SadoのSM小説
女衒の國 その一

潜入婦人警官

この物語はフィクションであり、実在の人物、機関とは何ら関わりがありません。

 二〇〇八年。
 北嶋真紀子は三角木馬の上に縛られていた。非常に辛い姿勢である。
 三角木馬と言うが木ではできてない。低部は一メートル四方の鉄板である。そこから一メートル少しの鉄柱が伸びている。
 鉄柱に三角の台座が乗っていた。奥行き一メートル高さ二十センチ底辺は十センチくらいである。
 上部は鋭利ではないが尖っている。一センチくらいが金属で先端は一ミリくらい鑢が掛かってゆるく孤を描いていた。
 遠目からは先端は尖って見える。
 股が台座を跨いで真紀子の女陰は三角の頂点をビラビラで咥えるように敏感な部分が当たっていた。
 女陰の下の方から会陰、アナルまでが三角木馬の頂点に乗り躰全体の重みがそこに掛かっている。
 両腕は後ろ手に縛られ高手小手に縛った縄は乳房の上下を固めていた。
 胸部を固めた縄で天井から倒れない程度に吊られているのである。
 三角の台座を跨いだ両脚は革の脚枷をつけられ鎖で低部の鉄板に繋がれて引っ張られていた。
 僅かな動きでも局部は痛い。引いたり強く動いたりすれば会陰が切れてしまいそうである。
 真紀子は身長百六十五センチ細身で目が大きく小作り。典型的な美人顔と言える。
 客は一人。日本から来た四十代実業家のようである。
 初めてのお客だが日本人以外は自分ら日本人のハードコンパニオンを指名することはない。
 此処には混血を含めた多くの人種が存在する。
 亜細亜の大陸から少し離れて浮かぶ島。R国という弱小国家の領土だが仁川(にながわ)坤一という日本人の所有である。
 年間一京に近い金額が動く。
 R国の港の近くに国際線が着く空港がある。国の管理だが仁川氏が所有している。
 R国は首相も役所も仁川氏の息が掛かっていた。
 議会は全員仁川氏の系列から出た議員で占める。それ以外は立候補すらしない。総てが仁川氏の資本傘下にあるカイライ政権である。
 空港から高速船が二十分で娼館島に着く。
 娼館島は仁川氏が女衒の父から受け継いだ島である。
 仁川氏の父は戦前に日本陸軍の侵略に乗じてアジアに進出した。外国人向けの娼館を営む当時の言葉で女衒である。
 その当時は日本から女性を出稼ぎさせた。これがからゆきさんである。
 終戦後からゆきさんは引き揚げたが仁川氏の父は島を護って売春を続ける。
 現地の貧乏な家庭から娘を安く買い取り美形日本人との人種の掛け合わせで上質な売春婦を作り上げた。
 それを仁川氏が受け継いだのがこの島の女性達ある。
 国際空港には日本、韓国、バンコクから週二から三便飛んで来る。R国の名称だが仁川氏の百パーセント投資の航空会社である。
 島にもR国内にも仁川氏の経営する大規模売春街が存在した。
 娼館島は完全に売春島である。大型ホテルも存在する。
 真紀子が本日派遣されているのは少人数宴会用の日本人向け和室である。
 日本人客が一番多いが真紀子ら日本人のハードコンパニオンは僅か数十人しかいない。
 他の外国人も同等ぐらいで女性の大方が島で育った。殆どが現地人と日本人との混血である。
 それ以外は韓国、中国、東南亜細亜、東欧系白人も居る。
 真紀子ら日本人が一番高い。本日の花代は基本四十万。それに三角木馬などのオプションが追加になる。
 日本人でなければもっと安い。東欧系白人、コリアンで半額。あとはそれ以下となる。
 通常のコンパニオンはその半額である。此処にスーパーコンパニオンという言葉は無い。
 総て一夜の恋人までの御世話をする。ただSMがないだけである。
 日本人は円建てでコリアンはウォン。それ以外はドル建てで換算する。
 いま真紀子が乗せられている三角木馬はBランクである。Aランクになると頂点が丸めてない。
 日本人のハードコンパニオンにはBランクだけである。
 歯を出して研いでいる訳ではないが短時間で少しの動きででも斬れてしまう。
 斬れた場合は客が休業期間の本人の基本取り分を保障しなければならない。
 島の女性の場合なら一ヶ月休んでも日本円で三十万前後である。
 真紀子は今日のプレイはかなりハードを覚悟していた。
 両方の乳房に洗濯バサミを着けられている。
 それをスパンキングで叩き落とされてしまう。
 「ぎゃふぁああーーーーーーーーーーーーーーー」
 反対側も叩かれた。
 「あ、ああーーーーーーーーーーーーーーーーん」
 躰が強く震撼する。
 「ううーーーん」
 乳房も痛いが躰が揺れると三角木馬の頂点に乗った女陰に激痛が走った。
 ローションの代わりに濡れてない女陰にキシロカインゼリーを塗っている。
 キシロカインゼリーは皮膚表面麻酔である。
 それでも痛い。
 このBランクの木馬でも一時間くらい乗せられるか激しく動くと会陰の皮膚が赤く剥けてくる。
 割れる場合もある。アナルを遣られて痔に成ってしまって泣きながら続けている女性もいる。
 今日のプレイで多少切れても余程の状態でなければ明日の仕事はキャンセルできない。
 明日の仕事を受れば今日の多少の傷は保障されないのである。
 次は乳首を中心に乳房を両方洗濯バサミで三本ずつ鋏まれてしまう。
 真紀子の乳房は均整の良い山形でCカップである。
 乳首は直径一センチくらい。高さも七ミリくらいある。乳輪はそれほど大きくない。色は鶏の鶏冠のように赤い。
 洗濯バサミは乳房をへし潰すように深く鋏んでいた。
 これをスパンキングで叩かれると乳房の皮膚が剥ける程度の傷は免れない。
 「こんなに深く鋏むと傷が残るのですよ」
 「そうだな。でもこれは叩かないよ」
 続いて僅かに三角木馬の先端から浮いたクリトリスも鋏まれてしまう。
 三角木馬の先端に女の部分が乗った究極の拷問状態なのである。さらにクリトリスに痛みを受けることに成る。
 乳首も鋏まれていた。左右とも三本ずつ真ん中の洗濯バサミは敏感な乳首をざっくり鋏んでいる。
 真紀子は躰の敏感な部分総てを責められていた。
 糸で何本も繋いだ洗濯バサミを取り出す。
 まだ付けられてしまう。もう痛みと恐怖で縮みそうである。
 乳房の外側に膨らみの裾野から三センチ置きに下に付けて行く。一番下は腰を過ぎ太腿の付根に掛かった。
 左右均等に反対側も付けられてしまう。
 乳首に比べれば軽微だが一つ一つが繊細な痛みを浸透させてくる。
 このまま長い時間は堪えられない。
 男の顔は虐め心が漲っている。
 一見優しい男に見えて臆病ささえ感じられた。
 真紀子は何人も虐める嗜好の男を見ている。この客には本質から虐める男の本性を感じ取れた。
 男が糸を抓む。
 全身に電流が走るように恐怖が奔った。
 一挙に引く。洗濯鋏はドミノ倒しの様に続けざまに飛ぶ。瞬時に痛みが襲う。
 「あ、ああ、あーーーーーーーーーーあーーーーーーーーーー。あはあーーーーーーーーーーーーーーん。ああーーーーーーーーーーーーーーーーん」
 腰も動いてしまう。
 「うぐーーーーーーーーーーーーーーーん」
 洗濯バサミを引っ張り落とされる衝撃に悲鳴を上げてしまった。
 だがその後の連動する衝撃から動く三角木馬に乗った部分の痛みの方が深刻である。
 「うぐふうーーーーーーーーーーーーーーーーーん」
 男はもう一方も抓む。真紀子は涙目で男を見てしまう。
 引く。
 「ああはああーーーーーーーーーーーん。あはあーーーーーーーーーーん。あはーーーーーーーーーあーーーーーーーーーーーーーーーー」
 慎重に躰で受けても腰には連動する。
 「ううぐーーーーーーーーーーん。うううーーーーーーーーーーーーーん」
 目から涙は抑えられない。鼻水ももう吸えない。垂れ流してしまった。嫌な醜態姿に成ってしまう。
 女陰はもう斬れているかもしれない。
 徐々に染みるような痛みが浸透してくる。
 「すいません。私、明日宴会の仕事が入っているのです。あまり痕が付きますと」
 「明日大丈夫だよ。女躰盛カウンターだろ俺が幹事だ心配要らないよ」
 ああなんと言う事だ。明日出てこの人が幹事で普通に終了すれば先二日は予定が無い。今日のハードは総てうやむやになってしまう。
 「明日はあまり痛い事は無いよ。重大な集まりだからね。誰も虐める暇なんか無いよ」
 少し安堵した。毎日が針の筵以上である。よく大きな怪我をしないで今日まで来られたと思う。
 日本人で打ち切り保障はまだ無い。現地の女性なら日本円で五百万足らずで家を建てアパートを建て家賃収入で一生暮らせる。
 人工肛門になるケースが多い。膀胱が人工に成った女性も居る。
 Bクラスの三角木馬では余程の事をされなければ深手にはならない。会陰の皮が剥け粘膜が擦れてしばらく痛いだけである。
 だが痔に成るとなかなか完治しない。
 その場合の保障は受けにくい。我慢して仕事を続けるしかなくそれが一番の心配である。
 男は露天風呂に湯を張っていた。このルームは日本の高級な温泉の客室をまねて造られている。
 「湯を張っておいたからな。もう少し我慢して。多少そこが剥けても直ぐ湯に浸ければそんなに酷くはならない」
 とても愉しそうである。
 この男は常習犯なのだ。この三角木馬の結果をよく知っている。
 男は蝋燭に火を点けた。
 躰に蝋涙を垂らされれば嫌でも躰は三角木馬の上で揺れる。
 クリトリスの洗濯バサミは取ってくれた。
 「ううーーーーーーーー」
 取られてもまだ痛い。
 蝋涙はうなじの下に背中の柔らかい部分を狙って来る。
 「うううーーーーーーーーーー。ううーーーーーーーーーーーーー。」
 ここも意外と熱い。真紀子は悲鳴を上げてしまう。
 男は前に回る。太腿に掛かった。
 「あううーーーーーーーーー。ううーーーーーーーーーーーーーーー」
 もろに三角木馬に乗った女陰に震撼する。
 「あううーーーーーーーーー。あうううーーーーーーーーーーーーー」
 真紀子は堪らず声を漏らす。
 熱い。落とし方が斜めである。同じ蝋燭でも平行か斜め上向きに持てばさほど熱くない。
 「ううううーーーーーーーーー。うううーーーーーーーーーーーーー」
 洗濯バサミの上から乳房は真赤である。
 両脚とも太腿の一番美しい部分に真赤な蝋涙の流れが固まっていた。
 天井から吊られた縄を背中から倒すように引かれる。
 蝋涙がドテの僅かな黒い塊からクリトリスに流れるように垂らされてしまう。
 「あううーーーーーーー。ああううーーーーーーーー。あうーーーーーー」
 蝋涙の熱が躰を突くごとに躰全体が固まる。女の部分が三角木馬の頂点でずれて軋む。
 「ううぐーーーーーーーーーーーーーーん。うううーーーーーーーーーーん」
 強烈に痛い。
 鼻水も涎も汗も涙も垂れ流しである。真紀子の小作りで上品な美形顔が情けなくみすぼらしく見るも無残に崩れていた。
 男は安形寛一という。痩せ型だが社長といった風貌の紳士である。
 真新しいタオルを密封された包装から取り出し湯に浸けて絞る。
 真紀子の顔を拭く。額の汗を拭い取る。涙を拭き鼻水も拭き取った。
 「ううう。うう」
 真紀子は助かった反面。屈辱極まりない。
 「そろそろ降ろしてやりたいが一つ約束してくれ」
 安形はやんわり改まった口調で言う。
 「はい」
 「その洗濯バサミは良いと言うまで取るなよ」
 「はい」
 真紀子も自分で取ったりはしない。そのくらいのルールは守る。
 「もし取ったら究極のお仕置きだ」
 安形はやや笑いながら言う。
 「やはり鞭で叩き落とすのですか」
 真紀子はそれより叩き落とされた時の痕が心配である。
 「いいや。君の手でゆっくり取らしてあげるよ」
 安形は腹の底まで短剣で抉るような物の言い方である。
 まず脚枷をゆっくり外す。
 ハンドルを回してアームを下げた。ハンドルは台座の下アームの真ん中に付いている。
 真紀子の躰を支え天井から吊っている縄をやや緩めて行く。
 またハンドルを回してアームを下げる。下部の鉄板に脚が着く。
 さらにハンドルを回して台座を下げる。女陰が台座から離れた。金属でできた三角の頂点は濡れている。微かに血の赤が混じっていた。
 躰を後ろから支えてさらに吊るしている縄を緩めお尻を鉄板の外に着ける。
 さらに縄を緩め後ろ手に縛ったまま仰向けに寝かせた。
 股を広げる。こっちも微かに会陰の皮膚が剥け血の赤が滲んでいた。アナルも女陰の下部も赤さを増している。
 安形は痛々しそうな真紀子の女の部分を満足そうに見ていた。
 女の部分の粘膜は縦に一文字。
 まわりの皮膚はドテの陰毛の無い部分とあまり変わらず白い。
 小陰唇は三分の一位から下へ赤が濃くなり二つに割れて下の方は中の薄いピンクが覗いている。
 ビラビラを二本の指で広げると四層に色が変わる。
 中核は薄い金赤系のピンクである。その直ぐ縁は一段階ピンクが濃くなる。
 次はさらに赤が濃くなり外側はドドメ色に近いが濃い赤紫の縁で囲むような外観である。
 中核の下の方は穴が割れてピンクの上に紫の斑が掛かっている。
 安形は酷く気に入ったのか暫く見詰めた。
 いつもそうである。団体の宴会でよくそこを並べて見比べられる。真紀子は比べられるのは嫌である。
 何故か真紀子のそこは気に入られ長く観賞されてしまう。
 お褒めの言葉も多数頂くが幾度も見詰められては心底辛い。
 安形は僅かに開いた穴に指を入れる。
 「あうう」
 濡れている。感じて濡れているのではない。敏感な部分を保護する為に自然に濡れたのである。
 安形は真紀子の女の部分を暫く弄ってから胸部の縄を解く。乳房、乳首の洗濯バサミはしっかり鋏んでいた。
 安形は真紀子の手を引いて腰まで風呂に浸ける。
 外は南国の熱さであるが強力なエアカーテンが建物に挟まれた上空を遮断していた。天井が高いだけの冷房の効いた露天風呂である。
 桶を浮かべて二重層のジョッキに冷え切ったビールを注ぐ。
 真紀子には洗濯バサミが無ければ束の間の休息である。
 湯に入る事で女陰の痛みはやわらぐ。ビールも美味い。だが洗濯バサミは繊細な痛みをじわじわと刻んでいる。
 安形は湯の中で真紀子の綺麗な脚を摩りながら被った蝋涙を落す。
 擦れた女の部分も弄っていた。拒否は出来ない。される儘である。
 日本の風俗ではSM以外ある程度触らせれば拒否も要領よくできる。だがこの国では怪我に成らない限り徹底的にお客本意に教育された。
 日本の風俗でも稼ぎたい子は逆らわずお客本意にやらせる。だが日本でそういう子は少ない。
 安形はまたも真紀子の女の部分に指を突っ込む。濃厚に弄くりながら唇を被せる。
 キスはとっくに割り切っていた。嫌だが一番先に割り切らなければならない。
 安形は清潔な叔父様タイプである。
 生理的に嫌でないだけ受け入れやすい。それでも自分から責めるように舌を外に出し相手の唾液が入るのをできるだけ防ぐようにする。
 三十分くらい露天風呂で弄られながら患部を癒した。
 露天風呂から抱き上げられ畳の上に寝かされる。
 頭だけ枕をかましてくれた。
 ドテの上の黒い僅かな塊に掛かっていた蝋涙は湯の中で綺麗に落とされている。またそこにローションを掛ける。
 剃刀で長いまま少しずつ剃って行く。
 剃毛までされてしまう。剃毛は一万しか貰えない。それなのに暫くプレイに支障をきたす。
 それがないと嫌がる客も居る。
 真紀子はよく剃毛された。客がしたくなるらしい。だが他の客が剃毛してしまっていると詰まらなそうにする客もある。
 それでチェンジされてしまう女性もいた。真紀子の場合は大概の客が我慢してくれる。
 本日はここ迄で五十三万。オプションで三角木馬Bが十万。ピンチが二万。剃毛が一万である。
 真紀子の取り分は二十五万に成る。他に指名料が二万。将来取り分が十万である。
 この場合の指名料は客からは取らない。オーナーの取り分から出してくれた。
 将来取り分は真紀子の基本料金売上の累積が八千万に達した時点で二千万を払って貰える。
 一回の御座敷で基本料金四十万の内二十五パーセントの十万が取り分。だが八千万に達した時点でさらに二十五パーセントが貰えるのである。
 その後も仕事を続ければ基本二十五万プラス指名料二万が客の払う四十万から真紀子の取り分になる。
 剃毛をを済ませてその部分を綺麗に洗う。
 真紀子の女の部分はその周囲がドテ下の割れ始めの部分から女陰の左右の丘がやや赤い枠を描いている。
 それ以外は股の皮膚と色は変わらない。
 日本人のそこは剃毛すると本来陰毛に隠れて見えない皮膚が赤く爛れて汚く見える。だが真紀子のはもろに官能を直撃する色合いである。
 安形は満足げにもう一度指で割って愉しんでいる。
 男は何故に見ることがこんなに好きなのかと思うが真紀子は何も言わない。
 さらに安形には本日最大の愉しみがある。
 剃毛を終えて充分に観賞した真紀子の躰を起こして座布団に膝を揃えて座らせる。
 膝を揃えた姿も実に綺麗である。
 「さて。クライマックスとするか」
 「え」
 まだ何かされるのか戦々恐々と成る。
 「洗濯バサミ。どっちから取ろうか」
 「はい」
 「どっちが痛い」
 「えー。比較的左です」
 「では右から一つずつ、静かに取ろう」
 「いいですか」
 恐る恐る見上げる。
 「いいよ」
 顔は悦びの笑みを湛えていた。
 何か不安になるがそろりと一つ右端から取る。
 「ああはあーーーーーーーーーーーーーーん。あはあーーーーーーーーーーーーーーー。な、にーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 一挙に乳房を激痛が襲う。
 「があはあーーーーーーーーーーーん。あーーーーーーーーーーーーーん。なにーーーーーーーーーーーーーーーーーーーこれーーーーーーーーーーー」
 畳に手を着き転げ乳房を押えた。仰向けに寝転び目から涙が溢れる。乱れた股を閉じる事など意識がまったく行かない。
 「ああはああーーーーーーーーーーーーーーん。あはあはあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん」
 「さあ、全部取ろう」
 安形は真紀子の究極の泣き顔を上から覗いている。
 「取らないと取る時の痛みはどんどん増して行くよ」
 「ああはあーーーーーーーーーーーーーーーん。いやーーーーーーーーーーーーーー。あはあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん」
 最早、大人のプライドなど何処にもない。泣きじゃくった惨めな顔は三角木馬の時以上である。
 「取ってやろうか」
 「い、い、・・」
 脅えたように顔を振る。涙は左右とも一条綺麗に流れていた。
 「あはあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん」
 泣きながら残りの二本を一気に取る。
 「あはあーーーーーーーーーん。あはあーーーーーーーーーーーーーーん」
 般若の形相である。眉間には三段に皺が固まる。顔全体が斜めに歪んで稲妻が奔っていた。
 「あはああはあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん」
 畳で尻を擦って振り脚をばたつかせる。躰を仰け反らせて乳房を押えた。
 真ん中の一本が鋏んだ痕が究極に痛い。
 「さあ。左も」
 「ああはあーーーーーーーーーーーーーーーーん。あはん。あはん」
 それでも気丈に一気に洗濯バサミを掴み取ってしまう。
 「ああはあーーーーーーーーーーーーーーーーーん。あ、ああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。あっはん。あっはん」
 号泣の半狂乱である。
 真紀子にはもう何も考えられない。何時まで痛むのか。
 安形の手が両方の乳房を掴んで揉む。
 「ああはあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん。やめてーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 真紀子は自分の手で安形の手を退けようとする。
 「駄目だ。いま揉まないと何時までも痛いぞ」
 安形はねじ伏せる強い口調である。
 「ああーーーーーーーーーーーーん。あはあーーーーーーーーーーーーーん」
 退けようとした自分の手を畳に叩き付け躰を震撼して泣きじゃくる。
 安形の手は真紀子の両方の乳房を深く揉む。
 真紀子は半狂乱の号泣を続けた。
 真紀子にとって今日の安形の虐めが最大である。一生涯忘れないと思った。
 
