紀子の方が遊んでいるのである。
 高層マンションの最上階。一段下の屋上で専用の大型バルコニー。一面太陽光発電の屋根を張り周囲は竹垣で囲っていた。
 個人宅には大きめの檜の浴槽が二つ。L字に設置されている。
 正面に大型モニターもある。
 生ビールのサーバーもあり海鮮類のつまみと二重底のグラスに注がれた生ビールが氷を張った桶に浮かべられている。
 「あの元婦警は何も抵抗できないはずです」
 館山弁護士は自信満々。あとはきっちり定めを言い渡すだけと見ていた。
 「撮影現場では随分戦っていましたよ」
 保木間が監督として立ち会っている。
 「示談に応じなければ裁判。そう成るとマスコミの絶好の餌食です。もう風俗か工事現場の仕事ぐらいしか就けません」
 野村未来也弁護士は示談金一億円を請求した。裁判になれば大方減るが裁判は堪えられないと見ている。
 「冤罪者をSNSに投稿した女性警察官。これは絶好のマスコミ餌食ね」
 真紀子はまったく同情しない。徹底的に虐める目算である。
 「既に埼玉の外れのアパートを突き止められて深夜に脱出してホテルに逃げました。それからスタントマンの仕事に飛びつきました」
 段下警視正もあと一息追い詰めるだけと考えていた。
 「ところで冤罪被害者の補償とケアはどうなっていますか」
 保木間はそちらを気にしている。
 「示談金は野村先生から振込み済みです。仕事はこの街で会計業務に就いてもらいました。収入は以前と同じです」
 段下警視正が説明した。
 「元の会社は解雇ですか」
 「解雇になりましたが、戻れるように待遇されました。しかし戻らないよう説得しました」
 野村未来也弁護士が説明する。
 「そうね。此処に置いておけば監視がしやすいわね」
 真紀子も納得した。調教師集団は監視までしないが接触した以上影の組織が監視を続ける。
 
 スカイタウン一号棟の五十階。此処に在るAVの撮影スタジオ。その一角にセットで作られた鉄格子が設えてある。
 中西悠里元巡査長はその中に足枷を付けられて寝かされていた。
 昨日の撮影から既に二十時間は経っている。
 その前には水の入って無い水槽が二つ。蛇が二種類入れられている。片方は何処にでも居る縞蛇だが片方は凶暴なアカマタである。
 館山弁護士と段下警視正、野村未来也弁護士、宇佐美が控え室から中西悠里元巡査長の目覚めを待っていた。
 中西悠里元巡査長に印度を渡す為である。
 宇佐美の部下が大型のパソコンデスクをキャスターで転がして鉄格子の正面に置く。32インチのディスプレイが載っている。
 「おーーい。いいかげんにおきろーーーーーーー」
 宇佐美が大声で起こす。
 「うう」
 中西悠里元巡査長はやや躰を動かす。
 次に目を開く。
 そして全裸で足枷を付けられ鉄格子の中に入れられていると悟る。
 目の前に宇佐美が立っている。中西悠里元巡査長をスタントマンの現場に連れて行った男である。
 「なんだよこれーー」
 中西悠里元巡査長は全裸なので床に伏せて乳房を手で隠して叫ぶ。
 「良く見ろ。あんたのAVのサンプル動画だ」
 宇佐美の声は昨日と違う。昨日は優しく静かに語っていたのである。
 「なんですって」
 中西悠里元巡査長が上半身肌蹴て逆さ吊るしにされ竹刀で打たれるシーン。性器を広げた度アップ。
 「ああーーーーーーーーーーー」
 中西悠里元巡査長は全裸を忘れて躰を乗り出す。
 竹の筒を入れられて女の奥を全開にされる場面。潮を噴きまくる場面。
 「ああ」
 驚愕の表情になる。
 「これがあんたのデビュー作『くノ一惨劇の拷問』の無料サンプルだ」
 宇佐美は強く押し被せる口調である。
 「なんですって。こんな事して犯罪じゃ済まないぞ」
 中西悠里元巡査長はまだ強気で言い返す。
 「ちゃんと無修正AV。海外サイトでシカゴの会社で販売。内容も克明に契約書に書かれてあんたのサインと実印を貰っている」
 宇佐美はさらに鈍い声で厳つくたたみ掛ける。大柄の容貌がそれをさらに強めていた。
 「嘘だ。そんなものサインも捺印もしてないよ」
 中西悠里元巡査長は胸と局部を手で押さえ立ち上がって抗議する。
 「後ろの壁を見ろ」
 契約書を卓上カメラの撮影台に置いてプロジェクターで拡大して壁に映す。
 「ああ」
 「どう見てもあんたの女にしては男文字に近い活力のあるサインだ」
 「うそだーー。ぎぞうだーーーーーー」
 「いいか。ボールペンで書いてあるんだぞ。筆跡も筆圧もあんたのものだ」
 「書いた覚えはない!」
 中西悠里元巡査長はきっぱりと応酬する。
 「それだけじゃない。あんたには六千万貸したのだ。こっちがその消費金銭貸借証書だ。あんたの口座に振り込まれている」
 同じ様に壁に投影する。
 「こんな大金受け取ってないよ。うそだーーー。さぎだあーーーーー」
 「何を言うか!詐欺はお前だ!」
 宇佐美は腹の底から重く鈍い啖呵を搾り出す。尋常な威圧感ではない。
 「ちがう。ちがう」
 否定しながら中西悠里元巡査長は床に尻を着く。
 「弁護士の館山先生も、段下警視正もあんたの筆跡と認めておる」
 「なんで段下が。ああ。それにあの無罪請負弁護士」
 「あんた館山先生のお蔭だ。野村先生が請求した示談金が半額に成ったのだぞ」
 そこへ館山弁護士が入って来る。
 「弁護士の館山です」
 中西悠里元巡査長は館山弁護士が眼を逸らすので全裸に気付いて手で二箇所を隠す。
 「・・」
 中西悠里元巡査長は全裸の恥ずかしさに言葉が出ない。
 館山弁護士は辺りを見回してタオルを見つけて鉄格子に投げ込む。
 中西悠里元巡査長は後ろ向きにそのバスタオルを乳房の上から巻く。辛うじて股間まで隠れる。
 「中西さんは宇佐美さんから六千万借用されて私に弁護料と示談金五千万を振り込まれております。野村先生にお支払いして和解書も頂いております」
 今度は宇佐美の消費金銭貸借証書を投影台から外して和解書を投影する。
 「私がいつそんなことをお願いしたのですか」
 今度は弁護選任届けを投影する。
 「ああ」
 さすがに元女性警察官である。この意味は充分に解かる。
 そこに段下警視正が入って来る。
 「お前。裁判に持ち込まれたら困るから館山先生にたのんだのだろ。裁判やったらマスコミと野次馬に蜂の巣だ」
 「そうですが」
 「五千万ではまだ高いか。だがそれは無理だな。館山先生だからできたのだ。SNSはお前の件で大炎上だ」
 SNSに冤罪者を指名手配した女性警察官。マスコミの連日ネタと成った。SNSでは痴漢被害女性らの立場からも非難の書き込みが溢れている。
 「でも私はこんなAVに出る承諾はしてない。全部謀略だ」
 まだ中西悠里元巡査長は食い下がる。
 そこへ野村未来也弁護士が入って来る。
 「おい。いい加減にしろ。上手に示談だけ済ませてあとは謀略で済ますか。示談金は既に山地氏に支払ってある」
 野村未来也弁護士は怒りの限り言いまくる。
 「一億なんて無謀だよ」
 「普通ならそうだ。だがこれは普通の案件では済まされない。俺は五億でも妥当だと思う」
 「何でよ。裁判やったら多くても百万位だよ」
 「待て。このような案件に判例はないぞ」
 館山弁護士も突っ込む。もちろんハッタリである。
 二人の弁護士から言われると中西悠里元巡査長も怯む。元刑事と雖もそんなに法律に明るくはない。
 まして館山弁護士には検察が何回も公判でひっくり返されている。
 中西悠里元巡査長はどうにも抵抗ができない。
 既にサンプルがばら撒かれた。それでは自分のこの上なく恥ずかし過ぎる姿を大衆に見られている。
 「既にサンプルは五万件以上無料ダウンロードされている。今更何をやっても元には戻らないぞ」
 宇佐美は追い詰める。
 どう闘っても打開できない事は徐々に理解できてくる。中西悠里元巡査長は力なく膝を落として座り込む。
 全員がグルと分からなくはない。警察に持ち込んでも対応されないことも情況から徐々に理解できてくる。
 「先生方、警視正ありがとう御座いました。あとは私共で」
 宇佐美は弁護士二人と段下警視正に礼を述べて引き上げを促す。
 「いやあ。そちらで立て替えて仕事を出して頂けたので片が着きました」
 野村未来也弁護士も礼を述べる。
 弁護士らが裏に引き上げると宇佐美の仲間が乗り出す。
 三田園矢一舎弟頭補佐とあと一名若いのは宇佐美の配下である。
 「さあて。きっちり金の分はAVに出てもらわんとな」
 三田園矢一舎弟頭補佐は既に蛇を手に持っている。そのまま鉄格子の中に入る。
 「いやあーーーー。なによーーーーーーーーーー」
 若い男がアカマタの水槽を鉄格子の中に押し込む。
 「いやあーーーーーーーー」
 中西悠里元巡査長は床にお尻を着いたままじりじり後ろに下がる。女性警察官でも蛇は怖いらしい。
 「もうお前は此処にしか住めない。冤罪者を痴漢よばわりしてSNSに投稿。懲戒免職。無修正AV転向。何処にも勤められない」
 「此処に住めと」
 「もう引越しも終わっている。もとよりあの部屋には帰れまい」
 宇佐美は淡々と追い詰めてゆく。
 中西悠里元巡査長は蛇を掴んでいる三田園矢一舎弟頭補佐の動きが気になる。そっちに目を配る。
 「残りAV十一本きっちりやってもらわねばならない。逃げたりこの街の秘密を漏らすとどうなるか動画を見てもらうよ」
 若い男が中西悠里元巡査長のAVを終了させて別の動画に切り替える。
 古い昔の映像である。五十年近く前の沖縄。米兵相手の格安売春館の中。女たちの控え室である。
 全員前割れのワンピース姿。ストッキングなどは着けていない。素足のままである。客が付いて一人の女が立って行く。
 一人の持ち時間が十分。僅か千円の売春。五十年前と雖も安い金額である。一分で前ボタンのワンピースと当時の呼び方でパンティを脱ぐ。
 ブラは着けていない。
 八分で米兵の相手をして残る一分で服を着け送り出す。
 遅れると店の主人から怒られる。
 「まあ次の動画を良く見てや。逃げ出そうとした女の拷問だ」
 蛇を握った三田園矢一舎弟頭補佐が横から宣告する。
 「いいか。まず逃げられない。逃げれば警察に捕まる」
 これも三田園矢一舎弟頭補佐が説明する。
 「何ですって。警察が」
 中西悠里元巡査長は怒りを込めて信じられないという表情で見返す。
 「この時代には警察もタクシーもみな繋がっていた。だから逃げても直ぐ捕まる」
 画面は早送りされる。
 逃げた女が縛られて拷問を受けていた。
 縛られて丸出しの乳房を竹竿で叩かれている。そこは昨日の中西悠里元巡査長も同じである。
 声は聞こえないが般若の形相。昨日の中西悠里元巡査長以上に金切り声の悲鳴をあげているに違いない。
 「まだ序の口だ」
 脚を広げさせ女の部分を広げて細い鞭の先で叩く。
 歯を剥き出し大口を開けて髪を振り乱して泣き叫んでいる。
 「まだまだ。これからだ」
 更に先に早送りする。
 女の口は開口器で開かれ膣も開口器で開かれていた。女の奥まで丸出しである。
 男達は蛇を掴んでいる。
 「ああーー」
 沖縄という事で中西悠里元巡査長はハブを連想した。
 「あれはアカマタといいます。この蛇は沖縄、奄美に生息します。ハブを食べる事もあります。今も其処に居ます」
 三田園矢一舎弟頭補佐がアカマタの水槽を顎で示す。
