鬼三のSM小説
女衒の國 その十七


拷問と経済侵略

この物語はフィクションであり、実在の人物、機関とは何ら関わりがありません。

 二〇二十二年大寒上元
 (この小説は2021年2月現在未来形です。またこの二十四節気は平気法によるものです)
 R国D市。日本式温泉ホテル最上階VIPルームである。
 女は鴨居から逆さに吊るされている。SMを考慮して造られたホテル。この国では標準機能である。此処にファミリーが来ることはまずない。
 日本企業の慰安、接待、そして買春。中でもSM嬢の買春が著しく多い。高額なのは日本からの出稼ぎ女性らである。
 女は右脚を脚首と膝でぴったり縛り合わされている。
 左脚は脚首の縄で鴨居の端のフックに引っ掛けて引っ張られて空中にへの字を描いている。
 左右の太腿の付け根をそれぞれ強く縛っている。吊るしているのはその二本の縄に通した天井の滑車から下がった縄である。
 股間は大きく開いて恥ずかしさを強く引き出した逆さ吊るしと言える。そして苦しい吊るしでもある。
 女を責めているのは元日本の総理で引退してこの国に暮らしている葛城義和。女は風俗嬢ではない。元千葉県警巡査部長出水茉里である。
 娼国に自らの無謀な判断で捜査に入って捕まった。暫く南の島に幽閉されていたが副主席北嶋真紀子の勧めで葛城義和の愛人になった。
 出水茉里元巡査部長はハードなSMプレイを承諾している。
 今はこのホテルの女将である。葛城義和が投資したものだが現在は出水茉里元巡査部長の名義と成っている。
 葛城義和は出水元巡査部長の女の部分を弄っていたが鞭を手にする。
 逆さ吊るしに上を向いた女の部分を叩く。
 「う、ううーーーーーーーーーーーーーー。ぐうーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 強烈かつ繊細な痛みが出水茉里元巡査部長の躰を震撼させる。
 葛城義和は腰を下げて乳房を薙ぐ様に叩く。
 「うおーーーーーーーーーーーーー」
 出水茉里元巡査部長から大口を縦に割って眉間に皺を強く刻んだ悲鳴が響く。
 今度は内腿を叩く。
 「う、ううーーーーーーーーーーー」
 出水茉里元巡査部長は苦しい姿勢で痛みに藻掻きながら堪える。
 一本鞭である。先端は細く固めのゴムと革の混じった作りで強烈に痛い。
 乳房を叩いた痕は蚯蚓腫れが赤く滲んでいる。
 更に無防備に上を向けられた女の部分を叩く。
 「ぐうーーーーーーーーーーー。ぐうううーーーーーーーー。ううおおーーーーーーーーーーーーー」
 出水茉里元巡査部長は強烈な痛みに逆さ吊るしの躰をぶるぶる震えさせる。
 葛城義和は虐めたい気分が滾ると出水茉里元巡査部長の元に来る。娼国にもS市にもT市にもSMのハードコンパニオンは沢山居る。
 だが葛城義和は出水茉里元巡査部長を虐めたいらしい。
 出水茉里元巡査部長は今では従順に葛城義和に従っている。
 もう一度女の部分を叩く。鞭の細い先端は出水茉里元巡査部長の閉じ合わせた粘膜の合わせ目を叩いている。
 「う、うう、お、おお、おーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 出水茉里元巡査部長は庇う事のできない痛みに躰を強く震撼させ藻掻き苦しむ。口からは唾液を飛ばしている。
 葛城義和は叩いた出水茉里元巡査部長の女の部分に指を突っ込む。
 充分な濡れを確認してローターを突っ込む。
 葛城義和はピンチ(洗濯ばさみ)を五センチ置きに糸で繋いだアイテムを取り出す。
 それを女の部分のビラビラの片側から鋏んで付けてゆく。
 内腿の柔らかい肌に並べて付ける。出水茉里元巡査部長の太腿にぶよぶよ感は無い。肉は締まっている。それをきっちり鋏んでいる。
 「いくよ」
 葛城義和はその糸を一気引っ張る。
 「うう。おおーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー、ぐうおおーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 出水茉里元巡査部長は強烈な悲鳴を上げて暴れる。尋常な痛みではない。
 女の部分のビラビラからは僅かに血が滲んでいる。
 太腿にはピンチに鋏まれた部分を強く引っ張られて皮膚が剥けた痕が無数に付いている。
 それでも葛城義和は次のピンチに掛かる。
 今度は反対側のビラビラから約五センチ置きに腹の横を通って右の乳房、乳首、乳房の裾野から谷間に付けて左の乳房、左の乳首まで付ける。
 出水茉里元巡査部長は強烈な痛みに身構えている。
 一回目の痛みはまだ治まってない。膣に入り込んでいるローターが僅かに出水茉里元巡査部長を慰めている。
 「いくよ」
 「ああ。はい」
 辛そうな返事である。
 鋏まれているだけでも躰中から痛みが沁みてくる。
 葛城義和はピンチを繋いだ糸の先端を柱に縛って張る。そのまま出水茉里元巡査部長の後ろに回る。
 片手で髪の毛を掴んでもう片手は腰も持って後ろに引っ張る。
 ピンチは一気に飛び散る。
 「う、う、おおーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。うおおーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 出水茉里元巡査部長は躰を振って強烈に悲鳴を上げる。
 「うおーーーーーーーーーー。うおーーーーーーー。ぐうおおーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 堪らない痛みに躰を強く固く振って何処までも藻掻き悲鳴を上げ続ける。
 葛城義和はさらに二系統を取り出す。
 今度は膝から股間に向かって内腿の柔らかい部分を鋏んで付けて行く。股間のところで角度を変える。
 女の部分のビラビラを片側だけ鋏んでそこから腹の横を鋏んで行く。乳房の裾野から乳首まで鋏んで付ける。
 左右二系統対照的に付けた。女の部分は両側からビラビラを鋏まれてピンクの部分が露出している。
 出水茉里元巡査部長は恐怖の表情を引き攣らせて待っている。
 「もう一回だけだ。あの悲鳴を聞かせてくれ」
 葛城義和は膝を突いて糸を下に軽く引く。
 「うん」
 強烈な痛みが躰を襲っている。出水茉里元巡査部長はそれでも応じる。
 今度は糸の先端を床のフックに縛り付ける。
 葛城義和は出水茉里元巡査部長の肩を両手で掴む。蒼白な表情を愉しみながら後ろに下がる様に一気に引いて立ち上がる。
 出水茉里元巡査部長の躰は後ろに持ち上げられ洗濯ばさみは股間まで一気に飛ぶ。
 「ぐうう。うう。うーーーーーーーー。おおーーーーーーーーーーーーーーーーーー。ぐうおおーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 目論見通りに行かず内腿の数本が左右の膝に残ってしまった。
 「ぐうわああーーーーーーーーーー。うわああーーーーーーー。ぐうわわあーーーーーーーーーーーーー」
 出水茉里元巡査部長は狂った様に躰を強く暴れさせる。
 葛城義和は残ったピンチを引っ張り取る。
 「うおーーーーーーーーーーー。ぐうおーーーーーーーーーーーー。う、うう、おーーーーーーーーーー」
 出水茉里元巡査部長は遂に失禁してしまった。
 逆さ吊るしの躰に股間からフロント面を伝って首から顔と髪の毛に流れる。
 荒い息遣いで躰は震え続ける。
 葛城義和は出水茉里元巡査部長の震えがある程度治まるのを待って躰を吊るしから下ろす。VIPルームの備え付け露天風呂に運ぶ。
 湯に浸けたまま一度頭からシャワーを掛けて髪を洗う。
 傷口と蚯蚓腫れを撫でる様に湯で洗ってやる。
 葛城義和はそのまま出水茉里元巡査部長のお尻を自分の腰に乗せる。バックで挿入する。
 乳房に腕を回して挿入したまま動かさない。
 「木邑良乃の一派はまだ動かないのね」
 出水茉里元巡査部長の躰は湯に浸かって痛みは概ね治まっている。
 「そうだがこっちの捜査も進んでない。対象者が多過ぎる。その動きが掴めない」
 「木邑良乃は四年前に落選した元国民党議員でしょう」
 「そうだが」
 「主力系列は徳永議員よ。主力がそっちには付かないよ」
 「日本の警察も協力して日本を出国する者を見張っている。まったく動きは見えない」
 「航空自衛隊の主力も大高の関連も細野英二二等海将の協力者関連ももう動かないと思う。上野大尉のリストはその周辺よ」
 「新田原基地の近くで行ったから航空自衛隊という線は薄いと指宿さんも柿崎さんも見ている」
 「そうよ」
 「新しい敵と見なければいけないな」
 「木邑良乃。政界での進出意欲は強かったけど。党の主流からは外れていたよ。もっと別のグループだと思う」
 「新田原基地の近くで会合開いたのは上野大尉の周辺に焦点を向けようとしたのだな」
 二人は湯から出て出水茉里元巡査部長がバスタオルで自分の躰を軽く拭く。それを自分の躰に巻いて新しいタオルを取って葛城義和の体を拭く。
 「そうよ。私の昔の知り合いでこの二人を調査してみて」
 出水茉里元巡査部長は用意してあったメモを差し出す。
 「ありがとう」
 「私を虐めて今日は満足できた」
 「うん」
 「また来てね。虐めていいから」
 「ありがとう。何故か君を叩くと熱くなる」
 「いいよ」
 出水茉里元巡査部長は躰を強く押し付ける。
 
 其処は神奈川県の奥地。
 個人の所有する山。アスレチックに見せかけた兵士の訓練場である。
 訓練を見守るのは陸上自衛隊元陸士長斑目沙弓。
 此処ではアメリカの特殊部隊的な訓練から戦国時代のくノ一の様な訓練まで行われている。
 
 神奈川県厚木市。郊外型マンション。元国民党衆議院議員木邑良乃の部屋ではインターネット会議が繋がっていた。
 この回線は別の部屋からOFFラインで繋がっている。木邑良乃の部屋の光回線ではない。
 会議の向こう側は木邑良乃の支援者である。こっちを支援する財界人も居る。
 木邑良乃は訓練の状況を説明する。
 「ヘリの訓練はハワイで行っています。最終的にはインドに移す予定です」
 「本庄さん他徳永議員の人脈に情報収集を断られたと聞きますが情報収集はどうされますか」
 「現地潜入要員も訓練しています」
 木邑良乃はきっばりと答える。
 「大高氏と同じやり方に成りますか」
 「已むを得ません。ですが情報収集も平佐和、葛城、北嶋、湯野中の動きだけです」
 「コンパニオンで入る人はコンパニオンだけで帰って来るのですね」
 「そうです。通信は小さな企業を送り込みます」
 「偽装ではばれていますよ」
 「偽装では有りません。S市に実際に成業しているベンチャー企業に協力を依頼しています」
 「S市では情報をどう渡しますか」
 「送り込むと申しますのは娼国に一坪本社を置いてもらいます」
 「あの間を高速フェリーで往復させますか」
 「いいえ。私共の仲間を一人サーバー室に常駐させてもらいます」
 「危険はなさそうですね」
 「日本から動く議員、官僚の情報収集に出なければ危険はありません。また女性警察官などでは有りません。疑われる可能性は低いです」
 「その四人を抹消すれば日本は健全化に向かうでしょう」
 協力者は葛城義和らの抹殺に深く納得する。
 「そうです。この四人がアジアの癌です」
 他の協力者も同調する。
 
 葛城義和は娼国に向かった。
 迎えのヘリで一度南側の空軍基地に降りる。日本から戻っていた柿崎一行を拾う。
 娼国CIC本部の有る建物の屋上に着く。CIC長官津島公明を交えて会議を行う。
 出水茉里元巡査部長の提示した二人の人物に関する打ち合わせである。
 吉祢恭子千葉県警警部補、南沙羅の二名。吉祢恭子千葉県警警部補は出水茉里元巡査部長の以前の上司であった。
 「この二人を調査して頂けないでしょうか」
 葛城義和は二人にメモを差し出す。
 「この情報の出所は」
 津島は相変わらず横柄な口調である。仁川のボディガード時代から変わらない。信頼が高いので誰も文句は言わない。
 「出水です」
 「判った。至急対応させる」
 津島はそのまま席を立つ。
 「出水さんはとうとう身近な人まで提出したのですか」
 柿崎一行は内容に驚いている。
 以前に自分らが調査した中にこの二人は居た。出水茉里元巡査部長関連での調査であった。
 「いまの自分に何らかのマイナスも考慮したのではないか」
 葛城義和は出水茉里元巡査部長の心境の変化を充分理解している。嘗ての親友は既に友人ではない。住む世界が変わったのである。
 柿崎一行も直ぐに日本にいる部下に手配した。
 
 神奈川県の奥地。個人の所有する山の中に建つ山荘である。
 一人の女性が常道を逸した訓練を受けていた。
 女性に課せられた訓練は自分が男を迎えて逝かない事である。男の精子だけを抜き取る。
 何人もそれを繰り返さなければならない。
 逝き顔を晒してしまうとお仕置きとなる。このお仕置きもSMに堪える訓練にもなっている。
 女は出水茉里元巡査部長の嘗ての親友南沙羅である。
 南沙羅は踏ん張るが男らの責めに堪えられない。
 「あ、あ、ああ・・・・・・・・・・あはん。ああーーーーーーー」
 堪えられず声を上げてしまう。
 既に太腿や乳房に叩かれた鞭の筋が真っ赤に奔っている。
 なかなか一人の男が終わらない。
 南沙羅はスタイル良く顔も美形である。男が早く果ててしまいそうだが調節のできる男ばかりである。
 男が果てて南沙羅は磔柱に固定された。
 乳房を一本鞭の先端で叩かれる。
 「ううーーーーーーーーーー。うーーーーーーーーーー」
 南沙羅は涙を滲ませている。
 既に責められて女の部分はぐちゃぐちゃである。
 次の男が交代する前にバスタブに入って躰を洗う。
 訓練には相当期間が必要な様子である。
 
 吉祢恭子千葉県警警部補はハワイに滞在していてヘリの操縦訓練を受けていた。二人とも元国民党衆議院議員木邑良乃の要請でいまの訓練を行っている。
 
 柿崎一行は新日本空輸機でR国国際空港に日本から帰り着いた。
 この空港はS市とTS市の境目に在る。滑走路がその境界線になる。S市は南側娼国の勢力範囲。TS市は北側湯野中の勢力範囲である。
 殆どの利用者はそんな事は知らない。
 此処から娼国へは高速船に乗れば三十分で着く。港は空港に隣接している。
 またR国中央駅も空港に隣接している。その駅を挟んで二つの高層ホテルが建っている。
 一つはセントラルホテル。こっちは築五十年を超える。もう一つは新日本空輸ホテルである。
 柿崎一行は新日本空輸ホテルのロビーに向かう。
 葛城義和は滝澤沙緒里とスイートルームに滞在していた。柿崎一行から連絡を受けて会議室を予約する。
 「南沙羅は姿を消しました。まったく自宅に戻ってないようです」
 「吉祢恭子は」
 「千葉県警を退職してハワイに行っていました。何をしているのかは一応調査に部下を向かわせました」
 「うん」
 葛城義和も納得する。ハワイに居るからと言って対象外とは言えない。
 「吉祢恭子千葉県警警部補と南沙羅は元国民党衆議院議員木邑良乃と関係が近いことも調査で判りました」
 「やはり。そうなると南沙羅の行方が問題だな」
 「日本国内に居ると言う前提で日本の警察に御願いして捜査をしています」
 「そうですね。それしかないですね。行方が判らない以上何か行動を起こしている可能性が高いです」
 
 娼国。昭和中期の高層ホテル。四十五階の宴会場である。
 松井玲那元巡査部長を精神異常に追い込む拷問は失敗であった。松井玲那元巡査部長は再び拷問に駆り出された。
 将校らは訓練の合間に行うSM宴会に期待を高め遂にそれは常習化してしまった。
 コンパニオンは居ない。軍の経費ではいつまでも常習化しては払えない。宴会場のみ借りて将校らが設営を行う。
 訓練された警察官であった松井玲那元巡査部長である。それでも尋常でない拷問内容であった。さすがに恐怖に怯え続けていた。
 鉄格子から出されるとき躰はぶるぶる震えた。
 本日も途轍もない拷問が待っているに違いない。歩いても脚は震えている。
 三百人弱の将校が座敷の真ん中に広く空いた部分を囲んでいて宴会場はぎっしり埋まっていた。
 松井玲那元巡査部長は其処に立たされている。中から天葛少将と生方少将を見つけてそっちを睨み見る。
 怒りがこみ上げてくる。だがそれ以上に恐怖が全身を包み込んでいる。
 人が二人分入るような棺桶が運び込まれる。
 続いて蛇が大量に入った水槽が運び込まれる。
 「あはーー。あーーー。ああーーーーーーーーー」
 松井玲那元巡査部長はうしろによろめき床にお尻を着いてしまう。
 そして恐怖に畳を掴む様に手で畳を後ろに下がる。
 元女性警察官でも蛇には免疫がないらしい。
 松井玲那元巡査部長は一回蛇で拷問を受けている。その恐怖がさらに怖がらせる。
 生方少将の部下が二人両側から肩を掴んで立たせる。
 「やめて。・・・いやあ。・・・いや」
 松井玲那元巡査部長は躰をくねらせて藻掻く。
 将校二人は藻掻く松井玲那元巡査部長を大きな棺桶の中に引っ張り込む。もう二人将校が手伝って棺桶の中に寝かせる。
 「いやあーーーーーーーーー。あーーーーーーーーー。ああーーーーーー」
 松井玲那元巡査部長は恐怖に震えて泣き叫ぶ。
 棺桶の中には杭とベルトが設置されている。
 腹をベルトで止める。手首を棺桶の側面真ん中辺りの杭に縛り付ける。
 さらに脚首を棺桶の下部の角に埋め込まれた杭に止める。股間は三十度以上開いている。
 「ちくしょうーーーーーーーーーー。このにんぴにんどもーーーーーー」
 松井玲那元巡査部長にもこの中に蛇が投げ込まれることは充分に分る。
 「小倉紘子元北海道警警部はこの中に蛇を投げ込まれて蓋をされた。それでも数時間堪えたぞ」
 生方少将は話しに聞いていた北海道警での小倉紘子元警部と故笛木祐子元巡査部長の拷問を思い出して真似たのである。。
 「ああーー。ああーーーーーー」
 松井玲那元巡査部長は恐怖に震え喚き続ける。
 将校二人が蛇の水槽を持ち上げる。
 「ああーーーーーーーーーーーーーーーー。いやあーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 断末魔の悲鳴である。
 広げて棺桶の角に脚首を固定され開いた両脚と股間の間に蛇を流し込む。五十匹近い数である。
 「うおーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。う、お、おーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 狂った様に顔を振って泣き叫ぶ。
 将校らが棺桶の蓋を持ち上げる。
 「あ、あーーーーーーーーーーーーー。やめてーーーーーーーーー」
 松井玲那元巡査部長の涙声を押える様に棺桶の蓋が掛けられる。
 「ああーーーーーーーーーーーーーーー。たすけてーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーーー」
 松井玲那元巡査部長は真っ暗な棺桶の中でさらに強烈に泣き叫ぶ。
 将校らは嬉々として棺桶に釘で蓋をする。
 「ああーーーーーーーーーー。だめーーーーーーーーーー。いやーーーーーーーーーーーーー。あーーあーーーーーーーーーーーーーー」
 松井玲那元巡査部長は棺桶の中から喚き続ける。
 将校らは松井玲那元巡査部長の棺桶の中の声を愉しみながら自分等で購入したビールで乾杯する。
 続いてあと一人女が牽かれて来る。木崎綾乃である。
 木崎綾乃はまだ潜水艦内での拷問以外受けていない。
 これからが本格的拷問となる。
 病院送りにすることが目的である。それで病院から多少の支援金が貰える。
 宴会場は軍の予算でも払える。高いのは花代。無料で愉しめるのは松井玲那元巡査部長ら加重死刑囚だけである。
 花代まで行かずとも料理は欲しい。それには病院に松井玲那元巡査部長を送り込むしかない。
 娼国の病院は充分に儲かっている。学用患者はなんとしても必要である。
 娼国の医療水準は極めて高い。諸外国からもVIP患者が多く訪れる。
 宴会場では二人を閉じ込めた棺桶に何人かの将校が重石の様に座ってビールを飲んでいた。
 木崎綾乃は松井玲那元巡査部長以上に泣き喚き騒いだ。蓋が無理やり閉まってもしばらく泣き叫び続けた。
 待つ間スクリーンには上野愛菜海軍大尉ら日本から来た元女性自衛隊員の空母への着艦訓練が放映されていた。
 上野愛菜海軍大尉は柔らかい表情の美人顔である。将校らには絶賛の人気を得ている。
 元国民党衆議院議員木邑良乃らの抹殺目標にはこの上野愛菜海軍大尉も含まれている。
 将校らの怒りは待ったく別のグループであるのに木崎綾乃らに向けられた。
 二時間が経過していた。
 「そろそろ良いかな」
 生方少将が天葛少将に相談する。
 「うん」
 天葛少将も期待を込めた表情で頷く。
 「どっちから開けますか」
 「元刑事でない方からだ」
 「そうだな」
 木崎綾乃の棺桶から開けることに決まった。
 将校ら四人が静かに棺桶の蓋を外す。
 木崎綾乃は中でじっと固まっていた。小水も大便も垂れ流しである。将校らは戒めを外して引っ張り出す。
 「うおおーーーーーーーーーーーーーーーー。うう、おーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 木崎綾乃は行き成り暴れだす。
 「ううおおーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。おおーーーーーーーーーーーーー。おおーーーーーーーーーー」
 脚を蹴り宴会場の畳の上を暴れ回る。
 「やめろーーーーーーーーーーーーーー。やめろーーーーーーーーーーーーー。うおーーーーーーーーーーーーーー」
 将校ら八人が押えに掛かる。
 「うおおーーーーーーーーーー」
 床に捻じ伏せる。
 「やめろーーーーーーーーーー。はなせーーーーーーーーーー」
 クロロフォルムを充てる。
 「うう」
 ようやく静かになった。
 手と脚を縛って放置する。
 「成功か」
 生方少将は成功と見た。
 「多分」
 加賀美少将も行けたと思っている。
 「とにかく医療チームに引き渡そう」
 続いて松井玲那元巡査部長の棺桶を開く。
 松井玲那元巡査部長は中で気絶していた。そのまま戒めを外して棺桶から出す。畳に寝かせる。
 将校一人が馬乗りに成って役得とばかりビンタする。
 「うう」
 更に叩く。
 「おーーーーーーーーーーー」
 起き上がろうとするのを四人がかりで押えて立たせる。
 「おのれーーーーーーーーーーー。きちがいーーーーーーーーーー」
 松井玲那元巡査部長は唾を飛ばす。気持ち悪さからである。
 「失敗だな」
 生方少将は状況を見て呟く。
 「もう一人も何とも」
 天葛少将はどっちも失敗と見ている。
 「そっちは医療チームの判断だ」
 「どうする。この女」
 「こっちはまだ何も斬ってなかったな」
 「やるか」
 「その前に沢山悲鳴を愉しましてもらおう」
 「クリップの究極の責めはどうだ」
 「どうやる」
 「クリップを全身に付けて一気に飛ばす」
 「そんなの動画でよくある。悲鳴は堪能できるが究極ではない」
 「何回かそれを繰り返して最後に二時間付ける」
 「それを一気に飛ばすか」
 「どっちにしても病院送りだな」
 座敷に十字架が持ち込まれた。
 松井玲那元巡査部長はそれに磔にされる。
 両腕を広げて十字架の横柱の先端に手首が固定された。
 十字架の根元に鉄パイプが一本縛り付ける。松井玲那元巡査部長は脚を開かされ脚首を鉄パイプの両端に縛り付けられた。
 腰の位置で縄を掛けて十字架の柱に固定する。
 松井玲那元巡査部長は憮然と生方少将と天葛少将を睨んでいる。
 ダンボールいっぱいに詰まった黒いクリップが運ばれて来た。
 松井玲那元巡査部長はその数に慄いている。
 これで躰を鋏まれることは想像が付く。
 天葛少将が二人の将校に付け方を説明する。
 将校らは手首の手前から鋏んでゆく。一個ずつ黒いクリップに蛸糸を巻いて鋏む。五センチくらいの間隔で両方から鋏み付けて肩から乳房、乳首に鋏み付ける。
 腹の横を通って土手の横を鋏んで女の部分のビラビラの片側を鋏む。
 松井玲那元巡査部長の躰は既に震えている。
 将校らは更に内腿の柔らかい肌を鋏んでゆく。
 「ああ」
 松井玲那元巡査部長は恐怖の息を漏らす。これを引っ張って飛ばされたら強烈な痛みである。
 何を言っても許されることはない。
 「俺の合図で引け」
 四人が二系統の蛸糸の各々先端を持っている。
 松井玲那元巡査部長は恐怖に縮み上がる思いで構えている。
 「てーつ」
 旧日本海軍の魚雷発射の命令である。
 四人の将校は力の限り一気に引く。
 「ううおおーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。ぐうわわわ、わわあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 松井玲那元巡査部長は躰を強烈に揺すって暴れる。
 「ぐうあああーーーーーーーーーーーーーーーー。あーはんはんはん。あはあーーーーーーーーーーーーーーん」
 強烈な悲鳴は続く。
 一同は暫くそれを鑑賞する。
 別の将校四人がもう一度同じ様にクリップを鋏み付けてゆく。既に松井玲那元巡査部長の躰はクリップに鋏まれた痕だらけである。
 一部皮膚が剥けている。更に一部は血が滲んでいる。
 会場には生ビールのサーバーが数台運ばれる。
 「今から二時間。この状態で待つ。ビールは天葛少将、加賀美少将、鄭少将。そして俺からのおごりだ」
 生方少将が宣言する。
 うおーーーーーーーー。
 歓声が沸く。
 暫く飲み会となった。
 
 葛城義和は柿崎一行を伴って出水茉里元巡査部長の家に来ていた。
 「南沙羅は神奈川県の山奥に居ました。日本の警察が突き止めました。アスレチックがあるとのことですが日本の警察もそれ以上は踏み込めません」
 柿崎一行が報告する。
 「そうだな。状況を掴んだと思われない方が良い」
 「それじゃ。あの二人やっぱり木邑良乃に加担していたのね」
 出水茉里元巡査部長は自分の予測が合っていたと納得する。
 「そうです」
 「で。吉祢恭子は」
 「ハワイでヘリの操縦訓練を受けていました」
 「完全に決まりだな」
 葛城義和は真紀子に連絡する。
 津島も同じ様に状況を把握していた。
 其処からテレビ会議で話し合う。
 「奴らは何処を狙っているの」
 真紀子は敵の意図が疑問である
 「四人が集まる時を待っているのでは」
 「それでは娼国」
 「それは無理だ。この要塞にパラシュート降下はできない。まずヘリが迎撃される。降下しても全員射殺だ。何度もシュミュレーションをやっている」
 津島は絶対不可能と言う。
 「他に四人が集まるところはない」
 「D市は」
 「奴らがD市の存在を知っているか」
 「どっちにしてもヘリから降下は無理だ。特殊部隊が警護している。パラシュート降下すれば全員空中で射殺される」
 津島はそれも却下する。
 「ではヘリは何に使うのです」
 「撤収、退却する時じゃないのか」
 「すると敵は地上から来ると」
 「その可能性が高い。大掛かりな艦隊が来ない限り空からは有り得ない。逆に地上からはあちこち入れる」
 「とにかく日本を出るところでコンタクトしないとまずいな」
 「そうです」
 テレビ会議は終了した。
 「もし四人が当分集まらなかったら敵は誰を狙うの」
 出水茉里元巡査部長は葛城義和だけを心配している。
 「平佐和先生か俺だな」
 「安全な場所はないの」
 「娼国だな」
 「津島長官の言い分では娼国に来れば撃退できると言うことでしょう」
 柿崎一行も娼国が安全と考えている。
 「何か無謀な木邑良乃の作戦です。攻めて来ても一発で殲滅できるように思いますがね」
 柿崎一行もやや安易に見始めている。
 「そんな事はありません。木邑良乃はともかく吉祢恭子は大高の様に慎重です。無謀な作戦には乗らないと思います」
 出水茉里元巡査部長は嘗ての上司である。その慎重さも充分に理解している。
 以前には何度も自分の捜査を止められていた。慎重過ぎる事に苛立ちを覚える事さえ多々有った。
 「そうですか」
 柿崎一行も慎重にその言葉を受け入れる。
 「出水さんのお陰で二人まで特定できました。この二人の動きにコンタクトします」
 「柿崎さん。相手に調査を気づかれていることは無いですね」
 「大丈夫です日本の警察も慎重にやってくれました」
 日本の刑事はその山奥を調査するに慎重であった。写真を見せた商店民家には犯罪者ではないと言い置いた。
 沢山の対象者の中からその動きを調査している。此処にいた限りこの人は関係者ではない。捜査に来たことは内分にと言い置いた。
 もとよりそのアスレチィックと村人は付き合いが無い。南沙羅は買い物に来ただけである。
 過疎地域なのでよそ者の顔は覚えていた。
 