 翌日も真紀子は乳首の感覚がない。
 安形の部屋で死んだように眠った。
 翌朝。先に布団で目を覚ました。安形が裸のまま寝床に入れてくれたのだ。
 乳首をよく揉みながら考えた。その後は何もされてない。
 大変なことに気付いた。眠ってしまって安形の性処理をしていない。
 とりあえず洗面で口を濯いで身繕いを整え戻ると安形は起きていた。
 「申し訳ありません。眠ってしまって」
 真紀子はとにかく詫びるしかない。
 「いいんだよ」
 安形は哂っていた。
 「でも、まだあっちの方が」
 「明日の宴会が終わってからまた付き合ってよ。予約入れるから」
 「でも今回は」
 「ははははは。いいよ。あれだけ堪能させて貰ったら」
 また呼んでくれると言っている。問題ないと思う。だがこの島で遣らずぼったくりは大罪である。
 「でも、私叱られます」
 「大丈夫。そんな馬鹿な事はしない」
 安形は愛しい女を抱しめるように浴衣一枚の真紀子を抱き寄せた。
 
 宴会は六時からである。
 安形は今朝別れ際に十万の志をくれた。遊びなれている男である。
 あれだけ辛い事をされても今の真紀子には良いお客かもしれないと思ってしまう。
 島の母屋とも言うべき一番古い洋館が存在した。仁川氏の住居である。
 その隣に十階建てのマンションの様な建物。真紀子ら日本人のハードコンパニオンはその最上階に部屋を与えられている。
 一DKだが住み良い美室である。高層ホテルの後ろを除いて二つの島がほぼ見渡せる。
 ホテルは母屋の反対側の海辺にある。
 真紀子は五時に控え室に入る。寸前に化粧室を済ませシャワールームで躰を洗う。いよいよ忍耐の女躰カウンターになる。
 何もしないが辛い仕事である。
 旅館の団体宴会などで江戸時代の千石舟の様な木でできた刺し盛の器を見ると思う。あれを手漕ぎボートの大きさぐらいとする。
 底に高くすのこが敷かれている。すのこの上に幾重にも笹の葉が敷き詰められていた。
 そこに全裸で仰向けに脚を揃えて寝る。全部で四艘。二艘縦に二列で左右の舟の間は一メートル少々。
 双方の内側に板前のネタケースと座る高さの調理台が置かれていた。
 客の席は四層の舟の外周である。十六人座れた。
 中央に水だけ入った水槽がある。
 生け簀のように酸素は送っている。
 真紀子は嫌な気がした。
 四人ともドテに黒い塊はない。
 真紀子の頭の近くに安形が座る。そこから舟二艘を挟んで反対側に島のオーナー仁川が座った。
 真紀子を此処に紹介した女衒の湯野中匡史もいる。
 女躰一つに板前一人が付く。
 「問題は日本の慢性的不況だ。どんどん資金が腐って行く」
 「日本自体が限界に成っている。既に指導者無き国だ」
 「政情不安定も甚だしい」
 「民事党だけなら手の打ち様があるが国民党が根本的に邪魔だ」
 「最下層がまったく金がない。購買力以前だ。必要なものが買えない時代に成ってしまった」
 「物が安くなって利益が減る。収入も減る。悪循環の繰り返しだよ」
 「何が派遣法改正だ。結果は派遣会社が日雇いのまま、日払いを月払いにしただけだ」
 「余計金が回らなくなって購買力が落ちるだけだね」
 話が弾むので鮨は適当に握られる。女躰に笹を載せその上に置く。女躰は今のところカウンター代わりである。
 「派遣法改正もそうだが麻留内閣の景気対策補正予算には呆れたものだ」
 「民自党が政権から離れても当分予算を配分しておこうと言う意味のない配慮じゃないですか」
 「どっちが政権取っても悪くなる事に変わり無しか」
 「まあ壊れた下駄の右か左の違いですか」
 「まだ民事党がましだ。国民党に任せたら本当に崩壊だ」
 「今でも崩壊に近いですけどね」
 寝かされている真紀子にはどれが誰の発言か声で聞き分けるしかない。仁川と湯野中、安形の声は分かる。
 若い人達とくに女性は国民党が政権を取って本気で日本が良く成ると思っている。だが年配者は意外と醒めて見ているのが真紀子にも分かる。
 「とにかく役人が法律を作って実質役人が行政というのを何とかしないといかんよ」
 「無理ですな。日本の内閣にはアメリカの大統領のような権限がありません」
 「一回瓦礫の山に戻すしかないんじゃないの」
 「国民党の馬鹿な代議士が育休切りを非難していたな」
 「人気取りのつもりでやっているのだが困ったものだ」
 「民事党も国民党も育休切りの規制案を出していたが企業を雁字搦めに規制すれば片が付くと思っている」
 「育休など公務員だけが堂々と使える贅沢極まりない制度や」
 「そんなものを作るから派遣や外注に切り替えざるを得ないんだ」
 「そうだな。派遣や外注にしてしまえば育休なんか関係ない」
 湯野中氏はコンパニオンの躰に載った鮨を笹ごと自分のお膳に取り込んでしまう。温まるのは嫌なようである。
 「オンサイトで外注チームが来る。だが其処の社員は一人であとは皆派遣さんだからな」
 湯野中氏は父の代から仁川氏に仕える女衒であった。女衒という言葉はなくなり独立した派遣会社を経営しているが島に女性を運び続けていた。
 「派遣会社も二次派遣は出来ないから業務委託とか個人の外注を使っている」
 「法的に問題はないのですか」
 「なくは無い。だがそれを取り締まればもっと雇用は条件が悪くなる」
 「それを取り締まるより次の規制が心配だな」
 「どっちにしても規制すれば末端の賃金が悪い条件になると言う事だ」
 「育休とかセクハラの苦情を避けるため派遣、外注に切り替えるとコストは高くなる。そこを生涯賃金とバランスを取れば正社員を雇う価値は無いという事だな」
 「今の日本や韓国ではそうです」
 「どうしたら日本の経済は良くなる」
 「それは会長。釈迦に説法でしょう」
 「まず。法人税、所得税の廃止。地方自治体を廃止して住民税の廃止。一夫一妻制の廃止。労働基準法を昭和三十年代に戻す。売春防止法の廃止。風俗営業法の廃止ですな」
 「底辺に金が無いのだ。そっちを解決しなきゃどうにも成るまい」
 「政府が企業や派遣会社の間に入って給料の日払いをしてくれなけりゃ無利ですね」
 「我々がいくら考えても法律は変えられない。逆の方向に進んでいるのです」
 「むしろ多国籍企業が本社を置くハブ国家を創るべきですよ」
 「自分らの安泰にはそれでいいが市場が冷えてはどうにも成らんよ」
 水槽に活きた蝦蛄と海老が運び込まれる。
 本来なら活きた蝦蛄が女躰の上を歩くのである。
 本日は板前が剥いて握ってしまっている。
 誰も悪戯したがる者はいないようである。女を団体で弄くって愉しいのは所詮サラリーマン役人だけらしい。
 みな気に入った子がいれば持って帰ってじっくり遊びたいのである。
 仁川は日本酒を冷で飲んでいる。もう七十を越えていた。
 真紀子には此処にいる人物が日本にどんな影響があるか知らない。表に出ている人物は一人もいないのである。
 そして仁川にどれだけの力が有るのか真紀子には想像もつかない。
 「ところで本日はコンパニオン四人出て頂いております。このまま帰しますと基本料金です。いろいろ個人の事情もあります。オプションも使ってやらないと本日の追加収入になりません。少しだけ私に付き合ってください」
 気を遣って頂けてありがたいが真紀子には昨日の衝撃が癒えていない。今日は寝ているだけと安心していたのである。
 それだけではない。このあと安形の予約もある。
 「ハードSMと行きたいのですが、四人いっぺんでは時間と場所がありません。抽選で負けた一人が代表で受けて貰います」
 司会者が宣告する。
 「残った三人はどうなりますか」
 真紀子は思わず聞いてしまった。
 「不戦勝だ。一人三十万のオプションは付く」
 四人全員舟から出され後ろ手に縛られる。脚を三十度広げて立たされた。
 タンポンに長い糸を付けて笊を吊るしたものを女陰に挿入される。真紀子には何故か一人輪加子だけマスタードを塗られているのが見えた。
 角度的に本人からは見えない。だが自分のタンポンは挿入のためのセロファンを抜き取られても乾いている。
 輪加子だけ抜き取られたセロファンにマスタードが掠れて残っていた。
 あの痒みが効き出すととても堪え難い。
 輪加子は真紀子と体形も小作りな顔の類型も似ている。脚の形も似ているが輪加子が少し太腿に僅かな筋肉感がある。
 乳房の形も変わらず良い容だが乳首の紅さが真紀子の赤に対し薄紅系でインパクトが弱い。
 「さて。この笊に硬貨を載せてゆく。一番先に落とした奴が負けだ」
 司会者がきっぱり宣告した。
 硬貨はゆっくり一枚ずつ載せられる。
 輪加子は一週間くらい前に来た。三十前後で細面の美形である。
 時間は三十分掛けて硬貨は六十枚載った。輪加子の躰が微妙にくねるのが真紀子の位置から判る。
 それから五分ぐらいで輪加子の笊が滑り落ちる。硬貨は畳に散乱した。
 「犠牲者が決まりました」
 仁川は輪加子を残して自ら他の女からタンポンを外して縄を解き客席に戻す。他の二人も真紀子同様マスタードは付いてない。
 輪加子は胸部を乳房の上下を回し後ろ手に縛った縄にフックを付けられ天井から吊るされる。まだ脚は畳に着いていた。
 緊縛師が二人で脚首に縄を掛け天井のフックに引っ掛け引き上げる。肩をやや逆さに弓なりに躰が宙に浮く。
 「・・・・・・・・・・」
 輪加子は無言で周りを見渡している。既に相当険しい顔である。
 三角木馬が運び込まれた。Aタイプである。刃を出している訳ではないが頂点は鑢で丸めてない。それでもコンマ五ミリ位だけ天辺は平らである。
 胸部の縄が引かれ脚の縄も引き吊りの高さを高く調節された。
 三角木馬が真下に来ると上からは刃物が尖っているように見える。輪加子の顔は蒼白に成ってしまう。
 ここで普通なら泣きの悲鳴を上げる。だが輪加子は気丈に抑えていた。
 脚の縄を緩め徐々に腰を三角木馬の上に持ってくる。胸部の吊るしを緩めて前屈みを真直ぐに調節した。
 緊縛師は四人付いている。一人の拷問に四人とは大仰である。
 片脚で三角木馬を跨いで股の部分は木馬の頂点から五センチくらいに止まっている。
 緊縛師一人が女陰を広げた。一人が木馬のアームに付いたハンドルを回して木馬の高さをゆっくり上げて行く。
 女陰のビラビラが木馬の頂点の金属部を咥えた所で止める。
 「う、うう」
 顔は一挙に軋む。
 底部の鉄板に鎖で繋がれた足枷は止めない。
 三角木馬の台座の高さが二十センチと短いので自分で脚を突っ張って股の位置を変えたり圧を緩和したりする事はできない。
 ドテに黒い塊が無いので女陰が木馬を咥えている様子が良く見えた。
 他の三人も鳥肌を立てて蒼い顔をして深刻な眼差しで見ている。
 真紀子らの疑問は何故Aタイプなのかである。だが真紀子には最初から輪加子を拷問する目的のように思われて逆の安堵があった。
 「うう、あう、う、」
 微かなうめき声だがかなり痛そうである。如何に華奢で軽い女でも全体重が女陰から会陰、アナルに一本筋に掛かっている。
 「警視庁保安部の沼緒警部だな」
 仁川が断定するように投げかけた。輪加子は首を振っている。
 「否定しても駄目だ。警視庁の警察官職員の写真付全リストがこちらにある」
 それでも輪加子は表情を変えない。
 「・・・・・」
 「まあ、認めなくてもいいよ。確実に調査はしているのだから」
 「仁川会長。そいつ名前を変えてなかったのですか」
 「そうだ。舐めたものだ。本名のままだ」
 調教師は牛追い鞭を一本ずつ持つ。
 警察官と判って三人の女からは同情心が一挙に消えた。来賓の顔には憎悪が滾っている。
 一人目の鞭が乳房を直撃した。鞭は乳房を一周巻いて絡む。
 「がああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 戻る鞭に引かれて腰が動き震撼する。
 「うぐーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 一発で会陰に亀裂が入ってしまう。その上タンポンに塗られていたマスタードの痒みも増してきている。
 「うううーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 容赦なく順番に叩かれた。
 五、六発で意識朦朧となる。木馬を跨いだまま縄に吊るさがってしまった。
 三角木馬の頂点は躰のずれた幅だけ血が滲んでいる。
 既に涙も鼻水も涎も垂れ流していた。声を出して泣いていないだけである。
 「御前はこれから拷問の実験台だな。御前の躰でハードコンパニオンがぎりぎり耐えられる拷問を検証するのだ」
 「うううーーーーーーーーーーー。う、うーーーーーーーーーーーーーーー」
 輪加子はあまりの痛みにまともに返答は出来ない。
 眉間の皺は究極に固まり頭から顔まで汗は流れていた。髪は解れてしまい涙も無言で零れている。
 拷問に堪える小作りの美人顔は堪らなく加虐芯を滾らせた。拷問に醜く醜態を晒すほど究極の悦びを堪能させてくれる。
 牛追い鞭の痕は乳房にも腰にも蚯蚓腫れが紅く浮かんでいる。太腿、背中にも蚯蚓腫れと微かな内出血が見られた。
 白く華奢で華麗な素肌が鞭で蹂躙された姿は熟年男性の股もコチコチに充実させてしまう。
 真赤な蝋燭の溶けた蝋涙を上部に溜めて一気に乳房に垂れ流す。
 「うぐううううーーーーーーーーー。うぐうううーーーーーーーーーーーー」
 眉間の皺が斜め八の字に刻んで一気に固まった。
 躰を硬く構えて受けても腰は震撼する。陰部には激痛が走っていた。
 「うう、うう、ううーーーーーーーーーーーーー」
 涙は一挙に流れ出す。垂れる涎も抑えられない。
 両方の乳房と太腿の蚯蚓腫れを真紅に染めて無言の汗と涙と般若の形相を充分に堪能させて貰った。
 真紀子には昨日の洗濯バサミが無いのが不満である。
 だがAタイプの木馬で女陰の傷がどんなに悲惨かは心配と興味の挟間であった。早く結果が見たいと思う。
 輪加子が自分より悲惨でないと今の真紀子には納得が行かないのである。
 そして真紀子にはこの女の正義は許す事ができない。
 日本に於けるのうのうと暮らす主婦層の主張を代表して真紀子らの稼ぎを根絶しようとする正義である。
 真紀子はこの島で日本人から稼ぐだけ稼いで借金を返して逆に金を溜めて日本で身を立て直したい。
 「仁川会長も大胆だな。直ぐ殺さないで此処に監禁して実験台にしようとは」
 安形が真紀子の横で囁く。
 「それだけ憎らしいのではないですか。あんな女は生かして何時までも苦しめるべきですよ」
 「君は凄いこと言うね」
 「だって私たちの稼ぎを潰そうとする日本の国家権力です」
 「それは正しい考え方だが」
 輪加子を三角木馬から降ろすタイミングが来た。木馬の台座を下げる。吊るしも緩めた。
 動かすだけでも激痛が走る。さらに三角木馬を下げ下部の鉄板に脚が着いたところで失禁してしまう。
 一同から歓声が上がった。
 それでも気丈に声は殺しているが涙はポロポロと零れる。
 三角木馬を下から外すと頂点は金属がかなり赤く滲んでいた。股下も太腿の付根まで細く血が流れている。
 自分では立てないのでよろめく躰を緊縛師が支えた。
 エアベットが用意され大の字に寝かせ両手両脚を引っ張り固定する。広げた女の部分から会陰アナルまで血に塗れていた。
 さらに痒みが我慢の限界に来ている。
 股間をぬるま湯で洗浄した。会陰はぱっくり斬れている。状況から女の部分の粘膜もアナルの粘膜も斬れていると思われた。
 真紀子には輪加子がこれからじくじくとしつこい痛みに苦しむ事が想像できる。少しニンマリする思いであった。
 輪加子は痒みから躰全体を硬直させ頭部を捩って顔に皺を固まらせる。
 緊縛師が女陰を指で掻き回す。もう一人が電マを充てる。
 輪加子は意地で必死に官能を抑えていた。気丈な女のプライドが脆く崩れる最大の見せ場である。
 真紀子が近付く。
 「ごめんなさい。ちょとだけ」
 マスタードのナイロンの容器を掲げた。
 「いいよ」
 緊縛師がにっこり頷く。
 マスタードを三角の口からアナル、会陰、膣に入った緊縛師の指に掛ける。
 輪加子は痛みに眉間を幾重にも固まらせ綻びた口から噛み締める歯を覗かせる。小作りな顔が究極に歪む。
 痛みと痒みが増せばそこから逃れようとする。快感に向かって徐々にではあるが確実に堕ちて行く。
 その快感は数倍に拡大される。
 最早。気丈な女の意地は筋金成らぬ針金のように脆く折れてしまう。
 「ああはあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん」
 緊縛師の電マに力が入る。指の動きも早く成った。
 「あはあーーーーーーーーん。ああはあーーーーーーーーーーーーーーん」
 輪加子の表情は官能の紅を差し甘い声になり苦痛の色は消える。快感極まって女の一番美しい顔である。
 輪加子は湯で躰を洗ってもらい二つ有る奥の島で鉄格子に監禁された。
 鉄格子と雖も拷問の痛みを癒して早く回復するように浴室、トイレ、寝台は付いている。
 