 「ああ。ああーーーーーーーーーーーー」
 中西悠里元巡査長は恐怖の形相でまた後ずさりする。
 画面では男達はアカマタを女性の口と女の部分に挿入してしまう。
 「ああーーーーーーーー。ああーーーーーなにーーーーーーーー」
 見ているだけで中西悠里元巡査長は半狂乱である。
 だが実際に画面で挿入されているのは縞蛇。さすがに暴れるアカマタは使っていない。
 「逃げた女は殺さない。こうやって気狂いにする。他の女が逃げようにないみせしめだ」
 三田園矢一舎弟頭補佐の説明が終わると若い男は動画を切り替える。
 円形で上が球状。よく見かける鳥篭を大きくした動物の檻のような建物である。
 中には女性とおぼしき奇形の人間が拷問椅子に載せられていた。
 全裸である。両手、両足がない。腹の部分をベルトで固定されている。
 自分で動く事はほとんどできない。
 映像がアップになるとかなり美形の日本人である。乳房の形もよい。
 太腿の途中で切断された足は自分で閉じる事ができない。女の部分は丸出しである。ドテの黒い塊は剃られて無い。
 檻の外からは観光客らしきが観ている。
 外にスイッチボックスがある。観光客がそのスイッチを押すと水が飛びだす。晒し者の女に掛かる設定になっている。
 「どうだ。この状態で毎日見世物だ。自殺する事さえできない。毎日点滴で栄養補給される。小水も垂れ流しだ」
 この映像は中西悠里元巡査長を恐怖に陥れた。殺されるより恐ろしい。
 「いいか。ここまでは俺に関係ない。既に別の組織が動くのだ。そうなったのがこのビデオだ」
 宇佐美が鉄格子の外から宣告した。
 若い男はまた次の動画に切り替える。
 三十前後の女が全裸で逆さ吊るしにされていた。
 『埼玉県警生活安全課出水麻里巡査部長』と字幕が出る。
 瞬時に中西悠里元巡査長に驚愕の戦慄が奔った。
 全身に鞭の痕が奔って無残な状態である。至るところ血が流れたり滲んだり傷も蚯蚓腫れも有る。
 高所作業車に乗った作業服姿の男が縄を切り落とす。
 そのままその女性警察官は破砕処理機の中に処刑された。
 「この組織が動いてから詫びられても俺にもこの街のマネージャーでもどうする事もできない」
 さらに宇佐美は念押すように断言する。
 「蒸発した出水巡査部長。何故こうなったのですか」
 中西悠里元巡査長は震える唇で尋ねる。
 「この街でハードコンパニオンをしていた女がその婦警に相談しただけだ」
 「・・・」
 中西悠里元巡査長はそれ以上恐ろしくて言葉が出ない。
 暫く沈黙が続いた。
 「どうするの。それ」
 中西悠里元巡査長は蛇を警戒する目で見てそう言う。
 「あんたが次の撮影を大人しくやれば何も起きないよ」
 三田園矢一舎弟頭補佐はきっぱり言い切る。
 「どう足掻いてもやるしかないでしょ。でも。私に何も残らないじゃないの」
 中西悠里元巡査長は自分に収入がないとこの街にも暮らせないと言いたい。
 「六千万振り込んで、五千万と弁護士費用を館山先生に振り込み、スカイタウン七号棟4248の契約金等を不動産業者に振り込んだな」
 「残りは」
 「五百以上有るんじゃないか」
 「それ以外には」
 「それはあんた次第だ。残り十一本が終わったら全額入るよ。お座敷のハードコンパニオンも有る。スタントマンと代わらんが」
 宇佐美はそう言って笑いを浮かべる。
 「この先も金は払ってくれるのね」
 「六千万の分が終われば間違いなくお支払いします」
 「判ったよ」
 中西悠里元巡査長は恨み顔半分承諾する。
 宇佐美らがやくざと見当は付く。それでも中西悠里元巡査長にはそれ以上何も言えなかった。
 次の撮影の予定を確約して部屋の鍵を受け取る。その日は契約された部屋に引き上げた。
 
 スカイタウン七号棟と言っても一号棟からスカイタウンとミッドタウンの間を走る新都市交通で二駅目である。
 コンコースからスカイタウン七号棟の二つあるEVホールの南側から入る。
 北側は途中階止まりでオフィスが入っている。26階からは総て居住フロアで南側のEVを使う。フロアごとのオートロックである。
 4248は南面の西の角から三つ目であった。
 警察の寮や埼玉の外れのアパートとは比べ物にならない豪華な内装である。
 3LDKに僅かな荷物が何とも寂しい。
 それでもベッド、冷蔵庫、洗濯機は設置されていた。テレビも32インチが居間に鎮座している。
 アパートから運ばれた衣装ケース、ノートパソコン、プラスチックの衣類を入れる引き出しが不釣合いである。
 寮を出てから冷蔵庫も洗濯機も調達してない。マスコミの来訪が頻繁で外出も儘ならなかったのである。
 テレビの台の前にA4ワイドの封筒に入った書類一式と通帳が目に付いた。
 宇佐美の言う通り入金と支払いが行われて五百万少々が残高である。
 赤城山の撮影現場から回収された衣類、汚れた下着も入っている。財布の金銭もそのまま存在した。
 窓から私鉄武州鉄道の武州駅、JRの武州駅が並んで見える。
 直ぐ近くに見えるが歩けば三十分近く掛かる距離である。其処に向かってモノレールの軌道が二つ並んでタウン群の先端から伸びていた。
 ロケーションは素晴らしい。海が見えない内陸部なのが物足りないだけである。
 A4ワイドの封筒の中はここまで中西悠里元巡査長を陥れた忌まわしい契約書の控えが入っていた。
 中から賃貸契約書を見つける。
 家賃二十三万である。
 五百万の残高と元からの蓄えで当面は問題ない。
 新しい印鑑と印鑑証明を取ったカードも置かれていた。
 着信音が鳴った。中西悠里元巡査長の携帯ではない。見慣れないスマホが置かれていた。
 取りあえず着信を取る。
 「宇佐美です。ちゃんとお金は有ったでしょう」
 「はい。でもこんな高い家賃」
 中西悠里元巡査長は思わず不安が言葉に出てしまう。
 「はっはっはっは。何を仰います。高給取りでしょう。いっそのこと買われたら如何ですか」
 「そんな。借金じゃないですか」
 「そんなもの一月ちょっとで終わります。後は稼ぎ放題です」
 「稼げるようにマネジメントしてくれるのですか」
 「当然です。私も商売です」
 中西悠里元巡査長は下衆と言いかけて留まった。金を稼ぐ以外方法はない。
 「そう。お願いします」
 堕ちて行く自分を最早どうにもできない。こうなるより方法が無かったのではないかと心のどこかで思ってしまう。
 中西悠里元巡査長は電話を切ると撮影スタジオで借りてきた衣装を脱いで自分の服に着替える。
 空腹が襲っている。何か食べ物を調達したい。
 三階に下りてコンコースに出るとショッピングモールが繋がっている。ファーストフードに入ろうとしたが躊躇った。
 マスコミの恐怖が蘇る。
 「悠里さん」
 後ろから男性の声が呼び止める。保木間である。
 赤木の撮影でディレクターのように指示を出していた男性と分かる。
 「あなたは」
 「あの時の監督です。宇佐美さんの事務所だからやはり此処に住んでいらしたのですね」
 五十の前後と思えるが好感の持てる声である。
 この人は本当の事情を知らないのかもしれない。中西悠里元巡査長は瞬時にそう思えた。
 中西悠里元巡査長は言葉なく軽く頭を下げる。
 「どうしました。何か迷っていますか」
 保木間は中西悠里元巡査長の挙動を見ていたのである。
 「いえ。食事をする所を探しているのですが。人の目が」
 何かに縋る様に不安を言ってしまう。
 「この街では何も気にしなくて大丈夫ですよ。多分貴方の顔を知っている人は多いですが。マスコミやSNSのような批判中傷する人は居ませんよ」
 保木間は明るく優しい口調である。声の質がさらに好感を持たせる。
 「そうですか」
 「みんな同じような人が沢山います。私どもが安心して住める街です。僕が案内しますよ」
 「お願いします」
 今の中西悠里元巡査長には一緒に行ってもらえた方が安堵する。
 保木間は中西悠里元巡査長を三階の屋台村に案内した。
 三十代後半の女性が経営するカウンターバーである。
 「バーですが食事は他の店舗に注文してもらえます」
 「そうよ。ピザでもどう」
 「はい。お願いします」
 「昨日新人デビューした子ね」
 「そうです」
 「お名前は」
 「中西です」
 中西悠里元巡査長は戸惑いながら答える。
 「あら。本名は言わなくていいのよ」
 「ユウリ・アスカさん」
 保木間が答える。
 「ええ。私その名前なのですか」
 中西悠里元巡査長はまだ認識してなかった。
 「あっはっはっはっは。宇佐美さんね。仕事は速いけど。サポートは穴だらけ」
 「まったくそうですね。昨日も何か打ち合わせ不足で。お金だけ払って即刻現場と言う感じでした」
 中西悠里元巡査長はやはりこの人は何も事情を知らないと納得する。
 「でもギャラは高く払ってくれるから」
 ママは顔が崩れるほどに笑っている。
 そのまま別の店舗にピザを取りに向かう。
 「此処のママも元はAV嬢なのだよ」
 「そうですか」
 そう言われても丸々太ってそんな面影は何処にもない。昔のAVを見た人がいま見てもその女優と誰も気が付くことはないと思う。
 保木間が出て来たのは中西悠里元巡査長が観念したかどうかの見極めの為である。危険がないことを確認すればよい。
 
 調教師集団は再び会合を開いた。
 本宿ミットタウン一号棟最上階の保木間の部屋である。
 本日は二十畳のリビングに十二名と宇佐美が来ていた。宇佐美は調教師集団の一員ではない。
 「あっけなく落ちましたね」
 野村未来也弁護士である。
 「既にマスコミ報道とSNSの炎上で条件が揃っていました」
 館山弁護士である。
 「あの女一変して金の方に転びました。そんなに甘くはないのですが」
 宇佐美の発言である。本人にはこれからが大変と言いたい。
 五十インチの画面に中西悠里元巡査長のAVが放映されている。
 「この女可愛いとは言わないけど。虐めたい人にはうってつけね。嫌がって苦しみ藻掻くこの表情Sの男がそそるのじゃない」
 北嶋コンサル社長北嶋真紀子の見立てである。
 「そうですね」
 「これは売れるな。宇佐美随分値切ったじゃないか。十二本で六千万か」
 墨田会系大船一家稲垣七郎若頭である。
 「はい。館山先生が生意気だから安くしてはどうかと仰いますので」
 「館山先生。虐めたいですか」
 稲垣七郎は館山弁護士に問い質す。
 「虐めて溜飲が下がる女ですよ。これはシリーズで売れます」
 館山弁護士もこの女に相当怒りを持っている。
 「その通りですな。あの婦警が社会的にもここまで叩かれると。このSM系AVは馬鹿売れしますよ」
 「今度はお座敷のハードコンパニオン役で」
 「あれ。最初からAVじゃないの」
 「そういうAVを創るのですよ」
 「それは良いかもしれんな」
 調教師集団の意見は纏まった。後はゆっくり飲み会を続ける。
 
 八方塞でAV嬢に成る以外諦めざるを得なかった中西悠里元巡査長。だがその仕事で稼ぐのは更なる地獄となる。
 その地獄は次の撮影で開始された。
 宇佐美が指示したのは宴会場有楽。本宿スカイタウン一号棟からモノレールの駅を挟んで対面にある雑居ビルの五階である。
 一般には公開されない特別な宴会場。四階までとは別に専用のエレベーターから入る。蓬莱の間に行く。