 娼国。昭和中期の高層ホテル。四十五階の宴会場である。
 用意した生ビールの樽は僅かな時間で飲み尽くされた。生方少将らはホテルの配膳を通さず酒屋から直接購入した。
 それでも宴会には足りなかった。
 もとより二時間では相当飲める。
 「縛りを解いて躰を押えろ」
 生方少将が命令する。
 将校四人が松井玲那元巡査部長の後ろから躰をがっちり押える。二人の将校が前から戒めを解く。
 松井玲那元巡査部長は恐々と恐れながらももう暴れない。自分で取っても痛みは同じと分っている。
 それ以上に自分では到底全部取れない。座敷を逃げ回ってもいつまでも付けっ放しになる。もうどうにもできないのである。
 四人の将校が後ろから松井玲那元巡査部長の躰を押える。四人の将校が前から二本の糸の先端を持って構える。
 「てーつ」
 生方少将が合図する。
 四人の将校がいっせいに糸を引く。
 「うおーーーーーーー。お、お、お、おーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 松井玲那元巡査部長は猛然と暴れる。後ろの四人の将校は全員躰を離す。
 松井玲那元巡査部長は畳を転げまわる。
 「ぐうおおーーーーーーーーーーーーーーーー。ううおおーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 畳を叩き蹴って暴れまくる。そして失禁する。それにも構わず暴れる。
 痛みにどうにも治まらない。
 「うおーーーーーーーーーーーーー。お、お、おおーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 衛生兵が全身麻酔の準備をする。
 将校八人で押えてクロロフォルムを充てて痛み止めを注射する。モルヒネである。
 松井玲那元巡査部長は畳に仰向けに成ったまま静かになった。
 そのまま病院に搬送する。
 「もう少し暴れさせても良かったな」
 天葛少将は少し麻酔と痛み止めが早かったと言いたい。
 「そうだな」
 生方少将も同感する。
 
 神奈川県の奥地。
 アスレチックに見せかけた訓練場である。
 男性六名の訓練を指揮するのは陸上自衛隊元陸士長斑目沙弓。
 完全な斥候訓練である。
 そして南沙羅の訓練もかなり進歩した。
 もう責められても簡単には逝かなくなった。今度は感じるのを抑えて逝った振りをする訓練である。
 そして既に娼国の一坪オフィスには木邑良乃の手先が入り込んでいた。こっちは娼国ノンチェックである。
 
 木邑良乃はマンションを出ない。自分に複数の見張りが付いている事は薄々理解している。
 マンション内に既に工作員が部屋をキープしていた。
 木邑良乃は別室から繋いだインターネット回線でオンライン会議を行っている。音声も聞かれるので文字入力して暗号通信で行っている。
 これらはハワイに居る吉祢恭子が指導したのである。
 
 姉ヶ崎ニューシティ。娼国が日本に進出した巨大なビル群。その一号棟四十八階の会議室である。
 五代官房長官は木邑良乃抹殺を唱える。
 「長官。それはあまり意味がありません。木邑良乃を亡き者にしてもその仲間は動きます」
 R国北側の日本支部長が説明する。
 「そうです。見張りが付いています。確り行動を把握することが重要です」
 柿崎一行もその発言を押す。
 「徳永の手先は問題ないか」
 五代官房長官はこっちも心配している。それ以上に早く立憲国民党参議院議員徳永裕美を黙らせたいのである。
 「こっちの件に隠れて動いて来ると思います」
 柿崎一行もそっちも警戒しなければならないとは思っている。
 「どっちも抹殺はできないのか」
 「いまでも木崎綾乃、椋木美弥、新見由香らの行方不明を幾つかの局が小さく報道します。大きな報道に成ってしまえば火消しが難しいです」
 「週刊太陽の休刊で押え付けたのではないのか」
 「それとてやり過ぎれば逆転されます」
 「一歩も進まないな」
 この会議にはR国から平佐和も参加していた。
 「五代君。焦るな。四年前と比べたら葛城君がここまで変えたのだ。仕上げはじっくりリベラルを撲滅するのだ」
 平佐和は五代官房長官の暴走を警戒している。
 「人数は僅かに成りましたが。野党の反撃は議席に関わらず同じレベルです」
 五代官房長官は平佐和にも意見する。
 「五代君。それは最後の一人に成っても同じだ。民主主義国家だ。一つ発言を間違えても致命傷だよ」
 「徳永を罠に嵌めて週刊太陽の様に失脚させられないか」
 五代官房長官は収まらない。
 国会答弁や記者会見では如才なく冷静な五代官房長官だが此処では本音が剥き出しである。
 「検討します」
 柿崎一行はそう言って現状を治めた。
 
 R国D市。市江廣子の経営する日本旅館である。
 想定に無い客が投宿していた。
 本庄真奈美ナインユニオン社長と広瀬亜理紗元テレビ太陽アナウンサーである。T市に女性下着の工場を誘致した。
 R国内に自動車工場は在るが乗用車は普及してない。殆どの住人が市と市の間で移動しない。
 動くのは輸送トラックだけである。
 どの市にも生活手段は有る。娯楽も有る。R国の現地国民にはどこも同じである。移動の必要が無い。
 日本企業の社員はヘリで移動する。
 この日本旅館をR国の国民が利用することは無い。日本人でも家族連れの利用は皆無である。
 大方がカップル利用または買春。女性の買春には若い男性を紹介する。
 この二人は料理だけの利用である。
 日本企業なので予約を取ることはできた。
 女将の市江廣子は娼国に二人の照会を行った。それに対して真紀子が直接連絡して来た。
 二人の正体や工場誘致の目的の真相も伝えられ対応の仕方も確認した。
 市江廣子が仲居一人を伴って直接料理を運ぶ。
 「本日はようこそお越し下さいました。当館の女将でございます。市江廣子と申します」
 二人はその名前を聞いて驚愕した。
 市江廣子は元国民党衆議院議員。政権交代のとき八月の選挙で初当選した。もう十数年前の事である。
 元テレビ太陽の御天気御姉さんから国民党にスカウトされた。有名人かつ女性を使った議席稼ぎ要員である。
 娼国に捕らえられた親友沼尾輪加子警部を追ってこの国に入った。市江廣子もスパイ容疑と麻薬取引の容疑で逮捕され終身刑となった。
 長い間理不尽な拷問を受けた。
 その後終身刑のまま真紀子の協力者となった。この国から出ることはできない。それでも真紀子の計らいでこの旅館を経営している。
 「どういう経緯で終身刑から此処の女将さんに成られたのですか」
 広瀬亜理紗はそれを聞かずには居られない。言葉に出してしまった。
 「私は今でも終身刑のままです。この国から出る事はできません」
 市江廣子はきっぱりと答える。
 「それでは此処の利益は」
 これも広瀬亜理紗が先走ってしまう。
 「総て私の物ですよ。この旅館も利潤も」
 R国に直接税は無い。消費税十パーセントだけである。
 「どうしてその様な優遇を」
 「うふふ。それはね。この躰で平佐和先生を懐柔したからよ。北嶋副主席に協力して」
 また二人は唖然とする。
 完全に市江廣子は嘗ての主張など捨てて娼国についていることは分る。
 「平佐和先生は此処でどういう立場なのですか」
 広瀬亜理紗はそっちの疑問に突っ込みたくなる。
 「それは良くご存知なのでは。貴女はナインユニオンの社員になる前は何をされていたのですか」
 市江廣子は逆に突っ込む。広瀬亜理紗を見たことは無い。
 「市江先輩の遠い後輩です。テレビ太陽が旭放送に変わって退職しました」
 「そうなの。それで興味が沸くのね」
 そんな事は既に真紀子から聞いていた。
 「まあ。そうです」
 その間にも一緒に来た仲居が続きの料理を運ぶ。
 市江廣子はそれを並べてゆく。
 「平佐和先生は娼国とR国が日本に大型シティを進出させているでしょ。その橋渡し役よ。葛城先生は大きく流通を変えられたわ」
 「この国。娼国とR国は誰が実権を持っているのですか」
 「R国に地図に無い境界線が有る事はご存知ですね」
 「はい。T市の市長からそれなりに聞いています」
 「北側は湯野中氏。南側は娼国で安形主席だけど。現実は北嶋副主席。その間に入っているのが平佐和先生と葛城先生」
 「村上首相は」
 「名前だけの傀儡です。議会も市長が国会議員を兼ねているけど北と南五十対五十。形だけの議決。北は全員湯野中氏の配下です」
 「で南は」
 「安形主席と村上副主席の配下。又は娼国の退役軍人で津島長官の配下です。大方ご存知なのでは」
 「いいえ。そこまでは」
 本庄真奈美らにはこれまで想定の範囲であった。そして娼国にこれまで捕らえられた何人かが娼国に懐柔されていると理解した。

 娼国。ホテル最上階の和食。特別座敷天昇の間である。本日も南の島が青い海の中にくっきり浮かぶ。
 座敷にカウンターが組まれ板前が寿司を握る。板前は津梨清吉と言う。平佐和のご贔屓である。
 カウンターには湯野中、平佐和、真紀子、葛城義和が集まっている。
 「遂にD市まで調査に来たか」
 湯野中が切り出す。
 「調査に成っているのかしら。場に合わない逗留しただけじゃない」
 真紀子は達観している。
 「廣子に上手にあしらわれたか」
 「そうね」
 「何が目的だ。動きがまったく分らないな」
 平佐和は緩慢過ぎる動きに疑問を持っている。
 「日本からと日本への資金の流れよ。実際に物流に流して調べようと言うことでしょう」
 「それじゃ合法の範囲だ」
 葛城義和はそれでは合法の部分しか見えないと言っている。
 「まだ試行錯誤の範囲よ。その内確信に入ってくるかも。週刊太陽の休刊でだいぶ足踏みでしょう。それにあの社長自分の利益も考えているよ」
 「フリーが二人と元テレビ太陽が二人だな」
 湯野中も如何にも面倒と言いたい。
 「事故死で処分くらいしか方法が無いよ」
 「そうだな。企業として国内に入っていて行き成り逮捕は相当の理由が要る。スパイ行為としてもこれでは問題になる」
 湯野中も慎重に成らざるを得ない。
 「そうですね。他の日系企業への影響があります」
 葛城義和も同調する。
 「俺たちの命を狙ってくる無謀な敵よりこっちが面倒だな」
 平佐和も困った表情である。
 津梨清吉は注文を聞かず四人の寿司を握ってゆく。仲居も黙って飲み物を置いてゆく。
 秘密が漏れない人間ばかりである。
 「M国の弁護士とかはどうなった」
 思い出した様に平佐和が確認する。
 「こっちに振り回されて調査が進んでないよ」
 真紀子は娼国の工作員の手が回らないと答えている。
 「指宿の報告では本庄らが連絡を取っている様子は無い」
 湯野中は工場そのものを見張っている。
 
 D市。日本式旅館の一室である。
 本庄真奈美と広瀬亜理紗は夜遅くまで話していた。
 「徳永裕美に協力しても何も解決しなくない」
 「でも国会は彼女に闘って貰わないと」
 「そうだけど。由香と美弥と綾乃はもうどうにもできないのね」
 「私だって心配よ。でも今の情勢では動けないよ」
 「私今日突っ込み過ぎた」
 「そうね。でもあれだけでは逮捕はしない。スパイ行為違反でもこれまでの程度では逮捕に出ないと思う」
 「そう」
 広瀬亜理紗はかなりアルコール量が入っている。どうにもやるせない。高価なワインボトルが三本も空いていた。
 「日本企業の役員、社員が税金を逃れて遊びまくって。でも女性も遊んでいるのよね。私達が異端だから市江廣子は調査したのね」
 「でも会社役員は差額の税金を日本に払うのでしょう」
 「この国のシステムでは税金にならないのよ。徳永裕美が追求したけど政府は明確な基準が無いから打つ手は無いと」
 個人の所得と結びつける数字の根拠が無い。更にマスコミシャットアウトでスクープもされない。
 「此処では女も若い男性を買春するの」
 「見て。若い男性のリスト」
 本庄真奈美は部屋のテレビからサイトを開く。
 「ああーー」
 「これなんかグループごと買うのよ」
 十二名の若いほぼイケメンに近い男性が一括料金で掲示されている。
 「女もグループで」
 「ううん。大概は一人」
 「え、え」
 若い上に人気アナであった広瀬亜理紗には理解を超えている。
 男に輪姦されるという考えではない。男に集団で奉仕させるのである。
 「この先調査は難しいわね」
 「どうします」
 「じっくり娯楽施設に逗留すれば何か見えるかもしれない」
 「でも。男を買わないと警戒される」
 「不倫カップルのようにやるしかない」
 「そうね。夫婦者はこんな国で逗留しないね」
 「それ以前に観光と言う概念が無いのよ」
 「売春の方が格段に収益できるのね」
 「そうよ。作戦立て直して臨むしかない。この国は私達の常識を思った以上に逸脱している」
 「そうですね」
 そう言いつつも本庄真奈美はこの国に工場を出して収益を拡大していた。上手に蔓延って徳永裕美には協力するだけかもしれない。
 
 同じ旅館の宴会場である。
 隅田会系大船一家の面々が揃って宴席を設けていた。
 五十人近い宴席である。
 上座の筆頭は稲垣七郎若頭。橋下五郎本部長。右田吾一舎弟頭。木村草太若頭補佐。東丸秀三郎若頭補佐。大谷彰浩若頭補佐。宇佐美伝吉舎弟頭補佐。三田園矢一舎弟頭補佐が上座及びその手前に列席する。
 宴席の倍のコンパニオンが呼ばれている。ほとんどが全裸である。
 女躰の上に配膳する女躰盛り懐石が振る舞われコンパニオンの一人は座の横に寝かされている。
 このコンパニオンの乳房から太腿までが料理を盛り付ける器となる。
 客の座布団の他にもうひとつ座布団が置かれている。もう一人のコンパニオンが全身奉仕する席である。
 飲み物と醤油の皿は女躰盛りのコンパニオンの顔の横に小さなお膳が置かれている。
 配膳は年配の中居が行い一部全身奉仕のコンパニオンが手伝う。
 宴席は上座が五席。あとは両側の壁に二十数席並んでいる。
 宴席の真ん中は広く空いて余興が行われる。ハードコンパニオンが十名呼ばれていて豪勢な宴会である。
 日本では暴力団新法などで行動を制約されているがこの国ではやり放題にできる。
 本日は稲垣七郎若頭の組長襲名祝いである。
 長く病床にあった組長はこの世を去った。
 巨額のご祝儀が集まる。
 余興もこの国でしかできないハードな内容である。
 三田園矢一舎弟頭補佐が司会を務める。
 SMを受けるハードコンパニオンの花代は一人二十万から二千万。通常は二十万だが躰に傷を負った場合追加される。
 やくざと雖も全盛期ではないはずである。本来ならそこまで羽振りは良くない。だがこの組は違う。
 この国にコンパニオン、ハードコンパニオンをからゆきさんさせる。特に北側はこの組が独占している。
 まずは襲名式である。
 先代組長の代わりは大谷彰浩若頭補佐が霊代を勤める。杯の儀式が終わり霊代と稲垣七郎若頭が席を入れ替わる。これで当代組長と成る。
 R国の計らいで暴力団対策もかなり緩和してやり易くなったはずでは有る。それでも襲名式はこの国で行った。
 式が終わると花が登場する。ハードコンパニオンが入って来る。
 女躰盛りのコンパニオンと席のコンパニオンは式の時から席に付いている。
 この国にスーパーコンパニオンと言う言葉は無い。コンパニオンは昔の温泉芸者並みのサービスをする。
 ハードコンパニオンはこれにSMが加わる。
 「最初は全員参加の鞭叩きです」
 三田園矢一舎弟頭補佐が座にサービスを宣言する。
 東丸秀三郎若頭補佐と宇佐美伝吉舎弟頭補佐がハードコンパニオンを縛りに掛かる。
 二人ずつ背中合わせに縛る。天井から吊るしたフックに爪先立ち程度に張る。腕は頭の上で四本合わせて縛られている。
 この態勢では躰のフロント面を鞭に晒すことになる。
 座敷の席の順に十人ずつ鞭打ちが開始された。
 ハードコンパニオン十人の狂乱の悲鳴が続く。
 二人背中合わせに繋がれている。躱すことはできない。反対側の鞭まで飛んで来る。
 ハードコンパニオンの白く肌理の細かい肌は赤い筋が何本も浮かぶ。
 「娼国とR国にリベラル派の中で過激な連中が葛城元総理らを狙って進入するとの噂です」
 大谷彰浩若頭補佐が稲垣七郎に耳打ちする。
 「ほんとか」
 稲垣七郎は驚きの表情である。
 「確かな情報です。娼国でも北でもかなり警戒しています」
 大谷彰浩若頭補佐はきっぱり答える。
 「何か平佐和先生と葛城先生のお役に立てれば良いのだがな」
 稲垣七郎は葛城内閣で仕事が格段にやり易くなった。
 面識ができたのは葛城義和が引退して娼国に戻ってからである。平佐和とはそれ以前からになる。
 「それではトーナメントに入ります」
 三田園矢一舎弟頭補佐が次の出し物を宣言する。
 「ここで六名が脱落します。勝ち抜いた一人が目標の二千万を手にします。その代償は躰の損失です」
 驚愕の内容である。それでも限界は設けられている。そしてかたちだけでも再生を行う。
 「二千万は大船一家が出します。皆さんで競を行って頂きます。落札額は上乗せです。落札された方が規定の範囲内で自由に拷問できます」
 三田園矢一舎弟頭補佐はルールを説明する。
 ハードコンパニオンと雖も長く働くのではない。早く金が必要なのである。彼女らの借金はTS市に支店を持つ杉本金融が建て替えている。
 集めたのは大船一家である。
 日本の杉本金融が融資の立替をする。彼女らがTS市に着くと債権者などに金が振り込まれる。
 法律の違いから日本ではなくR国の支店が債権を持つ。日本の杉本金融とは別会社である。
 「最初は投票となります。投票で六人を落とします。この中から落としたい一人を投票していただきます」
 ここで落とされたら鞭打ちだけで二十万も貰える事に成ってしまう。だがそれはない。こっちも抽選で希望者に宴席が終わってから引き渡される。
 宴席では女躰盛りコンパニオンの躰に配膳された料理を食べながらもう一人全身奉仕のコンパニオンの躰を弄る。
 全身奉仕と言うと風俗嬢が客の体を全身舐めるサービスと思われるかもしれない。日本の軽い風俗ではその様に扱われているらしい。
 此処では女躰の全身を客に提供するサービスである。
 投票が終わって落とされた六人のハードコンパニオンの抽選も終わった。
 「それでは次のゲームに移ります。四人を二人に絞ります。今度は失神デスマッチです」
 内容は電流責めである。簡単な電流責めではない。革の褌の内側に膣に減り込む金属のこけしが付いている。
 これが電磁棒でありスイッチでも有る。膣圧でこれを押す。片方のスイッチしか入らない。スイッチが入って無い方に電流が流れる仕組みである。
 座敷は嗜好の面白さに沸く。
 どっちかが失神するまで終わらない。決着が付かなければ電圧を上げる。
 二人の女が畳に敷かれた鉄板に大の字に磔にされる。革の拘束具が腕、腹。膝、脚首を拘束している。
 拘束具は僅かな鎖に繋がれ鎖は鉄板に埋め込んだボルトで留められている。
 態と少しだけ躰が動く様にしている。その方が苦しむ様子が良く伝わるからである。
 最初は電流を入れないで両者がこけしに膣圧を掛けて構える。三田園矢一舎弟頭補佐の開始の合図で電流が流れる。
 膣圧の弱い方が苦しみだす。
 しかし単純ではない。スイッチの入ってない方に電流は流れないがこけしは膨張を始める。それを押さえ込まないとスイッチは切れる。
 相手が直ぐに膣圧を掛ければ電流は逆に流れる。
 一回目は真里菜と美弥の二人である。どちらも二十代半ば。やや美弥の方が小柄である。
 電流が流れると美弥が先に苦しみだす。
 「ううおおーーーーーーーーーーー。ぐおおーーーーーーーーーー。ぐうおおーーーーーーーーーーーーーー」
 目をきつく瞑って眉間に皺を強く刻んで顔を振って苦しむ。躰も強く丸めようと戒めを引っ張って右に左に藻掻く。
 美弥と比べて真里菜の体形がやや大きいだけ膣の力も強いのか優勢に成っている。
 「ううぐうーーーーーーーーーーー。ぐううーーーーーーーーーーーー。ぐうううーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 美弥は小柄な体で苦しみ藻掻く。
 三田園矢一舎弟頭補佐はまだ電圧を上げない。
 徐々に真里菜の膣内のこけしが膨張を始める。真里菜は必死に膣の力を入れ続ける。
 「ううぐううーーーーーーーーー。ううーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーーーー」
 美弥の表情が恍惚に成り掛ける。
 次の瞬間真里菜が苦しみ始める。
 「あ、ああーーーーーーーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーがあーーーーーーーーーーーーー」
 太く成ったこけしにスイッチを外され真里菜が鉄板の上で鎖を両腕で引っ張り脚を突っ張って藻掻く。
 三田園矢一舎弟頭補佐はやや電圧を上げる。
 「あ、ああーーーーーーーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーー」
 真里菜が一気に恍惚の表情に成る。頭を振って藻掻き続ける。
 美弥のこけしが徐々に膨張する。
 美弥は膣に力を籠めて頑張り続ける。どっちも眉間に強い皺を刻んで苦しい表情である。
 「みんな粒ぞろいですが残った四人はなかなか絶品ですな」
 座を立って右田吾一若頭に酒を注ぎながら二次組織の組長が話し掛ける。右田吾一は舎弟頭からこの度若頭に昇格した。次期組長である。
 「そうだよ。この国ならではの風紀だ。日本は硬い社会になってまだまだ貧乏だ」
 「葛城先生のお陰で随分経済回復しましたが。服装はまだ地味なままです。高級風俗で遊ぶ人がもっと増えてほしいです」
 「そうだ真面目な社会では金は回らない。預金と株に凍結している。株価だけ上がっても経済効果は末端に行き渡らない」
 「アングラマネーと私らの力が必要です」
 「この国では在留日本人だけでミニ新幹線が動くのだろ」
 「その様で」
 「今の玩具。大船一家が作ってポルノショップで売っている。東丸の花電車で使って大うけだ。漏らす女も続出している」
 「それはなかなか」
 花電車。もう死語になった言葉かもしれない。昔の隠微極まりないお座敷芸である。それでもまだ地方には残っている。
 無修正AVの普及がストリップを激減させた。それでもお座敷芸は細々残っていた。
 東丸秀三郎若頭補佐が埼玉で営業している。
 花電車とはお座敷芸者が隠微な芸を女の部分中心に見せる。お座敷の閉鎖的空間で行われるストリップより過激な芸と言える。
 語源は見せるけど乗せないから花電車である。
 昔の花電車は車体に花をいっぱいに付けて客を乗せないで走った。これにちなんでそう名付けられたらしい。
 やくざらが興奮して見守る中で遂に美弥が失禁した。
 満場の拍手が沸く。美弥は恥ずかしさどころではない。なんとしても勝ちたい。二千万がほしい。どんな姿にされても勝って日本に帰りたい。
 失禁を見て真里菜の力がやや緩んだのか逆転して真里菜が苦しみだす。
 三田園矢一舎弟頭補佐は電圧を上げる。
 「あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。だめーーーーーーーーーー」
 次の瞬間。藻掻いて突っ張って浮き上がっていた躰の力が抜けて一気に堕ちる。
 三田園矢一舎弟頭補佐は直ぐに電圧を落とす。
 真里菜は既に白目を剥いている。
 三田園矢一舎弟頭補佐が膣からこけしを抜いて真里菜をビンタで起こす。
 「ああ」
 真里菜は目を開いたがまた鉄板に沈む。
 負けた罰則は放尿公開と浣腸となった。
 ガラスの水槽を跨がされて自分で女の部分を広げて放尿を公開した。
 次の二人を東丸秀三郎若頭補佐と宇佐美伝吉舎弟頭補佐が鉄板に磔にする。
 準備完了して三田園矢一舎弟頭補佐が開始を宣告する。
 女は座の右側が仁美。あと一人が奈那緒である。
 仁美は小柄で乳房が大きい。だが躰全体は細身で可愛い。
 奈那緒は細身ながら長身。それが全体色白で典型的な美人顔ある。
 三田園矢一舎弟頭補佐はやや間を置いて電流を流す。
 長身の奈那緒が先に苦しみだす。
 「う、う、ううーーーーーーーーーー。ううぐうーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 強く鎖を引っ張って脚を広げて突っ張る。もう恥ずかしさどころではない。
 目をきつく瞑り眉間はXの字に強い皺を刻む。美人の顔が真っ赤になり歪む。座は生唾を飲み込んでその光景を愉しむ。
 三田園矢一舎弟頭補佐は奈那緒の方を破壊したい。
 それでも徐々に電圧を上げる。
 「おおーーーーーーーーーーーーーーー。ううおおーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。ううーーーーーーーーーーーーーーー」
 奈那緒の美人顔がこの上もなく軋む。
 三田園矢一舎弟頭補佐はサービス精神も考慮した。仁美のこけしが膨張し始めている。
 ここで電圧を弱める。仁美のこけしのスイッチが外れる。
 奈那緒が瞬間にそれを膣で掴む。
 「あ、ああーーーーーーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーがあーーーーーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーー」
 仁美は堪えられず直ぐに漏らしてしまう。
 三田園矢一舎弟頭補佐は失禁が治まるまで電流を切る。
 二人とも苦しい息遣いである。
 鉄板に流れた潮をバキュームで吸い取って仁美の股間を東丸秀三郎若頭補佐が入念に拭く。
 奈那緒は恐々と状況を見ている。
 何としても勝って借金を清算して幾らかの金を持って日本に帰りたい。
 仕切り直して三田園矢一舎弟頭補佐は開始を宣言する。
 また奈那緒が苦しみ出す。
 「う、ううーーーーーーーーーーーーーーーーー。ううぐううーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。ううーーーーーーーーーーー」
 眉間に三重に皺を刻んで頭を振って藻掻く。
 「あ、ああーーーーーーーーーーーーー。ああがあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーーーーー」
 緊迫した悲鳴になる。
 今度は奈那緒が失禁した。
 三田園矢一舎弟頭補佐は態とやったと見ている。それで良いと納得しながら電流を止める。
 座敷から悦びの拍手が沸く。
 また東丸秀三郎若頭補佐が革の褌を外してこけしを抜いて股間を拭く。少し入れ方を調整する。
 東丸秀三郎若頭補佐も三田園矢一舎弟頭補佐と同じ意識の様である。
 仕切り直してスタートする。
 「あーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーー。ああーーがあーーーーーーーーーーーーーーーーー。あはあーーーーーーーーーーー」
 仁美が猛然と苦しみ出す。
 三田園矢一舎弟頭補佐は一気に電圧を上げる。
 「うおおおーーーーーーーーーーーーーーーーー。ぐうああーーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 強烈な悲鳴が座敷を震撼する。
 次の瞬間。仁美の躰は鉄板の上で沈む。白目を剥いて動かない。
 東丸秀三郎若頭補佐が強烈にビンタを繰り返す。
 「ああ」
 ようやく黒目を回復する。
 そのままもう一度僅かに失禁した。
 また満場から悦びの拍手が沸く。
 仁美の放尿の刑は不可能なので真里菜と仁美の浣腸が同時に行われた。アナル栓をして暫く休憩となる。
 最後の対決は美弥と奈那緒である。
 