 真紀子は安形と客室の露天風呂に浸かっていた。
 安形はまだ拷問して来ない。真紀子を弄くるだけである。
 「昨日のここの痕はどうだい」
 女の部分を触って言う。
 「うん。少し。でも乳首は感覚が無いです」
 「一週間くらいはそんなものらしい」
 「うーんもう凄かったです」
 「また遣らせてよ」
 「そんな。聞いただけで泣いちゃいますよ」
 真紀子は哀願する顔を作って安形を見る。
 「泣いてよ」
 安形は実に嬉しそうである。
 「そんなに私を泣かせたいのですか」
 真紀子の顔は哀願しながらやんわり抗議している。
 「君の泣き顔はなんとも官能の極致に誘われるよ」
 「もういい子にしませんよ。うんと反抗しちゃいますよ」
 目が私は可愛いのですよと訴えている。
 「もっと虐めたくなっていいね」
 実に嬉しそうである。
 「もうー」
 安形は真紀子の唇を押える。華奢な躰を抱しめ濃厚に口を吸う。
 露天風呂を出ると安形がバスタオルで真紀子の躰を丹念に拭く。女には嬉しくはない。
 「ねえ。何で一夫一妻制の廃止と売春防止法の廃止をして日本の経済が良くなるの」
 やっと真紀子は安形に敬語を使わなくなった。
 「男の最高の贅沢は何かね」
 「それは女を沢山召抱える事」
 「君にそれがわかれば簡単だ。直接税を廃止すれば資産家は税を気にしなくて金を使える」
 安形は真紀子を開帳台に座らせる。
 「一夫一妻制では夫の資産が妻の管理になり性の満足が大幅制限される。資産が預金に留まり流通しない」
 「売春防止法は」
 変わった開帳台である。背中を載せる部分は同じ。脚の部分が左右ばらばらに閉じたり開いたり上げたり下げたりが自由にできる。
 「売春防止法を廃止すれば売春のお値段が下がる。合法に成れば参入者は増える。遊ぶ人も増える。女も所詮悪銭身に着かずで稼ぎを贅沢に投入する。ブランド品が売れてタクシー利用者が増える」
 脚を閉じたまま固定した。背を倒し躰を真直ぐに乗せると余分な肉を付けていないので股間はすっきり見える。
 「でもここまで不況じゃそんな所にお金を使わないのでは」
 「確かにそうだが有る所にはある。だが最下層にお金がなさすぎる。政府がこれを何とかしないと購買力の低下が止まらない」
 「そういう事ね」
 安形は真紀子の両脚を逆の八の字に広げる。背を倒すと女の一番恥ずかしい部分は丸見えである。
 姿見を正面に持ってくる。頭の部分だけ枕を噛ます。鏡には真紀子の女の部分が写っていた。菊の蕾もしっかり確認できる。
 綺麗な一文字の縦スジを下三分の二くらい赤紫の濃い部分を二つに割る。
 「よく見なさい」
 木の葉の形に広がった縁は濃い赤紫の線を描いているが中は緋色が二段階に変化して中核の部分は淡いピンクである。
 「いやーーーーーーーーーーーー」
 真紀子の顔は真紅に染まる。安形にはそれが嬉しそうである。
 尿道の色は変わらないが女の入り口は少し開きピンクの上に紫の斑が掛かっていた。
 そこに金属のクスコの先を挿入する。
 金属の螺子を回して口を目一杯広げた。中に真赤な亀頭の先のような部分が見える。
 「いやあーーーーーーーーーーーーーーーー」
 真紀子には堪らなく恥ずかしい。何度遣られても慣れる事はない。
 安形は瓶から虫を取り出す。蛆虫のようである。
 「や、やめてーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。だめーーーーーーーーーーーーーーーーーー。だめ。」
 真紀子は固定された躰をガタガタ揺すって喚き散らす。
 「だめーーーーーーーーーーーーーーーーー。だめ。だめ」
 半狂乱である。
 安形はピンセットでクスコに近付ける。
 「ああーーーーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーーーーーー。あ、ああーーーーーーーーーーーーやめてーーーー。があーーーーーーー」
 恐怖の形相で躰をガタガタ揺すり半狂乱の叫びである。
 「おねがい。おねがいーーーーーーーーーー。やめてーーーーーーーーーーーーー。だめーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 安形はピンセットを遠ざける。ニコニコ笑っていた。
 真紀子の表情は恐怖に慄いている。
 「ああはああん。ああはん。あはん。あはん」
 遂に気丈な真紀子が泣いた。
 安形は実に嬉しそうである。
 「やっと君の涙を見られたな」
 「ひどおい。泣かしたかったから脅かしだったの」
 「うーん微妙。反応が無かったら」
 「えーーーーーーー、いれたのーーーーーーーーーーー。ひどーーーーーーーーーーーい。もーーーーーーーーーーー。いや。いや」
 「はっはっはっは。まあまあ」
 「いやあはん。あはん。あはん。もういや。もういやーーーーーーーーーー」
 安形は蝋燭に火を点けた。
 真紀子の顔にまた恐怖の表情が奔る。
 安形の手で蝋涙はクスコの中に流された。
 「うあああーーーーーーーーーーーーーーー。あああーーーーーーーーー」
 真紀子は劈き通すような悲鳴である。
 「ああはあーーーーーーーーーーん。ああはあーーーーーーーーーーーーん。あはあん。あはあん」
 完全に半狂乱である。
 安形はさらに流し込む。
 「あああーーーーーーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーー」
 真紀子は失禁してしまう。クスコの上の尿道口から尿が流れ出す。クスコの横を伝ってお尻から開帳台に流れて行く。
 「あはああん。ああはん。あはん。あはん」
 半狂乱に泣く真紀子のぐちゃくちゃの顔は実に加虐心を満足させる。
 安形はすすり泣き続ける真紀子に追加のオプション料金とチップ合わせて二十万をくれた。
 真紀子は露天風呂で泣きながら膣を洗う。痛みの癒しにも露天風呂が良い。
 真紀子も安形も疲れから死んだように眠ってしまった。
 翌朝は客室係のコールで起きる。朝食の確認である。
 「真紀子さん。朝飯どうする」
 「ご一緒で」
 「和食、洋食、どっちか決めてよ」
 「ご一緒でいいです」
 「どっちか決めてよ」
 「それじゃ、和食で」
 真紀子は回復しない体力で辛うじてシャワーを使う。
 安形は露天風呂で放心していた。
 朝食は和室でもワゴンで運ばれる。折りたたみ椅子がセットされていた。
 現地人に和食が作れる。仁川の厳しい指導からである。
 仁川は厳しく現地人を躾る。基本的に日本化がこの島の倫理である。今では日本より昔の日本そのままに成っていた。
 「ねえ。労働基準法を昭和三十年代に戻すと誰か言っていたわね」
 「昭和三十年はオーバーだが雇用機会均等法ができる前に戻す必要がある」
 朝でも茗荷と味付海苔の味噌汁が出る。赤味噌に赤出汁を加えた物である。
 「そこから直したら女性の権利が認められたのが悪いみたいじゃない」
 「女性の権利じゃないよ。女性の追加特権だよ」
 「どうして」
 「女社長は法律に守られなくても男より強くやっているじゃないか」
 「それと勤めている人は」
 「違う。女社長は大概初代だ。自分で切り開く事の方が大変だ。ほんとに会社の発展を考えて使える女は男を抜いて出生しているよ」
 「でも女は育児があるのです」
 「それがいかんのだ。男と同じ出世を求めるなら育児は捨てるべきだ。女社長は大概が家庭は捨てている。または家族が代行している」
 「でも男は育児を負担しなくていいじゃない」
 「関係ないよ。夫婦の間でどっちがやるか決めればいい問題だ。両方求めて育児休暇まで貰って貢献は程々にして出世は同等にさせろ。その負担は企業に求める。だから企業は派遣、全面外注に切り替えるのだ。それが堂々と成り立つのは税金を無駄遣いしている役人くらいだ」
 「どうしても企業は言い分を通すのね」
 「違うよ。そうでなければ成り立たない。官と民の金の使い方を見れば解る事だ。官のやり方では利益は出ない。厚生年金の投資が総て失敗に終わるのも、公共の宿が赤字経営になるのも、民営化が必要になるのも一貫した問題だ」
 「何となく解ってきた。日本が企業の自由な運営に任せない限り、そして企業が正しい判断をしない限り、日本の労働者によい社会は来ないわけね」
 「そうだ。そして規制や直接税を止めない限りどんどん本社が外に出て行って空洞になるだけだ」
 「解った」
 「近い将来に多国籍企業と国家の地位が入れ替わる時代が来る」
 