 既に宴会が始まっている座敷に派遣ハードコンパニオンとして入って行く設定である。
 一度自分の全裸を性器の奥まで公開されている。こうなれば自分の躰でAVを売って男共から吸い上げて財産を作らねば成らない。
 冤罪者を痴漢にしてSNSで指名手配の女性警察官。そして無修正AV嬢では結婚の道はない。
 蛇で脅されながら追い詰められて覚悟は決まった。
 納得した訳ではない。居直ったのである。本人的には開き直ったつもりでいる。
 広い五十畳の宴会場である。控えの間が二つ。大浴場までは行かない中くらいの浴場まで付いていてその奥は露天風呂である。
 宴席は八席でコンパニオンは四人入っていた。中西悠里元巡査長は特別なハードコンパニオンである。
 此処ではスーパーコンパニオンとは言わない。コンパニオンは温泉芸者並みのサービスを行う。ハードコンパニオンはそれにSMが加わる。
 四人とも既に一糸纏わぬ全裸で客役の男優に弄られていた。
 カメラは四台で座敷を取り囲んでいる。
 政治家役四人とやくざ役三人。フィクサー役が一人である。
 コンパニオン役もAV女優だが主演の中西悠里元巡査長よりギャラは安く一人百万と説明されていた。
 中西悠里元巡査長は指定された黒のミニスカスーツで白の下着。サニタンブラウンのストッキングを着けている。
 「さあ。お待ち兼ねのハードコンパニオンが来ましたよ」
 フィクサー役の下座に座った初老の男が座に呼び掛けた。
 大道具は既にカメラの後ろに搬入されている。かなり大掛かりなショーが予測される内容であった。
 「早速脱がして磔ろ」
 上座の政治家役がコンパニオンを弄りながら言う。
 やくざ役が直ぐに磔柱を運び込む。
 一メートル四方の鉄板の台に白木の磔柱をボルトで接続する。
 下座から二人若い政治家役が立ち上がる。中西悠里元巡査長の服を脱がしに掛かった。二人は両側から肩を押える。
 もう一人上座から二番目の初老の政治家役も立ち上がる。
 手の空いたコンパニオンは全裸で前に片手を着いて座った。
 やくざ役二人が縄の準備をしている。
 初老の政治家役が中西悠里元巡査長のジャケットのボタンを外す。
 二人若い政治家役がそのジャケットを後ろに抜き取る。初老の政治家役がタンクトップも抜き取ってしまう。
 さらに方紐の無いブラの前フォックを外す。
 目の前に乳房が丸出しに成った。
 やくざ役が中西悠里元巡査長の手首を縛り合わせる。その間に初老の政治家役がスカートを下ろす。
 やくざ役が縛った手首にフックを付けた。天井から吊った滑車から伸びた縄のフックに手首のフックを引っ掛ける。
 滑車のもう一本の縄を引っ張りその手首を上に引っ張り上げてゆく。
 脚が爪先立ちに成るまで引っ張る。
 その間に初老の政治家役がストッキングを脱がしショーツも下ろす。
 やくざ役は中西悠里元巡査長が大きく暴れないように腰に縄を掛けて後ろの磔柱に磔にする。
 元女性警察官なので態と腰縄の発想である。
 「さあ。お前らたっぷり辱めてやりなさい」
 上座の政治家役が四人のコンパニオンに言う。
 コンパニオンらは薄ら哂いを浮かべる。
 「どの様な虐めをご要望でしょう」
 コンパニオンの一人松尾円香である。
 松尾円香は以前に調教師集団に堕とされ無修正AV嬢に成った。今はミッドタウン13号棟の三階に店を持つ。花電車のお座敷も続けていた。
 (調教師集団 その七 SM嬢に堕ちたITコンサルタントの女 参照)
 「あんたの好きなようにやれば良い」
 上座の政治家役が偉い人を演技して言う。
 「私の好きなように。それはハードに成りますよ」
 松尾円香は意味深に言う。他の三人はAVでもハードはやってない。お座敷コンパニオンのアルバイト程度である。
 「それを期待しておるのや」
 中西悠里元巡査長の服を脱がした初老の政治家役が念を押す。
 松尾円香は中西悠里元巡査長の正面に立つ。
 行き成り右手を張り上げ中西悠里元巡査長の左頬にビンタする。
 「うおーーーー」
 中西悠里元巡査長は松尾円香を睨み返す。
 睨み返されれば松尾円香の叩く気持ちは強くなる。さらに炸裂する。
 「うおーー」
 そして連打になる。
 「ぐおー。おー。うおーー。おーー」
 中西悠里元巡査長は顔を背けて横目で睨む。まだ涙目ではない。
 「さあみんな。スパンキングでこの?き出しのおっぱい叩きましょう」
 松尾円香はコンパニオンにスパンキングを受け取るように促してやる。やくざ役がスパンキングを差し出す。
 一番近くに居た一人が受け取った。
 中西悠里元巡査長は両腕を真上に縛られている。引っ張られた乳房はややその弾力を上に向けて張っていた。
 コンパニオンは薄紅の乳首を目掛けてスパンキングの腹を叩き付ける。
 「う」
 まだ力が弱い。
 「望ちゃん。手加減しては駄目よ」
 松尾円香がやんわり強さを要求する。
 望と呼ばれたコンパニオンはスパンキングを振り被る。左の乳房をスパンキングの腹でビンタした。
 「うおー」
 中西悠里元巡査長は顔を背けて軽い悲鳴を漏らす。
 「まだ甘い」
 松尾円香の言葉に望はスパンキングを次のコンパニオンに渡す。
 次のコンパニオンは横に振り被って乳房がへしゃげる様に叩く。
 「うおーーーーーー」
 中西悠里元巡査長の顔は強く歪む。
 左手に持ち替えて右の乳房も叩く。スパンキングの平面がもろに乳房をビンタしている。
 「ぐうーーーーーーーー」
 中西悠里元巡査長は悲鳴を搾り出す。
 乳房へのスパンキングは相当に痛い。
 さらに次のコンパニオンに代わる。
 その間に松尾円香は縄を準備する。自ら自縛できるくらいに縛りは心得ていた。
 中西悠里元巡査長の細くやや内側に弧を描く内腿。松尾円香はその間に覗く女の部分に目を付ける。閉じ合わせたびらびらの形が良い。
 中西悠里元巡査長の手首を吊るした滑車。その隣に天井に埋め込んだフックがある。松尾円香は脚立を使ってそれに縄を通して縄の先端にフックを吊るす。
 全裸で脚立を上り下りする松尾円香の姿。股間の黒い塊が実に艶かしい。こっちが主役でも良い位である。
 松尾円香は中西悠里元巡査長の膝に縄を掛ける。
 「潮噴かせてお漏らしさせますか」
 コンパニオンが松尾円香の意図を尋ねる。
 「その前に甚振りましょう。金切り声の悲鳴を上げさせてから。この女に女の性を晒して貰いましょう」
 松尾円香の言葉は中西悠里元巡査長の神経にぴりぴり突き刺さる。
 中西悠里元巡査長に五百万の重みは尋常ではない。警察官時代の年商の八割である。
 それにしても松尾円香には恐ろしさを感じさせられた。
 松尾円香は膝に掛けた縄をフックの反対側から引っ張る。そして一気に膝を引き上げた。
 「ああーーーーーーー」
 股間が割れ大股開きになる。ぎりぎりまで引き上げられた。股間は百五十度位に開かれてしまう。
 「いやあ。ああ」
 中西悠里元巡査長は狼狽している。
 「綺麗なお○○こね。甚振ってあげる」
 中西悠里元巡査長は片脚爪先立ちの上に大股開き。松尾円香はその顔を下から突き刺すような視線で言う。
 「・・・・・・・・・」
 中西悠里元巡査長に言い返す言葉が出ない。
 松尾円香は柔らかい革で縦長のスパンキングを取り出す。
 「ねえ。このびらびら薄く二枚がピンと張り合わさっていて淡いピンクで綺麗じゃない。色が変わるまで叩きましょうよ」
 松尾円香はそう言いながら指でびらびらを開く。尿道口の小さな亀裂と膣口を剥き出しにする。
 「いやあ。ああ」
 中西悠里元巡査長は覚悟をしていても堪らない。言葉で表現されるのが恥心に突き刺さる。
 「中もピンク色。血が出るまで叩きましょう」
 松尾円香は愉しそうに言う。
 中西悠里元巡査長は幾ら元警察官でもこれには恐怖に震えた。途轍もない痛みが予測される。
 松尾円香はもう一度望にスパンキングを渡す。
 望はそれを慎重に中西悠里元巡査長の性器に狙いを定めて叩く。
 「ううーーーーーーーーー」
 まだ弱い。それでも中西悠里元巡査長の股間は震撼する。顔を絞るように歪め躰は痛みに揺れる。
 「まだよ」
 松尾円香は手緩いと指摘する。
 二人目が構える。
 今度はもろに強い直撃が入った。
 「ぐうおおーーーーーーーーーーー。ううおおーーーーーーーーーーーーー。おーーーーーーーーーーー」
 中西悠里元巡査長の顔は大口を開け破裂している。躰を力の限り捩って暴れさせ悲鳴を繰り返す。相当に痛いのである。
 次が構えた。
 「あーーーーーーーー。だめーーーーーーーーーー」
 中西悠里元巡査長は恐怖の悲鳴を上げる。
 それでもコンパニオンは容赦なく叩く。
 今度も局部のびらびらの粘膜を直撃する。
 「ぐううーーーーーーーーーーーーーー。ぐうおおおーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。ぐうおおーーーーーーーーーーーー」
 強烈な悲鳴である。
 中西悠里元巡査長は腰を大きく右に振り、引っ張り上げられている左脚をくの字に曲げて暴れさせ躰を震撼させる。
 「ぐううーーーーーーーーーー。ぐうーーーーーーーーーーー。ぐううーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 手で庇う事のできない痛みに暴れまくった。
 壮絶な光景である。
 政治家役とやくざ役から拍手が沸く。
 最期は松尾円香である。先端がチップになった一本鞭を構える。
 「えーーーーー。だめーーーーーーーーー。もう。もおーー。だあめーーーーーーーーーーーー」
 中西悠里元巡査長は元警察官のプライドも投げ捨て泣き叫ぶ。
 それでも松尾円香は振り被る。
 「ああーーーーーーーーーーーーー」
 中西悠里元巡査長は形相を破裂させて叫ぶ。
 松尾円香は女の部分の粘膜目掛けてきっちり叩く。
 「ぐうーー」
 中西悠里元巡査長の躰は一瞬固まる。
 「ぐうわわわあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。ぐうわああーーーーーーーーーーーーーーー。ああーーーーーーー。ああーーーーーーー」
 中西悠里元巡査長は吊るされた躰をめちゃめちゃに暴れまくる。
 「ああーーーーーーー。あ、ああーーーーーー。あ、ああーーーーーー。あ、ああーーーーー」
 涙と汗が飛び散る。
 「はあ。はあ。はあ。はあ」
 「まだ序の口よ。そのお○○こを包んでいるびらびらを広げてピンクの部分を叩くのよ。それは先生方にお任せね」
 松尾円香は中西悠里元巡査長のヒステリー状態の悲鳴が収まった段階でしんねりと囁いた。
 若い政治家役が近付く。
 松尾円香は一本鞭を渡す。
 コンパニオンに合図して中西悠里元巡査長の両横に座る。二人で女の部分のびらびらを開く。
 「やめてーーーーーーーーーーーーー。もうだめーーーーーーーーーーーーーー。おねがいーーーーーーーーーーーーー」
 中西悠里元巡査長は恐怖の形相で泣き喚く。
 政治家役は鞭を構える。
 「ああーーーーーーーーーーーーーーーー」
 中西悠里元巡査長は遂に失禁してしまう。
 「ああーーー。ああーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーー」
 小水は松尾円香とコンパニオンが広げた尿道の小さな亀裂からだらだらと流れ落ちている。