 娼国。ホテル最上階の和食。特別座敷天昇の間である。
 本日はお膳が二列に並べられている。会席料理をベテランの仲居二人が配膳して行く。
 真紀子、湯野中、平佐和、葛城義和の他に鄭淑徳少将と柿崎一行が加わった。
 「動き出したか」
 湯野中は日本酒を冷で飲んでいる。
 「南沙羅はアスレチックの訓練場から姿を消しました。吉祢恭子もハワイを離れました」
 柿崎一行が報告する。
 「その後は」
 「それが吉祢恭子はハワイをクルーザーで出ました」
 鄭淑徳少将が答える。
 「南沙羅は」
 「陸上自衛隊元陸士長斑目沙弓と一緒に姿を消しました。部落を離れて麓の町には下りて来ませんでした」
 「山越えか」
 「そうです。道なき山越えです。尾行は不可能です」
 「そうなると何処から進入するの」
 「中国国境かT国国境」
 「M国からはさすがに入れないからな」
 「しかしたった三人。女ばかり俺たち四人をどうやって暗殺するのだ」
 「暗殺に人数は要りません」
 柿崎一行が答える。
 「うむ」
 「とにかく国境警備は北側です。強化を指示して下さい」
 「そうだが。膨大な範囲だ」
 「平佐和先生と総統が娼国のホテルに居ればいいのよ」
 真紀子は娼国が一番安全と考えている。
 「娼国だけ守りを固めるか。葛城先生どう思われる」
 湯野中は葛城義和に確認する。
 「それが良いでしょう。一箇所で守りを固めましょう。国境はドローンとロボット部隊で充分です」
 「ならばそうしよう。部屋をマンスリーで確保するか」
 「スイートを三つ用意いたします」
 真紀子が平佐和らに娼国から特別待遇を提示する。
 
 既に娼国には間者が侵入していた。三坪のサーバールームに一人。配膳の仲居に一人潜入していたのである。
 平井莉緒三十八歳。加賀の大手温泉旅館からの転職である。
 サーバールームの技師に平井莉緒からラウンジで週三回メモを渡す。この動きは娼国ノンチェックであった。
 
 神奈川県厚木市。元国民党衆議院議員木邑良乃の部屋である。
 協力を依頼したベンチャー企業の隠しホームページを確認する。
 通常のホームページTOPからは入れない。URLに一階層下のフォルダを書き加えて入る。
 四人が概ね娼国に滞在することが報告されていた。
 木邑良乃は吉祢恭子にインドに渡るよう指示を出す。
 一度姿を眩ました斑目沙弓と南沙羅は福岡から上海に飛んだ。そしてそのまま武陵源に移動した。
 この部分は工作員がコンタクトしている。
 だが行動は謎である。
 
 少し時間軸は前に戻る。
 D市。日本式旅館の大宴会場である。
 美弥と奈那緒の最後の対決が始まっていた。
 二名とも躰を損傷しても金を得て早く日本に帰りたい。ここで勝てば二千万とオークションの金額が入る。
 二人の躰は一.五メートルの高さに吊るされた木の枠に横に渡した強化プラスチックの板十五枚の上に寝かされている。
 二人の身長はかなり違う。その分は同じ枚数の板だが幅で調整されている。
 プラスチックの板は下から外せる構造に成っていた。
 更に二人の躰は板の上で天井から下げられたフックに吊るされた大量のピンチに鋏まれている。
 乳首、乳房周辺から腹、股間、内腿まで無数のピンチに白く肌理の細かい皮膚が鋏まれてプラスチックの板が無ければピンチに吊るされる形になる。
 当然下の板が無くなれば体重で一気にピンチが外れて躰は下に落ちる。その下には大量の画鋲が撒かれている。
 「これからルーレットが回りましてその目と同じ番号の板が外されます。最後まで空中に残った方が勝ちです」
 三田園矢一舎弟頭補佐がマイクで説明する。
 負けてここから落ちたら重傷ではないがかなりの拷問である。強烈な悲鳴と全裸で痛みに藻掻き苦しむ姿が愉しめる。
 場合によっては失禁も期待できるのである。
 「勝った方が最後のスタントハードコンパニオンを受けるかを選べます。負けた方はそれに従ってもらいます」
 どちらも申し分の無い綺麗な躰である。鞭の痕が付いているがその無残さがまたそそらせる。
 一回目のルーレットが回る。
 十六に止まる。
 奈那緒のお尻の下の一枚が外される。
 外れた場所によっては半分でも堪えられずに落ちてしまう。
 座敷は乱れに乱れている。全身奉仕のコンパニオンは躰をとことん弄られて悲鳴や逝き声を上げている。
 潮を噴かされる者。あまりの責めに泣き出す者。酒を強いられ急性アルコール中毒にされて苦しむ者。狂乱の酒池肉林である。
 上座では稲垣七郎組長と大谷彰浩若頭補佐、宇佐美伝吉舎弟頭補佐が話し合っていた。
 「うちらが斡旋するコンパニオンに木邑良乃とかいう政治家崩れが放ったスパイが入り込む事は無いか」
 「絶対とは言えません」
 大谷彰浩若頭補佐も自信が無い。
 「そうです。杉本金融の斡旋に婦人警官が紛れていました」
 宇佐美伝吉舎弟頭補佐もこれまでの失敗を忘れてない。
 「もっと厳重に身元を洗わないといけないな」
 「そうですが」
 宇佐美伝吉舎弟頭補佐は難しいと言いたい。
 「娼国とR国の工作員も洗っています」
 「そっちは向こうがプロだ。だがうちらならでは判る部分もあるだろう」
 「そうですが」
 「娼国とT市に紹介した分をもう一度洗え」
 「へい」
 美弥と奈那緒の下の板は六枚ずつ残っている。
 三田園矢一舎弟頭補佐はあくまで奈那緒を破壊したい。ルーレットは調節できる。
 続いて美弥から一枚抜く。
 「あ、あーーーーー」
 太腿の下が外れる。
 美弥の残りは脚元の二枚。背中に二枚。頭に一枚である。
 奈那緒は太腿から膝に四枚。背中に二枚残っている。
 どちらも背中の二枚が外されたら落ちてしまう。
 次は奈那緒の脚元一枚が外れる。
 二人ともこのピンチが一斉に飛ぶ痛みを想定して顔から恐怖に怯える汗を垂らしている。
 「いやあーーーーーーーーーー。いやあーーーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーーーー」
 女躰盛のコンパニオンが突然強烈な悲鳴を上げる。
 膣に活きた鰻を入れられたのである。
 やくざは笑って抜き取る。
 隣のやくざがそのうなぎを要求する。
 「いやあーーーーーーー」
 その女躰盛のコンパニオンもクスコを入れられて泣き叫ぶ。
 やくざは鰻を受け取って挿入する。
 「あ、ああーーーーーーーーーーーーーーーー。あはあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん。あーーーーーーーーーーーーー」
 こっちも強烈な悲鳴を上げる。
 このやくざは全身奉仕のコンパニオンにもクスコを挿入する。
 「いいやあーーーーーーーーーーーーーー。あはあーーーーーーーーーーん」
 こっちも泣き出す。
 どんどん宴会はエスカレートする。
 市江廣子は下座の影で様子を伺い見る。この宴会一日で全館一日平均の売り上げの三倍になる。三日分である。
 これが商売と笑顔で対応するしかない。
 板の上は奈那緒が太腿と背中の二枚で堪えている。
 美弥の背中が抜かれる。残りは脚の二枚と頭だけである。
 もう堪えられない。
 「あ、ああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 美弥の強烈な悲鳴と共に躰が中に落ちる。ピンチが一気に飛ぶ。
 そのまま美弥の躰は画鋲の上に落下した。
 「ああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。ぐうわああーーーーーーーーーーーーーーーーーー。ぐうおおーーーーーーーーーーーーーーーー」
 美弥の躰は座敷を転げて痛みに藻掻き苦しむ。
 「ううおおーーーーーーーーーーー。ぐうううーーーーーーーーーー。ぐうおおーーーーーーーーーーー」
 相当に痛く苦しそうである。
 宴会場から満場の拍手が沸く。
 美弥は地獄の真っ只中である。最後は四つん這いになったまま失禁してしまった。
 無残だが美しい失禁姿である。
 「ああーーーーーーーーん。あはん。あっはん。ああん。ああん」
 ぽろぽろ涙を零して泣き続ける。
 「奈那緒の勝ちですがこっちも落とします」
 三田園矢一舎弟頭補佐が予期しない発言で会場を沸かせる。
 「え、えーーーーーーーーーーー」
 奈那緒は予期せぬ事態に恐怖に震える。
 容赦なく東丸秀三郎若頭補佐と三田園矢一舎弟頭補佐の手で奈那緒を支えていた二枚の板が一気に抜かれる。
 「あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 こっちも一気にピンチが空中に跳ねて飛ぶ。
 「うおーーーーーーーーーーーーーーー」
 奈那緒の躰も画鋲の上に落ちる。
 「ううおーーーーーーーーーーーーーー。ぐわああーーーーーーーーーーーーーーー。ぐうわあああーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 奈那緒も畳を転げて泣き叫ぶ。
 宴会場は大興奮の坩堝である。
 奈那緒も堪えられず失禁して泣き続けた。
 やくざらは大満足である。
 泣き崩れている奈那緒に東丸秀三郎若頭補佐が近付いて確認する。
 「どうする。君がやって二千万貰うか」
 「はい」
 奈那緒は泣きながらもきっぱり返事する。
 そこから競が始まった。
 「五百万からスタートです」
 三田園矢一舎弟頭補佐が競の開始を宣言する。
 「一千」
 「一千二百」
 何処までもエキサイトする。
 「二千」
 橋下五郎本部長が大台に乗せる。
 「おい」
 稲垣七郎が注意する。こっちで落札するなと言う意味である。
 「二千百」
 これで落札した。
 奈那緒も美弥も一度シャワールームに向かう。
 落札者の手配で大道具が運ばれる。
 昇降式の滑り台である。徐々に角度が変わる。傾斜に堪えられなくなって落ちる仕組みである。
 やくざは奈那緒を高手小手に縛る。
 滑り台にお尻を着かせる。
 脚首も縛り合わせる。
 滑り台にコの字形のアームを被せる。
 長さ十センチくらいの針を持ち出す。円形ではない。細く平たい針である。それで乳房を刺し貫く。
 「あーーーーーーーーー。あはあーーーーーーーーーーーーーーー」
 奈那緒は覚悟していても泣き悲鳴を上げる。
 その両端に金属性のカバーを嵌め込む。そのカバーに引っ掛ける部分が造られている。そこを鎖でコの字のアームから吊るす。
 もう片方の乳房も刺し貫く。
 「え、えーーーーーーーーー。両方」
 奈那緒は片方だけ斬られても片方は残してくれると思っていた。
 容赦なく両方の乳房はアームから吊るされている。
 滑り台は横倒しのまま一メートルくらいの高さに迫上がる。
 「あ、ああーーーーーー」
 奈那緒はこれだけでも悲鳴を上げる。高さが上がると怖さは増加する。
 これで滑り台が斜めに上がると躰は滑り落ち乳房は裂かれる。
 奈那緒はどうにも成らない。金額は思った以上に成ったがやられる事も悲痛である。
 滑り台が一段階斜めに成る。
 「あ、ああーーーー」
 これではまだ落ちない。
 やくざは土手の黒い塊に油を掛ける。
 「えーーーーーーー」
 奈那緒はこっちもとやや抗議の表情である。
 やくざは火を点ける。
 「あ、ああーーーーーーーーーーーーーーーー」
 陰毛は一気に燃える。やくざは直ぐにタオルを掛けて火を消す。それでも火傷は免れてない。
 「あ、ああーーーーーーーーーーーーー。ああはん。ああ」
 奈那緒は気丈そうな表情を崩して泣き悲鳴を上げる。
 「さあ。行きますよ」
 やくざは座に宣言する。
 全員の目が奈那緒に集中している。
 滑り台はもう一段上がる。
 「あ、ああーーーーーーーーー」
 まだ落ちない。針に体重が掛かって横から血が流れ出ている。
 「ああーーー。ああーーーーーーーーーーーー」
 奈那緒は堪えられず泣き悲鳴を上げる。
 やくざは少しこの状態を愉しむ。
 「では今度こそ行きます」
 また座に宣言する。
 もう一段上げる。
 奈那緒の躰は一気に滑る。針は瞬間に両方とも乳房を裂いている。血が飛び散る。
 縛られたまま奈那緒の躰は床に落ちる。
 「うわああーーーーーーーーーーーーーーーーーー。ううああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 強烈な悲鳴が轟く。
 既に屋上にヘリが待機していた。
 待機していた看護師が乳房に止血パットを当てる。局部麻酔を打って担架でヘリに運ぶ。
 そのまま娼国の病院に直行である。
 既に話は付いている。奈那緒は医療実習で治療を受けることになる。
 
 葛城義和はヘリで滝澤沙緒里の宿泊する新日本空輸ホテルに向かった。
 仲居の平井莉緒にはヘリの外出までは確認できない。その報告はされなかった。
 そのころ娼国に四人の刺客が近付いていた。
 まだ斑目沙弓と南沙羅は武陵源である。そして吉祢恭子もインドでヘリの訓練を行っていた。
 四人の刺客はノンチェックで娼国に向かう高速船に乗った。
 娼国のホテルも予約している。
 この四人は神奈川県の奥地で南沙羅の訓練を行っていたうちの四人である。
 それなのにチェックはされてなかった。
 屋上に警備が居ることは平井莉緒から報告されている。
 四人はばらばらに一度チェックインした部屋に入る。
 戦闘準備をして目標の部屋に階段を駆け上がる。
 高性能の銃でドアを壊して中に飛び込む。
 真紀子の部屋は津島が警戒していた。刺客が飛び込むと同時に射殺する。平佐和の部屋では平佐和が頭を撃ち抜かれる。
 湯野中の部屋でも頭を撃ち抜く。
 葛城義和の部屋では居ない筈の葛城義和が射殺される。
 刺客らは一気に階段を逃げる。
 三名とも駆けつけた警備に射殺された。
 葛城義和の部屋に居たのは影武者のアンドロイドである。実に精巧にできていて余程近付かないと判別が付かない。
 平佐和も湯野中もSPの居る隣の部屋に居た。部屋の奥に居たSPが追いかけ特殊部隊の警備が下から追い詰めた。
 ホテルに宿泊すると決めた時に真紀子がアンドロイドの影武者を手配した。
 葛城義和は事態を聞いて引き返した。
 
 ホテル最上階の和食。特別座敷天昇の間に全員が集まった。
 葛城義和が戻り柿崎一行も駆けつけた。
 「敵は滞在する部屋を知っていた。内部に患者が居る」
 津島が口火を切って断言する。
 「またコンパニオンで潜入したか」
 「コンパニオンには部屋まで調べられない」
 湯野中の呟きに津島が言下に否定する。
 「ホテルマン。コンシュルジュ。仲居そんなところか」
 「ここ一ヶ月くらい新入りは居ません」
 鄭淑徳少将が答える。
 「そんなに前から入り込んでいたのね」
 真紀子も悔しさを滲ませる。
 「他に考えられるのは」
 「警備員、軍人」
 「無理だ。客室の情報は掴めない」
 「とにかく該当者を全部洗いましょう」
 そこへ葛城義和に稲垣七郎から連絡が入った。
 「組長」
 葛城義和は意外なコールにやや驚く。
 「そちらに小林千恵と言う仲居が入っています」
 「少々お待ちを」
 葛城義和はそう断ってスマホを離して確認する。
 「小林千恵と言う仲居が居ますか」
 鄭淑徳少将がリストを追う。
 「居ります」
 「居るようです」
 「そいつは偽者です。私どもがコンパニオンと一緒に斡旋したのですが。そいつは高額な補償を貰って旅館を休んで金沢に居ました」
 「なんと」
 「そいつが誰かはわかりませんが小林千恵を名乗っているだけです」
 「判りました。早速調べます。ありがとうございます」
 「いやこちらこそ申し訳座居ませございません。調べが不十分でした」
 稲垣七郎は偽者を斡旋した事を詫びて電話を切る。
 
 そのころ平井莉緒は襲撃失敗を連絡する為にサーバー室のポストにこっそりメモを投げ込んでいた。
 平井莉緒が部屋に戻ったところを憲兵が身柄確保した。
 全員南の島の五号棟四階に移動する。
 憲兵らが南の島に平井莉緒を連行して来た。
 「貴方は誰」
 平井莉緒は憲兵に確保された時点で潜入がばれたと覚悟はしていた。
 その時点で柿崎一行の連絡で調査していた北側の工作員から連絡が入る。
 「その女は平井莉緒。元新日本テレビの記者です」
 「ほう。リベラル寄りではない局だな」
 葛城義和は以外と言う反応になる。
 「あんたの正体が解ったよ。元新日本テレビ記者平井莉緒」
 「ああ」
 平井莉緒はもう観念するしかない。
 「あなたは木邑良乃の送ったスパイね」
 真紀子はずばり追及する。
 「そうよ」
 平井莉緒は開き直る様に認める。
 「どうやって情報を送っていた」
 「・・・・・・」
 平井莉緒はそれ以上答えない意思の様である。不適に顔を背ける。
 「裸にして縛り上げて。あたしが拷問する」
 真紀子が怒りを露にそう命令する。
 平井莉緒が殺害を狙った四人が此処に居る。悔しさは限りない。
 葛城義和と平佐和は椅子にどっしり座って後ろから様子を見ている。湯野中もどっしり座ってしまう。
 三名はお任せしますと言う態度である。
 鄭淑徳少将が連行してきた憲兵二人に取り押さえさせる。そして平井莉緒の和服の帯を解く。
 平井莉緒にコンパニオンでの潜入は年齢的に無理である。三十八歳。だが見た目も躰つきも悪くない。
 憲兵二人が腕を掴んだまま着物と肌襦袢を後ろに抜き取る。
 上は確りブラを着けている。下は二布が残っている。
 鄭淑徳少将は二布の紐を解いて床に落とす。更にショーツを着けている。
 平井莉緒は和服に不要な下着姿と成る。
 「おんとし三十路余り。かなり余りだけどいい躰ね。でも先生方は興味なさそう。だからあたしが拷問する」
 真紀子の言葉は未だミスの平井莉緒に突き刺さる。
 だが躰はほっそり色白で締まった脚も腰も綺麗である。真紀子と比べてもそんなに劣らない。
 鄭淑徳少将はブラを切りショーツも一気に切り落とす。乳房は片手に治まる大きさだが容は良い。
 乳首と乳輪はまだ薄紅色である。
 土手の黒い塊はホームベースの形に綺麗に整えられている。股間に隙間がある。内腿に余分な肉は無い。
 閉じ合わせた女の部分の先端が陰毛の下に僅かに覗く。
 「さあ。どうやって連絡を取っていたの。言いなさい」
 真紀子の口調は強い。それでも平井莉緒は顔を叛ける。
 そのころ事態を把握したサーバー室の派遣者は高速船で娼国を離れた。状況は既に木邑良乃に伝わっていた。
 「南沙羅は何故中国に居るの」
 真紀子は詰問を変える。
 「ふん。囮よ。貴方々がそっちに目を付けたから作戦変更したの。中国やハワイ、インドまでご苦労さんよ」
 ここまでは平井莉緒にはしてやったりであった。
 真紀子の怒りは更に沸騰した
 「よく分かった。究極の拷問をプレゼントするわ」
 真紀子の表情は平井莉緒にこれから行う拷問の凄惨さを突き刺すに充分な凄みを宿していた。
 「貴女には恥ずかしめるのが一番効くようね」
 平井莉緒は既に額から汗を垂らしている。
 「究極に女を開いた逆さ吊るしにして」
 真紀子は鄭淑徳少将に要請する。
 憲兵が引き上げて鄭淑徳少将の部下が入って来ていた。
 四人かかって平井莉緒の躰を押える。
 「ちくしょうーーーーーーーー。やめろーーーーーーーーーーー」
 平井莉緒は暴れる。
 それを四人で床に押し倒す。
 平井莉緒は真紀子を睨みさらに後ろにいる葛城義和らを睨み続ける。
 将校らは腕を背中に回して左右の手首を重ねて縛り合わせる。
 膝と太腿の中程に強力なベルトを巻く。
 天井に設えたフックに滑車を四本引っ掛ける。
 鄭の部下は平井莉緒の躰を倒して押えたまま股間を逆さに持ち上げて脚を広げる。股間は大きく開き丸出しになる。
 「ああーーーーーーーーーーーーー。ちくしょーーーーーーーーーー」
 平井莉緒は悔しさに顔を歪めきる。
 将校らは滑車から下がった四本のフックを引っ張って太腿と膝に巻いたベルトのフックに引っ掛ける。
 滑車の縄を引いて四本同時に吊るし上げる。
 「あ、ああ、ああーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 平井莉緒は悔しさの滲んだ悲鳴を上げる。
 その躰は空中に大きく股間を開いて逆さ吊るしである。
 真ん中の二本は真上から吊るしている。左右の二本は離れた壁から大股開きに引っ張る役割をする。
 平井莉緒の躰はT字に近い上向きの矢印の形に吊るされているのである。
 平井莉緒はこれまでこんな姿を想像した事すらない。恐ろし過ぎる陵辱である。だが此処の人間にはただの責めの入口でしかない。
 「さあ。この部分をたくさん辱めてあげるね」
 真紀子はしんねりと愉しむ様に言う。
 「何で女がそんなことするの」
 平井莉緒は女が男の前に女の躰を晒し者にする行為を咎める様に抗議する。
 「憎らしいからに決まっているだろ」
 真紀子は平井莉緒の胸を膝で蹴る。
 「うおーーーーーー」
 かなり古いタイプで大型のクスコとアナル開口器が運ばれる。
 「先生方。見ませんか」
 真紀子が平佐和らに声を掛ける。
 三名で既に酒盛りを始めていた。
 「終わっている叔母さん見てもな」
 葛城義和は見る価値なしと言う態度を示す。
 だが三十八でも綺麗な躰である。見る価値も有る。スタイルも良い。なかなか艶かし過ぎる姿に晒されていて欲情させる。
 それでも葛城義和らは年齢を理由にそこを傷つける様に日本では許されなく成ってしまった言葉で協力する。
 「おのれーーーーーーーーー。それが元総理の言葉かーーーーーーーー」
 平井莉緒は怒りを籠めて叫ぶ。
 「この国では言い放題だ。おまえはスパイ行為で加重終身刑だ」
 葛城義和は淡々と言い放つ。
 「おのれーーーーーーーー。こんな国。絶対ゆるされないぞーーーーーーー」
 平井莉緒は悔しさを籠めて叫ぶ。
 「何を言っても無駄よ。この僅かな国土の娼国の経済は一京以上よ。経済制裁なんかできない。やったらその国が逆に経済制裁以上よ」
 真紀子は楽しそうに嘲る。
 「おのれーーーーーーーーーー。経済侵略してーーーーー」
 どうにも成らない怒りに藻掻く言葉である。
 経済侵略と言ってもR国の上部構造は日本人及び日系人である。娼国はその総てが日本人及び日系人で構成されている。
 例外は鄭淑徳少将だけである。
 逆さ吊るしの平井莉緒の膣を開口器で広げる。
 そのまま将校の持つ小型カメラで大型スクリーンに拡大された。
 「ちくしょおーーーーーーーーーー」
 見る価値も無いと嘲られても見られる方はそれ以上の恥ずかしさである。
 平井莉緒は自分の躰にまだ自信を持っている。それでも葛城義和の言葉は強く心の底に突き刺さった。
 「ほうら。お○○この奥まで全部ま、る、み、え」
 真紀子は関心も無いのに態と詰る。
 「・・・・・・・・・・」
 平井莉緒の表情は土色である。
 「さあ。お尻の穴も拡張しましょうね」
 真紀子の詰る台詞はその声色が堂に入っている。
 葛城義和らはそれを娯楽番組程度に見ながら飲み続ける。
 「う、ううぐうーーーーーーーーーーーーー」
 平井莉緒はアナル開口器を入れられて強い呻き声を漏らす。
 一度も広げられた事が無い部分である。それもかなり大型の開口器である。平井莉緒は堪らない屈辱に何処までもなされるがままでどうにも成らない。
 そして真紀子の怖さを目前にしてこの国の恐ろしさに震える。
 真紀子はアナルを開口器で広げた中にグリセリンを流し込む。
 「あはああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 平井莉緒はとうとう泣き叫ぶ。
 まだ液体が入って来た段階である。
 「ああーーーーーーーー。だあーーーーーーーーーーーめ。あーーーーーーーーーーー」
 平井莉緒は藻掻き喚く。
 腸の中が一気に撹乱されたのである。
 
 南沙羅と斑目沙弓元陸士長は武陵源を離れた。工作員から直ぐにその報告が娼国に飛ぶ。
 その頃。次の刺客が娼国を狙っていた。
 平井莉緒の送った情報はまだ使い道がある。そして平井莉緒の躰には発信機が仕込まれていた。
 第二派はR国国際空港から港に移動する。其処からクルーザーがヨットを曳航して娼国南の島に向かう。
 クルーザーは風向きを考慮した五キロの地点で引き返す。
 ヨットは南の島の南側二キロ地点まで接近する。
 潜水服と水中推進器を準備している。
 隊員は四名である。
 その内三名が水中推進器で南の島に向かう。
 ヨットには斑目栞里が一人残る。陸上自衛隊元陸士長斑目沙弓の妹である。
 
 真紀子は逆さ吊るしで大型のアナル開口器を挿入された状態の平井莉緒に鞭を構える。
 一本鞭である。先端は長方形のゴムの混じった素材でやや硬い。
 「さあ。お○○こを叩くからね」
 「うぬーーーーーーー」
 平井莉緒には震えて唸る以外術はない。
 「どうやって連絡を取っていたの。言いなさい」
 真紀子は鞭を振り被ってもう一度要求する。
 「・・・・・・・・」
 平井莉緒は身構えて無言で睨み返す。
 真紀子は鞭を振り降ろす。
 鞭の先端がきっちり閉じ合わせた女の部分の粘膜を叩く。
 「うおーーーーーーーーーーーーー。ぐうおーーーーーー。ぐおー。ぐおー」
 平井莉緒の躰は空中で震撼する。先端が小さく硬い。敏感な部分を叩かれた痛みは尋常ではない。
 「ううおお。うおー。うおー」
 痛みにがたがた震えている。直腸の中はどんどん拡散する。
 将校が吊るされた平井莉緒の吊しの真下に大きな透明なボウルを置く。
 真紀子はもう一発構える。
 「は・・・・・・・・・・・・・・・」
 平井莉緒の表情は恐怖に歪みきっている。
 真紀子はその表情をじっくり見て鞭を振り下ろす。
 斜めにきっちり閉じ合わせた粘膜を叩く。
 「ぐうううーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。ぐおーーーーーーーーーーーーーーーー。ぐごおおーーーーーーーーーーーーー」
 平井莉緒は大口を破裂させ頭を振って悲鳴を搾り出す。堪えられない痛みの余韻に躰を強く暴れさせる。
 「ううおおーーーーーーー。うおーーー。ぐうおーーーーーーーーー」
 遂にアナルの開口器から茶色い水が溢れ出てさらに便が飛び出す。
 「あーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーーーー」
 平井菜緒は恐ろしい羞恥に喚き続ける。
 「三十路余りのお漏らし。ああはずかしいーー」
 真紀子はこの時と詰る。
 将校が二人掛かって逆さ吊るしの平井菜緒の躰を持ち上げて横にする。
 鄭淑徳少将がボウルの位置を調整する。
 アナルの開口器から便とグリセリンが流れ出す。
 「ああはああーーーーーーーーーーーーーーーん。ああーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。あはあーーーーーーーーーーーーー」
 平井莉緒は堪えられない羞恥に泣き喚く。
 葛城義和がピッチャーに入れた生ビールを開口器に流し込む。
 「ううーーーーーーーーーーーー。ううわああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 きりきりに冷やした生ビールである。腹の痛みが一気に襲う。
 もう一度腸の奥から緩い便が溶けて流れ出す。
 「あーーーーーーーーーーーーーー。あはーーーーーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーーー」
 堪えられない。甲高い悲鳴を流す。
 「あはあーーーー。あーーーーーーーー。あはあーーーーーーーー。はあ。はあ。はあ。はあ」
 平井菜緒は躰を揺すって荒い息遣いを続ける。土色に染まった顔が汗と涙に塗れて無残極まりない。
 苦しい排泄が治まって将校がアナル開口器を抜く。
 真紀子は電マを持ち出す。
 この状態の平井莉緒の股間にぴったり当てる。
 「あ、ああーーーー。ううーーーーーーーーーーーーーー。やめろーーーーーーーーーーーーーーーー」
 今の平井莉緒に堪える気力はない。
 「あはーーーーーーーーーー。いやあーーーーーーーーーーー。やめろーーーーーーーーーーーーーーー」
 イッてしまうのは何としても逃れたい。藻掻き続ける。
 