 真紀子はこの二日間でオプション収入をたくさん得た。此処にいる限り殆ど金は使わない。
 順調に行けば月十日で四百万。二十日で八百万。十ヶ月で八千万は解消出来る。その時点で借金を返しても三千万以上自分の手元に残る。
 その日はパーティの会場に呼ばれた。
 新日本空輸ホテル。R国内の日系ホテルに出張する。
 二十名ほどの会社の出張旅行だった。男性十名は日本人。女性はこの会社がR国に置く本社の現地社員である。
 殆どが日本との混血であり全員日本語が話せる。
 制服ながら少し前の良き時代だったMハンバーガーショップ並みのミニスカートでさらに前ボタンのワンピースである。
 色は薄いピンクながら下着は形がわかる程度に透けていた。
 男子社員と女子社員というよりは宴会場のコンパニオンにしか見えない。既に会場内はセクハラ以前の状態である。
 ディープにキスされている女性。スカートに手を入れられている女性。胸に手を突っ込まれている女性も前のボタンを外されてしまっている女性もいる。
 株式会社パン・ボリビア。日本ではハードコンパニオンの派遣を行っている。この会社から日本支社には芸能人として派遣される。
 温泉の宴会場でハードSMショーを行う。だが歌も歌うので歌手である。
 真紀子はこの中央の広場に牽かれて来た。
 社長ともう一人で拷問を行うようである。緊縛師は居ない。
 真紀子の真赤なワンピースは肩のボタンを外された。もう片方の腕を抜き取りするりと床に落とされる。
 ブラも外されショーツも丸めて下ろされてしまう。抵抗せず脚を抜き取る。全裸である。
 本来十名以上は一人五千円の上乗せである。だが女性はカウントされない。
 真紀子には嬉しくない。基本料金のみである。
 社長の顔は何故か見覚えがあるような気がするが思い出せない。
 もう一人が真紀子を後ろ手に縛る。縄は乳房の上下を回して胸部を固めた。
 台車で十露盤板が運ばれる。
 パーティの席に着いてない現地女子社員が運んで来た。完全な現地の女性である。
 席に着いている女性と比べると雲泥の差と言える。
 油圧式台車で平たい御影石が運ばれる。石抱きの拷問のようである。
 社長は竹刀を持っていた。これで叩かれるらしい。
 十露盤板は四角い角材が角を上に向けて僅かに数センチ隙間を空けて五本並んで打ち付けられいた。
 角は鋭利ではない。多少は鑢が掛けられている。
 絨毯の上に角を折り曲げ周囲が僅かに柵になった鉄板が敷かれその上に砂利を敷く。そこに十露盤板を載せた。
 社長は真紀子の躰を引く。押し付けるように十露盤板に座らせる。
 抵抗などできない。押されるがままそこに正座する。
 座るだけでも痛い。向う脛に十露盤板の角が食い込んでそこに体重が掛かる。
 社長が膝を踏みつけた。片足体重を掛ける。
 「ああはあーーーーーーーーーーん。いーーーーーーーーーーーーーー痛い」
 背中から抱きつかれ乳房を揉まれた。
 「うううーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 体重が掛かるともろに痛い。
 頭を後ろに倒され膝にお尻が乗る。
 「ああはあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん」
 痛みの真っ只中で唇を奪われてしまう。痛みに歪む口を強引に吸われる。
 社長の合図でもう一人の若い男と現地の小太りの女性が石を運んで来た。かなり重そうである。
 真紀子は恐怖の表情に成った。
 ゆっくりと慎重に膝に載せる。
 「ああううーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん」
 折った脚全体に痛みと圧迫が同時に奔った。
 「ああううーーーーーーーーーーーーーん。うううーーーーーーーーーーーーーーーーん。ううーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん」
 俯いて顰めた顔を捩り更に躰も捩り搾り出すように呻き続ける。
 一個で顔は般若の形相である。苦しさに躰全体が震撼していた。
 真紀子にはこの拷問は始めてである。
 石一個でも社長が乗るより苦しい。
 バシャーン。竹刀で両方の乳房を叩かれた。
 「ぐふうーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん」
 真紀子は涙目で社長を見上げる。行き成り乳房に来るとは思ってない。
 「うぐううーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 痛みは叩かれた乳房と十露盤板に乗っている向う脛にも来た。
 社長の目付きが異常に据わっている。何故か不気味である。どこかで見たようで思い出せない。
 現地人の女性と若い社員はまた石を持ち上げる。この女性は力以外に何の取り得があるのだろう。
 美しい真紀子を妬み潰す如くに感じ取れた。
 石が真上に来る。やめてと叫びたいが場の雰囲気がそれも留まるしかない。
 カスッと音がして石が重なった。真紀子の躰全体が震撼する。
 「あううーーうーーーーーーーーーーん。あうぐうーーーーーーーーーーーーん。あううーーーーーーーーーーーーん。あうーーーーーーーーーーーん」
 太腿に強烈な圧迫感が来て向う脛に刺さる痛みが痛烈である。顔を振り絞るように鈍痛な悲鳴を搾り出す。
 真紀子は骨が砕ける錯覚さえ覚えた。痛みは完全に太腿と向う脛を強烈な圧迫力で挟んでいる。
 圧迫から逃れる術もなく躰を軋ませ顔も異常に軋む。
 パアーーーン。
 社長の竹刀がうなじの下を叩く。
 「う・・・・・」
 真紀子は殆ど声も出ない。涙は溢れ出る。髪は乱れていた。目は何故か無駄と判る慈悲を訴えている。
 三つ目の石を二人が持ち上げた。若い社員の目は少し哀れんでいるが女性は全然かまわぬと言う表情である。
 真紀子は絶体絶命に成った。
 「ぁぁぁぁぁぁぁぁーーーん」
 掠れた声で搾り出すような悲鳴である。
 現地人女性は若い社員を押すように真紀子の真上に石の位置を合わせてしまった。
 ガスッ。鈍い接触音で石が載せられる。
 「ぐうううーーーーーーーーーーーーん。ぐうーーーーーーーーーーん。うううーーーーーーーーーん。うぐーーーーーーーーーーーーー」
 真紀子は乳房も顔も躰を石に擦り付けるように藻掻く。
 社長は真紀子の髪を掴んで首を上げる。
 ビシャーーーン。行き成り平手打ちが来た。
 「ぐ」
 真紀子は殆ど声も出ない。目に睨み返す気力もなかった。情けなく涙が零れている。
 仕事とはゆえ女優の演技ではない。男女混じった大勢の前で顔を叩かれるのは惨めさの極致である。
 叩かれれば十露盤板に石で押し付けられた向う脛が軋む。斬れるような痛みが襲って来る。
 ビシャーーーン。
 社長からまた平手打ちが来た。社長の表情が憎しみを湛えて歪む。
 憂さを晴らすより恨みを晴らす表情である。
 「ぐうーーーーーーーーーーーーーー」
 涙はぽろぽろ零れる。
 それでも容赦なく連打して来た。
 「ああ。があーーーーーー。がああーーーーーーーー。ああーーーーーー」
 真紀子の顔は真っ赤である。
 社長は小気味よさそうに見ていた。
 真紀子の涙はとめどなく零れる。向う脛の痛烈な痛みと悔しさに脳裏は真っ白である。
 口の中はすっぱく惨めさがとめどなく去来する。
 社長が竹刀を構える。前からである。
 「・・・・・」
 叫び声も出ない。恐怖に顔は引き攣る。
 パアーーーン。
 石の直ぐ上に丸出しの両方の乳房を同時に直撃した。
 「ぐ、ああ。あ、あはあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 社長はホテルのルームキーを持つ。五センチくらいあって四角いプラスティックの付いた古いタイプである。このホテルの物ではない。
 二つ折りに重なった脚の太腿と脹脛の間を裂くように擽りを掛ける。
 「ああだめーーーーーーーーーーー。ああは、あは、あは、ああは、あはあーーーーーーーーーはん。あはあはあはあーーーーーーーーーーーーーーーん」
 真紀子は狂ったように声を上げた。
 竹刀叩きと交互に襲って来る。
 ついに失禁してしまった。小水は十露盤板の下から敷き詰めた砂利に徐々に染み出て来る。
 何発か叩いて真紀子の顔色を見て社長は石を退けるよう指示した。
 躰を持ち上げられるが足腰は立たない。十露盤板から逃れて砂利の上にお尻を着く。
 そのまま砂利の上に寝かされた。
 折った脚の脛には十露盤板の筋が五本痛々しく真っ赤に刻んでいる。
 僅かに一部血が滲んでいた。乳房も赤く内出血している。
 開放されても痛烈な痛みが真紀子を襲い続けた。
 社長は真紀子の無防備な膣口に大きな漏斗を差し込む。
 宴席から女の子を一人引っ張って来る。
 下着を脱いで真紀子の顔を跨ぐように指示した。
 「口を開けろ」
 社長は真紀子の口に無理やり開口器を突っ込む。嫌でも応じるしかない。
 女の子は頭の方から跨いでその女陰が額の上に来ていた。
 「小便を出せ」
 女の子は困っている。
 男子も引っ張って来た。
 漏斗を指差す。
 「ここに小便をしろ」
 女の神聖な穴に漏斗で小水を流し込もうというのである。
 どちらも緊張して出ない。男性は女の子のその部分を見詰めている。
 女の子は顔を俯むせに恥ずかしそうである。
 真紀子は目をきつく瞑って堪え続けている。
 男性が先に出した。漏斗は直ぐに溢れる。そして砂利と真紀子のドテを濡らした。
 満タンでも漏斗に残った小水は徐々に膣に入ってゆく。膣口から溢れて一条会陰からアナルを伝って流れ出る。
 男性が離れると女の子が放尿を始めた。
 真紀子の顔を直撃である。生ぬるく臭いも堪らないがきつく瞑った目の窪みに溜まる。そして口に流れ込む。
 全員一巡したところで石を運んだ女が跨る。今までの誰よりも臭い。小水は顔を横にずらして流し出しても口に残っていた。
 その上から混ざるように流れ込んでくる。
 気の狂うような状況である。
 この女はこともあろうに屁まで掛けていった。液体も混ざっているように感じた。
 社長はぐったりした真紀子の顔と躰をバケツの水で洗い流す。
 口の中にも流し込む。真っ直ぐ受けて顔を横向けて流す。多少は薄れても到底不快感は去らない。
 社員二人がぐったりした真紀子を担架で運び出す。
 用意されたルームに運び込まれる。
 「明日の十一時のアウトまでに帰ればいいから」
 そう言い残された。
 真紀子は嗽をしたいが洗面に立って行けない。
 這ってバスルームの扉を開けた。幸いシャワーが低い位置に設置されている。バスタブの横である。
 バスタブの中に腕を入れて上体をバスタブに乗せてシャワーの湯で嗽をする。
 気が狂いそうな拷問であった。
 バスタブに上体を乗せたまま湯を出す。
 お湯で痛みを癒そうという考えである。
 何日か休業に成る。脚の痕は無残。数日は消えそうにない。
 堪らない客である。本日はオプション十万。指名料二万追加のみで明日からは基本保障のみとなる。
 バスタブで躰を癒し数時間経ってやっと立つ事ができた。
 辛うじて躰を拭いてバスロープを纏う。そのまま寝台に躰を横たえた。
 完全に泣き寝入りである。悔しさにとめどなく涙が出る。
 翌日はぎりぎりにチェックアウトした。放心した状態のまま頭は怒りにむかむかする気分でフェリーに乗り込む。
 見るもの凡てに怒りを覚える心境である。
 娼館島の寮に戻ると管理人から計算書と予約通知を渡された。
 五日の休業補償。六日目の同等の予約。傷が癒えなくても同じ予約者ならば問題ないルールである。
 これでは生殺し。割が合わない。憤懣やるかたなきである。
 だがさらに予約者の名前を見て驚愕した。
 村上稔。やっと社長の顔から昔を思い出した。真紀子が高校生の時に電車内の痴漢行為で訴えた男である。
 その後の裁判で痴漢行為には当たらないと無罪に成った。
 確かに躰が後ろにへばり付いていただけである。男性器が起っているように感じた。
 今の真紀子ならばその程度で訴えはしない。躰が動いたり不自然な行動をしたりしていた訳ではない。
 周りが女性で生理的に起つのは已むを得ないのである。
 高校生の真紀子には周りやマスコミの唱える痴漢行為の情報に簡単に痴漢と決め付けてしまった。
 無罪になったが村上は会社を退職したのである。
 それから八年経つ。
 裁判で無罪を主張する村上の表情。昨日竹刀で真紀子を叩く村上の恨みのこもった表情。
 ただ事では済まされない。
 五日ごとに昨日のような責めをやられたら逃げ出すか海に身を投げるしかないかもしれない。
 逃げても組織の女衒に必ず捕まる。
 此処のルールで客は選べない。絶対絶命である。
 
 その翌日。休業と知ってか仁川から呼び出しが掛かった。
 午後の二時頃に仁川の住む母屋に向かう。まさかスラックスでは行かれない。濃い目のストッキングで傷痕を誤魔化した。
 「どうだ仕事辛いか」
 「えーまあ」
 「あまり顔色良くないな」
 「大丈夫です」
 「そうか。かなり稼げているのじゃないの。上手く行けば年内にフリーに成れるんじゃないのか」
 「はい」
 「何か目標でもあるか」
 「出来ましたらこちらで五千万くらい作って独立できればと」
 「何か決めた仕事があるのか」
 「いいえ。ブティックか何か」
 「安形に会ったよ。あんたを気に入っていたよ」
 「そうですか。ありがとうございます」
 真紀子は安形と聞いて少しほっとした。安形もかなりハードである。だが村上の顔が脳裏を離れない。
 「俺を手伝わないか。金は貸す。儲けさせるよ」
 「え」
 「確かにな。ここまで来るには納得の行かない部分もあると思う。だがこの家業に身を投じてくれたからには必ず儲けさせる」
 仁川の厳しい表情にはある種の信頼感がある。それは此処に来て真紀子が自然に感じ取ってきた感覚であった。
 売春に身を投じればきっちりその報酬を払う。将来資金を持ってみなこの島を出て行く。
 この仕事をこなせばそれ以外は総て便宜を計らってくれる。
 強大な資産と経営能力を持っていた。亜細亜全域にその影響力がある。
 「日本でいま普通に商売を始めても苦しいだけだ。最早、落ちてゆく経済大国だ」
 「・・・」
 「最下層に金が行き渡らない。そして最下層に落ちる人間は増えてゆく」
 「何故ですか」
 「日本は既に指導者を失った国だ。民事党でも国民党でも壊れた下駄の右か左の違いだ」
 「それはなんとなく」
 「今の恐慌から少しは上向くと思うが昔の日本のように良くはならない。どんな政治家が立っても日本は経済的に良くはならない」
 「何がいけないのですか」
 「民主主義がいけない」
 仁川の表情は真正面の海を見ている。何も揺らぐところはない。
 「多数意見で労働者、主婦の言い分が総て通る。民事党でも国民党でも主婦の意見を尊重しなければ選挙に勝てない。労働者階級、主婦層の論理を通してできたのが税金で給料を払う役人にしか成り立たない、雇用機会均等法、育児休業だ」
 「それで企業は派遣や外注に切り替え最下層の就業条件がさらに悪くなり、最下層が徐々に確実に増えてゆくのですね」
 「そうだ。そして最下層が買わなければ成らない物さえ買えない。これが購買力を低下してさらに値が下がる。値が下がれば最下層の待遇はさらに下がる」
 「それでも企業は身を護るしかない」
 「海外に本社を置く。その最たるものがアダルトサイトだ。日本が作ったアダルトが海外で日本に販売される。総て国から金が逃げて行く」
 「安形さんは税制がいけないと仰っていました」
 「税制もいけない。労基法もいけない。やがて労働者の為の労基法が労働者自身を締め付けることに気付くのはどうにもならない経済的瓦礫の山に成ってからだ」
 「そう成っても、自分らを見捨てた企業のあり方が悪いと訴え続けそうです」
 「まったく。馬鹿は死んでも直らん」
 仁川は真紀子の濃いストッキングで隠した向う脛の傷を見つめたが何も言わない。
 「そこまで分れば上等だ。一番大事なのは日本人から貞操の呪縛を解いて女を解放することなのだ」
 「安形さんはお金を稼いだ人間が自由に一番の贅沢に投入できる社会が必要だと言われました」
 「婚姻に貞操を縛ることが一番おかしい。一生結婚相手としかセックスができないなど土台無理と思わないか」
 「はい」
 真紀子に取っても貞操と言われても建前である。もちろん相手が浮気すればチェックする。でも自分が一人としかできないなんて考えてない。
 「セックスを社交ダンスと思えばそれまでだ。避妊さえすれば良い。問題は一生満たされない女が多いということだ。最近は満たされない男も一気に増えた。そのやり場のなさが猟奇殺人、無差別殺人に繋がる。人間の一番大事なバランスをモラルで縛り付け正当化する社会が一番悪い」
 「はい」
 「真紀子が男にサインを出せばいくらでも遊べる。その必要もない。だがどうやっても遊べない生む機械で終わる女が多すぎる。それが偏った正当性から逃れられない最大の原因だ」
 「うーん」
 「売春は必要不可欠だ。そして女にも必要なのだ。根本的に性の商売が活性化しなければ経済は活性化しない」
 「でも女性向けの売春って難しいですね」
 「そうだ。男性の訓練が非常に大変だ。だが女の悦びは大きい。必ず実現できる。男だけが遊んで良い思いをしているという誤解を外さなければならない」
 「女性向けの売春をやれというのですか」
 「少し違う。女が遊べる施設だ。抵抗もある。売春は究極の部分だ」
 「私に何をやれと」
 「実際に企画が日本に進出するのはまだ先だ。男の養成が必要だ。男を教育する組織が要るのだ。まずはこっちで旅行者相手にテスト営業だ」
 「それを私にやれと」
 「女の視点から経営を考えるのだ。借金が清算できたら金は貸す。損はさせない。給料であんたを雇っても良いがそれでは発展がない」
 「お話は判りました」
 「直ぐに返答は出来まい。ゆっくり考えろ。年内一杯だ」
 「判りました」
 「日本は売春も風俗も厳しく成っている。その上に客が少ない。湯野中も安形も村上も上層階級の宴会向けにハードコンパニオン派遣事業を進めている」
 村上の名が出ると真紀子の躰は脚の先まで震撼する。
 「路面の商売はほとんど駄目だ。安形が健康ランドの上に露天風呂付き宴会場を作った。紹介の客しか入らない。その下は大衆店だ。各地に多角経営している。村上の使用人がそれぞれそこの宴会に女を派遣する。湯野中が女を調達する」
 村上はかなり仁川に近いことが解った。相談すべきか迷った。
 詫びて和解する以外に道はない。
 「いま日本からはそれ以外ほとんど吸い上げられない。吸い上げるだけではいかんのだ。市場が痩せて行くのを何とかせねば成らない」
 真紀子は話も悩みに圧迫されて漫ろに仁川低を辞した。
 島中央の古い噴水付近をうろつく。其処だけが昭和初期の情感を残している。
 「真紀子さん」
 安形である。だが安形でほっとする。
 「今日はお休み」
 「はい」
 「食事しない」
 「え。は、はい」
 無下には出来ない。安形に相談しようかと気持ちも傾く。
 「実は安形さんにご相談があるのですけど」
 「会長から何か聞いた」
 「それもありますが少し困ったことがありまして」
 「何。金の話」
 「いいえ」
 「まあ。ホテルの最上階に和食が有るからそこでどうだい」
 「はい」
 安形は会席に真紀子を誘った。
 「それは非常に不味いね。その恨みは簡単には消えない。だが村上は会社を辞めて返って成功したんだ。話して解らない人間ではない」
 「はい」
 「謝る気はある」
 「はい。その心算です」
 「それなら何とか成ると思う。だが俺ではなく湯野中を通すのが筋だな」
 「判りました」
 湯野中は真紀子の話に仰天する。
 「まあいいよ。安形と一緒に話して見るよ」
 それでも気を取り直して応じた。
 