 「これはいい見ものだ」
 上座の政治家役が絶賛する。
 「ああ。あーー」
 中西悠里元巡査長は羞恥にもうやり場もない。ヒステリー状態である。
 「さあ。今度はいい声で鳴いてもらいましょう」
 松尾円香はコンパニオンと客役に呼びかける。
 「二穴両方に入れてくれよ」
 初老の政治家役が要求する。
 「そうですね。浣腸してアナルを綺麗にして二人に入れてもらいましょう」
 中西悠里元巡査長は松尾円香の言葉に震え上がる。浣腸されて便を漏らす場面まで公開されてしまう。昔の同僚はきっと見るに違いない。
 何人もが購入するのではないかとさえ思う。
 もうこの街に移ったのだから会うことは無いと言い聞かせる。それでも堪らない。
 「石鹸水でいいぞ」
 年配のやくざ役が声を掛ける。崩さないで恥ずかしい便を出させようという目論見である。
 「承知いたしました」
 若いやくざ役が氷の入った冷たい水に溶いた石鹸水を浣腸器に注入してゆく。
 中西悠里元巡査長は怯えた表情でそれを見続ける。自分の人格を地に堕とす凶器である。
 同僚や上司が笑い転げ悪口を言う姿が浮かぶ。さらに検挙した被疑者たちが笑う顔も浮かぶ。
 この街にもそんな輩が一部は居るのではないか。そう思うと生きた心地ではない。
 松尾円香は望に浣腸器を渡す。
 「さあ。この女のアナルに刺してそのシリンダーを押し込むのよ。そうしたらこの女のもっとも恥ずかしい姿が愉しめるのよ」
 また松尾円香は中西悠里元巡査長の神経を抉るように言う。
 「はい」
 望は明るい顔で浣腸器を受け取る。
 アナルに指を当て慎重に先端を刺し込む。
 「ああーーーーーー」
 中西悠里元巡査長は辛そうな表情を歪めて堪える。羞恥の極地の破局を受け入れざるを得ないのである。
 「ああ。ああーーーーーーーーー」
 冷たい浣腸液が直腸に入って来ると中西悠里元巡査長は悲鳴を上げる。
 「ああーーー。ああーーーーーー」
 中西悠里元巡査長は痛みに腰を振って藻掻く。
 若いやくざ役が透明で大きなボウルを持って来て中西悠里元巡査長の脚元に置く。確り出た便を映像に残そうと言う目論見である。
 「ああーーー。ああーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーああーー。ああーーーーーーー」
 中西悠里元巡査長の腹の苦しみは尋常ではない。
 注入が終わって望が浣腸器を抜くと松尾円香がアナル栓を入れようとする。
 「ああーー。だめーーーーーーーーーー」
 中西悠里元巡査長の悲鳴と共に便が飛び出す。松尾円香は慌てて後ろに飛び退く。
 「ああーーーーーーーーーーー。いやあーーーーーーーーーーーーーー」
 中西悠里元巡査長は涙を溢しながら便を垂れ流す。
 「いいねえ。この女の苦しみに歪む顔。なかなかそそるよ」
 初老の政治家役が覗き込んで言う。
 「二本挿入でたっぷり逝き顔を晒してもらおう」
 上座の政治家役も期待をかけている。
 若いやくざ役二人が褌姿で準備していた。
 中西悠里元巡査長はこいつらに入れられてしまうと思うと悲しくなる。アナルと両方に入れられるとどうなるのか判らない。
 褌姿の二人のやくざ役が中西悠里元巡査長の脚の縄から外しに掛かった。
 大型のマットが座敷の真ん中に置かれる。
 中西悠里元巡査長の縄が解かれた。若い政治家役二人とやくざ役二人でマットにうつ伏せに捻じ伏せる。
 松尾円香がアナルバイブを持ってお尻側に近付いた。
 中西悠里元巡査長はその姿を警戒の目で振り向く。怯えの表情でアナルバイブを見てさらに顔を歪める。
 望が横からお尻をガーゼで拭く。男どもにまで見られながらの恥ずかし過ぎる姿である。
 松尾円香は指にローションを塗って中西悠里元巡査長のアナルに刺しこむ。
 「ああーーーーーーーーーーーーーーー」
 中西悠里元巡査長は目を瞑り歪めた口で悲鳴を漏らす。その表情が男優らのさおを起立させた。
 ローションを塗ってアナルを柔らかくするとアナルバイブを挿入する。
 「ああーーーーーーーーーー。いいたあいいいーーーーーーーーーーー」
 中西悠里元巡査長の眉間の皺は一気に軋む。色白の顔に紅が差していた。
 「ああーーーーーーーーーーー」
 顔を歪めて悲鳴を搾り出す。
 松尾円香はゆっくりバイブを手で動かす。
 「ううーーーーーーーー」
 かなり痛そうである。
 それでも静かに少しずつ動かす。
 男優が横からローションを掛ける。
 松尾円香はそれに馴染ませてピストンする。
 「ううーーーーーーーーーー」
 中西悠里元巡査長は頭を反らせて悲鳴を搾り出す。まだ痛いらしい。
 「前を責めて」
 松尾円香は男優に要求する。
 男優は両側から松尾円香の腕の下から腕を侵入させる。
 中西悠里元巡査長の太腿の内側に肘を付く。女の部分のびらびらを開いて両方から膣に指を進入させる。
 膣の内壁を両側から刺激してゆく。
 「うおおーーーーーーーーーー。いやあーーーーーーーーーー。あはあーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 中西悠里元巡査長は眉を寄せて口を縦に開いて声を上げる。
 もう一人が隙間から小型の電マを突っ込む。クリトリスの辺りに充ててスイッチを入れた。
 「ああーーーーーーーーーー」
 中西悠里元巡査長は一気に腰を震撼させる。両側の男優は強く太腿を抱き抱えて押えた。
 前で肩を押さえていた二人は片方ずつ乳首を弄くる。
 「ああーーーーーーーー。いやあーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーー」
 中西悠里元巡査長は頭を震撼させ顔を歪める。歯を?き出し声を絞り出す。
 知的で気性が強く見える顔が歪む。色白の顔にやや紅が差すのがなかなか良い。
 「そろそろ強引に行きましょうか」
 松尾円香が男優らに提案する。
 「ええーーーーーーーー。だめーーーーーーーーーー」
 中西悠里元巡査長は拒絶状態である。
 若い政治家役の男優二人が掛かった。中西悠里元巡査長を両側から太腿と肩を持って持ち上げる。
 男優がマットに仰向けに寝た。松尾円香がそのさおを手で扱いて一気に起たせる。
 そのさお目掛けて中西悠里元巡査長の股間をゆっくり被せる。
 「ああーーーーーー」
 中西悠里元巡査長は既に膣側は微妙に感じていた。
 下から男優はさおを強く押し上げる。中西悠里元巡査長の躰は男優の上で軽くバウンドする。
 「あはあーー。あはあーーーー。ああーーー。あはあーーー」
 中西悠里元巡査長は下から突き上げる男優の責めに徐々に呑まれてゆく。
 もう一人アナルに挿入する男優がさおを起たせて準備に入っていた。本来中西悠里元巡査長の口で起たせる手順である。だが松尾円香が手で手伝う。
 カメラの後ろでは監督の稲垣七郎が情況を見ていた。
 墨田会系大船一家の若頭だが誰も構成員とは知らない。AVの監督で風俗業の経営者と言う認識である。
 松尾円香は月一回花電車の興行に出る。
 その置屋の主人も同じ組の東丸秀三郎若頭補佐である。だが松尾円香さえ真実を知らない。
 この宴席ではフィクサーを仲介して政治家とやくざが交流している。これは演出だがこの秘密の座敷では現実このままの宴会が行われた。
 知っているのは調教師集団と政治家、やくざ、宴会場の女将だけである。
 稲垣七郎は本日中に二本撮ってしまいたい。
 松尾円香は中西悠里元巡査長のアナルにもう一度指でローションを塗り入り口を慣らす。男優のさおにも塗っている。
 「ああーー」
 中西悠里元巡査長は下の男優に責められながらアナルにも身構える。
 アナルに入れる体制に成ったので下の男優は動きを止める。広げていた膝を真っ直ぐに閉じ合わせる。
 アナルに入れる男優はその膝を跨ぐ。広げた中西悠里元巡査長の膝の内側に膝を着く。
 片手を着いてアナルに狙いを定めてゆっくり挿入する。
 「ああーーー。あーーーーーーーーーーーーーーー。あがやあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 中西悠里元巡査長は強烈な悲鳴になる。
 下の男優は膣の中でさおをいきませるだけである。
 「ぐうわあーーーーーーーー。ぐぁあーーーーーーー。ぐぎゃあーーーーーーー。ぐうぎゃあーーーーーーーー」
 逝き声というより悲鳴である。
 『逆にしろ』
 監督の稲垣七郎が指示を出す。そしてアナルに挿入する男優を若い政治家役に代える。
 さおの太さを選んでの指示である。
 その間に松尾円香がもう一度アナルをローションで慣らす。
 アナル担当に政治家役の男優が膝を揃えてマットに仰向けに寝る。
 松尾円香がそのさおを扱きながら、四人がかりで中西悠里元巡査長の躰を持ってアナルをさおに被せる。
 『動かさなくて良い』
 また監督の稲垣七郎から指示が出る。
 今度は中西悠里元巡査長のフロント面が上である。
 先ほどまで下になっていた男優が政治家役の男優の太腿を跨ぐ。中西悠里元巡査長の太腿を掴んで膣に挿入する。
 今度は上の男優だけが猛攻撃する。下の男優は中でいきませて抜けないよう押えるだけである。
 これでも膣の刺激は上がる。
 「ああーーーーーーー。ああ、ああーーーーーーーーーー。ああ、ああーーーーーーーーーーーー。ああー。ああーーーーーーーーーー」
 中西悠里元巡査長は男優の責めるペースに徐々に押されて行く。
 松尾円香はドリルバイブの準備をしていた。
 稲垣七郎にはこのAVはソフトな分類。次の一本から徐々にハードにして行く予定である。
 上から責める男優は中西悠里元巡査長の表情が歪む情況を観察する。そのタイミングを見極めて速度を上げた。
 「ああーー。ああーー。ああーー。ああーー。ああーー」
 中西悠里元巡査長の喘ぎ声は急ピッチになる。
 そして眉間の皺を強く軋ませ究極に絞り続けた。
 仰向けに責めているので中西悠里元巡査長の逝き顔は画面に度アップである。SMでなく普通のAVならば最高にそそらせるものであった。
 そのあと初老の政治家役とやくざ役が順番に鞭打ちをして終了となる。
 
 二本目の撮影を行うに移動の手間を掛けたくない。そのまま宴会場でのオークション会と成った。
 中西悠里元巡査長を虐めるSM拷問メニューからオークションする嗜好である。
 男優は全員背広姿に変身する。人数は代わらない。松尾円香もスーツ姿に成り他のコンパニオンは引き上げる。
 僅かな休憩だけで中西悠里元巡査長は拷問椅子に固定された。撮影開始である。
 中西悠里元巡査長は十一本終了に一月と言われていたのに何故一日に二本も撮るのか。もう今日は早く帰りたい。
 だが監督としては二本目が本格的なSMなのである。
 スーツ姿に着替えた松尾円香が司会となる。
 「こちらにダーツの的が有ります。的にはそれぞれSMの拷問内容が書かれています。私が吹き矢を吹きます。当ったプレイをオークションして貰います」
 松尾円香が説明する。
 「落札したら彼女にそのプレイを自分で出来ますか」
 「もちろんですよ」
 全員が中西悠里元巡査長の躰を隅々まで舐めまわす。既に拷問椅子に四十五度の開脚状態で股間は斜め上を向けられている。