 ヨットから水中推進器で進んだ三名はは南の島の南面に着く。
 先頭がザイルとハーケンを使って崖を登る。
 二人目が機関銃を背負って登る。
 
 その頃。津島の部下は娼国の事務所にサーバー要員を置いた企業を突き止めた。
 娼国警察員がS国の本社に向かう。
 「確かに日本から派遣社員をサーバー室に入れましたが」
 社長はそれが何か問題かと言う表情である。
 「そのサーバー室の技師が北嶋副主席ら暗殺計画に協力した」
 「なんと」
 社長は驚愕の表情に成る。
 「木邑良乃に協力したのではないのか」
 警察員は詰め寄る。
 「そんな人は知らない」
 社長は言下に否定する。
 「元国民党衆議院議員だ」
 「落選した議員か。そんな者に誰が協力するか。私が国民党に協力しないことは平佐和先生が一番良く分っておられる」
 「なに。平佐和先生」
 警察員は直ぐに確認を取る。
 娼国CICから平佐和に確認が飛ぶ。
 「良く知っている。派遣社員ならそこまで考えてなかったのだろう」
 平佐和もきっぱり否定する。
 「先生。派遣社員では身元確認の不完全かもしれませんが、内部に協力した者が居るかもしれません」
 「葛城君が言うには内部に協力者が居るかもしれない。社長の木下の協力を得て良く調査してくれ」
 「なかなか巧みですね」
 葛城義和は警戒を深める。
 「連絡方法が判ったのね」
 「そうです」
 それでも真紀子は平井莉緒を責め続ける。
 「あはあーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーー」
 平井莉緒は強烈な逝き声を上げて潮を噴き上げる。
 「あーーーーーーーーーーーーー。だめーーーーーーーーーーー」
 平井莉緒は遂に醜態を晒してしまった。狂った様に悲鳴を上げる。
 「この女どうする」
 真紀子は平佐和ら三人に確認する。
 「医療自習に提供すれば」
 湯野中はさっさと片付けろと言う態度である。
 「吊るしから降ろして四人で押えてM字開脚にして」
 真紀子は将校らに指示して半田鏝を暖める。
 「お○○こ焼くからね。医療自習よ」
 真紀子が冷酷にきっぱり宣告する。
 「えーーーーーーーーーー。やめてーーーーーーーーーーー。やめてーーーーーーーーー」
 平井莉緒は狂った様に喚く。
 真紀子は半田鏝の熱さを確認するのに半田を溶かす。
 「あーーーーーーーーーー。やめてーーーーーーーーーーーー。ゆるしてーーーーーーーーーーーーー」
 四人の将校は暴れようとする平井莉緒を強く押える。それでも躰は藻掻いて揺れる。
 真紀子は女の部分のびらびらを抓る様に掴んで引っ張る。
 「あーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーあはあーーーーーーーーーーーーん。ああーーーーーーーーーやめてーーーーーーーーーー」
 それでも真紀子は残虐な形相を露にして半田鏝を膣に突っ込む。
 「うおーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。ぐうおーーーーーーーーーーーーーーーーーー。あはーーーーーーーーーーーーーーー」
 平井莉緒は藻掻き暴れ続ける。
 「うおおーーーーーーーーーーーー。ううおおーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。ぐうおおーーーーーーーーーーーー」
 なかなか悲鳴は止まらない。
 直ぐに衛生兵が麻酔を打つ。
 そのままヘリが迎えに来て病院に搬送した。
 
 病院では奈那緒がインターン二十名くらいに囲まれて乳房の包帯を解かれていた。
 「どうです。綺麗に直ったでしょう」
 医師が鏡を見せる。
 「ああ。はい」
 まったく傷の痕はない。綺麗に整形されていた。
 「乳腺には影響有りませんでした」
 医師はそう付け加える。
 「ああ。ありがとうございました」
 奈那緒は深く礼を言う。
 奈那緒は四千百万を手に入れて借金を返済して七割方残る。結果的に痛い思いをしただけで無事帰還できたのである。
 
 崖を登った三人の刺客は一気に五号棟に走る。
 真紀子らはまだ四階に居た。
 平井菜緒は既にヘリで病院に運ばれていた。だが三名はヨットの中で確認した部屋に一気に向かう。
 ドアを開けて突っ込む。
 直ぐに自動小銃を乱射する。
 鄭淑徳少将の部下二人が倒れた。
 鄭淑徳少将が応戦する。
 その時別の扉から津島が中に突っ込みライフルで刺客三名を一気に射殺する。
 銃弾は真紀子のスカートを破損させ湯野中のズボンを掠めていた。どっちも怪我は無かった。
 鄭淑徳少将の部下二人は重態である。
 刺客三名は津島に頭を撃たれて即死であった。
 その頃。索敵ヘリがヨットを発見した。
 直ぐに警備艇三隻が確保に向かう。
 斑目栞里は南の五号棟四階に連行された。
 「お前の仲間だな」
 鄭淑徳少将は刺客三人の死体を指差す。
 「ああ」
 斑目栞里は蒼ざめてその姿を見る。
 「その表情では言い逃れはできないな」
 鄭淑徳少将は引っ立てる。
 「脱がせ」
 連行してきた部下四人が加勢して六人が掛かる。
 
 その頃。索敵ヘリがクルーザーを発見した。娼国の港に入るよう警告したが逃げた。
 ヘリは追尾して機銃掃射する。
 直ぐに航行不能になり乗っていた男は即死である。
 
 斑目栞里は暴れ喚いたが平井莉緒と同じ様に脚を広げられて四本の縄で吊るされた。
 「ちくしょーーーーーー。おろせーーーーーーーーーー」
 斑目栞里は喚き散らす。
 「貴女は今日から加重死刑囚よ」
 真紀子は冷たい口調で宣告する。
 「くそーーーーーーーーーー」
 確かに銃を持って他国に突っ込んだのである。非合法極まりない。斑目栞里はそれを承知で協力した。
 「先生方。今度は若いですよ」
 真紀子は平佐和らに拷問を勧める。
 「俺たちを狙った刺客の仲間か」
 湯野中が立ち上がる。
 「水槽に蛇泳がせて」
 湯野中は北側である。それでも南の鄭淑徳少将の部下に構わず命令する。
 将校らは直ぐに手配する。
 そこに柿崎一行が部下を連れて入って来る。
 「先生方。副主席。親父もご無事で」
 柿崎一行は心配そうに駆け寄る。
 「ああ。何とかな」
 湯野中は冷や汗状態である。
 「それは」
 柿崎一行は湯野中のズボンの穴を見つける。
 「危うく足を撃ち抜かれるところだった。津島が警戒していてくれて助かった。副主席もスカートに被弾した」
 「ああ」
 柿崎一行は驚きと怒りの表情に成る。
 それを聞いていた斑目栞里は悔しさに歯軋りをする。
 「柿崎さん。蛇と水槽。湯野中総統の指示で運びました。この先はお任せしてよろしいですか」
 鄭淑徳少将の部下は柿崎一行に拷問を譲る。
 「ああ。ありがとうございます」
 柿崎一行も湯野中を手伝って貰った礼を言う。そして斑目栞里をじっくり一瞥する。
 「こいつは武陵源に居た女の兄弟ですかな。確か斑目沙弓とか」
 「そういう事か」
 湯野中も頷く。
 「直ぐに照会します」
 鄭淑徳少将の部下が出て行く。
 「親父これを」
 柿崎一行は湯野中に蛇をどうするか確認する。
 「蛇を水槽に入れて頭から浸けようと」
 「判りました」
 柿崎一行は直ぐに部下に水槽に蛇を投げ込ませる。
 「さあ。行くぞ」
 柿崎一行が宣告する。
 「あ、ああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。いやあーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 斑目栞里は真下の水槽に蛇が投げ込まれて強烈な悲鳴を上げる。
 柿崎一行の部下が吊るしをゆっくり下げる。
 「あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 斑目栞里の驚愕の悲鳴が天井を劈く。
 次の瞬間斑目栞里の頭は水槽に浸かる。
 ゴボー。ゴボー。
 斑目栞里は水槽の中で頭を振って藻掻く。
 水槽の底に頭が着くまで降ろす。
 蛇は周りに逃れる。
 頃合で一気に引き上げる。
 「ぶはあーーーーーーー。うおーーーーーーーーーーー。ううおおーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 斑目栞里は水を吹き飛ばして叫ぶ。
 「娼国の病院は精神異常の学用患者を要求しているらしい。頑張ってくれ」
 湯野中が柿崎一行に要求する。
 「次はお○○こに蛇を」
 真紀子も柿崎一行に要求する。
 「やめてーーーーーーーーーーーーーー」
 それを聞いた斑目栞里は泣き悲鳴で訴える。
 柿崎一行はスネークフックを手配する。
 また吊るしが下がる。
 「あ、あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 斑目栞里は真っ青な顔を破裂させて叫ぶ。
 それでも水槽の底に顔が着くまで下げる。
 グボーーーーーーー。グボボボーーーーーーーーーー。
 
 その頃。日本では娼国に日本のテロリスト十人が二回に分けて襲撃と報道されていた。
 男八名。女二名。全員射殺と発表された。
 平井莉緒と斑目栞里も射殺されたとされていた。死刑囚にすると面倒なので射殺で済ませたのである。
 それは更に週刊太陽を廃刊に追いやる材料と成った。
 五代官房長官は記者会見で娼国に謝罪したと発表した。そしてマスコミはテロリストを擁護する事が無い様に警告する言葉を付け加えた。
 立憲国民党参議院議員徳永裕美も木邑良乃に厳重抗議した。
 だが木邑良乃はまったく動じなかった。手を拱いて調査だけしても解決しないと反論する。
 さらに娼国系旭放送が娼国は関係者として陸上自衛隊元陸士長斑目沙弓、南沙羅、吉祢恭子元千葉県警警部補の三名を国際手配したと報道する。
 そして警察庁長官後藤謙二は元国民党衆議院議員木邑良乃を任意で聴取する様に命じたのである。
 
 十人射殺報道は中国を移動中の斑目沙弓と南沙羅にも伝わった。その前に二人には平井莉緒が射殺ではなく逮捕されたと伝わっていた。
 二人は吉祢恭子と連絡を取り合流を試みた。
 
 娼国。南の島の五号棟四階の拷問部屋では逆さ吊るしの斑目栞里の膣にクスコが挿入された。
 「やめてーーーーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 斑目栞里は泣き悲鳴を上げる。
 柿崎一行の部下二人がスネークフックで蛇を掴む。毒性の無い縞蛇である。
 「あ、あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 斑目栞里の緊迫した悲鳴が室内に響き渡る。
 隊員はクスコに蛇の頭を挿入する。
 「ああーーーーーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーー」
 斑目栞里は狂った様に喚き散らす。
 もう一匹を首にぶら下げる。
 「あ、あ、ああ、あーーーーーーーーーーーーーー。あがーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーー。があーーーーーーーーー」
 斑目栞里は半狂乱に叫び首を振って暴れる。
 首から蛇は床に落ちる。
 クスコの蛇も一旦抜く。
 「あはーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーー。ああ。あはん。あはん。あはん」
 斑目栞里は涙を零している。
 これだけでは済まさない。
 透明で大きなプラスチック製の壷が運ばれる。
 斑目栞里の身長より深い。
 一度斑目栞里の躰を吊るしから降ろす。
 太腿と膝のフックを外して横に倒した壷に押し込む。そのまま壷を立てる。
 「いやあーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーー」
 斑目栞里は恐怖に喚き続ける。
 斑目栞里はそのまま壷の底にべったり座り込む。
 壷の口から五匹くらいの蛇を投げ込む。
 「あ、あーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。あはああ、ああーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 驚愕の悲鳴になる。
 斑目栞里は壷の底に爪先立ちに成り壷の内側から壷の壁面を叩きまくる。
 「あーーーーーーーーーー。いやあーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーーーー。たすけてーーーーーーーーーーーーー」
 斑目栞里は半狂乱に喚き散らす。そして恐怖から壷の口に飛びつく。だが脚を引っ掛ける場所が無い。
 壷を攀じ登ろうとするが滑ってしまう。壷の口に手を掛けて吊り下がった状態から動けない。
 「あ、ああーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーー。たすけてーーーーーーー。ああーーーーーーーーー」
 斑目栞里は涙をぽろぽろ零す。
 「もうお○○こに蛇が入ったのだ。諦めて蛇と仲良くしろ。その蛇に毒は無いぞ」
 湯野中はズボンを撃ち抜かれた怒りに詰って遊ぶ。
 「ねえ。ここにアカマタを投げ込んだらどうなるの」
 真紀子が残酷な思い付きから言い出す。
 「まずはアカマタが他の蛇を食います。次はこの女に噛み付くでしょう」
 柿崎一行は淡々と普通の事の様に説明する。
 「やって」
 斑目栞里は透明な壷の淵に掴まったままである。
 直ぐにアカマタが運び込まれる。
 アカマタは沖縄、奄美地方に生育する蛇でハブを食べることもある。凶暴で直ぐに噛み付く。だが毒は無い。
 それでも見た目は毒蛇である。
 隊員二人でアカマタをスネークフックで掴む。
 「あーーーーーーーーーーーーーーーー」
 斑目栞里はそれを見てまた悲鳴を上げる。
 「蛇の共食い見せてあげる」
 真紀子は含みを持った笑顔でそう宣告する。
 「いやーーーーーーーーーーー。もうやめてーーーーーーーーーーー」
 斑目栞里は恐怖に歪みきった顔から涙を零して訴える。
 「だーめ。気狂いになるまで許さない」
 「やめてーーーーーーーーーーーーーーー。ほんとにくるちゃうよーーーーーーーーーーー」
 「私達を殺す手伝いして命乞い。泣き言!。ふざけんなーーーーーーーーーー」
 真紀子は強い口調で怒りをぶつける。
 そこへ踏み台を使って隊員二人がアカマタを壷の底に落とす。
 「あ、ああぁあーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 また斑目栞里の泣き悲鳴が轟く。
 アカマタは縞蛇に襲い掛かる。
 「良く見なさい」
 真紀子が叱咤する。
 「あーーーーーーーーー。いやあーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 斑目栞里は既に半狂乱である。
 「見ないと壷を揺さぶるよ」
 真紀子は更に脅かす。
 「いやあーーーーーーーーーーーーーーーーん。あーーーはあーーーーーーーーーーーーーーん。あはあーーーーーーーーーーーーーーーん」
 斑目栞里にもう殆ど思考能力は無い。
 一同は暫くこの状況を愉しむ。
 「しかしなかなか精神異常の患者はできないな。医療実習に貢献は難しい」
 湯野中は日本酒を冷で飲みながらたいした事の無い様な表情で語る。
 「軍でやって二回失敗しているのだろ」
 平佐和もなかなか女達が強靭だと語る。
 「この女。気狂いにするよりもっと苦しめた方が良くない」
 真紀子は怒りが覚めてない。苦しみを正気で味あわせたい。
 「どうしたいのだ」
 湯野中はその感情を察する。
 「秘宝館が一番残酷じゃない」
 真紀子は敢えて北側のT市を提案する。
 「一度奪還されているぞ」
 「前回の様に返り討ちよ」
 「どうする柿崎」
 湯野中は柿崎一行に判断を振る。
 「奪還に来るかは疑問ですがあそこが一番残酷です」
 柿崎一行も賛成である。
 「決まったのね。それじゃ一度病院送りにしてからね」
 「その前にお○○こと口、アナルに入れてしまおう」
 平佐和も怒っている。口に入れてないのが不完全と言いたい。
 柿崎一行は部下に手伝わせて斑目栞里の躰を壺から出してM字開脚に縛る。
 涙の引いた斑目栞里は怒りの目付きで柿崎一行らを睨み続けている。
 アナルに開口器を入れて膣にもクスコを挿入する。
 斑目栞里の躰は恐怖に震える。
 口にも開口器を入れなければならない。二人でかかって二本のラジオペンチを歯の隙間に差し込み抉じ開ける。
 「ぐおお、おーーーーーーーーーー」
 斑目栞里が強く抵抗する余地もなく柿崎一行が僅かに開いた隙間から開口器を捩じ込む。
 「ぐうう、うう、うーーーーーー」
 斑目栞里に抵抗する術はない。怯え震え続ける。
 柿崎一行は最初に口に突っ込む。
 斑目栞里は目をきつく瞑り顔から脂汗を滲ませる。
 膣とアナルに二人が同時に蛇を挿入する。
 「・・・・・・・・・・」
 斑目栞里は声にならない声を歯の奥から漏らし躰を縮めて震え続ける。
 真紀子、平佐和、湯野中が上から見下ろして暫く観賞する。
 平佐和から順に離れる。
 柿崎一行らは開口器、クスコを全部抜き取る。
 斑目栞里は口から溜まった唾液を吐く様に流しだす。
 「グオホン。グオホン。グオホン。グオホン」
 暫く咳き込む。
 真紀子が半田鏝を準備している。
 「お○○こ焼くからね」
 「うあ、ああーーーーーーん」
 斑目栞里は遂に失禁しながら泣き出してしまう。
 真紀子はまったく動じない。失禁が治まるのを待つ。
 半田鏝の熱さを試すのに半田を溶かす。
 「あ、ああーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 それを見て斑目栞里は金切り声で泣き喚く。
 柿崎一行の部下二人が縛った斑目栞里の躰をさらに押さえる。
 真紀子が斑目栞里の太股を押さえて半田鏝を構える。
 「あ、あーーーーーーーーーん。ああーーーーーーーーーーーーーーーーーーん」
 泣き声混じりの悲鳴が轟続ける。
 真紀子は斑目栞里の股間の濡れをタオルで拭く。
 潮に濡れた女の部分を指で広げる。薄橙の粘膜が広がる。
 「いやああーーーーーーーーーーーーーー」
 膣口に半田鏝の狙いを定める。
 「あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 真紀子の目が斑目栞里の膣口に定まる。斑目栞里はその怖さに震える。既にサディストの目ではない。
 強い怒りが宿っている。
 「いくよ」
 真紀子は態と宣告する。
 「やめてーーーーーーーーーー。たすけて・・・・・・・・・・・・・・」
 斑目栞里の悲鳴は掠れてしまう。
 真紀子は態とゆっくりねじ込む。
 「あーーーーーーーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーー」
 斑目栞里の顔はこの上もなく大口を破裂させて悲鳴を轟かせる。
 直ぐに衛生兵が局部麻酔と全身麻酔を打つ。
 こっちもヘリが待機していた。そのまま病院に運ぶ。
 「日本から捕まえてきた三人どうします」
 真紀子は木崎綾乃、椋木美弥、新見由香の三名のことを言っている。
 「あっちは此処から動かせない」
 湯野中はT市に持って行きたくない。
 本庄真奈美らが見つけるのを警戒しているのである。
 「本庄社長と広瀬亜理紗がR国内の日本人向けホテル、高級旅館に泊まり歩いているらしいな」
 平佐和は指宿から直接聞いている。
 「ホテルを泊まり歩いても何も掴めまい」
 湯野中はそれだけなら問題ないと見ている。
 「私は疑問に思います。広瀬亜理紗や佐藤栞李が下着の製造には関係ないでしょう」
 葛城義和はこの二人の存在がただでは済まないと考えている。
 「そうね。でもどう動くか分らないよね」
 「まあ。見張り続けるよ。それとあの三人。このホテルの一角に軍人専用の秘宝館を作ってどうかな」
 「そうですね。宴会の費用は出せないし。個人ごとに交代で遊んでもらいましょう」
 葛城義和も湯野中の案に賛成する。
 「あそこに一日置きに出されたら効くぞ」
 湯野中は秘宝館の特別コーナーの企画に自信を持っている。
 「そうよ。あれほど残酷な刑は無いよ」
 真紀子もそれを認める。
 「ところで平佐和先生。週刊太陽とかはまだ廃刊に成らないのですか」
 湯野中もあと一歩潰せないすっぱ抜き週刊誌が気になる。
 「あと一息きっかけを作らんと」
 民事党四百十七議席かつ娼国系マスコミの日本参入でもまだすっぱ抜き週刊誌に業を煮やしている。
 そこへ葛城義和に連絡が入る。警察庁長官後藤謙二からである。
 「木邑良乃が姿を消しました」
 「判りました」
 続いて柿崎一行から同じ連絡が入る。津島から真紀子にも同じ連絡が入る。
 「それから斑目沙弓と南沙羅が吉祢恭子と合流して上海に向かっている模様です」
 柿崎一行はそう付け加えた。
 「中国では下手に手を出せない。日本から要請もしない方が良い」
 平佐和も苦い顔である。
 「昔の過激派と同じ様になりましたね。木邑良乃は現代の重信ですね」
 「その通りだ。だが資金の支援がある」
 「そうだな」
 「娼国の進出を嫌う多国籍日系企業も沢山ある」
 「そうよ。リベラルと言う概念が一番邪魔よ」
 「平佐和先生。そういう資金は税務調査で叩けないのですか」
 湯野中の迷った発言である。
 「こっちの多国籍企業と同じですよ。日本では綺麗に成っています」
 「そうでしたね」
 「湯野中総統。もっと日本に街を進出させましょう」
 「派遣層をもっと押えるのだな。裏の方が稼ぎに成るが」
 「それは表があるからでしょう」
 「日本の税金は高い」
 「それも街が進出すれば住民税を廃止できます。国税を消費税一本化にするには街の進出が重要です」
 葛城義和も説明を加えて真紀子の要求を援護する。
 「帯広ニューシティは潤っているでしょう」
 「行政がこっち側だからな」
 「それも進出してひっくり返すのよ。そして風俗、売春だらけの日本に戻すのよ。中国人が態々日本に来るくらいなのよ」
 「そうです。グローバル化で移民が増えるのは表面的には認めても抑える必要があります。爆買い。爆買春は促進すべきです」
 「金持ちが観光で来て遊んでもらうが一番良い。労働力は日本人の派遣とロボット化だ」
 真紀子は湯野中の資金で日本進出を拡大したいのである。そこは平佐和も葛城義和も応援する。
 
 秘宝館の分館は娼国のホテルではなくCICの入った建物の高層階に造られた。三名の収監場所もその階に移された。
 まったく構造は同じである。木崎綾乃らの首だけガラス張りの向こう側になる。拷問椅子は中間の壁の中に埋め込まれている。
 脚はきっちり拷問椅子に金属の輪で固定されていて動くのは僅か五ミリ程度である。腹部も同じである。
 股間は拷問椅子の操作で開閉が自由になる。ボディは弄くり放題で何でもできる。
 クスコ、ドリルバイブ、電マ、鞭、浣腸器、カテーテル。充分好きなアイテムが使える。
 もちろん強制SEXもできる。
 T市と合わせて予約制で五人を順次自由に虐めて愉しめるのである。
 日本では木崎綾乃、椋木美弥、新見由香は海外に潜伏して娼国を狙っているテロリストとして報道されている。
 また木邑良乃らのテロとは別の組織と報道されていた。
 
 木邑良乃は漁船から中国の貨物船に乗り継いで上海に入った。偽造パスポートで偽名での入国である。
 偽造パスポートは中国側の組織が用意してくれた。
 斑目沙弓らは上海に着いて完全に変装して姿を眩ました。これも中国の組織の手を借りた。
 中国のホテルで木邑良乃ら四名が再会する手筈である。
 柿崎一行には三名を見失ったとの連絡が入った。
 娼国は騒然と成った。大事に至らず敵を殲滅できたが二回に渡って不意打ちされた。
 これが捨て身で来るゲリラの怖さである。
 正規軍が戦争を仕掛けてくれば相当な防衛力が有る。
 空母も艦載機も潜水艦もミサイル防衛システムもゲリラには余り有効でない。
 その為に工作機関がある。それも今回完全に突破された。
 これまでの敵は同胞の奪還。娼国、R国の実態を暴いて国際社会に曝すことであった。
 今度の敵はゲリラ攻撃で首脳部の暗殺と言う目的で来た。
 さらに病院から報告が入った。平井莉緒の体内から発信機が見つかったのである。
 娼国。ホテル最上階。座敷天昇の間である。
 「二回目の刺客は発信機の情報で南の島に現れたのだな」
 何故気が付かなかったか。湯野中は苦々しい。
 今日も大きな窓の横にカウンターが設置されて板前が寿司を握る。お馴染みの津梨清吉である。
 「二段構えの攻撃を最初から予定していた。それも平井莉緒が捕まってそれを目標に来る。あの女はそれを期待して拷問を受けていた」
 湯野中は銃弾がズボンを掠った怒りに事態を振り返り平井莉緒への怒りを再燃させる。
 「囮になって態と我々を引き付けたか」
 思い出して平佐和も怒りの表情を強くする。
 「今回総て囮が活躍しましたね」
 葛城義和も木邑良乃らの囮作戦の巧みさに警戒を強めている。
 「今後の守りをどうするかよ」
 真紀子も銃撃を間近に食らって動揺している。
 「此処を動かないことか」
 平佐和が見当違いな事を言う。
 「いつまでもそんなわけには行きません。此処も安全ではありませんでした。テロには武装だけでは駄目です」
 「ならば先生どうします」
 湯野中は葛城義和に解決手段を求める。
 「テロに完全な守りは有りません。敵を発見して殺す事です」
 葛城義和は断言する。
 直ぐに津島と柿崎一行が呼ばれる事になった。
 