 二日後。湯野中の言い分ある。
 大方は安形が説得した。だが村上は裁判に一千万も使っている。湯野中はこの分は稼ぎから弁償しろというのである。
 「でも、今は手元に三百万しか」
 「仁川会長が貸して下さる。達成額が一億二千に成るが終われば三千万入る」
 「はい」
 「いいか畳に頭を擦り付けて謝れ。奴は相当にしつこい男だ。このままでは大概のことでは済まない。それに仁川会長も一言、言うて下さった」
 「申し訳ございません」
 「それともう一つ。あと一回だけはやらせろというのだ」
 「はい」
 真紀子は恐怖の表情を飲み込むように返事した。
 「まあ一回だけだ。此処のルールで躰を潰すような事はできん」
 真紀子に一千万は死ぬほど辛い。だが既に断崖絶壁なのである。
 真紀子は湯野中と一緒に村上の泊まる部屋に仁川から一千万を拝借して向かった。
 真紀子は洋室の絨毯に静座して頭を擦り付けて謝る。
 「いいよ。安形さんの頼みだ。明日来れば一千万で総て水に流すよ」
 村上は窓の外を見たまま背を向けてそう言った。
 
 翌日も相当の覚悟で新日本空輸ホテルに向かう。
 フロントで取り次いでもらうとパーティ会場ではなく村上の部屋に来るように言われた。
 村上一人である。バスロープ一枚でソファーにもたれ掛けている。
 安心して良いか解らないが何故か真紀子には少し安堵した。
 村上は全裸になってシャワーを使うように指示する。
 バスから出ると村上はブランデーを口にしていた。真紀子にもグラスに注いで渡す。
 乾杯すると村上は尺八を要求した。
 当然洗っていないと覚悟したが清潔な味である。
 一時間近く続けた。大きく動かずじっくり責め続ける。果てそうな感触が判る。だがスピードを上げたりしない。じっくり同じペースで続ける。
 口の中に情液が流れる。じっくり同じペースを続けた。相当に気持よい筈である。
 村上が肩を軽く叩くと口を離す。
 情液は間違っても出す訳にはいかない。飲み込む。
 村上は立ち上がって二十万をガラステーブルの上に置いた。
 「え。こんなに」
 「もう。終わった。これで終わりだ」
 「申し訳ございませんでした」
 真紀子はもう一度床に頭を着けた。
 「俺は裁判に勝っても納得行かなかった。何故、女に賠償請求できないか。痴漢の冤罪事件を見るたびに訴えた女をソープで働かしてホフマン方式で生涯賃金を弁償させるべきやと思った」
 「返す返す申し訳ございません」
 「うん。だがあんたは躰で稼いだ金で裁判費用を払った。だから許す気に成った」
 真紀子には謝り続けるしか術はない。悪いのは日本の風潮である。高校生の真紀子には痴漢けしからんという回路しかなかった。
 
 二日後にまた幹部の宴会が行われる。今回は女躰盛のサンプルはない。
 ど真ん中に沼緒輪加子が唐丸籠に入れて晒されていた。全裸である。
 真紀子は服を着て宴席に加わっている。
 村上の発言は過激である。
 「俺は日本からとことん吸い上げる。あの国は一度経済的瓦礫の山にするしかない」
 真紀子もそれには賛成である。
 自分と同じように戦中の日本女性のように日本の現代女性がからゆきさんするところまで日本を追い詰めるべきであると思う。
 真紀子は此処に来る前に浅草の宝石店角屋に勤めていた。
 普通に大学を卒業して企業に勤める。周りとの確執で辞めたくなった頃その店にスカウトされた。
 完全歩合の仕事だが面白いように稼げる。
 だが半年後二千万の借金が残ってしまった。
 美人ばかりの店である。そして皆その美とセンスと持ち物を競っていた。
 宝石のローン販売を謳い文句に販売する。キャッシュで買えるお客はもとよりこんな店に来ない。
 特異なシステムである。五年ローンで購入してローン完済後に買った値段で返品ができる。
 途中で支払不能に成った場合も宝石を返せばローンを免除される。
 半分以上ローンを払っていれば途中でも支払った元本の半額で買い取って貰える。
 特異なシステムだが宝石の原価はそんなに高くない。使い回しが利く。宝石を貸し出しているだけで金利が総て利潤と考えるのである。
 五十万の年利が二十パーセントでも五年で五十万になる。成り立たない話ではない。
 販売員には満額回収時に四割が歩合と成る。途中解約でも半分以上回収していれば満額の四割が歩合と成った。
 だがそれ以前の解約、逃げた場合等も弁済はないが歩合は無くなる。
 だが五年先のコミッションを充てにして働く事は不可能である。当然販売契約時に毎月の締めで店が仮払いする。
 店には毎日のように高級品、ブランド品のセールスが来た。
 誰かが買えば欲しくなる。歩合の仮払い分だけではない。さらにローンで買い物をする。
 ところが本来の一見客など殆どいないのである。
 真紀子のお客はみんな組織員であった。彼らは関連全店舗で一人ずつ目標の店員から購入して何回か返して消えてしまう。
 損金の弁済はない。だが受け取った歩合は返金しなければならない。
 既に使い果たしてローンまで作ってしまった。
 返済不能に陥ってしまう。日本の法律で破産宣告はできるが免責は取れない。それではこの手の借金は消えないのである。
 遂に借金返済の為に娼館島に送られる事に成った。まさに昔のからゆきさんである。
 真紀子は此処に来て辛い事の連続であった。だが得たものも多い。
 必ず日本を侵略して瓦礫の山になるまで吸い上げたい。
 みな真紀子のように苦しんで考えるべきであると思う。
 此処のシステムは非常によくできている。もし二千万返済できた時点で二千万貰えるシステムがなければ真紀子はもっと辛かったと思う。
 最初から五十パーセントの歩合で返済したら早く終わる。だが稼いで帰ろうと言う意識は起きない。弁済に拘束されて逃げるように帰ったと思う。
 日本の風俗では到底一日十万以上には成らない。もっとそれ以下が当り前である。
 それを考えれば二千万は余禄。
 さらにオプションの全額バックは嬉しい。一番辛い部分を全額バックしてくれる。日本の風俗では考えられないと思う。
 日本から吸い上げるには日本に居てはできない。外に自分を置いて日本から税を取られない事である。
 「今の状態では吸い上げようが無いよ」
 安形の発言である。
 「まだまだ吸い取れる。中小企業まで本社を移させるのだ」
 「そら無理だろう」
 「別に一坪の事務所と法人だけが有ればいいのだ。元請との取引をこっちでやる。本社と支社間で孫請け料を払えばいいのだ。日本の孫請けは賃金と実経費を請求する。法人利益は一万出せば充分」
 「一括して本社運用を代行するか」
 「それもありだが経営者が海外に住むのが理想だ」
 「それは難しい。家族が反対する」
 「だから強制力がいる。受注先の本社がこっちにあるということだ」
 「一夫一妻制を廃止した国に経営者、資産家を置くのだ」
 仁川が会話に差し挟む。
 「でもR国とて一夫一妻制です。アフリカのどこかに持って行かないと無理です」
 「一夫多妻では駄目だ」
 「えー」
 「婚姻から貞操の呪縛を解き財産の所有権を稼いだ側に保証することだ」
 「財産の所有権は日本の遺産相続の遺留分だけの問題では」
 「男女どちらも複数の相手を持てる制度が必要なのだ。女が社長ならそれもありだ。稼いだ金で何人養おうと構わない。莫大な経済効果だ」
 「小原庄助さんがたくさん出て来ませんか」
 「それもよい」
 「いくらR国の主権が手中にあると言っても国民運動が起きませんか」
 「R国は今のままでよい。これ以上経済力を強化してはならん。娼館島が娼国として独立するのだ」
 「成程それなら可能ですね。島一個の超経済大国ですね」
 「そうだ。一企業が運営する国家だ。税金も選挙もない」
 「軍はどうします」
 「R国の軍を日米安保と逆の利用をすればいい。外人部隊だ」
 「軍備だけ提供ですね」
 「国民は理念の判った経営者と売春婦、島で作った人間だ。そして世界に支店を持つハブ銀行が必要だ」
 「しかし銀行をたくさん作るとなると」
 「違う。各国に一つネットバンキングがあればよい」
 「なるほど」
 一夫一妻制を外す前に企業家を移動してしまう。これからの世代はこちらで身を固める。
 稼いだ者が無限の贅沢にありつける。国民の生命と財産を保証する国家本来の姿である。
 そしてそのエネルギーこそが経済を発展させる。
 日本では妻に縛られて何もできない。働かない妻が預金を管理して動かないお金になってしまう。
 さらに利潤の大方が法人税と累進課税になる。
 税金は公務員が官制談合と天下りの繰り返しで最後は天下りを続けた公務員の妻の管理する預金となる。これも動かない金である。
 「企業家の妻は企業家であるべきだ。その両方から貞操の呪縛を取る。発展のためには真の協力を行う。セックスは社交ダンスと割り切って他で不特定多数の異性から得る」
 「女性を癒す施設も考えるのですか」
 村上の疑問である。
 「それを真紀子にやってもらおうと思っている」
 村上の表情が変化した。真紀子にはずしりと突き刺さる。
 だが村上は仁川の前で許す条件を提示したのである。この先不穏な行動はしない。
 そろそろ唐丸籠の輪加子を甚振る時間と成る。
 「真紀子おまえがやれ」
 仁川の指示である。
 緊縛師が二人待機していた。
 「何か喋らせる事がありますか」
 「いや角谷宝石から此処までのルートを調査したのだろう。日本の警察官の全リストがある。問題はない」
 「それだけで此処まで潜入しますか」
 十露盤板が運ばれる。厚めの筵の上に置く。
 唐丸籠から出され緊縛師が後ろ手に縛り乳房の上下に縄を廻し胸部を固め高手小手に縛る。
 肩を押して十露盤板に座らせようとした。
 「待って」
 真紀子はマスタードを取り出す。
 「脚を広げてください」
 緊縛師が二人で強引に股を広げる。
 真紀子は指先で女陰の奥まで塗りつけた。
 「・・・・・」
 無言で眉間に皺を寄せて堪えている。この先の苦痛が充分予想できた。
 「そうすればもっと効果が有ったな」
 背後で村上が呟く。真紀子は冷やりとする。
 洗濯バサミを乳房に三本ずつ鋏む。真ん中の一本がしっかり乳首を鋏んでいる。残りの二本も深く乳房を歪めていた。
 「気が狂わないか真紀子」
 「大丈夫です。究極に痛むところでは官能に落とします」
 現地のコンパニオンが石を運んで来る。まだ二十歳前だが殆ど日本人である。
 「日本人との二世に日本男性の種を人口受精させたのだ」
 娼館島の奥にある島には子供を大量に育てる施設が在る。学校も在った。其処で育った日本人でスタイルも良い。
 この島で育てるのは良い種だけである。これまでは間引いて女しか作ってなかった。
 出来の悪いのはR国内の仁川の作った福祉施設に送られ仁川の資本を持つ企業に就職する。又は生む代理母専用となる。
 島の女は十八位で日本に輸出される。一部株式会社パン・ボリビアの日本支社が受け入れる。村上の担当である。
 輪加子は十露盤板に座らされた。十露盤板は先週、真紀子が乗せられたのと同じである。
 真紀子と同じような細いきれいな脚が無残にも尖った角材五本の上に乗せられる。
 真紀子には一瞬だけ自分の事のように痛みを感じた。だが婦警と思えば一転する。
 石を載せるのは緊縛師の役割である。
 コンクリを固めた石材を二人で持ち上げた。
 輪加子は恨みの篭った眼つきで一同を見据えている。気丈な女である。
 一同の心はいくら虐めても罪悪感は無い。むしろ婦警に対する憎しみは限りない。
 輪加子の揃えて座った膝に石を降ろす。恐怖の表情で口をロの字に顔の表情が一気に震撼する。まだ声は出ない。
 二つ目を運ぶ。歯を食い縛って堪えている。真上に来ると表情が一気に軋む。小作りな顔に寄る皺が加虐心をそそらせた。
 微かな音を立てて石が重なる。
 俯きの表情に満面の皺が苦しさの極限を奏でていた。
 「うぐ、うぐうう、うう」
 躰も顔も捩じらせ前に小さく折った全身がゆっくり痛みを吐き出すように震撼する。
 一同には限りない憎しみの対象である。気丈で小作りかつ華奢な美形が瀕死の苦しみにのた打つ。悦びこの上ない。
 三つ目の石を運ぶ。輪加子は見る余地もない。いま載っている石二つの苦しみに躰と顔を俯きに捻り回すのみである。
 緊縛師は容赦なく三つ目を載せた。
 「あがあはあーーーーーーーーーーーーーーん。あぐうーーーーーーーーーーーーーーーーー。あぐううーーーーーーーーーーー。ぐぐうう」
 輪加子の上半身は藻掻き暴れているが石の重みに動けない。
 藻掻くと乳房の洗濯バサミが石を突く。目は一条細く涙を溢している。
 もう搾り出る悲鳴は抑えられない。
 村上は叩かせろと言わんばかりに構えていた。
 真紀子はイチジク浣腸を要求する。
 「そこに浣腸か考えなかったな」
 また村上が感心する。
 緊縛師はたっぷりのローションで閉じたアナルを抉じ開ける。
 真紀子が叩きたがる村上を手振りで前に出す。
 村上は苦痛に喘ぐ輪加子の髪を掴んで首を持ち上げる。
 輪加子は涙と汗にまみれた顔で苦痛の表情の奥から村上を睨み返す。
 村上の手は自ずと髪を掴む力が強まりもう一方の手が憎しみを叩き付ける。
 真紀子は村上が自分と同時に叩いている錯角と恐怖を覚えてしまう。
 「うぐうーーーーーーーーーーーーーーーーーん」
 くぐもった悲鳴が全身から吐き出す苦しさを奏でていた。
 真紀子は村上が堪能するのを待って蝋燭を用意する。
 ビンタの痛みだけではない。揺れる洗濯バサミに鋏まれた乳房。石の重みと十露盤板の角に突き上げられる傷み。膣の中に塗られたマスタードの痒み。さらに浣腸液が腹を苦しめる。
 一同は苦しみのた打つ輪加子の前で生ビールを配り乾杯する。
 うなじから蝋涙が垂れ流すように掛けられた。
 「あうーーーーーーーーーーーーーー。あうう。あうーーーーーーーーーー」
 輪加子は遂に失禁してしまう。
 一同満面の笑みで見ている。
 びびいーー。びいーーー。びーーーーーー。
 肛門からも浣腸の効果が流れ出す。顔からは涙がぽろぽろ零れる。
 緊縛師が一つずつ石を退けて行く。
 四人用の大きな和卓に手脚を広げて大の字に縛り付けて放置した。
 痒みはどんどん効いて来て洗濯バサミは繊細な痛みを浸透して来る。
 洗濯バサミは二時間放置である。
 マスタードはそんなに持たない。今でも腰を捩っている。
 全員お膳の前に戻って飲み直す。二人の現地女性が酒とビールを配膳する。日本語はまったく違和感がない。
 「会長。彼女たちこの場面見せていいんですか」
 「構わんさ。この二人は母体にする」
 「それで若干栄養がいい訳で」
 生産性を上げるため双子から四つ子を生ませる。全て人口受精である。
 後ろの島の実態はR国の政府でも殆どは知らない。R国の法律には触れないが世界にその実態は見せられないのである。
 緊縛師は真紀子の指示で輪加子にアナルパールを挿入する。膣にはくねくね動くバイブを挿入し固定する。
 輪加子は痒みから逃れるにはバイブの振動を受け入れるしかない。
 そして女の敏感な部分全体にバイブの刺激は拡大して反映する。
 このあとは洗濯バサミを取った時にバイブと電マの総攻撃を掛ける。
 痒みと究極の痛みから逃れんとする時に官能に落ちてゆく醜態は最大の見せ場である。
 