 中西悠里元巡査長にはそれが男優の視線でも気分最悪状態である。
 不本意な示談金を早く生産して自分の資産を作らなければ成らない。それでもできるだけ楽をしたい。
 契約書の内容は総て包括している。何も文句は言えない。少しはごねたいが監督の稲垣七郎の威圧力は恐ろしい。
 さらに何かごねれば松尾円香がもっと内容を濃くしかねない。
 中西悠里元巡査長は松尾円香を殺したい衝動に駆られた。今何か問題を起こせば確実にマスコミに叩かれてしまう。
 AVの反響すらSNSは炎上してマスコミネタに成っている。
 裸を性器まで晒されてしまった。斯くなる上は躰で稼げるだけ金を作る以外方法はない。
 そんな事を考えている間に松尾円香は吹き矢を吹く。
 「潮吹き十分間やり放題です。一万円からスタートです」
 松尾円香の言葉に何でそんなに安いのと思うが実際に金は動かない。
 一人の男優が二万円で落札した。二穴挿入で中西悠里元巡査長の女に挿入した男優である。
 こいつなら十分も要らない。中西悠里元巡査長は直ぐに追い詰められると最早理解している。
 男優は近付いて一通り中西悠里元巡査長の躰に触って女の部分に指を二本侵入させた。
 娼婦の泣き所を直ぐに探り当てる。
 「あはあ」
 中西悠里元巡査長は瞬時に呻く。
 指の先を折って一気に掻き出す。
 「ああーーーーーーー。ああはああーーー。あはあーーーーー。あはあーーーーーーー。ああはあーーーーーー」
 潮は噴水の如く飛び上がる。
 「あはあーーーーーーー。ああーーーーーーーーーー。あはあーーーーーーー。ああーーーーーーーー」
 なかなか治まらない。
 「はあ。はあ。はあ。はあ。はあ」
 荒い気遣いが続く。股間の周りはびしょ濡れである。男優は手に残った潮を中西悠里元巡査長の躰に向けて掃う。
 それを無視して松尾円香は吹き矢を吹く。
 「次は生物責め。蛞蝓です。五万円からどうぞ」
 蛞蝓と聞いて中西悠里元巡査長に戦慄が奔る。
 オークションの間に有楽の女将がトレンチに載せて来た。小さなボウルに入った蛞蝓とロングスプーン、粗塩である。
 もちろん女将の顔にはモザイク処理をする。
 「養殖した蛞蝓で御座います」
 天然物ではないので清潔と宣言していた。エスカルゴより綺麗かもしれない。それでも責められる中西悠里元巡査長は縮み上がる。
 女将は青木典子という。今年で五十七に成る。
 板長は女将の主人である。一流ホテルの総料理長を定年退職して今は此処を手伝っている。
 女将は不倫の愛人との共同事業に失敗してやくざに数千万の借金を負う。
 この街の実質オーナー保木間貴明から此処を任された。その稼ぎで毎月数十万の返済を完済したばかりである。
 不倫相手は典子に借金を残して逃走した。行方はまったく解らない。
 蛞蝓は初老の政治家役だった男優が七万で落札した。
 一度中西悠里元巡査長の拷問椅子への固定を締め直す。若い政治家役だった男優二人が手伝う。
 初老の政治家役がクスコを取り出す。
 烏の嘴を縦にして挿入するが入れてから横に倒す。
 「待って下さい。クスコを横に広げた方が蛞蝓を粘膜に直に乗せられます」
 松尾円香が注意する。
 中西悠里元巡査長はこの意地悪な発言に嫌悪の表情をいっそう堅くする。
 「そうだな」
 初老の政治家役は直ぐ一度抜いて入れ直す。
 そして蛞蝓をロングスプーンで掬って中西悠里元巡査長の顔の前に翳す。
 「いやあーーーーーーーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。いやよーーーーーーーーー」
 中西悠里元巡査長は蛞蝓の姿を見てヒステリックに喚く。
 気持ち悪さは尋常ではない。
 それをゆっくりクスコの中に運び込む。
 「ああーーーーーーーーーーーーーーーーーー。いやあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。あはあーーーーーーーーーーーーーーーーん」
 ゆっくり焦らしながら膣内の粘膜に載せる。
 「あ、ああーーーーーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 中西悠里元巡査長のヒステリックに歪む。涙こそないが泣きべそ顔は加虐心を堪能させる。
 「さあ。お客様。その粗塩で蛞蝓を膣の中で溶かしてお遊び下さい」
 松尾円香はやんわり言葉で蛞蝓の汁が染み込むように言う。
 「ええーーーーーーーーーーーー。いやあーーーーーーーーーーーーーー」
 中西悠里元巡査長の想像にもなかった仕打ちである。
 初老の政治家役は小皿の粗塩をロングスプーンで掬う。それをじっくりクスコに近付けた。
 「いやああーーーーーーーーーーーーー。やめてーーーーーーーーーーーーー」
 中西悠里元巡査長の気丈な表情の崩れた泣き声はさらに加虐心を満足させる。溜飲の下がる悦びである。
 初老の政治家役は愉しむようにゆっくり蛞蝓に粗塩を掛ける。
 蛞蝓は少し動くが直ぐに水の様に溶けてしまう。半分くらいに小さくなった死骸が粘膜に残る。
 中西悠里元巡査長は女の神聖な部分に蛞蝓の溶ける感触をもろに味合わされた。
 「あはあーーーーーーーーーーーーーーん。あーーーーーーーーーーーーー。いやあーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 ヒステリックに泣き喚くばかりである。既に背中や顔に汗を噴いていた。
 松尾円香が箸で蛞蝓の萎んだ死骸を取り出す。
 「ほうら。こんなになちゃった」
 それを中西悠里元巡査長の目の前に翳して詰る。
 「ああーーーーーーーーーーん。いやあ。いやあ。いやあ。いや」
 「洗ってあげるから。もう泣かないのよ」
 松尾円香は愉しそうに翻弄しながら水差しで膣の中を洗う。
 中西悠里元巡査長の頭の中では松尾円香の言葉に幾重にも怒りを破裂させる。それでも如何ともできない。悔しさ、惨めさが積もるばかりである。
 松尾円香は次の吹き矢を吹く。
 「三角木馬擽り刑です。三万円からでお願いします」
 そこで撮影は一時休止になった。
 監督の稲垣七郎が中西悠里元巡査長に寄る。
 一度拷問椅子の戒めを解かれた。後ろで緊縛師の代わりに松尾円香が縄を準備している。
 稲垣七郎は木馬の頂点に指を当てて説明を始めた。
 「いいか。このお座敷で通常使う木馬はこの三角の頂点が一ミリしか削ってない。これは撮影用で三ミリ削っている」
 一メートル四方の鉄板にアームが立っている。その上に底辺二十センチ高さ二十センチ奥行き一メートルの三角の木馬が乗っていた。
 三角の頂点は金属で尖っている。この頂点を女の部分のびらびらで咥えるように乗る。総ての体重がその部分に掛かってしまう。
 乗せられるだけで苦しい。一ミリ丸めただけでは躰が頂点を滑るだけで僅かに斬れてしまう。僅かでも粘膜は斬れれば尋常な痛みではない。
 「斬れると先が撮れない。お前のお○○こに血袋を入れて行う。ここだけは芝居をしてもらわねば成らない」
 AVの監督やスタッフは映像に映らない所では女優に優しいと聞いている。稲垣七郎は宇佐美ほどではないが厳つさそのままである。
 その間に松尾円香は中西悠里元巡査長を高手小手に縛り上げた。
 「さっきの鞭叩きの倍ぐらい苦しむ表情を見せるのよ。お座敷のハードコンパニオンは本当にそこから血を滲ませるのよ」
 そう囁いて三角木馬を跨がせる。
 中西悠里元巡査長はその言葉が胸に突き刺さる。お座敷のハードコンパニオンが本当に女の部分に血を滲ませる。その後の痛みは尋常でない。
 三角木馬はハンドルを回して高さを調節できる。
 天井の滑車から下がった縄。その先端にフックが提げられている。これを高手小手に縛った背中の縛り部分に接続する。
 ハンドルを回して三角木馬を上昇させた。それに合わせて滑車のもう一本の縄を引く。中西悠里元巡査長の躰を天井から引っ張る。
 少しずつ上昇させてゆく。中西悠里元巡査長の脚先が床から少し離れ男優の手が届く範囲で止める。
 オークションは上位三名が落札となった。
 一人の男優が下から手を伸ばして中西悠里元巡査長の躰を擽る。二人目は孫の手を使って腋を両側から擽り始めた。
 残る一人は太腿を掴んで擽るより指先でクリトリスを弄る。
 「いやあーーーーーーーーーー。いやあーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーー」
 中西悠里元巡査長は猛烈な擽りとクリトリスへの刺激に堪えられない。
 狂った様に喚き続ける。五分と雖も短くはない。
 「ああーーーーーーーー。ああーーーー。ああーーーーーーーーーーーーーーーー。ああーー。ああーーーーーーーーーーーーー」
 中西悠里元巡査長は大口を破裂させ喚き続ける。最早思考能力はない。
 三角木馬から降ろされて痛みに苦しみ藻掻くシーンは何回か撮り直した。
 その後も拷問椅子に戻され挿入、キス等何項目かが過ぎる。
 松尾円香はさらに次の吹き矢を吹く。
 「鞭打ち五発セットです。内訳はおっぱいに一発ずつ。太腿に一発ずつ。最期にお○○こに一発です。五万円からに成ります」
 中西悠里元巡査長の恐れていたものがまた来てしまった。
 拷問椅子を広げて固定を強化された。落札したのは上座に居た政治家役の男優である。
 男優は先端が2×10センチ位のチップになった一本鞭を選択した。
 乳房を乳首もろとも狙いを定めて叩く。
 「うぐううーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 中西悠里元巡査長は顔を背け眉間に三重の皺を寄せる。きつく目を瞑って大口を歪めて悲鳴を搾り出す。
 もう片方も叩く。
 「うごおーーーーーーーーーーーーーーーー」
 今度は乳房を強くへしゃげる。
 次は内腿の柔らかい部分を叩く。
 中西悠里元巡査長の内腿の線は股間の付け根部分から途中まで内側にやや弧を描く。途中から膝に向けて僅かに外側に弧を描いていた。美しい脚の曲線である。
 「うおーーーーーーーー」
 男優は拷問椅子の後ろを通って移動する。反対側の内腿を斜め後ろから叩く。
 「ぐうおーーーーーーーーーーーー」
 内腿に蚯蚓腫れが浮いてくる。先に叩いた反対側は赤い筋が滲んで浮いていた。
 最期に同じ位置から女の部分を直撃する。
 「ぐううーーーーーーーーーー。ぐうごおーーーーーーーーーーーーーーーー。うおおーーーーーーーーー」
 中西悠里元巡査長は拷問椅子の上で躰を揺すって暴れ悲鳴を搾り出す。
 それで終わりではなかった。
 「あはあ。はあ。あはあ。はあ」
 荒い息遣いを続ける中西悠里元巡査長の前で松尾円香は吹き矢を吹く。
 「次は局部オープン鞭です」
 まるで吹き矢は松尾円香が当りを付けて狙った通りに当っているようである。
 「ええーー」
 中西悠里元巡査長はもう堪らないと言う表情である。
 「五万円からです」
 やくざの幹部役だった男優が六万で落札した。
 松尾円香は態と中西悠里元巡査長を拷問椅子から解放する。
 片脚を拷問椅子のアームに拘束具で接続する。もう片方の脚を松尾円香が押える。
 男優は先端の細い一本鞭を構える。
 「さあ。一発だけよ。自分で開いて」