 新しい秘宝館分室には天葛少将が現れた。
 今日の餌食は椋木美弥である。
 「何よ。これ」
 椋木美弥は捕らえられてからの理不尽さに怒りの日々であった。
 そして今日頑丈な拷問椅子に固定されてこんな部屋に出された。
 「此処は秘宝館の分室なのだよ。三日に一度此処に出される。俺達が交代でお前らを性的玩具にして愉しむのだ」
 天葛少将は宣言する。
 「ふざけるな!」
 椋木美弥は溜まった怒りに猛然と叫ぶ。
 「乳首綺麗に直ったな。まだまだ虐めて愉しめるな」
 天葛少将は構わず詰る。
 「畜生。ふざけやがって」
 椋木美弥は理不尽さに怒りはどんどん沸騰する。だがその行場はない。
 さらに逃れる手段もない。
 理不尽な鉄格子を挟んで三人でいくら話し合っても解決も希望も見当たらない。怒りだけが何処までも駆け巡る。
 木崎綾乃が拉致される寸前に徳永裕美から聞いた忠告が強い絶望と成って圧し掛かる。
 「今日はお前の感度を確かめて泣くまで逝かせてやる」
 天葛少将はドリルバイブと電マを翳す。
 強力なマジックバンドの手で両側から腰を押さえる。
 ドリルバイブは膣用とアナル用の二本用意している。
 スポイトで膣とアナルにローションを注入する。
 「やめろーーーー。そんな事したって何の意味もないよ」
 椋木美弥はこの責めに堪えられないと解っている。それでも抗議する。
 「こっちがお前の反応を愉しめれば良いのだ」
 天葛少将は構わずアナルのドリルバイブから挿入する。
 「あーーー。いやあーーーーーーーーーーーー」
 椋木美弥は喚き抵抗する。
 天葛少将は容赦なく擬似男根の先端の手前を持って捩じ込む。
 「うおーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 椋木美弥の悲鳴とともに細い擬似男根はアナルに深く突きさる。
 「う、うーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 椋木美弥は更に強烈に悲鳴を上げる。
 天葛少将はマジックバンドを引き寄せて挿入したアナル用のドリルバイブを固定する。
 続いて膣に入れる太いのを手にする。その擬似男根にローションをたっぷり塗る。
 無防備に強制的に晒されている椋木美弥の膣口を指で強引に広げる。
 「あーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 椋木美弥は強烈に悲鳴を上げる。
 「まだ慣れないのか」
 「ふざけるなーーーー。こんなことに慣れるかーーーー」
 美しい椋木美弥の顔が般若の形相に破裂する。
 「今のうち気持ち良く成っておきな。この先も有るからな」
 天葛少将は不気味に哂う。
 
 娼国。ホテル最上階の和食天昇の間である。
 夜に成って柿崎一行が娼国に着いた。指宿も呼ばれた。
 カウンターを広くして鄭淑徳少将を加えて十人の会議と成った。
 「確かに中国に居る間は手を出さない方が良いです」
 鄭淑徳少将も難しさを指摘する。
 「四人分散した方が良いかな」
 あれから平佐和は固まっていると一気に襲われると考えていた。
 「それは警備が大変だ」
 津島が言下に否定する。
 「そうです」
 指宿も同調する。
 「中国で見失ったのは高度な変装をしたからでしょう」
 柿崎一行の見解である。
 「こっちに入ったら防犯画像で分析できるか」
 指宿が確認する。
 「なんとも。変装の具合です」
 柿崎一行は変装するならその辺は考慮していると見ている。
 「敵がどう入って来るかだ」
 「もう潜水艦は使うまい」
 「そうですね。中国から回るなら潜水艦はないでしょう」
 「R国内を移動すれば何処かで発見できます」
 「敵が我々四人の居場所をどうやって確認するかです」
 「まだ潜入者が居るとか」
 「可能性がないとは言えません」
 柿崎一行はそれも疑っている。
 「もし居たら容易に発見できないぞ」
 津島は今の警備態勢で侵入するなら発見は難しいとの見解に成っている。
 「この囮作戦ですが。こっちの事情をかなり調査していませんか」
 葛城義和の懸念である。
 「そうだ。我々の動きを巧みに予測している」
 湯野中も充分に思い当たる。
 「もっと以前に潜入者が居て平井莉緒は囮を兼ねた二人目の工作員か」
 津島もそれなら理解できると言いたい。
 「内部調査は容易ではないな」
 柿崎一行も困った表情になる。
 「我々四人の細かい動き、思考を観察できる位置に居る奴です」
 葛城義和はかなり身近に居ると予測する。
 「最近我々の身辺に新たに近付いた者は居ないぞ」
 湯野中は懐疑的になる。
 「そんな以前から見張られているのか。何故。最初から内情の暴露ではなく暗殺目的なのか」
 平佐和は重要な情報を掴まれていると懸念する。そしてそれでもさらに暗殺を優先したと恐れる。
 「相当な情報を掴んでいる可能性もあるということ」
 真紀子も困惑状態である。
 「問題は何処に居るかです。それによって掴まれる情報が違います。一番危険なのはこの部屋に入れる者です」
 柿崎一行の見解である。
 「それは抜本的にまずい」
 湯野中は大きな危険だと思う。
 「しかし長年居る者ばかりです」
 鄭淑徳少将は否定する。
 「買収された可能性も考えられませんか」
 柿崎一行は危険の可能性を追及する。
 「買収できるのは交代の多い警備員くらいだ」
 津島も否定的である。
 「とにかく調査を開始しましょう」
 真紀子は調査を促す。
 「そうです。そして守りをどう固めめるかです」
 葛城義和もそっちを推進する。
 「中国の件はどうします」
 「中国の闇組織が手を貸したのならこっちの工作員は引き上げた方が良い」
 津島が結論的に言う。
 「そうです。また面倒が増える危険もあります」
 葛城義和も納得する。
 津島の指揮下で捜査は開始されることとなった。
 
 椋木美弥はドリルバイブ二本と電マの責めで二回失神を繰り返した。
 天葛少将は失神したままの椋木美弥に挿入した。肌理の細かく美しい肌である。剃毛されていて陰毛の存在した辺りの皮膚がほんのり紅い。
 椋木美弥の追い詰められて崩れ切った美人顔が天葛少将をとことん起立させた。破裂寸前の情液を女の奥に破棄する。
 完全な生強姦である。
 「あ、ああーーーーーーーーーー。やめろーーーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーー。ちくしょーーーーーーーーー」
 椋木美弥は意識を回復して生中出しに気付いて叫ぶ。三回も輪姦されていてももう仕方ないと許せるものではない。
 「こんな事。こんな酷い事。許される国は何処にも無いよ」
 椋木美弥に怒りに沸騰している。
 天葛少将は椋木美弥の躰に剥き出しの銅線を当てて数ヶ所テープで留める。
 その銅線を上からグリップで皮膚を摘まんで留める。銅線は二系統肩から乳房、乳首、臍の横を通って股間の横を通して内腿を膝まで張り巡らす。
 女の部分には触れてない。
 天葛少将は別の剥き出しの銅線を二本小陰唇に左右三本のグリップで留める。
 四系統の電源を調整して愉しむ目論見である。
 椋木美弥は怯えながらも怒りの籠った目で天葛少将の動きを見据える。
 「電流責めだよ」
 「うぬう」
天葛少将はトランスの摘まみを回す。
 「う、う、うーーーーーーーーー。」
 椋木美弥は目をきつくつぶって顔を歪める。
 「うーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 天葛少将は一気に電流を上げる。
 「あ、あーーー。ぐううーーーーーーーーーーーーーーーー」
 椋木美弥は躰を歪め揺すって藻掻く。
 「あはあーーーーーーー。あ、あーーーーーーーーーーーーーー。あがあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 椋木美弥はブルブル震撼する。
 「あーーーーーーーはあーーーーーーーーーーーーー。あがあーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 椋木美弥の表情は恍惚に成る。椋木美弥の苦しむ表情は実にそそらせる。
 「あーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 天葛少将は失神寸前に電流を切る。
 「あはあ。はあ。はあ。はあ。はあ」
 暫く荒い息遣いが収まるのを待つ。
 また電流を流す。
 「あがあーーーーーーーーーーーーーーー。ぐがああーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。ぐうがああーーーーーーーーーーーーーー」
 美人顔が破裂して般若の形相で苦しみ続ける。
 恍惚の表情を愉しんで電源を切る。
 「あはあ。はあ。あはあ。はあ。はあ。はあ。はあ。だめーー。もうだめーーーー」
 椋木美弥の躰はブルブル震えている。視線は定まってない。蒼白な表情である。
 天葛少将は加虐心が沸き立っている。自分自身でも正常とは思えないくらい興奮している。
 それでも止められない。
 もう一度電流を流す。
 「あーーーーーーーーー。があはあーーーーーーーーーーーー。あがあーーーーーーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーーー」
 椋木美弥は叫び藻掻き続ける。
 天葛少将はこの手応えになかなかスイッチが切れない。興奮の坩堝である。
 「あ、あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 やがて静かに白目を剥いてしまう。
 天葛少将はガラス張りの向こう側のマジックハンドを操縦する。顔を抑えるアクリル板をセットする。
 椋木美弥の顔は二枚のアクリル板に挟まれどっちにも躱せない。
 天葛少将はマジックハンドで椋木美弥の口を抉じ開ける。間髪を入れず口に開口器を差し込む。
 椋木美弥はまだ失神したままである。
 天葛少将はもう一度微電流を流す。
 「ヴ、ゴ、おぉおーーーーーーーーーー」
 椋木美弥は開口器の奥から鈍い悲鳴を上げる。
 天葛少将は拷問椅子のサイドに設えた踏み台に乗って拷問椅子を跨ぐ。ガラス板に穴が開いていてそこに漏斗を差し込む。
 天葛少将は一物を出す。
 その漏斗に小水を流し込む。
 それはもろに椋木美弥の顔に掛かる。椋木美弥は目をきつく瞑って堪える。
 天葛少将は漏斗の角度を調整して口の開口器に流し込む。
 ゴボゴボ。
 顔に跳ねながら口に流し込まれる。臭く不快感極まりないぬるま湯である。
 ごぼーーーーー。ぐぼーーーーーーー。
 椋木美弥は喉から口の中の小水を押し出す。全部は出せない。
 天葛少将はマジックハンドで開口器を抜き取る。
 一気に電流を流す。
 「ぐうあああーーーーーーーーーーーーーーーーー。がああーーーーーーーーーーーーーーーーーー。がああーーーーーーーーーー」
 椋木美弥の躰はまた強く震撼する。口に小水が残ったままである。
 天葛少将は軍手を着ける。
 銅線掴む。二本を強く一気に引く。
 「うおーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。ぐおおーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 クリップが引っ張られて外れて飛ぶ。
 「う、おお、おーーーーーーーーーーーーーーーーー。うおーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 強烈な痛みに椋木美弥の躰は強く力の限り藻掻き暴れる。
 「ううおおーーーーーーーーーー。うおーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 堪えられない痛みに強烈な悲鳴が続く。
 「ぐおふぉーーーーーーーーーーん。ぐほおーーーーーーーーーーーーーーん。ぐほん。ぐほん」
 強烈に咳き込む。
 小水を飲んでしまったのである。
 「ああーーーーーーーーー。はあん。あはん。ああーーーーーーーーー」
 椋木美弥は号泣する。
 天葛少将は嬉しそうにそれを鑑賞し続ける。
 そして興奮度が上がったところでもう一度椋木美弥に挿入する。
 「いやあーーーーーーーーー。やめてーーーーーーーーーーーーーー」
 全身痛みに震える躰に挿入されてしまった。
 天葛少将は猛然と強く突き込み続ける。
 「があーーーーーーーーーーーー。あがあーーーーーーーーーーーーー。ぐうがああーーーーーーーーーーーー」
 椋木美弥は涙をぽろぽろ零している。
 天葛少将は興奮度が増して直ぐに果てる。
 椋木美弥は痛みの上に無常な生中出しに泣き続ける。
 躰の数箇所にクリップが引き摺った痕に血が滲んでいる。
 次の予約が有るので直ぐにスタッフが椋木美弥の躰のメンテを開始する。
 
 動画投稿サイトに広瀬亜理紗がR国探訪動画を配信した。
 特別に娼国、R国の内情を暴露するようなものではない。
 それでも真紀子も葛城義和も驚愕した。
 個人の旅行記では取材目的とは言えない。それでも捨て置く訳にはゆかない。
 次にやったら国外退去命令を出すと警告した。
 「ああ。何。ここまで規制するの」
 広瀬亜理紗は驚きと怒り不安が一挙に去来した。
 娼国、R国では国内のサイト以外インターネットに接続できない。
 それでも日本企業だけ例外的に認められている。
 その日本企業のサイトにも国内から一般にはアクセスできない。
 またR国内には日本企業とて配信はできない。
 広瀬亜理紗は強く身の危険を感じた。だが日本に帰っても今更危険は同じである。
 遠い治安の良い国に逃れるのが最善かもしれない。
 だがそれでは目的の調査ができない。
 本庄真奈美と広瀬亜理紗はS市のセントラルホテルに来ていた。古いホテルである。
 鉄道の駅を挟んで反対側には近代的な新日本空輸ホテルが建っている。
 「此処も買春目的のお客ばかりなのね」
 「少し内容が違うわね。お値段は同じでも時間が短いです。此処は企業の人より外から来る日本人向けなのよ」
 「中国人も居た」
 広瀬亜理紗はフロントで何組か見かけていた。
 「でもこの国の体質が随分分って来たのでは」
 「まだまだ。国際社会に非難させる内容はまったく掴めてないです」
 本庄真奈美はまだ満足行く内情は掴めてないという見解である。
 「選挙がインチキと判ったのは」
 「そうとは言えないよ。軍が介入したわけでも開票がインチキでもない。制度は問題ないよ。資金提供の問題で立候補が出ないだけよ」
 「そうか」
 広瀬亜理紗は悔しそうな表情である。
 「おそらく北側は湯野中氏。南側は娼国から候補者が資金提供を受けて病院、学校を運営するのよ」
 「それを資金提供ではなく累進課税で税金にするべきでしょう」
 「消費税十パーセントだけを売りに多国籍企業を呼ぶ。これを国際ルールで違法にはできないわ」
 「そうね。これを公表してもR国に多国籍企業が増えるだけね」
 「下層の生活水準が確保されている。だから国民が不満を持って香港やミャンマーのような事が起こらないのが強みよ」
 「もっと酷い独裁国家は他にも有るね。やっぱり日本の政治家、官僚への資金の流れだけね」
 だがその証拠はこれまで一度も出てない。
 
 娼国。ホテル最上階。天昇の間である。
 「これは何かを発信する状況調査か。それともこちらの反応を試したか」
 平佐和も穏やかには見てない。
 「間違いなくそうよ」
 真紀子も何をするか想定は付かない。それでも強く危惧を持っている。
 「奴等は何処まで情報を掴んでいるのだ」
 湯野中も警戒心は同じである。
 「大したことは掴んでいないと思います。何か掴んだら直ぐに動くでしょう」
 葛城義和は簡単には内情を掴めないと見ている。今回警告して置けば自粛するとの見解である。
 
 中国上海。古いビルの地下である。
 元国民党衆議院議員木邑良乃らはその近くの安いホテルに身を隠していた。
 このビルは中国の組織の事務所に成っている。
 「木邑さん。お客人が着きました」
 中国の組織が日本からスナイパーを呼んだ。
 「大田正克氏だ。超一流のスナイパーだ」
 中国の組織の者が紹介する。
 「狙うのは北嶋真紀子娼国副主席。湯野中匡史。平佐和元総理。葛城元総理の四人だな」
 太田正克は木邑良乃に直接確認する。
 「そうです」
 上野愛菜娼国海軍大尉はいつの間にか外された様である。
 「前金一千万。後金一人に付き一千万だな」
 さらに大田正克は報酬を再確認する。
 「そうです」
 「前金一千万は此処に有る。後金四千万の存在はこっちで確認している」
 中国の組織の男が保証する。
 「判った」
 太田正克は了解した。
 
 娼国。CICビルの四十二階。木崎綾乃らを収監する新しい鉄格子である。
 軍の憲兵が同じ階に常駐している。食事の配膳は南の島に居た警備員がこちらに移った。
 椋木美弥は鉄格子に戻されるなり倒れて動かない。
 食事も頼まないので衛生兵が点滴をセットする。
 三名の部屋にはそれぞれテレビが設置されている。日本の放送が受信できる。自分らが日本でどの様に報じられているかも見ている。
 自分らだけが先進国の常識の外に追い出されている。それ以外で日本は極めて先進国の常識ルールで運営されている。
 憤懣やるかたなきだがどうする事もできない。冤罪は時々騒がれるが冤罪以上の仕打ちである。
 椋木美弥は夜の十時を回ってようやく起き上がることができた。
 今日受けた仕打ちを二人に説明した。恐怖と怒りのどん底である。
 「酷かったのは天葛」
 「あの男」
 名前を聞いて新見由香も怒りを露にする。
 翌日は新見由香の予定と成っていた。
 
 D市。市江廣子の経営する日本旅館。VIP専用露天風呂である。
 四名で露天風呂会議が開かれていた。
 津島を含めた娼国の特殊部隊が警護している。北側も軍から警備を出している。もとよりD市は北側の領域である。
 其処に柿崎一行が入って来る。
 「日本のスナイパー大田正克が上海に入りました」
 柿崎一行は緊急報告を行う。
 「なにーー」
 湯野中は驚きの表情に成る。
 「そいつ何者」
 真紀子は大田正克を知らない。
 「要人暗殺を請け負う一匹狼のスナイパーだ」
 「木邑良乃がそいつを雇ったと言う事」
 「その可能性が有るのだな」
 湯野中は柿崎一行に確認する。
 「斑目沙弓と南沙羅と吉祢恭子が上海で消えて太田正克が上海に入ったか。やはり木邑良乃も上海だな」
 平佐和もほぼ確信する。
 続いて柿崎一行は津島にも報告する。
 「分った。俺が厳重に護る。あんたは調査を続けてくれ。調査はそっちがお得意だ」
 「判りました」
 柿崎一行も相手がスナイパーなら津島に頼るしかない。
 「スナイパーでもどうやってこの国に進入するのだ」
 平佐和はそこが疑問である。
 「山を越えて来る可能性が高いでしょう」
 「ならば娼国は無理だな」
 「そうとも言えません。海兵隊以上の能力が有ると思います。海からでも来ます」
 「そうなると我々の情報を何処から得ているかだな」
 「そうです」
 「益々潜伏者の調査が必要だな」
 湯野中は事態の重さを実感する。
 
 中国上海。古いビジネスホテルのツインルームである。
 木邑良乃、斑目沙弓、南沙羅、吉祢恭子の四人が安いワインで飲み会をしながら話し合っていた。
 「あのスナイパーで総て片付きますか」
 斑目沙弓は自分らで解決すべきと心の底で思っている。
 「片付かなくてもあくまで一人いくらよ。一人でも二人でも片付けてくれればいいよ」
 木邑良乃はこれで完全とは思っていない。そして斑目沙弓の意識も理解している。
 「あのスナイパーが自分で標的を探すのですか」
 「ターゲットの居場所はこっちで調査するのよ」
 「だって平井莉緒は捕まったのですよ」
 「違う。それ以前から情報は得ている。平井莉緒が収集したのはホテルの部屋番号だけよ」
 「他に仲間が潜入しているのですか」
 吉祢恭子はそんな事は聞いてないと思う。
 「ううん。M国の弁護士ルートよ。徳永裕美には断られたけど直接交渉したら応じたよ。実際に動くのはR国の弁護士らしい人物だけど」
 「そのR国の弁護士らしきが調査できるのですか」
 「手蔓が有るのよ。一人は警備員。一人は娼国のホテルラウンジの女性バーテン。その夫は和食の調理師」
 「それでそんなに情報が得られるのですか」
 「娼国の古いホテルにVIP専用口は無い。ラウンジのカウンターから入口まで見渡せるのよ」
 「はい。それでT市の情報は」
 吉祢恭子もT市で六人奪還した話は聞いている。
 「これもあの日本人居住区湖畔のホテル従業員よ」
 「私達がその情報で動けますね」
 斑目沙弓が確認する。
 「最終的にはやって貰わないとなりません」
 木邑良乃もそれに念を押す。
 
 娼国。CICビルの四十二階。
 朝食が終わった時間に憲兵が新見由香を迎えに来た。
 「いやーーーーーーーーー。いやよーーーーーーーーーー。いやですーーーーーーーーー」
 新見由香はごねる。
 「だまれーーーーーー」
 憲兵は三人掛かって強引に抑えて担ぎ出す。
 それでも新見由香は暴れる。
 憲兵は更に増員する。
 最終的にクロロフォルムを使って拷問椅子に固定した。
 一人目の予約は生方少将である。
 生方少将はスタンガンを使って新見由香を起こす。
 新見由香も昨日の椋木美弥と同じ様に拷問椅子に固定され顔の前だけガラス盤が遮っている。
 股間は既に広げられ女の部分は丸出しである。
 「おのれーーーーー。生方」
 新見由香は生方少将を見るなり怒りの声を上げる。
 「さあ。今日もたっぷり良い声で鳴いてもらいますよ」
 生方少将は嬉しそうに詰る。
 「その。変な道具。そんなの使っておかしくなっても。かんけいないよーーーーーーーーー」
 新見由香は不本意に逝かされるのは許せない。それでも機械には堪えられない。それで逝ってしまってもインチキだと言いたい。
 「何でも完全燃焼してしまえばそれまでよ。百パーセント逝って失神や」
 「ちくしょーーーーーー。おのれーーーーーーーー」
 新見由香は行き場の無い怒りに叫ぶ。
 「今日はな。ドリルバイブじゃなくて爬虫類に舐めさせて逝き顔を愉しませてもらう」
 「なんだってーーーーーーーー」
 「お前のプライドを更に地の底に堕としてやる」
 「おのれーーーーーーーーーー」
 「これは日本の蜥蜴だ。おまえのま○○こにすっぽり入る」
 「やめろーーーーーーーーーーーーーーーーー。いやあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーー」
 新見由香は拷問椅子の上で固定されて動かない腰を引ける限り僅かに引いて恐怖の表情を破裂させて叫ぶ。
 「蜜をたっぷり流し込んで」
 「あーーーーーーーーーーーー。やめろーーーーーーーーーーーーー」
 新見由香の表情は歪み般若の形相に破裂している。
 生方少将はクスコを新見由香の膣に挿入しようと押し付ける。
 「あ、あーーーーーーーーーーーー。いやあーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーー」
 新見由香は泣き叫び膣に力を入れて抵抗する。
 生方少将はたっぷりローションの代わりにやや薄めた蜜をクスコに掛けて押し込む。
 「お、おーーーーーーーーーーーーーーー。う、うう、うーーーーーーーーーーーーーーー」
 クスコは強引に新見由香の膣の奥まで刺さった。
 生方少将は螺子を回して広げる。これは抵抗しても無駄である。
 「い、いい、たいーーーーーーーーーーーーー」
 新見由香は泣き叫ぶ。
 蜥蜴には糸が胴にフックで付けられている。それをプラスチックの板に載せてクスコにぴったり着ける。
 クスコの中は蜜で充満している。
 蜥蜴は中に滑り込む。
 「あーーいやだあーー。ああーーーーーー。いやあーーーーー。いやあー。ああーーーーーーーーー。いやあーーーーーーーー。ああーーーーーー」
 新見由香は究極に顔を振って泣き叫ぶ。
 「やめてーーーーーーーー。ああーーーーーーーーー。だめーーーーーーーー。いやあーーーーーーー。ああーーーーーーーーーー。いやあーーーーーー」
 新見由香は真っ青な表情に汗と涙を噴いている。
 「うやあーーーー。いやあーーーーー。あーーーー。だめーーーーー。いやあーーーーーーーー。だめーーーーーーーー」
 新見由香は気が狂わんばかりに泣き叫び続ける。
 生方少将はそれを嬉しそうに眺め続ける。
 蜥蜴は膣の中を動き回って出て来る。
 「あーーーーーーーーー。あはあーーーーーーーーーーん。あはん。あはん。あはん。あはん」
 新見由香は泣き続ける。
 生方少将は糸を付けた蜥蜴を三匹新見由香の躰に載せる。
 「い、い、やああーーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 大人の理知的な女が小娘の様に泣き悲鳴を上げる。
 生方少将は堪らない快感である。
 蜥蜴の糸はリングが手元側に付いている。生方少将はそれをクスコの螺子に引っ掛ける。
 いまの生方少将は軍服の下でベルトの真下まで肉棒が突っ張っている。
 生方少将は蜥蜴の舌の様なシリコンの舌が短い棒の先端にL字に付いた道具を持ち出す。
 それを見えない様に膣の中に差し込んで女の一番敏感な部分を舐める様に責める。
 「あーーーーーーーー。あはあーーーーーーーーーん。いあやあーーーーーーーーーーーーー。やめてーーーーーーーーーーー」
 蜥蜴は新見由香の腹と土手に止まっている。
 生方少将はゆっくりシリコンの舌を蚯蚓千畳の膣の天井部を這わせる。
 「いやあはーーーーーーーーーーーーー。い、い、やあーーーーーーーーーーーーーーーーー。いやあーーーーーーーーーーーーー」
 新見由香は堪らない感触に喚き続ける。
 それでも膣の中は濡れてきている。
 「あ、ああーーーーーーーーーー。いやあーーーーーーーーーーーー。いやあーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーー」
 新見由香は藻掻き抵抗を続ける。
 生方少将はそれでも蜥蜴が舐めている様に責め続ける。
 「やめてーーーーーーーーー。いやだあーーーーーーーーーーーー。やめてーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーーーーーー」
 新見由香は何としても今の事態に我慢ならない。それなのに仲間は動けない。日本では自分らがテロリスト扱いに成っている。
 「あーーーーーーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 新見由香は堪えられない。
 股間部分は痙攣して震撼している。
 「お前らジャーナリストには特別なお仕置きが必要だ。こうして毎回弄られてプライドを剥ぎ堕す。淫乱女にすることだ」
 生方少将はただ詰るのではない。憎しみも篭っている。
 「ちくしょう」
 「俺たちの国は軍が護っているのだ。いくらペンで叩いても無駄だ」
 生方少将は独り善がりな事を言ってしまう。
 「ふん。葛城とかが亜細亜から経済をこの国に我田引水して軍が養われているのだろ」
 新見由香は今の姿にされても言い返してしまう。
 「どうであれこの国の力は万全だ」
 生方少将は膣の中を消毒してクスコを抜く。
 「いつまで続くか。こんな事がばれたら終わりだよ」
 「だから軍が護っているのだ。それに経済制裁などロシアより利かないぞ」
 生方少将は時間がもったいないと次の責めに入る。
 乳房の上と下に銅線を巻きつける。更に乳首の真上に一本巻く。
 生方少将は消毒した新見由香の女に突っ込む。
 「うおーーーーーーーー。やめろーーーーーーーーー」
 新見由香は無駄でも抵抗する。
 興奮度の高く怒張した男根は濡れた膣に強く突き刺さる。
 「ぐうおおーーーーーーーーーー」
 新見由香は究極に顔を歪める。
 生方少将はトランスのスイッチを回して電流を流す。
 「うう、おおーーーーーーーーーーーーーーー。ぐうおおーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 新見由香の躰が拷問椅子を強く揺する。股間には力が入る。
 生方少将は新見由香が苦しむ感触を膣にめり込んで怒張した男根に受けて愉しむ。
 「ああーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーー」
 生方少将は何度も電流を入れたり切ったりして愉しみ続ける。
 「うおおーーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーーー」
 新見由香は苦しみ藻掻き続ける。
 銅線は白く肌理の細かい皮膚にめり込んでいる。
 生方少将は何処までも感触を愉しむ。
 更に電圧を上げる。
 「あがあーーーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 新見由香が苦しめば膣が締まる。躰が震撼する。
 生方少将の刺激は更に増す。
 「あうおおーーーーーーーーーーー。うおおおーーーーーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 新見由香は顔を後ろに倒して白目を剥き始める。
 「あ、あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 強烈な悲鳴が一条轟く。
 膣は強く締まる。
 生方少将は新見由香の女の中に果てる。
 新見由香は白目を剥く。そして首が横に倒れる。
 生方少将は新見由香の乳房に巻いた三本の銅線を外す。
 教鞭の様な細い竹の鞭を持つ。
 失神して白目を剥いた顔をもう一度満足そうに覗き込む。
 竹の鞭で脚の裏を叩く。
 「う、うう、うーーーーーーーーー」
 新見由香は意識を戻す。
 生強姦された後と悟る。怒りの篭った目で生方少将を見る。
 生方少将は新見由香の膣から情液を掻きだして指に付いた情液を見せる。
 「おのれーーーーーーー」
 新見由香は涙を流して怒る。
 これから三日に一日このように拷問され強姦されるのである。
 救援の当てはまったくない。助かったのは裏切ったものだけである。
 生方少将はまだ加虐心が滾っている。
 細い竹の一本鞭を構える。
 乳房を叩く。
 「うう、おおーーーーーーーーーーーー」
 新見由香の躰が震撼して全身に力が入る。
 生方少将は容赦なく乳房と太腿を叩き続ける。
 新見由香は涙を飛ばし悲鳴を搾り出す。
 「ううーーー。うおおーーーーーーーーーー。もうゆるしてーーーーーーーーーーーーーーーー。ゆるしてーーーーーーーーーーー」
 遂に泣き喚く。
 「ジャーナリストは許さない」
 生方少将は点火してあった蝋燭を手にする。
 新見由香の躰は蚯蚓腫れが真っ赤な筋に成って白い肌理の細かい肌が全身ずたずたにされている。
 美しかった太腿が真っ赤になった蚯蚓腫れを狙う。芯の周りに溶けて溜まった蝋涙を流すように掛ける。
 「あ、あはん、あはあーーーーーーーーーー。あ、ああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 新見由香はこの上なく顔を歪め大口を縦に開ききって甲高い悲鳴を轟かせる。
 もう片方にも掛ける。
 「あ、あーーーーーーーーーーー。あははーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 新見由香の究極の甲高い悲鳴は生方少将を更に興奮の坩堝にさせた。
 次は乳房を真っ赤な筋で潰した上から流す。
 「あーーーーーーはあーーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 新見由香は目から涙を溢れさせ大口を縦に破裂させて悲鳴を奏でる。
 生方少将は我を忘れて興奮する。
 もう片方の乳房に両手で二本分流す。
 「はあーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーーーーー。あはーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 新見由香の土色の表情がとことん破裂する。
 「あはーー。はあ。はあ。はあ。はあ」
 荒井息遣いで顔は汗と涙に濡れ躰も汗を滲ませている。
 拷問椅子のレザーの背もたれに滲んだ汗がくっきり確認できる。
 生方少将は新見由香の小陰唇にクリップを付ける。幅二センチくらいでやや重みがある。
 「え、えーーーーーー」
 新見由香は悲痛な表情で怯えきっている。
 生方少将は左右三個ずつ付けて小陰唇を広げてピンクの部分を露出させる。膣口と尿道の小さな亀裂がくっきり見える。
 生方少将は蝋涙が溶けて芯の周りを抉って溜まった蝋燭を構える。
 「あーーーーーーーーー。やめてーーーーーーーーーーーー。だめーーーーーーーーーーー。やめてーーーーーーーーーーーーーー」
 新見由香は力の限り叫ぶ。
 生方少将は興奮の坩堝となる。
 嬉々として女の部分に蝋燭を近づける。
 「あーーーーーーーーーーーーーーー」
 生方少将はソースを掛ける様に蝋涙を小陰唇の間に流す。
 「う、う、ううーーーーーーーーーーーーーー。うはあーーーーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 生方少将は新見由香の顔が縦に破裂する表情を愉しみながら二本目をクリトリスから土手に流す。
 「うおーーーーーーーーーーーーーーー。うーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。あはん。あはん。あはん。あはん」
 新見由香はまた涙をぽろぽろ零す。
 「あーーん。ひどいよーーーーーーーーー。ひどすぎるよーーーーーーーーーーーー」
 「ジャーナリストは容赦無しだと言ったぞ」
 「それでもにんげんでしょーーーーーー。どうしてこんな酷い事ができるのーーー」
 「お前らが何人もの平佐和先生の仲間を失脚させた。そしてタレントを不倫如きで引き摺り堕として経済的損失を沢山出した。その報いだ」
 「わたしが・・あなたになにをしたのよーー。ぶすん。ぶすん」
 「これは国が俺たちに与えてくれたSMプレイで遊ぶ権利だ」
 「ころせーーーーーーー」
 「簡単には殺さない。その躰をとことんSMのモルモットにする。そして自殺か。処刑だ。それが過重死刑囚の定めだ」
 生方少将はまったく悪びれない。この国ではこれが正義と言っている。
 生方少将は時間に成ったので退出した。
 次の予約者が待っているのでスタッフが急いで新見由香の躰をメンテする。
 