 真紀子は奥の島に行った事は無い。沼緒警部が奥の島の調査に来たのかと思われたが日本の警察の領域ではない。もっと具体的な理由がある筈である。
 あと一息だと思う。沼緒警部から任務より女を取らせる事である。それは女の悦びを失う恐怖を与える。
 それにはその前に何度も悦びの極地に落とし続けることである。
 如何にエリートでも女を失って日本の国体に尽くす筈はない。それが大切な正義でも今の世代に身を捨てて護る者は居ない。
 日本の警察がこの島に手を出すことはできない。
 何か日本に係わる捜査の一環である。
 角谷宝石の実態は掴まれているが立件できる筈も無い。一度仮払いを受け取って自分自身で使っている。販売業者の共犯性も無い。
 娼館島に渡るも強制ではない。日本の風俗で稼ぐ事もできる。破産宣告しても免責に成らないだけである。
 だが今の日本は合法でも社会風潮を楯にこじつけても強硬な取締りを行う。
 真紀子は日本に帰って商売を始めても躰で辛い思いをして溜めた資金が焦げ付くと思った。
 この島に留まって日本や韓国から吸い上げて自分の力をつけるべきだと考えてしまう。
 仁川との出会いは大きな財産である。仁川は村上の件で自分に援護してくれた。今後も支援を期待できる。
 
 真紀子の仕事は三日に二日ぐらい。女性向風俗の企画は進む。仁川邸での検討会である。
 「あの東京都知事でさえ歌舞伎町の浄化等とか騒いで主婦層と女の評論家の意見を世論と受けて経済の足を引っ張っている」
 安形が切り出す。
 「でもそれで歌舞伎町の活気が消えたと書いているマスコミもあります」
 「民主主義と言っても有権者の二割の支持を得れば知事に成れるからな」
 投票率が有権者の四割とする。上位二人で票を割れば二割台。上位三人で割れば一割台で当選する。
 「民事党自体が正しい姿ではない。国民党が天下りを根絶すると言っても安田内閣が最後の一人まで年金をお支払いしますなどと現実を無視した公約と同じにしか見えない」
 「日本を経済的瓦礫の山にすると仰ってましたがどのような状態を言うのですか」
 真紀子の疑問である。
 「昔。俺の親父の頃からゆきさんと言った。ついこの間まで日本の経済が健全だった頃にはジャパゆきさんと言った。そして再びからゆきさんが流行する状態だ」
 「私もからゆきさんですね」
 「形式はそうだが意味は違う。戦前の天草の貧しい村で女衒が金に困った家の娘を海外に売った。言い換えれば前金の出稼ぎだ」
 仁川は自身の父が君臨した時代の話をしているのである。
 「そこまで日本が落ちるのですか」
 「これまでは権力や侵略戦争が最下層の貧困原因とされてきた。だが今度は民主主義が経済を降下させる。民事党も国民党もこれを防ぐ事はできない」
 仁川は隣に座っている江崎占い師に目を移す。
 「江崎先生。日本経済の鑑定をご説明ください」
 江崎は日本から時々出張して来る。仁川の顧問占い師である。
 白板に次の鑑定結果を示した。中国古代からの占い方法の易である。
 日本経済の成り行き。
 巽坎巽巽坤坎・・・・・・水雷屯・・・之・・・水沢節
 「これが期限を付けずに切った鑑定です。期限を付けずに切れば半年くらいと診ます」
 江崎は白板の水雷屯を指す。
 「水雷屯は行き悩む。これが本卦です」
 続いて水沢節を指す。
 「水沢節は苦節を保つ。これが之卦です。行き悩む状態から何とか苦節ながら保つ状態に成る」
 さらに次の鑑定結果を示す。
 日本経済三年の成り行き。
 坤乾坤離坤艮・・・・・・水雷屯・・・之・・・火沢?
 「また本卦は水雷屯です。こんど之卦は火沢?です。火沢?は背き離れる。これが日本経済の成り行きです」
 「日本から経済が逃げて行く。企業と金が逃げて行くと言う意味ですね」
 「左様」
 「民事党自体が正しい姿ではない。そう仰いましたが何処からずれたのでしょうか」
 真紀子の仁川への質問である。
 「中曽根内閣まで日本はきちんとやって来た。直接税から間接税に移行する。官の仕事を民に任せられるものは民に任せる。公務員の大幅削減。後ろで支える真の指導者田中角栄がいた。田中角栄亡きあと指導者無き国と成った。本来の民主主義に落ちたため民衆が右往左往する度に政治がぐらつく」
 「ところで会長。女性向の風俗をR国とこの島に作る件ですが本人を前ですが何故真紀子にやらせるのです」
 湯野中の不満である。
 「風俗、売春は男が経営しないと上手く行かない。これは古今東西の常識だ。女がやれば必ず崩れる。だが今度は客が女だ」
 「利用者の立場に立てると言う事ですね。ソープの実技指導を未成年が居た場合の逮捕を恐れて店長が女性にやらせたのがサービスの低下を招いたのと同じですね」
 「安形の言う通りだ。ましてテストケースだ」
 「それではテストケースが成立すれば我々がやっても良いと」
 「経営はな。現場の運営は女にやらせることだ」
 本日も唐丸籠に沼緒輪加子が入っている。
 二つの目的がある。一つは女の性感実験をやる。一つは沼緒警部に口を割らせる段階的作業である。
 他に二人の女が用意されていた。会議の始まった時から輪加子の乳房は洗濯バサミに鋏まれている。
 前回。輪加子の究極の官能に歪む顔は実に美しかった。苦痛に歪む顔が官能の顔に変わる。僅かな差のようだが完璧に違う。
 途中で輪加子の膣にマスタードを塗った。
 二人の生贄の一人は縛られアナルパールを入れられバイブと電マで責められる。歓喜が上昇点に達した時に乳首に強烈な一本鞭が飛ぶ。
 SMでは普通の苦痛と歓喜が混然する倒錯の世界である。
 あと一人は五人の調教師に前後の性器と両乳首を責められて最後の一人に指先でクリトリスを責められる。
 複数の男の手で女の悦びを拡大するのがこの企画の重要点である。
 男が消耗しない事。消耗してもできる作業に就ける事である。
 どちらも実験でしかない。
 真紀子の考えは女性向け性感エステから徐々にメニューを上げて行く方針である。
 入口段階は女性がサービスをする。
 別の入口はホスト遊びからである。
 
 安形は日本で商売していた。
 「日本が没落して安形さんは困らないの」
 真紀子が安形に疑問をぶつける。
 「困らないよ。大方の宴会はこっちの代理店が入金する。日本には実費を払うだけだ」
 「日本での直請けは無いの」
 「メインの宴会場は追加分だけだ。それも日本からの請求で調整する」
 R国にある代理店が日本の企業から受注する。クーポン券を発行する。日本の宴会場には実費のみ支払う。
 追加分は現地で直接入金するが実費を次で調整である。
 各種コンパニオンもこちらで花代を入金する。
 コンパニオンの給料もハブ銀行を使ってこちらから振り込む。
 日本の事務所はR国の株式会社パン・ボリビアにコンパニオンの業務依託手数料のみ請求する。
 「大衆店は現地売上だがこれが下がっても所詮ダミーの経営だ」
 「だって大衆店の方が儲かるでしょう」
 「大衆店は販売量を稼ぐのみ。ビールや材料を大量仕入れで叩く。大衆店では僅かな利益でほぼ原価で提供している。人件費を払って持ち主の俺に家賃が入るだけだ。宴会場の仕入れが一緒に安くなるのが利益だ」
 「家賃もこっちに入金するだけね」
 「左様。だがその税金は日本に取られる。これは防げない」
 安形と珍しい日本酒を飲み交わす。栄川と書いてさかえがわと読む。猪苗代の造り酒屋の酒である。
 南国だが冷房は効いている。冷やしてはいない。常温で充分に飲める。
 「それでは安形さんは日本がどうなっても安泰なのね」
 「どうなってもと言う事は無い。市場は冷えない方がいい。だが経済的瓦礫の山と言っても全ての人に金が無いわけではない。やりようはある」
 「安形さん奥の島に行ったことある」
 「あるよ。どうして」
 「人間を創っているのでしょう。どんなところかと思って」
 「何処からも文化の流れない島だ。断崖絶壁に近く通常出口はこの島との橋だけだ」
 「学校も病院も無いの」
 「どっちもある。日本語教育もする。料理も看護も教える。通常の教科も教えるが少し仁川さんの都合が入っているだけだ」
 「男は居ないの」
 「警備員、医者、教員だ」
 「昨日の二人を種と言っていたでしょう。毎年生ませるの」
 「そうだ。二十人近い種母がいる」
 「その人たちも島から出られないの」
 「こっちの島には来る。R国に渡る事は無いな」
 南国なのに雲丹、平目の薄造り、カレイの煮つけが出される。包丁さばきも味付けも良い。
 「男は創らないの」
 「今のところはね。独立国にするには将来保安用員が必要だが」
 最上階の窓から奥の島がほぼ一望できる。
 学校の校舎のような建物が六つ見える。それ以外は木々に隠れた細かい建造物しかない。
 島の人影は見えないように配慮されている。
 真紀子たちのいる小部屋は旅行客を通さない。関係者用である。一般客には後ろの島は見せない構造にしていた。
 奥の島にはホテルの裏か仁川邸の裏からしか橋に通じる道は無い。
 一瞬真紀子の目に島の断崖を動く黒いものが見えた。
 「あれ何」
 「えー」
 安形は立ち上がる。調理場から双眼鏡を借りて来た。
 「人だ。拙い」
 直ぐに電話をする。
 「一緒に来い。面白いものを見せてやる」
 「え。どこに」
 「後ろの島だ」
 EVで地下三階に下りる。専用のキーが無いと行かれない階である。
 地下の通路を少し進むと二股に成っている。其処に仁川が待っていた。
 「真紀子か。いいだろう」
 仁川は三方の一つに進む。
 暫く行くと桟橋に出た。
 水の向こうに出口が見える。桟橋には黒い大きな乗り物が停泊していた。小型の潜航艇のようである。
 桟橋に表情の厳つい男が待っていた。
 「津島。奥の島に何者か侵入した」
 「この間の女デカの仲間か」
 「多分な」
 「俺はもう一隻に乗って海を固める」
 津島と呼ばれた男は手前に停泊する艇の甲板を越える。そして奥の艇のセイルに登った。
 向こうが先に出る。
 真紀子らは甲板のハッチから乗る。安形に促され先に梯子を降りた。ミニスカートで下からは丸見えである。
 船員が三人確り見ていた。安形が梯子に掛かると直ぐハッチを閉める。
 仁川は後ろのハッチから乗り込んだ。
 艇は潜行しないで洞窟から出て奥の島に向けて進む。かなり速い。
 艇には水圧に耐えられる強力なガラス窓が二段付いていた。上は海面から先が見え下は海中が見える。透明度は高い。
 津島の乗ったもう一隻は潜行して前を進んでいた。
 海中は熱帯魚の姿が良く見える。
 「もう一つ。奥の島に入口があるのだ」
 「ひょっとして島の下から入れるのですか」
 「そうだ。今乗ったところのような入口がある」
 何時の間にかもう一隻が左下に来ていた。見ると止まっているようである。
 真紀子らの乗った艇は島の崖の下に向かって深度を下げる。
 水中に洞窟の入り口らしきがある。
 中に入ると探照灯を点けても暗い。中で洞窟は広がる。幾分明るくなったら艇は浮上した。
 安形が先に梯子に掛かる。後ろのハッチの梯子には仁川が乗った。
 真紀子はスカートでまた上らなければ成らない。
 桟橋から直ぐエレベータで地上に上がれる。コンクリでできたトーチカのような建物に出た。
 上から見えた六棟の建物の近くに来る。仁川はその内の一つに入り廊下を真直ぐ進む。
 真紀子の生まれる前の建造物のようである。戦中の物ではない。昭和四十年頃の造りである。廊下の奥のドアを入ると中は鉄格子の牢屋であった。
 明らかに輪加子が逃げたようである。
 五階建ての屋上に出ると周りが少し見渡せる。警備員が二十人くらい探索していた。
 真紀子の目に緑の中から黒い陰が二つ島の断崖の塀に登るのが見える。潜水服姿である。
 一人が男。一人が女である。
 「会長。あれ」
 「うむ」
 仁川が携帯で連絡する。
 「西南の垣根だ。二人飛び込む」
 「判りました」
 「こっちも追うぞ」
 また潜水艇に向かう。
 洞窟を出て浮上する途中で青い潜水服が女を掴まえるところが窓から見えた。直ぐ浮上して隊員がハッチから飛び出す。
 青い潜水服は黒い潜水服姿の女を甲板に上げる。既に気絶している。沼緒輪加子である。
 青い潜水服は津島だった。
 「あと一人は」
 「鄭と孫が追った」
 ゴオォォぉーーー。行き成り高速スクリュー音が響く。クルーザーのようだがはるか遠い。
 もう一隻が魚雷を発射するがクルーザーは高速で逃げた。
 潜水艇では追いつかない。
 輪加子は裸にして医者が診察して仁川邸の地下室に縛り付ける。
 仁川は日本にメールで沼緒警部の近辺調査を依頼した。沼緒警部と同じ部署の刑事の動きを調べてもらうのである。
 報告を待って無駄でも輪加子を拷問する予定でいた。
 仁川、安形、真紀子の三人で最上階のバーで飲む。
 「R国に逃げたのですね」
 真紀子の見解である。
 「クルーザーでそんなに遠くに行けまい」
 「港で押えられないのですか」
 「無理だ。僅か二十分。どのクルーザーかも解らん」
 「最低三人は居るという事ですね」
 「安形の言う通り。クルーザーに一人は待っているだろうからな」
 「少なくとも角屋からの女性の流れを調べているのではないと思いますが」
 「真紀子そりゃ判っているよ。だがいくら問い詰めてもあの女は喋らんよ」
 「此処にどんな日本人客が来るか一つはそれが目的だろ」
 「確かに潜入すれば日本から来る大物が掴めますがそれをしても何もできませんよ」
 「もっと奥が有るのだよ」
 「どういう奥があるのですか」
 つまみにカマンベールのフライ。チーズの盛り合わせ。グリーンピースが運ばれる。
 「仲間が現われたからには何かR国内で調べている。そっちを追ってみるさ。日本に調査を依頼した。沼緒と同じ部署の刑事で今自宅に戻らないのを調査してもらっている」
 ビールを注ぐ。このラウンジには麒麟のクラッシックラガーが切れていた。スタインラガーを注文する。
 「日本の刑事をどうするのですか」
 「もちろん生かしては返せない」
 「奴らはこっちの島まで来ているのですよね」
 「でなければあんな所から救出に来れまい」
 「もっと警備を強化しましょう」
 「そうだな」
 