 「ええーー」
 中西悠里元巡査長は驚愕の表情になる。
 「自分で開かなければクリップで開くけど。一発じゃ済まないよ」
 中西悠里元巡査長は松尾円香の言葉に慄く。開放された両手で仕方なく自分の女の部分のびらびらを開いた。
 中西悠里元巡査長はやくざ役を恐怖の視線で見る。
 やくざ役は狙いを定めて振り被る。中西悠里元巡査長のびらびらを開いたピンクの粘膜に視線を合わせた。
 呼吸を整えて鞭の先端をきっちりピンクの粘膜に当てる。
 「ううーーーーーー」
 中西悠里元巡査長は片脚を押える松尾円香の手を蹴り解いてもんどりうつ。
 「ぐうわああああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。ぐわああーーーーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーーー」
 繋がれた片脚をばたばたさせる。股間を庇うように片手で押さえ畳を手で叩く。行き場のない痛みに悲鳴を続けた。
 冤罪者をSNSに公開した元警察官。そうでなければ普通の人には壮絶過ぎて見られない光景である。
 それでもまだ松尾円香は吹き矢を吹く。
 「蛇イレポンです」
 中西悠里元巡査長は恐怖に座敷を後ずさりする。
 「十万からです」
 しかし反応はない。中西悠里元巡査長が恐怖の表情で周りを見る中で暫く沈黙が続いた。
 「八万でどうでしょう」
 松尾円香はダンピングする。
 「・・・・・・」
 反応はない。
 「六万」
 同じく反応はない。
 女将が台車に乗せて運んで来た水の無い水槽。松尾円香はそれに被せた網の覆いを退ける。そして中から一匹を掴む。
 「この蛇です」
 上座に居た政治家役に目を向ける。
 政治家役は手を振ってノーを示す。
 次にやくざの幹部役を見る。こっちも首を振る。
 「では蛇イレポンは次回と言うことで」
 松尾円香の宣言で撮影は終了した。
 中西悠里元巡査長はスタッフに浴室に誘導される。湯に浸かってもう体力はない。帰りは撮影の女性スタッフ二人が車椅子で部屋まで送ってくれた。
 
 翌日。中西悠里元巡査長が目を覚ましたのは十五時を少し過ぎていた。憂鬱な雨である。
 三つの駅が窓から霞んで見える。
 テレビを付けると鹿児島に豪雨のニュースである。土砂崩れが起きて人が生き埋めになった。今年初めてではない。
 長い期間梅雨前線が留まっていることで起きた雨量である。
 この街は同じ量の雨量が来ても内部は安全らしい。
 だが中西悠里元巡査長にとっては雨どころではない。恐ろしい撮影であった。
 そして最期の松尾円香の言葉が脳裏を離れない。
 この度は陥れられたことは間違いない。元警察官ゆえ今の状況を打開できない事は理解せざるを得ない。
 蛇で脅された。それだからではないと思っている。
 先に収入の目処があればそっちを取るべきと安易に考えた。
 和解金が口座を通して払われた事が事実なら金には成る。確かに差額の金は口座に残っていた。
 キャッシュカードも届いてサイン以外は全て正式な手続きである。
 嵌められたがこれ以外に自分の立つ瀬がない事も理解できる。だからスタントマンの仕事に乗った。
 あそこから罠は始まっていたのである。段下が指図したと思う。埼玉県警の大方の署員が既に自分の敵である。
 金は得たい。そこまでの賠償のための仕事が余りにも酷過ぎる。何とか早く収入に繋げたい。
 何より恐ろしかったのは秘密を護らせるために見せられたビデオである。
 『埼玉県警生活安全課出水麻里巡査部長』と出たあの字幕。蒸発したとされていて事件性無しで片付けられた件であった。
 いろいろ事情を知って行くとこの街に暮らすのが安全である。
 最早、中西悠里元巡査長は二つの事で有名に成り過ぎている。何処の町にもどんな仕事にも就けない。
 一本五百万をどうにかできないか。これでは稼ぎに繋ぐまでに自分が潰されてしまう。そんなに何本も売れるのかそんな疑問も湧く。
 昨夜のような撮影があと九本は堪えられない。
 この部屋に備え付けの冷蔵庫を開けると中身はもう飲み物しかない。それも僅かである。また街に顔を晒して買い物に行かねば成らない。
 そう思ってコンコースで店に入るか迷っていた。その時保木間に声を掛けられた。
 あの人に相談したらどうにかならないか。連絡の取り方が判らない。あそこのママに聞けば判るかもしれない。
 五時まで待って身支度を整えて出かける。
 カウンターバーに客は居なかった。
 早速、保木間の連絡方法を聞く。ママは直ぐに連絡を取ってくれた。
 「買い物はこの街なら通販で済みますよ。ネットで注文してコンテナラインからお部屋の階の宅配ボックスに自動で入るのよ」
 「そうなのですか」
 中西悠里元巡査長はママに注文方法をスマホに送ってもらった。
 「何でしょう」
 後ろに保木間が立っていた。
 「ちょっとお仕事のことでご相談が」
 「私に」
 保木間には中西悠里元巡査長が何を相談したいかほぼ想定がついている。
 「はい。お願いします」
 保木間は辺りを見回す。それほど客は居ないが屋台村の他の店舗に少しずつ客が入りかけている。
 「出ましょうか」
 「はい」
 中西悠里元巡査長も人の居ない場所が良い。
 保木間はニューシティの三階までを繋いでいるコンコースの屋上に出る。其処はミッドタウンとスカイタウンの谷間に繋がる長い公園と外の道である。
 左右に自転車の通行路が続いていた。
 此処なら込み入った話をしても問題はない。
 「確かに五百万は安い方ですが。宇佐美さんは立て替えて元が取れない危険も有ります。売れ行きが見えるまでは安い契約になります」
 「はい。でもあと九本このままでは」
 中西悠里元巡査長は切実に訴える。
 「確かに昨日の二本目は内容からちょっと安いですね」
 そう言って保木間は稲垣七郎に確認の電話を入れる。
 「昨日の分は宇佐美から今月中に全部清算したいとの要望だから。あれで契約レート四本分です」
 稲垣七郎からはそんな回答が帰って来る。
 保木間と一緒に宇佐美の事務所に向かう。
 「残り三千五百万です」
 宇佐美はきっぱり答える。
 「何故先に言ってくれないのですか」
 「早く消化して欲しいと俺は頼んだ。あんたがまだ稼ぎたいと言っていたから。撮影が終わらないといくら消化出来たか判らない」
 宇佐美の回答を中西悠里元巡査長が納得したので保木間は引き上げた。
 「お前早く稼ぎに行きたいのやろ。あと二つで解決する手もあるぞ」
 宇佐美は保木間が帰ったのを皮切りに提案してきた。
 「そんな。まさか蛇では」
 「蛇では三千五百万には成らないよ」
 宇佐美はふんぞり返っている。
 「それより怖いもの」
 「乳首斬らさないか。あとで綺麗に見掛けは治す。残酷さが求められるのや」
 「えー。それで三千五百万」
 「一億」
 「整形で戻って六千五百は残るの」
 中西悠里元巡査長は納得した訳ではない。金額を確認しただけである。
 「条件次第では一億残してやる。此処の物件と店を買えばだが。その前にどうしてもクリアしないと成らない条件がある」
 「クリアしないと成らない条件ですか」
 中西悠里元巡査長は怪訝な表情である。
 「お座敷に一回出てもらわねばならない。そうでないと山地氏が納得しない」
 「そんな。あの人は五千万も取っておいて」
 「ちがう!山地氏は裁判であんたをマスコミの餌食にしたかったのだ。警視正も二人の弁護士も納得しない」
 「どうして私を寄って集って罠に嵌めて」
 「ふざけるな!お前のやったことは判例のない警察官の犯罪だぞ。館山先生は最高裁まで闘う。検察審査会で有罪に持ってゆくと宣言された」
 「ええ。そんな。名誉毀損で」
 「それだけでは済まない。刑事事件にもできると館山先生は仰るのや。そのときは弁護士が団体で動く。館山先生にはその指導力がある」
 「ああ」
 中西悠里元巡査長は館山弁護士の敏腕さを充分に知っている。宇佐美のハッタリとは到底思えない。
 「それを警視正と野村先生で説得した。金で収めろと。五千万稼ぐに相当の苦労をしてもらうとシナリオまで示した」
 「はあ」
 中西悠里元巡査長はこれ以上周りを敵にできないことは感じ取れる。金を出してくれる範囲で宇佐美に従うしかない。
 「お座敷でハードコンパニオンやって一度あの男の玩具になれ。そして溜飲を下げろ。それ以外に抜け道はない」
 「そんな殺されるよ」
 「山地氏が犯罪者に成るようなことはしない。段下警視正がさせない。それに自ら山地氏は自分で手を下さない。実行は松尾円香がやる」
 「ええーー。あの女が」
 「いいか円香も躰を斬らせて整形したんや。五千万で乳房と太腿に焼印を受けた。整形で綺麗になっていたやろ」
 「そうなのですか。確かに綺麗でした」
 中西悠里元巡査長は同じ女でも美人なので躰は隈なくチェックした。何処かに火傷や傷跡が有れば気付いたはずである。
 松尾円香の話が中西悠里元巡査長に決意させた。
 それしかこの街に隠れてと雖も平和な暮らしに逃れる道はない。
 中西悠里元巡査長は宇佐美の差し出す契約書に不満を覚えながらもサインした。それしかないと自分に言い聞かせる。
 それから武州記念病院に同行して葛和医師の診察を受けた。
 あとの整形の問題がないかの事前確認である。
 
 約束したお座敷の日は直ぐにやってきた。
 有楽のお座敷天昇の間である。
 宴席は六席。真ん中を広く開けている。
 左の上座には前回の撮影で監督を務めた稲垣七郎若頭。続いて東丸秀三郎若頭補佐。松尾円香が所属する置屋の主人と紹介されている。
 左の三人目が松尾円香である。
 右の上座には段下警視正が堂々と座る。
 中西悠里元巡査長は何故こいつが居て良いのかと思う。だが秘密をしゃべった場合のあの脅しが恐ろしい。
 そしてこの街を追われたらもう行く所はない。
 続いて問題の主賓山地透。末席が真紀子である。
 北嶋コンサル社長と紹介された。中西悠里元巡査長には何故此処に居るかは分からない。だがなんとなく女二人が嫌である。
 他にコンパニオンは居ない。女躰盛りもないので料理はお膳に配膳する。
 中西悠里元巡査長は女将の指示通り下座の外れに正座して待つ。
 座って黒のミニスカートから揃えて剥き出した脚は艶かしく美しい。余計な肉はまったく無い。
 松尾円香が立って中西悠里元巡査長を床柱の前に引っ張り出す。
 「やってほしい事は」
 真紀子が山路透に嗾ける。
 「私は見ているだけだが」
 「手を下さなくていいから。希望を言った方が」
 「私をSNSに冤罪指名手配して不当逮捕した婦警をこの上なく羞恥の坩堝に堕とす。そして家畜以下にしてくれると聞いて来たのです」
 「そうよ。その方法に希望を言ったら」
 「私はそっちの事はあまり知りません。サンプルで見たAVと同じような」
 「そうね」
 「ならば北嶋社長と二人でとことん」
 段下警視正が煽る。
 今回制作された中西悠里元巡査長の三本のAV。山路透はこの様な内容をこれまでほとんど見ないで来た。
 中西悠里元巡査長の映像でなければ見る事さえ無い。
 そして中西悠里元巡査長が地に堕ちる姿を目の前で見れば充分納得する。
 「さあ。お詫びとご挨拶をしましょうね」
 真紀子が肩を押して座らせる。