 娼国。ホテル最上階の和食。特別座敷天昇の間である。
 数分前。真紀子、葛城義和、湯野中が順番にフロントを通ってホテルに入った。平佐和はこのホテルに逗留している。
 ラウンジの女性バーテンは確りチェックしていた。
 そしてホテルの従業員入口から津梨清吉が入る。配膳を通って調理場に一旦入り準備する。
 女性バーテンのやや歳の離れた夫の板前がスマホで合図する。
 女性バーテンも最上階の滞在をR国の弁護士に知らせる。そしてM国の弁護士から木邑良乃に通知された。
 毎回この手順が繰り返されている。
 天昇の間ではそんな事情を知らず会議が行われていた。
 本日は墨田会系大船一家の稲垣七郎組長と右田吾一若頭が呼ばれていた。
 「大田正克ですか」
 「上海に入ったらしい」
 湯野中が答える。
 「中国の組織ですな」
 「それだと共産党の配下の党が関わっていますな」
 右田吾一若頭である。
 「中国の一部が木邑良乃の手綱を握ったのでしょう」
 稲垣七郎組長には敵の本質が見えている。
 「そうなると面倒です。払い下げの兵器が使えます」
 「しかし軍がまともに向かってくるとは」
 湯野中はそれでは戦争だと言いたい。
 「いえいえ。そうでは有りませんが。潜水艦とかヘリとかの払い下げです」
 「払い下げの兵器が闇に回りまわってテロにも使われると言うことですね」
 葛城義和が確認する。
 「そんなところで」
 「此処を襲うとしたらどの様に進入すると思います」
 真紀子の質問である。
 「此処に進入。それはないでしょう。此処に進入するには捨て身で来るしか有りません。成功してもです。太田正克はそんな事はしません」
 稲垣七郎組長は断言する。
 本日は窓に向けてカウンターが横一列に配置されている。
 左から湯野中、平佐和、稲垣七郎、右田吾一、真紀子、葛城義和が右の端である。
 「此処に間者が入り込んでいる」
 「それは行動監視の一環でしょう。ヘリを使ってもこの窓から射殺は無理ですよ。それにこれ防弾ガラスでしょう」
 「そうです」
 真紀子が答える。
 「それでは間者は市中にも居ることになる」
 平佐和は湯野中と日本酒を飲みながらそう呟く。
 「このホテルに間者を送るなら市中に居ても不思議はありません。みなさん顔は知られていますからね」
 「太田正克は市中で狙ってくるのか」
 「そうです」
 「しかしいまのところ全員が揃うのは此処だけだが」
 平佐和は今の危険な現状では此処だけしか集まらないと言いたい。D市の露天風呂会議は当分見合わせる予定である。
 「スナイパーは四人一度には狙いませんよ。一度に二人すら有り得ません」
 これも稲垣七郎組長が断言する。
 「そうなると葛城先生がホテルに戻るのもわしがT市に戻るのも危険と言うことだな」
 湯野中はコップ酒を飲み平目の薄作りをつまみながらそう言う。
 「津梨さん。我々が此処に居ると知って外に連絡するにはどんな人が考えられますか」
 葛城義和の津梨清吉へ単刀直入な質問である。
 「私が来れば皆さんが居ると調理場、配膳には判ります。フロントを通ればラウンジの全員がほぼ判ります」
 「フロントからの出入りが丸見えだったのね」
 真紀子もこれには気付いてなかった。
 「ヘリで移動しよう。ヘリで移動して空中戦は無かろう」
 湯野中が漠然と言う。
 「駄目です。太田正克はすれ違うヘリから狙います」
 またきっぱり稲垣七郎組長が断言する。
 「それではヘリでの移動も駄目か」
 湯野中は困った表情である。
 「また影武者を使うか」
 平佐和の案である。
 「アンドロイドでは外に出たら判ります」
 葛城義和は否定する。
 「ヘリで移動させたら」
 真紀子の提案である。
 「暫くホテルから出ないで影武者をヘリで動かすか」
 「そうしましょう」
 「我々も太田正克の動きを洗ってみましょう」
 「そうだ。組長らの方が見つけやすいかも知れない」
 「まあ。潜水艦で来なければですが」
 稲垣七郎と右田吾一若頭は引き上げた。
 「週刊太陽と週刊樹林は何とか廃刊にできないものかな」
 平佐和がぼやく。
 「でも先生。法案は月村が一気に通しました」
 「そうだな」
 「週刊太陽は当分休刊のままです」
 「それで良しとすべきか」
 「本庄真奈美と広瀬亜理紗が国内を動き回っている」
 湯野中は苦々しい顔になる。
 「非常に不気味ですが核心に至るには見当外れです。それに徳永が強く出なかったので法案は意外と早く通りました」
 「五代も評価されるか」
 「されますよ。あの猛攻撃が功を奏しました」
 「そうか。強引な奴もたまには役に立つか」
 「そろそろ。総理交代で月村を引退させてやって下さい」
 「いや。それはまだだ」
 まだ平佐和は納得しない。葛城義和も言ってみたものの駄目だろうと予測はしていた。
 
 生方少将は時間でプレイルームを退散したが新見由香への虐めがまだ足りなかった。
 天葛少将と加賀美少将を誘い出す。
 南の島に松井玲那元巡査部長が戻っていることを知っていた。
 「北嶋副主席に交渉して松井玲那元巡査部長を愉しもう」
 「それは良いな」
 三名はヘリで南の島に向かう準備をする。
 更に部下を三人呼んだ。
 六人で松井玲那元巡査部長を鉄格子から引っ張り出す。
 松井玲那元巡査部長は天葛少将らを見て恐怖に震える。
 「蛇には強かったな」
 「やめてーーーーーーーーーーーー」
 松井玲那元巡査部長はヒステックに叫ぶ。
 「今日蛇は用意してない。安心しろ」
 天葛少将は哂っている。
 「蛇の感想聞かせろよ」
 「気が狂いそうだよ。ずっと夢に出てくるよ。あんな箱に蛇と一緒に入れられてまともなわけないよーーーーーー」
 松井玲那元巡査部長はヒステリックな声で言い返す。
 「蛇噛まなかった」
 「噛まないけどーーー。動くだけで恐怖だよ」
 「開けた時。蛇だけ端の方に寄っていたよな」
 生方少将は大型の棺桶を開けた時の状況を良く覚えている。その時の松井玲那元巡査部長の表情に加虐心の満足を覚えた。
 「やめてーーーーーーー」
 松井玲那元巡査部長は思い出すだけで恐ろしさが去来する。
 「もう一回やったらくるちゃうかな」
 生方少将は嬉しそうに言う。
 「やめてーーーーーーーーーー。だめ。だめ」
 最早。元警察官の威厳は無い以上に完全に怯えきっている。
 「それじゃ次は蛇の再リクエストだな」
 「やめてーーーーーーーー。おねがいです。やめてください」
 松井玲那元巡査部長は床に膝を着いて手を合わせて許しを乞う。
 「お前が今日俺たちを愉しませたらそれは許してやるよ」
 「鞭で叩くのですか」
 「それも献身的に愉しませてくれたら最小限にしてやる」
 「どのようにすれば」
 「俺たちに気持ちよくやらせるのだ。そして抵抗しないで逝き顔を晒せ」
 「はい」
 松井玲那元巡査部長は完全に従順に成ってしまった。
 生方少将らは松井玲那元巡査部長を四階の拷問会議室に連れて行く。
 「さあ。下着も脱いで自分でま○○こを開いて見せろ」
 天葛少将が命令する。
 「はい」
 松井玲那元巡査部長はそれも直ぐに従う。お尻を床に着いてショーツを脱いで股を広げる。
 両手で女の部分のびらびらを引っ張り広げる。薄橙の内部が広がり尿道の小さな亀裂と閉じ合わせた膣口が確認できる。
 「大分素直になったな」
 松井玲那元巡査部長はそれもじっと恥ずかしい部分を開いたまま堪える。
 「もう一歩屈辱を受け入れろ。その膣口に指を入れて見せられる限り奥を広げろ」
 「はい」
 既に将校らに散々やられた事である。
 両側から中指と人差し指を差し込んで大きく膣口を引っ張る。薄橙の粘膜が変形して広がる。
 「良し合格だ。AV嬢並みだ」
 天葛少将が納得する。
 「お前を見てこんなに起っている。舐めてくれ」
 三人で松井玲那元巡査部長を囲んで男根を突き付ける。
 「手で一本ずつ持って扱きながら順番に舐めろ」
 「はい」
 松井玲那元巡査部長はそれでも蛇が堪えられない。その通りに従う。
 少将らの男根は臭い。それが三本顔の前にある。それでも黙々と順番に舐める。洗ってなどない。小便をして振ってきたまま乾いたのである。
 それを臭さと醜悪な味に堪え唾液を垂らしながら舐めてゆく。
 それでも包茎が居なくて助かった状況と言える。
 AV女優のときは男優がシャワーを使ってからである。ピンサロでさえおしぼり数本で拭く。
 トルコがソープランドに名前を変えた時期に即尺、即ベッドなどと言った店も存在した。
 洗わない棹を舐める。そのまま挿入してしまう。そんな病気の危険を考えないサービスも一時期存在した。
 松井玲那元巡査部長はいまその拷問を受けているのである。
 天葛少将がマットを敷いてその上に押し倒す。
 松井玲那元巡査部長は寧ろほっとする。もう散々挿入されてしまっている。口で舐めるより堪えられる。
 譲り合って加賀美少将が最初に挿入する。
 「あ、あーーーーー」
 松井玲那元巡査部長はもう身構えない。膣天井部分を雁首に這わせる。もう何度も強引に逝かされてしまった。
 抵抗しない方が楽に成ると考えてしまう。
 「あはあーーーーーーーー。あ、あーーーーーーーーー。あはあーーーーーーーーーーーーー」
 既に松井玲那元巡査部長の表情は官能に歪んでいる。
 「あ、ああはあーーーーーーーーーー。ああはあーーーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーーー」
 頭を後ろに反らせて顔を振って責めに乗ってしまう。
 三人が果てて終わると部下三名が輪姦す間に浣腸の用意に成る。
 「いい声だったよ。今度は二穴の逝き声を聞かせてもらうぞ」
 「はい」
 松井玲那元巡査部長は既に拷問でも不覚にも異常に気持ち良くなった。これも抵抗しない方が良い。
 
 稲垣七郎組長らは関連組織を通して大田正克の動きを調査した。中国国内を移動していることが分った。
 稲垣七郎は湯野中に連絡する。
 「太田正克は最初に湯野中さんを狙うのではないでしょうか。中国国内をR国国境に向かって進んでいるとの情報を得ました」
 「山間部からT市に入って来るな」
 湯野中はT市に戻っていた。
 「その可能性が高いです」
 「分かった。ありがとう感謝する」
 「親父。影武者を置いて別の部屋に隠れた方が良い」
 指宿が提案する。
 「そうだな」
 「影武者を置いて宴会場で派手にやって誘き寄せましょう」
 「そっちは任せる。何処に隠れるかな」
 「宴会場の控え室が安全だ」
 「窓が無いからな」
 直ぐに宴会の準備が始まった。
 宴席の生贄には美弥が呼ばれた。
 大船一家からも稲垣七郎が近くに居なかったので橋下五郎本部長と東丸秀三郎若頭補佐が呼ばれた。
 
 木邑良乃は湯野中を最初に選んで依頼した。一番経済力の有るところを絶つべきと考えたのである。
 中国の組織がヘリで国境を越えて太田正克を山に降ろす。
 T市にもR国の弁護士のスパイが居る。これが湯野中の帰還を報告していた。
 
 指宿は直ぐに非常線を張っても良いのだがT市まで引き込むことにした。間者を発見しなくてはならない。
 コンパニオンだけ別の市から呼んだ。万一宴席に間者を入れると影武者がアンドロイドとばれてしまう。
 精巧にできているので遠目には判らない。
 柿崎一行もT市に駆け付けた。
 フロント、事務室、厨房、控え室など総て監視カメラと隊員が張り付く。
 態と派手に宴会を行って内部の人間の動きを見張る。
 橋下五郎本部長と東丸秀三郎若頭補佐は宴会に参加したが警備とは別に宇佐美伝吉舎弟頭補佐と三田園矢一舎弟頭補佐がラウンジを見張る。
 さらに大谷彰浩若頭補佐と木村草太若頭補佐が最上階のバーに入った。反対側の崖が見渡せるカウンターに座る。
 北側は娼国やS市の様な監視システムが行き届いていない。防犯カメラの設置台数も少ない。
 北側は保守的である。湯野中の経済力だけで成り立っている。
 ロボット師団は強大だが海軍は潜水艦以外の軍備を持たない。航空兵力は二つの空軍基地だけである。
 真紀子はTS市の港を使って空母の建造を促すが湯野中は娼国の軍事力を充てにして金儲け優先である。
 政務を全部真紀子と村上副主席に押し付けて金儲け優先の安形主席に似て来た。北と南の対立が無くなったからである。
 
 松井玲那元巡査部長は浣腸のあと二穴挿入を五回続けられて逝きまくって倒れてしまった。
 「素直に成ったな。その様にしていれば蛇は愚か秘宝館に出される事も無いのだ」
 天葛少将が嘲る様にまた諭す様にも言う。
 「はい」
 「日本から来てこの国に捕まってから財産作った者。死んだ者。静かに暮らす者。まだ辛い目に遭っている者と様々だ」
 生方少将がしみじみと言う。
 「えーー。財産」
 「分からんのか。滝澤沙緒里とか」
 「あーー。やっぱり」
 「あの女は北で散々拷問された。AV女優にされて唯一監視付きで日本に帰された。そこで葛城先生にしがみ付いた」
 松井玲那元巡査部長は感慨深い表情で聞いている。
 「北嶋副主席には日本に帰す前に何か考えがあったのだろうな」
 生方少将も感慨深く言う。
 「葛城先生が沙緒里さんを受け入れたからですか」
 「最初は撥ね付けたらしい。北嶋副主席が葛城先生に付き合うように依頼したと聞いている」
 「それからはフェミニストだったジャーナリストが葛城先生の趣味を全部受け入れるように成った」
 生方少将の答えに天葛少将が付け加える。
 「葛城先生には他にも女が居る。それも一切文句を言わない」
 「知っているのですか」
 「一応知らない前提だが一切口に出さないらしい」
 「もう一人は」
 「出水茉里元千葉県警巡査部長だ」
 「え、ええ。亡くなったのでは」
 「葛城先生の資金でD市に建てた温泉ホテルの女将に収まっているよ。葛城先生のM奴隷だが」
 「葛城先生。あの女だけはどうしても虐めたいらしい」
 また生方少将に説明に天葛少将が付け加える。
 「しかし一番稼いだのは市江廣子だな」
 「ええーー。昔の政権交代のとき議員に成ってR国で麻薬を買って捕まった人ですか」
 「日本から来た議員らに宴会場で輪姦されたり平佐和先生の宴席の玩具にされていた」
 「それがいつか従順に変化して北嶋副主席にいまの待遇を貰った」
 「それでは市江廣子が探しに来た沼緒輪加子警部は」
 「生活費の支給を受けてT市の奥に居るよ。お前らの仲間が内山莉緒警部補と木村史乃警部補を連れ出して射殺された近くだ」
 「ああ」
 松井玲那元巡査部長は自分らの失敗を思い出す。
 天葛少将と生方少将は大宅世継と夏山繁樹のように語り続けた。
 「しばらくその様にしておれば副主席に交渉してやる」
 松井玲那元巡査部長はそのまま鉄格子に戻された。
 
 葛城義和はS市の新日本空輸ホテルに居た。滝澤沙緒里と一緒である。
 湯野中からヘリで太田正克が近付いている連絡は受けた。
 既にR国南側の上空は警戒態勢である。
 ホテルの屋上には特殊部隊が警護している。
 真紀子も平佐和もホテルの部屋に留まっている。どちらも影武者を置いて部屋の奥に引っ込んでいた。
 
 T市。湖水のホテル最上階の宴会場である。
 料理は会席ではなくお膳で先に配膳された。女躰盛はない。全身奉仕のコンパニオンが横に付くだけである。
 酒類は宴会場に冷蔵庫が運び込まれた。
 コンパニオンは宴会場から出入り禁止である。トイレは中に在る。
 ハードコンパニオンの美弥を責めるのは東丸秀三郎若頭補佐である。
 コンパニオンは全員全裸で客一人一人に付いている。
 服を着ている女は美弥一人だけである。
 純白のミニワンピース姿で宴会場の中央に引き出された。
 磔柱が用意されている。
 東丸秀三郎若頭補佐は美弥の手首を縛り合わせて真上に伸ばして磔柱の天辺から引っ張る。脚は磔柱の一メートル四方の床に置く鉄板に着いている。
 「片脚を強く上げろ」
 美弥は膝を高く上げる。
 「脚を真っ直ぐ上に向けて」
 東丸秀三郎若頭補佐は強く要求する。
 美弥は爪先を突き上げる。
 ショーツの股間の真下の部分が露になる。スケートの選手が脚を上げたのと変わらない。
 コスチュームは見えて良いもの。下着は見せたくないもの。見た目はどちらも然程変わらない。
 美弥のその部分は艶かしさが強い。
 華奢な女である。余分な肉は見た目ではない。それでも躰つきは柔らかさを感じさせる。肌理の細かい肌である。
 下着の線は僅かな食い込みを感じさせそれが艶かしさを奏でる。
 「よし降ろせ。綺麗なパンチラだ」
 東丸秀三郎若頭補佐は美弥のワンピースを下から胸までセンターを鋏みで一気に切る。
 美弥は静かな表情でそれを受け入れている。
 ブラもショーツも切り落とす。
 「それでは鞭打ちのサービスです」
 抽選で当たった十名が美弥に鞭打ちを行う。一本鞭が渡された。
 
 その頃。太田正克はホテルの湖水とは反対側の崖に近付いていた。もう少し近い位置に接近できるがこの場所を選んだ。
 約八百メートルは有る。
 太田正克は其処からライフルを構える。
 双眼鏡で湯野中の存在は捉えていた。影武者の可能性も有る。情報の確認を待って狙撃する。
 携帯電話などは使えない。中国国内に居るヘリと通信機で繋がっている。暗号通信だけである。
 正面に居る湯野中らしきを狙撃で良いか。太田正克は何度も確認していた。
 なかなか回答は来ない。
 R国の弁護士もT市のビジネスホテルから暗号メールで確認していた。
 フロントは外に出た形跡無しであった。
 仲居は部屋に入れないと回答して来た。いつもの日本酒を搬入したので中に居るとは思われる。確認はできないとの回答であった。
 弁護士はその通りに木邑良乃に回答した。
 木邑良乃は迷ったが狙撃依頼を出した。
 
 美弥は全身鞭の痕だらけで戒めを解かれて畳に伏せている。
 東丸秀三郎若頭補佐は次の拷問を言い渡す。
 鞭打ちの間に座敷に大道具が設営されていた。
 鉄格子の通路が五本用意されていた。それぞれ出口付近にビニールに囲まれた部屋が設置されている。
 ビニールは縦に切れ目が入っていて真ん中辺を割って広げられる。入った脚元には蛇がそれぞれ蠢いている。
 総て種類の違う蛇である。
 「あの中を通り抜けてもらう」
 東丸秀三郎若頭補佐が鉄格子の通路を指差す。
 「いやーーーーーーーーー。へびーーーーーーーーー」
 美弥は悲鳴の様な泣き声で叫ぶ。
 「一つだけ毒蛇が居る。これに噛まれたら終了だ。看護師もドクターヘリも待機している」
 「えーーーーーーーーーー」
 「噛まれなければ蛇イレポンだ」
 「なにそれーーーーーーー」
 美弥は悲痛な泣き声で聞き返す。
 「お前のま○○こをクスコで開いてち○○の代わりに蛇を入れるのだ」
 東丸秀三郎若頭補佐は愉しそうに笑顔で当然の事の様に言う。
 「えーーーーーー。きいくるうよーーー」
 「二千万だぞ」
 「そーーーーーーーーんな」
 「蛇入れても乳首を斬るかクリを焼くか。顔を焼くか。蛇に噛まれるかルーレットだ」
 「えーーーーーーーーー。それじゃーーーーーーーー。蛇に噛まれるのが一番かるいじゃない」
 「良く分かったな」
 「そんな」
 「毒蛇は当たりなのだよ」
 「いやあーーーーーーーーー。奈那緒よりハードだよーーーーーーーー」
 美弥の躰はぶるぶる震えている。
 それでも恐る恐る蛇を一匹ずつ見る。
 「わかんないよーーーーーー。みんなこわいよーーーーーーーー」
 美弥は涙をぽろぽろ零す。
 「やらないのか。金は無いぞ」
 東丸秀三郎若頭補佐は追い詰める。
 「あ、ああーーーーーーーーーん。だめーーーーーーーーーーー」
 美弥は首を振って拒絶する。
 「要らないな。これで帰ったら今日の分は何も無いぞ」
 「そーーーーんなーーーーーーー」
 「おい東丸。十万は支払え」
 橋下五郎本部長が東丸秀三郎若頭補佐を注意する。
 「あーーーーー。そうだっけ」
 それでも美弥は十万では帰れない。
 「えーーーーーーーーーたすけてーーーーーーーーーーー」
 美弥は橋下五郎本部長を振り返りながら東丸秀三郎若頭補佐に哀願する。
 「駄目だ。スポンサーが許さない」
 東丸秀三郎若頭補佐は湯野中のアンドロイドを見ながら言う。
 「だってあれ」
 美弥はロボットだと言いかけてしまう。
 「こらーーーーー」
 「ああ」
 「さあ。やるのだよ」
 東丸秀三郎若頭補佐は鉄格子の入口に美弥を押しやる。
 美弥はどうしても金を得て帰らなければ成らない。
 それでも蛇に噛まれるのは怖い。
 乳首を斬られても奈那緒は綺麗に直っていた。
 「蛇がお○○この中噛まない?」
 「それは無理だよ。中で口は開けない。頭がお前の敏感な部分と子宮口に当たるだけだ」
 「あ、ああーーーーーー。ああーーーーーーーーー」
 また泣き悲鳴を上げる。
 「はやくやらんかーーーーーーーーーーー」
 東丸秀三郎若頭補佐は叱咤する。
 美弥はふらふらと鉄格子の扉を一つずつ見る。
 真ん中が一番無難そうに見えた。
 震える手でその扉を開いて鉄格子を掴みながら進む。
 ビニールを広げる。蛇は端の方に逃れる。
 美弥は一歩踏み込んで反対側の出口に躰を投げ込む。そのまま座敷の畳に転げ出る。
 「あーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーー」
 畳に倒れこんで泣き悲鳴を上げる。
 東丸秀三郎若頭補佐は美弥の腕を掴んで拷問椅子に乗せる。
 橋下五郎本部長に手伝ってもらって美弥の躰を拷問椅子に固定する。
 ハンドルを回して股を強く広げる。
 橋下五郎本部長が指で女の部分を広げて会場に見せる。宴会場の大型モニターにアップで公開された。
 東丸秀三郎若頭補佐がクスコを手にする。
 美弥は怯えた表情で見ている。
 東丸秀三郎若頭補佐は美弥の女の部分にクスコを差し込む。そのまま螺子を回して広げる。
 態と横向けにクスコを入れている。
 膣の天井部はクスコの金属の嘴の谷間に垂れ下がる。膣の底部は逆に盛り上がる。薄橙の綺麗な粘膜が広がっている。
 子宮口らしきが奥に確認される。
 東丸秀三郎若頭補佐が蛇を掴む。
 「あ、ああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 美弥から強烈な悲鳴が上がる。
 「行くぞ」
 東丸秀三郎若頭補佐は蛇の頭を近付ける。
 「あ、あはあ。ああーーーーーーーーーーーーー。あははあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 美弥の顔は縦に大口を開けて究極に崩れて泣き悲鳴を上げる。
 東丸秀三郎若頭補佐は蛇の頭をゆっくりクスコに挿入する。
 「あーーーーはあーーーーーーーーーーあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 蛇の頭は美弥の膣壁に徐々に触れてゆく。
 「あーーーーーーーーーー。あーーーーーーーはあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーー」
 美弥は涙を溢れさせる。
 東丸秀三郎若頭補佐は軽く一回ピストンする。
 「あーーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーーーー」
 悲鳴はサイレンと成る。
 座からは拍手が沸く。
 東丸秀三郎若頭補佐は適度に抜く。
 「あーーはあーー。あはあ。あはあ。はあ。はあ。はあ。あはん。あはん。あはん。あはん」
 美弥は涙をぽろぽろ零して泣いてしまう。
 目の前にルーレットが置かれる。
 「見ろ。あの五種目だ」
 東丸秀三郎若頭補佐が指差して宣告する。
 乳首斬。ミルク焼き。ドテ焼き。顔焼き。蛇が噛む。
 「ミルク焼きは乳首を焼く。ドテ焼きはその黒い塊とクリトリスを焼く。後の説明は要らないだろ。スイッチはお前が押すのだ」
 東丸秀三郎若頭補佐はにっこり笑顔で説明する。
 ルーレットは五等分ではない。乳首斬が三割。ミルク焼き。ドテ焼き。顔焼き。二割ずつ。蛇が噛むが一割である。
 「さあ。回すぞ。お前の手で止めろ」
 「ああ」
 美弥は怯えた表情でルーレットを見る。
 ルーレットは回る。
 「さあ。止めろ」
 「ああ。蛇に当たりませんように」
 美弥はそう唱えてスイッチを押す。
 スイッチは顔焼きで止まる。
 「え、えーーーーーーーーーーー」
 美弥は強烈に悲鳴を上げる。
 「残念。乳首斬りたかったな」
 東丸秀三郎若頭補佐は満面の笑顔で言う。
 「ひいどいよーーーーーーーーーー。かおなんてーーーーーーー」
 美弥は泣きべそ顔である。
 「だから蛇が当たりだって」
 「そんなーーーーーーーーー」
 「見てろ」
 東丸秀三郎若頭補佐は一番毒蛇に見えそうなアカマタの鉄格子に入る。二本の棒で捕まえてしまう。
 「やだーーーーーーーーーーー」
 美弥は悲鳴を上げて後ずさりする。
 「良く見ていろ」
 東丸秀三郎若頭補佐は蛇を掴む。軽く手首を噛ませる。直ぐに引き抜くが歯の痕から血が出ている。
 「どうだ」
 「え、えーーーーーーーーーーー」
 「これ毒蛇にみえるけど毒は無いよ」
 「へえーーーーー」
 「じゃどれが」
 「毒蛇は此処に居ない。だから蛇が当たりだったのだ」
 「えーーーー」
 「僅かな歯痕だけで二千万だ」
 「噛まれて終わり」
 「一応消毒とかはするけどな」
 「ああ」
 「そんな訳でいま焼印を炙っているからな」
 「あ、ああーーーーーーー」
 美弥は物凄いショックである。
 焼印は『スケベ女』と掘られている。
 顔にスケベ女と焼印されてしまう。綺麗に整形できると言われても恐怖である。それでも借金を清算して残りの金を持って日本に帰りたい。
 もう一度橋下五郎本部長が手伝って美弥を拷問椅子に固定する。
 美弥はもう抵抗まではしない。
 ヘリは屋上に待機している。そのまま湯野中を一緒に乗せて娼国の病院に飛ぶ。既に湯野中はヘリの中である。
 美弥は黙って身構えている。
 目を瞑って堪える。
 「いくぞ」
 「・・」
 左の頬にぴったり充てる。
 「う。ううーーーーーーーーー。ああはああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん」
 数秒で離す。
 モニターに火傷が公開される。
 美弥はもう泣いていない。
 看護士が麻酔を打つ。
 看護師ではない。この国では看護士と看護婦は区分されている。
 直ぐに担架で搬送されてヘリは離陸する。
 次の瞬間。湯野中のアンドロイドが銃弾で撃ち抜かれる。
 太田正克は直ぐに崖の斜面を離れる。
 命中したが失敗と分かっている。倒れ方からアンドロイドと判別ができた。
 太田正克は山の斜面を逃げる。
 屋上から機関銃が火を噴く。既に手遅れである。
 軍用ヘリが離陸する。山の斜面を機銃掃射する。
 太田正克はそれを計算している。巧みに逃れる。
 応援のヘリが来て特殊部隊がパラシュート降下する。
 山を追い掛けるが手遅れである。太田正克は素早く退路を確保していた。
 軍とT市警で山狩りが行われたが逃げたようである。
 無駄でも山狩りは続けられた。
 