 翌々日も仁川邸に呼ばれた。ここのところ仕事が緩慢になっている。仁川は会議の出席も一日に評価してくれた。
 仁川邸には津島、安形、湯野中が来ている。村上は日本に向かった。
 「日本からの報告では沼緒警部の他に五人。こちらに来ている可能性があるらしい」
 全員の写真リストが配られる。
 「どうも沼緒警部が最上官ですね」
 湯野中が嫌な女と言わんばかりに言う。
 「二番目が橋本警部補四十五歳。ノンキャリアだな。こいつがいま指揮を執っている訳だ」
 津島が横柄な言い方で言う。いったい会長の前でどんな立場なのかと思う。
 「逃げた奴はそんなに年嵩ではなかった」
 「この人数だとすると相当目的は重いですね」
 「この連中が何処に泊まってどんな聞き込みをしているかこちらの警察に調べさせている。五百人体制だ」
 「警察に逮捕させるか」
 「いや。津島らで確実に片付けろ。最終的には警察が公務執行妨害で射殺した事にする」
 「判った」
 津島は席を立つ。
 島の外周は昨日からクルーザーが二隻巡回していた。
 R国海軍の駆逐艦も警戒配備に就いている。
 「あいつはあんな態度だが仕事はきっちりやる」
 仁川は真紀子に言っているのである。安形も湯野中もよく判っている。
 緊縛師が唐丸籠で輪加子を運んで来た。
 引き摺り出して床に俯せに寝かす。
 腕を後ろに真直ぐ伸ばして引っ張り手首を縛る。脚首も膝を折って縛った。さらに手首と脚首を縛る。そこにフックを付けた。
 縛った縄を天井のフックに通す。
 脚首と手首の頂点に付けたフックに通し引き上げる。
 僅か十センチ上がっただけで輪加子は苦しみに般若の形相に成る。
 ただの吊るしではない。駿河縛りである。
 それでも男の顔の高さまで上げた。
 折った膝から俯きに躰が弧を描く。首を上げると乳首が一番下になる。
 揃えて吊られた艶かしい太腿の付根に薄っすらと剃られた陰毛が生え始めていた。細い美脚の体形から女の部分の割れ目は丸出しである。
 「・・・・・」
 顔は斜めに軋んでいた。眉間に皺が集中する。口をロの字に歯を食い縛って首を上下に動かし藻掻く。
 「・・・・・」
 「目を開けてみろ。橋本警部補。原口巡査部長。横峰巡査部長。安曇巡査長。田嶋巡査長」
 苦しい首を擡げる。眉間の皺が斜めに軋む。目を半開きにやっと見ることができた。
 それでも驚きの目は隠せない。
 「な・ぜ・」
 「知りたいか。その囚われの身で我らと駆け引きするか」
 「ぐう・・ぐ・・」
 首を上げたり落としたり目を半開きに開いたり閉じたりのた打ちながら何か喋ろうとはする。
 「苦しくて喋れないか」
 「ぐぐ・・」
 「おっぱいが床に着くまで下げてやれ」
 引き上げた縄を緩めて二人掛りで少しずつ下ろす。床に乳房がベッタリ着いて形の良い三角の突起が潰れるところまで下げる。
 「ぐう・う・うう・・ううーー」
 何とか苦しみが緩やいだようである。
 「いまこの五人が日本にいないと調べはついているのだ」
 「警察官のリストが有るのね」
 「そうだ。目的は何だ」
 「・・・・・」
 「態々この島に入ったのは此処に来る要人の調査が目的だろう」
 「・・・・・」
 「R国の警察が総動員でおまえの部下を捜している。全部昨日おまえを捕まえた津島の手に掛かる」
 「・・・・・」
 「どこから指令が出ているか喋らないか。帰す訳には行かないがこの島で安楽させてやるぞ」
 「・・・・・」
 「あんたがね。バイブと電マで歓喜を上げる録画が有るのよ。これをシカゴのサイトから販売してやるわ」
 「ううーーーーーーーん」
 輪加子は蔑み果てた目付きで真紀子を見る。
 「顔もばっちり写っている。貴女を知っている人が見れば直ぐ判る。シカゴのサイトで日本人特集として出してやるわ」
 「・・・・・」
 「上手に編集すれば合意でアダルトビデオに出ているようにしか見えないわ」
 「もう一度上げろ」
 仁川が緊縛師に指示する。
 「本人にAVを見せてやりましょう」
 娼館島のハードコンパニオンメニューに使った本人の写真が出る。
 女躰盛カウンターに躰を横たえるシーンも出た。
 三角木馬に乗るまでは充分合意に見える。
 輪加子は意識朦朧となりながら歓喜に悶える自分の姿を見た。これが知人の目に触れればどんな言い訳も通らない。
 エリート警部が堕ちたAV嬢である。
 それでも輪加子は駿河問いの苦痛にも何も答えなかった。
 
 真紀子の企画は仁川の後押しで試験段階に入る。
 まず女社長をターゲットに開始した。女社長にR国に来る取引先の妻女を誘わせる。
 日本人ホストのいるホストクラブ。最初は女がサービスする女性向け性感エステ。そこで男性ホストのサービスも受けられる。
 やがては選んだ男性数人のサービスを受ける運びである。
 輪姦とサービスはまったく違う。女の歓喜はとことん増して行く。一人の男性では行き着かないところまでいってしまう。
 こちらに本社を置かせる企業の妻女に遊びを教える。こちらに帰化させるのが目的である。
 娼館島が娼国に独立してもそんなに多くの土地はない。
 手前の島の浅瀬を埋め立てればもう少しは広がる。娼館島には僅かな本社を置いて本体はR国の港町に置く。
 それでも日本の法人税よりは格段に安い。
 例えばこんな図式になる。
 アマゾネス販売と言う書籍通販会社の本社を娼国に置く。社長室のみである。本社事務は実質R国に存在する。
 早川急便の本社も娼国に置く。本社事務はこれも実質R国に存在させるのである。
 世界中からアマゾネス販売がインターネットで書籍の注文を受ける。
 日本の流通分は早川急便の日本支社が日本の倉庫の入出庫、発送を管理代行するのである。
 早川急便の日本支社は代行手数料のみ本社に請求する。
 本の販売利潤、送料は娼国の各々本社でアマゾネス販売と早川急便に売上が立つ。
 極論を言えば日本支社での概要的に売上は人件費と支社維持費と法人税一万円の合計でよい。
 法人税一万円は赤字にしないぎりぎりと言う意味である。
 娼館島の奥の島で十八まで育てた女性はその一部は企業家の好みのタイプを妾として販売する。その為に今は増産しているのである。
 十八までは殆ど女しかいない島で日本語と料理他、世界に出るに必要な教育を受ける。
 修道院以上に隔離保護されていた。
 真紀子は日本にも進出する意気込みである。企業家の妻女や女社長の元々無い貞操を日本で砕きR国で完膚なきまで崩壊させる。
 日本の中小企業本社移転計画も進む。娼館島に企業家を誘う。法人税ゼロの本社誘致である。そしてR国も税金は安い。
 仁川の息の掛かったR国首相である。日本の建前民主主義が実質民主主義に呑み込まれ右往左往する日本の政治とは違う。
 法人税を高く取って企業がよそに行く愚は行わない。
 議員も全員が与党。選挙資金とて仁川の後押しが無ければ殆ど不可能である。
 娼館島に来た企業に取引先を誘わせる。主に下請けだが今ではパートナー協力会社という。
 個人の国籍を移して企業家に本来の妾三昧の愉しみを悦楽して貰うため真紀子の会社がその妻女を射落とすのである。
 
 真紀子の借金はまだ半分以上残っている。資本とて仁川から借りていた。だが真紀子はハードコンパニオンの仕事を一切受けていない。
 収益から返せばよいと言う仁川の見解である。
 村上は何も言わないが湯野中には不満があったようである。
 だが不満どころではない。日本の刑事五人はR国内で湯野中、村上、安形の会社を調査していた。
 R国警察の聞き込みで五人の足取りは徐々に掴める。
 湯野中、村上、安形は日本の経営に及ぶ懸念から日本での対策に陣頭指揮に向かう。
 
 刑事五人は別々のホテルに滞在していた。空港や港には完全な見張りが付いている。出国は不可能である。
 日本にメールは飛んでいる。
 だが日本の政府が抗議する事はありえない。
 津島は安曇幸恵巡査長を追い詰めた。安曇幸恵巡査長は不覚にも携帯とPCを押えられてしまう。
 R国警察とホテルの協力で部屋に戻ったところを取り押さえた。
 軍港から潜水艦で娼館島に運ぶ途中原口明巡査部長と田嶋陽一巡査長が待伏せに遭う。
 両名はコンテナに隠れて発砲して来た。部下が二人撃たれたが津島は体を伏せて応戦して二名とも射殺する。
 隙を衝いて逃げる安曇幸恵巡査長を後ろからタックルし投げ飛ばす。
 腹に馬乗りになる。睨み返す安曇幸恵巡査長。その顔にビンタを数発食らわした。
 撃たれた部下はどちらも軽傷である。原口明巡査部長と田嶋陽一巡査長は津島に頭を撃ち抜かれていた。
 二人の遺体共々潜水艦に収容する。
 津島の部下が二人。R国の警察の協力を要請して原口巡査部長と田嶋巡査長の泊まっていたホテルに向かう。
 二人の遺品特にパソコンの回収である。
 そして二人の遺体は出航してから魚雷型の棺おけに入れコンクリを流し込む。
 艦尾の魚雷発射管に納め外門を開いて海に捨てる。
 津島の部下が艦首の発射管室で柱に縛り付け安曇幸恵巡査長を全裸に剥く。
 いくら喚いても潜水艦の艦内である。
 鉄の棒以外に鞭、竹刀などは無い。長い布切れを水に浸けて濡れた状態で鞭代わりに叩く。
 「うあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん」
 乳房に弾力はある。躰も沼緒警部より一回り大きい。乳首は濡れた布で叩くと跳ねるように揺れる。
 「うあーーーーーーーーーーーーーーん。あーーーーーーーーーーーーーん」
 乳首は真赤で突起がくっきりとして乳輪も三センチくらいある。
 肌は沼緒警部や真紀子に比べるとやや浅黒いが綺麗と言えた。
 写真を撮影して剃毛する。
 娼館島に着くには潜水艦では一時間以上かかる。着くまで津島の部下らの玩具である。
 全員姦し終えた頃に娼館島の洞窟の中にある桟橋に着く。表の港に着ける訳には行かない。
 
 原口明巡査部長と田嶋陽一巡査長の部屋からは収穫が無かった。
 安曇幸恵巡査長のパソコンは安形の部下が呼ばれ調査を始める。
 仁川邸の地下室ではパスワードを聞く拷問が始まっていた。
 安曇幸恵は股を広げて天井から逆さ吊りにされている。拷問しているのは津島とその部下二人である。
 牛追い鞭が腰に巻き付く。
 「あがあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 叩かれる度に胸から上体が軋みくねり腕が自然に胸を押える。
 一本鞭が乳房を直撃した。
 「ぐがあーーーーーーーーーーーーー。あがあーーーーーーーーーーーーー」
 天井から平行に吊るした一本の棒。その両サイドに脚首が吊られている。
 一本の棒も揺れる。躰は回り上体は痛みに前に後ろにくねった。
 撥がドテを叩く。
 「があーーーーーーーーーーーーーーー」
 丸出しの女陰に一本鞭が直撃する。
 「あぐあはあーーーーーーーーーーーー。あがはあーーーーーーーーーーー」
 上体は持ち上がり両手は上に伸びて女陰を庇うようにドテに付く。
 「あがはあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん」
 相当に痛い一撃である。目からは涙がこめかみに流れて行く。
 牛追い鞭が乳房に巻き付いた。
 「あぐあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 直ぐ次の瞬間に撥が女陰を叩く。
 「あうぐーーーーーーーーーーーーー。ぐふうーーーーーーーーーーーん」
 乳房に巻き付いた牛追い鞭はゆっくり解れて引き戻される。
 「あうううーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん」
 失禁して小水が流れ出す。ドテから腹を伝って首から顎に流れる。
 「パスワードは」
 津島の部下が問い詰める。
 「・・・・・」
 二つの水槽が用意される。躰が腰まで入る深さである。一つは水。一つは大量の蛆虫が入っていた。
 「パスワードは」
 もう一度訊ねる。
 「・・・・・」
 鎖を引く。金属の滑車がガラガラ音を立てて頭の位置が水槽の高さに来るまで引き上げた。
 蛆虫の水槽を頭の真下に移動する。
 「ああはあーーーーーーーーーーー。ああはあーーーーーーーーーーーーー」
 恐怖に顔は引き攣っていた。
 「パスワードは」
 さらにもう一度訊ねる。
 「ああはあーーーーーーーん。あはあはあはあーーーーーーーーーーーーん」
 泣き喚くばかりである。
 「パスワードは」
 「ああはあーーーーーーーーーーーーーーん。ああはあーーーーーーーー」
 躰をブルブル震わせ泣き喚く。
 鎖が音を立てて吊るした鉄の棒が下がる。頭が蛆虫の水槽の淵に当たりながら中に下りてゆく。
 「あああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 眉間に皺を固め目はきつく瞑り手を握って腕で覆うように胸でクロスして顎につけている。
 髪は多量の蛆虫が重なる水槽の底に落ち腰まですっぽり水槽の中に入ってしまう。
 鎖を巻き上げる。ガラガラ音を立てて滑車が鉄の棒を吊り上げた。
 腰から背中にばっちり蛆虫が付いている。前にも一部回っていた。髪にはどっさり顔にも数匹回っている。
 水の入った水槽と位置を替えた。
 再び滑車が吊るした鉄の棒が下がる。震える安曇幸恵の躰が腰まで水に浸かってしまう。
 外から脚を持って押したり引いたり水の中で躰を揺らす。
 再び持ち上げる。かなり落ちたがまだ残っていた。とくに髪にたくさんついている。
 ホースで水洗いする。躰は落ちたが髪は残っていた。
 一人が躰を押えゴム手を掛けて髪を切る。
 残りはバリカンで剃ってしまう。もう一度洗い落とす。
 安曇幸恵の躰はブルブル震えていた。
 暖かいおしぼりで顔を拭く。
 「ううーーーーーーーーーーーーーーーー」
 「パスワードは」
 もう一度訊ねる。
 「あーーーーーはああーーーーーーーーーーーーん」
 まだ泣き続けた。
 緊縛師が呼ばれる。
 沼緒警部と同じように駿河問いにしてしまう。
 手首、脚首を背中で束ねて縄を滑車の金具に引っ掛ける。その縄を手首、脚首を縛った部分に引っ掛けたフックに通し引き上げる。
 「あわわーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 さらに引き上げる。
 「あわわわあーーーーーーーーーーーーーーーーー。あがあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 安曇幸恵は吊られた躰を空中で腰を上下に捩り般若の形相で悲鳴を轟かせた。
 「パスワードは」
 「ああーー。ああーー。あ。あ・・a、z、y、e、・・20・・0・9」
 「よし、下ろせ」
 「あああはあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん」
 相当の苦しみ様である。
 「こいつを沼緒警部の一つ置いて隣にぶち込め」
 「はい」
 二人が打ち合わせするのは承知している。
 安曇幸恵は沼緒警部に原口巡査部長と安曇巡査長の殉職を報告した。PCが奪われた事とパスワードを喋った事を詫びた。
 安曇幸恵の髪は申のように刈られ躰は蚯蚓腫れと内出血が数箇所見られる。見るも無残な姿である。
 沼緒警部は頷くだけで何も言わない。
 二人はそのまま眠った。
 