 「さあ。この内容でお詫びの挨拶よ」
 松尾円香がプリンターで出力したメモを渡す。
 中西悠里元巡査長の本心とは大きくかけ離れた内容である。それでも読まなくては成らない。
 「さあ。両手を着いて」
 真紀子が強い口調で促す。
 仕方なく中西悠里元巡査長は両手を着いて顔をメモの十センチ手前まで下げる。
 「間違った写真をSNSに公開して大変な冤罪を招きご迷惑をお掛けしました。本日はハードコンパニオンといたしまして私の全身でお詫び申し上げます」
 中西悠里元巡査長には淡々と読むのがやっとである。
 「まだあるでしょう」
 「どうぞこの躰をご存分に虐め辱めてお遊び下さい。それが私の心からのお詫びで御座います」
 恐ろしい内容に中西悠里元巡査長の声は上ずり震える。
 「読んでいるだけで反省の気持ちが足りないな」
 段下警視正が叱咤する。
 「まあ。私達の責め方でカバーしましょう」
 真紀子は宥めながら虐める宣言である。
 松尾円香と真紀子が中西悠里元巡査長の服を一気に脱がしに掛かった。女二人が
女を脱がしに掛かる姿を男が四人で見る。
 昭和中期過ぎのストリップ劇場。九ステージの最期にやや豪華に踊り子が増えてトリの光景の様である。
 女二人に点検されながら下着を脱がされる。中西悠里元巡査長には嫌悪そのものであった。
 床柱の前で女の部分を丸出しにする。さらに閉じ合わせた粘膜を広げる。ピンクの部分が広がり尿道の小さな亀裂と膣口がはっきり確認できた。
 さらに真紀子らは中西悠里元巡査長のお尻の下に座布団を捻じ込む。座布団ごと左右から躰を押して山地透の前に引き摺って移動させる。
 真紅の表情で堪える中西悠里元巡査長の女の部分を其処で広げた。
 ストリップのオープンステージと同様である。特出しとかパチンコ等と呼ばれた時もあった。
 もちろん劇場なので違法となる。だが取り締まりは形だけ数年に一回位行われただけである。
 他の席にも順次移動して見せてゆく。
 稲垣七郎以下三名は態と拍手する。
 ストリップの踊り子嬢は拍手で盛り上がりを喜ぶ。だが中西悠里元巡査長には神経に触るのみである。
 松尾円香が中西悠里元巡査長を高手小手に縛り上げる。
 さらに太腿と脚首を縛り合わせた。そのまま後ろに倒す。
 股を閉じられないように膝に棒を一本あてがう。太腿と脹脛の縛り合わせた部分に通した縄を棒から引っ張る様に縛る。
 中西悠里元巡査長の股間はほぼ六十度に開いたままになった。
 真紀子も松尾円香もツメは長い。東丸秀三郎若頭補佐が代わって中西悠里元巡査長の膣に指を入れる。
 「潮噴いてもらうよ」
 「・・・」
 中西悠里元巡査長は答えようがない。そして逃れられないと既に知っている。
 「ああーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーーー」
 僅か一分足らずで噴水の様に断続的に潮を噴き上げる。
 「あーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーーー」
 東丸秀三郎若頭補佐は入念に搾り出す。
 「はあ。はあ。はあ」
 座敷の畳はびしょ濡れである。
 仲居がウエスを持って来て拭き取る。
 「さあ。水分補給だ」
 東丸秀三郎若頭補佐がジョッキで水を飲ませる。そのあと生ビールも飲ませた。
 真紀子と松尾円香は電マを準備している。
 中西悠里元巡査長は恐々としてそれを見ていた。
 「さあ。今度は逝き顔をサービスして貰うわよ」
 真紀子がしんねりした口調で言い渡す。
 「・・・・」
 逝き顔だけではなく漏らすまで責められるに違いない。これも甘受するしかない。
 真紀子は指先で中西悠里元巡査長のクリを剥き出しにする。
 松尾円香はクリの直ぐ上のドテに電マを充てる。真紀子はクリに軽く当るようにクリの下から電マを充てる。
 中西悠里元巡査長はダブルで来るのは予期していなかった。しかも女の手で確実に泣き処を突いてくる。
 「うおーーーーーーーーーーー。ううーーーーーーーーーーーー。ううおおーーーーーーーーーーーーーーーー」
 中西悠里元巡査長は涙の無い泣きべそ顔。それをさらに眉間の皺をくねらせて呻き声を搾り出し続けた。
 太腿の筋肉は怒張して藻掻く躰全体に力が入る。
 中西悠里元巡査長は崩れる表情にも気丈さが宿っていた。その藻掻く表情がとことん男性をそそらせる。
 「いい表情だなあ。刑事に成らないで最初からAVで良かったんじゃないか」
 東丸秀三郎若頭補佐が中西悠里元巡査長の堪え続ける羞恥心を一言で強力に突き刺す。
 中西悠里元巡査長は何とか金を得なければ成らない。もう屈辱は全部強制的に公開されてしまった。今日が終わったら山地透に会うことはないと言い聞かす。
 襲って来る強制的な官能はその思考も遠退かせる。
 中西悠里元巡査長は絞るような表情を震撼させ悶え藻掻いた。
 真紀子と松尾円香は丁寧に責め続ける。
 「あはああーーーーーーーーーーーーーーん。ああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーーーーー」
 遂に失禁して潮を溢れ出す。
 「あはあ。あっは。あは。あは。あ。はあ。はあ」
 中西悠里元巡査長はAVで散々晒し者に成った。此処ではそれを直に晒されて羞恥の極致である。それもまだまだ中盤前らしい。
 「次は浣腸よ」
 真紀子の言葉に中西悠里元巡査長にまた戦慄が奔る。とうとうそこまで辱められる。映像で既に見られていても堪らなく辛い。
 目の前に居る段下が総ての元凶だと思う。確かにSNSの報復書き込みは防げなかった。
 だが警察を懲戒免職もその後の事も段下がメインで画策したのだ。
 中西悠里元巡査長に冤罪を作った反省はない。あくまで段下が悪いと思っている。一生涯恨みの対象である。
 そして今此処に居る山地透は冤罪と成った。それもあくまで痴漢の同類と決めてしまっている。
 真紀子が書類を留める黒いクリップで中西悠里元巡査長の両方の乳房に乳首を包む様に鋏む。
 「ううーー」
 中西悠里元巡査長は痛みに顰める顔をさらに歪めた。
 松尾円香はイチジク浣腸を持ち出す。畳に着いたお尻のぎりぎりに覗くアナルに差し込む。
 「こっちの方が崩れないで出るのよ」
 松尾円香が意地悪く囁く。
 さらに二本目を注入する。そしてアナル栓を差し込む。
 そこへ女将が器に入れた蚯蚓を運んで来る。小さなクスコが添えてある。
 「養殖の蚯蚓で御座います」
 養殖したものだから汚くないと言う口上である。
 松尾円香がブルーシートを畳に敷く。その端を少しだけ中西悠里元巡査長のお尻の下に差し込む。
 真紀子がアナル栓を抜いて後ろに退避する。
 ぶおーーーーーーーん。
 一気に二十センチ位の便と茶色い液体が流れ出る。
 「くせーーーーーーーーーー」
 段下警視正が態と叫ぶ。
 換気扇が回る。
 中西悠里元巡査長は目の置き場が無く天井を見たままである。消えてしまいたい恥ずかしさの極致に堪え続けた。
 仲居が二人マスクを掛けて便をブルーシートに包むように片付ける。
 松尾円香がガーゼでお尻を拭く。
 「今度は尿道責めよ。特製の尿道クスコで開いて蚯蚓の尿道イレポンよ」
 真紀子の言葉に中西悠里元巡査長は驚愕する。
 「いやあーーーーーーーーーーーーーーーー。そんなのだめですーーーーーーーーーーーーーー」
 中西悠里元巡査長は追い詰められて怯え叫ぶ。
 「そう。じゃあ。お○○こに蛇入れようか」
 松尾円香はさらりと言う。
 「だめーーーーーーーーーーー。だめーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーーーーーー。だめーーーーーーーーーーーー」
 中西悠里元巡査長は猛然と叫びまくる。
 「私がやって見せようか」
 「・・・・・」
 松尾円香の言葉に中西悠里元巡査長は目が点に成る。視線は松尾円香に向けて固まってしまう。
 松尾円香はスカートを捲り上げショーツを脱ぐ。
 その間に東丸秀三郎若頭補佐が蛇を掴み取る。既に水の無い水槽に入れて蛇は用意されていた。
 松尾円香は自らの膣にクスコを挿入する。螺子を回して広げた。
 東丸秀三郎若頭補佐は蛇を松尾円香に渡す。
 松尾円香はそれを素手で受け取る。自ら膣に挿入したクスコに入れてしまう。
 「ああーーーーーーーーーーーーーーーー」
 中西悠里元巡査長はそれを見て悲鳴を上げる。
 そして堪えられず歯をガチガチ鳴らす。
 松尾円香はあっさり蛇を水槽に戻す。
 「さあ。蚯蚓を受け入れましょうね」
 真紀子が近付いて小さなクスコを手にする。
 「いやあーーーーーーーー」
 中西悠里元巡査長は泣きそうな表情で悲鳴を上げる。
 真紀子は指先で中西悠里元巡査長の女の部分のびらびらを広げた。小さなクスコを尿道の小さな亀裂に刺す。
 「ああーーーーーーーーーーーーー。いいたいいーーーーーーーーーー」
 泣き悲鳴になる。
 段下警視正がピンセットで蚯蚓を掴む。
 「いやああーーーーーーーーーーーーーーー。やめてーーーーーーーーーーーー」
 段下警視正は中西悠里元巡査長の悲鳴を愉しみ焦らす。蚯蚓を小さなクスコを指で掴んで徐々に垂らすように入れる。
 「ああーーーーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーーーーー」
 中西悠里元巡査長はサイレンの如く狂った悲鳴を上げ続ける。
 口から泡を噴き目は天井を見上げていた。
 やがて蚯蚓を押し出すように尿道から小水が溢れ出す。
 「ああーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーーーー」
 サイレンのような悲鳴は収まらない。
 段下警視正はにんまり悦びの表情を浮かべてピンセットで抓んだ蚯蚓を抜き取る。そのまま器に戻した。
 山地透も興奮した表情でその部分を見ている。
 「ああ。はあ。はあ。はあ。はあ」
 中西悠里元巡査長は躰を震えさせながら荒い息遣いを続けた。
 目からは大粒の涙が浮かぶ。
 山地透はそれも満足そうに覗き込む。
 「まだこれだけじゃないのよ」
 そう言って真紀子は中西悠里元巡査長の尿道のクスコを抜き取り膣に本来のクスコを横向きに入れる。
 「ああーーーーーーーーーーーーーー」
 中西悠里元巡査長はただ恐怖に震え続ける。
 「安心して蛇じゃないから」
 真紀子はそう言いながらアナルにもクスコを挿入する。
 松尾円香は別の水槽からカメレオンを取り出す。
 「見て。あんな可愛いのよ。大丈夫でしょう」
 「ああーーーーーーーーーーーー。いやあーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 また中西悠里元巡査長の悲鳴はサイレンに成り掛ける。
 「いい。お○○こと直腸が密着する所があるでしょう。両方から蜜を塗ってカメレオンの舌で両方から舐めてもらいましょう」
 「えーーーーーーーーーーーーーー。いやあーーーーーーーーーーーーーーーーーー。だめですーーーーーーーーーーーーーーー」
 中西悠里元巡査長は破裂したように叫ぶ。
 看護師が入って来て精神安定剤を注射する。