 娼国。ホテル最上階の和食。特別座敷天昇の間である。湯野中が娼国に着くと既に真紀子、平佐和、葛城義和が待っていた。
 「T市のホテルにも間者が入っているようだ」
 狙撃の件は連絡されている。
 本日は経済侵略会議である。
 「埼玉、宮崎、熊本のニューシティ進出は進んでいるぞ」
 湯野中は自分が要求された領域は進んでいると主張する。
 「木邑良乃に資金提供する企業が有るのです。一社や二社ではないと思います。派遣レートを都心部で上げて苦しめてこっちの支持層を増やしたいのです」
 平佐和が直々に湯野中を説得しようと掛かる。
 「東京、大阪は用地買収が無理です」
 「埋め立て併用でどうでしょう」
 横から葛城義和が強い提案をする。
 「日本政府の協力があれば。港も接続で莫大な効果が期待できそうだな」
 そう聞いて湯野中も話しに乗り出す。
 「それじゃやるのね」
 真紀子が念を押す。
 「そっちは」
 「半分ずつ。東京も大阪も。全部お任せしてもいいですけど。こっちは軍事費に回します」
 「湯野中さんうまくやれば莫大に吸い上げる口に成ります。さらに民事党の支持基盤にも成ります」
 立憲国民党の議席は首都圏、都心部にまだ残っている。これを更に減らす作戦が重要と成る。
 それにはニューシティ進出を首都圏に行う。民事党の政策で恩恵を受ける非正規層を集めれば効果が出る。
 「葛城先生がそう仰るなら」
 「お願いします」
 平佐和も頼む姿勢に成る。そして湯野中の配下の企業の方が商売は上手い。
 「やりましょう」
 三人掛かって湯野中を納得させた。実際に日本から吸い上げて儲かるのは湯野中である。
 津梨清吉が入って来て仲居が酒類を配膳する。
 「ところで娼国の空母は何処まで建造が進んでいるのかな」
 湯野中は娼国の軍備導入も気にしている。中国の軍備に対抗できる海軍力は他にない。アメリカだけを当てにはできない。
 娼国、R国の漁船が操業する海域まで中国は進出している。
 「いま八隻目を建造している。この先は補助艦艇の増強よ。維持費が大変なの二隻ぐらいそちらにお預けしても良いのよ」
 真紀子は無駄と分かって言っている。
 「預かっても港を貸すだけや」
 湯野中は運用を肩代わりはしたくない。潜水艦だけでかなり維持費が掛かっている。
 「湯野中さん。真紀子さん。我々はもう一つお願いが有ります」
 「どの様な」
 「次の選挙までに東京で派遣雇用をもっと増やして欲しいのです」
 「そう言われても都市ができるのにはそれなりに工期が要ります」
 「そこをこちらの都市に入る条件でそれまでの住宅手当を出して雇用を促進して欲しいのです」
 「やらなければならないのだな」
 「はい。お願いしないとならないのです」
 「立憲国民党を減らすためだな」
 「そうなのです」
 今度は平佐和が答える。
 「日本から夏木を呼んで策を練りましょう」
 湯野中もやや本腰に成った。
 「ところで湯野中さん。例のスナイパーは逃げたのですか」
 葛城義和は狙撃に来てその後が気になっている。
 「残念ながら逃げられました。まだ国境まで山の捜査は行っています」
 「湯野中さん。敵に資金援助する企業を懲らしめる意味でも派遣層の高額確保は必要です」
 平佐和がさらに念を押す。
 「こんな事に金を注ぎ込まれてはな。徹底的に経済侵略をしよう」
 湯野中はようやく日本経済侵略に本腰を入れる決意をした。
 「それでホテルに入り込んでいる間者は判明したのですか」
 葛城義和はそっちも忘れていない。
 「指宿と柿崎が部下を配置して大船一家の面々にも見張ってもらったが掴めていない」
 「こっちも掴めてないね」
 娼国も同様に掴めていない。
 「それを掴まないと危険だな」
 「暫く集まる場所を変える」
 「そうだな。アンドロイドを置いて場所を変えるか」
 湯野中が真紀子の提案に珍しく反応した。
 「廣子さんの温泉に隠れるか」
 平佐和の提案である。
 「長くやっている場所の方が危険よ」
 全員考え込むが案は出ない。
 
 娼国の病院である。
 「いやあーーーーーーーーーーーーーーーー」
 包帯を解かれて美弥は悲鳴を上げた。
 「ご安心下さい。整形はこれからです」
 「はあああ」
 美弥は安堵の溜息を漏らす。
 「先生。薄っすらと痕が見える整形は可能でしょうか」
 東丸秀三郎若頭補佐が確認に来ていた。
 「おのれーーーーーーーーーーー」
 美弥は怒りの限り東丸秀三郎若頭補佐を拳で殴る。
 東丸秀三郎若頭補佐はその腕を補給するように押える。
 「できなくは無いですが湯野中総統の意に反しますよ」
 「そうか。それは残念だな」
 「もうひどいよーーーーーーーーーー。何でお前がくるんだよーーーーー」
 美弥はヒステリックに怒り狂う。
 東丸秀三郎若頭補佐はただの御ふざけである。
 
 夏木陽一は湯野中の呼び出しでR国国際空港に着いた。其処から高速船で三十分。娼国の北の港に着く。
 ホテル最上階天昇の間に向かう。
 真紀子、平佐和、葛城義和、湯野中、そしてもう一人客人が居た。盛高知里。娼国系企業持株会社CEOである。
 もう五十にやがて手が届くが未だに美人の容姿は失っていない。
 若い頃は湯野中の愛人でありその湯野中を裏切って滝澤沙緒里らと日本への逃亡を図って寸前に捕らえられた。
 そののち真紀子が日本法人の代表として日本に送った。
 いくら表権代表でもなんと言う人事かと夏木陽一は呆れた。
 それがいま娼国の日本進出企業グループの代表で猛威を振るっている。安形主席と真紀子の強力な手先である。
 「確かに首都圏、大都市に勢力が弱い事は確かです」
 「東京都内は旭放送とこっちの路面店以外皆無ですから」
 夏木陽一の言うのはソープランドや風俗の路面店である。
 「姉ヶ崎と川越が首都圏の役割を果たしています」
 「新たに日本に事業を起こさないと難しいです」
 夏木陽一と盛高知里の意見は一致している。
 「そんな時間はない。企業買収で一気に進める」
 湯野中は強気である。
 盛高知里は方針転換した湯野中に驚嘆している。
 「杉並区に重点的に雇用を拡大しますか。多少の投資は覚悟して頂いてアパートマンションを借り上げてシティができるまで派遣層を動かします」
 「そうしてくれたら」
 湯野中は盛高知里の案に納得してしまう。
 盛高知里は湯野中が金を出して真紀子が出費を抑えられるなら手間は惜しまない。
 「総統。杉並なら一棟ずつ建てて用地買収を徐々に進めて街にする事も可能です」
 夏木陽一も賛成する。
 「あとは君の判断に任せる。早急にやってくれ」
 湯野中は立憲国民党参議院議員徳永裕美の選挙区を侵略して葛城義和の政策を後押ししたい。
 話は纏まった。地方から派遣層を借り上げた杉並のマンションに移動させる。平行して杉並区内から募集を募る。
 企業を買収して都内に派遣層の働き場所を確保する。
 用地買収して部分的に杉並にニューシティ建設計画を徐々に進める。
 杉並区の票田を買う。
 そんな取り決めがなされた。
 
 T市。本庄真奈美の工場である。
 広瀬亜理紗元テレビ太陽アナウンサー他本庄真奈美を含めた六人で日本のテレビ放送に注目していた。
 週刊太陽の廃刊がほぼ確定的と徳永裕美から連絡が入っていた。
 民法の何処もそのニュースを取り上げない。
 テレビ関東に切り替える。ベテラン女性アナウンサーがメインキャスターで行う経済中心のニュース番組の時間である。
 「これまでいろいろなスキャンダルを暴いてきた週刊誌ですが休刊からいよいよ廃刊が決められる模様です」
 メインキャスターが一言報道して顔を見せないナレーターの説明となる。
 かなり娼国と現政権に気を使った解説と成っていた。
 解説キャスターに振られることもなく次のニュースを若いフイールドキャスターが読む。
 広瀬亜理紗は落胆して旭放送の録画を見ようとする。
 「止めましょう」
 本庄真奈美が止める。
 「でも」
 「止めましょう。気持ちが沈むだけです」
 「はい」
 広瀬亜理紗は仕方なく納得する。
 テレビ関東では次のニュースに移ってメインキャスターに代わる。
 「東京湾と大阪湾で新たな大規模な埋め立て工事が始まります。此処にはR国系大規模資本の街が建てられます。滝川さん」
 メインキャスターは解説キャスターに振る。
 「遂にあの街が首都圏と大阪に入るのよ」
 本庄真奈美が落胆した様に言う。
 「え、ええーーーーーーーー」
 更に全員が戦慄する。
 「民事党とR国の連携ですね。雇用の確保と正規と非正規の賃金格差の解消にも繋がって一石二鳥です」
 解説キャスターの説明である。
 「日本から経済が吸い上げられて行くと言う事はないのでしょうか」
 「その分再投資されますから問題はありません。中国の進出より良いです。そしてあくまで日系資本です」
 「娼国は八隻目の空母の建造に入ったと聞きますが」
 「中国を見据えてここ十年で一気に軍備を拡張しています。以前はアメリカの第六艦隊が駐留していましたが状況を見て引き上げています」
 「アメリカは歓迎しているのですか」
 「日本の憲法で日本が戦略兵器を持てない中でそれを外に持ってシーレーンの防衛に貢献します。もとよりR国はアメリカ海軍と仲は良いです」
 広瀬亜理紗らは怒りに滾っている。それでもどうする事もできない。
 アルコールの量を重ねて朝まで飲み明かした。
 
 翌日。同じT市秘宝館である。
 平井莉緒と斑目栞里が移送されてきた。
 今日から展示室に交代で出される。二人は話を聞いてこの国の恐ろしさ理不尽さに驚愕した。
 北の兵士らは抵抗する斑目栞里を強引に拷問椅子に磔る。
 最初の予約者はラドルフマレカル少将である。
 「お前か湯野中総統に銃弾を浴びせた仲間は」
 「・・・・・・」
 斑目栞里は何も答えない。
 「俺はR国海軍少将。ラドルフマレカルだ。たっぷりお仕置きする」
 既に拷問椅子は百二十度に開脚されている。
 ラドルフマレカル少将は斑目栞里の女の部分を広げて濡れ具合を確認する。ローションを塗って指を突っ込む。
 「うおーーーーーーーーーーーーー」
 斑目栞里は抵抗するが指は強引に奥まで入る。
 内部を強引に掻き回してローションを流し込む。
 「やめろーーーーーーーーーーーーーーーー。やめろーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 斑目栞里は拘束された躰を動く限り暴れさせる。
 ラドルフマレカル少将はクスコを手に取る。ローションを流し込んだ膣に強引に挿入する。
 「あ、おーーーーーーーーーーーーー。ちくしょーーーーーーーー。やめろーーーーーーーーーーーー」
 斑目栞里は躰を振って抵抗するが磔が頑丈で殆ど動かない。
 ラドルフマレカル少将はさらにブジーを手にする。
 「あーーーーーーー」
 ラドルフマレカル少将はクスコで広げた膣の中をペンライトで照らす。
 奥の子宮口を確認してブジーの先端を突っ込む。
 「うおーーーーーーーーーーー。ぐうううーーーーーーーーーーーーーーーーー。ぐうわあああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 強烈な痛みである。斑目栞里は腹の底から鈍い声で悲鳴を搾り出す。
 「うおーーーーーーーーーーーーー。ううおおーーーーーーーーーーーーー。やめろーーーーーーーーーーーーーーーー」
 斑目栞里は涙を溢れさせる。
 ラドルフマレカル少将はブジーを抜かない。
 ワゴンに乗せたトランスを持ち込む。
 子宮に突き刺したブジーにトランスから伸ばした鰐口を接続する。
 赤黒二本接続する。
 「行くぞ」
 「あ、ああーーーーーーーー」
 ラドルフマレカル少将はトランスのボリュームに付けられたダイヤルを回して電流を流す。
 「あーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。あがああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 斑目栞里の躰は痛みにガタガタ揺れる。
 「あーーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 斑目栞里は引き攣った顔を振って暴れ藻掻く。拷問椅子はガタガタ揺れる。
 ラドルフマレカル少将は頃合で一度電流を切る。
 「ああ。はあ。はあ。はあ。ああ。はあ。はあ」
 斑目栞里の躰はまだ震えている。
 ラドルフマレカル少将は斑目栞里の顔をビンタする。
 「うおーーーーーーー」
 続いて叩く。
 「おーーーーーーーー」
 叩き続ける。女の顔を叩く。この国でしかできない。暫く快感に浸る。
 斑目栞里は涙を流す。痛み以上に悔しさである。
 これからこんな仕打ちを二日置きに行われる。
 病院では散々モルモットにされた。抵抗すると麻酔が打たれて何をされたか分からない。
 それでも姉や仲間が救出に来てくれると信じている。
 ラドルフマレカル少将はリールに巻いた銅線を持って来る。
 それを斑目栞里の躰に拷問椅子ごと巻き付ける。
 乳房の上。乳首、その下と三回巻く。
 続いて片方ずつ太腿に巻く。
 ブジーのクリップはそのままである。
 更に拷問椅子の下にバケツを置く。
 「さあ。電気椅子拷問だ」
 斑目栞里は震えるばかりである。殺しはしないと思う。
 片方の太腿から流す。
 「うがああーーーーーーーーーーーーーーーーー。があーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 斑目栞里は脚を振って悲鳴を上げる。
 胸に流す。
 「あぐがああーーーーーーーーーー。がああーーーーーーーーーーーー。があああーーーーーーーーーーーーーーーー」
 斑目栞里は顔をぶるぶる振って白目に成りかける。
 ラドルフマレカル少将は一度電流を切る。
 失禁が目的である。
 両方の太腿と股間に流す。
 「うーーーーーーーー。お、お、おお、おーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 暴れるがまだ効果はない。
 やや電圧を下げて全部に流す。
 「あがああーーーーーーーーーーーーーーー。あが、あー。あー。ああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 一気に白目を剥きかける。
 スイッチを切る。
 何度か繰り返すが白目を剥きかけては止める繰り返しである。
 ラドルフマレカル少将は痺れを切らして尿道カテーテルを取り出す。
 斑目栞里の女の部分を広げて尿道の小さな亀裂に刺し込む。
 「うう」
 斑目栞里はたいして動揺しない。病院で散々やられた。夜間以外カテーテルと浣腸で両方の便が済まされていた。
 ラドルフマレカル少将は管の途中まで出て来た尿を抓んで止めたまま尿瓶に管の反対側を投げ込んで抓みを離す。
 かなりの尿が尿瓶に流れ出る。
 ラドルフマレカル少将はマジックハンドを動かして顔の両側を二枚のアクリル板で挟む。
 顔を横に倒せないように固定する。
 口を開かせるには手間が掛かる。
 ガムテープを貼り付けて閉じてしまう。
 尿瓶から針を付けてないガラスの注射器に尿を吸い上げる。
 浣腸器より先は細い。今時よく存在したものである。本来使い捨てで針とセットの注射器しか存在しない。
 ラドルフマレカル少将は斑目栞里の口を塞いだガムテープに千枚通しで穴を開ける。
 その穴に針のない注射器を差し込む。
 斑目栞里の出した尿を口から注入する。
 ぶほおーーーーーーーーーーーん。ぶはん。ぶはあん。
 斑目栞里は一気に咳き込む。
 ぐおふぉおーーーーーーーーーん。
 ガムテープは剥がれて落ちる。
 「時間です」
 スタッフの声掛けにラドルフマレカル少将は引き上げた。
 
 太田正克は中国の潜水艦でR国に近付いていた。
 「随分時間が掛かったな」
 太田正克は着くのが遅いと訝しがる。
 「R国の潜水艦に見つかりたくない。深度の深い海域を避けた。残念だが向こうの潜水艦の方が深く潜れる」
 案内役はそんな説明をする。
 
 その頃。中国軍機が娼国領空侵犯を計画していた。
 組織はどう交渉したか解らないが囮行動の一環である。
 T国に近い海域に娼国の空母が訓練を行っていた。既に空母は中国軍機を警戒している。
 空母の甲板では上野愛菜海軍大尉以下八名が発艦準備体制であった。
 中国軍機はT国領海を進んで来る。
 上野愛菜海軍大尉以下八機のF18フォーネットが発艦する。スクランブル発進である。
 中国軍機はT国の領海を過ぎてR国領海に入る。
 日本の自衛隊ではない。直ぐに警告を発すると中国軍機は旋回してT国領海に逃れる。
 上野愛菜海軍大尉らはT国領海まで追い掛けて帰還する。
 報告は空母から司令部に行く。だが上野愛菜海軍大尉は真紀子とパイプが太い。真紀子に直接連絡する。
 その頃。太田正克は潜水服で南の島の南面に着いていた。崖を登ってその上を歩いて北の島を射程にできる位置に来る。
 じっくり此処で噴水の前の広場に現われるのを待つ。
 目標は変更されて真紀子、湯野中、葛城義和、平佐和の順である。だが同時に来なければ狙える者が最優先となる。
 
 ホテル最上階。天昇の間である。
 「上野大尉から連絡よ。中国軍機が越境したと。こっちの艦隊はT国沿岸に展開している」
 湯野中は指宿に連絡を取ろうとする。
 「待って下さい。尖閣と違ってこの国に中国軍機はこれまで越境していません。囮ではないですか」
 「そういえばスナイパーは中国からヘリで来た」
 「まさか中国軍が協力するの」
 真紀子は疑問を呈する。
 「ややコースを延ばす程度なら中国の組織から要求できるかもしれないな」
 平佐和も葛城義和の意見に同意する。
 「部屋にアンドロイドは配置しているが」
 「この部屋には来れません」
 「いよいよ影武者を囮に出すか」
 「やってみましょう。私の影武者は四人居る」
 真紀子の影武者が一番作り易かった。本物の人間を使った影武者である。背丈、顔の造りが似ている人物を整形した。
 危険手当の他に死亡補償を一億円付けている。
 さらに整形だけで一千万。一ヶ月百万の危険手当を出している。
 美人の影武者は作り易い。
 真紀子がスーツを脱いで着替える。そのスーツを影武者に着せてフロントから出て貰う。
 津島が屋上に待機する。
 防弾チョッキは着せるが頭を撃ち抜かれたらそれまでである。
 真紀子も外に出るときはヘルメットを被る。影武者にもフロントを出るときに同じ物を被らせる。
 それでも真紀子に見える。
 影武者の真紀子がフロントを通過する前にラウンジの正面を通る。カウンターの女性バーテンが連絡信号を出す。
 R国の弁護士から直通で太田正克にも連絡が飛ぶ。
 ヘルメットと防弾チョッキが有る部分を避ける。眉間を狙う。
 影武者の女は日本人。集めて来たのは大船一家である。
 風俗で働くことは嫌だが金が欲しい女。真紀子の体形、顔の大きさは合致するが躰が風俗には向かない女などである。
 いま出て行く女は自分の死を持って家族を救いたい。五十代の女だが整形とダイエットで真紀子に見える。
 自殺した夫の失敗だが会社を救えば息子が立ち上がれる。今のままでは息子も破産しなければ成らない。
 これで死んでも生き延びても撃たれさえすればすべてが救える。
 足取りに動揺は無い。
 太田正克は既にスタンバイしている。
 津島が屋上に待機して三十六方カメラが監視している。
 影武者の女は噴水の前を通ってCICの建物に移動する。真紀子の住居はその中にある。
 噴水を半周りする途中で顔が南の島に向く。
 瞬間太田正克の銃が火を噴く。
 一瞬で眉間を撃ち抜く。
 女は噴水に倒れる。
 軍の警備隊の動きが瞬時に起こる。
 だがそれより早く津島の銃が数十秒後に太田正克を撃ち抜く。
 南の島の海中に特殊潜航艇が数隻展開する。
 南の島に降りた軍の警備隊が太田正克の遺体を確保する。
 影武者の女は病院に運ばれたが即死であった。
 
 ホテル最上階。天昇の間である。
 「一難は去ってスナイパーは処分した」
 湯野中はやや安堵の表情である。
 「これで終わった訳ではないけど」
 「しかしスナイパーはそんなには居ない」
 「問題は陸上自衛隊元陸士長斑目沙弓です。こいつもかなりの狙撃能力があります。それとヘリの操縦ができる吉祢恭子です」
 葛城義和はこの二人を警戒している。
 「中国に居たのではどうにも成らない」
 湯野中は中国には手を出せないと言う。
 「そうでもない。日本と娼国、R国で放送してこの四人が中国上海に居て中国海軍が協力した可能性があると放送するのよ」
 「中国は反発しても上海に居れば逮捕されるか」
 「その前に動くよ」
 そこへ南の島の海中で特殊潜航艇が発見され撃沈したと報告が入った。中国海軍の物であった。
 「ニュースを流すだけで充分か」
 湯野中も燻り出しに納得する。
 
 T市。本庄真奈美の工場である。
 その日の操業が終わって夕食を兼ねた飲み会を行っていた。
 少し前にM国の弁護士から状況は伝えられている。その放送内容を確認していた。
 「益々状況を悪くしてくれる」
 広瀬亜理紗は怒りを持って観ている。
 「まだまだやるよ。斑目沙弓が問題よ」
 伊久美愛琉はこの先も過激に成ると予想している。
 テレビでは中国国境にロボット師団と機甲部隊の配備状況が放映される。
 さらに海上警備行動。機動部隊の離着艦の状況も放映される。
 また上野愛菜海軍大尉が中国軍機にスクランブルを掛けたインタビューシーンになる。
 広瀬亜理紗は床を叩いて怒りに滾る。
 裏切り者の上野愛菜への怒りである。
 真紀子の影武者として殉職した女性は娼国警察員として公表された。SPの様な存在として紹介されている。
 巡査長から警部補に二階級特進。さらに賞恤金二億円が支払われたと報道されていた。日本の倍以上である。
 約束は一億円だが真紀子が追加した。
 そして木邑良乃らのテロ行動を強く非難する報道が続けられた。
 さらに五代官房長官が会見する。そこでも強い非難が繰り返された。
 「もっと問題よ。R国が杉並区に寮を一気に確保に出た。徳永裕美の選挙区に娼国とR国の恩恵を受けた派遣層を増やす気よ」
 本庄真奈美が日本から受けた情報を全員に告げる。
 「こんな。こんな反動。何故通るの」
 本来民事党が保守で立憲国民党も保守やや革新である。だが広瀬亜理紗には民事党イコール反動となる。
 「盛高知里。あの女の計略よ。あの女が癌よ」
 広瀬亜理紗は以前に報道番組で議論したことがある。
 「もう当分何もできないよ」
 「そうですね。暫く此処で生産だけ続けましょう」
 
 中国上海。木邑良乃らが滞在するビジネスホテルである。
 木邑良乃らも放送内容を聞いてこの場所に居られない事態を悟っていた。
 中国の組織も大理市への移動を提案して来た。
 組織のヘリが先導して吉祢恭子元警部補が操縦して追従する。
 大理市では組織のアジトの家を一つ提供された。
 「一気に決着を着けるべきです」
 斑目沙弓は急進的に成る。妹が捕らえられている事情もある。
 「進入路と退路をきっちり確保しないと」
 吉祢恭子は慎重姿勢を示している。
 