 メールは一つが官房長席付けの小日向警視に宛てられていた。警察庁である。
 もう一つは東京地検の長妻検事に宛てられていた。
 安形と湯野中の交流関係を調査報告した内容である。目新しい情報は無く目的も見えない。
 古いメールは消去されていた。あとはR国の警察に調査依頼して任せるしかない。
 東京に向かった安形と湯野中、村上は風俗関連を護る専門の調査会社を使って警察の動きを調査した。
 安形に捜査の及ぶ可能性は低い。
 宴会場を貸してコンパニオンが入るのは当然である。
 それをこじつけても建物はR国に本社が在る。現地の宴会場運営会社を検挙されても裁判で負けることはない。
 安形まで及ぶのは到底不可能である。
 湯野中は日本に路面店をまだ多く持っていた。建物と土地をR国の本社で所有している。
 路面店を検挙されれば湯野中に及ばなくとも逮捕された経営者の保障が必要になる。幾つもやられれば損害は大きい。
 だがその兆候は見えない。
 日本から女性をR国に運んでいる。こちらは完全に合法である。
 日本からは本人の意志で出国してR国で金を借りて日本の金融会社、宝石店角屋などに返済している。
 非合法にするにも日本の警察権の範囲ではない。
 村上の場合も現地のコンパニオン派遣会社を取り締まるには宴会場に潜入して押えなければならないのである。
 やっても公然猥褻以外は違法性が無い。一般公募客の宴会等ではないので此処に潜入取締りは難しい筈である。
 最近の日本は法律の副作用や無理を考慮しないで強引な改正を行ってまでも取り締まる。そこだけが問題である。
 
 翌々日。津島のもとに横峰巡査部長が見つかった報告が入る。怪我をした二人を島に残して八人で高速船を使ってR国に向かう。
 横峰は新日本空輸ホテルに泊まって株式会社パン・ミネベアと村上の日本系取引を調査していた。
 R国の警察に任意同行をやらせたが横峰は拒否する。
 そして直ぐホテルを離れた。津島らが尾行する。雑踏に消えようとするがこの街で日本人は目立つ。
 中央駅を一つ外れて列車に乗ろうとするのを郊外で押えた。
 銃を発砲して抵抗する。部下が二人倒れた。
 津島が已む無く射殺する。
 死体の収容はR国警察に依頼した。
 さらにR国警察の協力を得て新日本空輸ホテルの客室を捜査したが得るものは無かった。
 残るはあと一人。橋本警部補のみである。
 押収したPCのハードデスクの解析結果もたいした期待はできない。
 R国での捜査を日本の警察がいかに強引でも公にはできない。主権の侵害である。
 真紀子の言う通り沼緒警部の立場は破廉恥AVで地に堕ちた警察官は免れない状況である。
 そこを突いて女の悦びを拡大して徐々に崩して吐かせるしかないかもしれない。
 
 安形、湯野中、村上は、調査会社に調査の続行をお願いして娼館島に戻った。
 R国の空港から日本まで新日本空輸とR国航空合わせて一日一便運行されている。
 空港から娼館島まで高速船で二十分と書いたが中央駅には十分で着く。娼館島からR国中央駅まで接続良く三十一分で着いた。
 日本便はよく同時間機が飛ぶ。
 R国中央駅付近には仁川氏の経営する高層建築が林立する。新日本空輸ホテル他、仁川氏の経営するホテルも建ち並ぶ。
 R国内でも日本語教育が行き届いていた。日本からの赴任者以外は低賃金で職員が確保できる。
 夕方、一同が娼館島の仁川邸に終結した。
 仁川は極めて不機嫌である。
 「警察庁が絡むのが気に入らない。東京地検だけではない」
 「調査会社に依頼していますが東京都知事の指令で歌舞伎町浄化からは今のところ何の動きも見えないのですよ」
 湯野中の報告であった。
 「売春風俗関連の捜査ではないのでは」
 「だがこの連中は警視庁保安課だ」
 「もう一度安曇幸恵を拷問だ」
 「先に橋本警部補の行方を吐かせろ」
 仁川の指示である。
 「私はもう一度輪加子を拷問する」
 真紀子はあくまで輪加子を追い詰めて吐かせる気持ちでいる。
 そこに待っていた安曇幸恵から押収したPCの消去されたハードデスクのデータ解析が届く。
 内容は以下の通りであった。
 沼緒警部が付いた客の氏名六人分。
 真紀子を含めた日本人女性の氏名。
 娼館島の大凡の構造。日本人客の滞在状況。
 沼緒警部から連絡が途絶えた事。
 横峰巡査部長が沼緒警部救出に失敗した事。
 村上の株式会社パン・ミネベアの活動状況及び交流関係。
 娼館島の大凡の構造。日本人客の滞在状況。二回目。
 安曇幸恵から日本へのメールはこれだけである。
 官房長席付けの小日向警視からは株式会社パン・ミネベアに接触する日本人、娼館島に渡る日本人を調査してリストを送れと要求していた。
 「日本への売春婦の輸入を遮断する方向か」
 村上の懸念である。
 「そんなもの別に受け入れ会社を作って流せばどうにでもなる」
 「仁川会長と我々の関連が解って日本への流れを総崩れにしようというのではないですか」
 「どっちにせよ不可能だ。それでは風俗営業そのものを日本で禁止しなければならん」
 「我々は日本では湯野中のソープ以外の売春はやっていません。スーパーコンパニオンが近隣のホテルでアフター売春をやっても利潤は会社に流れて来ないので管理売春では有りません。娼館島での売春はもうじき完全合法になります。調査する目的は他にありますよ」
 安形の意見である。
 「俺は安曇幸恵を拷問して奴の居所、他に知っている事を聞き出す。警部の方は真紀子さんにお任せする」
 津島は地下室に降りて安曇幸恵を引きずり出す。
 「いやーーーーーーーーー。もうやめてーーーーーー。いやだーーーーーー」
 「言いから来い」
 「何を聞きたいの」
 「橋本警部補は何処だ」
 「しらないよーーーーーーーー。あいつは任務放棄して逃げたのだよ」
 「嘘をつけーーーーーーーーーーーー」
 津島が首を掴む。あと二人が片脚ずつ持つ。安曇幸恵は首を掴まえられては暴れられない。
 檻の鉄格子に脚を広げて逆さまに固定する。
 「やめてーーーーーーー。嘘じゃない。あいつは怖くなって逃げたのだよ」
 女陰を撥で叩く。
 「あはああーーーーーーーーーん。いいたあいーーーーーーー。やめてーーーーーーー。嘘じゃないよーーーーーーーー」
 「ビラビラを広げろ」
 「ああーーーーーーーやめてーーーーーーー。ほんとうだよーーーーーーー」
 腰と乳房の大きさの割に広げた女の部分は小さい。中は濃いめの赤で表面がでこぼこしている。
 柔らかく敏感な中核部分を狙ってピンポイントに叩く。
 「あぐああはああーーーーーーー。ああはああーーーーーーーーーーーー」
 逆さ吊りの般若の形相から既に大粒の涙が零れる。
 「ああはあーーーーーーーん。ああはあーーーーん。嘘じゃないよーーーー」
 クリトリスを狙ってもう一発。
 「ぐうううーーーーーーーーーーー。あああはあーーーーーーーーーーーーーーーーん。ああはあーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 小水が逆流する。
 「やめてーーーーーーーーーーー。ほんとに逃げたのだよ。空港から出られないから国境に向かって隣の国に逃げるつもりだよ」
 「よし。国境に全て手配しろ。中国に出られると面倒だ」
 「でもあっちは砂漠ですよ。それにゲリラゾーンを抜けないと。T国側じゃないですか」
 「全部手配だ。どっちにしても国境までは日数が掛かる」
 「この女どうします」
 「もう少し拷問して目的を吐かせろ」
 「クリトリスを切ってしまうか」
 「ぎゃーーーーーーーーーーーーーー。やめろーーーーーーーーーーーーーーーーー。やめてーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 気丈そうに見える女だがここまで来ると半狂乱に成る。
 「貴様らの捜査目的は何だ」
 津島の低い乾いた声である。
 「この国から操っている日本の売春組織を撲滅する為だよ」
 「嘘ぬかせ。そんな事できる訳無いだろ」
 女陰をまた広げる。カッターを構えた。
 「ああはあーーーーーーーー。やめてーーーーーーーーーーーーーーー。本当だよーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 檻の鉄格子に逆さに縛り付けた向う脛を木刀で叩く。
 「がはあーーーーーーーーーーーーーーーー。があーーーーーーーーーーーーーーーー。いたあいーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 「いいか。おまえらの捜査はR国の主権の侵害なのだぞ」
 「そうだけど。娼館島の実態が割れれば合同捜査できるでしょう」
 「あほぬかせ。R国が協力するか。この島の女が逃げればR国の警察が追い掛ける。首相から代議士全部が仁川会長に選挙資金を援助して貰っているのだ」
 津島の部下鄭ががなり散らす。
 「それにな。もう直ぐ娼館島はR国から独立して娼国に成る」
 津島が静かな乾いた声で言う。
 「ふうーん」
 「それにR国で売春は合法だ」
 「でも売春の斡旋は合法ではないでしょう」
 「おまえら馬鹿か。そんなもの建前だろ。個人が斡旋すれば逮捕するが娼館島にもR国の売春組織にも手は出さん」
 「そんな言い逃れは通じない。本当の事を言って貰おう」
 津島がやんわり低い声で言う。
 「ほんとうだよーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 鄭がカッターを構える。
 「斬れ」
 「待ってよ。本当よ。安曇巡査長の言っている通りよ」
 輪加子が二つ隣の檻から叫ぶ。
 「ふざけるな。そんな嘘が通るか。我々の末端は日本で風俗営業法に触れる事はやってない。風俗を全面禁止しなけりゃ我々を取り締まれないんだよ。ましてこの島には日本の警察権は及ばない」
 「でも私たちは日本から売春を撲滅するつもりでやっているわ」
 輪加子が真剣な声で言う。
 「そんな事したら日本中犯罪だらけだぜ」
 津島が嘲る。
 「それも全部撲滅するのよ」
 輪加子は真剣である。
 「どうします。この女」
 「おまえらの好きなだけ甚振れ」
 津島は輪加子の方に歩く。
 「ああああああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 後ろで悲鳴が上がる。斬ったようである。
 「ああ。やめなさーーーーーーーーーーーーーーい」
 輪加子が津島の後方に向けて叫ぶ。
 「あんたはな上の綺麗なお姉さんが甚振ってくれるからな」
 津島の言葉に輪加子は絶句する。真紀子は心底怖い。
 自分は生きて帰れないと観念している。
 だが死んでも不名誉な結果が残されるのが恐ろしい。
 自分は正義を貫いた筈である。それをR国でAVに堕ちたと世間に知らされるのは堪えられない。
 安曇幸枝の悲鳴と沼緒輪加子警部の絶叫を背後に津島は地下室を出て一人真紀子の寮に向かう。
 携帯で呼ぶと下に降りて来る。
 「何よ」
 「あいつら何も判ってないかも知れん」
 「どういうこと」
 「あいつらは本気で売春を撲滅する目的でやっている。だが命令している官房長には別の目的がある」
 「本当の目的が解らないであの非道な任務を全うしていると言うの」
 「少なくとも安曇幸枝は何も知らない」
 「そう」
 「警部の方はあんたに任すよ」
 そのまま津島は高速船でR国に向かった。
 
 翌日。民事党の平佐和代議士が娼館島に現われた。仁川を訊ねて来たのである。近々日本で選挙が始まる。その金の調達である。
 仁川はもとより金は出す。政治資金収支報告書に載る資金ではない。
 仁川は沼緒警部らの一連の隠密捜査を説明した。
 「仁川さん。貴方は日本の官僚について認識が疎いようですね」
 「と仰ると」
 「昨日解散になりました」
 「はい。見ております」
 「今度の選挙で政権交代とか噂が飛び交っています」
 「でも経団連の後押しが無くて国民党が政権を維持できますか」
 「維持できる。できないは別問題。官僚に取って国民党政権は下手すれば死活問題です」
 「はい」
 窓の外は黄昏時間の模様を静かに映している。このあとは最上階の和食に誘い女を付ける予定である。
 「官僚は一致団結して国民党の弱みを捜しているのでしょう」
 「しかし。この島に国民党の代議士は来ませんよ」
 「可能性を全てあたっているのですよ」
 「でも可能性だけでこんな囮捜査を」
 「官僚全体の利益の為だったら、警察官一人二人僅かな駒です」
 平佐和の表情には何の淀みもない。
 
 翌日。津島は橋本警部補を捕獲して潜水艦で戻って来た。
 T国の国境手前でバスを降りるところをR国の警察に身柄を拘束されたのである。
 橋本警部補は全裸で縛られている沼緒警部を見て嘲け哂う。
 仁川も真紀子も全員見ていた。
 昨日の平佐和代議士の話は全員聞いている。
 安曇巡査長の姿は無かった。
 「官房長にそいつが騙されてこんな馬鹿な仕事引き受けるからこんな事になるのだ」
 橋本警部補は沼緒警部の馬鹿さ加減を嘲る。
 「おまえらの目的は何だ」
 「日本の売春組織がこの国に本部を置いている。だからその調査に行けと言われた」
 「本当の目的は」
 「官房長ほか官僚の目的は国民党のあら捜しだ。これはその一貫だよ」
 「そういうことだ沼緒警部どの」
 村上が嘲るように言う。
 沼緒警部に言葉はない。
 「この刑事はどうする」
 津島が確認する。
 「生かして返すわけにはいくまい」
 そのあと橋本警部補はとことん命乞いをした。だが原口巡査部長と同じ運命と成る運びである。
 真紀子の残酷な提案で橋本警部補に死ぬ前に沼緒輪加子を抱かせた。
 さらに真紀子は暫く輪加子を生かして苦しめる事を提案する。
 輪加子のAVが発売され日本で輪加子がどのように扱われるかこの島で監禁して最後まで見せることである。
 真紀子にはこの女の正義が空なものと証明されその挫折をまざまざと本人の前に晒してもまだ許せなかった。
 そして女性用風俗の実験に毎日輪加子の女躰を利用したのである。
 日本では五人の刑事の死は他国での捜査中に起きたヘリの事故で片付けられてしまう。
 五人とも平穏な殉職で二階級特進した。
 沼緒警部のみAV転落が報じられる。警視庁は沼緒輪加子警部を被疑者行方不明のまま懲戒免職にした。
 真紀子は日本に進出する。路面店などは持たずホテルへの派遣形式で計画を進行した。
 娼国はR国より独立して独立国を宣言する。まったく税金と選挙の無い国家である。そして企業家を一夫一妻制の呪縛から解放した。
 だが日本では民事党が選挙に負け誤った政権交代がスタートするのである。それは下駄の右か左の違いでは済まなかった。
 
 女衒の國 その一 潜入婦人警官 完




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