 真紀子が筆で膣の下の壁に蜜を塗る。さらに松尾円香が直腸の上の壁にも塗る。
 「ああ、ああーーーーーーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーーーーーー。いやああーーーーーーーーーーーーーーーー」
 中西悠里元巡査長は完全に泣きべそ状態である。
 真紀子が中西悠里元巡査長の頭の後ろに移動した。東丸秀三郎若頭補佐がカメレオンを持って真紀子の座っていた位置に来る。
 松尾円香は既にカメレオンを手にしていた。
 二人でカメレオンを嗾け松尾円香のカメレオンが膣に東丸秀三郎若頭補佐のカメレオンがアナルに舌を入れる。
 「ああーーーーーーーーーーーーーーーーー。やめてーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。いやあーーーーーーーーーーーーーーー」
 一気に中西悠里元巡査長の悲鳴は強烈なサイレンとなる。確り縛ってあるにも関わらず中西悠里元巡査長の躰は大きく暴れくねり震撼する。
 「いやあーーーーーーーーーーーーー。いやあーーーーーーーーーーーー。やめてーーーーーーーーーーーーー。たすけてーーーーーーーーーー」
 カメレオンの舌が膣の下の壁とアナルの膣に隣接した壁を舐めている。カメレオンの舌が膣とアナルの中を舐め掻き回す。
 中西悠里元巡査長は生きた心地ではない。顔は汗を噴き涙は溢れている。
 段下警視正は立って上からその顔を見下ろす。
 やがてカメレオンの舌の動きは止まり膣から引っ込める。
 そこで二人はカメレオンを水槽に戻した。
 「あはあ。あは。あは。はあ。はあ。はあ」
 中西悠里元巡査長は涙をぽろぽろ溢しながら荒い息遣いである。
 ここで暫し休憩が入れられた。
 中西悠里元巡査長の乳首に付けたクリップを取るのに効果を考えて二時間が欲しいからである。
 中西悠里元巡査長を全裸で股を広げたまま放置する。生ビールや刺身が配膳され暫く酒盛りと成った。
 「真紀子さん。中西あとどの位残っているの」
 段下警視正の質問である。
 「稲垣さん」
 真紀子は稲垣七郎に聞く。
 「あと一本究極の撮影で終わりだ」
 「こればっさり」
 段下警視正は満足げに胸の辺りを平手で示して確認する。
 「そうだよ」
 稲垣七郎は僅かに笑っている。
 中西悠里元巡査長は縛られたままである。戒めが無くても殆ど躰が動かない位ダメージを受けていた。
 躰は鉛のように重い。
 余りにも恐ろしい玩具にされた。ここまでの仕打ちは到底想定に無かった。躰中から不快感が去らない。
 乳房に付けられたクリップはずっと痛みを奏でている。早く取りたい。
 良く気が狂わなかったと思う。
 総て段下とあの弁護士が悪いと思う。
 何としても報復したい。
 段下と弁護士を社会的に葬る方法はある。だがそれを達成する前に出水巡査部長のように抹殺される。
 何か闘えば自分の居場所は無くなる。この街から追い出されたら何処にも行く所はない。海外に逃れても所得がない。
 此処で金を手にして安泰を得るには総てを呑むしかない。
 それでも段下だけは許せない。今はできなくてもいつかは報復したい。
 そう思う意外に今はどうすることもできない。
 「さあ。最期のお愉しみシーンよ」
 真紀子はそう宣告して松尾円香と二人で中西悠里元巡査長の戒めを全部取る。
 「さあ。その乳首のクリップを自分で外しましょう」
 中西悠里元巡査長はこれでようやく終わりと思った。軽い感覚で右の乳首のクリップを指で広げる。
 「ああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。ぐわああーーーーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 一挙に強烈な痛みが襲う。中西悠里元巡査長は乳首を押えて畳みに転げる。
 仰向けに転がり脚を力の限りばたつかせ暴れる。
 「ああーーーーーーーーーーーーーーーーーー。あわああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。ぐうわああーーーーーーーーーーー」
 壮絶に暴れまくった。
 洗濯バサミ二時間でも相当に痛い。それが書類を挟んで止める黒いクリップである。
 「ああーーーーーー。ああ。ああ。ああ」
 中西悠里元巡査長は畳みの上を這いずり回る。
 「もう片方残っているぞ」
 段下警視正の意地悪極まりない一言である。
 「ああ」
 中西悠里元巡査長の手はぶるぶる震える。畳に付いた手を突っ張り痛みに悶えた。その震える手でクリップを一思いに掴んで投げ捨てた。
 「ぐうおおーーーーーーーーーーーーーーーーーー。ぐおーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。ぐうおおーーーーーーーーーーーーーー」
 中西悠里元巡査長は両方の乳首を押えて畳を転げ回る。
 引き攣った表情で堪えられない痛みに暴れまくった。
 「おい。揉まないといつまでも痛いぞ。揉めば激痛だが」
 段下警視正は小気味良く哂って愉しんでいる。
 「ううーーー」
 中西悠里元巡査長は恨みの篭もった眼つきで段下警視正、山地透、真紀子、松尾円香を順に見回した。
 稲垣七郎が立って中西悠里元巡査長の躰を押える。腹に軽く乗り両方の乳房をマッサージし始めた。
 「ぐうわあーーーーーーーーーーーーーーーーーー。ぐうわあーーーーーーーーーーーーーーーー。ぐわあーーーーーーーーーーーー」
 中西悠里元巡査長の腹から搾り出す悲鳴はなかなか止まらない。
 「山地さん。これで今後は総て終わったことにして頂けますね。賠償も報復もこれで終わりです」
 稲垣七郎のマッサージの続く中で真紀子が山地透に確認する。
 「結構です」
 山地透はきっぱり答えた。
 「このあとAV嬢に堕ちた彼女が生きて行くに必要な報酬は受けます。韓国のように一回受け取ったあと何度も揺すり集りはありませんね」
 真紀子は日韓問題を皮肉った念を押す。
 「ありません。保木間さんのお計らいでR国に赴任してこの街の経理に就きます。高収入になりました。彼女にはもう会うこともありません」
 はっきりした回答である。
 山地透の不可逆的終了宣告でその日はお開きに成った。
 宇佐美が迎えに来て中西悠里元巡査長は稲垣七郎と二人で部屋まで車椅子で運ばれた。
 中西悠里元巡査長は玄関から中に入るとそのまま倒れこみ動けない。
 躰中に不快感が充満していた。浴室に行き湯を出してシャワーを浴び湯に浸かりたい。だがそれ以上躰は動かなかった。
 そのまま意識が遠のき恐ろしい夢から覚める。かなり長い時間が経過していた。躰中を蛇が這っている。悲鳴を上げて目を覚ました。
 お座敷から車椅子で送られ玄関に倒れた事を思い出す。
 だがそれでも立てなかった。また意識を失う。
 さらに怖い夢で目を覚ました。
 段下に哂われながら松尾円香に日本刀で乳首を斬られる。
 病院で縫われ無残な乳房に成っていた。葛和医師は斬り方が悪かったと言う。整形はされたが著しく形が悪い。
 契約書は偽造で作り直されていた。追加の賠償は無く契約金額通り一億で済まされた。
 夢と直ぐに判ったが嫌な気分は去らない。
 契約書の控えを見る。
 これがあれば大丈夫と自分に言い聞かせる。
 中西悠里元巡査長はようやく風呂に湯を張りシャワーを使う。
 このまま乳首を犠牲にして恨みを呑んでこの街で静かに暮らすか。昨夜の事を明るみにすれば段下を潰せるのではないか。
 中西悠里元巡査長の頭の中に怒りから来る報復の構想が巡る。
 暴露して逃げ道はあるか。出水麻里巡査部長が処刑された恐ろしい動画が蘇る。あのように成らないで逃れる方法はないか。
 この街を逃げて海外に行っても立ち行ける方法は見当たらない。この街を出て日本国内ではどうにもできない。
 自分の仕業と判らない報復はできないのか。中西悠里元巡査長にはそう考えても良い案は浮かばない。
 最期のお金を受け取って山奥の集落にでも逃げてしまえば。それでは条件に含まれた此処の物権を放棄することになる。
 逃げても捕まるのではないか。宇佐美の言う別の組織と警察の両方に追われるかもしれない。
 中西悠里元巡査長はここまでの仕打ちに堪えてきてもう金は諦められない。
 それでも段下だけは許せない。
 悶々と考えが巡るが解決はない。気分転換にネットスーパーに酒と肉を注文する。
 三十分位でコンテナレーンを通って宅配ボックスに着く。
 便利な街である。
 
 アルコール漬けの数日が過ぎた。
 宇佐美から太っては仕事にならないと呑み過ぎに注意が入る。そして撮影日が早まった。
 完全に監視されていると理解するしかない。
 それは警察の張り込みより精度の高いものかもしれないと恐れる。
 そして恐怖の撮影日が来た。
 最初は空港に向かい飛行機でR国に向かう。海外撮影と言う名目である。
 実際は後の処置ができないので中西悠里元巡査長が蛇で脅されたスタジオで行う。病院設備も併設されていた。
 中西悠里元巡査長はやくざの姉さん役である。若い堅気の男と海外で間男してばれてしまう。その濃厚な閨房シーンから始まる。
 中西悠里元巡査長が若い男優に何通りも性儀をリードする台本である。中西悠里元巡査長は台本通りやって行く。
 やりながら若い男優がそれ以上に性儀を発揮する。中西悠里元巡査長が何度も逝き顔を晒した。
 海外まで追いかけて来たやくざの亭主に見つかる。引き連れてきた組員らの前で磔にされた。
 肌襦袢を脱がされ腰巻一枚の姿もなかなか良い。
 「けじめをつけてもらうぞ。男なら断指だがお前は乳首斬だ」
 組長役の台詞である。
 中西悠里元巡査長の表情が無言で凍り付くシーンに芝居は要らない。現実に斬られるので迫力は充分である。
 ボディガードが日本刀を構える。
 中西悠里元巡査長の顔が引き攣る表情は絶妙の迫力であった。
 「医者も待機しているからな」
 また組長役の台詞である。
 ボディガード役が大きく振り被って刀の先が弧を描く。
 血飛沫が飛び散る。
 ボディガード役は後先を考慮して乳輪だけを斬り落としていた。
 直ぐに医療チームが止血に掛かる。それもシーンとして撮影する。医療チームの顔にはモザイクが掛かる。
 縫われて包帯を取り抜糸する場面も撮影された。
 乳輪が無くなって縫い合わされた乳房が鮮明に度アップになる。
 中西悠里元巡査長の衝撃の表情はサディストの加虐心をとことん満足させるシーンと成った。
 そのあと医者役の外国人男優が整形の説明をする。実際は顔にモザイクを掛けた葛和医師が行う。
 整形が終わって何も知らない者にはまったく自然な胸に見える。僅かに左右の段差がよく見て判る程度である。
 複雑な心境のまま中西悠里元巡査長は資産を得た。
 店舗を買うのは止めてマンションの部屋を六つ買う。賃貸収入が五部屋分毎月入って来る。かなりの収入である。二千万くらいの現金がまだ手元に残った。
 それでも段下警視正への恨みは消えない。
 
 
 痴漢冤罪者をSNSに指名手配した女刑事が堕とされる 完



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