 娼国。ホテル最上階の天昇の間である。
 本日も四人が集まっている。真紀子と葛城義和以外はホテルを出てない。真紀子も影武者が射殺されてからホテルの部屋を利用していた。
 二人目の影武者が真紀子の代わりに噴水の前を移動してCICの建物に往復している。
 「どうせスパイが入り込んでいるなら斑目沙弓の妹を宴会場で拷問して誘き寄せましょうよ」
 「そうだな」
 「一気に決着を着けましょう」
 葛城義和も納得する。
 湯野中はまったく異論はなさそうである。
 早速斑目栞里の搬送指示が出た。
 ヘリの出発段階で既に間者から報告が送られていた。
 
 ホテル四十五階の宴会場である。
 将校五十名が抽選で集められた。コンパニオンも手配する。態と間者に伝わるように派手に行う。
 コンパニオンの中に間者が居る可能性も考慮して一人に二人付けて百人が動員された。
 席の前に長い座布団が横に置かれて女躰盛のコンパニオンが横に成る。
 小さなお膳に飲み物と醤油の小皿が置かれている。客の座布団の横にもう一枚小さな座布団がある。もう一人のコンパニオンが全身奉仕する席である。
 さらに本日は仲居が配膳を行う。
 真紀子と葛城義和の影武者が上座に座っている。他に稲垣七郎大船一家組長と大谷彰浩若頭補佐が状況を観察する為に上座に列席する。
 拷問を担当するのは東丸秀三郎若頭補佐である。
 本物の真紀子らは最上階の天昇の間からリモートで観戦している。
 会場を監視するモニターが四枚。拷問のモニターが一枚である。
 斑目栞里は宴会場を見て驚愕する。今まで見た事のない世界である。仲居はコンパニオンの躰の上に活き造りを配膳している。
 女性がここまでプライドを踏み付けられる世界が有って良いのか。憤るがそれどころではない。
 こっちも既に和食で働く板前で女性バーテンの夫から大宴会が行われる情報が流されていた。
 真紀子らの目論見通りと成っている。
 会場の真ん中に三メートル四方のバットが置かれ排水が繋がっている。一角にシャワースタンドも立てられていて躰を洗うことができる。
 中央には低めの拷問椅子が横たえられていた。
 連れて来た憲兵四人で一度斑目栞里の戒めを外して全裸にする。
 斑目栞里は藻掻くが四人の屈強な憲兵である。
 簡単に全裸にされ拷問椅子に寝かされて固定されてしまう。
 斑目栞里の顔は薄いながら真紅に光っている。大人数の真ん中で恥かしさに火照った状況である。
 バットの中には厚みの有るすのこが敷かれる。
 東丸秀三郎若頭補佐は広口瓶に詰まった蟻と蜂蜜を数本ずつワゴンに乗せて持って来る。
 コンパニオン五人が呼ばれる。
 五人は指令を受けて生ビールを沢山飲む。連れて来た憲兵も飲む。
 東丸秀三郎若頭補佐は形通り斑目栞里の女の部分を広げてスクリーンに公開する。
 「ちくしょうーーーーーー。やめろーーーーーーーーーー」
 無駄でも斑目栞里は叫ぶ。
 さらにクスコを挿入する。
 「やめろーーーーーーーーー」
 東丸秀三郎若頭補佐は淡々と螺子を回して広げる。女の奥がスクリーンに公開される。
 ここからが本日のメニューである。
 東丸秀三郎若頭補佐は斑目栞里の顔に蜜を掛ける。
 「ううーーーーーーーーーーーー。いやあーーーーーーーーー」
 蜜の粘ついた感触と臭いに悲鳴を上げる。
 コンパニオンを並ばせて待機させる。
 東丸秀三郎若頭補佐は蟻の瓶を翳す。
 会場から期待の拍手が沸く。
 蜜は目には掛けてない。斑目栞里も蟻の瓶を見ている。
 「あーーーーーーーーーーーーーーーー」
 斑目栞里は蟻を顔に掛けられると判って悲鳴を上げる。
 東丸秀三郎若頭補佐は瓶の蓋を取って一気に投げ掛ける。瓶はそのまま足踏みで蓋の開くゴミ箱に投げ込む。
 「あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 斑目栞里は目を瞑って顔を叛ける。
 「これからコンパニオンの小便で洗ってもらいます」
 並んでいた一人目のコンパニオンが斑目栞里の顔を跨ぐ。
 蟻は大方が下のバットに落ちる。一部が顔の蜜に群がる。
 東丸秀三郎若頭補佐は下に落ちた蟻の群れをシャワーから湯を出して洗う。すのこに上がって来ない配慮である。
 コンパニオンは呼吸を整えて躰の力を抜く。
 やがて待っていた小水が勢い良く出る。
 「ううーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 斑目栞里は口を塞いだままくぐもった悲鳴を上げる。
 一人目が出し終わると次が交代する。
 ビールを飲んで量を増幅した小水である。そして酒の臭いが混じって異常に臭い。
 髪の毛にも掛ける。耳にも掛ける。蟻を洗い流すので狙いをずらして掛け続ける。
 五人が掛け終ってまだ残った蟻をシャワーで洗い流す。
 コンパニオンの一人が手伝って髪の毛を掻き分けて蟻を流し落とす。
 「ああーーーーーーーー。あーーーーーーーーー。あーーーーーーーーー」
 斑目栞里は震えながらうわごとの様な悲鳴を上げる。
 躰も洗い流す。
 コンパニオンはシャワーの湯を受けながら指で顔の蜜を洗い流す。
 「あはあ。は。はあ。はあ」
 斑目栞里はまだ荒い息遣いを続けている。
 コンパニオンが顔をタオルで拭いて斑目栞里はようやく目を開く。
 「やめろーーーーーーーー。ああーーーーーーーーー。やめろーーーーーーーーーーーー」
 斑目栞里は顔を振って叫び捲くる。
 「次は腰に掛けます」
 東丸秀三郎若頭補佐が次を宣告する。
 「やめろーーーーーーーーーーーーーーーー。やめてーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 斑目栞里は震えながら猛然と叫ぶ。
 東丸秀三郎若頭補佐は消毒液を含ませた脱脂綿をクスコの中に入れる。
 ドテに黒い塊は既に無い。白く肌理の細かい皮膚がその部分だけほんのりと紅い。
 東丸秀三郎若頭補佐はその上から蜜を流す。さすがにクスコの中には流さない。まだ秘宝館で生贄にしなければならない。
 東丸秀三郎若頭補佐はまた蟻の瓶を掲げる。
 「いやあーーーーーーーーーーーーーーーーーー。いやあーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 斑目栞里は恐怖に躰を揺すって叫ぶ。
 憲兵らは社会の窓から一物を出してプラスチックの筒を被せて待機している。
 筒の先端は塞がっているが中央に穴が開いている。
 東丸秀三郎若頭補佐は容赦なくドテに蟻をぶっ掛ける。
 「うおーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 憲兵四人が一斉に小水を掛ける。
 だがそんなに蟻は撃退されない。
 「うおーーーーーーーーーーーー。ううおおーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 斑目栞里は叫び続ける。
 「うおーーーーーーーーーーーーーーー。おおーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。おーーーーーーーーーーーー」
 斑目栞里は躰を揺すって暴れ続ける。
 東丸秀三郎若頭補佐は蜜が無くなり掛けているのでシャワーで洗い落とす。それをまたコンパニオンが手伝って手で洗い流す。
 次は東丸秀三郎若頭補佐の十八番となる。蛇が水の無い水槽に入れて運ばれる。毒の無い縞蛇である。
 東丸秀三郎若頭補佐は縞蛇を掴んで伸ばしたまま腹に載せる。
 「あ、ああーーーーーーーーーーーーーーーーーー。いやあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 斑目栞里は泣き叫ぶ。
 「いやあーーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 斑目栞里は狂った様に泣き叫ぶ。
 横向きに蛇の頭は腋から下に流れて尻尾も反対側に流れている。
 東丸秀三郎若頭補佐は二匹目を掴んで持ち上げる。
 「あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 斑目栞里の悲鳴を無視して東丸秀三郎若頭補佐は乳房に載せる。
 「あーーーーーーーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーー」
 サイレンの様な悲鳴である。
 そしてクスコが股間に刺さったまま失禁する。失禁尿はクスコの上を伝って流れ落ちる。
 「あーーーーーーーーーーーーー。あはあーーーーーーーーーーーーーーーーん。あはあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん」
 斑目栞里は躰を迫り上げ振るわせる。蛇は二匹とも躰から流れ落ちる。
 「あーーーーーー。はん。あはん。あはん。はん」
 斑目栞里はぶるぶる震えながら泣き続ける。
 「お前。いま泣くんじゃないよ。失禁も早い。これからだ」
 東丸秀三郎若頭補佐は叱咤する。
 「・・・・・・・・・・」
 斑目栞里は口を震えさせて言葉は出ない。
 東丸秀三郎若頭補佐はクスコからピンセットで先ほど入れた消毒液を含んだ脱脂綿を取り出す。
 すのこの上を這っている蛇を掴む。
 「いやあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 斑目栞里は泣き悲鳴を上げる。
 東丸秀三郎若頭補佐は蛇をクスコに近付ける。
 「いやあーーーーーーーーーーーーーーーー。いやあーーーーーーーーーーーーーー。いやーーーーーーーーーーーーーーーー」
 斑目栞里は狂った様に泣き叫ぶ。
 東丸秀三郎若頭補佐は一旦離れる。
 「あはあ。はあ。あはあ。はあ。はあ。はあ。はあ」
 斑目栞里は涙をぽろぽろ零す。
 
 CIC本部ではレーダーで敵の接近を見張っている。
 海中は小型潜航艇が警備を続けている。
 敢えてヘリや航空機は飛ばさない。R国上空は無数の移動用ヘリが飛んでいる。航路を逸れれば警報が発令する。
 中国から入る航路は無い。
 其処にはロボット師団十個が配置に就いて警戒している。
 なかなか敵は動かない。
 東丸秀三郎若頭補佐に時間稼ぎの指示が出る。
 拷問を蛇の生殺しの様に引き伸ばす。
 だが間者は宴会の状況を報告するまで情報を得ていなかった。
 真紀子ら四人がホテル内に居て宴会が続いていると言う報告だけである。
 東丸秀三郎若頭補佐は何故か蛇を突っ込まない。
 さらに東丸秀三郎若頭補佐はクスコを抜いてしまう。
 衝立が運ばれる。
 「暫く時間があります。抽選でこの女を輪姦したいと思います」
 東丸秀三郎若頭補佐は時間稼ぎに輪姦すことにした。
 それが始まると東丸秀三郎若頭補佐は稲垣七郎の座に行く。
 「相談してこっちで情報を流してはどうでしょう」
 「うむ」
 稲垣七郎は葛城義和に相談する。
 
 最上階。天昇の間である。
 「稲垣さん。そこまでは致しません。あくまで内部の間者を燻り出すことも必要です」
 「そうですか判りました。一応。敵の居場所は大理市です。それだけお伝えしておきます」
 「ご協力。大変ありがとうございます」
 葛城義和は通話を切って座に内容を説明する。
 「朝まで責め続けてそれで動かなければ別の手を考えよう」
 湯野中も葛城義和の判断を支持する。
 「もう一回囮を使う」
 「影武者を北の島を動かすだけでよいのでは」
 「そうです。こうなると間者は一階の出入りを管理しています」
 「俺の影武者ができたらT市に配置しよう」
 「できるの」
 真紀子が疑問を呈する。
 「完全ではないが体形と目の形状が近い人物に防弾服とヘルメットを被せる。さらに防弾マスクだ」
 「そうね。不自然じゃないね。目の付近だけの整形ね」
 「そうだ」
 見解は一致した。平佐和の影武者は出さない。
 「ところで日本への経済進出に風俗、売春は必要不可欠だ。それを妨げるのはフェミニストだけではない」
 「なに」
 真紀子も直ぐには思い浮かばない。
 「二つ有る。一つは病気。一つは今の派遣層が映像、アニメで済ませてしまうことだ」
 「確かに。そうね。それをどうするの」
 真紀子もその傾向と病気対策は難しいと理解している。
 「新しい検査方法ができたのだ」
 「その実験」
 「そうだ。逮捕した女と襲撃に来た女。この辺で実験したいが強制してでは難しい。女がサービス行為をしないと駄目だ」
 「ちょっと待って。天葛少将らから連名で報告が来ている。松井玲那元巡査部長。彼女と話し合ってみましょう」
 真紀子が娼国海将らの報告内容を思い出す。
 「恩賞はどうする」
 「T市の奥で物件だけ持たせて家賃収入で生活させれば」
 「誰も貰わないか。ラドルフマレカル少将は岡村一美を引き取ったぞ」
 「そっちの収入が良いからでしょう」
 「そうか。娼国は安いか。だがラドルフマレカルは特別だよ」
 「取り敢えずそれで交渉します」
 R国は国内で現地人の現地人向けの風俗、売春で性病は皆無である。日本人向けもS市とTS市、娼国以外は一万人に一人以下に抑えられている。
 日本から買春目的で入れるのはS市とTS市のみである。娼国はR国内と娼国にオフィスの在る企業の関係者のみとなる。
 それ以外の市はR国内にオフィス、工場の在る在住者しか入れない。
 湯野中は日本に進出した風俗による回収拡大を目論んでいる。
 非正規雇用の中でも賃金格差までは行かなくても倍ぐらい収入の差が有る。
 非正規雇用を寮付きで進出したシティ内に住ませる。オフィス、工場をシティ内又は隣接地に持つ。
 一般の派遣より賃金も高く寮が有る分だけ家賃分が浮く。
 寮に住ませることによりシティ内で消費もさせる。
 女性はブランド品をちらつかせ高級飲食と合わせて回収する。さらにブランド品に嵌らせ風俗に流れるように仕向ける。
 シティ内で宅配風俗を配給する。シティ内で客の素性は確認されている。警察は取り締まりにくい。
 さらにシティの進出で地域行政を押える。
 だが宅配では効率が悪くコストが高く成る。
 安い派遣層に風俗利用を拡大するにはシティ内のモール店舗に来店させるが良い。
 回転を良くすれば病気のリスクも上がる。さらにサービスを濃くするにはもっと病気のリスクが上がる。
 病気が蔓延すると客が風俗から遠退く。
 
 南の島五号棟四階の会議室兼用拷問ルームである。
 憲兵ではなく警備員が松井玲那元巡査部長を連れて来た。
 松井玲那元巡査部長は四人を見て全身に戦慄が奔った。
 既に躰が震えている。
 「怯えなくてもいいのよ。拷問は有りません」
 松井玲那元巡査部長は怯えた目で四人を見渡す。
 「今日はな。あんたに頼みたい事が有る。まあ座ってくれ」
 湯野中が説明する。
 「過激なサービスと病気の対処だ。それをやってくれたら緩やかな生活を保障する」
 「日本に帰ることはできません。でも拷問とかからは開放されます」
 スクリーンにT市の建物が投影される。
 「この建物と家をやる。と言っても日本企業がテナントで入っている。日本円で五十万くらいの家賃収入に成る」
 「市内からは出られないけど。この中は自由よ。特別に日本のテレビも繋ぎます」
 「判りました」
 松井玲那元巡査部長は承諾した。
 
 中国大理市。
 木邑良乃らの隠れる組織のアジトである。
 組織から中国政府が動き出したと言う連絡が入った。
 「T国に逃れろと言ってきました」
 「でもT国では娼国の監視下では」
 吉祢恭子は難色する。
 「組織が娼国に突入できるまで誘導すると言うのよ」
 「一か八か行きましょう」
 斑目沙弓は決断を促す。
 「行きましょう」
 吉祢恭子も納得する。
 組織は四人をトレーラーに乗せる。ガタガタ道ながらR国とは違って車の往来は有る。
 トレーラーの中で四人は変装を施す。路線バスを使って港に向かう。港の有る小さな町で組織のアジトに収容された。
 「申し訳ありません。大理市の情報が日本のやくざに漏れていたようです」
 中国の組織は情報漏れを詫びてヘリと小型潜航艇を用意してくれた。
 「料理と酒を用意しています。今夜はゆっくりして下さい」
 組織は気を聞かして生ビールと日本酒、焼肉を準備してくれた。
 「ヘリはジェットヘリよ」
 「それで突っ込む」
 「いいえ。ヘリは脱出用よ」
 「それじゃ潜水艦で」
 「いまのところ湯野中以外娼国に居ると言う情報です。小型潜水艦で港に隠れて広場に出て来るのを待ちましょう」
 「見えるのですか」
 「いいえ。ラウンジに情報が有ります」
 「ああ」
 「行けますね」
 「そうよ」
 四人は焼肉の煙に塗れながら日本酒で飲み明かした。
 翌朝早く四名は潜航艇で出発する。此処までは潜航艇で逃げ帰る。T国に戻ってジェットヘリで逃亡する予定である。
 潜航艇の操縦はマニュアルで確認した。南沙羅が操縦している。
 三名は娼国の地図を見ながら作戦を検討する。
 「栞里が拷問を受けているのは四十五階。ホテルから出された様子はないのね。救出は無理ですね」
 斑目沙弓も妹のことは心配以上だが手を出せないことも理解する。
 「この艇をこの辺りの船の停泊してない桟橋に近付けて連絡を待って一気に飛び出しましょう」
 「いいや。潜航艇から飛び出せば屋上の見張りが気付く。この艇のセイルから出て狙いましょう」
 斑目沙弓は狙撃のチャンスは一瞬と見ている。
 「今回は一人だけやって逃げる」
 「T国のアジトはまだ使えるのでしょう」
 「中に居ることが確認できるならは私がジェットヘリでホテルに突っ込む」
 吉祢恭子が最後の手段を宣言する。
 「一人は無理。射撃ができない」
 斑目沙弓は自分も乗ると主張する。
 「良乃さんは今回戻ったら中国の組織に逃がしてもらって下さい」
 吉祢恭子は木邑良乃だけ逃げて日本から仲間を連れて次の作戦に繋ぐべきと提案する。
 「沙羅さんとこの潜航艇で逃げた方が良いよ」
 斑目沙弓は今回一人片付けて騒いでいるところを出直して一気に目標の四人に近くまで片付けようと言う考えである。
 「どっちにしても中国の組織の手を借りるしかないよ」
 「とにかくあの四人の内三人まで片付けたら状況は変わる。良乃さんはそのあとを続けて下さい」
 吉祢恭子と斑目沙弓は覚悟を決めていた。
 「二回目に掛けましょう。あのホテルごと破壊したら宴会の最中なら軍の高官も沢山葬れます」
 木邑良乃はどうすべきか決めかねたが二人の意見に傾き始めた。もし四人を倒しても仕上げはしなくては成らない。
 
 T市。本庄真奈美の工場である。
 広瀬亜理紗らは我慢の限界に来ていた。
 伊久美愛琉と佐藤栞李も同じ心境であった。
 「三人の内一人でも確保して日本で拉致されたと証明できたら勝てるよ」
 「そうよ」
 佐藤栞李も納得する。
 「私は行くよ。いま娼国の北の島のCICの四十五階に居るのよ」
 「いいよ。覚悟決めるよ」
 「うん」
 二人は同意した。
 「その場で三人にインタビューして日本に映像を送る。同時に動画配信サイトにアップする」
 広瀬亜理紗らはR国に工場を進出した日本企業の従業員なのでヘリをチャーターして自由に動ける。
 そのまま空港に向かう。
 
 南沙羅は沿岸の海底すれすれを航行する。
 「この艇。娼国の艇じゃないかしら」
 南沙羅が突然言い出す。
 「何で」
 「中国にこんな艇は作れません。小型の原子炉で動いています。それにマニュアルもきちんとした日本語です」
 「日本にも造れないね」
 「組織が娼国から盗んだか。横流し」
 「それじゃ偵察が来ても見間違えるかも」
 「そうだと助かります」
 
 娼国CICビル最上階。娼国CIC司令部である。
 何故か其処には稲垣七郎と橋下五郎本部長が居た。
 「敵は罠に嵌りましたね」
 「中国の組織が簡単に買収できるとはな。また影武者には殉職してもらうことになるが已むを得ん」
 「そうですね。テロリストとしての烙印をきっちり押してから死んでもらいましょう」
 「もうじき港に近付きます」
 津島の部下が報告する。
 CICでは完全に航行位置を掴んでいる。
 遠隔操縦も可能である。
 「そろそろ影武者を出動させるか」
 「しかし怖い女達ですね。ジェットヘリでホテルに突っ込むとは」
 会話も全部筒抜けと成っている。
 「遠隔操縦で制御できるが」
 津島は窓に近付く。既に狙撃の準備体制である。
 「女どもの潜航艇が港に侵入して潜望鏡出しました」
 真紀子と葛城義和の影武者がフロントに向かう。
 ラウンジには窓際に木村草太若頭補佐と宇佐美伝吉舎弟頭補佐が食事をして見張る。
 奥の席には東丸秀三郎若頭補佐と宇佐美伝吉舎弟頭補佐がビールを飲んでいる。カウンターには大谷彰浩若頭補佐が女性バーテンの前に座る。
 既に大船一家はこのラウンジに当たりを付けている。
 真紀子と葛城義和の影武者がラウンジの正面を通った時。そのタイミングで女性バーテンがスマホで合図を送った。
 大谷彰浩若頭補佐はそれを見逃さない。大谷彰浩若頭補佐は宇佐美伝吉舎弟頭補佐に合図する。
 宇佐美伝吉舎弟頭補佐はCICに居る稲垣七郎に連絡を送る。
 やくざも器用にスマホを使いこなすように成った。
 津島の部下がラウンジに向かう。
 
 広瀬亜理紗らは娼国の港に高速船で着いた。そのままCICのビルに向かう。四十二階。木崎綾乃らを収監する新しい鉄格子を目指す。
 ラウンジの女性バーテンがカウンターに座った将校らの会話から掴んだ情報である。
 三名はエレベーターで堂々と四十二階に向かう。
 だがこの動きは既に娼国のセキュリティに確認されていた。
 「柿崎さん。あっちは頼むよ」
 木邑良乃の動きを聞いて柿崎一行は娼国に来ていた。
 「了解です」
 柿崎一行は直ぐに部下を連れて動く。
 早急に木崎綾乃ら三名を別の部屋に移動する。
 広瀬亜理紗ら伊久美愛琉と佐藤栞李の三名は前後を警戒しながら鉄格子の在る区画に向かう。
 柿崎一行は部下を配置してそれを前後から挟み撃ちにする。
 広瀬亜理紗ら三名が鉄格子のブロックに入る。
 佐藤栞李が先頭である。鉄格子のブロックは空に成っていた。
 三名は唖然とした。
 次の瞬間。柿崎一行が佐藤栞李を射殺する。
 「あーーーーーーーー」
 前後から追い詰める。
 「この建物に侵入したらスパイ行為だ」
 柿崎一行は広瀬亜理紗と伊久美愛琉を確保して南の島に移送する。
 
 「出て来た」
 南沙羅が潜望鏡から確認する。
 潜望鏡深度からセイルの表面ぎりぎりまで浮上する。
 斑目沙弓がハッチから出て桟橋に降りる。
 吉祢恭子はハッチから躰を出して銃を構える。
 真紀子と葛城義和の影武者は噴水に向かって歩く。
 葛城義和の影武者が港を向いて何かを指差す。指令通りである。真紀子の影武者も港を向く。
 その瞬間斑目沙弓と吉祢恭子の銃が火を噴く。
 真紀子と葛城義和の影武者が銃弾を食らって倒れる。
 次の瞬間。津島の銃がセイルから躰を出していた吉祢恭子の眉間を撃ち抜く。さらに次の瞬間CICのビルを見る斑目沙弓の眉間を撃ち抜く。
 僅かに十数秒で二人が射殺された。
 木邑良乃が吉祢恭子の躰を中に引きずり込んでハッチを閉める。
 「急いで潜行して」
 「駄目です。操縦できません」
 「ええーー。何で」
 「あ、ああーーーーーー。遠隔操縦とモニターに」
 南沙羅が叫ぶ。
 「それじゃ。この艇は」
 木邑良乃はようやく事態に気付いた。
 「ああーー。浮上します」
 南沙羅は慌てる。
 「ええーーーーーー」
 最早どうにも成らない。
 「娼国の警察員が」
 南沙羅が娼国の警察員が近付くのを浮上した艇の窓から指差す。
 次の瞬間。
 ズーーーーン。
 木邑良乃は床に落ちていた吉祢恭子の銃で顎から頭を撃ち抜いて自決する。
 娼国の警察員らは艇を囲んでハッチを開こうとする。
 南沙羅も吉祢恭子の銃で自決する。
 噴水の前の二人は即死である。
 
 柿崎一行の連絡を受けて真紀子らは南の島にヘリで移動した。
 「とうとう尻尾を出したのね」
 真紀子は広瀬亜理紗と伊久美愛琉に冷たい表情を投げる。
 「あそこに迷い込んだは通用しません」
 葛城義和がダメ押しを宣告する。
 「あそこに新見由香たちが居ると情報が入ったのです」
 広瀬亜理紗は怒りに事実をぶちまける。
 「ラウンジの女性バーテンから」
 「・・・・」
 広瀬亜理紗は答えようが無い。
 「そっちも逮捕されたわ」
 「ああ」
 「しかしあんたらが木邑良乃と連携していたとはね」
 「ええ。そんな」
 「とぼけても駄目です。噴水の前で二人射殺されました。貴方々がCICの建物に侵入した直後です」
 「・・・・・」
 「これでも言い訳しますか」
 「偶然です。それだけはありません」
 「私と葛城先生の影武者が射殺された。撃った二人は津島が射殺したよ。木邑良乃と南沙羅は潜航艇の中で自決ね」
 「知りません。私達は単独行動です」
 「そうです。あの連中には私達も迷惑しています」
 伊久美愛琉が広瀬亜理紗の言葉に付け加える。
 「まあそれはもう少し調べましょう」
 葛城義和は確かに違うと確信した。
 「そうね。本庄さんが居ないわね」
 「社長は何も知りません」
 広瀬亜理紗は必死に弁解する。
 「真紀子さん。どうやらこの三人の暴走でしょう。武器も持っていませんね。柿崎さん」
 「そうです」
 柿崎一行もそれが疑問であった。身体検査はした。
 「しかし貴女方の目的の人達が居たとして連れて逃げられないでしょう」
 「それは考えていませんでした」
 「その場でインタビューして情報を日本に送るのね」
 真紀子は直ぐに気付いた。
 「それと動画投稿サイトに流す」
 葛城義和も事態を理解した。
 「はい」
 「どっちみちあんたらは今日から加重死刑囚だ」
 二人はそのまま南の島の鉄格子に入れられた。
 
 翌日。真紀子らはT市の下着工場に向かった。
 本庄真奈美はニュースで事態を知って覚悟して待っていた。
 「貴女には不可抗力であれ起きた事の責任は持って頂きます。このまま何も無かったように生産を続けるのです」
 「得た利益は」
 「そんなものは我々に関係ない。このまま平穏な生産を続ければよい」
 「それでよろしいので」
 「最初から貴女がその意志であれば何の問題も無かったのです。でもこれからはきっちり監視させていただきます」
 「はい」
 「ただ私の権限では有りません。湯野中総統。どうされます」
 そこまで言って葛城義和は我に返る。
 これ以上周囲に波風は立てずテロだけで終わらせる。マスコミなどが動かないためには工場は無関係で済ませたい。
 そう思い先走ったが二人の確認を取ってなかった。
 「葛城先生がそう仰るなら」
 湯野中に異論は無かった。
 「真紀子さんは」
 「私は貴方の女よ。何も言わないわ」
 本庄真奈美に限らず此処に居た全員が今の言葉に唖然とした。何が起きたのか青天の霹靂では済まない。
 そして葛城義和自身が心底震えの極地で居たかもしれない。
 だが真紀子自身は極めて正しい判断を支持して正面を向いて自分の本心を言ったに過ぎない。
 そして自分を副主席ではない一人の女として見ろと言っているのである。
 滝澤沙緒里や出水茉里元巡査部長の事を何か言う心算は毛頭ない。自分が薦めたのである。
 真紀子自身も他に関係を持つ。それがこの国のルールである。
 
 女衒の國 その十七 拷問と経済侵略 完
 
 女衒の國 その十八に続く。


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